
優秀演題|消化器:びまん性肝疾患|消化器:肝血流|消化器:肝腫瘤(1)|
消化器:上部消化管|消化器:肝腫瘤(2)|
消化器:下部消化管|消化器:膵|消化器:胆道|
消化器:脾・腹膜・その他|循環器(1)|循環器(2)|脈管|体表:甲状腺|
体表:乳腺|泌尿器|産婦人科(1)|産婦人科(2)|基礎(1)|基礎(2)|
座長:川内 章裕(池袋病院・昭和大学一般消化器外科)
座長:斎藤 明子(東京女子医科大学消化器病センター消化器内科)
座長:遠藤 信行(神奈川大学工学部電子情報フロンティア学科)
優01 散乱体密度を指標としたびまん性肝疾患の線維化評価法の提案
1千葉大学 大学院工学研究科、2東京工業大学 大学院理工学研究科機械制御システム専攻、3千葉大学 フロンティアメディカル工学研究開発センター
肝臓の組織性状診断手法のひとつとして,肝エコー信号の振幅情報を統計解析することによって線維化の程度を定量評価する試みがある。我々は,正常肝のエコー信号の振幅確率密度分布がレイリー分布に近似でき,硬変した肝臓では異なる特性を呈することに着目し, Q-Q確率プロットをベースとした新たな信号解析・評価法を提案する。線維化が進行する様子を模した肝臓シミュレーションデータを作成し,提案する信号解析法の評価パラメータを導出したところ,解析ROI中に門脈などが混在する場合と線維が混在する場合では解析結果に顕著が差が現れ,それぞれを区別することが可能であった。その結果をもとに複数の臨床データに適用したところ,それぞれの肝臓中で高散乱体密度であると推定される部位が特定された。
優02 肩関節超音波所見と手術所見の比較検討
1日本鋼管病院 生理検査室、2日本鋼管病院 整形外科
〔はじめに〕近年、整形領域の超音波検査が盛んに行われている。当院においても腱板損傷などが疑われた症例に対し検査を開始した。今回、肩関節の超音波像と手術所見について比較検討を行った。〔対象・方法〕対象は2009年9月から2010年4月に、肩関節超音波検査及び手術を施行した25症例、26肩関節である。装置はALOKA社製SSD-5500、探触子10MHzリニア型プローブを使用した。〔結果〕腱板の連続性消失、内部エコーの変化、境界エコーの平坦化を呈した症例は、手術にて腱板断裂の所見を認めた。一方、腱板に内部エコーの変化などを指摘しても、手術では腱板に所見を認めない症例もあった。〔考察〕超音波検査にて、腱板内部エコーの変化を指摘しても手術では異常を認めない場合、表面から見ただけではわからない腱板内部のみの損傷なども考えられる。今後症例数を重ね、手術所見だけでなくMRIなどと検討を行う予定である。
優03 血管内異物の1例
1東邦大学医療センター大橋病院 臨床生理機能検査部、2同 心臓血管外科
症例は70歳代、男性。閉塞性動脈硬化症にて、他院にて経皮的末梢血管治療施行。止血時に止血デバイスであるアンギオシールを使用したが、止血できずに、脱落する。カテーテルにて回収を試みるも成功せず、当院心臓血管外科に紹介・転院となった。来院時、左膝窩動脈以下の脈拍は触知せず、下肢に違和感・痺れ出現し急性動脈閉塞が疑われた。緊急下肢動脈エコーでは、左浅大腿動脈分岐部より約4cm末梢側に異物の先端を認め、その中枢側に線状の高エコー像を認めた。先端部分は血管内腔をかなり塞いでいる状態であったが完全閉塞はしていなかった。末梢側では血流シグナルを認め、パルスドプラ波形ではpost stenotic patternを呈していた。異物の存在部位を体表へマーキング後、緊急手術となった。さらに、オペ室にて血管露出後、血管に直接プローブをあて異物の正確な位置を確認し、必要最低限の血管切開にて異物回収に成功した。
優04 Flash Replenishment sequenceによるC型慢性肝疾患の肝線維化評価の試み
1東邦大学医療センター大森病院 消化器内科、2東邦大学医療センター大森病院 臨床生理機能検査部
<目的>今回我々はSonazoid造影USを用いたFlash Replenishment sequence(FRS)の手法で、C型慢性肝疾患の肝線維化の評価が可能か否かを明らかにする。<対象および方法>対象は2007年3月〜2010年6月までに当院で肝生検を行いかつ、その直前にSonazoid造影USを施行しえたC型慢性肝疾患64例。常用飲酒症例、画像的に判断できる巨大門脈側副血行路を有する症例は対象から除外した。推奨量のSonazoidを静注し、肝右葉S5肋間走査で投与10分後の後血管相を観察した。画像サイズは肝右葉が全て描出できるように調整し、focus pointは6cmに設定した。Mechanical indexを1.6に設定し、FRSでbubbleを崩壊させ、肝表面からの崩壊距離を測定した。次に超音波検査施行後にbubble崩壊距離と肝生検所見(F因子)を対比した。<成績>bubble崩壊距離は線維化の進行と共に増加傾向を示した。<結論>この手法はC型慢性肝疾患の線維化の進行度合いの評価に役立つ可能性が示唆された。
優05 小児突発性腸重積における超音波所見の検討
1聖マリアンナ医科大学病院 臨床検査部・超音波センター、2聖マリアンナ医科大学病院 臨床検査医学講座
[目的]小児突発性腸重積にて、超音波上target sign(TS)を認め腸重積と診断しても、高圧浣腸時に腸重積を認めない例が存在する。その病態を明らかにするべく、超音波検査所見を検討する。[対象]年齢3歳以下、2001年〜2010年に超音波検査を施行し、TSを認めた36例を対象とした。[方法]高圧浣腸時の造影所見又は手術で、腸重積と診断された例(腸重積有所見群)と、高圧浣腸時に腸重積の所見を認めなかった例(腸重積無所見群)に分類し、TSの縦径横径,その縦横比,内筒漿膜から外筒漿膜までの最大厚,内筒径,外筒と内筒の径の比の5項目を検討した。[結果]腸重積有所見群は腸重積無所見群に比し、有意にTSの縦径横径が大きく、内筒漿膜から外筒漿膜までの径も厚かった。[考察]その原因として、重積の程度が強い場合、腸管浮腫や周囲組織の巻き込みを反映しているためと考えられた。TSの縦径横径、内筒漿膜から外筒漿膜までの最大厚は腸重積の所見として有用である。
優06 脚気心の3例
1筑波大学附属病院 循環器内科、2筑波大学 人間総合科学研究科臨床医学系循環器内科、3筑波大学附属病院 検査部
脚気はビタミンB1欠乏症の一つで、ビタミンB1(チアミン)の欠乏によって高拍出性心不全と末梢神経障害をきたす疾患である。今回我々は肺高血圧・右心不全で発症した脚気心の3例を報告する。症例は、24歳、84歳、44歳の男性。いずれも入院時に代謝性アシドーシスと多臓器障害を伴う心不全を呈していた。心臓超音波検査では、3例とも左室収縮能は正常範囲、軽度左室肥大あり、壁運動異常なし。心室中隔の扁平化を認め、中等度の肺高血圧を認めた。臨床所見から脚気心を疑い、ビタミンB1を投与したところ、いずれの症例も速やかな改善を示した。脚気はビタミンB1の投与なしでは治療し得ず、飽食の時代とされる現代においても脚気を鑑別診断の一つとして考える必要があると考え、特徴的な臨床所見、心臓超音波所見を呈した3例を経験したので報告する。
優07 出生前診断したガレン大静脈瘤の超音波画像所見の検討
1国立成育医療研究センター 周産期診療部、2国立成育医療研究センター 放射線科、3東邦大学医療センター大森病院 放射線科、4国立成育医療研究センター 研究所
2002年3月〜2010年7月に当センターで出生前診断したガレン大静脈瘤症例7例における胎児超音波所見について検討を行った。初診週数は平均妊娠34週3日で、胎児水腫は7例中1例、羊水過多は2例、脳室拡大は3例に見られた。心機能評価としてCTAR、PLI、CCOの計測を行ったところ、各平均値は48.5%、0.477、0.957l/mと心不全徴候を認めた。また、脳室拡大を認めた3例は全て死亡となっていた。2例は出生当日に死亡となった。5例については血管内手術が選択され、生存症例3例、死亡例1例、1例は手術待機中である。生存中の3例全例は、生後1年半の時点で運動障害や発達障害など何らかの症状を呈している。脳室拡大症例での生命予後が不良であることから、心不全徴候だけでなく中枢神経系の所見が重要であると考えられ、胎内での中枢神経機能評価と分娩時期の再検討が必要と思われた。
優08 二分脊椎症児の下部尿路機能障害に対する早期予防的介入療法における超音波検査の役割
信州大学 医学部 泌尿器科
【目的】二分脊椎症児に対し生後早期からの定期的なUS、video-urodynamic study(V-UDS)に基づいて尿路管理を行うことの有用性を明らかにした。【対象と方法】下部尿路機能障害を伴う二分脊椎症児を対象とし、3歳未満から定期的にUS、V-UDSを施行し、「二分脊椎症に伴う下部尿路機能障害の診療ガイドライン」に従って尿路管理を行った群と、その他の群に分類し、5歳から10歳の期間に行われたV-UDSを比較した。V-UDSはUSで異常を認めた時点、もしくは1年ごとに施行した。【結果】V-UDSで危険因子が出現する時点で56%に膀胱のUS所見に変化を認めた。コンプライアンス、膀胱容量、この期間の膀胱拡大術施行数は、群間に有意差を認めた。【結語】自覚症状の評価が困難な小児では、繰り返しの施行が容易な超音波検査は、危険因子の出現の予測、V-UDSの施行時期の判断に有用である。それらの結果に基づく早期予防的介入療法により膀胱蓄尿機能は良好に保たれた。
座長:和久井 紀貴(東邦大学医療センター大森病院消化器内科)
座長:土屋 健伸(神奈川大学工学部電子情報フロンティア学科)
消01 び慢性肝疾患におけるAcoustic Structure Quantification(ASQ) を用いた肝実質の検討
1虎の門病院 分院 臨床検査部、2虎の門病院 肝臓センター、3虎の門病院 消化器内科
【目的】Acoustic Structure Quantification(ASQ)は肝実質スペックルパターンを統計処理した定量的評価法である。今回我々は、びまん性肝疾患におけるASQの有用性を検討した。【対象】対象は各種168例。内訳は正常肝(32例)肝硬変(42例)慢性肝炎(68例)脂肪肝(24例)。【方法】使用機器:Aplio XG(東芝製)、プローブ:コンベックス(PVT-375BT)。右肋間走査にて深度8cmフォーカス4cmで記録し、血管等の構造物を避けフォーカスより浅部でROIを3ヶ所設定しモード値にて解析を行った。【結果】ASQ値は正常肝に比べ、脂肪肝では低値となった。正常肝、慢性肝疾患、肝硬変と線維化が進行すると共にモード値の上昇傾向がみられるも、個人差が大きく、鑑別は困難であった。
消02 脂肪肝における超音波診断の有用性の検討 CTとの比較
1亀田総合病院 超音波検査室、2亀田総合病院 消化器内科
【目的】脂肪肝(以下FL)における超音波検査(以下US)の診断能を検討するため, US所見と胸部・腹部単純CT(以下CT)所見でのFLの程度と臨床検査値を比較した。【対象と方法】2007年9月から 2008年8月のドック受診者6481名中,US所見で脂肪肝が疑われ、同一期間内にCTを施行した306名で脂肪肝の程度を再評価した。CTでは3段階,USでは5段階に分類し,CT,US所見と臨床検査値の相関関係を比較した。【結果】CT上FLが強い程US上のFLが強くなり両者に相関(P<0.001)を認めた。また,CT,US所見とBMI,体脂肪,腹囲,中性脂肪,AST,ALTに相関を認めた(P<0.001〜0.05)。【考察と結語】脂肪肝の評価は肝生検が行われなくなり曖昧になっている。CTは脂肪肝の客観的評価に有用といわれており, 今回我々の検討でもCT所見を指標にしたところUSでの評価も有用と思われた。また,両者とも肥満,脂質代謝・肝機能異常の臨床検査値と相関を認め,生活習慣病の評価の一助になると考えた。
消03 Acoustic Radiation Force Impulseを用いた肝組織硬度測定における測定位置の測定結果に与える影響について
1群馬大学医学部附属病院 核医学科・画像診療部、2群馬大学医学部附属病院 放射線部
目的:ARFIを用いた肝臓組織硬度測定において測定位置が測定値に与える影響を検討する。方法:正常肝の19人について、朝8時の空腹時に、@肝臓外側区、右葉ほぼ中心部で皮膚からの深さ3.5cm(肋間A、肋骨弓下B)および5.5cm(肋間C、肋骨弓下D)の位置で測定した。測定は二人の術者がそれぞれ独立に5回ずつ行い、平均値を採用した。結果:それぞれの位置における測定値は、@1.50+/-0.40 m/s (mean+/-SD)、A1.56+/-0.62、B1.77+/-0.88、C1.17+/-0.34、D1.35+/-0.49であり、深さ5.5cmの位置では3.5cmの位置よりも低い値を呈し(p<0.05)、また測定値のばらつきが少なかった(p<0.01)。外側区における測定値は右葉の測定値よりも高い傾向にあった(p<0.02)。結論:ARFIの測定値は測定位置、特に肝右葉において皮膚からの深さによる影響を受ける。
消04 Acoustic Radiation Force Impulse を用いた肝・脾組織硬度測定における食事の影響についての検討
1群馬大学医学部附属病院 核医学科・画像診療部、2群馬大学医学部附属病院 放射線部
目的:食事がARFIの測定値に与える影響を検討する。方法:正常肝の19人について、朝8時の空腹時および昼食後約30分で、@肝臓外側区、右葉のほぼ中心部で皮膚からの深さA3.5cmまたはB5.5cmの位置、及びC脾臓のほぼ中心部で測定した。測定は、二人の術者が5回ずつ行い、その平均値を採用した。同時に門脈右枝の最大血流速度(Vmax)を測定した。結果:食事によって、Vmaxは14.07+/-5.12 m/s(mean+/-SD)より22.41+/-6.96に増加した(p<0.01)。食前食後のそれぞれの位置におけるARFI測定値は、@1.50+/-0.40 m/s, 1.41+/-0.32、A1.56+/-0.62, 1.51+/-0.58、B1.17+/-0.34, 1.09+/-0.23、C2.31+/-0.55, 2.32+/-0.63であり、いずれの位置でも測定値に変化は認められなかった。結論:食事はARFIを用いた肝臓・脾臓組織硬度測定に影響を及ぼさない。
座長:松谷 正一(千葉県立保健医療大学 健康科学部看護学科)
座長:伊藤 貴司(アロカ株式会社 研究所)
消05 慢性肝疾患における高周波リニアプローブを用いたAdvanced Dynamic Flowによる肝表在付近の血管描出の検討
1虎の門病院分院 臨床検査部、2虎の門病院 肝臓センター、3虎の門病院 消化器科
《目的》高周波リニアプローブは近距離分解能に優れるが装置の進歩によりAdvanced Dynamic Flowを用いた血管の描出能も向上している。そこで、慢性肝疾患における肝表在付近の血管描出に関して検討した。《装置と方法》使用装置はアプリオXG、XV、プローブは高周波リニアプローブ(805AT、704AT)、depth4cm、フォーカス3cm、流速レンジは1.8cm/sec。右肋間走査で施行。対象は正常肝20例、肝硬変14例、脂肪肝18例である。血管描出の程度を描出せず0〜肝表面まで描出3までの4段階に分類。皮下厚2cm以上の症例は除外した。《結果》それぞれの平均値は、正常肝2.1、肝硬変2.8、脂肪肝1.3であった。肝硬変の一部にはP-Vシャント、脂肪肝には脈管の不明瞭化を認めた。《結語》ADFによる肝表在付近の血管描出は慢性肝疾患の鑑別に有用である可能性が考えられた。
消06 難治性腹水の治療戦略に超音波ドプラが極めて有用であった肝血行異常の1例
1千葉大学医学部附属病院 消化器内科、2Virginia commonwealth university Division of gastroenterology and hepatology
超音波ドプラが治療戦略に有用であった難治性腹水の1例を報告する。症例は80歳男性、 C型肝炎にて2度の肝生検歴あり(48歳、64歳。IFNにてSVR)。平成21年1月、腹水と肝機能異常を生じ、難治性のため6月に当科紹介となった。超音波では、肝右葉の萎縮と肝内門脈右枝に動門脈短絡を認めた。門脈本幹はto and froで脾静脈は逆流し、複数の遠肝性短絡路の発達もみられた。本血行異常による門亢症が腹水の要因と考え肝動脈塞栓術を検討したが、極めて高度な動門脈短絡であったため超音波ドプラモニタ下で治療効果予測を行った。すなわちバルンカテーテルによる肝動脈血流遮断後に門脈本幹血流が順流へ回復することを確認し、コイルによる血管塞栓を実施した。治療後、腹水は漸減し12ヶ月後の現在、経過良好である。本例では、過去の肝生検が血行異常の原因と推測され、経皮的穿刺手技後の超音波ドプラによる血行動態評価の重要性が再認識された。
消07 難治性腹水症例におけるデンバーシャント挿入前後の肝血流動態の変化について
1東邦大学医療センター大森病院 消化器内科、2東邦大学医療センター大森病院 臨床生理機能検査部
【目的】難治性腹水症例におけるデンバーシャント挿入前後の肝血流動態の変化について明らかにする。【対象と方法】2008年5月から8月まで当院で難治性腹水のためデンバーシャントを挿入した3症例。基礎疾患はCLC1例、ALC2例。超音波装置は東芝AplioXGを用い、デンバーシャント挿入前と挿入1ヶ月後のCardiac Output(CO)、門脈本管のFlow Volume(FV)の評価を行った。またSonazoid造影USを用いたParametoric Imaging(PI)で肝実質血流評価を行った。【成績】全症例、治療前と比べ治療後1ヶ月の腹水が著明に改善し、治療後のCO上昇を認めた。治療前後の門脈本管のFVに変化は認めなかったが、造影US上、肝実質血流の動脈化を認めた。【結語】デンバーシャント挿入1ヶ月後にみられる肝血流動態の変化は、門脈血流量の不変と動脈血流量の上昇が示唆された。
消08 BRTO後の肝実質血流の変化を造影USで確認した1例
1東邦大学医療センター大森病院 消化器内科、2東邦大学医療センター大森病院 臨床生理機能検査部
症例はHBV陽性の肝硬変と糖尿病、糖尿病性腎症にて近医通院、維持透析中の70歳代の男性。胃静脈瘤破裂による出血性ショックで当科受診となった。出血量が多く内視鏡的止血が不能であったため、緊急でバルーン閉塞下逆行性静脈塞栓術(以下BRTO)を実施した。BRTOは成功し、循環動態は速やかに改善した。肝実質血流評価のためBRTO後1日と6カ月後にソナゾイド造影超音波を実施した。1日後の肝実質血流は完全に動脈からのperfusionが有意であったが、6カ月後には門脈からのperfusionが優位となっていた。アルブミン値も出血前の3.0g/dlから3.4g/dlに改善した。Major shuntを閉塞するBRTO後に肝予備能が改善した症例はしばしば経験されるが、その背景となる肝実質血流の改善を明らかにすることはこれまで困難であった。本所見は造影超音波によってのみ解析可能であり、今後の門亢症の診療にとって重要な知見と考え報告する。
消09 ソナゾイド造影超音波を用いた急性肝炎肝実質血流の検討
1東邦大学医療センター大森病院 消化器内科、2東邦大学医療センター大森病院 臨床生理機能検査部
これまで我々は慢性肝疾患の病変進展に伴う肝実質血流の動脈化を確認し報告してきたが、急性肝炎の検討は十分でない。そこで今回、急性肝炎の肝実質血流が病期によってどのように変化するか明らかとすることを目的に、ソナゾイド造影超音波血管相の所見を検討した。対象:急性肝炎18例(A型:1例、B型:13例、C型:1例、AIH:2例、原因不明劇症:1例)。方法:装置は東芝AplioXG、早朝空腹時にソナゾイド推奨量静注後30秒間の肝・右腎画像を右季肋部で動画記録し、それから作成したparametric imageで肝実質血液灌流動態を検討した。結果:入院直後には18例中6例が動脈枝から、6例が動脈・門脈枝両方から(内4例は動脈枝優位)、6例が門脈枝から灌流していたが、回復期には劇症1例を除きすべてが門脈枝からの灌流となった。結論:造影超音波は急性肝炎の病勢把握に有用と考える。
座長:沼田 和司(横浜市立大学附属市民総合医療センター 消化器病センター)
座長:新田 尚隆(独立行政法人産業技術総合研究所ヒューマンライフテクノロジー研究部門)
消10 ソナゾイド造影超音波検査にて肝細胞癌との鑑別を要した肝サルコイドーシスの1例
1群馬大学医学部附属病院 核医学科・画像診療部、2群馬大学医学部附属病院 放射線部、3群馬大学医学部附属病院 肝臓・代謝内科、4群馬大学医学部附属病院 腎臓・リウマチ内科
症例は60歳代女性で、サルコイドーシスの経過観察中に高カルシウム血症となり、単純CTで肝に多発腫瘤を指摘された。ペースメーカー留置および慢性腎不全のために造影CT、MRIともに施行できず、造影超音波検査での精査が行われた。Bモードでは、肝内に3個の低エコー結節が認められた。ソナゾイドによるDynamic studyでは早期に結節全体が造影され、クッパー相では明瞭な造影欠損となっていた。HCV陽性でもあったため肝細胞癌が疑われたが、腫瘍マーカーの上昇は認められなかった。その後、肝針生検にて非乾酪性類上皮肉芽腫の形成が認められ、肝サルコイドーシスと診断された。サルコイドーシスによる肝腫瘤は低エコーで、ソナゾイド造影超音波検査ではさまざまな造影所見を呈し、クッパー相にて造影欠損とならない例があると報告されているが、本症例は肝細胞癌と類似の所見を呈し、注意が必要であると考えられた。
消11 EOB-MRI肝細胞造影相をreference画像とした造影超音波検査arterial phaseの腫瘍血流評価法
駿河台日本大学病院 内科
【目的】今回我々は磁気センサー搭載型の超音波検査を使用しEOB-MRI検査をreference画像として用いた有用性を検討したので報告する。【方法】使用装置:(US)GEヘルスケア社製LOGIQE9、(MRI)PHILIPS社製INTERA 1.5T ACHIEVA NOVA。全肝をB-mode検査でスクリーニング検査を施行した後ほぼ同時期に施行したEOB-MRI肝細胞造影相の画像をreference画像として出力し空間座標の位置調整を行い画像比較する。MRIの欠損像と超音波画像の結節性病変が一致した結節中心にSonazoid0.5ml/bodyを用いて造影超音波検査を施行した。【成績および結論】磁気センサー搭載超音波診断装置は、超音波検査の描出範囲の拡大のみならず、肝細胞癌治療を対象とした結節の精査の優先順位を決定し詳細なarterial phaseの腫瘍内血流を適切に評価できるため診断に有用であると考えられた。
消12 Bevacizumab投与時の早期血流変化が造影超音波検査により観察された一例
1駿河台日本大学病院 内科、2駿河台日本大学病院 消化器外科、3駿河台日本大学病院 病理
今回我々は大腸癌術後肝転移に対し分子標的治療薬bevacizumab併用化学療法を施行した症例における早期の肝腫瘍血流の変化を造影超音波検査にて観察し得た1症例を経験したので報告する。症例は56歳男性、大腸癌術後約4ヶ月で肝転移を認め化学療法目的で入院となる。治療前、治療開始後3日、7日にB-modeおよび造影超音波検査を施行した。(使用装置:GEヘルスケア社製LOGIQE9)S2約30mm高エコー腫瘤を認め、治療前の造影超音波検査ではarterial phaseで淡い腫瘍濃染と比較的早期からの欠損像を認めていた。治療後3日のB-mode像は腫瘍径を含めほとんど変化を認めないものの造影超音波検査arterial phaseの腫瘍濃染像は消失し早期から欠損像を呈していた。【結語】治療による血流変化は投与後比較的早く現れることが確認された。症例の蓄積により治療効果判定、効果予測などに期待がかかる。
消13 肝癌に対するsorafenibu投与症例における造影超音波による経過観察
1駿河台日本大学病院 内科、2日本大学附属病院 病理学教室
【目的】進行肝細胞癌症例に対し分子標的薬ソラフェニブトシル酸塩錠が認可され1年以上が経過している。今回我々は治療開始直後より造影超音波検査で治療経過観察を行なった4症例を経験したので報告する。【方法】対象は肝細胞癌stageWa〜Wbである。術前に肝全体を超音波検査でscanした後に中心となる腫瘍を決定しSonazoid0.5ml/bodyを投与し、arterial phaseでは同腫瘍を中心に観察しその後肝全体の観察を行ない必要に応じて追加するようにした。投与開始後3日、7日と同様の検査を行ない以後外来で2週間に1回の割合で経過観察を行なった。【成績】超音波検査上ほとんど変化を認めない、初期に部分的な血流低下を認め以後ほとんど変化を認めない、主腫瘍以外の部分の肝梗塞、肝不全を併発し中止であった。【まとめ】造影超音波検査は分子標的薬投与による血流変化を把握するために非常に有用であると考えられた。
消14 先天性門脈欠損症に合併した肝結節性病変の4例
1東邦大学医療センター大森病院 消化器内科、2東邦大学医療センター大森病院 臨床生理機能検査部、3東邦大学医療センター大森病院 小児科
先天性門脈欠損症(CAPV)は、門脈を介さず腸管の血流と大循環が短絡する稀な疾患である。今回われわれはCAPVに肝結節性病変を合併した4例を経験し、各症例に対し造影超音波(CEUS)が施行できたので報告する。対象は当院小児科通院中の4例(7歳および13歳女児、22歳および27歳女性)、上腸間膜静脈、脾静脈のdrainage veinは下大静脈が3例、左腎静脈が1例であった。装置は東芝社製Aprio XGを使用、Sonazoid 0.3-0.5mlを静注し、血管相および後血管相における結節性病変と周囲肝の染影動態を比較検討した。検査については患者、家族から十分なインフォームドコンセントを得ている。B-modeでは肝内に15-80mm大の高エコーおよび高・低エコーが混在する結節を単発性または多発性に認めた。CEUSでは、3例が血管相で周囲肝とほぼ同様の染影を呈し、1例は強い染影効果を認めた。後血管相でdefectを呈した症例は1例であった。
消15 造影超音波検査が有用であった肝脾T細胞リンパ腫の一例
株式会社日立製作所日立総合病院 内科
【はじめに】肝脾T細胞リンパ腫(HSTL)は稀な疾患であるが、最近では免疫抑制剤、TNFα阻害剤との関連が注目されている。今回、造影超音波下の生検により、HSTLと診断し、短期の経過観察が可能であった一例を経験したので報告する。【症例】77歳男性。2006年、他院で関節リウマチと診断され、エタネルセプト、メトトレキセート(MTX)の投与を受けていた。2010年4月頃より体重減少が出現した。肝胆道系酵素の上昇を指摘され、腹部USを施行したところ、肝腫瘍を認め、当科を紹介受診した。CTなどで診断が困難なため、造影超音波ガイドに肝腫瘍生検を施行した。病理では大小不同の核を持つ、異形リンパ球の浸潤増殖を認め、免疫染色ではCD3、CD8陽性、CD5陰性より、HSTLと診断した。MTX中止後にUSを施行したところ、肝腫瘍は縮小し、現在外来で経過観察中である。【考察】造影超音波検査はBモードで境界不明瞭な病変の生検および経過観察に有用である。
消16 プリモビストMRI肝細胞相で欠損像を呈した限局性結節性過形成の一例
1水戸済生会総合病院 消化器内科、2東京女子医大八千代医療センター 画像診断・IVR科
我々はプリモビストMRI肝細胞相で周囲肝に比し低信号となる限局性結節性過形成の一例を経験したので報告する。症例は78歳男性、高血圧・脳梗塞既往で近医経過観察中であった。軽度の肝障害を契機に造影CTが施行され、肝腫瘍を指摘、本年2月精査のため当院紹介となった。血液・生化学的検査でトランスアミナーゼ・HbA1c正常、HCV・HBV陰性、AFP・PIVKA・CEA・CA19-9正常値であった。腹部エコーでは肝S4に不明瞭な18mmの低エコー腫瘤をみとめ、同腫瘤は造影CTでは動脈優位相で強い濃染、門脈優位相以降でwashoutを認めた。プリモビストMRI肝細胞相では腫瘤は欠損像を示した。造影エコーでは造影早期で強い染影、造影後期で周囲肝より低エコーとなった。肝細胞癌としては血液所見・エコー像が非典型的で、生検を施行した。組織は異型はなく良性組織であった。血行動態より限局性結節性過形成と診断した。現在、肝腫瘤は変化なく、外来観察中である。
座長:大熊 潔(慶應義塾大学医学部 放射線診断科)
座長:嶺 喜隆(東芝メディカルシステムズ株式会社)
消17 超音波検査が良悪性の判断に有用であった十二指腸球後潰瘍狭窄の一例
1独立行政法人国立病院機構下志津病院 消化器内科、2独立行政法人国立病院機構下志津病院 放射線科、3独立行政法人国立病院機構下志津病院 リウマチ科、4独立行政法人国立病院機構下志津病院 小児科、5独立行政法人国立病院機構下志津病院 内科
症例は67歳男性。食思不振、吐気を主訴に受診。CTにて消化管ガスが多く閉塞性病変の可能性の精査目的で入院。2日後大量の下血がみられ上部消化管内視鏡検査(GF)を施行、上十二指腸角(SDA)より下部に凝血塊が充満していた。十二指腸下降脚の潰瘍性病変と診断し絶食、補液、PPIにて治療を開始した。GFによる経過観察ではSDA直下で著明な白帯と狭窄のため下行脚は観察不能であった。狭窄部位の良悪性の診断に迫るため入院後17日下行脚の精査目的で腹部超音波検査を施行した。十二指腸下降脚は均一な低エコーを呈する肥厚がみられ、周囲との境界は膵頭部も含め鮮明であり、悪性の可能性は否定できないものの良性の可能性が示唆された。GFでは狭窄は改善し、普通食の摂取が可能となり退院となった。上部消化管造影ではSDA直下の狭窄が描出され、十二指腸球後潰瘍および狭窄と判明した。腹部超音波検査は狭窄部の精査に有用と考えられた。
消18 腹部超音波検査にて発見された十二指腸(水平脚)原発somatostatinomaの1例
1東邦大学医療センター大橋病院 臨床生理機能検査部、2東邦大学医療センター大橋病院 消化器内科、3東邦大学医療センター大橋病院 第3外科、4東邦大学医療センター大橋病院 病理部
症例は60歳代、女性。検診目的にて行われた腹部超音波検査で十二指腸水平部に約3cmの充実性腫瘤を認めた。形状はほぼ球形、境界明瞭、内部エコーは低エコーでやや不均一であった。腫瘤口側の十二指腸拡張は認めず。カラードプラ法にて、内部に拍動性の血流シグナルを認め、精査目的で入院となる。上部消化管内視鏡で十二指腸水平脚に30mmの非腫瘍性粘膜に被覆された腫瘍があり、生検でendocrine cell tumorと診断された。術前ソナゾイド造影エコーでは、肝に3ヶの転移性肝腫瘤(4-7mm)が疑われ、十二指腸切除時に術中肝生検およびラジオ波焼灼術(RFA)を施行した。病理組織学的所見で、WHO分類の高分化型神経内分泌癌に相当し、免疫組織学検査で、somatostatinomaと診断した。今回、十二指腸(水平脚)原発のsomatostatinomaを経験したので報告する。
消19 超音波内視鏡(EUS)が進展診断に有用であった十二指腸乳頭部癌の一切除例
昭和大学 医学部 内科学講座 消化器内科学部門
症例は82歳女性.主膵管(MPD)の拡張を主訴に来院.【現病歴】2009年10月腹部超音波検査(US)でMPD拡張を指摘され当科を受診.【既往歴】20代で気管支喘息,50代で狭心症.飲酒(-).【身体所見】眼球結膜に黄疸(-),胸腹部に異常所見(-).【血液検査成績】肝・胆道系酵素の上昇,CEAの軽度高値を認めた.【画像検査】US・CTでMPD拡張,MRCPでMPD拡張・蛇行を認めたが,US・CT・MRI拡散強調像で腫瘤を認めなかった.【経過】その後T-Bilが増加し肝内外胆管の拡張を伴ったが,前述の検査では責任病巣を指摘できず,EUSで膵管壁に進展した病巣を描出.ERCPで十二指腸乳頭部腫瘍を認め胆道ドレナージを施行.生検で高分化型腺癌,胆管擦過診でclass IVを認め,PD施行.【結論】画像検査で腫瘤描出に難渋しEUSが腫瘍進展の診断に有用であった十二指腸乳頭部癌の一切除例を報告する.
消20 カラードプラが診断に有用であった腹部内臓動脈瘤の3症例
虎の門病院 消化器内科
【はじめに】腹部内臓動脈瘤は稀だが破裂すれば致死的な出血を引き起こし臨床的には重要な病態である。カラードプラ(CD)を併用した腹部超音波(US)で未破裂内臓動脈瘤を診断し得た症例を3例経験したので報告する。
【代表例】79歳男性、スクリーニングUSで膵頭部に径20mm大のcystic lesionを指摘され膵嚢胞として年1回経過観察されていた。今回10年ぶりのUSで径30mm大に増大しており精査となった。再度施行したUSで初めてCDがなされ、腫瘤内部に血流シグナル(Fig.1)とFFT解析で拍動波を認め動脈瘤と診断。血管造影で胃十二指腸動脈瘤と診断しコイル塞栓治療を施行。術後のUSでは動脈瘤内部の血流シグナルは消失し動脈塞栓治療は有効と判断できた。
【まとめ】腹腔内に嚢胞様所見を認めた際にはCDを必ず行い血流の有無を確認することが重要である.またCDは治療後の効果判定も非侵襲的にでき有用である。
消21 側音化構音症例の舌超音波像の検討
1東芝病院 歯科口腔外科、2昭和大学歯科病院 口腔リハビリテーション科
側音化構音(lateral articulation, LA)症例の構音動態を解明するために、超音波診断装置を用いて安静時の舌形態を観察し、健常成人と比較検討したので報告する。LAとは「舌が口蓋に広く接触し、舌の側方部と臼歯部で音が産生される独特の歪み音」と定義されるが、病態の把握が困難なため正常な舌運動を獲得できる症例は少ない。今回、超音波診断装置(VOLUSON730Expert GE Medical System)を用いて、7歳〜37歳の口腔内に手術の既往や形態の異常を有さない17名(男性8名、女性9名)のLA症例の、安静時全額断面の舌形態の観察を行った。その結果、健常成人では描出された舌筋に輝度の左右差は認められなかったが、LA症例では全症例で左右差が認められた。LAの産生は、異常な舌運動のみならず、舌形態の左右差も一因と考えられた。
座長:仁平 武(水戸済生会総合病院 消化器内科)
座長:平間 信(東芝メディカルシステムズ株式会社)
消22 造影超音波でFNH様の所見を呈した肝細胞癌の一切除例
東京医科大学病院 消化器内科
症例は50歳代,男性で,全身倦怠感が出現し,右季肋部に腫瘤を触知したため,近医受診.腹部超音波にて11cm大の肝腫瘤を指摘され,当科を紹介.その後,上腹部痛が出現したため,緊急入院となった.造影CTで腫瘍は肝右葉の下方に突出する径10cm大の多血性の病変であった.Gd-EOB-MRIの動脈相で軽度濃染,肝細胞造影相で低信号,拡散強調像で明瞭な低拡散病変として描出された.中心部には壊死を疑う所見を認めた.腹部超音波では肝右葉に10cm大のモザイク様の所見を呈していた.造影超音波の動脈相ではhyper,Kupffer相ではhypoであった.MFIでは腫瘍の中心より放射状に広がる血流を認め,血管構築も比較的整で,HCCとしては非典型的であり,限局性結節性過形成も否定できなかった.本人に十分に説明したのち, S6亜区域+S4・S5合併肝部分切除術を施行した.病理診断はmoderately differentiated typeであった.
消23 造影超音波検査が診断に有用であった肝細胞癌破裂、胸腔内穿破の一例
1日本大学医学部附属病院 内科学系消化器肝臓内科、2日本大学医学部附属病院 病理学教室
【はじめに】肝細胞癌の破裂症例は、直接死に到ることも多いため早期の止血が必要である。今回我々は、肝癌経過中に発症した肝癌破裂症例に対し、造影超音波検査が診断に有効であった症例を経験したので報告する。【症例】74歳女性、激しい右季肋部痛を認め受診、急激に貧血が進行していたため肝癌破裂も念頭に入れ検査をすすめたが、CTでは肝表面に突出する腫瘍周囲の少量腹水と多量の右胸水を認めるものの、明確な出血部位の同定は困難であった。造影超音波を施行したところ肝腫瘍から胸腔に連続するフィブリン塊を認め、S4に新規の腫瘍病変を認め同部の腫瘍濃染像を認められたため新規病変の破裂と診断に至った。この診断により緊急血管造影を施行し肝動脈塞栓術により救命し得た。造影超音波検査は肝腎症候群を視野に入れた検査としても有用な手法であり、本疾患が疑われた場合には積極的に施行することが望まれた。
消24 ソナゾイド造影US後血管相でのバブル崩壊距離とRFA焼灼範囲及び肝線維化との関係
東邦大学医療センター大森病院 消化器内科
目的:ソナゾイド造影US後血管相でのバブル崩壊距離とRFA焼灼範囲及び肝線維化との関係を明らかにする。方法:対象は慢性肝疾患34例。超音波造影剤ソナゾイド投与10分後の後血管相でflash-replenishment sequenceを行い肝実質のバブルを崩壊させ、崩壊距離とRFA焼灼範囲を比較した。また治療前のP-V-P、W型コラーゲン・7S、ヒアルロン酸と崩壊距離を比較した。結果:崩壊距離と焼灼範囲には有意な負の相関があり、崩壊距離が深くなるに従い、有意にRFA焼灼横径は狭くなった。また崩壊距離とP-V-P、W型コラーゲン・7Sは有意な正の相関を示し、崩壊距離が深くなるに従い両者とも増加した。結論:崩壊距離を測定することで肝線維化を推測する事が可能であり、またRFA焼灼範囲を事前に予想でき、治療に適切な電極針を選択する事が可能である。
消25 大腸内視鏡検査後の急激な発熱により発見された肝嚢胞腺癌の一例
1駿河台日本大学病院 消化器肝臓内科、2駿河台日本大学病院 病理学教室
症例は65歳男性。他院で大腸内視鏡検査ご翌日より高熱を認め受診。腹部超音波検査で異常所見を認め当院紹介入院となる。生化学データは、WBC18,200/μl, CRP27.36mg/dl T-Bil0.92mg/dl, AST77U/l, ALT66U/l, ALP584U/l, GTP215U/l, LDH262U/l, AFP1.6ng/ml, CEA8.3ng/ml, CA19-9808.7U/ml, HBs-Ag(-), HCV-Ab(-), 赤痢アメーバ100未満であった。腹部超音波検査では、多房性の嚢胞性病変の像を呈していたが、部分的に内部エコーを認め、肝外にも無エコー部分を認めていた。精査の結果嚢胞腺癌を疑い手術が施行された。【まとめ】造影超音波検査は、腫瘍部と炎症性変化の部分を明確に区別できるため鑑別診断に極めて有用であると考えられた。
消26 術前に肝嚢胞腺癌を疑われたが術中に肝細胞癌と診断できた1症例-ソナゾイド使用術中造影超音波の経験
1東京大学医学部附属病院 肝胆膵外科、2東京大学医学部附属病院 人工臓器移植外科
今回われわれは術前に肝嚢胞腺癌と診断したが術中超音波にて肝細胞癌と診断できた症例を経験したので報告する。患者はC型肝硬変の69歳男性。腫瘍マーカーの上昇を契機に撮影したCTにて、3ヶ所の肝細胞癌と1ヶ所の嚢胞性腫瘤を指摘された。嚢胞性腫瘤は径5cmで、CT、MRI、超音波では嚢胞内に造影性のある乳頭状隆起成分が疑われ、肝嚢胞腺癌と診断された。肝細胞癌とともに切除する方針として開腹し術中超音波を行ったところ、術前嚢胞性と考えていた腫瘤は充実性でありソナゾイドを使用した術中造影超音波では、乳頭状隆起と考えていた部分が壊死腫瘍内に島状に残ったViable partであることが早期相で描出され、クッパー相では全体が低エコーに描出された。以上より全結節を肝細胞癌と診断し、部分切除を施行した。術中超音波はきわめて高感度な検査であり、種々の術前画像検査と全く異なる所見を呈しうることが示された教訓的な症例であると考えられた。
消27 腫瘍瘢痕切除におけるソナゾイド造影術中超音波の活用〜化学療法著効による腫瘍瘢痕を残らず切除した1例
日本赤十字社医療センター 肝胆膵外科
化学療法の効果により腫瘍が瘢痕化した部位を切除すべきかどうかは、依然議論が残るところである。当院では、腫瘍遺残有無の確診は切除でのみ可能であると考え、化学療法により瘢痕化した肝転移巣も残らず切除している。今回は、ソナゾイド造影術中超音波を活用して、切除範囲を見極めることにより、深い位置にある5ミリ未満の微小な腫瘍や非球形(線状やコンペイトウ状)の瘢痕も十分切除可能であった症例を提示する。症例は48歳男性。胃GIST異時性肝転移に対してイマチニブを導入後3年間PR〜CRが得られていたが、一部の腫瘍が増大してきたため、肝切除目的に当院紹介。術前画像診断では、最大径2〜20ミリの腫瘍または瘢痕を計13箇所認めた。術中超音波では、そのうち8箇所しか同定できなかったがソナゾイド造影により全て確認でき、これらを切除した。術後6ヶ月イマチニブを休薬しているが、画像検査上明らかな再発所見なく経過している。
消28 ソナゾイドKupffer相を用いたVolume navigation下RFAが有用であった肝細胞癌の1例
1順天堂大学医学部附属練馬病院 消化器内科、2順天堂大学医学部附属練馬病院 超音波室
症例はC型慢性肝炎の71歳女性。2010年3月にEOB-MRIでS2-3肝表面に14mm大の多血性肝細胞癌指摘された(AFP 230ng/ml, L3 19%)。病変はUS上輪郭不鮮明な24mm大の等エコー腫瘤として描出され、胃幽門部、膵体部に近接していた。ソナゾイド造影Kupffer 相では最大径24mmの明瞭な不整形欠損域として描出された。AFP-L3高値、形態より悪性度の高い肝細胞癌が予想され、RFA施行時十分なAblative marginをとる必要があると考えられた。通常のB-modeではソナゾイド造影下の穿刺もリスクが高いと考えられた。そこで、LOGIC E9を使用し、病変のKupffer相をレファレンスにし、適宜B-mode fusionを用いたVolume navigation下RFAを施行し、安全に完全焼灼ができた。描出困難例のRFAでは本法も選択肢の一つと思われた。
座長:西川 かおり(杏林大学医学部第三内科)
座長:桝田 晃司(東京農工大学大学院生物システム応用科学府)
消29 急性虫垂炎における虫垂描出不良例の原因の検討
1聖マリアンナ医科大学病院 臨床検査部 超音波センター、2聖マリアンナ医科大学病院 臨床検査医学講座
【目的】急性虫垂炎における超音波検査での虫垂描出不良例の原因を検討する。【対象と方法】対象は急性虫垂炎の診断で虫垂切除術を施行し、術前に超音波検査を施行していた147例である。超音波検査時、虫垂の描出良好例と描出不良例に分類し、病理組織分類、虫垂の位置、BMI、筋性防御の有無、腹水や周囲組織の炎症所見について比較検討を行った。【結果】虫垂描出不良例は147例中33例であった。穿孔例では描出不良例が多かった。位置の比較では虫垂根部を中心として9時から12時方向に存在する虫垂の描出不良例が多かった。腹水や筋性防御がある場合は虫垂描出不良例が多かった。【考察・結語】虫垂の腹側に上行結腸がある場合は虫垂が描出困難になると考えられた。穿孔があった例では、膿瘍や周囲組織への炎症波及による変化が描出困難な原因と考えられ、回盲部全体の二次的な所見から急性虫垂炎を鑑別する必要があると考えられた。
消30 上腸間膜静脈の捻転を伴った内ヘルニアの一例
1北里大学東病院 臨床検査部、2北里大学医学部 消化器内科、3北里大学医学部 臨床検査診断学
【症例】50代,男性【主訴】1年前,胃癌にて腹腔鏡下胃全摘術,D1+β郭清,R-Y再建を施行.前月より食後に増強する腹痛あり.【超音波所見】上腸間膜静脈は頭側から足側へ観察するとwhirlpool signのように上腸間膜動脈を軸として時計方向にほぼ360度捻転しており、また狭窄を伴い末梢側では拡張・鬱滞していた.狭窄部より肝側の上腸間膜静脈には側副血行路からの血流シグナルの流入を認めた.捻転部や周囲のエコーレベルは上昇し,腸間膜リンパ節の腫脹を疑う扁平な低エコー腫瘤を多数認めた.イレウスや腸の虚血を疑う所見は認めず側副血行路の発達もみられたが,腸軸捻転や絞扼による上腸間膜静脈の捻転を否定できなかった.【手術所見】CT等の後,腸軸捻転症・内ヘルニア疑いの診断のもと,準緊急で手術となった.挙上空腸の小腸間膜切離部の背側に大半の小腸が嵌入した内ヘルニアであった.
消31 超音波検査で検討し得た回腸早期癌の1例
1東邦大学医療センター大森病院 臨床生理機能検査部、2東邦大学医療センター大森病院 消化器内科、3東邦大学医療センター大森病院 消化器外科、4東邦大学医療センター大森病院 病院病理部
近年消化管領域でも積極的に超音波検査が行われているが、小腸腫瘤は稀であり、その診断は困難な場合が多い。今回我々は回腸の早期癌病変を術前に超音波で検討し得たので報告する。 症例は61歳女性。再発性胃潰瘍で通院していたが、最近食後2時間ほどで嘔吐するようになった。上部内視鏡で問題なく、小腸腫瘍を疑ってCTを施行したところ回腸部に腫瘤を検出。超音波でも同部に15×12mmの腫瘤を認め、形状は比較的整で内部エコーも均一であった。カラ−ドプラで腫瘍内部に豊富な血流信号を認めた。口側腸管の拡張はなかったが、嘔吐、体重減少等の訴えが強かったため、GIST疑いで腹腔鏡下小腸切除術を施行した。病理所見:腫瘤は22×40mmの隆起性病変で、中心部の一部に粘膜内に限局する高〜中分化型腺癌を認めた。回腸原発の悪性腫瘍の頻度は低く、特に早期癌を実際に経験することは稀であり、貴重な症例と考え報告する。
消32 体外式超音波検査が診断契機になった成人大腸腸重積の1例
1東邦大学医療センター大橋病院 消化器内科、2東邦大学医療センター大橋病院 放射線科
症例は20歳代女性。受診2日前から上腹部痛があり、徐々に増強してきたため受診した。触診でも上腹部に圧痛が認められた。WBC 8900/μl、CRP 0.0 mg/dl、CPK 108 U/l。体外式腹部超音波検査で右下腹部に腸管が層状に描出され、腸重積と診断した。腹部CTで部位は上行結腸と判断した。器質的疾患の有無の確認のため下部消化管内視鏡を施行した。肝曲に腸重積先進部が認められたが、器質的疾患は存在しなかった。内視鏡を上行結腸に進めることにより、腸重積の完全整復に成功した。盲腸粘膜には虚血性変化と考えられる所見が認められた。回盲弁が重積した所見はなく、器質的疾患を伴わない盲腸上行結腸型腸重積と考えられた。内視鏡的整復5日後に施行した下部消化管内視鏡で腸重積はなく、盲腸粘膜の虚血性変化と考えられた所見もほぼ消失していた。本症例では腹部超音波検査が腸重積の診断契機になり、迅速な対応が可能であった。
座長:佐々木 勝己(財団法人東京都保健医療公社荏原病院 内科)
座長:神山 直久(東芝メディカルシステムズ株式会社)
消33 重症膵炎に合併した門脈ガス血症の1例( US所見とCT所見の対比 )
1黒沢病院附属ヘルスパーククリニック 検査部、2黒沢病院附属ヘルスパーククリニック 内科、3黒沢病院附属ヘルスパーククリニック 泌尿器科
22才の女性が高度の腹痛を主訴として救急搬送されてきた。前日の夜より腹痛が出現し、当日の朝からは嘔吐を伴った。現症では上腹部に圧痛を認めた。直ちに腹部超音波検査を施行したところ、緊満した胆嚢内に複数の胆石を認め、かつ膵の腫大も認められた。肝内にはS5を中心に不整形の高エコー病変が散在していたが、音響陰影は認められなかった。門脈本幹では微細な点状高エコーが肝内に流入するのが観察された。腹部単純CTでは、胆嚢頚部の淡い石灰化胆石と膵の腫大が描出された。膵周囲の炎症は結腸間膜根部、腎下極にまで及んでおり、CT gradeから重症膵炎と診断された。肝内には門脈ガスの所見は検出されなかった。入院後は絶食と抗トリプシン製剤の投与のみで順調に経過した。本例は重症膵炎に門脈ガス血症が合併したものと考えられるが、CTでは門脈ガスが検出されなかった。
消34 膵退形成癌の1切除例
1独立行政法人国立がん研究センター中央病院 臨床検査部、2独立行政法人国立がん研究センターがん予防・検診研究センター 検診開発研究部、3独立行政法人国立がん研究センター中央病院 放射線診断科
稀な腫瘍である膵退形成癌を経験したので報告する。症例は50歳代、男性。主訴は下痢、下腹部痛、体重減少。CEA1.7ng/ml、CA19-9 185U/mlであった。超音波にて、膵頭部に60mm大の腫瘍を認めた。分葉形、境界明瞭、輪郭不整、内部は高エコーと低エコー成分が複雑に混在する不均一エコーを示した。尾側主膵管拡張あり。胆管拡張を伴わなかった。レボビストによる造影早期相では、辺縁優位の造影から、すみやかに腫瘍全体の造影効果に移行した。膵頭十二指腸切除術が施行された。病理組織診断で、67mm大、弾性軟の腫瘍で、巨細胞型と多形細胞型の混在する出血・壊死を伴った退形成癌と診断された。一部に管状腺癌を認めた。超音波所見は、通常の浸潤性膵管癌と異なる所見を示した。病理組織所見と対比し、報告する。
消35 人間ドックで発見された膵腫瘍の3例
1亀田総合病院 超音波検査室、2亀田総合病院 消化器内科
【症例1】65歳男性。超音波検査(以下US)で膵体尾部に31×22mmの境界不明瞭な低エコー腫瘤を指摘された。CTでは体尾部に低吸収域を認め、内部の主膵管拡張を認めた。精査の結果、膵腺房細胞癌であった。【症例2】68歳女性。USで膵体尾部に30×14mmの背側に突出する類円形の低エコー腫瘤を指摘された。CTでは同部に不整な造影効果を示す腫瘤を認めた。手術の結果、浸潤性膵管癌と診断された。【症例3】51歳男性。USで膵鉤部に20×15mmの類円形低エコー腫瘤を指摘された。カラードプラでは全体に血流シグナルを認めた。造影CTでは早期濃染が著明で、後期相でも高濃度であった。手術の結果は高分化神経内分泌腫瘍であった。当院では2008年2月に超音波検査の効率化と精度向上のため検査手順の見直しを行ったが、その後の検証で検査時間の短縮がはかられ膵腫瘍3例が発見された。
消36 膵石を合併した膵管内乳頭粘液腺腫の1例
1国立病院機構千葉医療センタ− 臨床検査科、2国立病院機構千葉医療センタ− 内科、3千葉県がんセンタ− 消化器内科
症例は72歳女性である。検診で膵尾部に3cm大の嚢胞を指摘され、紹介となった。USでは嚢胞内に表面が一部高エコ−の隆起性変化を認め、内部に実質エコ−がわずかに認められた。造影CT検査では、USで壁肥厚と指摘された部位は、嚢胞内の小さな嚢胞様変化と考えられ、経過観察となった。5年後のUSで嚢胞径4cmと増大を認めたため、超音波内視鏡を施行した。膵尾部に多房性嚢胞を認め、内部に粘液と思われる点状高エコーを認め、一番大きな嚢胞の片側にはいくら状の隆起が集簇していた。以上よりIPMCを疑うIPMNと診断し、膵体尾部切除術を施行した。摘出標本では4.5cm大の嚢胞を認め、嚢胞内には低粘稠度の液体貯留を認め、5mm大の白色結石が多数存在していた。USでは膵石と診断できなかったが、摘出標本では膵石が存在していた。IPMNに膵石を合併した報告は少ないが、USでの嚢胞内の隆起性変化の原因として膵石の可能性も考慮すべきと考えられた。
消37 膵癌との鑑別が問題となった腫瘤形成性膵炎
虎の門病院 消化器内科
症例は76歳男性、スクリーニングで施行した腹部超音波検査(US)にて膵体部腫瘤を指摘され精査入院となった。腫瘤はUS上膵頭体移行部に比較的境界明瞭な17mm大の低エコー結節として描出され、カラードプラは陰性、尾側の主膵管は4mmと軽度拡張しており、膵癌疑いのUS診断となった。血液検査ではアミラーゼ、リパーゼ、エラスターゼの軽度上昇を認めるものの、肝機能、腫瘍マーカーはいずれも基準値内だった。造影CTでは病変ははっきりしなかったが、MRIではT1強調像で低信号、T2強調像で高信号を示す腫瘤が確認され、また同部位での主膵管狭窄と尾側での主膵管拡張があり、US同様膵癌を疑った。ERCPで膵液細胞診と狭窄部のブラッシング細胞診では、それぞれClassVa、ClassVの診断であった。膵体尾部+脾臓切除を施行。病理学的には癌細胞を認めず慢性膵炎の診断であった。以上、診断に苦慮した腫瘤形成性膵炎を経験したので報告する。
消38 腹部超音波検査が診断の契機となった、Mikulicz病に合併した自己免疫性膵炎の1例
1獨協医科大学越谷病院 臨床検査部、2獨協医科大学越谷病院 消化器内科
69歳、女性。2004年から、持続する唾液腺、涙腺腫脹に対してステロイドが投与され漸減中であった。2010年5月に肝障害を指摘されたために当院を受診。AST 172 U/L,ALT 302 U/L, ALP 2216 U/L, GGT 1467 U/L, T-Bil 1.86 mg/dl, WBC 4.8×10×3/L, Hb 12.2 g/dl, Plt 29.6×10×3/L, IgG 2308mg/dl, HBs抗原陰性,HCV抗体陰性、抗ミトコンドリアM2抗体陰性、抗核抗体陰性であった。超音波検査では膵頭部は腫大し体部主膵管の一部に軽度の拡張を認めた。この所見より自己免疫性膵炎を強く疑い内視鏡的逆行性胆膵管造影を施行し、特徴的な狭細像を認め診断に至った。IgG4は498 mg/dlと高値、抗SS-A抗体は陰性であった。以上よりMikulicz病に合併した自己免疫膵炎と思われ、興味深い症例と考え報告する。
消39 磁気センサー搭載超音波検査が病変の描出に有用であったIPMNの1症例
日本大学医学部附属病院 内科学分野消化器肝臓内科
【はじめに】膵臓の超音波は消化管のガスの影響を受けやすく、症例により描出が困難な場合がある。近年、他画像のボリュームデータを用いて空間座標補正を行い、比較する手法により描出力が向上しているため、膵臓領域において有用な症例を経験したので報告する。【症例】67歳女性、胆石症の精査目的で検査を行なった際、CTで膵尾部に異常を指摘されたためCTをreference画像として検査を行った。使用装置は超音波検査:GEヘルスケア社製LOGIQE9,使用探触子C1-5,9L、CT:Tosiba社製Aquilion(64列)である。【結語】超音波検査における膵の描出はオリエンテーションがつき難く常に死角がつきまとうためCT画像をreferernce画像とすることで確実な走査断面を保持でき適切な超音波診断を可能とし極めて有用な手法と考えられた。
消40 膵負荷例の超音波診断(登校拒否例を中心に)
川嶌内科小児科クリニック
ここ10年間、超音波を駆使して診断困難な軽症・早期膵炎例を検出する方法を模索してきた。その結果、様々な場面で膵への負担が増していることが判明した。超音波上の膵負荷の診断は@胆嚢の大きさ・壁の厚みの変化、A胆嚢内結石や胆泥の有無、B総胆管内径、C膵臓の厚み・内部構造の変化、D腸管内容貯留像の程度、E胆嚢および膵臓部分の圧痛の有無から総合的に判断し、膵負荷の裏付けには尿中膵アミラ−ゼ/クレアチニン比を用いた。過去半年間、当院で経験した未治療の登校拒否例6例(男3例女3例、平均年齢14.1歳)の超音波像の特徴は膵臓の厚みが薄く(体部前後厚の平均5.8mm)、強い腸管内容貯留像を示す場合が多く、うつ病治療中の症例(膵の厚みが増し、軽微な腸管貯留像を示す症例が中心)と好対照であり、血液検査上も低インスリン傾向を示していた。消化不良を生じにくくする生活・食事内容とし、症例により膵炎治療薬の併用で症状軽減を見た。
座長:若杉 聡(亀田総合病院 消化器内科)
座長:竹内 真一(桐蔭横浜大学 医用工学部 臨床工学科)
消41 急性気腫性胆嚢炎の2例
1さいたま市立病院 中央検査科、2さいたま市立病院 消化器内科
[はじめに]急性気腫性胆嚢炎(Acute emphysematous cholecystitis以下ACE)はガス産生菌の感染による壊疽性胆嚢炎で、胆嚢内腔、壁内および胆嚢周囲組織内のガス貯留を特徴とする。今回当院で経験した2症例のUS所見を報告する。[症例1]92歳女性 主訴:右季肋部痛、発熱 US:胆嚢内腔は描出されず胆嚢窩に一致して音響陰影を伴う幅広い高エコー帯を認めた。[症例2]54歳女性 多発性硬化症に合併。US:胆嚢壁から気泡がわきでてくるような所見(champagne bubble)を捉えた4日後に症例1と同様の胆嚢窩に一致した高エコー帯を認めACEと診断した。2症例ともPTGBDにて急性期治療を行い症例2は待機的に胆嚢摘出術を施行した。[結語]ACEの2症例を経験した。ACEは単純X-Pで弧状の透過像を呈しCTで胆嚢内のガス像を確信できる。USでは胆嚢窩に一致した幅広い高エコー帯を特徴とし鑑別診断として1)陶器様胆嚢2)胆嚢内充満結石3)石灰乳胆汁があげられる。
消42 PBCに合併し、多彩な超音波像を示した胆嚢腺筋腫症重度炎症例
1東邦大学医療センター大森病院 消化器内科、2東邦大学医療センター大森病院 消化器外科
PBCにて20年来プレドニン(PSL) 5mg隔日内服でコントロール良好だった症例。2008年6月肝胆道系酵素上昇を認めたためUS施行したところ、もともとあった胆嚢腺筋腫症(ADM)の壁肥厚が急激に進行。CT・MRCP・ERCPで総胆管・肝内胆管の不整像を認めた。採血・生検所見からIgG4関連硬化性胆管炎は否定的でPSCの併発が疑われた。ADMの悪性化も否定しきれなかったが、黄疸もみられていたため、PSCのコントロールを優先し、PSL40mg連日内服へ増量したところ肝胆道系酵素は低下した。PSLの漸減過程でブレディニンも併用し、PSLは5mgまで減量して再燃なく経過。2009年2月のUSでADMは残るものの胆嚢壁の肥厚は軽減した。今回のepisodeの契機として悪性病変併存も否定できず胆摘術施行。組織所見はADMであった。多彩な画像所見を呈したADMの一例として示唆に富むものと思われ報告する。
消43 長期経過中に原発性硬化性胆管炎を発症した自己免疫性肝炎の一症例
東邦大学医療センター大森病院 消化器内科
症例:86歳女性。1989年健診で肝障害を指摘される。1990年精査目的で当院にて腹腔鏡下肝生検を施行しCAHの所見であり、SNMCを開始。1994年に肝障害が増悪したため再度肝生検を施行しCAH、自己免疫性肝炎の診断のもとプレドニゾロン(PSL)内服を開始。その後緩解、増悪を繰り返したがPSLの増量でコントロール可能であった。2003年にPSL増量ではコントロール困難な肝障害と画像上胆管拡張所見が出現し精査目的で入院。各種精査の結果、自己免疫性肝炎に合併した原発性硬化性胆管炎と診断。ミゾリビンの併用投与を開始し現在経過観察中である。画像上、胆道拡張所見は年々増悪しているがトランスアミナーゼおよび肝胆道系酵素は長期正常化し、再燃は認めていない。初診から約20年間の長期にわたり経過観察が可能であった自己免疫性肝炎、原発性硬化性胆管炎の合併症例は稀であり、また、画像所見と採血所見との解離を含め示唆に富む症例と考え報告する。
消44 ウイルス性慢性肝疾患に発生した肝内胆管癌のBモード像
1虎の門病院 肝臓センター、2虎の門病院 消化器内科
【目的】肝内胆管癌(ICC)の原因としてHBV、HCVの関与が報告されており、慢性肝炎、肝硬変から発生する例も多い。肝炎ウイルスは肝細胞癌のハイリスクでもあり、その鑑別が問題となる。今回、ウイルス性慢性肝疾患に発生したICCのBモード像を検討したので報告する。【方法】対象は2002年〜2010年6月に当院で精査を行ったHBs抗原陽性またはHCV抗体陽性のICC10例、混合型肝癌4例。背景肝は6例で肝硬変、8例で慢性肝炎。【成績】ICCの腫瘍径は平均48.7mm(14〜90mm)、内部エコーは不均一3例、低エコー5例、高エコー2例。辺縁低エコーは4例で見られた。混合型肝癌の腫瘍径は平均40.0mm(14〜80mm)、内部エコーは不均一2例、低エコー1例、高エコー1例。辺縁低エコーは3例で見られた。【結論】辺縁低エコー、内部不均一が多く見られ、特に小型の腫瘍でICCの診断は困難であった。
座長:渡邉 学(東邦大学医療センター大森病院 消化器内科)
座長:岸本 眞治(株式会社日立メディコ)
消45 当財団における腹部超音波検診の現状と問題点
ちば県民保健予防財団
「目的」当財団の腹部超音波検診の現状を把握し問題点を明らかにする。「対象、方法」平成19年4月から、平成22年3月までの3年間に、当財団で、ドック健診および職域腹部超音波検診を受診したのべ32475名。使用超音波診断装置:東芝Aplio SSA770A等。プローブ:3.5MHz、コンベックス。検査法:日本消化器がん検診学会推奨走査法準拠。標準記録コマ数:24コマ。1件あたりの撮影時間:約10分。読影:静止画像を読影。精密検査紹介先で癌の確定診断が得られた症例を集計。4年以上当財団の受診歴が無い例を初診例とし、3年以内に受診歴がある例を逐年受診例とした。「結果、考察」発見癌数は肝細胞癌7例、転移性肝癌3例、胆嚢癌1例、膵臓癌3例、腎臓癌6例。初診例が16例、逐年受診例が4例。逐年受診者よりも初診者を対象とする方が、癌発見率が向上する可能性が示唆された。
消46 機械式スキャン4Dプローブと用いたスクリーニング腹部超音波検査法(4D法)
ちば県民保健予防財団
「目的」4D法の実用性を検討する。「対象」健康な成人5名「方法」使用超音波診断装置:Toshiba Aplio XG SSA-790A。プローブ:腹部用-4D(PVT-382MV)、腹部用コンベックス3.5MHz(PVT-375BT)。走査法:肝臓)心窩部横走査、右肋弓下走査、右肋間走査胆嚢)右肋弓下走査(長軸断)膵臓)心窩部横走査右腎臓)右肋弓下走査(長軸断)左腎臓、脾臓)左肋弓下走査(長軸断)評価項目:平均検査時間、臓器描出率(各臓器3段階評価)各項目において、4D法と、従来の2D法(日本消化器がん検診学会推奨検査法)とを比較した。「結果」平均検査時間10分以内。肝、胆、膵、脾、腎描出率は、2D法と同様であった。「結語」4D法は従来法と同等の検査時間、描出率であり、客観性を持ったスクリーニング腹部超音波検査法として、リアルタイム性よりも客観性が求められる検診領域において、今後検討されうる検査法である。
消47 脾嚢胞破裂 緊急TAE前後の評価にソナゾイド造影超音波(CEUS)が有用であった一例
横浜市立大学附属病院 消化器内科
【症例】75歳 男性.【現病歴】左側腹部痛及び腹部膨満感を主訴に来院された.【経過】来院時血圧140/80mmHg, 脈拍数113回/分,腹部は膨隆・軟,明らかな圧痛なし.血液検査でヘモグロビン7.1g/dl,腹部単純CTで腹腔内にやや高吸収の腹水貯留と脾下極より膨隆する腫瘤状構造を認めた.CEUSで同部位は長径20mm大の円形の無血管領域を呈し,辺縁から腹腔内へのソナゾイド流出がみられた.以上より脾嚢胞破裂による腹腔内出血と診断し同日TAEを施行した.DSAでは血管外漏出は不明であったがCEUS所見を参照して脾下極を中心にTAEを施行し,止血しえた.術後再度CEUSを施行.脾下極は区域性に無血管領域に変化し血管外漏出は認めなかった.【結論】非外傷性脾破裂をCEUSで評価した報告は稀である.CEUSで破裂部位の特定及びTAE後の止血確認が良好に評価可能であった脾嚢胞破裂の一例を経験した.
消48 巨大脾腫瘍の1例
1杏林大学医学部 第三内科、2杏林大学医学部 臨床検査医学、3杏林大学医学部 消化器外科、4杏林大学医学部 病理学
【症例】37歳、男性。【現病歴】人間ドック時の腹部超音波検査にて脾腫瘤を指摘され当院受診となった。【画像検査】腹部超音波検査では脾に9cm大の淡い高エコー腫瘤を認めた。正常脾との境界は明瞭で、内部に小無エコー域が散在し、またBモードおよびドプラ検査にて比較的太い血管の走行も描出された。造影では血管相早期に無エコー域を除いて腫瘤全体が染影し、後血管相では正常脾と同等の染影を呈した。造影CTでは早期相において腫瘤の辺縁部から増強効果を認め、全体に広がり、後期相においても染影が持続していた。MRIではT1強調像で等信号、T2強調像で高信号が主体であった。以上から脾血管腫、脾過誤腫などの良性腫瘍が疑われたが、腫瘍の大きさ、周囲臓器への圧排も考慮し手術となった。【病理所見】病理組織学的に血管内皮マーカーが陽性であり脾血管腫と診断した。
消49 脾腫に影響する因子についての検討
1亀田総合病院 消化器内科、2亀田総合病院 神経内科、3亀田総合病院 超音波検査室
【はじめに】脾腫に影響をおよぼす因子を多変量解析で検討した。【対象と方法】2007年9月から2008年8月に当院人間ドックで超音波検査を行った6445例について脾腫の頻度、脂肪肝の頻度を検討し、身体所見、臨床検査所見と比較検討した。【結果】脾腫と関係する因子は脂肪肝、身長、体重、総コレステロール、GOT、GPT、γ-GTPであった。これらを単変量解析で検討すると、脂肪肝、年齢、身長、体重、総コレステロール、GPT、HbA1cと脾腫が有意に相関していた。多変量解析で検討すると、脂肪肝と脾腫との関係は薄くなったが、脂肪肝と体重とは関係があり、体重を除外すると、脾腫と脂肪肝は関連していた。【考察および結語】脾腫と関連する因子は体重であるが、体重の高い例ほど脂肪肝が多く、脾腫も多いと思われ、脾腫のある脂肪肝は体重、ひいてはメタボリック症候群との関連が示唆された。
消50 腸間膜炎症性偽腫瘍の1例
1亀田総合病院 超音波検査室、2亀田総合病院 消化器内科
症例は73歳、男性。腹痛を主訴に来院。超音波、CTで右下腹部腫瘤を認め、入院となった。腹部超音波で回盲部周囲に61×32mm大、33×13mm大の楕円形腫瘤像を認め、内部に隔壁様構造を伴う嚢胞像を認めた。また周囲に数個のリンパ節腫大を認めた。腹部CTで上行結腸内側に多胞状の腫瘤を認めた。虫垂に腫大や粘液貯留を認めず、盲腸粘液腫、粘液腺癌を疑った。内視鏡で回腸末端部に非特異性炎症像を認めたが、回盲部に異常腫瘤像を認めなかった。術前のCTで腫瘤は退縮していたが、盲腸粘液腫の否定はできず、右半結腸切除術を施行した。腫瘍はリンパ節を巻き込んで紡錘形細胞、泡沫状の胞体を持つ xanthoma cell が増殖し、炎症細胞浸潤を伴い、腸間膜炎症性偽腫瘍と診断された。本邦で腸間膜炎症性偽腫瘍の報告は稀である。自然退縮した腸間膜炎症性偽腫瘍はさらに稀であり、文献的考察とともに報告する。
消51 膵脂肪腫が疑われた後腹膜腫瘤の1例
1栃木県立がんセンター 検査技術部、2栃木県立がんセンター 画像診断部、3栃木県立がんセンター 消化器外科、4栃木県立がんセンター 臨床検査部病理診断科
[症例]68歳,女性。6年前近医にて検診精査目的にCT検査を施行。膵頭部背側に約20mm径の腫瘤を指摘された。経過観察中に緩徐に増大傾向を認め精査目的にて当院受診となる。 [画像]超音波では膵頭部背側に44x23x44mmの境界明瞭平滑な高エコー腫瘤を認めた。内部不均一で小さな低エコー域が多数みられ、内部血流なし、主膵管拡張なし。総胆管・下大静脈を圧排しているが、明らかな浸潤所見はみられなかった。CT・MRI所見と合わせ、膵または後腹膜の脂肪成分を主体とした内部に索状構造を有する腫瘍と判断された。総合画像診断では確定診断には至らなかったが増大傾向が見られ、悪性の可能性を否定できないため切除術が施行された。 [病理]腫瘤は薄い被膜に囲まれた大部分が成熟した脂肪織で構成されており、内部と被膜外に膵組織を認め、後腹膜の脂肪腫様病変を伴った異所性膵と診断された。
消52 肝円索膿瘍の1例
虎の門病院 消化器内科
[症例]59歳男性[主訴]発熱、食欲不振、倦怠感、体重減少[入院経過]半年間で約6kgの体重減少を来たし、それと共に発熱、上腹部腫瘤を自覚、精査、加療目的に入院。採血ではWBC17060個/μl、CRP22.8mg/dlと炎症反応高値であり、腹部エコーでは門脈臍部から臍へ広がる内部不均一な腫瘤が見られた。造影CT上腹部正中臍上部に幅160mm、厚さ55mm程度の辺縁に強く造影効果を伴う腫瘤が認められ、肝円索膿瘍と診断した。腫瘤生検では炎症細胞浸潤を伴う腹壁組織が観察された。細菌培養検査はnegativeであった。外科的切開術/開腹ドレナージも考慮するも、処置後の組織欠損部が大きいことが予測され、抗生剤投与で炎症反応改善、腫瘤も縮小傾向であったため保存的加療を継続、退院となった。退院後フォローのエコーでは腫瘤は消失していた。Key word:肝円索膿瘍、肝鎌状間膜膿瘍
消53 腹部超音波検査を契機に悪性腹膜中皮腫の診断に至った1例
1東邦大学医療センター大森病院 臨床生理機能検査部、2東邦大学医療センター大森病院 総合診療・急病センター、3東邦大学医療センター大森病院 消化器センター内科、4東邦大学医療センター大森病院 病院病理部
症例は72歳男性。1998年胃癌手術。2008年6月から食欲低下・胸腹水貯留のため前医に入退院を繰り返し、同年11月精査のため当院へ転院した。血性胸水により肺癌を疑ったが、胸水細胞診で確定できず、診断に難渋。スクリーニング目的で行った腹部超音波検査で、肝臓および腸管周囲に柵状血流シグナルを有する比較的均一な帯状低エコー域を認めた。十分なICのうえ同部のソナゾイド造影超音波を行った。ボーラス注入直後、肝・腸臓器側および対側表面側の両方向から帯状低エコー域へ柵状に流入する緩慢な血流が確認された。本症例は50年前に2年間、アスベストに暴露されていた。胸水ヒアルロン酸異常高値、ガリウムシンチの腹部異常集積像、エコー下経皮的腹膜生検組織所見などから、悪性腹膜中皮腫(上皮型)と診断確定した。悪性腹膜中皮腫の診断に造影超音波が有用である可能性が示唆された。
座長:杉山 祐公(東邦大学医療センター佐倉病院 循環器センター)
座長:山崎 延夫(GE ヘルスケア・ジャパン株式会社 超音波本部)
循01 心原性ショックと多量の心嚢液貯留をきたした重症神経性食思不振症の一例
昭和大学 医学部 救急医学講座
【はじめに】神経性食思不振症(以下AN)の死因の多くは心不全であることが知られている .【症例】23歳 , 女性 . 突然の血圧低下とショック状態で発見され搬送された . 身長 161 cm , 体重 27.4 kg (BMI 10.6kg/m2) . 心臓超音波検査では全周性に多量心嚢液貯留(計算上 324ml) , 心筋菲薄化 , 心基部側下後壁から側壁にかけてdiffuse moderate hypokinesis , 他部位はdyskinesisをとなっていた . 第10病日(28.4kg) , 心臓超音波検査で心嚢液貯留(計算上 71ml)の減少 , 壁運動の改善(EF 72%)を認めた . 【考察】ANにおいては慢性的栄養摂取不良による心嚢液貯留 , 心筋菲薄化 , 心収縮力低下が報告されている . また , 体重増加 , Low T3改善に伴い心嚢液貯留の減少が報告されているがその機序は不明である . 今回 , 多量の心嚢液貯留と心原性ショックを呈し, 短期間に心機能の改善と心嚢液減少を認めた重症ANの一例を経験し若干の文献的考察を加え報告する .
循02 心エコーで経時的に観察し得た巨細胞性心筋炎の一例
1聖マリアンナ医科大学病院 臨床検査部超音波センター、2聖マリアンナ医科大学 循環器内科、3聖マリアンナ医科大学 臨床検査医学講座
症例は67歳男性。2010年3月に下痢、嘔吐、発熱を主訴に近医受診。内服薬を処方されたが改善せず、その後肝機能障害、黄疸が出現した。同日深夜、突然の胸痛を訴え、当院に救急搬送。胸部レントゲンにて心拡大、胸水貯留、心電図にて完全房室ブロックを認めた。外来処置中に一時心停止となり、一時的体外式ペーシングを挿入。その後、緊急冠動脈造影を行ったが有意狭窄は認めなかった。IABPを挿入しその後、CCU管理を行った。心エコーでは左室壁運動は瀰慢性に低下(EF40%)、特に前壁中隔の高度壁運動異常、壁の浮腫性変化、少量心嚢水を認めた。心筋生検の結果で巨細胞性心筋炎と診断された。経過中、心不全の増悪、致死性不整脈を認めたが保存的治療により改善。心エコーにおいても壁運動障害、浮腫状変化も改善。第47病日に退院となった。心筋炎の中でも予後不良といわれている巨細胞性心筋炎を心エコーにて経時的に観察し得たため、考察を加え報告する。
循03 巨大軟部腫瘤切除の経過中に偶然発見されたValsalva洞動脈瘤内血栓の一例
1聖マリアンナ医科大学病院 臨床検査部超音波センター、2聖マリアンナ医科大学 循環器内科、3聖マリアンナ医科大学 臨床検査医学講座
症例は65歳男性。20歳より左後頚部〜左腰部にかけて軟部腫瘤を認めていた。腫瘤は徐々に拡大し日常生活に困難が生じたため、2009年10月に当院形成外科を受診した。同年11月背部腫瘤の部分切除術が行われ、病理検査でSpindle Cell Lipomaと診断された。2010年3月スクリーニング目的の心臓超音波検査にて大動脈弁・弁輪の著明な石灰化、さらに無冠尖側のValsalva洞内に腫瘤性病変を認めた。心臓超音波上、Spindle Cell Lipomaと血栓の鑑別が困難であった。その後に行われた心臓CT検査では、両心房間に辺縁石灰化を伴う3cm大の腫瘤性病変を認め、Valsalva洞との連続性が確認された。CT値から推測するとValsalva洞動脈瘤内の血栓が最も疑われた。現在、巨大軟部腫瘤の切除術を数回に分けて施行中であり、Valsalva洞動脈瘤については経過観察中である。巨大軟部腫瘤切除の経過中に偶然発見されたValsalva洞動脈瘤内血栓が疑われた一例であり、考察を加えて報告する。
循04 心膜炎を繰り返し,心エコー図では拡張障害が検出できなかった家族性地中海熱の一例
山梨県立中央病院 内科
【症例】54歳,男性.【主訴】胸痛.【経過】'05年8月胸痛が出現し,ECG上広範にST上昇し,心エコー図(US),心カテ,冠動脈造影で異常所見なく心膜炎と診断された.09年9月に3日間持続する胸背部痛で入院時炎症所見陽性でECGで広範なST上昇を認め,CTは正常範囲で,USは壁運動正常で心嚢液貯留なく,左室流入路ドプラ法E/A1.2,E減衰時間(DT)182ms,拡張期僧帽弁輪速度からE/e' 5.2と正常範囲だった.心プールシンチ(CPS)で拡張期最大充満速度(PFR)163%/sと低下し拡張障害が認められた.鎮痛剤投与で,症状,心電図変化も改善して退院となった.弟が他院の遺伝子診断で家族性地中海熱(FMF)と診断され,家族歴から本例にMEFV遺伝子解析を施行し,exon 10 codon 694 ATG(Met)からATA(Ile)に変異を認めFMFと診断された.US所見は変化なく,CPSのPFRは改善した.【考察】本邦ではまれなFMF例の心膜炎時の拡張障害をUSのE/A,DT,E/e'では検出できず,ストレイン法などの必要性が示唆された.
循05 左室内に心筋解離を思わせるフラップ様構造物を認めた1例
1筑波大学 循環器内科、2筑波大学附属病院 検査課
症例は42歳の女性。健康診断時に左脚ブロックとPVCを指摘され、近医にて心エコー図検査が行われたところ、左心室内異常構造物を指摘され、精査のため当科に紹介入院となった。左室前壁中隔〜下壁にかけて心筋内膜の連続性が欠如し、心筋中層で解離したかの様な所見を認めた。解離部はフラップ様となり偽腔を形成していた。後乳頭筋まで解離はおよび中等度の僧帽弁逆流が生じていた。病因として感染性心内膜炎、心サルコイドーシス、ウイルス性および自己免疫性心筋炎、心筋梗塞後変化等を想定し精査を施行したが確定診断には至らなかった。入院経過中に急速な形態変化なく、自覚症状を認めないため、外来にて厳重な経過観察とする方針となった。診断、今後の治療方針に難渋している希有な症例として報告する。
循06 心室中隔欠損症に合併し、粘液腫様の右室内疣贅を呈した感染性心内膜炎の一例
国保 総合病院 旭中央病院 循環器内科
【症例】46歳 女性【現病歴】生下時より心雑音指摘。2010年3月から発熱持続し、4月他院入院。抗菌薬で症状改善しないため当院入院。【入院時現症】胸骨左縁第4肋間を最強点とする全収縮期雑音。(LevineV/Y)【入院後経過】心エコーでKirklinV型の心室中隔欠損症(VSD)を認めた。右室中隔側のVSD開口部に付着する15mm大の可動性に富んだ球形腫瘤を認めた。三尖弁、肺動脈弁には疣贅なかった。形態から粘液腫も否定できなかったが、血液培養でMSSA陽性となり感染性心内膜炎(IE)と診断。CTにて敗血症性肺塞栓症の合併を認めた。抗菌薬治療を継続し、3週間後の心エコーで10mm大の紐状エコーに変化しており、5週間後には右室内の疣贅は消失した。【考察】VSDに合併するIEでは三尖弁、肺動脈弁で疣贅を認めることが多いが、本症例は、右室内腫瘤を認めるのみで、その形態変化が興味深かったので報告した。
座長:茅野 博行(昭和大学 医学部 内科学講座 循環器内科学部門)
座長:田中 直彦(芝浦工業大学 システム理工学部)
循07 胸痛非発作時での診断に、2D speckle tracking(2DST)法による局所拡張機能障害評価が有用であった2症例
1財団法人東京都保健医療公社 荏原病院 検査科、2財団法人東京都保健医療公社 荏原病院 循環器内科、3財団法人東京都保健医療公社 荏原病院 内科、4東京女子医科大学成人医学センター 循環器科
狭心症発作後に、収縮機能が改善した後も虚血心筋の拡張機能障害は遷延するといわれている。2DST法は左室運動の客観的な評価に有用と考えられている。今回、胸痛後において、2DST法による拡張機能障害の評価が、狭心症診断に有用であった2症例を経験したので報告する。症例1:75歳男性。胸痛にて来院し、最終胸痛13時間後にUCGを施行した。検査時、壁運動異常は認めなかった。2DST法ではLAD領域に拡張機能障害を認め、CAGでLAD#6の狭心症と診断された。 症例2:64歳男性。胸痛にて救急車で来院。UCG施行時、胸痛は消失しており、壁運動異常は認めなかった。2DST法でも拡張機能障害は認められず、CAGでも有意狭窄は認めなかった。UCGで非発作時の狭心症を診断するのは困難である。しかし、2DST法による胸痛非発作時に遷延する拡張機能障害の評価は狭心症診断に有用であることが示唆された。
循08 特発性左内頚静脈血栓の2例
1日本医科大学 内科学講座(循環器)、2日本医科大学 臨床放射線医学、3日本医科大学附属病院 生理機能センター
頚部、頭部の静脈血栓は比較的少なく、しかもカテーテル留置、腫瘍、炎症性疾患に伴う血栓例がほとんどである。原因が特定できなかった特発性左内頚静脈血栓の2例を経験した。63歳女性は、左頚動脈のプラークを他院で治療中であったが眩暈で当院受診し頚部血管超音波で総頚動脈のプラークと内頚静脈の血栓が指摘された。76歳男性は左頚部腫脹で当院受診し頚部血管超音波で内頚静脈の血栓を指摘された。両者とも一般血液検査、血液凝固因子、プロテインC,およびS、抗カルジオリピン抗体は正常であり、造影CTでは腫瘍、炎症性所見を認めなかった。また、肺塞栓を疑わせる症状、検査所見も得られず、ワルファリン投与で治療を継続しているが内頚静脈の血栓を指摘されてから3年間イベントはない。当科では計1,493例の頚部血管超音波検査のうち原因を特定できない特発性内頚静脈血栓はこの2例で文献的考察を加えて報告する。
循09 脳梗塞の塞栓源が上行大動脈血栓によると考えられた一例
1獨協医科大学 心臓・血管内科、2獨協医科大学 超音波センター
症例は59歳男性。拡張型心筋症にて通院中であった。心原性脳梗塞を発症し、当院神経内科入院。心電図は洞調律、整。胸部X線上心拡大認めず、肺野異常なし。塞栓源精査目的に経胸壁心エコー施行した。上行大動脈内膜面に付着する可動性のある約 3cm大の腫瘤性病変を認めた。経食道心エコー施行し上行大動脈に経胸壁心エコー同様可動性のある腫瘤性病変を認め、また大動脈弓部には不安定プラークを広範囲に認めた。再発予防と診断目的に腫瘤除去手術を自治医科大学心臓血管外科に依頼した。手術は大腿動脈送血、上行大動脈遮断にて大動脈壁の一部とともに腫瘤切除を行った。病理診断の結果腫瘤は器質化血栓であった。胸部大動脈内膜血栓は、頻度は少ないが動脈塞栓症の原因となるとも言われており、貴重な症例と考え報告する。
循10 孤立性心房細動に合併した左房内巨大血栓の1例
1獨協医科大学越谷病院 循環器内科、2獨協医科大学越谷病院 臨床検査部
症例は58歳男性。主訴は高血圧、不整脈精査。現病歴は約10年前より、不整脈を指摘。平成22年4月左網膜静脈分枝閉塞および左硝子体出血にて当院眼科に入院。高血圧、心房細動を指摘され、当科紹介初診。初診時現症は身長181cm、体重88kg、胸部聴診上心雑音なし。検査所見における経胸壁心エコー図検査では左房径は76mmと巨大で左房と左心耳との境界部に約4cm大の可動性のない充実性エコーを認めた。経食道エコーでは充実性エコーは左心耳隔壁から左房内へ広茎性に発生し、左心耳内の血流速度は低流速であった。以上より心房細動に合併した左房内巨大血栓が疑われ、心臓血管外科にて左房内血栓除去術およびメイズ手術を施行し、経過良好にて退院した。左房内巨大血栓の多くは僧帽弁狭窄症などの器質的心疾患を合併する例が多いが、今回我々は孤立性心房細動に合併した症例を経験し、貴重な症例と考え報告する。
循11 無症状かつ心電図正常でスクリーニング心エコー検査を契機として冠動脈閉塞が診断され血行再建を行った一例
1東京大学医学部附属病院 検査部、2東京大学医学部附属病院 コンピュータ画像診断学/予防医学講座、3東京大学医学部附属病院 循環器内科
症例は糖尿病と腎不全で通院中の61歳男性。12誘導心電図は正常洞調律、無症状であるが複数の冠危険因子があるため、スクリーニング目的で心エコー検査を施行した。左室壁運動異常はなかったが、左冠動脈の中隔枝に後→前方向の逆行性血流カラードプラ信号および右冠動脈後下行枝の血流量増大を認めた。以上の所見から左前下行枝閉塞で右冠動脈から中隔枝を介した側副血行が存在すると考察した。精査のために行ったタリウム運動負荷心筋シンチでは運動負荷により左前行下枝領域の虚血が誘発された。冠動脈造影では左前下行枝 #7の完全閉塞と右冠動脈から中隔枝を介した側副血行が描出され、心エコー所見と一致した。PCIによる血行再建術を行い、術後の心エコー検査では左冠動脈中隔枝の血流は順行性となった。無症状かつ安静時心電図正常の左前下行枝完全閉塞症例の診断・治療に心エコー検査が役立った症例として報告する。
循12 Lemierre 症候群が疑われた1例
1東邦大学医療センター大橋病院 循環器内科、2同 臨床生理機能検査部
症例は29歳男性。主訴は左頚部痛、発熱。平成22年6月22日頃、アトピー性皮膚炎による左頚部の掻痒感を認め擦過していた。6月24日より倦怠感、発熱を認めたが市販薬の内服にて経過観察していた。6月25日、40度の発熱とともに左頚部の発赤、腫脹を認め近医受診、蜂窩織炎疑いにて入院した。MRI検査にて内頚静脈に血栓像を認め、当院に紹介となった。頚静脈超音波にて左内頚静脈から左腕頭静脈の末梢にかけて可動性のない血栓像を認めた。血液検査では炎症反応の高値を認めた。若年性の特発性の血栓性静脈炎でありLemierre症候群が疑われた。治療については、上大静脈に対して一時的にフィルター留置を行い、抗凝固療法および抗生剤の投与により、軽快した。Lemierre症候群は稀な疾患であり文献的な考察を含めて報告する。
座長:原田 昌彦(東邦大学医療センター大森病院 臨床生理機能検査室)
座長:原田 烈光(アロカ株式会社 研究所)
脈01 NMDとTotal Cholesterol,Triglyceride,LDL-Cholesterolとの間の逆相関
1日本大学医学部 放射線医学系、2日本大学医学部 内科学系神経内科学分野、3藤岡皮フ科クリニック 皮膚科
Nitroglycerin-mediated vasodilation (NMD)は血管平滑筋の拡張反応を検討する為に用いられてきたが,それ自身の機能についての報告は少ない.NMDとTotal Cholesterol(TC)間,Triglyceride(TG)間の関連の報告に基づきNMDとTC, TG,他のlipid との間の相関について検討した.当院神経内科外来を受診した患者64人(脳梗塞19人,片頭痛12人,頸椎症5人,その他28人)において検討した.Flow-mediated vasodilation(FMD)は超音波診断装置(UNEXEF18G)を用いて,右上腕動脈で測定した.測定方法はInternational Brachial Artery Reactivity Task Force のガイドラインに従った.前腕駆血解放によるFMDとNitroglycerin舌下エアゾール(1噴霧)によるNMDを測定した.有意な逆相関がNMDとTC間,NMDとTG間,NMDとLow-Density Lipoprotein (LDL)-Cholesterol間にみられた.NMDはlipid fractionとの関連が強いことが推測された.
脈02 人工膝関節置換術後のDVT発生頻度
1亀田メディカルセンター 超音波検査室、2亀田メディカルセンター 整形外科、3亀田メディカルセンター 消化器内科
【はじめに】今回我々は、人工膝関節置換術前・術後1週・2週にUS法でDVT発生頻度を確認したので報告する。【対象および方法】2009年6月から2010年3月に人工膝関節置換術を行った40名(男性4名、女性36名、平均年齢74.3歳)47膝を対象とし、両側大腿、膝窩、下腿三分枝、筋肉枝静脈を圧迫法、カラードプラ法で検索した。【結果】全置換術で26.2%(42例中11例)、部分置換術で20.0%(5例中1例)に発生し、膝窩静脈1例、ひらめ静脈11例であった。指摘時期は、術後1週に10例、術後2週に2例で、発生肢は、患側8例、健側3例、両側1例であった。【考察】Xa阻害薬フォンダパリヌクスを術後14日間使用し、DVTの拡大を予防できた可能性があり、USで経過を追跡できた。術後DVT発生例の中で、術前にひらめ静脈の拡張を認めていた症例を認め、危険因子の1つと思われ、注意深い観察が必要と考える。
脈03 腎動脈解離を超音波にて捉えた1症例
1東邦大学医療センター大森病院 臨床生理機能検査部、2東邦大学医療センター大森病院 腎センター、3東邦大学医療センター大森病院 心臓血管外科、4東邦大学医療センター大橋病院 臨床生理機能検査部、5東邦大学医療センター大橋病院 循環器内科
【背景】腎動脈解離は極めて稀な疾患であり、超音波像での報告は殆ど認めない。今回、両側腎動脈解離症例を超音波にて経験したので報告する。【症例】49歳女性、2010年6月、左腰背部痛で救急外来受診。脈拍整、腎機能障害および血尿認め超音波施行した。【経過】左腎上極〜中部に腎内血流シグナル欠損を認め、急性腎梗塞と診断した。原因検索目的でCT施行し、左腎動脈解離を認めた。その後、経過観察目的で約3週間後に超音波施行したところ、対側の右腎動脈に、解離によるフラップおよび末梢側腎動脈狭窄を認めた。右腎梗塞発症予防として経皮的腎動脈形成術の適応も考慮し再入院したが、右腎動脈狭窄は徐々に軽減し保存的加療とした。【考察】腎動脈解離の診断には血管造影、CT等が用いられるが、超音波でも十分診断できる可能性がある。特に原因不明の腎梗塞例では、腎動脈解離も念頭に入れ検索することが重要と考えられた。
座長:西岡 真樹子(東京慈恵会医科大学 放射線医学講座 超音波診断センター超音波指導医)
座長:地挽 隆夫(GE ヘルスケア・ジャパン株式会社 超音波研究開発部)
体01 頚部腫瘤との鑑別に超音波検査が有用であった頚部静脈奇形の一例
1日本大学医学部附属病院 内科学系消化器肝臓内科、2日本大学医学部附属病院 皮膚科、3日本大学医学部附属病院 病理学、4日本大学医学部附属病院 形成外科
【症例】25歳男性、小児期より頚部腫瘤を自覚するも放置していた。近年増大傾向を認めるため精査加療目的で受診となる。腫瘤は約3cm大で触診上は弾性軟、血管透見像や拍動は無く、境界は比較的不明瞭で下床との可動性は認めなかった。脂肪腫などの腫瘍性が疑われる所見であった。超音波検査を施行したところ、B-modeでは比較的境界明瞭な腫瘤であり内部は海綿状の小さな隔壁を持った嚢胞性病変であった。ドプラ検査では拍動流ではなく静脈性の血流を受けており通常の血管腫とは異なり静脈系の血管性病変であると診断可能となった。その後同部の一部を組織生検を行い静脈奇形の診断を得た。現在経過観察中で特に変化は認めていない。【まとめ】超音波検査は腫瘤性病変と血管性病変の鑑別に優れ、さらに波形解析を行うことで動脈性か静脈性の判別も可能であることより鑑別診断に極めて有用であった1例を経験したので報告した。
体02 甲状腺乳頭癌であった機能性甲状腺結節の一例
1自治医科大学附属さいたま医療センター 内分泌代謝科、2自治医科大学附属さいたま医療センター 外科、3自治医科大学附属さいたま医療センター 臨床検査部
症例は59歳, 女性. 他院で撮影された胸部CTにて偶然甲状腺腫瘍を指摘され, 精査のため当センター紹介となった. 頚部超音波検査で甲状腺左葉中〜下極に14×16×25mm大の境界やや不明瞭な低エコー腫瘤が描出された. 内部は不均一で粗大な石灰化を伴っていた. malignancyが否定できないためFNACを施行したがclassUであった. CTでは甲状腺周囲への浸潤所見はなかった. 血液検査ではTSH 0.014μIU/ml, FT4 1.58ng/dl, FT3 4.83pg/mlと機能亢進を認め, TRAb, TgAb, TPOAbは陰性であった. 甲状腺シンチ(I123)を施行したところ, 甲状腺腫瘍に一致して集積が見られたことから機能性甲状腺結節と診断した. チアマゾールにて甲状腺機能を正常化させた後に甲状腺左葉切除術を施行したが, 病理学的には甲状腺乳頭癌であった.
体03 Atypical parathyroid adenomaの1例
1自治医科大学附属さいたま医療センター 外科、2自治医科大学附属さいたま医療センター 内科、3自治医科大学附属さいたま医療センター 臨床検査部、4自治医科大学附属さいたま医療センター 病理部
症例は73歳女性.1年前より倦怠感,食思不振が出現し,6か月前にCa20.1mg/dl,intactPTHが2259pg/mlから副甲状腺機能亢進症と診断され当院に紹介.超音波検査では甲状腺右葉背側に3cmのダンベル様の腫瘤を認め,腫瘤の辺縁は比較的整,甲状腺被膜との境界が不明瞭,内部エコーはやや低エコーで均一.高度の高Ca血症と被膜の不鮮明から悪性も否定できず,右副甲状腺腫瘍甲状腺右葉合併切除を施行した.病理結果は一腺の腫大,腫瘍の陥入部に甲状腺組織がひきこまれているが直接浸潤は認めず.核分裂,血管侵襲はなくMIB1index1%以下と悪性所見に乏しく,陥入部に線維化が目立ち,Atypical parathyroid adenomaと診断した.Atypical parathyroid adenomaは病理学的にも術前でも診断が困難とされる稀な副甲状腺腫瘍であり,若干の文献的考察を加え報告する.
体04 直腸癌による転移性甲状腺癌の1例
1自治医科大学 臨床検査医学、2自治医科大学附属さいたま医療センター 総合医学1、3自治医科大学 耳鼻咽喉科、4自治医科大学 臨床腫瘍科
≪症例≫76歳,男性.≪既往歴≫15年前:直腸癌にて手術施行.5年前:左肺転移にて切除術.2年前:脳転移にて腫瘍摘出術.≪現病歴≫今回,CT検査で甲状腺右葉に低吸収域を認め精査となる.≪US≫甲状腺右葉の大部分は形状不整な約3.0×2.7×5.3cmの内部不均一な低エコー腫瘤で置換されており、内部には複数の小さな高エコーを認めた。また左鎖骨上窩にはリンパ門構造の消失したリンパ節を複数認め、既往から直腸癌のリンパ節転移を疑った。甲状腺腫瘤に対して穿刺吸引細胞診を行ったところclass Vであった。直腸癌からの転移が疑われ、甲状腺全摘術が施行された。転移性甲状腺癌は非常に稀であり、その超音波所見はさまざまで、特徴的所見はないとされている。自験例のUS所見と病理の対比を行い、文献的考察を加え報告する。
座長:森久保 寛(栃木県保健衛生事業団医療局)
座長:篠村 隆一(株式会社日立メディコ)
体05 乳癌術後放射線治療後に発生した平滑筋肉腫の超音波所見について
1日本大学医学部 外科学系乳腺内分泌外科分野、2医療法人社団藤崎病院 外科
乳癌術後放射線治療後に皮弁形成部より発生した平滑筋肉腫の1例を経験した.症例は66歳、女性.5ヶ月前より左前胸部の創部下4cmの場所に発赤を伴う腫瘤を認めるも放置していた.左創部下3cmの場所に直径16mmと15mmの潰瘍を伴う皮下腫瘤を認めた.穿刺吸引細胞診ではClassIIIbの結果であった.超音波検査で腫瘤は充実性であり、内部エコーは不均一であり、後方echoは増強していた.Doppler echoでは腫瘍辺縁に一部血流信号を認めた.造影CT検査では直径2cmの造影効果のある腫瘤として描出された.乳癌の局所再発または皮膚転移を念頭に確定診断および局所のcontrol目的で摘出生検を施行した.病理組織検査では平滑筋肉腫と診断された.全身検索を施行するも明らかな転移病変を認めなかった.術後1年目の現在、無再発生存中である.
体06 3次元超音波検査による乳癌の乳管内進展の検討
1国立がん研究センター中央病院 臨床検査部、2国立がん研究センター中央病院 放射線診断科
乳癌の乳管内進展の評価に3次元超音波検査が有用であった症例を経験したので報告する。対象は病理組織学的に乳管内進展を認めた乳癌4病変である。超音波診断装置はAplio XG、探触子は4次元用リニアプローブPLT-1204MV(周波数Diff-THI 14MHz、視野幅38mm、スキャン角度30度)を使用した。探触子内の自動走査により取り込んだボリュームデータを用いて、任意の断面による冠状断面マルチスライス画像をはじめとする3次元画像の構築を行った。3病変で乳腺腫瘍から進展する不規則な索状エコーを描出でき、そのうち1病変で索状エコー内に高エコースポットを認識できた。使用探触子は、自動走査方式であることから用手法に比べ操作が簡便であり、形態および位置情報のより正確なボリュームデータを得ることができる。これを3次元解析することで、通常の超音波画像よりも乳管内進展の明瞭な描出が可能となり、乳癌の広がり診断に有用であると考えた。
体07 非典型的な超音波画像を呈した乳管腺腫の1例
1社会保険中央総合病院 臨床検査部、2社会保険中央総合病院 外科、3社会保険中央総合病院 病理部
今回我々は、超音波画像で興味深い所見を呈した乳管腺腫の1例を経験したので報告する。症例は70歳女性。健診の超音波検査にて、楕円形の嚢胞の内部に立ち上がりが急峻な充実性病変を認めた。嚢胞内乳頭腫を疑い、外科受診となった。精査時の超音波検査では嚢胞部分が消失し、内部エコー不均質、点状高輝度エコーを伴う充実性腫瘤となっていたことから、悪性病変を疑い細胞診を施行した。二相性不明瞭で増殖所見を有するductal cell clusterが採取されたが、良悪の鑑別は困難であった。そこで、後日組織診を施行し、小型腺管の密な増生巣より成り、部分的に硝子化を伴った線維性間質や間質内で腺管が偽浸潤様を呈している所見から、乳管腺腫と診断された。 内部エコーが変化したことから第一に非浸潤性乳管癌を疑ったが、悪性と間違われやすい乳管腺腫も鑑別疾患の一つとして念頭に入れておく必要があると思われる。
体08 造影超音波による治療開始後早期における乳癌術前化学療法の効果予測の可能性
1東邦大学 医学部 一般・消化器外科、2東邦大学医療センター大森病院 臨床生理機能検査部、3東邦大学医療センター大森病院 病院病理部、4東邦大学医療センター大森病院 放射線診断部
背景:IRBの承認のもと、乳腺疾患に対して造影超音(CEUS)を行っており、乳癌術前化学療法(NAC)の治療効果予測にも用いている。NACの治療効果を早期に予測することは、その有効性やその後の治療計画、医療経済の面でも重要である。目的:CEUSによるNAC早期での治療効果予測の可能性とその要点となる造影所見を検討する。方法:CEUSにて術前化学療法の経過観察を行った浸潤性乳管癌10症例。造影剤はソナゾイドを用い、超音波診断装置はaplio XG、探触子は高周波リニアプローブPLT-805ATを使用。NACは、FEC100に続けてTXT75を各4コースを施行。CEUSはNAC前後とFEC100の3コース目直前とTXTの2コース目直後の4回施行。効果はpCR以外は、CEUSでのNAC前の造影部分の最大径と病理検体上の腫瘍最大径を比較して判定。1回目のCEUS所見と比較した2回目の所見からNACの効果が推測可能であるかを検討した。
体09 乳房造影超音波検査におけるTissue Suppression 法の有用性
1東邦大学医療センター大森病院 臨床生理機能検査部、2東邦大学 一般・消化器外科、3東邦大学医療センター大森病院 病院病理部、4東芝メディカルシステムズ(株) 超音波開発部
倫理委員会承認のもと,文書によるICを得た上で,乳房腫瘤に対するSonazoid造影超音波検査(以下CEUS)を行っている.今回我々は,高調波成分を基本波成分で規格化する映像法(Tissue Suppression法[1])の試作にて乳房腫瘤に対するCEUSを行う機会を得たので,その有用性を報告する.Sonazoidは肝臓での推奨投与量(0.015ml/kg)の半量を静脈内投与.超音波診断装置はAplioXG,高周波リニアプローブ(PLT-805AT)を使用.従来のPulse Subtraction modeとTissue Suppression 法それぞれで観察,比較した.Tissue Suppression 法では組織信号が抑制され,また染影輝度はPulse Subtraction modeと同程度に観察できた.Tissue Suppression 法は,乳腺組織内の微細なマイクロバブル信号を明瞭に映像化でき,臨床上有用な撮像法であることが示唆された.[1]吉田他:日超医第82回抄録集,Vol.36,82-A-025 (Suppl.) (2009.5)
座長:石塚 修(信州大学医学部 泌尿器科)
座長:山口 匡(千葉大学フロンティアメディカル工学研究開発センター)
泌01 転移性腎腫瘍の一例
1杏林大学医学部 付属病院検査部、2同 泌尿器科、3同 外科、4同 病理学、5同 第三内科、6同 臨床検査医学
転移性腎腫瘍を画像的に診断する機会は稀である。今回、食道癌腎転移の一例を経験したので報告する。症例は食道癌の手術歴がある60代男性。血尿の精査目的で施行した腹部超音波検査で、右腎下部に60×46×44mmの輪郭不整で境界不明瞭な腫瘤を認めた。腫瘤は腎実質と等エコーであるがやや不均一であり、腎実質から中心部エコー像内に突出していたが、腎の輪郭は比較的保たれていた。ドプラでは周囲腎実質に比して血流信号が乏しく、造影CTでも乏血性腫瘍として描出された。血液検査ではSCCが4.5ng/mLと高値であった。以上より、特殊な腎癌または転移性腎腫瘍を疑い、右腎摘出術を施行した。腫瘍は病理学的には扁平上皮癌であり、既往にある食道癌の転移と診断した。転移性腎腫瘍の超音波画像は原発巣や大きさにより異なるが、悪性疾患の経過中に本症例のような所見を認めた場合、転移性腎腫瘍も念頭において精査を行うべきと考えられた。
泌02 新規腎癌患者発見契機の検証:超音波検査の意義
信州大学医学部 泌尿器科
【目的】健診やドックにおける超音波検査において、腎腫瘍が偶然に発見されることがあり、スクリーニング検査として有意義と思われる。では、現実的にどれ位の頻度で発見されるものであろうか。発見される契機としての超音波検査の意義を検証するために、2009年に当科で加療を行った腎癌患者の発見契機を検証した。【対象と方法】52名の新規腎癌患者の発見契機を調査した。【結果】CTが39名(75%)で最も多く、しかも何も症状を認めずに、偶然に撮影されたCTで発見されたのが33名(85%)であった。次に多かったのは超音波検査で12名(23%)が発見されており、健診を含めた偶然の発見は4名(33%)であった。その他の超音波検査の施行理由は、血尿の精査が4名、排尿障害の精査中が2名、その他が2名であった。【結語】腎癌の発見契機として、偶然に施行されたCTが多かったが、超音波検査も少なからず有効な手段であることが示唆された。
泌03 超音波所見にて精巣上体炎と診断され発見された血管性紫斑病
東邦大学医療センター大森病院 泌尿器科
精巣上体炎を契機に発見された血管性紫斑病について検討を行う。血管性紫斑病とは全身性の非特異的な血管炎による浮腫を主体とし、病因は明確にされていないが、溶連菌感染による咽頭炎が前駆症状として多い。本症における泌尿器関係の症状としては、急性陰嚢症のほかに血尿と伴う腎障害が一般的であり尿管への侵襲も報告されている。当科では過去に3例の症例を経験した。いずれも超音波所見上、血流増多を伴う精巣上体の腫大を認めた。成人での血管性紫斑病でも同様の所見が得られる。症例は5歳、11歳、12歳。いずれも陰嚢の腫脹、疼痛を主訴に来院。超音波所見上、血流増多を伴う精巣上体の腫脹を認め、精巣捻転症は否定的であり、尿路感染も認めなかった。2例は下肢紫斑を認め、1例は他の採血結果にて血管性紫斑病と診断された。 成人と小児の精巣上体炎の超音波所見とを比較した上で、血管性紫斑病について若干の考察を加え報告する。
泌04 超音波検査にて指摘されたソケイ部膀胱ヘルニアの1例
1東京逓信病院 放射線科、2東京逓信病院 外科
鼠径部ヘルニアは日常診療上遭遇する頻度の高い疾患の1つである。内容の大半は小腸と大網の脂肪織であるが、まれな例として虫垂、子宮、膀胱、結腸などが報告されている。腹部超音波検査が診断の契機となった鼠径部膀胱ヘルニアの一例を経験したので報告する。【症例】81歳,女性。2009年末より尿貯留時に下腹部腫瘤を自覚。精査目的でUSを施行した。【画像所見】USにて右鼠径部にのう胞性腫瘤を認め、膀胱との連続性が見られた。MRI上も同様に右鼠径部にのう胞性腫瘤を認め、圧排により扁平化し、膀胱容量の増加がみられた。膀胱造影にて膀胱ヘルニアが確認された。【臨床経過】上記診断にてヘルニア根治術が施行された。術後経過は良好である。【結語】鼠径部膀胱ヘルニアの診断に超音波が有用であった一例を経験したので、ここに報告した。
泌05 小児水腎症の経過観察における,超音波による腎盂前後径の計測
1長野市民病院 泌尿器科、2長野県立こども病院 泌尿器科
先天性水腎症では,初診時の評価から経過観察に至るまで,超音波検査が中心的役割を果たしている.水腎の形態的評価にはSFU分類がひろく用いられるが,水腎の大きさを評価する計測値は一定していない.拡大腎盂の前後径を経時的に計測することで,水腎の自然軽快や悪化を評価した.また,腎盂形成術後の腎盂の縮小を前後径で評価した.経過観察中の18腎(腎盂尿管移行部狭窄15腎,膀胱尿管移行部狭窄3腎)では,SFUグレード,前後径ともに有意な悪化はみられていない.経過観察中にSFUグレード,前後径ともに悪化した4腎では,腎盂形成術が必要となった.腎盂形成術後の経過観察10腎では,SFUグレードの低下は8腎に見られ,腎盂前後径は全10腎で縮小した.SFU分類に加え,腎盂前後径の計測は水腎の経時的な比較に有用であった.
座長:上妻 志郎(東京大学医学部附属病院 女性診療科・産科)
座長:浜田 賢治(東芝メディカルシステムズ株式会社 超音波開発部)
産01 当院産科における超音波スクリーニング検査に関するアンケート調査
国立病院機構西埼玉中央病院 産婦人科
【目的】当院においては胎児異常の早期発見を目的として妊娠中にスクリーニング検査を実施している。検査時間は15〜20分間程度で、検査は超音波専門医により毎週金曜日に完全予約制で実施されているが、将来的には超音波検査士による検査の導入も検討している。今回、検査に対する被検者の意識を調査するためアンケート調査をおこなったので報告する。【方法】検査終了後にアンケート用紙を配布し、無記名で回答してもらい回収した。【結果】検査時間や検査内容の説明には大多数が適当と回答していたが、予約日時に制限が大きいことへの改善希望の意見が多かった。また、検者がもし超音波検査士に変更なったら、との設問に対しては否定的な回答も多かった。【結語】現在当院で行っているスクリーニング検査に対しては概ね高い満足度が得られているが、超音波検査士による検査の導入には今後さらに理解を得られるように努める必要があると考えられた。
産02 Three-vessel trachea view のスクリーニング
1木下産婦人科クリニック、2自治医科大学附属さいたま医療センター、3埼玉県立小児医療センター 循環器科、4神奈川県立こども医療センター 新生児科
【緒言】胎児心エコーにおいて3 vessel trachea view のスクリーニングの重要性は増している。今回われわれは、3 vessel trachea view に異常を示した症例を経験したのでここに報告する。【症例】右鎖骨下動脈起始異常は、カラードプラ法とパルスドプラ法を組み合わせることでスクリーニングできた。右大動脈弓-左下行大動脈-左動脈管の血管輪形成は気管狭窄、呼吸困難、などが臨床的に問題となる。3 vessel trachea view から通常左に位置する下行大動脈が右に位置していることを確認することでスクリーニングできた。【考察】大動脈弓異常は、今まで胎児診断されることは少なかった。しかし、3 vessel trachea viewの観察で十分スクリーニング可能である。これらは心疾患や染色体異常に合併したり呼吸困難から生命にかかわることもあり、その胎児診断の意義は大きい。【結語】Three-vessel trachea view のスクリーニングによって、血管輪を形成する様な大動脈弓異常も十分胎児診断可能であり、その予後の改善につなげることができると思われた。
産03 胎児染色体異常におけるエコースクリーニングの有用性
1木下産婦人科クリニック、2海老名総合病院 マタニティーセンター、3神奈川県立こども医療センター 新生児科
【緒言】近年の超音波機器の進歩により、胎児染色体異常もある程度評価可能である。今回われわれは、胎児エコースクリーニングで染色体異常を疑い高次施設に紹介した例を経験したので報告する。【症例】症例1は小脳低形成、VSD、弁異形成、ロッカーボトムの所見で18トリソミーを疑い高次施設に紹介した。妊娠35週羊水過多症で羊水穿刺この時点での染色体検査で18トリソミーを確認し、妊娠36週6日に死産。1734g女児、耳介低位、上肢の屈曲、overlap finger, rocker bottom foot、骨盤低形成、食道閉鎖(カテーテル挿入で確認)など外表上の所見より18トリソミー症候群に矛盾せず。症例2は全前脳胞症、口唇裂、ファロー四徴症の所見で13トリソミーを疑い高次施設に紹介した。妊娠27週の染色体検査にて18番染色体短腕欠損であった。妊娠34週5日経腟分娩で1500g男児 Ap1/6、右BTシャント術施行、現在NICUで管理中。
【考察】胎児染色体異常のなかでも18トリソミーや13トリソミーなどの予後は悪い。これらのスクリーニングは超音波異常所見で妊娠早期でも十分可能であり、本邦の遺伝学的検査に関するガイドラインによる胎児染色体検査の早期適応につなぐことができる。
【結語】重篤な染色体異常の一部は、その超音波異常所見よりある程度妊娠早期のスクリーニングも可能である。これにより胎児染色体検査早期施行の選択や、遺伝相談・心理的カウンセリングが可能な高次施設への円滑な紹介が可能になると思われた。
産04 AI(Augmentation Index)を用いた胎仔血流の評価の可能性
東海大学 専門診療学系産婦人科
目的: AI (Augmentation Index)は動脈圧波形で認める収縮中期の二次的な圧上昇の原因とされる反射波による振幅から求める。本研究では羊胎仔下行大動脈血流量とドプラ血流速度波形血管径拍動波形との関連を検討した。方法: 母胎全身麻酔下に胎仔の大腿動静脈にカテーテルを挿入し、下行大動脈に電磁流量計、ドップラーカフを装着し、胎仔動脈圧、電磁流量、ドップラー血流速度、下行大動脈血管径拍動波形を記録した。またドーパミン投与に伴うAIの変動について解析した。結果:血管径波形からの動脈壁の粘弾性の評価にてドーパミン投与後のAIは減少し、心拍数増加と反射波の減少を認めた。考察: 血管壁の伸展性が低下すると反射波が早く戻り収縮期血圧に加わる。AIはこの増大を表しており、ドーパミンによりAIが減少したことは臨床薬理作用と合致した。AIは胎児においても血流動態の指標となると思われる。
座長:田中 守(慶應義塾大学医学部 産婦人科)
座長:橋本 浩(GE ヘルスケア・ジャパン株式会社 超音波研究開発部)
産05 両側軽度脳室拡大を呈した胎児透明中隔嚢胞の1例
1新潟大学医歯学総合病院 総合周産期母子医療センター産科、2新潟大学医歯学総合病院 総合周産期母子医療センターNICU、3新潟大学医歯学総合病院 脳神経外科
【緒言】透明中隔腔は、生後2〜3ヶ月で消失し、脳梁下で側脳室前角に挟まれた胎児期に見られる正常余剰腔である。【症例】30代,0妊0産。妊娠28週時、透明中隔腔の拡大と両側側脳室後角の拡大を指摘された。透明中隔腔最大幅は13.2mm。両側側脳室後角幅は11mm台と軽度脳室拡大を呈していた。胎児MRIから透明中隔嚢胞に伴うモンロー孔閉塞により両側側脳室拡大を生じている可能性が考えられた。児頭大横径(BPD)は+3.0SD以上, 頭周囲長(HC)は+3.0SDと拡大を認めていたため、妊娠38週選択的帝王切開術を施行した。男児, 3312g, Apgar score 8/9点(1分/5分値)で出生となった。出生後は、脳圧亢進に伴う臨床症状は認められずに外来管理中である。【考察】胎児透明中隔嚢胞は、頭蓋内正中嚢胞性病変および脳室拡大を呈する鑑別診断の一つとして重要であると考えられた。
産06 一児に血管輪を認めた一絨毛膜二羊膜双胎の一症例
北里大学病院 産婦人科
【症例】36歳、2経妊2経産、自然妊娠。妊娠24週にT児の下行大動脈が脊椎の右側を走行しており、3vessel trachea viewにおいて大動脈と動脈管の間に気管が認められた。以上より右側大動脈弓と動脈管による血管輪と診断した。羊水過多は認められなかった。U児の血管走行には異常を認めなかった。切迫早産のため31週から入院管理し、切迫徴候の進行と先進児骨盤位のため35週6日に帝王切開を施行した。T児2372g、Ap8/9の女児、U児2232g、Ap8/9の女児で、TTTSの所見は認められなかった。T児は一時的に酸素投与を行ったが、呼吸状態良好のため翌日中止した。日齢4日に施行した3D-CTでは右側大動脈弓と索状となった動脈管の間に気管を認め、血管輪と診断した。肺機能シンチでは左下葉の換気血流障害を認めた。日齢17日に退院、現在生後3カ月で呼吸状態は良好である。
産07 妊娠中期に臍帯相互巻絡により子宮内胎児死亡となった無心体双胎の1例
順天堂大学附属順天堂浦安病院 産婦人科
一絨毛膜性一羊膜性双胎(以下MM双胎)は臍帯相互巻絡のリスクが指摘されている。今回我々は無心体児の血流に乏しく胎児治療の適応はないと考えていたが、臍帯相互巻絡によって子宮内胎児死亡を起こしたMM双胎を経験したので報告する。症例は33歳、1経妊0経産で自然妊娠後MM双胎を疑われ紹介受診となった。MM双胎であるが更にT児が無心体と考えられた。無心体児の臍帯血流は消失し、発育も認められないことから胎児治療の適応はないと考えられた。正常児の発育は順調だったが、妊娠22週に子宮内胎児死亡が確認された。両児の臍帯付着部は近傍にあり相互巻絡を認め、子宮内胎児死亡の原因と考えられた。無心体双胎は胎児鏡下手術が行われ良好な成績を得ている。今回の症例では胎児鏡の適応ではなく、臍帯相互巻絡を発症し不良な結果となった。無心体のようなハイリスク妊娠は様々なリスク因子が存在し、妊娠管理には慎重を要する事が再認識された。
産08 帝王切開後に発症した仮性子宮動脈瘤の一例
東海大学 専門診療学系産婦人科
【諸言】仮性子宮動脈瘤は産後大量性器出血や腹腔内出血を来たし、時として出血性ショックの原因となりうる。近年IVR(interventional radiology)の普及に伴い、子宮動脈塞栓術という治療法は確立されているが、早期診断には困難を伴うことも多い。今回我々は帝王切開後に発症した仮性子宮動脈瘤の一例を経験したので報告する。【症例】32歳2経産、帝王切開後の多量の性器出血と高度の貧血を認め、当院救急搬送となった。MRI検査では、内子宮口左側に2cm大の血腫を認め、また、経腟超音波検査において同様に子宮左側に2cm大の血腫と内部に動脈性の豊富な血流を有する低輝度領域を認めた。以上の検査結果より、子宮動脈末梢の仮性瘤破裂による性器出血の持続と診断し、子宮動脈塞栓術を施行した。【結語】仮性動脈瘤の診断にはカラーフローマッピングを用いた超音波検査が、治療には子宮動脈塞栓術が有用であった。
産09 プルーン摂取開始後、動脈管早期閉鎖をきたした一例
慶應義塾大学医学部 産婦人科
【症例】36歳、1経妊1経産。妊娠35週時の健診では超音波検査にて異常は認められなかった。妊娠37週6日、超音波検査にて胎児の胸腹水を指摘され、当院へ紹介となった。当院受診時の超音波検査では、胎児胸腹水、羊水過多、肺動脈拡張、右心不全兆候を認めた。カラードプラ法にて動脈管血流を認めなかったため、動脈管早期閉鎖による胎児水腫と診断し、直ちに帝王切開術を施行した。児は3990g、男児、Apgar score 4/9点 (1分値/5分値)、出生直後の心臓超音波検査にても動脈管閉鎖が確認された。生後経過は良好であり日齢16日に退院となった。出生後詳細な病歴聴取により、胎児水腫発症1週間前より便秘に対し濃縮プルーンの摂取を開始したことが判明した。
【まとめ】妊娠中のアントシアニンを含有する濃縮プルーンの摂取については動脈管早期閉鎖の可能性を考慮し、慎重な対応を行うことが必要であると考えられた。
座長:小川 眞広(駿河台日本大学病院 内科)
座長:田川 憲男(首都大学東京 システムデザイン学部)
基01 Optical flowを用いた、頸動脈壁全周囲厚み時間変化計測
GEヘルスケア・ジャパン株式会社 超音波技術製造本部・超音波研究開発部
【目的】Optical flow法を用いた、頸動脈壁の全周囲に対する厚み時間変化の計測可能性を検討した。【方法】頚動脈壁の動きを追跡するために、Lucas-Kanade法を画像ピラミッドで反復利用したoptical flow法を使用した。まず、予め移動量の判っているBモード擬似動画を作成し、その動画に対してoptical flowによるトラッキングを行なうことにより、両者の動きの一致性を確認した。次に、頸動脈短軸Bモード画像の壁の一組の厚さを複数心拍分トラッキングすることにより、計測の再現性を確認した。【結果】Optical flowそのものの精度は高く、サブピクセルレベルの動きにも追従している。複数心拍分のトラッキングの結果から、再現性に関しても問題ないことが確認された。【結論】解析に用いるBモード画像の品位がある程度以上確保されている必要はあるが、optical flow法を用いることにより、頸動脈壁の全周囲厚の時間変化を計測できる可能性が示唆された。
基02 腹腔鏡手術時における臓器表面及び内部情報の重畳表示手法の提案
千葉大学 フロンティアメディカル工学研究開発センター
腹腔鏡手術は開腹手術に比べ切開創が小さいことなどから低侵襲な手技として注目されているがその性質上術野の情報は内視鏡からの映像のみとなり、腹腔内の表面情報のみが頼りとなる。これを補うため術前に撮像したCTやMRIなど深部の情報や組織情報を実際の内視鏡映像に重ねるシステムが考案されている。しかしこれらの問題点として術前に撮影したCTやMRIなどと実際に手技中では患者の体勢や体腔内の状態が異なるためその情報を統合することは困難であることがあげられる。本研究では前述のものと違いリアルタイムで画像を構築でき組織内部情報を表示可能な超音波画像を用いることで内視鏡画像による臓器表面情報と内部情報との重畳表示を行う手法について検討を行った。検証は生体を模したファントムを用い、各々のモダリティでその表面情報を推定・構築し、それらを基に二つの位置合わせを行い、同時に表示するシステムを構築した。
基03 コロトコフ音の波形解析による循環機能検査に関する研究 ―若年者と高齢者の波形比較―
1桐蔭横浜大学 工学部・電子情報工学科、2桐蔭横浜大学 工学部・ロボット工学科
血圧測定時に発生するコロトコフ音の波形を解析することにより、新しい健康指標値の検討を行っている。計測システムは通常の水銀血圧計に加えて円盤型マイクロホンとノートPCおよびイヤホンという構成であり、誰でも比較的簡単に波形を計測することができるという特徴をもっている。本研究では、学内の若年者(20代)と近隣のデイケアセンターに通う高齢者(60代以上、10数名)の協力を得て検討用データを取得した。今回は上腕部のコロトコフ音波形を微分することで得られる加速度波形を用いて、若年者と高齢者の波形比較を行った。その結果、顕著な差があることが明らかになった。また、比較のためにBCチェッカーを用いて指尖部の抹消血管部から得られる加速度脈波パターンとの比較検討も行ったので報告する。
基04 振幅分布モデルに基づく肝炎線維化の定量評価の安定性解析
1東京工業大学 大学院理工学研究科機械制御システム専攻、2千葉大学 フロンティアメディカル工学研究開発センター
われわれは,超音波定量診断手法確立の一環として,肝炎線維化の定量評価を目的としたエコー信号の解析手法の検討を行っている。病変進行度と振幅分布特性間の定量モデルとして2 つのレイリー分布の組み合わせにより表された振幅分布を用いたところ,病変進行に伴う線維化を安定に定量化できる可能性を確認した。本稿では,振幅分布モデルから算出される評価パラメータの安定性をシミュレーションにより検討し,実際に臨床データから算出される評価パラメータと比較した。その結果,正常肝の場合,臨床データはシミュレーションと同じ傾向で分布していることがわかり,統計的ばらつきのみにより表せることがわかった。そして、病変が進行すると,シミュレーションから説明できる統計的ばらつきだけではなく,臨床的なばらつきを持つようになり,広い範囲に分布していることがわかった。
座長:今井 康晴(東京医科大学 消化器内科)
座長:山越 芳樹(群馬大学大学院工学研究科)
基05 超音波照射下におけるマイクロカプセルの生体内制御性向上のための凝集体形成法の検討
1東京農工大学、2名古屋大学、3国立成育医療センター
我々はこれまで、薬物を内包したマイクロカプセルを用いたDDSの実現のため、音響放射力がカプセルに作用する力を利用し、分岐を有する流路においてカプセルが流れる経路を能動的に選択する手法を検討してきた。そして分岐部付近のみに音波を照射することに加え、分岐上流にも音波を照射し凝集体を形成することで、カプセルの誘導効率を向上させることに成功した。今回は分岐上流における照射音波の周波数を1[MHz]から10[MHz]まで変更し、カプセルの誘導に最適な照射条件の検討を行った。その結果、周波数の違いによって形成する凝集体の挙動が異なることを確認し、1[MHz]よりも10[MHz]のような高い周波数のほうが凝集体の大きさが定常状態に達するまでの時間が短いといった結果を得た。これから最適な凝集体形成パラメータを選択することで、生体内でのカプセルの制御効率を向上できる可能性が示唆された。
基06 信号長の長い変調超音波を送受波するための送受波分離回路
1芝浦工業大学 大学院工学研究科電気電子情報工学専攻、2芝浦工業大学 システム理工学部電子情報システム学科
«目的»一般の超音波診断装置では短パルス超音波を送波しているが、信号長の長いチャープ波でも同等の断層像が得られる可能性がある。しかしチャープ波を用いる場合、信号長が長いため送波信号と受波信号が時間軸上で重なる。そのため送波と受波の振動子を別々に用意する必要があるがアレイを構成する上で振動子が2倍になる問題がある。そこで今回は1つの振動子で送受波するための送受波分離回路を検討した。
«方法»送受波分離回路はハイブリッドとバラン、及び疑似負荷から構成される。ハイブリッドで送波信号を送受波器と疑似負荷に分配し、バランで両者の差を検出する。送受波器と疑似負荷のインピーダンスが同じであれば、バランからはエコー信号のみが検出される。
«結果»簡易に作成した疑似負荷を用いた実験では、受波信号中の送波信号を約1/10まで抑圧できた。
基07 ソニック結晶構造による音響レンズの集束音場解析
1神奈川大学 工学部電子情報フロンティア学科、2独立行政法人港湾空港技術研究所 施工・制御技術部、3防衛大学校 地球海洋学科
均質な媒質中に円柱状のロッド(音速cl=5600m/s,半径r,格子間隔a、r/a=0.4)を正方格子或いは三角格子に配置した周期構造中(ソニック結晶と呼ばれる)の音波伝搬は,この周期構造によって変調を受け,均質な媒質中の音波伝搬とは異なる特異な性質を持ち、ブロッホの定理に基いたバンド構造が現われる.即ち,ある波長の音波は散乱されることなくソニック結晶中を伝搬し,ある波長の音波(正方格子の場合λ≒2a)はどの方向にも伝搬できない全反射の性質を呈する.またある周波数領域では、負の実効的屈折率が得られる。このような特異な性質を利用することにより,周波数選択フィルタ,音波の集束レンズ機能等が実現可能となる.この伝搬と非伝搬を制御するために,平面波展開法による分散特性(周波数ωと波数ベクトルk)の計算,有限時間差分法による音波の波動伝搬特性を計算し,新しい音響デバイスの可能性について議論する.
基08 水熱合成法を用いTi円筒外側面にPZT多結晶膜を成膜した堅牢なキャビテーションセンサの試作および評価
1桐蔭横浜大学 大学院 工学研究科 医用工学専攻、2産業技術総合研究所 計測標準研究部門、3東京工業大学 大学院 総合理工学研究科 物理情報システム専攻
現在、医用超音波技術では、高強度の超音波を高頻度で照射する傾向が高くなってきている。キャビテーションが生体内で生じると、組織の破壊作用などの危険な作用があると危惧されている。英国のNPLはPVDFを用いて空間分解能を有するキャビテーションセンサを開発したが、寿命が短いという短所が指摘されているようである。そこで、我々は水熱合成法を用い、チタンパイプの外側にPZT圧電膜を成膜し、その外側に独立気泡の音響アイソレータを装着した堅牢な構造の筒型キャビテーションセンサを試作して、キャビテーションの空間分布を測定し、その妥当性を検討した。センサの出力波形の周波数解析を行いBIV(広帯域積分電圧)や分調波レベルやSCL(ソノケミカルルミネッセンス)の発光パターンに注目して、作製したセンサを評価した。BIVの空間分布の測定結果をSCLによる発光パターンと比較すると類似のパターンを示すことも確認できた。