日本超音波医学会

地方会抄録号

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社団法人日本超音波医学会第22回関東甲信越地方会学術集会抄録(特別企画)

【特別企画】
 基礎・臨床横断領域横断1領域横断2体表健診消化器循環器泌尿器産婦人科
【基礎技術研究会共催セッション】
【講習会】
 基礎産婦人科消化器(肝臓)体表(甲状腺)循環器消化器(胆・膵)

特別企画【基礎・臨床横断】超音波定量診断技術の新展開

座長:秋山 いわき(湘南工科大学工学部電気電子工学科)
座長:蜂屋 弘之(東京工業大学理工学研究科機械制御システム専攻)
座長:宮本 幸夫(慈恵医科大学放射線医学講座超音波診断センター)

22-特01 冒頭発言:肝臓における定量診断の意義について

住野 泰清

東邦大学医療センター大森病院 消化器内科

 患者の診療は一般に、まず診断、次にその重症度の把握、そして治療が始まり、その効果判定という順に進んでゆく。診断には様々な情報が必要とされるが、定量的な情報はそれほど重みを持たない。しかしひとたび診断が確定されてからは、定量的情報が極めて重要となり、日常臨床の現場で我々は肝臓の硬さ、表面の性状、炎症や飲酒による腫大や辺縁の鈍化を触診所見から、炎症の強さをトランスアミナーゼの数値から読み取ることに血道を上げているのが現状である。一方、経静脈的超音波造影剤の出現とともに飛躍的な進化を遂げた超音波診断装置は、疾患診断のために良好な画像を得るという最も基本的かつ重い課題をおよそこなし、今では造影情報解析も乗り越え、定量診断にエネルギーを注ぎ始めている。そこでこのエネルギーをぜひ活用させていただきたく、臨床現場ではどのような定量データが役に立つのか、一肝臓医の立場から述べさせていただく。

22-特02 超音波減衰を利用したびまん性肝疾患のリアルタイム診断の試み

金山 侑子1、神山 直久1、丸山 憲一2、住野 泰清2

1東芝メディカルシステムズ株式会社 超音波開発部、2東邦大学医療センター大森病院

脂肪肝において超音波減衰は特徴的な所見として知られているが,近年は装置性能の向上により,重度の症例でなければ目視で減衰量を評価しにくくなっている.我々は2周波数の輝度変化の差からリアルタイムで被検体の超音波減衰量を定量する手法を検討した.本手法では送受信周波数を変えた2画像を装置上に同時表示する.中心周波数の異なる2種類の送受信信号の輝度差を取ることにより,送受信音場やゲインの影響を除去し,減衰の影響のみを抽出できることをシミュレーションで確認した.また,2周波数の輝度差から推定した減衰定数はノイズの影響を受けやすいが,ノイズの影響を補正する処理を加えることによって,ファントムの減衰定数を比較的精度良く推定することができた.さらに,肝臓をスキャンして得られた画像から減衰定数を推定し,各症例についてCT肝脾比と比較したところ,両者間には有意な相関が見られた.

22-特03 エコー信号の統計的性質を基準とした肝線維量の定量化

山口 匡1、蜂屋 弘之2

1千葉大学 フロンティアメディカル工学研究開発センター、2東京工業大学 大学院理工学研究科機械制御システム専攻

我々はこれまでに,複数のエコー信号解析法を用いて肝臓中に生成された線維組織の検出を試みてきた。そのひとつが,肝エコー信号の振幅情報を統計解析することによって,正常な肝臓からのエコー信号に埋没した病変組織からのエコー信号を高精度に検出するという信号処理である。この処理は,正常肝からのエコー信号の振幅確率密度分布がレイリー分布に近似できことを基準とし,レイリー分布からの逸脱度を指標として線維化の進行度および構造を把握するものである。本講演では,逸脱度の判定基準となる解析パラメータの導出過程から,臨床データにおける解析結果について述べる。また,異なる信号処理法により肝臓中の線維構造をイメージングした結果について合わせて紹介する。

22-特04 Real-time Tissue Elastographyの肝疾患テクスチャ解析

外村 明子1、元木 満1、三竹 毅1、藤本 研治2、加藤 道夫3、辰巳 千栄4、矢田 典久4、上嶋 一臣4、工藤 正俊4、椎名 毅5

1株式会社日立メディコ USシステム本部、2南和歌山医療センター 臨床研究部内科診断学、3南和歌山医療センター 内科、4近畿大学 医学部消化器内科、5京都大学 大学院医学研究科

【目的】
 びまん性肝疾患は線維化の進行に伴い組織の硬さに局所的なばらつきが生じるため、Real-time Tissue Elastography(RTE)を施行すると、その組織弾性像はまだら化する傾向が認められ、目視で分類した結果は病理診断や血液検査と相関することが報告されている。我々は、組織弾性像から画像の特徴量を抽出し、まだら度を定量化することで肝線維化の進行度を客観的に評価する手法について検討した。
【方法】
 C型慢性肝炎、肝硬変295例と健常者15例の計310例に対しRTEを施行し、その画像をテクスチャ解析し抽出した特徴量と肝線維化stagingを比較した。また得られた特徴量を説明変数、stagingを目的変数として重回帰分析を行いstagingの推定値であるLiver Fibrosis Index(LF Index)を求める演算式を導出した。
【結果】
 LF Indexはstagingと良好な相関を示し(r=0.68)、各stage間に有意差も認められた。
【結語】
 RTE画像から抽出された特徴量を用いて肝線維化の進行度を定量的に評価出来る可能性が示唆された。

※Real-time Tissue Elastographyは鞄立メディコの登録商標です。

22-特05 Virtual Touch Tissue Quantification (VTTQ) による組織の硬さの定量的測定法

斎藤 雅博

持田シーメンスメディカルシステム株式会社 マーケティング部

Siemensで開発されたVirtual Touch Tissue Quantification (VTTQ)は、収束超音波パルスを体外から照射して、Acoustic Radiation Force Impulse (ARFI)の作用により深部でshear waveを発生させ、その伝搬速度(Vs)を計測することによって組織の硬さを定量的に評価できるものである。 これは、ルーチン検査で使用される超音波装置に組み込まれており、Bモード画像で検査部位を確認しながら、ボタン一つで瞬時に測定が終るため、施行者の手技や経験に負うところが少ないのが特長である。すでに前回の学術集会においても、慢性肝炎における線維化の進行度を非侵襲的に数値化測定できるものとして、数点の臨床報告がなされている。最近は高周波リニア探触子においても適応可能となり、表在腫瘤の良悪性診断の可能性も期待されている。

22-特06 超音波骨密度測定の現状と標準化

大谷 隆彦

同志社大学 理工学部

超音波による骨密度評価は定量的超音波法(QUS)と呼ばれ踵骨の超音波透過速度[m/s]または周波数依存性減衰量(BUA)[dB/MHz]を測定する。骨粗鬆症の診断に広く用いられているX線法では骨塩量[mg/cm2]、または骨塩密度[mg/cm3]を測定する。超音波法の測定値SOS、BUAは骨量(骨密度)と良い相関を持つが、骨量(骨密度)に換算することはできない。現在、国内で承認を受けているQUS装置は6機種あるが、QUS法の標準化が検討されずに国内外ともに実用化が進んだため機種毎に異なる測定値を示す。この問題点を解決するため日本骨粗鬆症学会ではQUS標準化委員会を発足させ(2007)検討を重ねた結果、標準化SOS、標準化BUAを提案した(2009、2010)。最近は超音波ニ波検出骨測定法が提案され、X線定量CT法の測定値と互換性のある骨密度[mg/cm3]を測定し、さらに骨強度に関連する弾性定数[GPa]も測定できる装置が開発され期待されている。

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特別企画【領域横断1】超音波症候学「上腹部痛」

座長:竹内 和男(虎の門病院消化器科)
座長:小笠原 正文(GE ヘルスケア・ジャパン株式会社)

22-特07 超音波症候学「上腹部痛」〜肝胆膵領域を中心に〜

佐々木 勝己

財団法人東京都保健医療公社荏原病院 内科

何らかの症状や徴候を有する人を対象とした際、我々臨床家はその原因を探るために問診から始まり、さまざまな検査を行うこととなる。しかし、いかに患者の負担を少なくし効率よくその原因を見出すかは、また臨床家の醍醐味でもある。今回は他科〜他領域を含めた上腹部痛患者を診察する際の横断的な知識をえるために企画された本講演で、肝胆膵領域を中心に超音波検査が担う部分につき消化器科の目線より報告させていただく。

22-特08 上腹部痛をきたす救急疾患(外傷・消化管疾患を含む)

佐藤 通洋

済生会横浜市東部病院 放射線診断科

 上腹部痛は,当然その多くが上腹部臓器の疾患に起因し,肝,胆道系,膵,脾,腎,消化管,血管系の主な救急疾患の大部分は超音波検査で描出可能かあるいは間接所見で診断の緒を見つけることができる.しかし,急性冠症候群や肺炎,胸膜炎,食道炎などのように腹部臓器以外でも上腹部痛をきたすことがあり,また内臓痛として発症する場合は下腹部臓器の疾患の可能性もある.従って,腹痛患者の超音波検査では,痛みの部位に限らず胸腔も含めた腹部全体の走査が肝要で,たとえ異常所見が検出されなくても各臓器の疾患を除外することは腹痛原因の絞り込みに役立つ.外傷も原因のひとつであり,現在では臓器損傷に対してCTを優先させることが多いが,超音波検査はFASTのみならず,実質臓器損傷の診断にも有用である.

22-特09 上腹部痛を呈する循環器疾患

鈴木 真事

東邦大学医療センター大橋病院 臨床検査医学

上腹部痛を主訴に来院する例は多い。循環器領域で忘れてはいけないのは右冠動脈領域の心筋梗塞、すなわち下壁梗塞である。本疾患では迷走神経が緊張しやすく嘔心、嘔吐などの消化器症状を呈することがしばしばある。さらに下壁梗塞では下壁が横隔膜直上に位置しているので、通常の心筋梗塞に特有な前胸部痛ではなく、心窩部の痛みを訴えることが多く、胃が痛いと表現する患者もいる。したがって診断の第一歩は消化器疾患のスクリーニングのほか、心筋梗塞の存在を疑うことである。心電図検査でU、V、aVFのST上昇や異常Q波の所見があれば診断は困難ではない。心電図検査で診断がつかないときは心エコー検査で左室の壁運動異常の有無を観察するのが良い。このとき下壁の壁運動が低下していれば下壁梗塞の可能性が高い。臨床的にはCPKやトロポニンTなどの血液検査結果も参考にする。心エコー検査を行う利点には心筋梗塞の診断のみでなく、心室中隔穿孔などの重症な合併症を診断できることに価値がある。その他上腹部痛を主訴に来院する例では、急性大動脈解離の存在を忘れてはならない。

22-特10 産婦人科領域における上腹部痛

市塚 清健

昭和大学 産婦人科

 産婦人科領域では下腹部痛が一般的であるが、ごくまれに産婦人科疾患が原因で上腹部痛を引き起こすことがある。本セッションでは上腹部痛の原因疾患として念頭に置いておきたい鑑別すべき産婦人科領域の疾患であるFitz-Hugh-curtis症候群、外性子宮内膜症、異所性妊娠について述べることとする。

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特別企画【領域横断2】画像獲得の一工夫「肥満をのりこえて」

座長:中島 美智子(埼玉医科大学総合診療内科)
座長:近藤 祐司(富士フイルム株式会社)

22-特11 健診分野における工夫

清水 正雄

埼玉医科大学病院 健康管理センター

超音波検査を行う上で肥満はできれば避けて通りたい検査条件の一つです。健診分野ではスクリーニング検査として超音波検査が行われており、できるだけ多くの情報を得られるよう努力をしています。今回は健診を行っている施設での検査条件不良時の工夫や対応を紹介します。皆さんの日頃の検査に活用できる情報をできるだけ紹介したいと思います。

22-特12 画像獲得の一工夫「肥満をのりこえて」:消化器領域

小川 眞広

駿河台日本大学病院 内科

超音波検査は、装置・検者依存性の高い検査である。特に適切な超音波診断を行なうためにはいくつかの工夫をしながら画像獲得する必要とされるのが特徴と言える。近年メタボリックシンドロームの増加に伴い肥満症例の超音波検査を施行する機会も増えているがこの肥満症例における超音波検査は超音波の減衰が強くなるため苦手の領域となる。今回ここでは「肥満をのりこえて」として消化器領域の画像獲得の工夫を述べる。まず装置の調節の工夫としては、観察している標的臓器が通常より深部に位置することがあるため(脂肪のため)Focusの位置を深部に再設定する、周波数切り替えがある場合には周波数を低いものに変更するなどが挙げられる。ここで注意が必要なのは、ビームが届いていないと全体的に暗い画像となるが、むやみにgainを上げ全体的に白い画像にしないことである。こうすることで通常の肝臓が脂肪肝に勘違いしてしまうこともあるからである。次に技術的な工夫としては適切な圧迫といえる。脂肪には主に皮下脂肪と内臓脂肪があるがいずれも線維に富む筋肉とは異なり反射体は少なく圧迫により脂肪層が薄くなるため描出力が上昇する。特に内臓脂肪の場合には消化管のガス像が邪魔になるため両者共に圧迫により条件を改善する工夫が必要となる。ここでは実際の症例を提示し、具体的な肥満症例に対する超音波検査の工夫を述べる予定である。

22-特13 肥満妊婦への対応

小林 浩一

社会保険中央総合病院産婦人科

当院がある新宿区の百人町大久保地区は非常に外国人率が高く、住民登録者のうち34%を外国人が占めている。当院に通院する妊婦も外国人は少なくなく、特に中国人、韓国人が多くを占めている。若い日本人女性のやせ願望の方が異常ともいえるが、外国人は比較的ふくよかな女性が多く、また妊娠した場合も妊娠前からの体重増加が多い傾向がある。肥満妊婦は、しばしばいわゆる「二段腹」を呈する。胎児を超音波で観察する場合、「二段腹」の下から観察できる範囲は、通常の超音波設定でも比較的良好な画像を得ることができるが、段の上方からの観察を要する部位では中心周波数を下げるなど設定を切り替える必要があり、異常の有無などの診断は困難になってしまうことが多い。それでも超音波機器の性能が向上するとともに、マニュアルでの設定切り替えからPenetrationモードなどの既存の設定を利用することで以前に比べると診断が可能かつ容易となってきている。

22-特14 画像獲得の一工夫「肥満をのりこえて」

黒川 文夫1、後藤 育子1、高野 一成1、石塚 尚子2、芦原 京美2

1東京女子医科大学病院 心臓超音波検査室、2同 循環器内科

近年、食生活や生活様式の西洋化などに伴って糖尿病・高血症・肥満の患者が増加しています。肥満は、生活習慣病をはじめとして、数多くの疾患のリスクファクターとなるため心機能の評価としてオーダーされる機会も多くあります。超音波は、周波数が高い(波長が短い)ほど解像度は良くなり距離分解能が向上するものの透過性が低下し、深部臓器の映像化は困難となる特性があります。肥満体(腹部などに厚い脂肪のある体躯)では生体による吸収が大きく、反射、散乱などにより十分な心内膜描出が困難となります。これらの影響を最小限にするための工夫として@患者側の要素:体位、呼吸調整等の工夫、A検査者側の要素:装置設定(ゲイン、ティッシュハーモニックなど)があげられます。当日はこれらの工夫と画像の変化を確認していただき、今後の心エコー検査業務に役立てばと考えます。

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特別企画【体表】マンモグラフィなどを活用した乳房超音波検査の進め方

座長:尾本 きよか(自治医科大学附属さいたま医療センター 臨床検査部)
座長:安田 秀光(国立国際医療研究センター 外科)
座長:三竹 毅(株式会社日立メディコ US システム本部)

22-特15 乳房超音波検査を行う上で有用なマンモグラフィの情報

橋本 秀行

ちば県民保健予防財団総合健診センター 乳腺科

乳がん検診にマンモグラフィが導入されるようになり、精査施設ではマンモグラフィの情報を基に超音波検査を行う機会が増加している。マンモグラフィの情報が無くても、超音波検査として診断できることは理想ではあるが、マンモグラフィの情報があることにより、さらに正確な検査・診断につながると考える。マンモグラフィの所見には、「腫瘤」、「石灰化」、構築の乱れや局所的非対称性陰影を含めた「その他の所見」がある。まず、これらの所見が乳房のどの位置にあるかを把握することが重要である。次にマンモグラフィの所見が超音波検査ではどのような画像を呈するのか、両者の関連を知ることにより超音波検査にはかなり役立つと思われる。日頃、マンモグラフィに接することの少ない超音波検査技師にとっては、マンモグラフィの読影は大きな壁かも知れない。今回の特別企画では、マンモグラフィ読影の基礎と超音波検査を行う上でマンモグラフィの活用法について述べたいと考えている。

22-特16 超音波検査で見逃しやすい病変について〜他の画像検査を活用して@〜

尾本 きよか

自治医科大学附属さいたま医療センター 臨床検査部

乳房超音波検査は、乳癌検診や人間ドックなどのスクリーニング目的だけでなく、乳癌術前検査として今や欠かすことはできない。検診の精査を目的として超音波検査を行う施設も増えてきており、その依頼内容には「右U領域、微細石灰化」「左FAD」などマンモグラフィに関する用語をよく目にするようになってきた。よってマンモグラフィなどで使用される特殊な用語や基礎的知識を理解していないと検査に支障をきたすことがある。また乳房超音波検査をスクリーニングとして行う場合には、見逃してしまうことの多い病態や疾患についてはたえず念頭におきながら検査することも大切である。超音波検査の特徴としてどういう病変や疾患が描出や診断における盲点になりやすいかを整理し、同時に他の画像検査の長所や短所を理解しておくことは、超音波診断を進めていく過程において補完的に働き、誤診や見逃しを防ぐことになり大変重要なことと考える。そこで今回は当院で経験したこのような症例について具体的に提示しながら説明する。

22-特17 乳房超音波検査を行うにあたって知っておきたいMRI診断

角田 博子

聖路加国際病院 放射線科

乳房の画像診断を行う上で、マンモグラフィ、乳房超音波に加えてCTやMRIが浸透してきた。CTに比較してMRIのほうが感度良好であることがわかっており、現在では、術前にはこの3つのモダリティを行っている施設が多いものと思われる。これらの3つのモダリティはそれぞれ、病変のX線吸収の差、超音波の反射、造影剤を利用することによる病変の血管新生、血管透過性亢進という異なる原理を有するために、相補的に利用することが可能である。ここでは超音波検査を行う上で知っておきたいMRI診断について整理してみよう。画像診断においては、原発巣の評価として質的診断、拡がり診断が重要なことは言うまでもない。MRIは、3D画像としてより立体的に全体像を捕らえることができるという大きなメリットを有する。乳管内成分の検出の感度は超音波よりMRIのほうが良好であるが、しかしMRIでは検出できず超音波で検出可能な乳管内成分もあり、それぞれを効率よく組み合わせることが重要である。MRIを行って最初に検出できなかった病変を再検するとUSで検出可能であるということも経験する。2nd look USとして定着しているようであるが、実際に乳房の皮膚の上に病変を反映させる点では、USにかなう検査はなく、2nd look USで検出された病変をUSガイド下にアプローチしたり、手術範囲を皮膚の上に描いたりする上でも、MRI所見を頭においたUS検査がより重要となってきているものと考えられる。

22-特18 超音波検査で見逃しやすい病変について〜他の画像検査を活用してA〜

安田 秀光

国立国際医療研究センター 外科

乳房病変の診断には、一般的にMMG,US,CT,MRIなどがある。USは小病変の描出に優れているが、低エコー域を伴わない微細石灰化病変や構築の乱れを主体とする病変の描出は苦手である。多発病変をUSの情報のみで全体像を把握するのは困難である。MMGで構築の乱れ;放射状瘢痕、放射状瘢痕に随伴した乳管内優位の浸潤癌。MMGで微細石灰化病変;USで2Dドプラが有効だったDCIS、invasive micropapillary CaMRIで多発病変;USで多発小嚢胞像を伴う乳管内優位の浸潤癌 超音波像のみでは確診しにくい、構築の乱れ、点状高エコー、多発小嚢胞像は、他の画像診断を参照し、解剖的な位置を把握することが重要である。

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特別企画【健診】That's けんしん

座長:小島 正久(関東中央病院健康管理科)
座長:中島 美智子(埼玉医科大学総合診療内科)

22-特19 カテゴリー分類を踏まえた肝胆膵領域の病変の所見のとり方

岡庭 信司

飯田市立病院 消化器内科

 肝胆膵領域の病変の所見のとり方につき、現在日本消化器がん検診学会の超音波部会ワーキンググループにて作成中のカテゴリー分類を踏まえて解説する。カテゴリー分類は、1:異常なし、2:明らかな良性病変、3:良悪性の判定困難な病変あるいは悪性病変の存在を疑う間接所見および高危険群、4:悪性の可能性の高い病変、5:明らかな悪性病変の5つに分類される。 今回はカテゴリー3に分類されている下記の病変をとりあげ、カテゴリー2・4・5との鑑別を念頭においた所見のとり方を解説する。
・嚢胞性腫瘤(肝・膵):充実部分(嚢胞内結節・壁肥厚・隔壁肥厚)の有無
・隆起あるいは腫瘤像(胆):有茎/無茎・大きさ・点状高エコー・小嚢胞構造やコメット様エコーの有無
・壁肥厚(胆):層構造の性状・小嚢胞構造やコメット様エコーの有無
・管腔拡張(胆・膵):計測法・形状
・高危険群(肝・膵):慢性肝疾患像・膵管拡張・嚢胞

22-特20 腹部超音波スクリーニングで見つかるその他の病変について

関口 隆三

栃木県立がんセンター 画像診断部

 腹部超音波検診で一般に観察範囲に含まれる臓器は、肝臓、胆嚢、膵臓、脾臓、そして腎臓、傍大動脈領域だと思います。本講演では、その他の病変−腎臓の病変を中心に解説します。 腹部超音波検診で、最もよく見つかる悪性疾患は腎がんです。一般に等〜高エコーを呈し、血流に富む腫瘍です。高エコーを呈する場合、腎血管筋脂肪腫(AML)との鑑別が問題となります。また、嚢胞成分の目立つ嚢胞性腎細胞癌という腎がんがあります。これは腎多房性嚢胞と類似する腎がんですが、嚢胞性腎細胞癌は嚢胞壁の厚みに不揃いがあることや、嚢胞成分が多発性でなく多房性であることが鑑別のポイントとなります。 ところで皆さんは、どれくらいの頻度で馬蹄腎に出会いますか?(出会っていますか?)馬蹄腎の頻度は400−800人に1人と言われています。腎下極までの観察が不充分ですと、この馬蹄腎が見落とされてしまいます。1000人観察しても馬蹄腎に出会っていない人は、腎臓の観察が不充分である可能性があります。講演では腎の観察のポイントについても触れたいと思います。

22-特21 検査困難例の走査方法について

山田 清勝

公立学校共済組合 関東中央病院 検査科

 スクリーニングにおける腹部超音波検査をしていて重要なことは、一般的に見やすいとされる人でも観察がしにくく病変が見落とされやすい部分があることを把握することです。ましてや、検査困難とされる肥満者などでは、観察できない部分が増え見落としが起こりやすくなる事をまず認識することが大切である。このことをしっかり認識し観察ができない部位を少なくしようと対策を考慮すればよいのである。また、スクリーニング検査ではむやみに検査時間をかけることを避けなければならず効率も重要である。
 以上のことから、効率の観点からはじめに右肋骨弓下走査で中肝静脈断面を描出し、観察しやすい人なのかどうかを把握してから検査を進めていくようにしている。つまりこの時点で、観察不十分の患者には基本的体位である仰臥位をあきらめ左側臥位などでの観察としている。あとは個々の対処にはなるが、こまめな装置条件設定・プローブ走査の工夫・微妙な呼吸調整などを組み合わせて見落としを少なくするようにしている。

22-特22 描出不良例への対応

仲野 浩

埼玉医科大学病院 健康管理センター

 上腹部超音波検査では、誰でも簡単に見える訳ではなく、ピットホールと呼ばれる描出不良部位が存在し、これを認識しながら検査することが大切である。一方、極端な肥満体を始め、ガスの多い方、痩せ過ぎている方など描出困難者が存在し、この克服には、適切な体位と呼吸調節、探触子の圧迫と傾けによるガスの除去、装置設定などに注意し、丹念に走査し、少しでも多くの部分を見ようと努力する事により、完全な検査ではないまでも、ほとんどの方には対応できる。しかしなにをしても満足に描出できない方もおり、この時はどこが見え、どこが見えなかったのかを具体的に読影医に報告し、また受診者にまで伝える事が望ましい。 日々の検査で技術と知識を研鑽する事が大切ある。「こんな難しい検査でも何処かの誰かは、涼しい顔で検査しているだろうな。」こんな事を考えながら日々の検査を行っている。

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特別企画【消化器】「フィルムリーディングフォーラム again @お台場2010」〜ここまでわかる腹部超音波検査〜読影のポイントと撮影のポイント〜

座長:森 秀明(杏林大学医学部 第3内科)
座長:小川 眞広(駿河台日本大学病院 内科)
座長:中島 美智子(埼玉医科大学 総合診療内科)

22-特23 「フィルムリーディングフォーラム again @ お台場2010」〜ここまでわかる腹部超音波検査〜読影のポイントと撮影のポイント〜

森 秀明1、小川 眞広2、中島 美智子3

1杏林大学医学部 第3内科、2駿河台日本大学病院 内科、3埼玉医科大学 総合診療内科

本セッションは第19回学術集会で初めて採用されて以来、毎回開催され、関東甲信越地方会の定番企画になっている。この間、参加者の皆様から毎回医師および技師の各フィルムリーダーの先生方からすばらしい読影法を学ぶことができ、大変勉強になるとのご意見を多数頂戴した。また多くの来場者のご参加をいただき、会の終了後にはぜひもう一度開催してほしいとのご意見を多数頂いた。その後、プログラム委員の先生方とも検討を重ね、今回の学術集会でも開催することになった。昨年と同様に豊富な症例のご経験のある下記の4施設に症例のご呈示をお願いし、提示された症例の超音波像について、各フィルムリーダーの先生方から症例の超音波画像の読影と考えられる疾患や鑑別すべき疾患、画像の描出のコツなどのコメントを頂きたいと思う。またディスカッションの最後には、症例提示施設の先生方に提示された症例の解説(超音波検査以外の画像所見も含めた診断のポイントや最終診断名およびその疾患のまとめ)をしていただく予定である。さらに昨年同様コメンテーターとして万代先生にもご参加いただき、参加者の皆様方の明日からの診療や検査の手助けになるような企画になるようにできれば幸いである。ぜひ座長一同皆様と会場でお会いできることを楽しみにしております。
症例提示:今井康晴先生(東京医科大学消化器内科)
岡庭信司先生(飯田市立病院消化器内科)
斎藤明子先生(東京女子医科大学消化器病センター消化器内科)
水口安則先生(国立がん研究センター中央病院放射線診断科)
コメンテーター:万代恭嗣先生(社会保険中央総合病院外科)
フィルムリーダー:【医師】
住野泰清先生(東邦大学医療センター大森病院消化器内科)
関口隆三先生(栃木県立がんセンター画像診断部)
竹内和男先生(虎の門病院消化器科)
藤本武利先生(平塚胃腸病院外科)
【技師】
浅野幸宏先生(成田赤十字病院検査部)
河本敦夫先生(東京医科大学放射線診断部)
関根智紀先生(国保旭中央病院超音波検査室)
鶴岡尚志先生(国家公務員共済組合連合会三宿病院診療技術部)

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特別企画【循環器】心不全治療に役立つ心エコー図のとり方

座長:岩永 史郎(慶應義塾大学医学部 循環器内科)
座長:川岸 哲也(東芝メディカルシステムズ株式会社 超音波開発部)

22-特24 心不全治療に役立つ心エコー図のとり方:Systolic Heart Failure

小板橋 俊美、猪又 孝元、前川 恵美、柳澤 智義、水谷 知泰、渡辺 一郎、竹内 一郎、和泉 徹

北里大学 循環器内科学

心不全とは、ポンプ失調により臓器の酸素需要量に見合うだけの血液量を拍出できず、肺または体静脈系にうっ血をきたした病態をさす。心不全の病態や原因疾患は多岐にわたり、治療方針も大きく異なる。特に急性期には、重症度や病態は刻々と変化する。漫然と同じ治療を続けることで病態の悪化を招くこともあり、リアルタイムの病態にあわせた治療が必要である。また、心不全は進行性であり、慢性期にも定期的な評価を要する。器質的病変の検出、収縮拡張を含めた心機能及び血行動態の評価に優れている心エコー図は、いつでもどこでも何度でも施行でき、心不全治療には不可欠である。一方で、心不全症状は心機能に必ずしも連動せず、循環系をとりまく諸条件によっても変化する。心不全の病態を把握するには、心エコー図所見のみならず、身体所見を含めた他の所見もあわせて判断する必要がある。心不全を診ていく過程での心エコー図の有効な使い方について述べる。

22-特25 心不全治療に役立つ心エコー図のとり方:Diastolic Heart Failure

岩永 史郎

慶應義塾大学医学部 循環器内科

 有意な弁膜症がなく、ほぼ正常な左室収縮機能にも関わらず心不全となる症例は少なくない。急な血圧上昇に伴う肺水腫はafterload mismatchと呼ばれ、前負荷予備能低下が原因とされる。後負荷増大による拍出減少を代償するには左室が拡張する必要があるが、拡張機能が障害された左室では著明な拡張期圧上昇を生じる。このような拡張機能障害による心不全がdiastolic heart failure(DHF)である。
 しかし、収縮機能が全く正常で拡張不全のみの症例は拘束型心筋症など少数のみであり、高齢、糖尿病、高血圧などに伴う場合は拡張不全に加えて収縮機能もある程度低下している。逆に収縮不全が主体の拡張型心筋症にもうっ血が強い症例と軽い症例があり、拡張機能に差があることを示唆する。収縮不全と拡張不全は併存することが多い。
 この講演では、DHFの病態とその治療に役立つ心エコー図による拡張機能評価方法を解説する。

22-特26 心不全治療に役立つ心エコー図のとり方:Dyssynchrony

古堅 あずさ

東京女子医科大学 循環器内科、東京都立多摩総合医療センター 循環器内科

 近年、心不全の病態評価が様々なモダリティーを用いて詳細に行われるようになった。心不全進展要因の1つに心室同期不全 - ventricular mechanical dyssynchrony - が認識され、その解析に心エコー法は数多く用いられた。mechanidal dyssynchronyを把握することは、病態評価ならびに心臓再同期療法(CRT)の患者選択において重要である。
 この10年間、多くのdyssynchrony指標が提唱されてきた。近年は、従来の心エコー法ならびに組織ドプラを用いたdyssynchrony指標から、speckle tracking imaging (STI)、3Dエコーなどの新手法を用いた指標へとシフトしてきている。それらの充実とともに、同期不全によるエネルギーの非効率性が再認識され、mechanical dyssynchronyの真髄に迫りつつある。これらを表現しうる指標が臨床の場では重要視されることとなるであろう。
 現在、CRTの標準的適応はQRS幅の広い重症心不全であるが、軽症心不全やQRSのそれほど広くない心不全への適応拡大も検討されている。これらの患者選択においてはmechanical dyssynchronyの評価がより重要となり、心エコーの寄与が大きくなると考えられる。
 本企画では心エコーを用いたmechanical dyssynchronyの評価を中心に、CRTの患者選択およびフォローアップまで、実臨床での活用について解説したい。

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特別企画【泌尿器】前立腺診断の新たなる展開

座長:西沢 理(信州大学医学部泌尿器科)
座長:石塚 修(信州大学医学部泌尿器科)
座長:東 隆(日立製作所中央研究所ライフサイエンス研究センター)

22-特27 系統的前立腺生検の画像的評価

石川 雅邦、石塚 修、西沢 理

信州大学 医学部泌尿器科学教室

【目的・方法】前立腺癌を診断する手段として、一般的には経直腸超音波ガイド下に10カ所の系統的前立腺生検を行われることが多い。生検部位は左右前立腺辺縁領域3カ所と移行領域2カ所で行われる。今回、われわれは、この手法がどの程度の系統性(均一性)のある生検であるのか、また、どの程度の癌が検出できるのかを、エコー画像、前立腺全摘病理標本マッピング写真をもとに、3Dソフトを用いて3次元的に評価したので報告する。【結果・考察】前立腺全摘標本12例に対して、癌の部位を3次元的にマッピングし、この3D画像に経直腸超音波ガイド下の10カ所生検を画像シミュレーションしてみると、5%の確率で癌が検出できないことが判明した。その原因としては、系統的生検とはいえ、生検が均一に行われていないなどの可能性が示唆された。その解決策のひとつとして、生検時に超音波で3D画像を構成して生検する方法を行ったので、その実際の画像を紹介する。

22-特28 前立腺癌診断の向上を目指して―Real-time tissue ElastographyとReal-time virtual sonography―

宮川 友明1、堤 雅一2、石川 悟2、松村 剛3、近藤 正尚3、三竹 毅3

1筑波学園病院  、2日立総合病院  、3日立メディコ USシステム本部

前立腺癌の画像診断には経直腸超音波(TRUS)、核磁気共鳴画像(MRI)が用いられるが、確定診断にはランダム生検が必要である。前立腺癌診断向上を目指し我々が取り組んでいる手法について報告する。 Real-time tissue Elastographyは、生体組織の硬さの違いを画像化し診断へ応用した技術である。超音波プローベで生体組織を圧迫した際の歪みの違いを画像化している。2004年より開始し、フリーハンド法においてTRUSと併用することで約90%の感度を得たが、手技の取得が問題となった。その克服のためにバルーンによる圧迫法、Real-time balloon inflation Elastography(RBIE)を開発し、手技が容易となり、同等の感度を得ている。 Real-time virtual sonography(RVS)は、画像データと超音波画像を同一画面上で同期させることを可能とした技術である。2007年より現在まで、MRIで前立腺癌を疑われた、前立腺再生検患者100例に対し、RVSを用いた狙撃生検を行い、癌陽性率60%という良好な結果を得ている。 代表的な症例の画像を提示し、今後の展望について述べる。

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特別企画【産婦人科】胎児付属物の見方

座長:石本 人士(東海大学医学部専門診療学系産婦人科 総合周産期母子医療センター)
座長:望月 剛(アロカ株式会社)

22-特29 胎児付属物の見方ー産科疾患からー

市塚 清健

昭和大学病院 産婦人科

 本講演では産科疾患からみた胎盤異常について述べたい。正常胎盤の超音波像について解説したのち、前置胎盤、癒着胎盤、常位胎盤早期剥離について述べる。以下に内容について記載したので参考にしていただきたい。1)正常胎盤の超音波像:超音波診断装置の進歩により胎盤内の血管や絨毛間腔内の血流も描出可能となってきた。カラードプラでは絨毛間腔の血流も観察可能である。同血流拍動をパルスドプラで観察すると母体拍動と同期していることで絨毛血流と区別できる。2)前置胎盤:前置胎盤の超音波断層法による診断は、組織学的内子宮口を覆う胎盤の辺縁から同子宮口までの最短距離が2cm以上のものを全前置胎盤、上記距離が2cm未満のものを部分前置胎盤、同距離がほぼ0の状態を辺縁前置胎盤に、それぞれ相当させると新たに定義された。3)癒着胎盤の診断:癒着胎盤の分娩前診断は不可能であるが、それを示唆する超音波像としてはclear zoneの消失、placental lacunae、sponge like像などが挙げられる。4)常位胎盤早期剥離:胎盤後血腫の存在をもって診断されるが、血腫の超音波像は時間経過とともにエコー輝度が変化するため注意が必要である。これまでは急性期では後血腫と胎盤実質の区別が難しく両者をあわせて「胎盤の肥厚」と捉えていたが、最近の高分解能な診断装置では急性期でも両者の鑑別がつくことが多い。 

22-特30 胎児付属物の見方〜胎児疾患との関連から

林 聡1、杉林 里佳1、左合 治彦1、名取 道也2

1国立成育医療研究センター 周産期診療部胎児診療科、2国立成育医療研究センター

胎児超音波検査による胎児の詳細な観察は胎児出生前診断において重要であることは言うまでもないが、胎児の観察だけでは確定診断に至らず、胎児付属物の超音波画像所見から胎児確定診断に有用な手がかりが得られることも少なくない。そのため胎児出生前診断を行う際には胎児の観察のみならず胎児付属物の観察も重要であることを心得ておく必要がある。胎児付属物として胎盤、臍帯、羊水があるが、胎盤の観察のポイントは胎盤の厚みや胎盤内部エコー像、臍帯は臍帯嚢胞の有無、臍帯動静脈の観察(数、捻転)、羊水は羊水最大深度などの超音波画像所見から胎児疾患と関連づけてまとめてみたい。

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特別企画【基礎技術研究会共催セッション】超音波による微小気泡の制御と治療応用

座長:秋山 いわき(湘南工科大学工学部電気電子工学科)
座長:工藤 信樹(北海道大学 大学院情報科学研究科)

22-特31 凝集体形成を利用した微小気泡の生体内超音波制御法の検討

桝田 晃司1、中元 隆介1、江田 廉1、渡會 展之1、宮本 義孝2、千葉 敏雄3

1東京農工大学 大学院生物システム応用科学府、2名古屋大学医学部、3国立成育医療センター

我々はこれまで、血流中の微小気泡の動態を制御するため、直線状やY字分岐といった単純な形状の人工血管に進行波を作用させ、直線部での捕捉や分岐部での誘導といった制御に必要な音波のパラメータを検討してきた。しかし気泡の直径が小さくなるに従い、気泡を押し出す力である放射力が直径の2乗に反比例して小さくなるため、血球程度の気泡では制御効率に限界があった。そのため、気泡が凝集体を形成する条件の超音波を、制御対象箇所の上流部分で新たに照射することによって、気泡を凝集体ごと制御することに成功した。これは気泡の直径が見かけ上大きくなったことに相当する効果が得られた結果であると考えられる。写真はY字分岐流路において、微小気泡が凝集体を形成しつつ片方の流路へ押し出されている様子であり、同様の比較実験の結果、凝集体形成の有効性を確認した。これより、生体内で気泡を能動的に制御する際の音波の照射方法が示唆された。

22-特32 気泡キャビテーションにより生じるゲル流路内面の微小窪みの評価

山越 芳樹、三輪 空司

群馬大学大学院工学研究科

微小気泡を薬液搬送媒体に用いる超音波支援のドラッグデリバリシステムでは、強力超音波により気泡を破壊したときにできるマイクロジェット流などのキャビテーション効果を有効に活用して生体細胞内への薬液導入効率を向上させることが重要になる。我々は強力超音波を照射する直前に、気泡を破壊しないが気泡に音響放射圧を与えるような音圧を持つポンピング超音波と呼ぶ超音波を用いることで、キャビテーション効果を増強させる手法について検討してきた。この方法では気泡のダイナミクスの変化に応じて超音波の照射シーケンスを最適化していくことが重要になる。今回、音響特性と弾性が生体組織に近く光学的に透明で外部から流路内面の様子が観察しやすいN-イソプロピルアクリルアミド(NIPA)ゲルを用いて生体模擬流路を形成し、音圧一定の条件の下で流路内の流速や気泡密度を変えてキャビテーションにより形成される微小窪みを評価したので報告する。

22-特33 ソノポレーションの超高速・実時間・長時間観察

工藤信樹

北海道大学 大学院情報科学研究科

超音波造影剤として広く診断に使われている微小気泡は,治療の分野においても盛んな応用が検討されるようになってきている.超音波照射により細胞膜の透過性を一時的に向上させ,通常は入らない物質を細胞内に取り込むソノポレーションにおいても,微小気泡が効率の向上に大きく寄与することが広く知られている.しかし,微小気泡が超音波照射下でどのようなふるまいを生じているのか,そのふるまいが細胞にどのような機序で作用を与えているのか,さらには,作用を受けた細胞がどのように修復されるのかなど,未だ明らかになっていない点も多い.本発表では,ソノポレーションにおける気泡や細胞のふるまいを,観測の時間幅が大きく異なる3つの観察法,超高速度撮影法,実時間撮影法,長時間撮影法で観察し,ソノポレーションの実際を明らかにした結果を報告する.

22-特34 超音波とマイクロバブルによる非侵襲治療応用

葭 仲潔1、妹尾 直彦1、西原輝幸2、岡本 旭生2、一柳 満久3、鈴木 潤4、宮田哲郎4、高木 周2、松本 洋一郎2

1東京大学大学院工学系研究科バイオエンジニアリング専攻、2東京大学大学院工学系研究科機械工学専攻、3東京大学IML、4東京大学医学部血管外科

我々の研究室では超音波の非侵襲治療への応用に関して研究開発を行っている.超音波による治療は,強力集束超音波(High Intensity Focused Ultrasound, HIFU)が用いられる.HIFU は球面型の超音波振動子を用いて超音波を集束させることにより,周りの体組織に損傷を与えることなく,体内の狭い領域にエネルギーを集中させるというものである.具体例としては,超音波による発熱作用を用いる悪性腫瘍の治療、超音波と血管造影用マイクロバブルを用いた超音波遺伝子導入法,発生するキャビテーション気泡の崩壊圧を利用する結石破砕術などが挙げられる.本講演ではこれら超音波の医療応用を中心に,静脈瘤治療への応用や、本研究分野での最新のトピックスを紹介する.

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講習会【基礎】知っておくべき基礎の基礎

座長:遠藤 信行(神奈川大学工学部 電子情報フロンティア学科)

22-特35 

地挽 隆夫

GEヘルスケア・ジャパン株式会社 超音波研究開発部

超音波の周波数 f と、その周期 T との間には f = 1 / T の関係がある。この式は、単に周波数と周期の換算に使われるだけでなく、周波数の世界と時間の世界とが双対の関係にあることを総括している重要な式である。周波数帯域とパルス幅の関係然り、パルス繰返し周波数と診断距離の関係然りである。
講習会当日は、臨床側の方々に公式の暗記に頼らない基礎の感覚を身に付けていただけるよう、超音波診断装置の動作の基礎に立ち戻って、関連事項の解説を行っていく。

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講習会【産婦人科】一度見たら忘れない症例、知らないと描出できない症例

座長:吉田 幸洋(順天堂浦安病院 産婦人科)

22-特36 

坂井 昌人

東京女子医科大学八千代医療センター 母性胎児科

 先天性胎児異常の超音波診断では,疾患に現れる超音波像のパターンを知っていると有用である.例えば,胎児の脳室拡大が認められたら,Chiari奇形IIのように脊髄髄膜瘤を伴っていることがあるので,頭部だけを見ていては見逃すおそれがある.右胸心を見つけたら,心尖部が右を向いているのか左なのかを見る必要がある.右ならいわゆるmirror imageの全内蔵逆位なのか,一部が逆位の内蔵錯位症候群(無脾症,多脾症など)なのか.左なら胸腔内SOLによる心臓の圧排偏位が多く,先天性横隔膜ヘルニア,CCAM,胸水のためなどの鑑別になる.その他知っていれば診療に役立つ症例を示す.一度見たら忘れない症例を探すと珍しい症例の羅列となるが,知っていれば役に立つこともある.VBAC時に子宮破裂となったときの子宮壁の超音波像,帝王切開後の偽膜性腸炎の腸管浮腫像,胎児全前脳胞症,無頭蓋症,脳瘤,胎児の顔面腫瘤(Proteus症候群)などを示す.

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講習会【消化器(肝臓)】一度見たら忘れない症例、知らないと描出できない症例

座長:森 秀明(杏林大学医学部 第3内科)

22-特37 肝良性腫瘤およびびまん性肝疾患

水口 安則

国立がん研究センター中央病院 放射線診断科

「百聞は一見にしかず」という有名な諺がある。これをもじって、「百聞は一診にしかず」。与えられた肝良性腫瘤およびびまん性肝疾患の分野においても、まさにこの諺に当てはまる疾患が存在する。すなわち、比較的まれな疾患であっても、一度経験すれば診断の容易な疾患であり、逆に言えば、知らないとその特徴的所見を描出できない、あるいは診断できない疾患である。良性腫瘤では、前腸嚢胞、出血性嚢胞、血管筋脂肪腫、限局性結節性過形成など、びまん性疾患では、さまざまな限局性脂肪肝(多発性限局性脂肪肝、Sappey’s vein還流域の限局性脂肪肝を含む)、日本住血吸虫症、von Meyenburg complexなどが挙げられる。ほとんどの場合、これらの病変は他のモダリティでは容易に診断できないことが多い。それだけに、超音波検査で的確に診断する必要がある。 肝良性疾患における「百聞は一診にしかず」症例を時間の許す限り提示し解説する。

22-特38 悪性腫瘍

飯田 和成

東邦大学医療センター大森病院 消化器内科

腹部超音波検査は、経験の浅い術者でも施行できる間口の広い検査である。しかし奥が深く質的診断にも耐えうる検査でもある。間口が広いと言うことは、侵襲がほとんど無い検査であるが、術者の技量・走査方法により見落としが生じやすく、また病変を描出出来たとしても説得性に欠ける画像となる可能性があり注意を要する。超音波検査は、検査技師が所見を記入する数少ない検査であり、検査技師の技量も重要である。近年造影超音波検査による肝腫瘍の診断が確立され、その有用性が報告されているが、あくまでも基本は組織のインピーダンスを示しているBモード画像である。Bモード画像は、他の画像診断の単純画像よりかなり情報量が多くこれを走査しながら瞬時に処理しなければならないが、微細な所見も拾い上げられる。この講演では、あくまでも肝悪性腫瘍のどの様なBモード画像を拾い上げる必要があり、その特徴的なパターンを示して、それが診断にどの様に結びついて行くかを主に示したいと思う

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講習会【体表(甲状腺)】一度見たら忘れない症例、知らないと描出できない症例

座長:貴田岡 正史(公立昭和病院 内分泌・代謝内科)

22-特39 

志村 浩己

山梨大学 医学部 第三内科

甲状腺は,約20g足らずの小さい臓器であるが,非常に高頻度に多彩な疾患を呈する。その診断における超音波診断の重要性は,超音波診断装置の進歩に比例して高まっており,現在では日常臨床のみならず,検診でも利用されるようになっている。今回の講習会では,一度見たら忘れない症例として,典型的な超音波像を呈するびまん性甲状腺疾患としてバセドウ病,橋本病等を,また,結節性甲状腺疾患では,日常臨床で遭遇する機会の多い亜急性甲状腺炎,腺腫様甲状腺腫,乳頭癌に加え,未分化癌,悪性リンパ腫の典型例を示す。一方,知らないと描出できない症例として,無痛性甲状腺炎,ろ胞癌,のう胞内乳頭癌,びまん性硬化型乳頭癌,髄様癌等を提示したい。

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講習会【循環器】一度見たら忘れない症例、知らないと描出できない症例

座長:戸出 浩之(群馬県立心臓血管センター技術部)

22-特40 

中島 啓喜

三井記念病院 循環器内科

超音波診断の精度の向上には、患者背景や他の画像診断をはじめとした検査所見の把握、質の高い撮影技術が必須です。しかし、単にその臓器をありのままに撮影するのみでは診断に到達しない事をしばしば経験します。疑診し鑑別診断をあげ、その検証を行うというステップを踏み、初めて的確な診断に到達し得る事があります。これには、臓器の生理機能の理解、患者が置かれている病態の推測、鑑別診断に挙げられた疾患の特徴の熟知などが要求されます。本講演では、比較的遭遇する事がまれではありますが印象深い症例、超音波所見と病理所見の対比が出来た症例を提示し、日常業務の一助となることを目的としております。前者として、BWG症候群(左冠動脈肺動脈起始症)、大動脈弁下狭窄例、後者として乳頭状弾性線維腫、ランブル疣贅を提示予定です。

22-特41 

原田 昌彦

東邦大学医療センター大森病院 臨床生理機能検査部

心エコー検査は、今や、循環器診療には欠かせない画像診断の一つである。その際、検査の目的を十分に把握した上で検査を進めて行くことが重要である。固定観念により1点のみに集中してしまうと、他の所見の見落としにも繋がるので、全体像を観察することも大切である。画像診断全般において共通して言えることは、経験を重ねることにより、その診断能力は向上する。しかし、一度、経験したこと(見たこと)があれば、診断の近道に繋がることは、日常診療でしばしば実感することである。特に、心エコー検査では、記憶に残る印象深い画像が多いので、この経験「一度見たことがあれば」は日常臨床において大変心強い助っ人になってくれることであろう。本講演では、それほど頻度的には多くないが、一度見ておけば確実に診断できる症例やある程度その疾患の知識や描出法を知らないと見逃してしまう症例の中から、収縮性心膜炎と心筋梗塞の合併症を中心に、より多くのエコー動画像を提示しながら解説する予定である。

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講習会【消化器(胆・膵)】一度見たら忘れない症例、知らないと描出できない症例

座長:松谷 正一(千葉県立保健医療大学健康科学部看護学科)

22-特42 胆道

唐澤 英偉

国際医療福祉大学熱海病院 消化器内科

胆道の画像診断は、超音波・CT・MRI(MRCP)、直接造影法(PTC・ERCP)などの各種検査法を用いて行われている。特に、胆嚢胆石や腺筋腫症、癌において、超音波は非侵襲的で診断能が高い。また、黄疸の鑑別でも閉塞性か非閉塞性かの病態の診断にも役立つ。しかし、総胆管下部の胆石には、MRCPの有用性が高い。石灰化胆石の診断では単純CTが優れている。胆管狭窄を伴う胆管癌の診断ではMDCTが活躍する。超音波は、これらの検査の中で最初に施行されるべき検査法である。造影剤のアレルギーや、X線被爆の心配のない超音波は優れた検査法であり、腸管ガスなどによる限界を考慮しても、胆道の聴診器として、まず、最初にマスターすべき検査法である。講演では、胆石、胆嚢炎、ポリープ、腺筋腫症、癌(早期癌・進行癌)などの超音波像を述べ、カラードプラ、造影超音波の有用性について述べる予定である。

22-特43 膵臓

関口 隆三

栃木県立がんセンター 画像診断部

『あのとき見た症例に似ている!』『前にも同じような症例があった!』という経験、記憶は大切です。が、いきなり直感的に診断を下すことは、避けたいものです。もし頭に診断名が浮かんだような場合は、その診断に矛盾する所見は無いか−病変が直接描出できるような場合はその直接所見、また病変に付随して見られる間接所見、等を総合して診断を下す習慣をつけるようにしたいものです。本講習会では、IgG4 関連疾患として注目されている「自己免疫性膵炎」と代表的嚢胞性膵腫瘍である「漿液性嚢胞腫瘍」を中心に、超音波所見とその観察のポイント、鑑別すべき疾患とそれらの超音波像との違い、他の画像所見と病理組織所見など、超音波検査者に知っておいていただきたい内容について解説します。

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