日本超音波医学会

地方会抄録号

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社団法人日本超音波医学会第37回関西地方会学術集会抄録教育講演

【教育講演】 | 【Pros and Consセッション】 | 【ランチョンセミナー1】 |
【ランチョンセミナー2】 | 【講習会】

一般演題
【循環器1(弁膜症)】 | 【循環器2(感染性心内膜炎)】 | 【循環器3(心機能)】 | 【循環器4(心臓腫瘤)】 |
【循環器5(虚血性心疾患)】 | 【消化器1(肝臓・脾臓の定量的評価)】 | 【消化器2(膵臓)】 |
【消化器3(肝臓)】 | 【消化器4(肝臓)】 | 【血管1(頸動脈)】 | 【血管2(動脈・静脈)】 | 【体表・甲状腺・経頭蓋】 | 【乳腺1】 |
【乳腺2】 | 【循環器6(左室流出路狭窄・心筋症)】 | 【産婦人科】 | 【腎・泌尿器】 | 【循環器7(血栓・塞栓)】 |
【循環器8(心膜疾患・弁膜症術後)】 | 【消化器5(消化管)】 | 【消化器6(肝臓・エコー教育)】 | 【消化器7(腹腔内疾患・腫瘍)】 | 【消化器8(胆嚢・胆管・脾臓)】 | 【消化器9(消化管)】 | 【消化器10(消化管)】 |

【教育講演】

座長1:田内 潤(大阪労災病院 循環器内科)

『院内急変時の対応について:病院は安全か?』

野々木 宏

国立循環器病研究センター 心臓血管内科部門

 病院で提供される医療の質に注目が集まり、心停止をはじめとした院内での急変症例に対する対応は施設の安全対策の確立として重要なテーマのひとつとして注目されています。 AED(自動体外式除細動器)の普及が進みつつあり、医療施設においても安全対策の一環としてAEDの配備が進んでいます。しかし、救命率を上昇させるためには、AEDを有効に機能させるための職員の認知の向上、心肺蘇生法教育の普及などAEDを救急システムの一環として捕らえた上での取り組みが必要であり、行われている蘇生処置の客観的評価、それに基づく検証と現場へのフィードバックが不可欠です。  院外心停止についての把握と対策は、全国登録が実施され実態が明らかとなり対策が講じられようとしています。院内急変例の実態はなお明らかでなく、その対策を含めわが国での標準的な指針の確立が待たれています。  急変例は病棟の症例のみではないことがわかり病院全職員の取り組みが必要ということが判明したことも踏まえ、院内心停止の全例登録の取り組みから提言された救命対策とその実践についてお話をし、本日の内容が各施設における取り組みの一助となれば幸いです。 

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【Pros and Consセッション】

循環器領域T

座長1:太田 剛弘(府中病院 循環器科)
座長2:上松 正朗(関西労災病院 循環器科)

『E/e'は拡張能の評価に有用か?』

(賛成派)平野  豊(近畿大学医学部 循環器内科)、(反対派)岩倉 克臣(桜橋渡辺病院 循環器内科)

循環器領域U

座長1:林  英宰(河内総合病院 循環器科)
座長2:西野 雅巳(大阪労災病院 循環器科)

『3Dは心疾患の診断に有用か?』

(賛成派)阿部 幸雄(大阪市立総合医療センター 循環器内科)、(反対派)石井 克尚(関西電力病院 循環器内科)

消化器領域T

座長1:中村 武史(関西電力病院 消化器内科)
座長2:畠  二郎(川崎医科大学 検査診断科)

『肝腫瘍以外の診断・治療にSonazoid適応拡大が必要か?』

(賛成派)高倉 玲奈(大阪府立成人病センター 検診部)、(反対派)阪上 順一(京都府立医科大学 消化器内科)

消化器領域U

座長1:松田 康雄(八尾徳州会総合病院 外科)
座長2:今井 康陽(市立池田病院 消化器内科)

『肝細胞癌の治療には造影剤が必須か?』

(賛成派)南  康範(近畿大学医学部堺病院 消化器内科)、(反対派)恵荘 裕嗣(大阪赤十字病院 消化器科)

消化器領域V

座長1:椎名 毅(京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻)
座長2:岡 博子(大阪市立十三市民病院 内科)

『超音波は肝線維化の診断に有用か?』

(賛成派)田中 弘教(兵庫医科大学 超音波センター、肝胆膵内科)、(反対派)矢田 典久(近畿大学医学部 消化器内科)

産婦人科領域

座長1:千葉 喜英(千葉産婦人科)
座長2:川鰭 市郎(国立病院機構長良医療センター 周産期診療部)

『3Dは医学的に役立つか?』

(賛成派)増崎 英明(長崎大学医学部 産婦人科)、(反対派)佐藤 昌司(大分県立病院 総合周産期母子医療センター)

腎・泌尿器科領域

座長1:秋山 隆弘(堺温心会病院 泌尿器科)
座長2:金子 茂男(北彩都病院)

『経腹的エコーで前立腺疾患は診断可能か?』

(賛成派)落合  厚(愛生会山科病院 泌尿器科)、(反対派)小島 宗門(名古屋泌尿器科病院)

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【ランチョンセミナー1】

座長1:赤阪 隆史(和歌山県立医科大学 循環器内科)

37LS-1 ACUSON SC2000に搭載されたKnowledge-Based Workflowに基づく心機能自動計測

平山 秀男

持田シーメンスメディカルシステム株式会社 マーケティング部

 ACUSON SC2000は、左室全体(90°× 90°)の3Dデータを1心拍で取得可能にした最新鋭の3D装置です。しかし、この装置の優れている点は、3Dデータの取得に留まりません。それが、シーメンス独自のデータベースに基づくKnowledge-based workflowの搭載です。この機能を搭載することで、3Dデータから基本断面を自動的抽出し、3Dによる左室容量を完全自動化することに成功しました。さらに最新バージョンでは、このKnowledge-based workflowを進化させ、心機能計測の自動化を、ルーチン検査項目にまで拡張させました。これにより検査時間の著しい短縮と計測値の客観性が一度に実現可能になり、心エコー図検査のワークフローの改善に貢献いたします。『自動計測って信用できるの?』と疑問に思われている方、騙されたと思って、一度試してみませんか?

37LS-2 日立超音波診断装置の最新技術

香西 和久

株式会社日立メディコ マーケティング統括本部 US戦略本部

 当社は、2010年コンパクトプレミアムクラスであるHI VISION Aviusを発売した。この装置は、昨年発売したハイエンド機HI VISON Preirusの設計思想・技術を踏襲した上で小型化した装置である。それぞれの装置は、高画質化技術・操作性・アプリケーションソフトも共有することにより、研究から臨床の現場まで幅広く役に立つラインナップとなっている。例えば、高画質化技術である空間コンパウンド法は、Preirusにより改良が加えられVersionupしたものをAviusへも展開している。  このランチョンセミナーでは、Preirus/Aviusの持つ、高画質化技術や最新のさまざまなアプリーケーションソウトにつき紹介する。

37LS-3 心エコー装置における心機能解析の新技術

池嶋 弘晃

株式会社フィリプスエレクトロニクスジャパン ヘルスケア事業部

 弊社のハイエンド装置で用いられているピュアウェーブ(単結晶)トランスジューサにて得られるNative Data画像に基づく心機能解析の新技術をご紹介します。  心機能解析に用いられる様々なソフトウェアは超音波診断装置上のみでなく、汎用のPCにインストールし利用することが可能です。

37LS-4 次世代ハイエンド装置Prosoud F75に搭載する画質性能向上技術

田中 一史

アロカ株式会社 メディカルシステム技術部

 アロカの次世代ハイエンド超音波診断装置プロサウンドF75は、最新技術による高性能を、親しみやすい操作環境で提供することを目指して開発しました。本装置では、ベースとなる画質性能を引き上げるため、任意の送信波形がプログラム可能なCPWG+(プラス)送信機を開発し、Broadband HarmonicsやChirp変復調によるパルス圧縮(Compound Broadband Pulse)など、任意波形送信ならではの手法を搭載しました。また、プローブの全素子に独立したCPWG+送信機および受信回路を直結することでスイッチングロスを無くし、大開口による深部までの均質でシャープな描出をはじめ、素子ごとに独立したゲイン制御により信号に最適な重み付け加算を行なうFAA(Full Aperture Apodization)により、プローブ端のビームに於いてもサイドローブの少ない全素子開口受信が可能になり、画像端部まで均質でシャープな画像を描出します。

37LS-5 ポケットサイズの超音波装置 Vscan

立石 健太郎

GEヘルスケア・ジャパン 超音波本部 セールス&マーケティング企画推進部

 医師の偏在、過重労働、進む高齢化社会、それに伴う医療施設の分業化など、国内における医療課題へ少しでも患者さんのために貢献したい-ポケットサイズの超音波装置Vscanはそんな想いから開発されました。サイズは135 mm(縦)x 73mm(横)x 28mm(奥行き)、バッテリー、プローブを含めても重量はわずか390g(ドッキングステーションは含まず)と超音波診断装置として最小・最軽量(当社比)を誇り、白衣のポケットに入れて携帯できるポケットサイズ。あらゆるの臨床現場で、あらゆるシーンでご活用いただける最新の超音波システムをご紹介させて頂きます。

37LS-6 最新の造影超音波技術とその可能性

矢野 雅彦

東芝メディカルシステムズ株式会社 超音波事業部

 低音圧系の造影剤ゾナゾイドが国内で使われ出して約4年が経ち、診断法がほぼ確立され治療効果判定に有用であることが示されてきた。一方、低音圧で造影するため、組織との判別が難しいことも指摘されてきた。造影感度を維持し組織を抑制する新PS法を提案した。また、これと併用する形で、低音圧で組織を観察し高音圧のADF造影法も可能である。これらにより高度で的確な診断が可能になった。造影の評価を画像で行うアプリケーションソフトとしてパラメトリックMFIを提案した。これは造影血流の時間変化を色変化に置き換え表示でできる。これにより複雑な評価を色付きの画像として表すことができる。

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【ランチョンセミナー2】

座長1:上松 正朗(関西労災病院 循環器内科)

37LS-7 心エコー図を用いた心機能の評価と診療へのフィードバック

増山 理

兵庫医科大学 循環器内科

 心エコー検査の重要な目的のひとつに「心機能の評価」がある。心機能評価のための指標として、収縮能、拡張能、総合能などの指標として数多く提唱されている。その数多くある指標のなかで、どの指標がいいかは一概には言えない。必ずしも左室収縮機能や拡張機能を正確に反映する指標が臨床的にも重要とは言えないからである。心機能評価とひとことで言っても、求められる指標はケース・バイ・ケースで異なる。心不全が疑われる場合の検査、心不全例で治療効果をみる場合の検査、非心臓手術前の検査、人間ドックなどでのスクリーニング、等等。その目的に応じて、また被検者の持っている心疾患に応じて、重要な指標は異なるのである。どんな場合にでも計測しておかないといけない指標はないかのかと問われると、確かに、左室の大きさはそういう指標のひとつである。日常検査において、どのようなことを考えて心機能評価をすべきかについて話したい。

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【一般演題】

【循環器1(弁膜症)】

座長1:坂田 泰史(大阪大学大学院医学系研究科 循環器内科学)
座長2:岸本 悦子(神戸赤十字病院 検査部)

37-001 大動脈四尖弁の一症例

住ノ江 功夫、林 愛子、松ア 俊樹、松下 容子、松井 隆、辻井 一行、上山 昌代、玉置 万智子、綿貫 裕

姫路赤十字病院 検査技術部

<はじめに>大動脈四尖弁は稀な先天性心疾患であり、その頻度は心エコーでは0.013%と報告されている。我々は心エコーにて詳細な観察をしえた1例を経験したので報告する。<症例>60歳代女性。既往歴は高血圧。胸部X線では心陰影拡大を認め、心電図では左室肥大の所見を認めた。経胸壁心エコーで軽度の左室拡大と壁肥厚を認め、左房は軽度拡大していた。カラードプラ法にてV/W度の大動脈弁逆流を大動脈弁中心部から認めた。大動脈弁レベルの短軸像にて3尖と複尖を認め四尖弁が疑われた。経食道心エコーの観察でも大動脈弁は4尖認め、無冠尖と左冠尖の間に小さな複尖を認めHurwitzらの分類でタイプbを疑わせた。<結語>今回我々は無症状で経過していた大動脈四尖弁の症例を経験した。経胸壁心エコーで詳細を観察しえた報告は少なく、弁膜症を有する弁性状は注意深く観察していくことが重要であると再認識された。

37-002 バルサルバ洞瘤破裂の一例

渡部 徹也、上松 正朗、水上 雪香、田中 宣暁、世良 英子、飯田 修、粟田 政樹、藤田 雅史、石田 良雄、永田 正毅

関西労災病院 循環器科

症例は40代男性。平成21年7月末より夜間の呼吸困難が出現し徐々に増悪を認めたため、近医を受診した。胸部レントゲンにて心拡大および肺うっ血を認め、心不全疑いにて当科救急搬送された。聴診上収縮期雑音を認め、採血にてBNP 673pg/mlと上昇を認めた。心エコー図ではLVDd/Ds=56/38mm, EF 58%, 心嚢液貯留、大動脈無冠尖から右心房にシャント血流を認めた。 原因検索のため、血液培養を行ったが培養は陰性であった。また、経食道心エコー図では無冠尖に約2cmの動脈瘤を認め、右心房に開存していた。バルサルバ洞瘤破裂と診断し、心臓外科にてバルサルバ洞瘤切除およびパッチ閉鎖術を行った。術後は特に問題なく軽快退院された。

37-003 リアルタイム3次元経食道心エコー法にて明瞭に描出しえた大動脈弁逸脱症の2症例

長尾 秀紀1、宮本 忠司2、棚田 洋平2、大野 暢久3、藤原 慶一3、竹中 直子1、大谷 幸代1、山岸 真代1、小野 眞守美1、岩崎 敏明 1

1兵庫県立尼崎病院 検査・放射線部、2同 循環器内科、3同 心臓血管外科

近年、リアルタイム3次元経食道心エコー法(RT‐3DTEE法)が登場し、様々な疾患に対し利用され始めている。大動脈弁逸脱においては、大動脈弁形成術が行なわれるようになり、術前評価の重要性がより高まっている。【症例報告】術前にRT‐3DTEE法を施行し、大動脈弁逸脱症に対し手術が行われた2症例について、2次元経食道心エコー法(2D‐TEE法)、術中所見との比較を行った。使用装置はPHILIPS iE33、3次元データセットは解析ソフトQLABにてオフライン解析した。RT‐3DTEE法の大動脈弁逸脱所見は術中所見に合致していた。【考察】RT‐3DTEE法で得られたデータセットに多断面再構成法(MPR法)を用いると、2次元経食道心エコー法(2D‐TEE)では描出不可能であった任意の断面が得られる。これにより、術前に心臓外科医に対しより詳細な病態を報告することができた。【結語】大動脈弁逸脱症の術前評価にRT‐3DTEE法が非常に有用であった2症例を経験した。

37-004 経胸壁リアルタイム三次元心エコー(3DTTE)にて観察しえた僧帽弁副組織の一例

安居 由香1、井波 準治1、坂森 和美1、藤原 佳子1、藤原 浩和1、真野 圭司2、南坂 朋子2、村上 智江2、二井 理恵2、下山 寿2

1市立伊丹病院 医療技術部臨床検査、2同 循環器内科

症例は64歳男性。H14年Brugada症候群と診断され、ICD埋め込みを施行。今回近医より大腸ポリペクトミー術前精査にて当院循環器内科紹介。2DTTEにて全周性の左室肥大を認め、左室流出路で2.6m/sと加速血流を認めた。左室内に僧帽弁の腱索からパラシュート状に連続した可動性のある異常構造物を認め3DTTEでは構造物が心室中隔に付着している事を観察できた。2D・3DTTEより僧帽弁副組織と診断。僧帽弁副組織は稀な先天性異常で左室流出路狭窄の原因となる可能性が高く、特に成人の症例は少ないとされています。今回我々は僧帽弁副組織の1症例を経験したのでここに報告します。

37-005 3D経食道心エコー図(3D-TEE)で観察し得た僧帽弁瘤の一例

發知 淳子1、岡部 太一1、中小路 隆裕1、星賀 正明1、石原 正1、勝間田 敬弘2、花房 俊昭1

1大阪医科大学 内科学(I)、2同 心臓血管外科

78歳女性。2009年6月大腿骨頚部骨折の術前心エコーにて僧帽弁に腫瘤影及び中等度AR・MRを認めた。3D-TEEを用いて、僧帽弁後尖部に心周期に伴い可動する径1.5cm大の腫瘤影を観察。諸検査より僧帽弁に付着する腫瘤と考え、待機的手術予定とした。8月中旬より発熱と炎症所見を認め、血液培養にて多剤耐性腸球菌を検出。腫瘤影の拡大はないも、ARの増悪を認め、感染コントロール後に両弁置換術を施行。腫瘤と考えていたものは術中に弁瘤と判明した。3D-TEEを用いても腫瘤との鑑別に苦慮した僧帽弁瘤の一例を経験したので報告する。

37-006 僧帽弁狭窄症に対するPTMC治療後の僧帽弁口面積の経過

森 由美子1、辻 真一朗1、青木 由美子1、橋本 喜代美1、竹内 寿美1、脇坂 彩1、中村 茂2、小林 智子2

1京都桂病院 検査科、2同 心臓血管センター内科

【目的】僧帽弁狭窄症(以下MS)の治療の1つである経皮経静脈的僧帽弁交連切開術(以下PTMC)後、僧帽弁口面積(以下MVA)を測定し経過を検討する。【対象と方法】1999年10月から2008年12月に当院心臓血管センターにてMSと診断されPTMCを施行された10名 年令41〜91歳 男性2名、女性8名。PTMC前後、慢性期においてPHT法によるMVAの計測及び弁の形態を観察し検討した。【結果】拡張率(治療後最大拡張時MVA÷治療前MVA)134〜225%、再萎縮率(各経過日のMVA÷治療後最大MVA )1〜2週間 69〜103%、1年未満 68〜98%【考察】治療後最も再萎縮が見られたのは治療後1週間で再萎縮率69%であった。その後2年萎縮は進まず経過している。再萎縮がみられた症例とみられなかった症例では治療前の弁の状態や拡張率に有意差はなかった。

37-007 重症三尖弁閉鎖不全に対して三尖弁形成術を行い、良好な結果を得た高齢Ebstein奇形の一例

平石 真奈1、田中 秀和1、松本 賢亮1、辻 隆之1、金子 明弘1、漁 恵子1、山脇 康平1、大北 裕2、平田 健一1、川合 宏哉1

1神戸大学大学院医学研究科 循環器内科学分野、2同 心臓血管外科学分野

症例は64歳女性。2003年労作時易疲労感を自覚し近医を受診し、Ebstein奇形およびそれに伴う高度三尖弁閉鎖不全と診断された。2009年7月より下腿浮腫、労作時易疲労感が出現したため、近医入院となった。心不全加療ののちに一旦退院となるも、同年9月に心不全が再増悪した。近医再入院となるも内科的治療のみでは改善が得られず、外科的治療目的に当院転院となった。心エコー図検査上、右室は著明なリモデリングを示し、高度右室収縮能低下を認めた。術後のポンプ失調が危惧されたが、術前に行ったドブタミン負荷心エコー図検査にて右室収縮能の改善が認められ、収縮予備能は残存しているものと判断した。このため同年11月、三尖弁形成術、右房化右室縫縮術を施行した。以後心不全の再燃なく経過している。重症右心不全を呈した高齢Ebstein奇形に、外科的治療を行い良好な結果を得た一例を経験したので報告する。

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【循環器2(感染性心内膜炎)】

座長1:穂積 健之(大阪市立大学大学院 循環器病態内科学)
座長2:小谷 敦志(近畿大学医学部附属病院)

37-008 感染性心内膜炎の術後に大動脈弁・心室中隔穿孔を来たした1例

岡田 昌子1、綾田 健士1、小川 恭子2、福嶋 友孝2、森 智美2、北田 弘美2、寺本 美穂2、長谷川 新治1、藤井 弘通3、笹子 佳門3

1大阪厚生年金病院 循環器内科、2同 生理検査室、3同 心臓血管外科

症例は、30代男性。2010年5月熱発、呼吸困難を主訴に当院受診。心雑音を認めたため感染性心内膜炎 (IE) を疑って緊急で施行した経胸壁心臓超音波検査(TTE)にて僧帽弁前尖に可動性に富む塊状エコーを認めたため、IEによる重症僧帽弁閉鎖不全、重症三尖弁閉鎖不全と診断し、同日緊急僧帽弁ならびに三尖弁置換術が施行された。術後経過は良好であったが、第20病日のTTEで大動脈弁閉鎖不全の急性増悪と無冠尖に穿孔を疑う所見が出現。第24病日の経食道心エコー検査 (TEE)で大動脈弁閉鎖不全と僧帽弁の弁周囲逆流 (PVL) を認めた。第34病日には膜様部に心室中隔欠損 (VSP)と短絡血流 が出現し、第37病日の三次元TEE (3DTEE) でも観察された。感染兆候は認めず、待機的に第40病日に大動脈弁置換術、僧帽弁PVLパッチ閉鎖術、VSP閉鎖術を施行した。IEの人工弁置換術後合併症は超音波での観察が難しいが、3DTEEなどにより詳細に観察可能であった症例について報告する。

37-009 ひも状構造物として観察された感染性心内膜炎の1症例

西山 ひとみ1、大谷 幸代2、小西 二夫1、吉田 育代1、安福 万紀子1、綿岡 恭子1、橋本 光彦1、千森 義浩3、山中 和明4

1兵庫県立西宮病院 検査放射線部・生理検査室、2兵庫県立尼崎病院 検査放射線部・生理検査室、3兵庫県立西宮病院 循環器内科、4同 泌尿器科

【症例】50代女性【主訴】発熱【既往歴】献腎移植、脳原発性悪性リンパ腫、C型肝炎【現病歴】肝胆道系酵素上昇の精査にて2009年12月より当院入院、2010年1月発熱を繰り返したため精査となる【現症】血圧105/82、脈拍105、体温38℃【血液検査】WBC8900/ul、CRP12.7mg/dl【細菌検査】血液培養よりMRSA(+)【ECG】正常【超音波所見】左室内に大動脈弁から伸びる可動性に富んだひも状エコーと、10×5mmの塊状エコーを認め、vegetationと考えた。【経過】抗菌薬治療にて、ひも状及び塊状エコーは消失し、軽快退院となった。【まとめ】抗菌薬のみで治療し、超音波検査にてvegetationの縮小・消失を観察し得た感染性心内膜炎の1例を経験したので報告する。

37-010 脳梗塞および胃潰瘍を合併し、緊急手術を施行した感染性心内膜炎の一症例

足立 祥1、王 康治1、堂垣 美樹1、吉野 智亮1、田村 周二2、谷 知子3、古川 裕3、白鳥 健一3、橋本 孝司4、岡田 行功4

1神戸市立医療センター西市民病院 内科、2同 臨床検査技術部、3神戸市立医療センター中央市民病院 循環器内科、4同 心臓血管外科

症例は63歳男性。61歳より大動脈弁2尖弁による大動脈弁閉鎖不全症にて外来通院していた。2010年2月5日より発熱、全身倦怠感が出現し、言動異常も見られたため9日当院を受診した。高度な貧血を認め入院。上部消化管内視鏡検査にて胃潰瘍を認めたが活動性出血は認めなかった。10日一過性左不全麻痺および意識障害が出現した。経胸壁心エコー図検査を施行にて、大動脈弁および僧帽弁・弁下組織に多数の疣贅を認めたため、手術目的にて転院となった。同日緊急手術を施行され、術中所見でも多数の疣贅が確認された。Freestyle弁による大動脈弁置換術および僧帽弁形成術を施行、術中培養にてα-streptococcusが検出された。術後はCTRX 4g/日投与し経過良好で、麻痺も改善傾向となった。多彩な症状を認め、また発熱から短期間で大動脈弁および僧帽弁、弁下組織にわたり多数の疣贅を認めた症例であり報告する。

37-011 感染性心内膜炎に対する僧帽弁置換術後に巨大左室仮性瘤を認めた一症例

岩崎 実加1、平田 久美子2、和田 希美2、脇西 優子1、山田 香織1、竹本 和司1、辻岡 洋人2、赤阪 隆史2

1和歌山県立医科大学 循環器内科超音波検査室、2同 循環器内科

症例は73歳、女性。2009年4月、髄膜炎由来の感染性心内膜炎による僧帽弁逆流症に対し僧帽弁置換術(CEP25)を施行した。その後、合併症なく退院し、経過は良好であった。手術10ヶ月後の経胸壁心エコー図検査にて、左室後面に左室と交通する12x8cmの異常腔を認めた。異常腔は僧帽弁位人工弁の後方に開口しており、入口部は狭く、パルスドプラ像にて収縮期に左室から瘤へ、拡張期に瘤から左室へ流入する血流シグナルを観察した。僧帽弁置換術後に生じた巨大左室仮性瘤と診断し、再度、僧帽弁置換術(SJM25)及び左室仮性瘤パッチ閉鎖術を施行した。

37-012 心エコーで経過観察中に脳梗塞を発症した一例

三角 千香1、中坊 亜由美2、牧原 佐知子1、田中 益水1、吉田 千佳子2、大塚 美里2、合田 亜希子1、川端 正明2、増山 理2、飯島 尋子1

1兵庫医科大学病院 超音波センター、2同 内科学循環器内科

症例は65歳男性。平成21年にS状結腸膀胱瘻に対し、S状結腸切除術および瘻孔切除術を施行。平成22年4月20日、腹痛・下腹部膨満感を認め、緊急入院となった。第17病日に突然の意識レベル低下、血圧低下を認めた。経胸壁心エコーにて、以前は認めなかった僧帽弁の逸脱と心室中隔および僧帽弁弁尖に、可動性のある紐状エコーを認めた。敗血症性ショックと診断、全身管理および抗生剤投与を開始した。一度は意識レベルが回復するが、第39病日に再度意識レベル低下、呼吸状態が悪化し、緊急頭部CTにて右前頭葉に急性期脳梗塞を認めた。2日後の経胸壁心エコーにて心室中隔の紐状エコーは認められず、心原性脳梗塞が原因と考えられた。心室中隔に付着した紐状エコーは、vegetationおよび血栓の鑑別が困難であり、また、同部位にvegetationおよび血栓が付着することは稀であり、若干の文献的考察を加えて報告する。

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【循環器3(心機能)】

座長1:神ア 秀明(国立循環器病研究センター 心臓血管内科)
座長2:浅岡 伸光(宝塚市立病院 中央検査室)

37-013 経胸壁心エコー図検査中に正常伝導および完全左脚ブロックを認め心機能変化をとらえた1症例

中村 仁美1、谷 知子2、八木 登志員1、紺田 利子1、藤井 洋子1、川井 順一1、北井 豪2、古川 裕2、盛岡 茂文2、北 徹2

1神戸市立医療センター中央市民病院 臨床検査技術部、2同 循環器内科

症例は、60歳代、男性。他院で高血圧、糖尿病にて通院していた。2006年11月、ホルター心電図にて一過性の左脚ブロックと心室性期外収縮を認めたため、精査目的で当院紹介となる。来院時、血圧は、140/90mmHg、心拍数、85bpm、心音はW音を聴取した。経胸壁心エコー図検査を施行し、左室拡張末期径5.8cm、左室収縮末期径4.3cm、左室駆出率43%であった。検査開始時の心電図は、完全左脚ブロックであったが、途中から正常伝導と完全左脚ブロックへの変化を繰り返し、これらの時相の変化を経胸壁心エコー図にて記録した。また、strain rate imagingも施行し、比較検討した。今回、左室拡大を伴う中等度の左心機能低下を認め、経胸壁心エコー図検査施行中に電気的伝導の変化を繰り返した、稀な症例を経験したので報告する。

37-014 スペックルトラッキング法による壁運動評価とEFとの関係の検討

栗岡 利里子、竹村 利恵、中尾 和子、内田 麻里、草尾 恵、梅木 弥生

県立三室病院 中央臨床検査部

【目的】スペックルトラッキング法を応用したAFIプログラムにより、グローバル長軸方向ピークストレイン(GLPS)を測定し、左室駆出率(EF)と比較検討した。【対象と方法】狭心症や心筋梗塞等虚血性心疾患の既往を指摘されていない糖尿病患者(DM群:n=18)、同じく高血圧症患者(HT群:n=66)、同じく糖尿病と高血圧症を合併している患者(DMHT群:n=23)、健常人(N群:n=21)を対象に、経胸壁心エコー図検査を行い、各群におけるEFと、GLPS avgを測定した。【結果】EFは各群共に有意な差を認めなかったが、GLPS avgはDM群とDMHT群が他の群に比べ有意に低下を示した。【考察】GLPS avgで低下があれば、EFが正常範囲であっても心筋自体にダメージを受けている可能性を考慮して評価する必要があると示唆された。【結論】EFでは左室心筋収縮能に異常が認められなかった症例についても、GLPSを測定することにより心筋ダメージを鋭敏に評価出来るようになった。

37-015 未治療高血圧症例における左室後壁の動きからみた降圧治療前後の左室スティフネスの変化

大塚 美里、合田 亜希子、正木 充、吉田 千佳子、中坊 亜由美、江口 明世、廣谷 信一、川端 正明、増山 理

兵庫医科大学 循環器内科

目的:近年、左室スティフネスの指標となるdiastolic wall strain(DWS)が提唱された。私たちはこの手法を用いて高血圧症例における薬物治療に伴う左室スティフネスの変化を評価した。方法:左室収縮能に異常を認めない未治療本態性高血圧例44例を無作為にカルシウム拮抗薬(CCB)投与群とアンジオテンシンU受容体拮抗薬(ARB)投与群に分け、投与前と投与6ヶ月後に心エコー図検査を施行。DWS、僧帽弁輪部拡張早期速度(E’)を計測した。またコラーゲンの生成・分解を反映する血清P1CP、MMP2濃度を計測した。結果:ARB群では治療後にDWS、E’とコラーゲン分解の指標であるMMP2が有意に増加したがCCB群では治療前後で変化を認めなかった。ARB群においてDWSの変化量とMMP2の変化量は有意な相関を示した。結語:高血圧心では降圧治療により線維化の改善とともに左室スティフネスが改善することが示唆された。

37-016 Heart failure with preserved EF発症における収縮性低下の影響に関する検討

相澤 芳裕、坂田 泰史、真野 敏昭、竹田 泰治、玉置 俊介、大森 洋介、塚本 泰正、山本一博、小室 一成

大阪大学大学院医学系研究科 循環器内科

【目的】左室収縮性と伸展性のHFPEF発症への関与について検討する。【方法】正常対象群(N群、n=25),心不全入院歴がありEF>50%の患者群(HFPEF群、n=42)、EF>50%である高血圧患者群(LVH群、n=50)を対象に心エコー検査を施行した。収縮性の指標として僧帽弁輪部の収縮期陽性波(Sw)を、左室伸展性の指標としてdiastolic wall strain(DWS)を算出した:DWS={(収縮末期左室後壁厚−拡張末期左室後壁厚)/収縮末期左室後壁厚}【結果】SwはLVH群とHFPEF群で有意に低下していたが、2群間では有意差は認めなかった(N;8.0±0.3、LVH;5.7±0.5、HFPEF;6.0±0.8cm/s)。DWSはN群で最も高くHFPEF群で最も低かった(N;0.44±0.02、LVH;0.39±0.01、HFPEF;0.35±0.01)。【総括】無症候性左室肥大からHFPEFへの移行には、左室伸展性の低下がより寄与していると考えられる。

37-017 心疾患を伴わない肺高血圧症の症状と心エコー図所見からみた特徴

奥平 久美子1、中坊 亜由美2、合田 亜希子2、吉田 千佳子2、三角 千香1、牧原 佐知子1、田中 益水1、川端 正明2、増山 理2、飯島 尋子1

1兵庫医科大学病院 超音波センター、2同 内科学循環器内科

【背景】器質的心疾患に起因しない肺高血圧症を有する症例の患者背景と症状については明らかではない。【目的】器質的心疾患に起因しない肺高血圧症の症状と心エコー図所見から見た特徴を明らかにすること。【方法】心エコー図検査を施行し、検査時に臨床症状の有無(息切れ、胸痛、むくみ、動悸、ふらつき)を聞き得た症例のうち、三尖弁逆流速度から推定される圧較差(TR-PG)25mmHg以上であり、器質的心疾患を有しない連続473例(年齢71±13歳)を対象とした。【結果】最も多い臨床症状は息切れで260例(55%)に認めた。臨床症状を有しない症例は83例(18%)であった。症状を有する群は有しない群と比較して、有意にTR-PGは高値であった(31±7 vs. 29±7mmHg、p<0.01)。【結語】肺動脈収縮期圧上昇が示唆される症例では、何らかの臨床症状を有する。

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【循環器4(心臓腫瘤)】

座長1:田中 秀和(神戸大学大学院医学研究科 循環器内科学)
座長2:都留 正人(兵庫県立姫路循環器病センター 検査・放射線部)

37-018 急速に右房内へ浸潤した心嚢腫瘍の一例

荒木 順子、米川 幸子、中尾 浩司、諸根 隆行、藤本 惠子、寺川 仁人、都留 正人、石沢 博子、大岩 新一、古本 勝

兵庫県立姫路循環器病センター 検査放射線部

80歳代男性。2〜3週間前より食欲不振。心窩部〜前胸部にかけての不快感があり、心電図変化はなかったがトロポニンT陽性にて当センター紹介受診。既往歴は慢性心不全、高血圧、喘息、前立腺癌、腎機能低下。来院時の心エコーで中等量の心嚢液と右房側の房室間溝の心嚢内に内部均質な3cm大の腫瘍像を認め、精査加療のため入院となった。心タンポナーデのため心嚢ドレナージを施行。血性心嚢液約300mlを排出し細胞診陰性、結核菌陰性であった。CT、MRIは同部位の充実性腫瘍の他に転移所見はなく、既往歴より前立腺癌の転移も考えたがPSAは正常であった。約8ヶ月後、腫瘍は増大し右房内を占拠。CTで右下肺への転移と思われる所見が見られた。さらに約2ヶ月後、胸水貯留、呼吸困難で来院し、胸水除去後も呼吸は改善せず、胸水の細胞診から小細胞癌が判明した。死亡後、腫瘍の組織診は小細胞癌であったが、その原発巣は明らかではなかった。

37-019 悪性リンパ腫を経時的に観察しえた心臓腫瘍の1症例

魚守 澄子1、井上 太1、藤 由美子1、芳浦 千佳1、杉田 宗治1、大石 玲子1、金子 晃2、巽 信之2、西川 永洋3、久保 光彦3

1NTT西日本大阪病院 臨床検査科、2同 消化器内科、3同 循環器科

症例は54歳、男性。人間ドック腹部超音波検査にて偶然、心臓腫瘍及び心嚢液を指摘され、循環器科を受診。経胸壁心臓超音波検査で詳細に観察した結果、三尖弁輪部、後室間溝、大動脈弁右冠動脈起始部周囲の3ヶ所の心外膜に付着する腫瘍を認めた。また、心嚢液が全周性に少量貯留していた。心機能は正常であり、有意な弁逆流は認めなかった。sIL2−Rは4880U/mlと高値を示し、後日行われたPET−CTでは心臓、肝右葉、右頚部リンパ節に集積を認めた。頚部リンパ節生検を実施し、悪性リンパ腫(NHL)と診断された。血液内科にて化学療法を開始。1コースごとに心臓超音波検査を施行し、心臓腫瘍の縮小を経時的に観察しえたので報告する。

37-020 心エコー図にて成人T細胞性白血病の心筋浸潤を経時的に評価した一例

越知 博之1、山崎 正之1、山本 将司1、波元 智香1、岡 洋子1、杉山 裕之1,2、穂積 健之3

1大阪府済生会野江病院 検査科、2同 血液内科、3大阪市立大学大学院 循環動態内科学

症例75歳、女性。1ヶ月前ぐらいから無痛性両側鼠径部リンパ節腫張を認め、近医より原因検索目的に当院紹介された。左鼠径部リンパ節生検を施行し病理検査の結果、成人T細胞性白血病リンパ腫型(ATLL)と診断された。治療前の心機能目的にて心エコーを施行したところ、心膜液を軽度認め、左室後壁僧帽弁直下、下壁に境界不明瞭な内部エコー均一で低輝度エコーの腫瘤を心筋内に認めた。左室短軸像で左室後壁から側壁にかけての低輝度エコー部では収縮が著しく低下がみられた。血液内科にて化学療法施行後の心エコーで、下壁の腫瘤は縮小し、その他の腫瘤は一旦消失し左室後壁側の収縮も改善を認めたが、再度腫瘤が左室側壁心尖部、後壁心尖部に認め再燃した。今回心エコー図にてATLLの心筋浸潤を経時的に評価した一例を経験したので報告する。

37-021 左房に充満する巨大粘液腫の1例

尭天 之恵1、大平 芳行1、西田 美和1、林 英宰2、川野 成夫2、南森 秀幸2、竹内 元康2、山口 高広3、松田 成人3

1河内総合病院 臨床検査部、2同 循環器科、3同 心臓外科

症例は53歳の女性。労作時の動悸と息切れを主訴として来院した。心エコー上、左房をほぼ埋め尽くす5×6 cmの巨大腫瘤を認めた。右心系は拡大し、僧帽弁の開放制限を認めるなど、僧帽弁狭窄症に類似する血流動態を示した。当院心臓外科で腫瘍摘出術を行い、病理診断で左房粘液腫と診断された。手術後心血行動態は正常化した。左房に充満する巨大腫瘍を左房粘液種と診断し、手術的に根治できた症例を経験した。

37-022 不明熱で入院した心臓腫瘍の一症例

田中 彰博、西野 雅巳、岡本 直高、菊池 篤志、正木 豪、森 直己、李 泰治、中村 大輔、吉村 貴裕、谷池 正行

大阪労災病院 循環器内科

35歳男性。2010年3月より発熱を認め近医にて抗生剤投与を受けるも改善せず、心エコーで左房腫瘍認め、精査加療目的に当科入院となった。来院時血液所見でWBC 14800/μl、CRP 8.26mg/dlと炎症反応高値を認め、血液培養でActinobacillus陽性を認めた。心エコーでは心房中隔に茎を有し可動性に富む62mm×29mm大のmassとMRV/W、A3P3の逸脱を認めた。経食道エコーで僧帽弁後尖の腱索断裂を疑うも臨床経過より疣贅も否定できなかった。抗生剤のみでは感染コントロールがつかず心臓腫瘍もあり手術適応と判断した。手術所見では僧帽弁後尖の腱索断裂のみを認め、術中所見では僧帽弁に明らかな感染所見は認めなかった。組織学的にも僧帽弁に感染所見は認めず、心臓腫瘍については組織学的に粘液腫で感染と石灰化所見が認められた。<総括>今回不明熱と重症僧帽弁閉鎖不全を合併した石灰化を伴う感染性左房粘液腫の稀な一例を経験し、若干の文献的考察を加え報告する。

37-023 心房中隔に付着した腫瘤性病変を有する2症例

竹中 正人1、大前 嘉良1、佐竹 理恵1、中戸 洋行1、木下 博之1、石水 弘子1、津村 知絵1、山本 忠生2

1社会保険紀南病院 中央臨床検査部、2同 循環器科

【症例1】50歳代男性。他院の人間ドックで左房内腫瘤を指摘され精査目的で紹介受診した。経胸壁心エコー図では心房中隔卵円窩付近に20×16mmの可動性を有する球状腫瘤を認めた。手術を施行、病理診断にて左房粘液腫と診断された。【症例2】70歳代男性。心房細動とペースメーカ植え込み後のため心臓外科で定期観察されていた。近医での血液検査にて異常を指摘され当院を受診した。経胸壁心エコー図では心房中隔卵円窩付近に19×24mmの可動性を有する球状腫瘤を認めた。手術を施行、病理診断にて血栓と診断された。【まとめ】心房中隔に茎を有する心臓腫瘍として左房粘液腫の頻度が最も高いが、血栓の可能性もありその診断には十分注意する必要がある。エコーでの鑑別は困難であることが多いが、症例2は2ヵ月前の定期受診の際に心エコーを施行されており、また腫瘤内部の違いにより血栓を疑うことができた。

37-024 右室腫瘍の一例

近藤 悦子1、本多 由佳2、横山 千佳子1、佐々木 啓子1、岩崎 亜由美1、釜石 雅世1、吉井 佳世1、大保 英文3、脇山 英丘3

1神鋼加古川病院 中央検査室、2同 内科、3同 心臓血管外科

症例は65歳女性。平成20年12月の健診で心雑音を指摘され、他院にて右室内に腫瘍を認めたため、精査目的で当院紹介となった。経胸壁心エコー図では、右室自由壁に広基性に付着する、約24×36o大の類円形腫瘍を認めた。性状は表面平滑で、内部エコー不均質、solidな印象の充実性腫瘍であった。心嚢水増加はなく、腫瘍付着部の右室心外膜側は不整であった。胸部単純CTでは心内腔と等濃度を呈し、造影後期相では心筋より低濃度で、内部に強い染影を認めた。右室心外膜側は不整も脂肪織への伸展は認めなかった。心臓MRIではT1W1で心筋よりやや高信号、FS-T2W1で著明な高信号を呈していた。心筋との境界は明瞭で、perfusion撮像では心筋に遅れて徐々に造影された。平成21年1月手術が施行され、病理組織診断はCavernous hemangiomaであった。今回心臓腫瘍の中で比較的稀な血管腫が、右室に発生した1例を経験したので、若干の文献的考察を加え報告する。

37-025 僧帽弁直下に高輝度エコーを伴った僧帽弁腫瘤の一例

吉岡 和哉1、細野 亜希子1、関家 季実子1、中川 摩耶1、松之舎 教子1、上田 政一1、砂川 玄吾2、正井 崇史2、小澤 牧人3、岩倉 克臣3

1桜橋渡辺病院 検査科、2同 心臓血管センター・心臓外科、3同 心臓血管センター・循環器内科

【症例】63歳、男性【現病歴】糖尿病性腎症による慢性腎不全にて維持透析を実施しており、平成21年11月前医にて僧帽弁に疣腫様の付着物を認め、精査のため当院紹介となる。発熱は認めず。 【検査所見】以前に冠動脈治療あるが心電図はST変化認めず。TTEおよびTEEでは僧帽弁P2に高輝度エコーを伴った腫瘤で、弁腹から弁尖に付着を認め左室側に観察された。3DTEEでは楕円形の辺縁不規則な腫瘤であった。また腫瘤内部は低エコー領域を含み、塞栓症のリスクもある乳頭状線維弾性腫の可能性が疑われ手術適応と判断。【術中所見・まとめ】腫瘤はクリームチーズの様の白色内容物を含む嚢胞状組織であり最終診断はcaseous calcification of the mitral annulus(CCMA)と考えられた。肉眼的に乳頭状線維弾性腫は否定的、またIEも術中鏡検より菌も認めないことから僧帽弁形成術のみ施行。【結語】CCMAと考えられる慢性透析の一症例を経験した。

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【循環器5(虚血性心疾患)】

座長1:赤土 正洋(しゃくど循環器・内科)
座長2:長尾 秀紀(兵庫県立尼崎病院 検査・放射線部)

37-026 冠動脈形成術合併症の冠動脈穿破で形成された冠動脈左室瘻を特徴的なエコー像で観察した急性心筋梗塞の一例

野元 陽太、間木野 泰祥、古川 敦子、山中 あすか、片岡 一明、石井 克尚

関西電力病院 循環器内科

症例は80 歳男性。2 時間持続する胸痛を主訴に救急受診した。心電図上 V3 から V5 誘導の ST 上昇、心エコーで瀰漫性の壁運動低下と心尖部無収縮があり、急性冠症候群の診断で緊急冠動脈造影を行った。左前下行枝 #8 の完全閉塞に対し血栓吸引で血流再開後バルーン拡張を追加したところ、拡張部の血管外に造影剤が漏出し oozing rupture と判断したが、バルーン圧迫でも完全に止血できなかった。術後経過で心エコー上心嚢液の増加はなかったが、2週間で左室リモデリングが急激に進行し、左室拡張末期径 63 mm から 73 mm に拡大した。第 17 病日に慢性期冠動脈造影を行い、急性期に造影剤の漏出が見られた #8 病変部を介して左室が造影され、冠動脈左室瘻と診断した。冠動脈エコーでは左前下行枝から左室内に流入する拡張期血流が確認された。冠動脈形成術の合併症で生じた冠動脈左室瘻を特徴的なエコー像で観察した一例を経験したので報告する。

37-027 若年急性心筋梗塞の発症に左室心筋緻密化障害の関与が疑われた一症例

田路 彰子1、千石 裕之1、糸口 耕平1、渡辺 浩志1、井藤 道博1、富永 博夫1、河合 恵介2、太田 総一郎2、國吉 達也2、山邊 裕2

1市立加西病院 中央検査科、2同 循環器内科

症例は29歳男性。胸部重圧感にて他院を受診し、心電図にて胸部V2〜V6にST上昇を認め、急性心筋梗塞が疑われ当院へ入院となった。緊急心カテーテル検査にて左前下行枝 #8 と対角枝 #9末梢に 100%の血栓性閉塞を認め、血栓吸引を試みたが血流が得られず、血行再建を断念した。後日心エコー検査にて、左室拡張末期径72mm、左室駆出率30%と左室の著明な拡大、びまん性の壁運動低下を認め、心尖部の壁運動はdyskinesisであった。また、心尖部を中心に網目状の著明な肉柱形成が認められ、肉柱形成層が緻密層の2倍以上の厚さであり、左室心筋緻密化障害が疑われた。血液データ上、抗リン脂質抗体症候群などの血栓形成を伴いやすい疾患は否定的であった。頭部MRIおよび頭頸部MRAにて梗塞や狭窄の所見は認めず、検査時に肉柱間に明らかな血栓も認めなかったが、急性心筋梗塞の発症に左室心筋緻密化障害による塞栓症の関与が疑われた。

37-028 興味ある冠動脈血流速波形を呈した1例

土井 泰治1、岡田 健一郎1、山田 憲明1、外村 大輔1、高松 祐介2、有馬 健2、黒住 祐麿3、伊藤 賀敏3、澤野 宏隆3、林 亨3

1大阪府済生会千里病院 循環器内科・心血管内治療室、2同 中央検査部生理機能検査室、3同 千里救命救急センター・心血管内治療室

症例は87才ADLの自立した女性。2日前より来院当日朝まで持続した胸痛を主訴に独歩来院。心電図上TaVLV1-6にてST上昇、AST383 IU/L、LDH1136 IU/L、CK2968 IU/L、CKMB215 IU/L、心筋トロポニンI 55.000ng/mlと心筋逸脱酵素上昇していた。心エコー図検査では前壁中隔はakinesisを呈し壁厚減少していたが、心室中隔基部の壁運動は保持されていた。カラードプラ法にて左前下行枝遠位部血流は検出できなかったが、心室中隔基部冠動脈に高速血流を認め、パルスドプラ法では拡張期ピーク血流速112cm/sの順行性血流と収縮期ピーク血流速55cm/sの逆行性血流が記録された。本例では大動脈弁狭窄や左室流出路狭窄はなく、収縮期逆行性冠流血流の存在より近位部狭窄病変の存在が示唆された。緊急冠動脈造影では左前下行枝近位部閉塞および第一対角枝近位部の狭小化を認めた。拡張期順行性および収縮期逆行性の冠動脈高速血流を認めた興味ある1例を経験したので報告する。

37-029 急性心筋梗塞におけるno reflow現象と急性期左室拡張能の検討

大宮 茂幹、岩倉 克臣、岡村 篤徳、小山 靖史、伊達 基郎、樋口 義治、井上 耕一、木村 竜介、藤井 謙司

桜橋渡辺病院 循環器内科

目的:心筋梗塞(AMI)急性期における左室拡張障害および冠動脈再疎通後の冠微小循環障害(no reflow現象)は予後規定因子である。今回両者の関連性を検討した。方法:AMI62症例に対し、入院時に心エコーで中隔基部にて拡張早期僧帽弁輪部速度(e')を計測し、拡張早期左室流入血流速度(E)との比(E/e')を左室拡張末期圧の指標として求めた。冠再疎通後に心筋コントラストエコーを実施し、リスクエリアの心筋潅流を評価した。結果:13症例(21%)でno reflow現象を認めた(NR群)。NR群とgood reflow(GR)群の間に左室駆出率に差を認めず、NR群ではGR群に比較しE/e'は有意に高値であった(12.9 vs. 9.8, p<0.05)。結論:AMIにおいてNR群は入院時左室拡張能が低下しており、再灌流を得る以前に既に冠微小循環が障害され、心筋虚血および心筋傷害を生じている事が示唆された。

37-030 スペックルトラッキング法を用いた心筋虚血メモリーの評価

日置 彩那、浅沼 俊彦、岩崎 真梨子、増田 佳純、中谷 敏

大阪大学大学院医学系研究科 機能診断科学講座

組織ドプラ法を用いた検討より駆出後収縮(PSS)が短時間虚血後もしばらく残存することから、虚血の既往(虚血メモリー)評価が可能であると考えられる。短時間虚血後に残存するPSSが、スペックルトラッキング法においても検出可能か検討する。対象は麻酔開胸犬13頭とし、左冠動脈回旋枝を1分間閉塞後再灌流した。虚血前、再灌流5分、10分後の画像を取得し、リスクエリアにおける収縮期最大ストレイン値(εsys)、PSSの指標であるpost-systolic index(PSI)を算出した。虚血時のεsysの低下度により重度虚血群、軽度虚血群の2群に分類した。εsysは重度虚血群、軽度虚血群ともに再灌流5分以内に虚血前のレベルまで回復した。一方、PSIは重度虚血群において虚血前に比べ再灌流10分まで高値を示した。スペックルトラッキング法においても短時間虚血後に残存するPSSが検出可能であった。

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【消化器1(肝臓・脾臓の定量的評価)】

座長1:川崎 靖子(大阪市立総合医療センター 生理機能検査部、肝臓内科)
座長2:嶋 三恵子(大阪市立住吉市民病院 中央臨床検査部)

37-031 Volume Navigationを使用した脾臓体積計測の検討

橋本 喜代美1、國立 裕之2、青木 由美子1、辻 真一朗1、小廣川 紗苗3

1京都桂病院 検査科、2同 消化器センター内科、3同 放射線科

【目的】USによるVolume Navigationを用いた脾臓体積の計測が臨床上有用か、造影CTでの計測値と比較検討した。【対象と方法】造影CT検査を施行した患者24名を対象とした。使用機器はLOGIQ E9。専用のセンサー装置を用いて脾臓全体をスキャン、画像を取り込み、その画像を元に回転させた6断面をSimpsonの法則にもとづいて体積計測をした。CTでの計測方法は、造影CT画像を3D処理にてVolummetryを行った。計測して出たUSとCTの値の相関をみた。【結果】相関係数=0.91と強い相関を認めた。脾臓体積比の平均はUS/CT=0.79で、USの計測値のほうが小さい結果となった。【結論】USによる脾臓体積の計測はCTと相関を認め、その体積比で除することによりCTでの計測値を予測することができる。また、USでの測定は非侵襲的で簡便であり、治療前後の比較や経過観察などで繰り返し計測するのに有用である。

37-032 脾動脈血流解析の一般的特徴についての研究

阪上 順一、片岡 慶正、保田 宏明、十亀 義生、鈴木 教久、長谷川 弘人、吉川 敏一

京都府立医科大学 消化器内科

【目的】超音波ドプラ法を用いての脾動脈血流の報告としては、肝硬変では脾動脈血流が増加する(Radiology 1987)、肝硬変では、脾動脈最高流速と最低流速が肝動脈より早くなる(Rom J Intern Med 2005)、門脈圧亢進庄では脾動脈PIが上昇する(J Ultrasound Med 2007)などの報告がみられるが、いずれも比較的少数例の検討である。【対象と方法】腹部超音波検査による検索を行った連続205例の脾動脈血流を解析した。【結果と考察】流速は総肝動脈流速と相関するが約30cm/s低値であった。脾静脈血流量と脾動脈流速は正の相関、PIとRIは負の相関を呈し、RIの低下が脾腫との関連した。【結論】脾動脈血流解析から脾静脈血流や脾体積の概略を推定しうる。

37-033 肝脾実質の輝度比(LS比)による慢性肝疾患の線維化の進展度予測

山平 正浩1、田中 弘教1,2、吉田 昌弘1、東浦 晶子1、柴田 陽子1、橋本 眞里子1、辻村 亨3、廣田 誠一4、西口 修平2、飯島 尋子1,2

1兵庫医科大学 超音波センター、2同 内科・肝胆膵科、3同 病理学分子病理部門、4同 病院病理部

【目的】Sonazoidを用いた慢性肝疾患の後血管相(Kupffer相)での肝実質と脾実質の輝度比(LS比)が線維化の進展と相関するかを検討した。【対象・方法】対象:肝生検でF0からF2群22例、F3群18例、F4群18例。方法:東芝Aplio XGを用いて、Sonazoid0.0075ml/Kgを投与し、20分後の肝脾実質の輝度解析し、LS比を算出、検討した(当院倫理委員会承認済み)。【結果】LS比の平均は、F0−2群で1.12、F3群で−2.43、F4群で−4.67となり、F0−2群がF3群、F4群と比べて有意に高値であった(p<0.03)。F3群がF4群より高くなる傾向があった(P=0.06)。【考察】慢性肝疾患の線維化が進行すると肝実質の染影が低下し脾実質の染影は上昇するためLS比は低くなる。【結語】LS比は慢性肝疾患の線維化進行度を推測できる可能性がある。

37-034 肝脾実質の輝度比(LS比)とChild分類との比較検討

山平 正浩1、田中 弘教1,2、松永 桃子1、奥平 久美子1、吉本 直喜1、西村 純子1、赤尾 憲二3、中馬 正志4、西口 修平2、飯島 尋子1,2

1兵庫医科大学 超音波センター、2同 内科・肝胆膵科、3東芝メディカルシステムズ株式会社 兵庫支店、4神戸大学 外科学講座

【目的】Sonazoidを用いた慢性肝疾患の後血管相(Kupffer相)での肝実質と脾実質の輝度比(LS比)が肝硬変の重症度判定に用いられているChild−Pugh分類と相関するかを検討した。【対象・方法】対象:C型慢性肝疾患で血小板数が10万/μl以下、または食道静脈瘤を有する107例。方法:東芝Aplio XGを用いて、Sonazoid0.0075ml/Kgを投与し、20分後の肝脾実質の輝度解析し、LS比を算出、検討した。(当院倫理委員会承認済み)【結果】LS比の平均は、grade Aが−3.06、grade Bが−4.92となり、grade Aが有意に高かった(p<0.03)。【考察】LS比は慢性肝疾患の進行に伴い低くなる傾向があるが、Child−Pugh分類による重症度判定とも相関する。【結語】LS比はChild−Pugh分類と相関する。

37-035 慢性肝疾患おけるVirtual Touch Tissue Quantification(VTTQ)測定値の測定時期による影響

吉田 昌弘1、田中 弘教1, 2、山平 正浩1、東浦 晶子1、橋本 眞里子1、森脇 英一郎2、辻村 亨3、廣田 誠一4、西口 修平2、飯島 尋子1, 2

1兵庫医科大学 超音波センター、2同 内科・肝胆膵科、3同 病理学、4同 病院病理部

【目的】VTTQ法による肝硬度は線維化の程度との相関が示唆されている。肝生検とVTTQの測定日が異なる場合、測定値の信頼性が低下する可能性がある。VTTQ測定時期によりVs(m/s)測定値の差が生じるかを線維化の程度別に検討した。【対象・方法】組織学的に診断した慢性肝疾患(350例; F0 22例、F1 132例、F2 60例、F3 65例、F4 71例)のVs測定日と生検日の間隔が60日以内を(A群)282例、60日〜1年以内を(B群)68例とした。ACUSON S2000を使用した。(当院倫理委員会の承認済み)【結果】線維化別Vs値は、全症例でF0 1.18、F1 1.21、F2 1.36、F3 1.58、F4 2.13であった。時期別では、A群でF0 1.16、F1 1.20、F2 1.37、F3 1.58、F4 2.10。B群ではF0 1.23、F1 1.26、F2 1.29、F3 1.58、F4 2.25であった。時期別ではいずれのステージでも有意差を認めなかった。【結語】VTTQ法による肝硬度測定では、約1年以内では大きな変化は認めなかった。

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【消化器2(膵臓)】

座長1:西村 重彦(住友病院)
座長2:中村  滋(長吉総合病院 臨床検査科)

37-036 膵solid pseudopapillary tumor(SPT)の12歳女児例

井上 敬介1、青松 友規1、余田 篤1、玉井 浩1、増田 大介2、有坂 好文2、林 道廣3、谷川 允彦3、江頭 由太郎4

1大阪医科大学附属病院 小児科、2同 第二内科、3同 一般消化器外科、4同 病理学教室

【症例】12歳、女児。【現病歴】腹痛、嘔吐、食欲不振、微熱で近医受診。抗菌薬を投与されたが症状持続し、CTで膵尾部に腫瘤を認め当科紹介。【現症】心窩部と左側腹部に軽度の圧痛を認めた。【検査所見】CRP(6.78mg/dl) が上昇していたが、WBCは正常。膵・肝酵素などの生化学検査は正常で、腫瘍マーカーはNSEのみ軽度上昇(21.7ng/ml)。膵尾部の5cm大の腫瘤の性状は各画像検査で異なり、エコーとCTでは混合性腫瘤、MRIでは単純性嚢胞性腫瘤、EUSでは低エコー輝度の充実性腫瘤とし描出。10代女児であり、発生部位を考慮すると、solid-pseudo papillary tumor(SPT)が示唆された。腹腔鏡下膵尾部腫瘤切除術を行い、病理組織よりSPTと確定診断された。【結語】各種画像検査で性状が異なり、術前の確定診断が困難であった 比較的まれな小児のSPTを経験した。

37-037 膵粘液性嚢胞腺腫(MCN)の1例

溝淵 かおる1、野上 浩實2、小畑 卓司2、金川 泰一郎2、大川 尚臣2、山下 伸造1

1医療法人野上病院 中央検査室、2同 外科

(症例)52歳、女性、2009年9月、38.6℃発熱主訴にて来院、γGTP68IU/l、ALP417IU/lと軽度上昇のため腹部超音波検査施行し膵に嚢胞を指摘された。超音波所見は膵尾部に境界鮮明な36.1mm×37.2mmのcystic lesionを認め、内部には隔壁を示す線状の高エコーを有していた。またカラードプラーではcystの周辺、内部に血流シグナルは認めなかった。その他、肝胆道系に異常を認めなかった。造影CTで膵嚢胞内部に淡い結節状構造が認められ、膵MCNで悪性化の疑いがもたれ、腹腔鏡下膵体尾部切除が行われた。切除標本の病理所見はmutinous cyst adenomaであった。膵のMCNは比較的稀な疾患であるが、他の膵嚢胞性病変を含め、文献的考察を加えて報告する。(まとめ)胆道系酵素の軽度上昇から腹部超音波検査を施行し、膵嚢胞性病変を発見する端緒となった。また超音波での詳細な観察により、嚢胞内の隔壁や結節を認め、膵MCNを推察できた。

37-038 造影超音波検査が診断に有用であった膵粘液性嚢胞腫瘍の一例

松永 桃子1、柴田 陽子1、東浦 晶子1、橋本 眞里子1、黒田 暢一2、藤元 治朗2、西上 隆之3、廣田 誠一4、田中 弘教1,5、飯島 尋子1,5

1兵庫医科大学病院 超音波センター、2同 肝胆膵外科、3同 病理学(分子病理部門)、4同 病院病理部、5同 内科・肝胆膵科

症例は20歳代女性。平成21年12月、膵炎にて近医入院。膵炎は改善したが、以前より指摘されていた膵尾部嚢胞が増大していたため、精査加療目的で紹介受診となった。超音波検査で膵尾部に約40mmの嚢胞と、嚢胞内に突出する隔壁のある小嚢胞様病変が描出された。造影CTでは嚢胞内の嚢胞壁と嚢胞の被膜が軽度造影された。MRIT1WIで低信号、T2WIで高信号、DWIで淡い高信号の嚢胞内嚢胞を認めた。ソナゾイド造影超音波では厚い嚢胞壁と隔壁部分が明瞭に染影されたが、悪性を示唆する充実性病変は認めなかった。病変部と膵管との交通は認めなかった。以上より、良性の膵粘液性嚢胞腫瘍(MCN)と診断した。その後膵体尾部・脾切除術を施行。病理組織学的に嚢胞壁に異型のない粘液産生上皮と卵巣様間質の形成を認め、MCNと診断した。嚢胞内隔壁や充実性病変の判断に造影超音波が有用であったMCNの一例を経験した。

37-039 EUS-FNABが診断に有用であった膵頭部乳房外Paget病の一例

保田 宏明、鈴木 教久、長谷川 弘人、福田 亘、十亀 義生、阪上 順一、片岡 慶正、吉川 敏一

京都府立医科大学 消化器内科

症例:79歳男性。既往歴:外陰部乳房外Paget病に対し切除術(2004年、pT4N2M0、 Stage 4)、再発乳房外Paget病に対し化学療法(2007年5月〜2009年2月)、両側尿管閉塞に対しステント留置(2009年3月)。現病歴:2009年5月末より、微熱・食欲不振を認め、6月5日当院皮膚科を受診し、血液検査で胆道系酵素の上昇を指摘され、当科紹介入院となった。腹部CT検査では、胆管および膵管の拡張を認め、膵頭部腫瘤性病変が疑われた。ERPおよび胆管ステント留置術を試みるも、十二指腸下行脚での狭窄が強く断念。確定診断のため、6月11日EUS-FNABを行い、病理組織学的所見より、乳房外Paget病の転移が疑われた。今回われわれは、EUS-FNABが診断に有用であった膵頭部乳房外Pagetの一例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。

37-040 術中ソナゾイド造影エコーを用いた膵癌病変存在範囲の検索

土田 忍1、福本 巧1、楠 信也1、木戸 正浩1、高橋 応典1、外山 博近1、新関 亮1、松本 逸平1、富永 正寛2、具 英成1

1神戸大学 肝胆膵外科、2兵庫県立がんセンター 消化器外科

【目的】膵癌の術中エコーにおいてBモードでは癌と正常膵との境界が不明瞭で、術中迅速病理診断で膵切離面が陽性となる場合がある。ブタの膵でソナゾイドに投与後、早期濃染し減衰することを確認した。通常型膵癌が乏血性のため、造影により正常膵とコントラストがつき病変をより明瞭に把握できるのではないかと考え臨床例に応用した。【対象と方法】40才台女性、体重40kgの通常型膵癌症例においてソナゾイド懸濁液を0.40mL投与し膵の撮影を行った。【結果】投与後約60秒間は正常膵が濃染され膵癌部との間に明瞭なコントラストが形成された。この結果、容易に切離ラインを決定し、膵体尾部切除術を施行した。切離断端の病理学的検索においても癌細胞は陰性であった。【考察】術中ソナゾイド造影エコーにより膵切離断端が陽性となる危険性を減らせる可能性が示唆された。今後症例を積み重ね最もコントラストの付く至適な条件を検討する予定である。

37-041 急性膵炎で発症した膵体部癌の1切除例

高萩 千賀子1、堀井 勝彦2、安井 福子1、安江 智美1、中村 由加1、野辺 八重子1、大山 重勝1、市川 剛2、沖村 明3、河原 邦光3

1大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター 臨床検査科、2同 消化器・乳腺外科、3同 病理診断科

症例は70歳代、男性。平成22年3月腹満と便秘で近医受診。5日後嘔吐をきたし当院紹介。ニボー像を認め入院。血液検査ではWBC13800、CRP27.7、Amy129、T-bil2.2、BUN21.6、Cre1.4と異常値を示した。CTでは膵体尾部は腫大し周囲に毛羽立ちを伴った低吸収域が拡がり左優位の胸水貯留を認め急性膵炎と診断。エコー検査では膵尾部〜脾門は後方音響陰影を伴った低エコー域を示し、膵体部に2.5×2.1cmの不整形の低エコー腫瘤像を認め、膵癌が疑われた。Dynamic CTでは膵体部に動脈相で径2cm大の低吸収域腫瘤像を認め、MRCPでは主膵管は同部で途絶していた。膵体部癌に起因した急性膵炎と診断し、膵体尾部切除+摘脾術を施行。膵体部と胃後面は癒着し、膵尾部周囲に仮性嚢胞を形成していた。術中エコーでも膵体部に低エコー腫瘤像を認めた。2.3×1.5cmの結節型腫瘍で、病理検査では高分化型の管状腺癌であった。膵周囲脂肪組織には膵液漏出による変化がみられた。

37-042 超音波内視鏡が感染性膵壊死治療に対し有用であった1例

東 恵史朗、染田 仁、野口 麻希子、井上 夏子、足立 亜希、藤原 幹夫、吉岡 幹博、魚瀬優、中村 武史

関西電力病院 消化器内科

患者は80台の男性。重症急性膵炎に対し、動注療法を含めた集中治療を施行し一旦は軽快傾向にあった。ところが、経過中に突然の発熱と炎症反応の上昇を認め、CT等で評価したところ、感染性膵壊死をきたしていた。抗生物質等の治療に反応せず、経胃的に超音波内視鏡下にドレナージを施行し著明な改善を得た。さらに、内視鏡的に壊死組織をデブリードメントする際、血管の位置確認を超音波内視鏡を使用することで、大きな出血なく、安全に施行することができた。感染性膵壊死に対しては外科的な手術によるデブリードメントが基本であるが、最近では、より侵襲性の少ない内視鏡処置が選択される場合もある。超音波内視鏡が感染性膵壊死に対して内視鏡処置を行う際、出血等を予防するために重要な役割を果たすことを示す1例と考え、若干の文献的な考察を含め報告する。

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【消化器3(肝臓)】

座長1:鍋島 紀滋(天理よろづ相談所病院 消化器内科)
座長2:前川  清(近畿大学医学部 中央臨床検査部)

37-043 肝血管腫の「ゆらぎ現象(fluttering signal)」についての検討

柴田 陽子1、田中 弘教1,2、松永 桃子1、奥平 久美子1、西村 純子1、山平 正浩1、吉田 昌弘1、東浦 晶子1、橋本 眞里子1、飯島 尋子1,2

1兵庫医科大学病院 超音波センター、2同 内科・肝胆膵科

【目的】私たちは、Bモードで血管腫の内部エコーパターンが“ゆらゆら”している様に観察される現象を「ゆらぎ現象(fluttering signal)」(以下「ゆらぎ」)として、その診断の有用性を報告してきた。今回、「ゆらぎ」が認めやすい条件を検討した。【対象・方法】肝血管腫と診断された176結節145症例を対象とした。「ゆらぎ」の判定は結節にフォーカスを合わせ、内部を詳細に描出できる様拡大し呼吸停止下で行った。【結果】「ゆらぎ」は110結節(63%)に確認できた。50結節(28%)にはみられず、16結節(9%)は判定困難であった。大きさの検討では、15mm未満では42%、15mm以上は82%で「ゆらぎ」が観察された。「ゆらぎ」有群の約9割は病変部に低エコー領域が含まれていた。【結論】「ゆらぎ」は15mm以上、低エコー領域を含む結節で高頻度に認められた。

37-044 肝腫瘍性病変におけるVirtual Touch Tissue Quantification(VTTQ)法の検討

吉田 昌弘1、田中 弘教1,2、西村 純子1、松永 桃子1、平山 秀男3、岩井 孝史2、會澤 信弘2、藤本 治朗4、西口 修平2、飯島 尋子1,2

1兵庫医科大学 超音波センター、2同 内科・肝胆膵科、3持田シーメンスメディカルシステム株式会社 マーケティング部、4兵庫医科大学 肝胆膵外科

【目的】Virtual Touch Tissue Quantification (VTTQ)法を用い肝細胞癌(HCC)、肝血管腫(HEM)、転移性肝腫瘍(META)の硬さについて検討した。【対象・方法】対象は 肝腫瘍46例(内訳:HCC 21例、HEM 14例、META 11例)を対象とした。機種はACUSON S2000を使用した。(当院倫理委員会の承認済み)【結果】腫瘍部と非腫瘍部のVs値(m/s)は、それぞれHCC:1.56、2.00、HEM:1.60、1.11、META:2.86、1.14、であった。【考察】肝血管腫のうち硬化型肝血管腫は高値を示し血管腫の組織の鑑別診断に使用できる可能性が示唆された。METAのVs値はHCCやHEMと比較し有意に高値を示した。【結語】VTTQ法は肝腫瘍性病変の硬度を定量的に評価でき鑑別診断のオプションとして有用である。

37-045 転移性肝癌(原発巣別)のソナゾイド造影超音波像について

前川 清1、畑中 絹世2、木原 里江子1、横川 美加1、桑口 愛1、前野 知子1、井上 達夫2、南 康範3、鄭 浩柄2、工藤 正俊2

1近畿大学医学部附属病院 中央臨床検査部腹部超音波室、2近畿大学医学部 消化器内科、3近畿大学医学部堺病院 消化器内科

当院では2007年1月〜2010年5月間で肝腫瘤性病変のSonazoid造影超音波検査(CE-US)を延べ2245症例について実施した。その中で転移性肝癌72症例を経験した。内訳は大腸癌32例、乳癌および膵癌が各10例、胃癌4例、膀胱癌、食道癌および子宮癌がそれぞれ3例、腎癌が2例およびその他が5例であった。今回、肝腫瘤の超音波診断基準(1988/11/30)の改訂(案)5.3造影所見(時相、イメージの定義)に則して転移性肝癌の原発巣別にCE-USの染影パターンの検討を行ったので報告する。 早期の染影( Arterial phase )はリング状を呈するものが多くPost vascular phaseではPerfusion Defectを示した。早期相で強い染影を示す腫瘤の多くは門脈優位相( Portal phase )でリング状染影を示すことが多かった。

37-046 Sonazoid造影超音波の肝細胞癌診断におけるADF(adovanced dynamic Flow)併用の有用性

東浦 晶子1、田中 弘教1,2、山平 正浩1、吉田 昌弘1、柴田 陽子1、橋本 眞里子1、藤元 治朗3、西上 隆之4、西口 修平2、飯島 尋子1,2

1兵庫医科大学病院 超音波センター、2同 内科・肝胆膵科、3同 肝胆膵外科、4同 病院病理部

[目的]Sonazoid造影超音波による肝細胞癌(HCC)観察時にADF併用により診断感度が上昇する事を報告してきた。今回B-mode所見別にその有用性を検討した。[方法]2009年1月から2010年6月に造影超音波を施行し組織診断又は総合画像診断で診断されたHCC109症例132結節(平均年齢68.8歳)を対象とした。東芝AplioXGを使用しSonazoid bolus投与15分以降のKupffer相を低音圧で観察後ADFでも観察し、染影の程度をそれぞれ高輝度、等輝度、低輝度に分類し検討した。[結果]HCCのB mode所見は高エコー40結節、等エコー12結節、低エコー48結節、モザイク32結節であった。Kupffer相では低音圧で等輝度が36結節(27%)、低輝度は96結節(73%)であった。低音圧で等輝度の36結節はADFでは16結節が低輝度となりHCCと診断可能であった。低音圧で等輝度症例のADFによる改善率は高エコー74%(14/19) 、等エコー0%(0/3) 、低エコー17%(2/12) 、モザイク(0/13)で特に高エコ-病変での改善率が良好であった。

37-047 正常肝におけるKupffer相(後血管相)診断の再循環による影響

飯島 尋子1,2、山平 正浩1、吉田 昌弘1、東浦 晶子1、柴田 陽子1、橋本 眞理子1、田中 弘教1,2、赤尾 憲二3、西口 修平2

1兵庫医科大学 超音波センター、2同 内科・肝胆膵科、3東芝メディカルシステムズ株式会社 

【はじめに】Sonazoid造影後血管相(以下Kupffer相)診断は、肝腫瘍性状診断や転移巣などの検出に重要であるが造影剤の再循環の影響による腫瘍染影の相違などが問題となっている。正常肝においてKupffer相の肝実質染影について再循環が及ぼす影響の時間につき検討した。【方法】健常成人男性にSonazoidを0.5mlbolus静注後10分、20分、40分で高音圧でバブルを消去し直行する断面で肝実質の観察、dB値を計測した。兵庫医科大学倫理委員会の承認を得ている。【結果】肝実質の40分のdB値は-28〜29であった。10分後では-37〜38、20分-41〜42、40分では、-47dBであった。【考察】肝実質染影は、10分後では再循環の影響があるが20分後はほぼ影響はない。【結語】Kupffer相はSonazoid静注20分後では再循環による影響はない。

37-048 ソナゾイド造影USを追加焼灼に応用したHCCの治療経験 (第3報:CT併用例も含めて)

菅野 雅彦1、松野 たか子1、井戸 聖華1、中島 英信2、小川 浩史2、大田 和寛2、品川 秋秀2、桑田 智3、中山 喬資3

1すがの内科クリニック 内科、2高槻病院 消化器内科、3同 放射線科

【目的】RFA治療直後に造影し、viable lesionに追加焼灼を繰り返し行った成績。USにて描出不十分な場合CTも併用。【対象と方法】高槻病院にて08年1月〜10年6月に造影US(日立EUB7500:RVSなし)併用RFAを行った62 例。描出の難しい結節はCT室にてUS造影・穿刺・CT撮影にて位置確認を繰り返し焼灼。【結果】62例89結節をRFA治療(73セッション;開腹下:1, 転移性肝癌:1、CT併用:4)。高齢者が増加し適応外やreduction目的の症例もあり、局所再発7例、出血、気胸各1例。【CT併用症例】71歳M;NASH:LC。10年1月CTでS8にHCC、EOB-MRIにてS5にも病変が疑われたが、造影US上S8のみ描出されRFA。US造影後22G針を肋弓下より刺入、CTで位置確認後17G展開針で穿刺、撮影後焼灼を3回繰り返し完全焼灼。【結語】RFA時に繰り返し造影することにより、時間はやや長く要するが、治療効果の向上と局所再発率の低下が期待できる。またCT併用の肋弓下から展開針焼灼も有用である。

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【消化器4(肝臓)】

座長1:川崎 俊彦(近畿大学医学部奈良病院 消化器・内分泌内科)
座長2:山平 正浩(兵庫医科大学病院 超音波センター)

37-049 EOB-MRIおよび造影USでHCCと鑑別を要し針生検で診断しえた肝炎症性偽腫瘍の一症例

斉藤 雅也1、矢野 嘉彦1,2、瀬尾 靖1、三木 章1、森永 有紀子3、伊藤 智雄3、東 健1

1神戸大学医学部附属病院 消化器内科、2神戸大学大学院医学研究科 微生物感染症学講座、3神戸大学医学部附属病院 病理診断科

60歳代男性、2010年2月、腹部単純CTで肝腫瘍はなかったが同年4月のCTで肝S4テント直下に径41mm大の低吸収域を認めた。腹部EOB-MRIにてT1/T2=低信号/高信号、動脈相で等信号、門脈相で低信号、DWIで中央部に高信号、肝細胞相で低信号を呈した。BモードUSにて分葉状、内部低エコー、周囲高エコーを呈し、ドプラにて腫瘤内血流を認めず。造影USにて動脈相で周囲肝実質と同様に淡染し、門脈相にてwash outを示した。以上より高分化型HCCが疑われた。US上、背景肝は脂肪肝や肝硬変の像なく、肝内胆管や肝静脈・門脈拡張もみられず。針生検施行したところ、腫瘤内部に腫瘍性増生を認めず、炎症細胞浸潤を伴う線維性組織が認められたことから肝炎症性偽腫瘍と診断した。今回、EOB-MRIおよび造影USでHCCと鑑別を要し針生検にて診断しえた肝炎症性偽腫瘍の一症例を経験したので報告する。

37-050 ソナゾイド造影超音波にて肝静脈腫瘍栓を認めた肝炎症性偽腫瘍の一例

杤尾 人司1、和田 将弥2、杉之下 与志樹2、岩崎 信広1、三羽 えり子1、簑輪 和士1、小畑 美佐子1、高田 真理子2、小林 裕之3、猪熊 哲朗2

1神戸市立医療センター中央市民病院 臨床検査技術部、2同 消化器センター内科、3同 外科

症例60歳代男性。早期胃癌、食道癌、総胆管結石の既往あり。半年前に針生検にて肝炎症性偽腫瘍と診断され、その後経過観察中、腫瘤径の増大(5cm→7cm)を認めたため、ソナゾイド造影超音波が施行された。造影後期相(Kupffer相)において、明瞭なdefectを呈する腫瘤が肝静脈内に認められ、re-injectionにてvascularityが認められたことから肝静脈内腫瘍栓と考えられた。肝細胞癌、胆管細胞癌などの悪性腫瘍否定のために再度開腹生検が施行され炎症性偽腫瘍に合致する組織所見であった。肝静脈腫瘍栓を合併する肝炎症性偽腫瘍の切除例が報告されているが非常に稀である。本例では造影超音波の実施により肝静脈内腫瘤が明瞭に描出され容易に腫瘍栓と診断できた。肝静脈腫瘍栓の検出における造影超音波の有用性と共に肝炎症性偽腫瘍には肝静脈内に(偽)腫瘍栓が合併し得る場合がある事を報告する。

37-051 肝多発性限局性脂肪肝の1例

梅田 誠、生田 耕三、出田 雅子、山内 雄揮、小山 貴弘、北見 真帆、野本 大介、川崎 公男、松村 毅、木村 利幸

兵庫県立尼崎病院 消化器内科

<症例>59歳、男性。<既往歴>痛風、高血圧<現病歴>健診にて肝機能障害を指摘され腹部超音波検査(US)で、多発肝腫瘤を指摘され当科受診。USでは肝右葉に15mm程度の境界明瞭な高輝度腫瘤が散在し、カラードップラーで内部血流は認めなかったが腫瘤を貫通する脈管を認めた。造影CTでは動脈相および平行相で造影効果を認めなかった。プリモビストMRIではT1 in phaseで淡く高信号、out phaseで淡い低信号、脂肪抑制T1では信号輝度がやや低下、T2では淡い高信号を示したことから腫瘤内に脂肪を含むことが推測された。なお肝細胞相で周囲肝組織よりやや高信号を示した。腹部血管造影では明らかな腫瘍濃染像は認めなかった。肝生検にて限局性脂肪肝と診断した。<結論>背景に肝疾患を認めない症例で肝内多発高輝度腫瘤を認めた際には多発性限局性脂肪肝を鑑別の1つとして考慮する必要があると思われた。

37-052 短期間の内に増大傾向を示した多発性肝限局性結節性過形成の一例

荒澤 壮一1、西田 直生志1、依田 広1、秦 浩一郎2、影山 詔一2、福山 宏樹3、村田 充子3、磯田 裕義4、波多野 悦朗2、千葉 勉1

1京都大学医学部附属病院 消化器内科、2同 肝胆膵移植外科、3同 検査部、4同 放射線診断科

【症例】24歳女性【病歴】生来健康。健康診断にて高ビリルビン血症を指摘され当科紹介受診。月経不順のため短期間の低用量ピル服用歴あり。肝炎ウイルスマーカーはA型、B型、C型とも陰性。抗核抗体、抗ミトコンドリア抗体、αフェトプロテイン、PIVKA-U陰性。【経過】肝両葉に等エコー域が多発し、経皮的腫瘍生検では腺腫のうたがい。造影超音波検査では車軸状血管あり。肝内に門脈体循環短絡あり。肝腫瘍が増大傾向を呈したため悪性を否定できず、肝外側区域切除術を施行した。摘出標本の病理組織診にて肝限局性結節性過形成(FNH)と確定診断した。【考察】FNHの発生および増大に肝血管異常などの関与が示唆されているが、成因はいまだ不明である。肝血管異常を伴ったFNHの1例を文献的考察を加えて提示する。

37-053 Sonazoid造影超音波、EOB-MRIにてHCCとの鑑別を要したアルコール性過形成結節の2例

土本 雄亮1、今井 康陽1、小来田 幸世1、澤井 良之1、井倉 技1、福田 和人1、黒川 正典1、関 康2、宇戸 朋之2、高村 学2

1市立池田病院 消化器内科、2同 放射線科

アルコール性過形成結節の画像検査による診断は困難とされる。今回我々は造影CTによってHCCが疑われ、Sonazoid造影超音波検査とEOB-MRIを施行するもHCCとの鑑別が困難であったアルコール性過形成結節の2例を経験した。AFPやPIVKA-U等の腫瘍マーカーは陰性。1例は造影CTにて肝内に動脈相で濃染する結節を認め、もう1例は動脈相で濃染する結節が肝内に3結節認めた。Sonazoid造影超音波にて、何れの結節も早期濃染し、Kupffer phaseにて取り込み低下を認めた。EOB-MRIにて、1例は肝細胞相にて結節辺縁は高信号、内部は軽度取り込み低下を認めた。もう1例の3結節は肝細胞相にて取り込み低下は認めなかったが、followのEOB-MRIにて3結節のうち、1結節が取り込み低下を認めるようになった。それぞれの結節に対して肝生検を施行し、何れもアルコール性過形成結節と診断された。画像診断上、HCCとの鑑別が困難であったアルコール性過形成結節を経験したので報告する。

37-054 過形成結節と肝細胞癌を同時に認めたアルコール性肝硬変の一例

橋本 眞里子1、田中 弘教1,2、東浦 晶子1、柴田 陽子1、岩井 孝史2、西上 隆之3、斉藤 慎一4、藤元 治朗4、西口 修平2、飯島 尋子1,2

1兵庫医科大学病院 超音波センター、2同 内科・肝胆膵科、3同 病理学(分子病理部門)、4同 肝胆膵外科

症例は49歳男性。アルコール性肝硬変。2008年1月、腹部超音波検査でS3に14mmの低エコー、S2に15mmの高エコー、S7に20mmの高〜等エコーの結節をそれぞれ認めた。経過観察中、2009年1月のSonazoid造影超音波検査では動脈優位相でS7はhypervascular、S2とS3はisovascular、Kupffer相でS3とS7はhypointensity、S2はisointensityであった。EOB-MRIでS3とS7は動脈相-high、S2は動脈相-low、肝細胞造影相はすべて低信号であった。肝腫瘍生検でいずれも高分化肝細胞癌が疑われたため、外科的切除術を施行。切除結果は、S2のみが高度の脂肪化を伴った肝細胞癌であり、S3とS7はアルコール性過形成結節で、S3は高度の鉄沈着を伴っていた。免疫染色にて興味深い結果を得られたので考察を含めて報告する。

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【血管1(頸動脈)】

座長1:斎藤 こずえ(国立循環器病研究センター 脳神経内科)
座長2:今西 孝充(神戸大学医学部附属病院 検査部)

37-055 頸動脈狭窄の血流波形変化をエコーで経時的に観察できた一例

坂本 雅子1、濱口 浩敏2、今西 孝充1、高坂 仁美1、沖 都麦1、福住 典子1、林 伸英1、木下 承晧1、河野 誠司3

1神戸大学医学部附属病院 検査部、2同 神経内科、3同 免疫内科

目的:頸動脈エコー検査において、石灰化プラークによる狭窄病変は、音響陰影のため直接狭窄率を算出するのが困難である。今回、末梢血流の波形変化が頸動脈狭窄の評価に有用であった一例を報告する。症例:68歳男性.頸動脈エコー上、左総頸動脈球部に石灰化プラーク主体の狭窄を指摘され、抗血小板薬内服により経過観察されていた。この際、血流波形に異常なく、流速も正常であった。1年半後には、プラーク性状に変化はなかったが、内頸動脈血流がpost-stenotic patternとなり、外頸動脈からの逆行性血流を認めた。総頸動脈血流は認めており、near occlusionと判断した。頸動脈ステント留置により、狭窄の改善とともに血流波形の改善が認められ、外頸動脈も順行性血流となった。結語:プラーク性状により直接的な狭窄度評価が困難である症例でも、血流波形の測定により間接的に狭窄の進行を評価することが可能である。

37-056 頸動脈ステント術後に可動性プラークが発見された頸部放射線治療後の1例

谷口 京子1、小谷 敦志1、後藤 千鶴1、橋本 三紀恵1、辻 裕美子1、塩見 香織1、河野 ふみえ1、前川 清1、平野 豊1、上硲 俊法2

1近畿大学医学部附属病院 中央臨床検査部、2同 臨床検査医学

【症例】72歳の男性、他院で右内頸動脈狭窄を指摘され2010年1月に頸動脈ステント留置(CAS)目的で当院入院。既往歴は右耳下腺腫瘍による放射線治療、高血圧、糖尿病がある。【画像診断結果】 頸動脈エコーで右内頸動脈起始部に狭窄を認めた。狭窄部のプラーク性状は低輝度不均一型で最大血流速度は3.0m/secであった。術後3日目の頸動脈エコーではステント内に可動性のある血栓様エコーを認め、同日の頸部造影CTでも同部位に造影欠損域があり血栓が疑われた。【考察】本例の可動性血栓様プラーク形成の成因として、放射線治療による頸動脈の内皮障害の存在、同部位の術前のプラーク性状が低輝度不均一型であったことなどが考えられた。【結語】CAS前後の頸動脈エコー評価では、術前のプラーク性状、術後のCAS内血栓症やプラーク逸脱などに注意して観察する必要がある。

37-057 頸部放射線治療後の頸動脈病変をエコーで確認できた2例

福住 典子1、濱口 浩敏2、今西 孝充1、高坂 仁美1、沖 都麦1、坂本 雅子1、林 伸英1、木下 承晧1、河野 誠司1

1神戸大学医学部附属病院 検査部、2同 神経内科

目的:頸部放射線治療後の注意すべき合併症として頸動脈への障害がある。今回、脳梗塞の原因となった頸動脈病変が、放射線照射の影響であると考えられた2症例を経験したので報告する。症例1:72歳男性。52歳で咽頭癌摘出術と放射線治療を受けた。68歳で再発し、再度放射線治療を行っていた。脳梗塞を発症し入院。頸動脈エコーにて右ICA狭窄、左CCA〜ICA閉塞を認めた。症例2:65歳女性。13歳で頸部白斑に対し放射線治療を受けた。脳梗塞を発症し入院。頸動脈エコーにて右CCA閉塞、石灰化による左CCA高度狭窄を認めた。考察:放射線照射による頸動脈への影響は、血管損傷と二次的な動脈硬化の進展が主原因と考えられる。照射範囲により病変が広範囲に及び、狭搾や閉塞になることが多い。本例ではいずれも頸動脈エコーで広範囲な狭搾、閉塞が確認できた。結論:放射線照射による特徴的な頸動脈病変をエコーで評価することができる。

37-058 頸部血管内の血流境界面に見られる虚像の鑑別法

工藤 陽子1、椿森 省二1、辻本 欽英1、前田 翔子1、今北 哲2、有澤 淳2

1ハイメディッククリニックWEST 臨床検査課、2同 画像診断センター

【症例提示】頸部血管エコー検査時、頸動脈球部やプラークの末梢側にヒラヒラと動く糸状あるいは薄膜様のエコーが観察されることがある。これらは長さが大きく変化するなど実像とは異なる特徴を有し、多重反射や鏡面現象などの虚像とは異なる。糸状エコーが出現するのは順流と逆流(旋回流)、あるいは高速血流と低速血流の境界面であった。今回これら虚像症例を提示し、その特徴と鑑別法について報告する。【考察】血管内虚像の多くは反射の強い血管壁などに由来するが、今回提示した糸状エコーは、血流境界面での反射に起因した虚像であると考えられた。その鑑別にはカラードプラ表示が有用である。

37-059 全国19施設から得られた頸動脈エコースクリーニング評価法の現状

小谷 敦志1、浅岡 伸光2

1近畿大学医学部附属病院 中央臨床検査部、2宝塚市立病院 中央検査室

【背景】我が国では日本脳神経超音波学会と日本超音波医学会から頸動脈エコー検査のガイドラインが提唱されているが、スクリーニング評価法において、どの施設も画一的な評価方法で評価しているとは言い難い。【目的】各施設の実際的な頸動脈エコースクリーニング評価方法の現状を調査。【対象と方法】血管診療技師あるいは血管超音波検査士が在籍する、全国19施設に対しアンケートを依頼し集計。【結果】評価項目については、80%以上の施設でMax IMT、プラーク壁厚計測、CCAおよびICA、VA血流速度を評価していた。一方、50%以上の施設でプラーク数、プラークスコア、ECA血流を評価していなかった。狭窄評価で最も重要視する項目は最高血流速度であった。【結語】今回の結果から、実診療において各施設でガイドラインを参考に検査時間内で簡便で最も良い方法を選択し評価していることが判明した。

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【血管2(動脈・静脈)】

座長1:濱口 浩敏(神戸大学医学部附属病院 神経内科)
座長2:竹本 和司(和歌山県立医科大学附属病院)

37-060 妊娠から出産まで経過観察した大動脈炎症候群の1例

大谷 幸代1、河村 規子2、安福 万紀子2、吉田 育子2、長久 博子3、千森 義浩3

1兵庫県立尼崎病院 検査・放射線部、2兵庫県立西宮病院 検査・放射線部、3同 循環器科

【症例】30代女性【主訴】右頸部痛【既往歴】高血圧、貧血、片頭痛【現病歴】頸部痛出現、その後労作時呼吸困難、倦怠感増強し近医を受診。右橈骨動脈の触知不良、血圧の左右差、USで右総頸動脈に壁肥厚を伴う狭窄を認め、大動脈炎症候群の活動期と診断。精査加療目的で紹介入院となった。【現症】血圧右114/83mmHg、左149/106mmHg、脈拍77/分、整。右頸部に血管雑音聴取。心雑音なし。神経学的所見なし。【US】右総頸動脈は血管径の拡張と内中膜の全周性肥厚による高度狭窄及び右椎骨動脈の血流低下を認めた。【血液検査】CRP高値、血沈亢進、HLA-B52陽性【CT】右総頸動脈の他、大動脈弓部から腕頭動脈まで肥厚を認めた。【経過】副腎皮質ステロイド剤で治療後、炎症反応・症状が改善し退院した。その後妊娠が判明。出産するまでUSにて注意深く経過観察した。【まとめ】大動脈炎症候群を発症し、出産までの経過をUSで観察し得たので報告する。

37-061 大動脈炎症候群に対するステロイド治療の効果判定に腎動脈エコーが有用であった一例

植木 博之、山本 裕美、諸岡 花子、山治 憲司、平野 豊、宮崎 俊一

近畿大学医学部付属病院 循環器内科

24歳台の女性。高血圧で近医通院中であったが、全身浮腫を認める様になり精査加療目的で当科紹介となった。二次性高血圧の鑑別のため腎動脈エコー行ったところ左腎動脈狭窄があり3.5m/secの加速血流を認めた。造影CTを行ったところ腹部大動脈周囲に異常陰影を認めたため、鑑別のためにPETを施行したが集積はなかった。CRP、自己抗体に関する陽性所見は無かったものの大動脈炎症候群を疑い、診断的治療としてステロイドパルス療法を行った。CTにて異常陰影の縮小、血圧の改善を認めたためプレドニン20mgの内服を開始した。血圧が安定していたためプレドニンを10mgまで減量し腎動脈エコーを施行したところ左腎動脈血流速度4.2m/secと増加していたため20mgまで増量し、再検したところ左腎動脈血流速度2.4m/secと改善を認めた。ステロイド治療の効果判定に腎動脈エコーが有用であった一例を報告する。

37-062 ERで遭遇したA型急性大動脈解離の2例

高橋 秀一1、豊田 茂美1、橋和田 須美代1、桑野 和代1、松谷 勇人1、泉 知里2、三宅 誠2、中川義久2

1天理よろづ相談所病院 臨床病理部、2同 循環器内科

【症例1】44歳男性。重症急性心不全の原因検索の目的でUCG施行。左室壁運動異常と中等度の大動脈弁逆流(AR)さらに大動脈弁に嵌頓する解離内膜を認めたため急性大動脈解離と判断し、CT検査後に緊急手術となった。【症例2】48歳女性。他院にて心膜炎を疑われ来院、心嚢液および心機能評価の目的でUCG施行。中等量の心嚢液貯留、IVCの拡大、左室壁運動は正常であった。大動脈弁に変化はなかったが中等度のARを認めた。若干の胸痛を訴えていたが、臨床症状および心電図の変化を含めて心膜炎によるものとして検査を終了した。翌日、急変。動画記録を見直すと解離内膜が存在していた。A型急性大動脈解離の診断にUCGは重要な役割を果たすが、ERにおいては患者の状態などが多彩で見逃す可能性もあるため、ARを認めた際にはA型急性大動脈解離を念頭におく必要がある。

37-063 上腕動脈血流速の変化率は透析患者の狭窄病変の発生予測に使用できないか

臼井 真也、岩崎 大輔、冨田 智弘、岩田 雄義、左合 哲

(医)社団大誠会松岡内科クリニック

当院では透析患者に対し5年前より日常の血管アクセス評価に超音波検査を行っています。定量評価も可能な超音波検査は、アクセス管理に果たす役割は重要であります。狭窄病変の発生予測には、シャント肢上腕動脈血流波形や、血管抵抗指数(RI)を指標とする発表があり、当院でもそれらを含め総合的に評価してきました。しかしAVFのみに対する指標であり、狭窄病変の評価は一般にB-mode上にて測定する%stenosisが優先されます。今回我々は、最大血流速Vmaxの変化に着目し、シャント肢上腕動脈血流速の透析可能時Vmax-nに対するイベント発生時Vmax-eの変化率(Vmax-n−Vmax-e)/Vmax-n×100(%)が、日常使用している指標と比較し狭窄病変の発生予測に使用できないかを検討したので報告します。

37-064 妊娠初期に発症した深部静脈血栓症の1例

後藤 千鶴1、生頼 侑果1、谷口 京子1、辻 裕美子1、塩見 香織1、河野 ふみえ1、釣谷 充弘2、保田 知生3、平野 豊1

1近畿大学医学部付属病院 中央臨床検査部、2同 産婦人科、3同 外科

≪はじめに≫ 妊娠は、深部静脈血栓症(DVT)のリスク因子として知られている。今回、妊娠初期に発症したDVT症例を経験したので報告する。≪症例≫32歳の女性。主訴は左下肢の疼痛と腫脹。≪現病歴≫妊娠9週1日目に左下肢の発赤、疼痛と腫脹をきたし、血栓性静脈炎を疑われ当院を受診し入院となった。≪入院後経過≫超音波検査では、左総腸骨静脈から浅大腿静脈にかけてDVTを認めた。TATは24.0ng/ml、D-dimerは20.7μg/mlと上昇を認め、プロテインSは30%と低下していた。≪まとめ≫妊娠後期にDVTを発症することはよく知られている。今回妊娠初期に発症したDVT症例を経験したので文献的考察を含め報告する。

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【体表・甲状腺・経頭蓋】

座長1:小林  薫(隈病院)
座長2:藤岡 一也(大阪市立大学 中央臨床検査部)

37-065 パーキンソン病患者の経頭蓋超音波検査

上場 將生1、出村 豊1、林 隆太郎2、山本 兼司2、珠數 顯1

1独立行政法人国立病院機構宇多野病院 臨床検査科、2同 神経内科

【目的】近年、経頭蓋超音波検査にてパーキンソン病(PD)例の黒質が高輝度エコーを呈することが報告されている。今回、その有用性について検討した。【対象と方法】当院にて経頭蓋超音波検査を施行した52例(正常23例、PD29例)について、黒質の輝度上昇を 四段階(正常:GradeT、一側がわずかに高輝度:GradeU、一側が明らかに高輝度:GradeV、両側高輝度:GradeW)に評価し、正常例とPD例を比較した。加えて、罹病期間5年未満と5年以上の症例を比較した。【結果】GradeV以上は、正常例で13.3%に対しPD例が72.7%と高率であった。罹病期間5年未満の症例は75.0%、5年以上の症例では71.4%とほぼ同率であった。【結語】経頭蓋超音波検査はPD例にて黒質の輝度上昇を認め、比較的早期の症例でも罹病歴の長い症例と同様な結果が得られることが示唆され、PD診断に有用であると考えられる。

37-066 超音波検査で確認したモンドール病の2症例

佐藤 まり恵1、本田 伸行2、松原 友紀2、橋向 成典2、廣辻 和子3

1西天満クリニック、2寺元記念病院 画像診断センター、3医真会八尾総合病院 臨床検査科

<症例1> 30歳代、女性。10日前より感冒症状があり、その際に左脇に引きつりを自覚すると共に、索状物を触知。その後、索状物が左肘部にまで伸びてきたため当院受診。超音波検査では左腋窩から上腕内側の皮下に高エコー帯を伴う低エコー索状構造を認め、探触子による圧迫でも明らかな形状の変化は認めなかった。また、索状物内部に明らかな血流信号は認めなかった。 <症例2> 20歳代、女性。右前胸部から腹部にかけて索状物を自覚し当院受診。超音波検査でも皮下の低エコー索状物が確認でき、所々索状物を取り囲む高エコー帯を認めた。圧迫による形状の変化はなく、血流信号も認めなかった。2症例とも経過観察で皮下の索状物は消失し、臨床経過および超音波像いずれも典型的なモンドール病と考えられた。

37-067 当院における皮膚エコー検査の初期経験

九鬼 千夏1、福本 隆也1、小林 信彦1、浅田 秀夫1、吉田 美鈴2、山下 奈美子2、平井 都始子2

1奈良県立医科大学 皮膚科学教室、2同 超音波検査室

超音波検査は非侵襲的にリアルタイムに画像を得られるため皮膚科領域においても存在診断、質的診断、深達度診断において非常に有効であり、腫瘍性病変や炎症性疾患、皮膚性状の変化、血流評価などに多様されている。とくに腫瘍性病変では病理組織検査を必要とするのか判断するのに非常に重要な役割を果たしていると考える。またリンパ節の転移検索に用いられており、原疾患により転移リンパ節も類似の形態を呈しているように思われる。当院で皮膚エコー検査を施行し有用と思われた症例について、臨床所見、病理組織検査とともに報告する。

37-068 甲状腺乳頭癌の頸部リンパ節転移のエコー像

大下 真紀1、太田 寿1、森田 新二1、福島 光浩2、小林 薫2、網野 信行3、宮内 昭2

1隈病院 臨床検査科、2同 外科、3同 内科

【はじめに】甲状腺乳頭癌の転移リンパ節のエコー像には特徴があり形状は不整形、内部に嚢胞変性や微細多発高エコーがみられる。【対象と方法】当院で2009年1月から4月、乳頭癌で手術され組織学的にリンパ節転移と診断された96症例(133個の転移リンパ節)についてretrospectiveに形状、内部エコー、ドプラシグナル、リンパ門の有無などのエコー像を検討した。装置:東芝Aplio SSA-770A【結果】不整形:51.9% 内部不均一:92.5%、嚢胞変性無し:89.5%、 内部エコーレベル高:66.2%、微細多発高エコー:45.1%、ドプラシグナル:84.6%、リンパ門無し:100%【まとめ】乳頭癌の転移リンパ節のエコー像は形状不整、内部エコーは充実で不均一、微細多発高エコー部、内部にドプラシグナルを認め、リンパ門は認められなかった。乳頭癌の転移リンパ節の鑑別には有用である。

37-069 甲状腺片側上葉の有痛性腫瘤と発熱にて梨状窩瘻を疑う小児例

飯干 泰彦、位藤 俊一、水野 均、山村 憲幸、藤井 仁、藤井 亮知、人羅 俊貴、小北 晃弘、大橋 朋史、伊豆蔵 正明

りんくう総合医療センター 外科

小児において頚部腫瘤を呈する疾患は、正中頚嚢胞、側頚嚢胞、リンパ管腫等様々である。今回、甲状腺片側の有痛性腫瘤と発熱を主訴に来院した小児例を経験したので報告する。症例は、7歳女児。発熱、咽頭痛が出現したため近医受診し、抗生剤経口投与されるも改善せず、左上頚部の腫脹が出現し、徐々に左下頚部に移動した。第3病日に白血球数18300、CRP 12.4と上昇を認め、抗生剤静脈投与を開始して改善傾向を認めるが、左頚部痛が持続するため、第9病日に当院紹介受診となる。来院時は、解熱しており、左下頚部の腫脹と圧痛を認めた。頚部超音波検査では、甲状腺左葉と峡部の腫大、左上極から中極にかけての境界不明瞭で辺縁不整な低エコー域を認め、皮膚側筋層へも低エコー域の広がりをみせた。今回のエコー上は、梨状窩との交通を確認できず、炎症の消退を待ってCT、内視鏡、造影検査等にて梨状窩との交通を確認する予定である。

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【乳腺1】

座長1:奥野 敏隆(西神戸医療センター 外科)
座長2:尾羽根 範員(住友病院 診療技術部超音波技術科)

37-070 表在腫瘤におけるVirtual Touch Tissue Quantificationの使用経験

後藤 隆純、位藤 俊一、水野 均、飯干 泰彦、山村 憲幸、藤井 仁、人羅 俊貴、藤井 亮知、大橋 朋史、伊豆蔵 正明

りんくう総合医療センター市立泉佐野病院 外科

【目的】近年開発されたVirtual Touch Tissue Quantification (VTTQ)は、収束超音波パルスを体外から照射して深部にせん断弾性波を発生させ、その伝搬速度(Vs)を計測することによって組織の硬さを簡便かつ定量的に評価できるものである。このたびVTTQが高周波リニア探触子においても適応可能となったため、表在腫瘤の良悪性診断の可能性を検討した。【方法】シーメンス製超音波診断装置S2000およびリニア電子スキャン探触子9L4を用いて、表在腫瘤(乳腺・甲状腺)Vs値を測定した。同一箇所で5回の測定を繰り返し平均値を求め、腫瘍部と非腫瘍部で比較した。【結果】腫瘍部のVsは、非腫瘍部に比して明らかに高値を示した。また、悪性腫瘍では良性腫瘍に比して高値を示した。【結論】VTTQは表在組織の硬さを簡便かつ定量的に測定でき、腫瘤の診断に有用と考えられる。

37-071 乳癌術前化学療法後の造影超音波検査

中村 卓1、平井 都始子2、小林 豊樹1、高橋 亜希3、武輪 恵3、菊地 友和2、吉田 美鈴2、山下 奈美子2、伊藤 高広3、中島 祥介1

1奈良県立医科大学付属病院 消化器外科・小児外科・乳腺外科、2同 中央内視鏡・超音波部、3同 放射線科

乳癌に対する術前化学療法の効果判定には従来、造影MRIや超音波検査が用いられてきた。我々は今回、造影超音波検査を乳癌術前化学療法後に施行したので病理と対比させて報告する。症例1:腫瘤は縮小したが、造影超音波で腫瘤全体に造影効果を認めた。病理学的にも腫瘍の残存が証明された。症例2:腫瘍は著明に縮小し、造影超音波検査では腫瘤の辺縁にわずかに血流が残るのみであった。病理学的には完全消失であった。症例3:腫瘍は著明に縮小したが、造影超音波検査では腫瘍の辺縁に血流が認められた。病理学的にはわずかな癌の遺残が認められた。乳腺自体も造影効果をわずかながら認めるので、造影超音波で造影されるところが腫瘍の残存部位なのかどうか、判断が難しいこともあることが示唆された。

37-072 乳癌拡がり診断における3次元/4次元超音波の経験

小北 晃弘、位籐 俊一、水野 均、飯干 泰彦、山村 憲幸、藤井 仁、人羅 俊貴、藤井 亮知、大橋 朋史、伊豆蔵 正明

りんくう総合医療センター市立泉佐野病院 外科

最近では、CTやMRIの3次元画像は日常臨床において必要不可欠なモダリティの一つとなってきた。超音波においても3次元、4次元超音波(3D/4D US)の進歩はめざましく、リアルタイム性において他のモダリティを凌駕しており、術式決定等の術前評価において有用と考えられる。今回、3D/4D USを乳癌に対する術前診断に用い、その有用性を検討した。超音波診断装置はLOGIQ E9、探触子はRSP 6-16 Dを使用した。通常の2D USで病変を中心に観察した後に、3D/4D USにて病変を撮像した。特に、冠状断面像を観察することにより、客観的に乳管内進展等の乳癌の拡がりを予測し術式を決定することが可能であった。また、腋窩リンパ節に関しては、3D/4D US画像によりリンパ節の局在を冠状断面で認識できるため、センチネルリンパ節生検の一助となり、容易にセンチネルリンパ節を同定することが可能となった。最近経験した3例を供覧し報告する。

37-073 乳腺顆粒細胞腫の2症例

増田 由佳子1、福岡 恵子1、林 伸英1、木下 承晧1、河野 誠司1、河野 誠之2、山本 恭助2、高尾信太郎2、夏山 順子3、伊藤 智雄3

1神戸大学医学部附属病院 検査部、2同 乳腺内分泌外科、3同 病理部

【はじめに】顆粒細胞腫は、神経原性の良性腫瘍とされ、舌に好発。様々な臓器に発生するが、乳腺は稀である。【症例1】68歳女性。右乳房腫瘤を自覚、当院紹介受診。US:右A領域に19×13mm大の不整形、内部不均一な低エコー腫瘤を認めた。前方境界線断裂、境界不明瞭、血流は認めなかった。Tsukuba elastography score (以下Score)4、Fat lesion ratio (以下FLR) 14.5。【症例2】57歳女性。右乳房の変形、腫瘤を自覚、当院紹介受診。US:右A領域に20×19mm大の不整形、内部不均一な低エコー腫瘤を認めた。後方エコー消失、前方境界線断裂、境界不明瞭、腫瘤内に血流を認めた。Score 3、FLR 25.3。2症例ともに乳癌を疑い針生検を施行、顆粒細胞腫の病理所見を得て、腫瘍摘出術が施行された。【考察】乳腺発生の顆粒細胞腫は、周囲組織への進展傾向が強く乳癌と画像所見が酷似する。本2症例のUS所見も悪性を疑う所見であり、乳癌との区別は困難であった。

37-074 乳腺過誤腫の3例

植東 ゆみ1、太田 奈津子1、松下 陽子1、岡山 幸成1、西村 理2、松末 智3

1天理よろづ相談所病院 臨床病理部、2同 乳腺外科、3同 腹部一般外科

乳腺過誤腫は乳腺、線維、脂肪組織から構成されこの割合は様々である。今回我々は内部エコーの異なる3例を経験した。症例1は40歳代、女性。左乳房にUSで38×36×13mm大の紡錘状で内部にhigh echo lesionがマーブル状に存在するlow echo massを認めた。症例2は60歳代、女性。右乳房にUSで30×22×10mm大の辺縁整、内部にlow echo lesionとhigh echo lesionが混在するmassを認めた。症例3は30歳代、女性。左胸壁にUSで52×36×22mm大の紡錘状で内部に線状エコーを有するlow echo massを認めた。摘出術が施行され、病理組織で過誤腫と診断された。USで腫瘤内部にみられたhigh echo lesionは脂肪組織内の乳腺組織を反映していると思われ、この割合の違いにより内部エコーが異なると思われた。US像を中心に報告する。

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【乳腺2】

座長1:広利 浩一(兵庫県立がんセンター 乳腺外科)
座長2:福岡 恵子(神戸大学医学部附属病院 検査部)

37-075 男性乳癌を合併した腋窩神経鞘腫の1例

日高 晶子1、越智 朋子1、東浦 渉2、阪口 浩1、平井 都始子3

1奈良県立三室病院 放射線科、2奈良医科大学 放射線科、3奈良医科大学 中央内視鏡・超音波部

80代男性、前立腺癌のホルモン療法中に左乳房のしこりに気づき、女性化乳房が疑われたが、徐々に増大するため精査となった。超音波検査で左E領域に、境界明瞭で後方エコーの増強を示す、3.3×2.2cmの混合性腫瘤を認めた。隔壁様構造や壁在結節があり、軽度高輝度を呈する内容物に可動性を認めた。また左腋窩に点状低輝度領域を伴う1.7×1.4cmの充実性腫瘤を認めた。CTでは乳腺腫瘤は軽度高濃度を呈し、造影で厚い壁や隔壁・壁在結節に濃染を認めた。腋窩の腫瘤は腋窩動・静脈近傍にあり、早期より造影され点状・隔壁状に強く濃染する領域を認めた。粘液癌や嚢胞内癌が疑われたがリンパ節転移を否定できず、左乳房切除術と腋窩リンパ節郭術が施行された。病理診断は非浸潤性乳管癌(嚢胞内癌)と神経鞘腫で、リンパ節転移はなかった。乳腺腫瘍の性状から腋窩リンパ節転移の可能性は低く、腫瘤の位置や形態を考慮し検査を行うべきであった。

37-076 Basal-like breast carcinomaの一例

森 悠香1、奥野 敏隆2、登尾 薫1、山野 愛美1、殿畑 友恵1、佐藤 信浩1、内田 浩也1、門口 万由子2

1西神戸医療センター 臨床検査技術部、2同 外科

多遺伝子解析による乳癌の分類のひとつで、免疫組織学的にER(-)、PgR(-)、HER2(-)(いわゆるtriple negative)、basal cytokeratin(+)を呈するbasal-like carcinomaは形態的には境界明瞭で膨張性発育様式をとる腫瘤を示し、臨床的には時として急速増大し、予後不良の転帰をとるといった特徴を有する。臨床・画像所見にてbasal-likeと診断することは治療法選択のうえで有益である。80歳代女性のbasal-like carcinomaの1切除例を経験したので術後の病理組織所見と対比して超音波をはじめとした術前画像所見および細胞診所見を提示する。主訴は左乳房腫瘤。腫瘤径役23mm、楕円形、境界微細分葉状、内部低エコー、後方エコー増強といった所見を呈し、超音波上は充実腺管癌との鑑別を要した。細胞診にて悪性と判定し、乳房切除を行った。

37-077 Micro Pure機能による微小石灰化評価と造影超音波が術式決定に有用であった2症例

大橋 朋史、位籐 俊一、水野 均、飯干 泰彦、山村 憲幸、藤井 仁、藤井 亮知、人羅 俊貴、小北 晃弘、伊豆蔵 正明

りんくう総合医療センター市立泉佐野病院 外科

乳癌の術式決定においては、乳管内進展などの拡がり診断が重要である。その一助として、乳管内の微小石灰化の局在が参考となるが、従来、乳癌における石灰化病変の評価に関しては超音波よりもマンモグラフィ−の方が優位であった。最近では超音波においてもMicro Pure機能(東芝社製Aplio XG)などの新技術が登場し、微小石灰化の評価が可能となってきた。また、当院では造影超音波に関してはソナゾイド0.015ml/kgを用いたvascularityの評価を試みているが、不整な乳管拡張や微細石灰化が認められるなど乳管内進展が疑われた病変に一致して血流シグナルを認めた。今回我々は乳癌の拡がり診断にMicro Pureおよび造影超音波が有用と考えられた2切除例を経験したので報告する。

37-078 画像診断による術前化学療法の効果判定が困難であった浸潤性小葉癌の1例

國久 智成1、高尾信太郎1、河野 誠之1、山本 恭助1、福岡 恵子2、増田 由佳子2、楠木 まり2

1神戸大学医学部附属病院 乳腺内分泌外科、2同 検査部

【背景】浸潤性小葉癌に対する術前化学療法後は画像での効果判定が困難とされる。今回画像診断で過小評価された浸潤性小葉癌の1例を報告する。【症例】40歳女性。右乳房腫瘤を自覚し、精査にて浸潤性小葉癌と診断した。USにて右乳房D領域に41mm大の境界不明瞭、分葉状の低エコー領域を認めた。MMG,造影MRIでも同部位に乳癌の所見を認めた。術前診断は浸潤性小葉癌、cT2N0M0、ステージUA期であった。乳房温存希望の為術前化学療法を行い、その後の評価ではUS、MMG、MRIいずれも明らかな腫瘍の残存を認めなかった。手術は乳房温存術とセンチネルリンパ節生検を行った。術中病理診断ではリンパ節転移および切除断端は陰性であったが、永久標本にて両者とも陽性と診断された為、後日追加手術(乳房切除+腋窩リンパ節郭清)を行った。【結語】浸潤性小葉癌の術前化学療法後は画像診断による治療効果判定が困難な場合があり、治療の適応と腫瘍の広がりの判定は慎重を要する。

37-079 拡張乳管集簇像を呈した非浸潤性乳管癌の1例

尾羽根 範員1、田上 展子1、西村 重彦2、山片 重人2、妙中 直之2

1住友病院 診療技術部超音波技術科、2同 外科

拡張乳管の集簇像を呈した非浸潤性乳管癌の1例を報告する。症例は60歳代、女性。超音波検査で左乳腺A〜C領域を中心として著明に拡張した乳管集簇像を認めた。拡張乳管内に隆起性病変は指摘できなかったが、淡い内部エコーがみられ、生検時に黒色粘稠性の液体が採取された。全乳腺切除術施行、病理診断は非浸潤性乳管癌であった。本例は特異な像を呈しているが、佐久間による非浸潤性乳管癌の超音波分類では拡張乳管集合型にあたると考えられ、JABTSガイドラインでは非腫瘤性病変(腫瘤像非形成性病変から改定予定)の多発小嚢胞像が相当する。佐久間の分類による本型の頻度は8.8%。非浸潤性乳管癌の頻度を約13%とすると全乳癌の約1%程度となる。しかし、ガイドラインの多発小嚢胞像という用語には集簇という表現がないためか、よくみられる嚢胞の多発例までが精査必要と判定され、要精査率を押し上げる要因のひとつとして指摘されている。

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【循環器6(左室流出路狭窄・心筋症)】

座長1:谷  知子(神戸市立医療センター中央市民病院 循環器内科)
座長2:山本 哲志(神戸大学医学部附属病院 検査部)

37-080 肥大型心筋症を伴わず、S字状中隔による僧帽弁収縮期前方運動(SAM)を認めた患者の特徴について

千石 裕之1、糸口 耕平1、田路 彰子1、渡辺 浩志1、井藤 道博1、富永 博夫1、河合 恵介2、高橋 明広2、國吉 達也2、山辺 裕2

1市立加西病院 中央検査科、2同 循環器内科

【背景】僧帽弁の収縮期前方運動(systolic anterior motion: SAM)は、閉塞性肥大型心筋症でみられることが多いが、今回、我々は肥大型心筋症を伴わず、加齢によるS字状中隔によると思われるSAMを認めた16例の特徴を調べた。【結果】僧帽弁のSAM6例、僧帽弁腱索のSAM10例であった。診断時の計16例の平均年齢83±10歳、男性2例、女性14例、B型利尿ペプチド(BNP)中央値(25%、75%) 58.5(32、328)pg/ml、SAMによる左室流出路血流速3.9±1.4m/s、心電図のST変化は50%にのみ認め、僧帽弁後尖弁輪石灰化を44%に認めた。僧帽弁逆流(MR)は平均2.7±0.5度。高血圧の合併は69%であった。【結語】S字状中隔によるSAMは高血圧を伴う高齢女性に多く、心電図やBNP値のみでは検出することは困難であり、聴診とそれに基づく心エコー図検査が診断に重要であった。また、S字状中隔に僧帽弁逆流を伴う場合、SAMがないかどうかの注意深い観察が必要である。

37-081 肺高血圧による右心室の圧負荷により左室流出路狭窄を呈した1例

松谷 勇人1、橋和田 須美代1、桑野 和代1、高橋 秀一1、泉 知里2、三宅 誠2

1天理よろづ相談所病院 臨床病理部、2同 循環器内科

【症例】78歳女性、気管支拡張症のよるU型呼吸不全にて呼吸器内科で加療中。3月末より顔面・四肢の浮腫増強および体重増加を認め、精査加療目的で入院となる。入院時のBNPは828pg/mlと高値であり、右心負荷・PHの評価目的で経胸壁心エコー検査を施行。【4/2心エコー所見】右房・右室の拡大、TR 3度、TR流速5.2m/s、右室が心室中隔を著明に圧排しており、それによって左室流出路の血流速は3.6m/sと加速していた。また、僧帽弁の収縮期前方運動も認めた。ラシックスおよびNPPVの装着による加療に加え4/14よりボセンタンを導入し、4/20にはBNPは45pg/mlまで減少した。【4/21心エコー所見】右房・右室の拡大は軽度残るものの、TR 1度、TR流速3.9m/sとPHおよび左室の圧排ともに改善を認め、左室流出路血流速も1.7m/sと減少した。肺高血圧による右心室の圧負荷によって左室流出路狭窄を呈した1例を経験した。

37-082 心エコー図検査が治療方針決定に有用であった左室流出路狭窄の2症例

嘉納 由美子1、田中 秀和2、辻 隆之2、漁 恵子2、山脇 康平2、松本 賢亮2、木下 承晧1、河野 誠司1、平田 健一2、川合 宏哉2

1神戸大学医学部附属病院 検査部、2神戸大学大学院医学研究科 循環器内科学分野

【症例1】53歳女性。以前より労作時呼吸困難を自覚していた。心雑音精査のため心エコー図検査を行ったところ、S字状中隔と僧帽弁の収縮期前方運動による圧較差169mmHgの左室流出路狭窄を認めた。β遮断薬とシベンゾリンの投与により圧較差は著明に改善し、ドブタミン負荷エコーでも圧較差の増大は認めなかった。【症例2】73歳女性。閉塞性肥大型心筋症にて近医に通院中であり、失神発作のため当院に紹介入院となった。心エコー図検査にて圧較差200mmHgの左室流出路狭窄と高度の僧帽弁逆流を認めた。β遮断薬とシベンゾリンの投与にて安静時の流出路狭窄は改善したが、ドブタミン負荷エコーにて左室流出路の圧較差が増大したため、左室中隔切除術と僧帽弁形成術を施行した。術後はドブタミン負荷エコーで圧較差の増大と僧帽弁逆流の増悪を認めなかった。【結語】左室流出路狭窄症2症例に対する治療方針の決定に心エコー図検査が有用であった。

37-083 突然の意識消失で搬送され心エコーで高度の左室壁運動異常を認めた急性白血病治療中の若年男性の1症例

西山 裕善1、太田 剛弘1、谷川 崇2、金子 みどり2、柿原 隼1、河合 慶介1、林 雄介1、白井 たから1、紙森 公雄1、柳 志郎1

1府中病院 循環器科、2同 中央検査部

症例は31歳、男性。2009年8月に急性リンパ性白血病と診断され当院で骨髄移植の治療受け通院中で安定していた。本年5月末に自宅で突然の痙攣と意識消失あり救急搬送された。ECG上でT、U、aVL、V5、V6でST上昇を認め、緊急心エコーで左室心尖部を中心に広範なakinesisとEF20%程度の低左心機能を認めた。心筋逸脱酵素はCK 436、CKMB 40と軽度上昇だった。心臓カテーテルでは正常冠動脈で左室造影ではSeg 2、4、6、7はakinesisだった。3日後心エコ-で壁運動異常はほぼ改善しEF58.9%だった。ECGはQT時間の延長とV2-5に陰性T波を認めた。安静時Tl心筋シンチ所見はdefectはっきりせず、MIBGシンチでは心基部から中間部に広範な陰影欠損を認めStress induced cardiomyopathy(タコツボ心筋症)に矛盾しない所見だった。若年の男性で、左室中間部から基部の壁運動低下が著名で速やかに改善した稀な症例と考え報告する。

37-084 原発性全身性アミロイドーシスの一例

安保 浩二1、室生 卓2、松井 深香1、石橋 千佳1、木村 信勲1、藤岡 一也1、中尾 満1、穂積 健之2、竹内 一秀1、葭山 稔2

1大阪市立大学医学部附属病院 中央臨床検査部、2大阪市立大学医学研究科 循環器病態内科学

症例は61歳女性。2007年3月頃より労作時呼吸困難出現。心エコー施行するも異常は指摘されなかった。同年10月に症状悪化のため再度受診。心エコーにて下壁の壁運動異常を指摘。冠動脈カテーテル施行するも有意狭窄は見られなかった。その後、症状は増悪し、心エコーでは進行する拡張障害(restrictive pattern)、収縮障害(EF = 40%)が見られ、拡張不全を主体とする心不全の診断にて内服治療を開始した。他の検査にてサルコイドーシス、アミロイドーシスは否定的であったが、確定診断のため直腸生検を施行。コンゴーレッド染色にてアミロイド沈着を認め原発性全身性アミロイドーシスと診断された。本症例は、アミロイドーシスの特徴的な心エコー所見を欠く一方で、非特異的な所見として壁運動異常を認めた。拘束型拡張障害の原因の一つとしてアミロイドーシスを忘れてはならないということを再認識させられた症例であった。

37-085 心臓再同期療法(CRT)が著効を示した左室心筋緻密化障害の小児例

片山 博視1、森 保彦2、奥村 謙一2、岸 勘太2、尾崎 智康2、根本 慎太郎3、玉井 浩2

1大阪府済生会吹田病院 小児科、2大阪医科大学 小児科、3同 胸部外科

成人では慢性重症心不全に対するCRTの有用性が明らかになってきているが、小児に対する経験は少なく、不明な点も多い。左室心筋緻密化障害(NCLV)を有する重症心不全患児に対しCRTを施行し、心不全の著明な改善を認めた症例を経験したので報告する。[症例]5歳女児。生直後からVSDとしてフォローしてきたが、生後4か月頃から心不全症状が出現し、心電図上、CLBBBを呈するようになってきた。VSDは自然閉鎖したが、心尖部に限局するNCLVを認めている。慢性心不全治療を開始したが、心不全症状は進行し、LVEF:37%は著明に低下し、BNPは4320pg/mlまで上昇した。TDIにてTs-diffは110msと心臓同期不全を認めた。1歳時に開胸下でCRTを施行した。術後3.5年が経過し、LVEFは68%と著明に改善し、2Dスペックルトラッキング法によるmax delayは心基部で34msと心臓同期不全も改善した。[考察] NCLVに伴う心不全の小児例に対するCRTの報告は未だなく、貴重な症例である。

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【産婦人科】

座長1:金川 武司(大阪大学医学部 産婦人科)
座長2:岩崎 昭宏(明石市立市民病院 臨床検査科)

37-086 3Dパワードップラー超音波を用いた子宮−胎盤血流の描出に関する基礎的検討

重富 洋志1、成瀬 勝彦1、吉澤 順子1、大野木 輝1、吉田 昭三1、佐道 俊幸1、平井 都始子2

1奈良県立医科大学 産婦人科学教室、2同 中央超音波・内視鏡部

【目的】子宮−胎盤血流を非侵襲的に評価する方法は確立されていない。我々は子宮らせん動脈を目標に3D構築を行い、妊娠週数や出生児体重との相関につき検討を行った。【方法】妊娠20・30週の妊婦を対象に、Voluson E8 ExpertとRAB4-8-Dプローブを用い、PRF 0.9kHzにて胎盤と付着部子宮筋層のドップラーフローを3D VOCALモードで記録した。胎盤内部の血流を排除し、胎盤体積あたりのVI、FI、VFIを算出した。【結果】VIは妊娠30週で20週に比し有意に低下し、FIは上昇傾向を示した。VFIは妊娠30週で有意な低下を認め、胎盤体積あたり子宮〜胎盤血流は妊娠20週より有意に減少することが分かった。出生体重と有意な相関は認められなかった。【結論】子宮〜胎盤血流は、胎盤組織の増大によっても変化するが、主に妊娠14〜20週までに完成される血流に依存していることが超音波によって示された。

37-087 胎児三尖弁異形性に対し経時的なTei indexを測定した症例

井出 哲弥、桂木 真司、佐々木 禎仁、山中 薫、吉松 淳、根木 玲子、池田 智明

国立循環器病センター 周産期科

胎児期に発見される胎児三尖弁奇形は子宮内胎児死亡を含めた予後不良例が多い。左室心機能を評価する指標のTei indexは胎児三尖弁奇形の予後を反映するとの稲村らの報告がある。今回胎児三尖弁異形性に経時的なTei indexを測定し妊娠の中断の有無について検討した症例を報告する。症例:30歳1経妊1経産、妊娠17週で胎児心奇形を疑われ当院紹介受診。著明な右心房拡大、三尖弁逆流、三尖弁形態異常、肺動弁閉鎖を認め、胎児三尖弁異形性と診断。経時的にTei indexを測定したところ妊娠34週では正常範囲内だが37週より軽度上昇し悪化した(0.40⇒0.60)。上昇が軽度でTR peak velocity、CTAR、PLIに著変なく妊娠継続と判断した。胎児の発育、Well-beingも良好であった。妊娠39週4日経膣分娩。児は3488g、アプガースコア8/9で出生、その後人工呼吸管理となるも生後6日目人工心肺下で三尖弁形成術、肺動脈弁形成術、右房形成術など行い術後経過良好である。

37-088 胎内診断することができた総動脈幹症の1例

佐道 俊幸、重富 洋志、成瀬 勝彦、吉田 昭三

奈良県立医科大学 産婦人科

総動脈幹症は先天性心疾患の内でも稀な疾患である。今回、本症を胎内診断することができた1例を経験したので報告する。症例は30歳代、初産婦。妊娠17週にNT肥厚のため羊水検査施行、正常核型であった。妊娠30週に流出路の異常を指摘され、妊娠31週に当科紹介受診。胎児エコーを施行したところ、四腔断面で四腔のバランスは正常も心室中隔欠損を認めた。また、太い血管が心室中隔より起始しており、大動脈に連続していた。さらにその起始部の遠位部より肺動脈の分岐が確認された。弁は4尖弁であり、弁の逆流は軽度〜中程度であった。また、右大動脈弓であった。以上より、総動脈幹症(Collett-Edwards分類のI型)と診断した。妊娠経過中、心不全兆候は認めなかった。妊娠40週6日に分娩誘発により、男児、3026g、Ap9-1/10-5、臍帯動脈pH7.363にて経膣分娩となった。出生後のエコー、3DCTにて本症と診断確定した。

37-089 胎児心エコースクリーニングにて完全大血管転位を診断しえた1例

安井 幸代1、石橋 万亀朗1、野村 和久2、須藤 保2、丸尾 原義2、上田 康夫2

1兵庫県立柏原病院 検査放射線部、2同 産婦人科

当院では出生後小児心臓専門医の受診が必要な重症例を見極める事を目的とし、臨床検査技師による胎児心エコースクリーニングを実施している。今回TGAの1例を経験したので報告する。【超音波所見】心臓及び胃泡は左側、4CVで心房心室位及び腔の拡大、房室弁異常等は認めなかった。右室から起始する血管は左側に弓を形成し、左室から起始する血管は大動脈の後方に位置し左右に分枝していた。また長軸で大動脈と肺動脈は平行に走行していた。【まとめ】TGAは出生直後から高度のチアノーゼを発症し救急搬送が必要な心疾患で4CVに異常が見られないため胎児診断率が非常に低いのが現状である。今回4CV〜3VV〜3VTVを観察し流出路、大動脈、肺動脈の同定を進めていくことで診断することができた。胎児診断を適確に行うことで、病態に応じて周産期専門病院を選択でき、児の負担軽減と両親への対応に良い結果を与えることが可能となると思われた。

37-090 典型的な高輝度エコー像を呈しながら、剖検にても診断確定できなかった先天性嚢胞性腺腫様奇形の1例

津崎 恒明

公立八鹿病院 産婦人科

1回経産婦における妊娠18週時点の超音波検査にて、胎児胸腔内が均一な高輝度エコーにて充満されていたため先天性嚢胞性腺腫様奇形(CCAM type III)を想定して経過観察した。妊娠20週頃から胎児腹水が出現し、増量傾向となったため妊娠23週時点で母体MRI検査を行ったが、胎児肺の所見からCCAMは指摘されなかった。胎児肺の超音波所見は一貫して均一な高輝度像であり、嚢胞所見は全くみられず、胸水貯留もみられなかった。両側肺がCCAMであった場合は予後不良と考えられるためその旨告知したところ不安感を強く訴え妊娠継続が母体健康を害する恐れがあったため、緊急避難として妊娠中絶を行った。娩出後のMRIによるAutopsy imagingでも20週時点と同様で、CCAMは指摘されず、硬膜下水腫のみであった。また剖検にてもCCAMの所見が証明できず、膜様鎖肛と大量腹水がみられたのみであった。

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【腎・泌尿器】

座長1:伊藤 吉三(京都第二赤十字病院 泌尿器科)
座長2:齊藤 弥穂(奈良県立医科大学 内視鏡・超音波部)

37-091 造影USから転倒による出血性腎嚢腫と石灰化の嚢胞内遊離と推論した症例

伊藤 裕美1、大口 郁子1、佐野 誉志1、尾上 篤志2、秋山 隆弘3

1医療法人温心会 堺温心会病院 中央検査部、2医療法人恒進會 恒進會病院 腎臓病センター超音波室、3医療法人温心会 堺温心会病院 泌尿器科

67歳女性。自転車で転倒して受診、腹部CTで左腎下部に壁内の石灰化を伴う嚢胞性腫瘤を発見。USでは腫瘤は左腎下極と連続するようであった。一部に嚢胞壁から内腔に遊離、突出した石灰化像が見られたことから、その間隙に嚢胞壁より発生した充実性組織、例えば嚢胞壁に発生した癌などの介在も疑われたが、石灰化像のASのため詳細不詳であった。造影CTでもこの点がはっきりせず、且つ腫瘤内のCT値がやや高くUSでも血流は確認されないものの内部エコーが強く充実性腫瘤も除外し難かった。そこでソナゾイド造影USを施行したところ、全くenhanceされず腎下極由来の出血性腎嚢腫(転倒による出血?)と判断した。また遊離石灰化像と嚢胞壁間のスペースにも血流の存在を示唆する所見は見られず嚢胞壁発生腫瘍の疑いも否定され、問題の石灰化像は転倒外力による壁からの遊離とも推測された。現在厳重に経過観察中である。

37-092 超音波検査で診断し得た尿膜管遺残の6症例

前野 知子1、木原 里江子1、横川 美加1、桑口 愛1、前川 清1、鄭 浩柄2、樫田 博史2、工藤 正俊2、宇田津 有子3、八木 誠3

1近畿大学医学部附属病院 中央臨床検査部腹部超音波検査室、2同 消化器内科、3同 小児外科

【はじめに】尿膜管遺残は比較的まれな疾患である。今回我々は、超音波検査で診断し得た尿膜管遺残症例の症状、超音波検査所見、手術所見などを比較検討したので報告する。【症例】平成19年3月から平成22年3月までの3年間に経験した尿膜管遺残6症例のうち、男性2例、女性4例で、年齢は0歳から23歳であった。症状は、臍部からの膿汁分泌、臍部の悪臭、腹痛、腹部腫瘤の触知などであった。【結果】超音波検査で尿膜管遺残と診断した6症例は、いずれも他の画像所見や臨床診断と一致した。尿膜管瘻が1例、尿膜管嚢胞が5例であり、尿膜管嚢胞の症例はすべて感染例であった。全例で切除術が施行され、病理組織検査の結果、いずれも悪性所見は認めなかった。【考察】尿膜管遺残は先天異常が多く、新生児や小児に多いとされる。その症状は特徴的で、検査を施行する上でも大きな手がかりとなる。非侵襲的で簡便な超音波検査は有用であると考える。

37-093 膀胱黄色肉芽腫の一例

落合 厚1、松山 悟1、木下 一之2、山本 明子2、増田 哲也2、大久保 剛2、大石 ゆき2、竹内 良枝2

1愛生会山科病院 泌尿器科、2同 臨床検査部

45歳女性。3カ月前、子宮筋腫にて腹腔鏡下膣式子宮全摘除術施行。術後、排尿痛、下腹部の違和感、不快感出現。膀胱炎との診断にて抗生物質が処方されたが改善しないため、近医泌尿器科受診。膀胱鏡検査で膀胱結石、膀胱粘膜下異物が疑われ当科紹介となった。当院での膀胱鏡検査では黄色の粘膜下腫瘍を認め、上皮には脂肪滴が付着していた。経腹的、経膣的超音波検査では膀胱内の腫瘤はhyperechoic に観察された。MRIでの鑑別診断は困難であった。経尿道的膀胱腫瘍切除術を施行。病理検査ではXanthogranulomatous reactionとの結果を得た。術後、下腹部の違和感、膀胱刺激症状、膿尿は消失した。

37-094 腫瘤像を呈した慢性精巣上体炎の一例

菊地 友和1、丸上 永晃1、平井 都始子1、齊藤 弥穂1、山下 奈美子1、吉田 美鈴1、青木 勝也2、平尾 佳彦2

1奈良県立医科大学 中央内視鏡・超音波部、2同 泌尿器科

症例は13歳の男児、主訴は陰嚢内の無痛性腫瘤の触知。尿道下裂、鎖肛、多指症術後、反復性精巣上体炎の既往がある。繰り返す尿路感染症のため、抗生剤点滴で経過観察されていた。再度発熱、炎症反応上昇のため小児科に緊急入院となった。触診にて右精巣上体尾部に無痛性の小指頭大の硬結を触知したため、超音波検査を施行。右陰嚢内に、正常精巣の尾側に右精巣上体と連続する1.6×1cmの類円形腫瘤を認めた。内部エコーは不均一で微細石灰化を伴い、カラー表示は乏しかった。精巣上体の腫瘤を疑ったが、多精巣に生じた精巣腫瘍という稀な病態の可能性も否定はできず、十分な説明のもとで右精巣高位摘除術が施行された。右精巣には異常は認めず、精巣上体尾側が顕著に腫大して腫瘤状となっており、病理学的に慢性精巣上体炎と最終診断された。腫瘤形成を呈する稀な慢性精巣上体炎の一例を経験し、超音波所見を中心に報告する。

37-095 精巣炎症状にて受診し、超音波断層法にて精巣腫瘍と診断した1例

山田 恭弘1、矢野 公大1、平原 直樹1、平川 賢2、井上 正昭2、三上 正嗣2、大江 宏3、伊藤 吉三1

1京都第二赤十字病院 泌尿器科、2同 生理検査室、3学研都市病院 泌尿器科

症例:30歳代、男性。現病歴:約2年前に左精巣の無痛性腫大に気付いたものの、腫脹が増悪しないため放置。2日前から左精巣痛および39度台の発熱を認めたため、平成22年2月当科受診。CRP=24.52と高値、精巣腫瘍の腫瘍マーカーはLDH=233、AFP=4、HCG<0.5、HCG-β<0.1と基準値内。触診上は、左精巣の腫大、圧痛を認め、精巣上体には腫大、圧痛を認めなかった。超音波検査にて左精巣にmixed patternを示す腫瘤性病変を認め、また正常精巣部分は確認できなかったため、精巣腫瘍と診断し、左高位精巣摘除術施行。病理組織はセミノーマであった。考察:精巣腫瘍は精巣の無痛性腫大を主訴に受診し診断にいたることが多い。本症例では、発熱、精巣痛と精巣炎を疑わせる臨床症状であり、また精巣腫瘍の腫瘍マーカーも全て陰性であったものの、超音波検査所見より精巣腫瘍と診断することが可能であった。

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【循環器7(血栓・塞栓)】

座長1:合田 亜希子(兵庫医科大学 超音波センター・循環器内科)
座長2:住田 善之(国立循環器病研究センター 臨床検査部)

37-096 右房内のCVポート先端に巨大血栓を生じた1症例

寺本 美穂1、岡田 昌子2、北田 弘美1、小川 恭子1、森 智美1、福嶋 友1、長谷川 新治2、青山 孝信3、藤井 弘通3、笹子 佳門3

1大阪厚生年金病院 生理検査室、2同 循環器内科、3同 心臓血管外科

症例は80歳女性。既往は心房細動にともなう上腸管膜動脈血栓症にて3年前に腸管切除し、短調症候群に対してCVカテーテルポートを留置した。2010年1月呼吸困難感があり外来にて心臓超音波検査を施行したところ右房内に20×26 mmの可動性に富んだ腫瘤様構造物を認めた。カテーテルが上大静脈に留置されているため先端に付着した血栓が疑われた。2年前の所見では腫瘤性病変を認めず、新たに生じた可能性が高いと考えられた。腫瘤性病変は増大傾向で感染の合併が疑われ、さらに拡張期に三尖弁口から右室内に、収縮期に右房内に移動し、肺塞栓を来す危険性があると判断し、1ヶ月後手術的摘除術を施行した。一部右房壁に癒着した巨大な血栓がCVポートとともに摘出された。長期間のカテーテル留置に伴い、巨大で可動性に富む静脈内血栓を生じた症例を報告する。

37-097 複数の右房内血栓の合併が疑われた拡張型心筋症の一例

辻本 紀美子1、水野 麗子2、森嶋 良一1、吉田 秀子1、新木 義之1、藤本 眞一3

1奈良県立医科大学附属病院 中央検査室、2奈良県立医科大学 総合診療科、3同 教育開発センター

症例:44歳、女性。本年3月初旬から下腿浮腫と労作時呼吸困難が出現し、同月下旬には全身浮腫が出現した。近医で心不全と診断され、当院に紹介された。当院初診時の経胸壁・経食道心エコー図では、高度の左室びまん性壁運動低下と右房内に2個の可動性の塊状エコーが確認された。肺塞栓予防のために外科的摘出術が予定されたが、まずは心不全に対する薬物療法が開始され、心不全は徐々に軽快した。心内膜心筋生検より拡張型心筋症と診断された。手術待機中の同年5月初旬に肺梗塞を発症し、肺梗塞急性期の経胸壁・経食道心エコー図では、左室壁運動は良好であったが、前回認められた右房内の塊状エコーは消失していた。また、肺高血圧に加え、大動脈弁に付着する可動性の線状エコーが新たに認められた。本例では、右房内塊状エコーが肺梗塞の塞栓源と推測された。また、右房と大動脈弁に見られた異常エコーについては、多発性に形成された血栓が疑われた。

37-098 卵円孔に血栓が陥入した急性肺血栓塞栓症の一例

三好 達也1、田中 秀和1、金子 明弘1、辻 隆之1、漁 恵子1、山脇 康平1、松本 賢亮1、大北 裕2、平田 健一1、川合 宏哉1

1神戸大学大学院医学研究科 循環器内科学分野、2同 心臓血管外科学分野

症例は66歳女性。2010年3月11日より労作時呼吸困難と前胸部圧迫感が出現し、3月13日朝に一過性意識消失を認めたため近医の救急外来を受診した。経胸壁心エコー図にて右室拡大と肺動脈圧上昇を認め、また造影CTにて下肢静脈と肺動脈内に血栓を認めたため、急性肺血栓塞栓症の診断にて、同日当院に緊急搬送となった。当院来院後の経食道心エコー図では、卵円孔を通じて左房と右房に可動性のある有茎性腫瘤を認めた。開胸手術を施行し、両心房内に血栓は認めなかったが、左肺動脈内に術前CTよりも多量の新鮮血栓を確認した。肺動脈血栓摘除術ならびに卵円孔閉鎖術を行い、術後左腎梗塞を認めるもその他の塞栓所見認めず経過は良好であった。卵円孔開存を有する急性肺血栓塞栓症例では、静脈系の血栓より奇異性塞栓を生じることがあるため、心エコー図により卵円孔開存を介した右→左シャントの有無を確認することが重要である。

37-099 非典型的な部位に心房中隔瘤を伴った脳塞栓症の一例

八木 匠、宮崎 知奈美、多田 洋平、石井 英、金森 徹三、広瀬 真、西田 幸生、坂上 祐司、瓦林 孝彦

東住吉森本病院 循環器内科

症例は42才男性。心房細動と肥大型心筋症を指摘されていたが2010年5月に言語障害で当院脳外科入院、頭部MRIで左側頭葉の脳梗塞と診断、t-PA投与と抗凝固療法が行われた。経食道心エコーで卵円窩の下後方の心房中隔に径20mmの心房中隔瘤を認め、瘤の内部はsludge様のエコーで充満していた。同部での欠損孔、卵円孔開存及び左心耳血栓は認めなかった。一ヶ月半後の経食道心エコーでは瘤内のsludge様エコーは消失していた。非定型的な部位の心房中隔瘤内部に血栓が形成され塞栓源となった可能性も否定できず、文献的考察を加えて報告する。

37-100 層構造を有する心室瘤の壁在血栓を認めた陳旧性心筋梗塞の一例

坂部 博志1、坂本 奈津美1、土方 とも子1、米村 里美1、森井 功2、諏訪 道博2

1北摂総合病院 臨床検査科、2同 循環器科

【はじめに】 胃癌術前心エコーにて左室内巨大壁在血栓が発見され、術前術後の血栓の経過を確認できた一例を報告する。 【症例報告】77歳男性、2001年 #6に99%狭窄を有する急性心筋梗塞にてPCI施行、以降アスピリン内服。2010年1月下腹部痛にて救急受診、胃癌を認めた。入院中に脳梗塞を発症し、3月よりワルファリン開始、3月末術前心エコー施行、陳旧性心筋梗塞、左室心尖部に21×15cm大の壁在血栓を認めた。胃切除術前ワーファリン中断、ヘパリン静注管理中術前の心エコーでは、血栓の全体径は不変であったが、血栓表面は不整となり一部に凹みが認められ、溶解または剥離が疑われた。術後の心エコーでは、左室内血栓は新たに2−3層構造を呈し、26mmに増大していた。表面は平滑化していたが、一部に術前検査時とは異なる凹みがあった。【考察】抗血栓療法中断による血栓の変化を追跡、古い血栓を核として新しい血栓が付着する層構造が確認された。

37-101 心尖部に血栓形成を認めた、たこつぼ型心筋障害の一例

新道 葉月1、鷹野 譲2、岸 正幸1、紺 陽子1、野村 圭子1、栗岡 明子1、槇野 高広1、宮下 洋平2、杉本 由文2、佐竹 主道2

1星ヶ丘厚生年金病院 超音波検査室、2同 循環器科

症例は70歳男性。見当識障害、けいれん発作にて当院脳外科救急受診、入院となった。入院後、心電図異常を認めたため循環器科受診、心臓超音波検査などよりたこつぼ型心筋障害と診断された。1週間後のフォローアップ心臓超音波検査で、心尖部に24×10mmの血栓様エコーを認めたため、へパリンの持続点滴とともにワーファリン内服治療を開始したところ、血栓は徐々に縮小し、左室壁運動改善と並行して消失した。経過中、明らかな血栓塞栓症状は認めなかった。たこつぼ型心筋障害は、病初期は広範囲前壁中隔心筋梗塞と同様の左室壁運動異常を呈することより壁在血栓形成の可能性は高いと思われる。経過とともに壁運動異常は改善するため、壁在血栓による血栓塞栓症のリスクは心筋梗塞例より高いことが予想され、心臓超音波検査による定期的なフォローアップが重要であると思われた。今回、心尖部に血栓形成を認めたたこつぼ型心筋障害の一例を経験したので報告する。

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【循環器8(心膜疾患・弁膜症術後)】

座長1:泉  知里(天理よろづ相談所病院 循環器内科)
座長2:川井 順一(神戸市立医療センター中央市民病院 臨床検査技術部)

37-102 2Dスペックルトラッキング法による術後収縮性心膜炎の診断−心膜癒着サインの定量評価法−

増田 喜一1、中谷 敏2、仲宗根 出3、水田 理香4、橋本 修治4、住田 善之4、田中 教雄4、神崎 秀明4、北風 政史4、宮武 邦夫1

1吉田小野原東診療所、2大阪大学大学院医学系研究科、3国立病院機構大阪南医療センター 臨床検査部、4国立循環器病研究センター

【目的】従来から特に術後収縮性心膜炎(CP)の診断に目視上ではあるが心膜癒着サインの有用性を提唱してきた。今回、2Dスペックルトラッキング法(2DST)を用いた定量評価法を考案したので報告する。【対象・方法】対象は剣状突起下四腔像で心膜癒着サインが認められた開心術後4例、対照として心膜癒着サイン陰性10例。2DSTにて心膜下を滑走する右室自由壁(三尖弁輪から心尖方向)を3分割して収縮期におけるそれぞれの部位での移動距離を測定した。【結果】三尖弁輪近位部位での心膜癒着サイン陽性群4例の心尖部方向への平均移動距離は1.5mmで、陰性群10例の移動距離7mmと比べ有意に低下していた。他の部位での測定結果もほぼ同様であった。【結論】2DSTにおける心膜癒着サインの定量評価(癒着程度評価)は可能であり、本法はCP診断のみならず術後CPの遠隔期評価にも有用と考えられた。

37-103 心エコーにて診断困難であった、遠隔期ペースメーカーリード穿孔の一例

小西 正三、西尾 まゆ、柏瀬 一路、平田 明生、浅井 光俊、根本 貴祥、松尾 浩志、和田 暢、樫山 智一、上田 恭敬

大阪警察病院 循環器科

66歳男性。2002年に洞不全症候群に対してペースメーカー植え込み術(DDD)を施行。心室リードを右室心尖部に、心房リードを右心耳に留置。2009年7月に心原性脳塞栓を発症し、ワーファリン内服開始。同年10月に心嚢液貯留を認め、心嚢穿刺にて多量の血性心嚢液を回収した。以後も同様の心嚢液貯留を繰り返し、計5回の心嚢穿刺を要した。心嚢液精査を行うも悪性疾患、感染等は否定的であり、リード穿孔による可能性を考え、試験開胸を施行。右心耳と心膜は癒着しており、癒着を剥離すると心房リード先端が右心耳壁を貫通していた。穿孔部の縫合閉鎖を施行し、以後心嚢液の再貯留を認めず経過している。本症例はペースメーカー植え込み後7年経過していたが、抗凝固薬開始に伴い再発性の心嚢液貯留をきたしたと考えられた。

37-104 急性大動脈解離が原因と考えられる特異な心エコー図所見を呈した心タンポナーデの一例

田村 周二1、竹内 雅幸1、阪下 操1、石平 雅美1、角田 敏明1、藤本 敏明1、勝山 栄治2、吉野 智亮3、白鳥 健一3、加地 修一郎4

1神戸市立医療センター西市民病院 臨床検査技術部、2同 臨床病理科、3同 循環器内科、4神戸市立医療センター中央市民病院 循環器内科

症例は77歳、男性。朝食中に意識消失にて当院救急搬送となる。既往歴に脳梗塞および認知症があった。現病歴:新規発症の脳梗塞を疑われ頭部CT検査施行するも古い梗塞巣のみであった。胸腹部CT検査で心嚢水の貯留疑われたため心エコー検査を施行した。心エコー上、中等度心嚢液内に右室から心尖部にかけて密着する分厚い豆腐状の出血性病変を描出した。右室虚脱も観察され心タンポナーデをきたしており原因検索するも明らかな所見は得られなかった。入院当日の15時頃、突然心停止となり救命するも死亡された。死因確認のためCT検査再検したところ、上行から下行大動脈に至る解離を示唆する所見がみられた。偽腔閉塞型急性大動脈解離による出血性タンポナーデであった可能性が考えられ、特異な心エコー図所見を呈したので報告する。

37-105 肺癌術後に凝血塊を伴う心タンポナーデを呈した一例

松田 真太郎1、三宅 仁1、太田 光彦1、中西 崇雄2、前西 文秋3、榊原 由希3、登尾 薫3、佐藤 信浩3、殿畑 友恵3、山野 愛3

1西神戸医療センター 循環器科、2同 胸部外科、3同 臨床検査技術部

【症例】76歳女性【主訴】術後の低血圧【現病歴】患者は右上葉肺癌T1bN0M0で2010年6月に胸腔鏡によるS3部分切除を行われた。心膜浸潤は認めなかったが手術終了後約1時間でショック状態となった。胸部造影CTではCT値の高い心嚢水と上下大静脈の拡大を認め出血による心タンポナーデの状態が疑われた。経胸壁心エコー図検査では凝血塊様エコーを伴う心嚢水貯留と拡張期右室虚脱を認め心タンポナーデと診断した。緊急再手術を施行し凝血塊、血性心嚢水の除去、ドレナージを行い血行動態は改善した。しかし術後約二週間に行った心エコー図検査では心室中隔のバウンスと僧帽弁通過血流速度パターンに有意な呼吸性変動を認め、収縮性心膜炎への移行が懸念された。【結語】血腫を伴った心タンポナーデは開心術後に散見されるが肺部分切除後に合併するケースは希であり迅速な診断、処置を必要とする。急性期,亜急性期の心エコー図所見を中心に報告する。

37-106 僧帽弁置換後に溶血性貧血を生じ、診断に経食道エコーが有用であった2症例

木澤 隼、伊藤 隆英、川西 泰徳、石坂 信和

大阪医科大学 循環器内科

【症例1】71歳女性。40歳時に大動脈弁置換術、55歳時に僧帽弁および三尖弁置換術を受けている。平成21年8月頃より労作時の呼吸困難を自覚。同年10月、近医にて貧血を指摘され、11月4日精査のため入院となった。入院時Hb 8.7g/dl、LDH 1187U/l、ハプトグロビンの低値を認め、溶血性貧血が示唆された。経胸壁心エコーでは大動脈弁位、僧帽弁位ともに高速の血流を認め、さらに機能的三尖弁狭窄もあり、溶血の原因となる病変は特定できなかった。しかし、経食道心エコーでは僧帽弁位にリークを認めた。【症例2】63歳男性。43歳時に僧帽弁置換術を受けている。平成22年4月頃より全身倦怠感が出現し5月15日精査入院。入院時Hb 8.8g/dl、LDH 2718U/l、ハプトグロビンの低値を認めた。経胸壁にてリークを、経食道心エコーにて人工弁のエッジと弁輪の間に亀裂を認めた。人工弁不全の診断に経食道エコーが有用であった。

37-107 人工弁周囲逆流の評価に3次元経食道心エコー図が有用だった1例

中村 理恵子1、阿部 幸雄2、太田 愛1、三田 優美1、奥 加奈子1、榊原 弘光1、藤井 紀代1、元林 昭1、柴田 利彦3、伊藤 彰2

1大阪市立総合医療センター 生理機能検査部、2同 循環器内科、3同 心臓血管外科

症例は81歳男性である。54歳時にリウマチ性連合弁膜症のため、大動脈弁形成術と僧帽弁置換術を行った。さらに77歳時に、大動脈弁逆流と僧帽弁逆流のため再手術(いずれも生体弁を使用した両弁置換)を行った。79歳時に、NYHA機能分類T度からU度への心不全増悪があり、僧帽弁位人工弁周囲逆流による溶血性貧血が原因だと考えられた。しかし、高齢であることと再々弁置換術となってしまうことから、手術はハイリスクであると判断して経過観察となった。81歳となってからNYHA機能分類がV度へ増悪したため、再評価が必要と考えて経食道心エコー図検査を施行した。3次元像を併用することで、人工弁周囲逆流の逆流弁口がピンポイントであることがわかった。そのため、パッチ閉鎖術で充分修復が可能であると考えて、手術を施行して成功した。人工弁周囲逆流の評価と治療方針の決定のため、3次元像を併用した経食道心エコー図が有用だった。

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【消化器5(消化管)】

座長1:内山 正三(OMMメディカルセンター 超音波診断部)
座長2:綿貫  裕(姫路赤十字病院 検査技術部)

37-108 ソナゾイド造影エコーにて病変部の同定が容易となった胃粘膜下腫瘍の一例

岩崎 信広1、和田 雅弥2、杉之下 与志樹2、岡田 明彦2、井上 聡子2、田村 明代1、栃尾 人司1、簔輪 和士1、小畑 美佐子1、猪熊 哲朗2

1神戸市立医療センター中央市民病院 臨床検査技術部、2同 消化器センター内科

【症例】30歳代男性。【主訴】胃粘膜下腫瘍精査目的。【既往歴】胃・大腸ポリープ。【現病歴】H21ドック検診にて萎縮性胃炎と胃粘膜下腫瘍を指摘され、当院精査加療目的にて入院となった。【画像診断】上部内視鏡検査では胃角部後壁に約3cm大のSMTが認められた。USでは病変部が胃角部後壁に存在していたため描出は困難であった。しかし、肝転移検索のため施行した造影USと同時に、胃粘膜下腫瘍同定のため飲水法にソナゾイド水溶液飲用法を併用することにより、病変部と内腔との境界が明瞭となり同定が容易となった。EUSでは筋層を首座とする境界明瞭、内部均一な腫瘤であった。

37-109 小腸憩室炎が疑われた3例

佐々木 綾香1、後藤 規弘1、井谷 智尚1、三村 純1、森 悠香2、山野 愛美2、登尾 薫2、佐藤 信浩2、内田 浩也2

1西神戸医療センター 消化器科、2同 臨床検査技術部

【緒言】消化管憩室の中で小腸憩室の頻度は2.7%と稀である。今回我々は小腸憩室炎が疑われた3例を経験したので、文献的考察を加えて報告する。【症例1】71歳男性。右下腹部痛を主訴に来院。腹部超音波検査にて回腸に憩室様エコーが認められ、メッケル憩室炎と考えられたがRIシンチでは集積は認めなかった。小腸憩室炎と診断し、抗生剤投与により保存的に軽快した。【症例2】58歳男性。右下腹部痛・下痢・発熱を主訴に来院。腹部超音波検査にて終末回腸に憩室を認めた。腹部造影CT検査にて回盲部中心に脂肪織濃度の上昇を認め、上腸間膜静脈内に血栓形成を認めた。小腸憩室炎の穿孔による腹膜炎と診断し、抗生剤投与により保存的に軽快した。【症例3】74歳男性。発熱と嘔吐を主訴に来院。腹部超音波検査・腹部造影CT検査にて終末回腸に憩室を認めた。血液培養にて複数菌が検出されたが、抗生剤にて保存的に軽快した。

37-110 診断に苦慮した小腸イレウスの一症例

田村 明代1、簑輪 和士1、岩崎 信広1、小畑 美佐子1、和田 将弥2、田中 卓也3、杉之下 与志樹2、猪熊 哲朗2

1神戸市立医療センター中央市民病院 臨床検査技術部、2同 消化器内科、3同 小児科

症例は11歳、男児。腹痛・嘔吐を主訴に救急を受診。H13年にWilms腫瘍で右腎摘出後、3回の癒着性イレウス歴がある。本年3/3夜半より腹痛、4日未明に嘔吐出現。救急受診時のUSは空腸拡張と蠕動低下を認めた。小腸壁の非薄化、effusion貯留、ケルクリングの消失、壊死組織の沈殿を認め、絞扼性イレウスと診断。翌朝、腹部症状は改善したがUSでは小腸拡張像に変化なし。空腸に浮腫性肥厚が出現した。翌6日、自覚症状は消失しわずかな圧痛あるのみ。経過は良好で9日に退院となった。癒着性イレウスのUS診断は難しい。短期間の経過観察でイレウス像の変化を捉えることが診断のポイントとなる。本症例は、最終的に癒着性イレウスと診断されたが、 @ケルクリングの崩壊 A壊死組織の沈殿 B腸管浮腫、と絞扼性イレウスに特徴的な所見を備えており、絞扼性イレウスと診断したトリアージ段階でのUS診断は間違ってなかったと考えている。

37-111 多発性胃小腸潰瘍の一例

岩崎 信広1、杉之下 与志樹2、和田 雅弥2、岡田 明彦2、井上 聡子2、田村 明代1、栃尾 人司1、簔輪 和士1、小畑 美佐子1、猪熊 哲朗2

1神戸市立医療センター中央市民病院 臨床検査技術部、2同 消化器センター内科

【症例】60歳代女性。【主訴】下血。【既往歴】サルコイドーシス(H11〜眼症状にて発症、ope・ステロイドにて加療)【現病歴】H17年頃より下腿など擦過部に発赤・皮疹が出現し始め、徐々に悪化傾向を示していた。今回、腹痛に加え黒色便および粘血便を認めたため、精査加療目的にて入院となった。【入院後経過】下腿皮疹については皮膚生検施行。巨細胞の目立つ類上皮細胞性肉芽が認められ、皮膚サルコイドーシスと診断された。血便については保存的加療のみですぐに消失し、病歴からは慢性疾患の可能性が疑われた。【画像診断】USでは十二指腸下行脚から中部空腸あたりまで全周性の壁肥厚が認められ、腸間膜リンパ節腫大および少量の腹水を伴っていた。上下部内視鏡および小腸内視鏡検査では胃前庭から体下部さらには十二指腸にびらん・潰瘍が多発し、一部縦走傾向が認められた。

37-112 上腸間膜静脈血栓症の一例

藪中 幸一1、井上 正也2、宮崎 実2

1医療法人大植会葛城病院 放射線科超音波室、2同 外科

症例は66歳男性。突然の腹痛と腹満を主訴に外来受診した。腹部超音波検査(US)で、内部エコーを伴った腹水、小腸に約20cmの限局した浮腫、腸管膜の肥厚を認めたことから、腸管膜血流障害を疑い上腸間膜動静脈及び小腸管膜内の血管を検索したが明らかな血栓は認めなかった。腹膜刺激症状は認めず腸管壊死の可能性は低いと判断し、発症5時間目に再度USを行ったところ、小腸浮腫の範囲が拡大し、腹水の増加も認めた。以上より、上腸間膜静脈血栓症を強く疑い、緊急開腹術が実施された。手術所見では、大量の血性腹水、回腸広範に腸管と腸管膜が著明に鬱血しており虚血性変化を認めた。回腸末端から口側約130cmを切除し、端々吻合した。病理所見では、壁全層にうっ血と出血が著明で、腸管膜内の静脈に血栓と腸管壁に出血性壊死を認めた。今回、上腸間膜静脈血栓症の一例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。

37-113 腹部超音波検査で特発性腸間膜静脈硬化症が疑われた1例

横川 美加1、木原 里江子1、桑口 愛1、前野 知子1、前川 清1、鄭 浩柄2、樫田 博史2、工藤 正俊2

1近畿大学医学部附属病院 中央臨床検査部腹部超音波検査室、2同 消化器内科

特発性腸間膜静脈硬化症は、病変部腸管の腸間膜静脈硬化症に起因した還流障害による慢性虚血性腸疾患である。本症例は比較的まれな疾患であり、超音波像の報告例は少ない。 今回我々は本症例の超音波検査を施行し、興味ある画像所見を得たので報告する。症例は50歳代女性。他院にて原発性胆汁性肝硬変の経過観察中、紹介にて当院消化器内科を受診。受診時、血便の訴えあり、精査目的にて行った腹部超音波検査にて上行から横行結腸右側にかけて層構造の不明瞭な壁肥厚を認めた。壁内には石灰化を疑うhigh echoic spotを数か所に認め、カラードプラでは壁内の血流シグナルは乏しかった。単純CT検査では右半結腸に壁肥厚を認め、腸間膜内に樹枝状の石灰化を認めた。内視鏡検査では右半結腸の粘膜面は青色調を呈し、浮腫状変化と厚い白苔に覆われた多発性の潰瘍を認めた。以上の所見・生検組織所見より特発性腸間膜静脈硬化症と診断された。

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【消化器6(肝臓・エコー教育)】

座長1:瀬尾 靖(神戸大学医学部附属病院 消化器内科)
座長2:喜舎場 智之(社会医療法人阪南医療福祉センター 阪南中央病院 臨床検査科)

37-114 低エコー腫瘤として描出された肝血管筋脂肪腫の1例

中通 由美1、中井 隆志2、大瀬 香菜1、木下 優佳1、西澤 輝彦1、石川 祐子1、横田 重樹1、大内田 祐一1、川ア 靖子2、木岡 清英2

1大阪市立総合医療センター 生理機能検査部、2同 肝臓内科

症例は40代男性、平成8年両腎腫瘍にて泌尿器科紹介されたが、左腎は出血性病変が著明であり摘出術が施行され、病理にて腎血管筋脂肪腫と診断された。その後外来経過観察中に右腎腫瘍が増大、平成17年4月に腫瘍の破裂にて緊急動脈塞栓術が施行された。その後も定期的に経過観察されていたが、平成22年3月のCTで肝内に多発する結節が出現した。4月のMRIでは血管腫様の像であったが以前の検査では指摘されたことが無く、転移性病変も否定できなかった。5月に精査目的にて入院。腹部超音波にて肝S8に径20mmの低エコー腫瘤を認め、生検を施行したところ病理組織診断にて血管筋脂肪腫と診断された。肝血管筋脂肪腫は一般的に高エコーレベルの腫瘤として見られることが多いが、今回我々は低エコー腫瘤として描出された肝血管筋脂肪腫の一例を経験した。

37-115 超音波検査にて限局性結節性過形成と見誤った肝細胞癌の一例

田村 周二1、竹内 雅幸1、阪下 操1、石平 雅美1、角田 敏明1、藤本 敏明1、勝山 栄治2、山下 幸政3、住友 靖彦3、臼杵 則朗4

1神戸市立医療センター西市民病院 臨床検査技術部、2同 臨床病理科、3同 消化器内科、4同 放射線科

症例は55歳、男性。他院にて膀胱癌術後経過観察されていた。平成21年当院泌尿器科紹介受診となり6月のCT検査にて肝腫瘍を指摘、精査加療目的にて入院となる。入院時検査:生化学検査では肝機能異常なく末梢血検査も正常であった。その他、HBs抗体陽性。超音波検査では肝実質エコー均一で脾腫もなく指摘されたS4には、やや形状不整な膨張性に欠ける1.9cmの低エコー結節を認めた。ドプラ検査では車軸状を呈するカラーフローパターンが描出され肝細胞癌(以下HCC)よりも限局性結節性過形成(FNH)を疑った。しかしながら、CTでは早期相で増強され後期相でwash outされるHCCパターンを呈していた。造影エコーでも肝細胞相で欠損像を呈したため生検施行、HCCと診断された。考察:超音波ドプラ検査によりFNHを疑った車軸状血流は、HCCのbasket vessel を見ていたものと考えられた。

37-116 インターフェロン著効後7年後に発生した瀰漫性肝細胞癌の1例

渡邊 豊1、島田 里美1、久富 亜紀1、中村 多恵1、西尾 真由美1、佐々木 八恵美1、小林 千恵美1、河合 真由香1、向林 知津1、森畠 康策2

1財団法人和歌山健康センター、2和歌山県立医科大学 第2内科

症例は68歳、男性、2002年9月よりC型肝炎に対し、インターフェロン治療開始。その結果HCV核酸定量の陰性化を認め、外来で経過観察されていた。2009年8月、右季肋部痛を訴え当センター受診、腹部超音波検査(腹部US)を行った。肝挙上と肺および腸管ガスのためアプローチが限られ、肝の描出可能範囲は狭く肝嚢胞以外に明らかな腫瘤は描出できなかった。紹介医療機関では腹部USにて境界不明瞭な腫瘤影と門脈左枝の不明瞭化を認めた。腹部CTにて肝細胞癌(Vp3 Vv2) 、胸部CT・MRIにて肺および腰椎転移を認めた。当センターで前回画像と比較すると肝実質の粗造が亢進し、門脈左枝内腔がやや不明瞭であった。本症例のようにアプローチが少なく観察が困難な症例では前回画像との比較を行い、瀰漫性変化も考慮することが重要と考える。長期間SVR群でも油断することなく高リスク群としての管理が必要であると痛感した。

37-117 EOB MRI肝細胞相をリファレンスとしたRVSの肝細胞癌診療における有用性,特に乏血性肝結節の描出に関して

木村 達1、大ア 往夫1、岡部 純弘1、喜多 竜一1、西川 浩樹1、恵荘 裕嗣1、坂本 梓1、斎藤 澄夫1、松田 史博1、谷口 敏勝2

1大阪赤十字病院 消化器科、2同 超音波室

慢性肝疾患患者に於いて、EOB MRI細胞相で、しばしばdynamic CTで多血を呈さず検出が困難な結節が描出される。このような非多血性肝細胞性結節に対し、組織採取やRFAなどのさらなる診断・治療手技を加えるためには、USでの描出が不可欠である。今回我々は、EOB MRI肝細胞相をリファレンス画像としたRVSを用いて非多血性肝細胞性結節の描出を試みたので報告する。症例は77才、女性、C型肝硬変。USにてS8 1.5cmの低エコー結節を指摘され、dynamic CTおよびEOB MRIを施行した。EOB MRI肝細胞相では、S8病変に加えてUSでは指摘されていなかったS3にも2cm大の低信号を呈する結節が描出され、いずれもdynamic CTでは同定困難であった。RVSを行ったところ、S3結節は淡い低エコー結節として描出された。EOB MRI肝細胞相で描出された非多血性結節の多くは、RVSにより同定可能であった。

37-118 EOB-MRI肝細胞相のみ同定し得た肝腫瘤をvolume navigation下腫瘍生検で高分化型肝細胞癌と診断し得た一例

大濱 日出子1、今井 康晴1、井倉 技1、澤井 良之1、小来田 幸世1、土本 雄亮1、福田 和人1、黒川 正典1、関 康2、高村 学2

1市立池田病院 消化器内科、2同 放射線科

GE横河メディカルシステム(GE)社のvolume navigation(V-NAV)とはCTやMRIなどのMPR像を超音波画像と同断面としてリアルタイムに同一画面に表示するシステムである。今回我々はEOB-MRI肝細胞相でしか同定できない腫瘍をV NAVを用いた腫瘍生検をし高分化型肝細胞癌(HCC)と診断し得たので報告する。症例は80歳女性、HCV陽性。2004年にS8の多血性HCCにTACE施行。2009年12月のEOB-MRI肝細胞相でS3に19mm大、S6に15mm大の低信号な乏血性結節を認めたがCTやソナゾイド造影エコーでは同定されなかった。2010年5月にS3は27mm大、S6 は19mm大に増大していたためGE社製LOGIQ E9のV-NAV下で腫瘍生検を行いいずれも高分化型HCCと診断しえた。EOB-MRIの導入により肝細胞相で低信号を呈する乏血性肝腫瘤に多く遭遇するようになったが、本症例のようにB-modeでも造影エコーでも同定できない腫瘍がある。その診断や治療においてはV-NAVを用いた腫瘍生検や穿刺治療が不可欠である。

37-119 当院における研修医に対する腹部エコー教育について

井谷 智尚1、内田 浩也2、登尾 薫2、佐藤 信浩2、山野 愛美2、森 悠香2、佐々木 綾香1、後藤 規弘1、三村 純1

1西神戸医療センター 消化器科、2同 臨床検査技術部

【目的】エコーは身近で侵襲の少ない診断手段として臨床現場で広く活用されている。当院では救急外来の初期対応に研修医があたっているが、彼らに対する腹部エコー教育を消化器科研修の一貫として実施している。当院の腹部エコー教育について紹介し、その有用性を明らかにする。【方法】2006年より、研修医に対し救急外来での初期対応ができることを目標とした『腹部エコーマスターコース』を実施している。内容は腹部エコー室での10例の見学、50例の実地研修(上級医または上級検査技師のチェックあり)と、それらを終えたものに対する実技試験及び筆記試験である。両者に合格したものに修了証を交付している。【結果】これまでに計18名の修了者を輩出し、日常診療に役立ててもらっている。【考察】研修医は積極的に『マスターコース』に参加し、研修のアクセントとして楽しんでいるように思われた。また修了証は同期や後輩研修医の励みにもなっていた。

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【消化器7(腹腔内疾患・腫瘍)】

座長1:楠  信也(神戸大学大学院医学研究科 肝胆膵外科学)
座長2:廣辻 和子(医真会八尾総合病院 臨床検査科)

37-120 後腹膜脱分化型脂肪肉腫の1症例

鳥居 裕太1、森 雅美1、本多 かおり1、中尾 由佳1、駒 美佳子1、井西 千晶1、楠本 有希1、塚本 義貴2

1PL病院 中央臨床検査部、2同 外科

《症例》77歳 男性 主訴:左側腹部痛 既往歴:糖尿病  平成21年10月狭心症治療目的で入院となったが、左側腹部に不快感があり、微熱とCRP上昇が持続した為、精査となった。単純CTでは下行結腸背側に憩室炎による膿瘍を疑う病変を認め、また左腸骨筋が腫大して見え膿瘍形成が疑われた。USではCT同様、下行結腸背側に膿瘍を疑う超音波像が見られたが、腸骨前面に巨大な腫瘤を認めた。腫瘤は境界明瞭、辺縁やや不整、内部は高echo、低echo、無echoが混在する多彩な像を呈した。また辺縁及び内部に豊富な動脈性血流が確認された為、腫瘍性病変が疑われた。その後の造影CTでもUS同様、多血性腫瘍と考えられた為、12月に腫瘍摘出術が施行された。病理組織診断は脱分化型脂肪肉腫であった。《考察》腫瘍は脱分化、高分化、粘液腫様、その他組織が混在しており、超音波でもこれを反映し多彩な超音波像を呈したものと思われた。

37-121 腹腔内に再発し急速増大した脂肪肉腫の1切除例

安井 福子1、堀井 勝彦2、高萩 千賀子1、安江 智美1、中村 由加1、野辺 八重子1、大山 重勝1、市川 剛2、沖村 明3、河原 邦光3

1大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター 臨床検査科、2同 消化器・乳腺外科、3同 病理診断科

症例は80歳代、女性。前医で平成21年12月後腹膜脂肪肉腫摘出術を受けた。平成22年4月腹満、体調不良をきたし、CTにて下腹部〜骨盤腔内を占拠する腫瘤像を認め、再発と診断された。5月当院受診。腹部エコー検査では境界明瞭で肝と等エコーの腫瘤像が骨盤腔内を占拠し、内部には索状高エコーの脈管構造がみられた。造影エコーでは腫瘤内部を走行する脈管からの血流により実質が染影された。Dynamic CTでは分葉状の腫瘍は内部や辺縁を走行する栄養血管からの流入血行により早期より不均一に造影され、遅延相でも遷延していた。MRIではT1強調像で一部高信号を含む低信号、T2強調像で不均一な高信号を示した。5月下旬開腹下に腫瘍摘出術施行。腫瘍には右胃大網動脈から流入する血管や壁側腹膜からの微細な流入血行がみられたが、周囲への浸潤所見はなく摘出しえた。腫瘍は径28cm、15cm、11cmの3個からなり、境界明瞭で黄白色・分葉状の形態を示した。

37-122 膵腫瘍を疑った腹腔内デスモイド腫瘍の1例

上田 絵理、仲尾 美穂、福田 順子、高倉 玲奈、高野 保名、井岡 達也、吉岡 二三、田中幸子

大阪府立成人病センター 検診部

膵体尾部に腫瘍を指摘され、精査目的で紹介された20歳代女性。初診時USでは膵体尾部に充実部と嚢胞部が混在する3cm大の境界明瞭、球形の腫瘤像を認めた。造影USにて充実部は濃染、膵腫瘍性のう胞と考えた。EUS-FNAを施行するも悪性所見を認めず経過観察となった。3ヶ月後のUSの腫瘍径は約6cmと増大、全体が充実性となり、カラードプラで豊富な血流像を認めた。増大した腫瘤の背側に変形のない膵が描出され、膵外の病変を疑った。造影CTでも6cm大の境界明瞭な充実性腫瘤を認め、膵体尾部に広範囲に密に接した胃壁原発のGISTを疑った。再度施行したEUSでも、6cm大の低エコー腫瘤像は、一部、胃壁筋層と連続し、胃GISTを疑った。胃局所切除術を施行。切除標本の病理組織診にて腹腔内デスモイドと診断された。今回、膵腫瘍と判別が困難であった腹腔内デスモイドの1例を経験したので報告する。

37-123 横隔膜神経鞘腫の一例

辻井 一行1、林 愛子1、住ノ江 功夫1、松下 容子1、松井 隆1、上山 昌代1、玉置 万智子1、綿貫 裕1、藤澤 真義2、佐藤 四三3

1姫路赤十字病院 検査技術部、2同 病理診断部、3同 外科

胸部XPにより指摘され、画像診断が困難であり、手術にて横隔膜神経鞘腫と診断された一例を経験した。「症例」61歳・女性「既往歴」高脂血症「現病歴」他院胸部XPにて左横隔膜に腫瘤を指摘されていた。H21年胸部XPにて増大を指摘されCT・MRIを施行、大きさ約70mmの充実性と嚢胞性の部分が混在する腫瘤を指摘された。腫瘍は横隔膜・胃・肝左葉由来が疑われ、精査・手術目的で当院に紹介となる。「エコー所見」脾臓と横隔膜の間に50mm大の嚢胞性腫瘍を認めた。内部は液状でほぼ無エコーであった。「CT検査」充実部分と嚢胞部分の腫瘍で、部位および発育の形態から横隔膜や腹膜の腫瘍の可能性が示唆された。悪性も疑われるため、手術となった。病理診断の結果神経鞘腫と診断された。「結語」胸部XPで偶然発見され、画像診断で確定診断には至らず、手術を施行し、横隔膜神経鞘腫と診断された症例であった。

37-124 腸間膜脂肪織炎の1症例

松井 隆、松崎 俊樹、住ノ江 功夫、林 愛子、松下 容子、上山 昌代、辻井 一行、玉置 万智子、綿貫 裕、河瀬 正晴

姫路赤十字病院 検査技術部

はじめに:腸間膜脂肪織炎は、腸間膜脂肪織に生じる非特異的炎症疾患で比較的予後良好な可逆的な疾患である。症例:60歳代男性、主訴:嘔気、嘔吐、上腹部痛、既往歴:虫垂炎、現病歴:他院にて気管支喘息、血液検査所見は、炎症反応等認めず、発熱もなかった。腹部超音波検査にて腹壁直下に7×3cm大の高エコーを呈する脂肪織を認めた。脂肪織をつらぬく太い血管を認め、同部位に圧痛があった。腹部造影CTにて、小腸腸間膜脂肪織濃度の上昇を認め、腸管膜脂肪織炎と診断した。保存的治療にて経過観察し、2週間後の腹部超音波検査にて腹壁直下の高エコーを呈する脂肪織は、3×2cm大に縮小していた。結語:腹部超音波検査が存在診断、経過観察に有用であった腸間膜脂肪織炎の1症例を報告する。

37-125 卵巣嚢腫を疑った巨大腸間膜嚢腫の1例

今里 明美1、前川 弘子1、今西 啓子1、高野 智子2、木村 貞美2、田尻 仁2、吉田 洋3、井上 敦雄4、伏見 博彰5、岡田 倫之1

1大阪府立急性期・総合医療センター 臨床検査科、2同 小児科、3同 外科、4同 消化器内科、5同 病理科

症例は、5歳女児。深夜の腹痛により救急受診した。その後、39度発熱と腹痛持続のため当院紹介受診となった。腹部超音波検査(US)で、骨盤内に内部点状エコーと隔壁を有する径約90mm×64mm大の嚢胞、及び周囲に微量腹水を認めた。腸管や子宮との連続性はなく、両側卵巣は描出できなかった。CTにて、臍レベルより骨盤腔にかけ隔壁を伴う巨大嚢胞を認めたが、嚢胞に充実性部分は認めず、付属器由来の嚢胞を疑った。また、右卵巣のみ確認できなかった。以上より、卵巣嚢腫茎捻転を疑い緊急手術が施行された。手術所見にて、嚢胞はS状結腸腸管膜より発生しており、内容物の一部に膿性の液体を認めた。病理所見では、S状結腸漿膜側の腸管膜嚢腫であった。今回我々は術前USで卵巣嚢腫を疑った巨大腸管膜嚢腫の1例を経験したので 、若干の考察を加え報告する。

37-126 出血性巨大副腎偽嚢胞の1例

大川 尚臣、野上 浩實、小畑 卓司、金川 泰一朗、山下 伸造、溝口 かおる

医療法人野上病院 外科

症例は70歳、女性。左季肋部に疼痛を自覚し、近医より精査加療目的に紹介受診となった。左上腹部に手拳大の腫瘤を触知し、軽度の圧痛を認めた。腹部CTでは膵尾部に10x8cm大の嚢胞性病変を認めた。腹部USでは内部に隔壁及び充実成分が認められた。ソナゾイド造影では嚢胞壁は早期動脈相より造影されるが、充実成分は造影されず、Kupffer相にて造影効果を認めた。以上より膵MCNを疑い、膵体尾部切除を行った。病理所見は嚢胞内には様物質、血液成分が貯留し、壁は上皮を欠き、線維組織で形成されていた。膵と接するが、一部は副腎内にあり、皮質細胞を認め、副腎偽嚢胞と診断された。副腎偽嚢胞は比較的稀な疾患であり、5cm以上のサイズになると、膵、脾、腎、腸間膜、後腹膜疾患との鑑別が必要だが、正確な診断は難しいとされる。今回我々は膵嚢胞性疾患との鑑別診断に苦慮した副腎偽嚢胞の1例を経験したので考察を加え報告する。

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【消化器8(胆嚢・胆管・脾臓)】

座長1:木村  達(大阪赤十字病院 消化器科)
座長2:田村 周二(神戸市立医療センター西市民病院 臨床検査技術部)

37-127 超音波検査にて経過観察しえたIgG4関連疾患の1例

山本 将司1、田村 美貴1、山中 裕子1、有馬 隆幸1、越知 博之1、山崎 正之1、波元 智香1、藤里 綾1、岡 洋子1、杉山 裕之2

1大阪府済生会野江病院 検査科、2同 血液免疫内科

【はじめに】IgG4関連疾患は、21世紀になり提唱された比較的新しい疾患概念であり、組織学的にはIgG4陽性形質細胞やリンパ球の浸潤が涙腺、唾液腺、後腹膜、胆管、胆嚢、膵臓、腎臓などでみられ、線維化や閉塞性静脈炎を生じる全身性自己免疫性疾患である。【症例】59歳男性。食欲不振、体重減少、咳嗽や痰を主訴に近医受診し、肺結核疑いで当院紹介受診された。造影CTでは肺結核所見は認めず、膵頭部腫大、両側腎門部腫瘤、両側頸部・肺門部・傍大動脈のリンパ節腫大を認めた。超音波検査では造影CT所見に加え、左右顎下腺腫大、胆嚢・肝内胆管・総胆管の壁肥厚、前立腺腫大などを認めた。血液検査では肝胆道系酵素・IgG4・CA19-9の上昇を認めた。これらの結果などからIgG4関連疾患が考えられ、ステロイド治療を開始して著効した。【結語】本疾患の治療効果判定に超音波検査が有用であった1例を経験したので報告する。

37-128 超音波検査で肝内へのガスの移動を観察し得た気腫性胆嚢炎の1例

太田 奈津子1、植東 ゆみ1、松下 陽子1、岡山 幸成1、西村 理2、松末 智3

1天理よろづ相談所病院 臨床病理部、2同 乳腺外科、3同 腹部一般外科

症例は右季肋部痛を主訴に当院を受診した80代男性。超音波検査でdebrisを伴う腫大した胆嚢を認めた。胆嚢壁および周囲を十分に観察したところ、まず胆嚢壁内のガス像が目につき、次いで肝床及び胆嚢内腔にガス像を認め、胆嚢壁から肝内にガスが移動している様子が観察された。また門脈本幹から前下区域枝内にもガス像を認めた。1時間後に施行した造影CTでも胆嚢壁、内腔、周囲の門脈内にガス像が認められた。同日、気腫性胆嚢炎の診断で手術が施行された。腫大した胆嚢壁の一部は黒色に変化し、内腔にガスを認めた。内腔にはdebrisと5mm大の結石も認め、胆嚢吸引液からはClostridium属が検出された。病理組織で好中球浸潤を認める壁の全層性の壊死と気泡が認められ、細菌もみられた。超音波検査で経時的に胆嚢内外のガスの移動を観察し得たので報告する。

37-129 特徴的な造影超音波像を呈した胆嚢腺扁平上皮癌の一例

西村 純子1、田中 弘教1,2、吉田 昌弘1、東浦 晶子1、岩井 孝史2、中正 恵二3、廣田 誠一4、藤元 治朗5、西口 修平2、飯島 尋子1,2

1兵庫医科大学 超音波センター、2同 内科・肝胆膵科、3同 機能病理、4同 病院病理、5同 肝胆膵外科

症例は70歳代女性。主訴は食欲不振。超音波検査で胆嚢から肝右葉にかけて約10cmの高エコーで内部エコー不均一、辺縁不整な腫瘤性病変を認めた。造影CTでは辺縁部が早期濃染されるが中心部は染影を認めず、MRIではT1強調画像で等〜低信号、T2強調画像で軽度高信号、拡散強調画像で高信号を呈した。CTやMRIでは肝原発を疑われたが、超音波検査では胆嚢壁が描出され胆嚢腫瘍を疑った。造影超音波検査の造影早期では腫瘤辺縁より中心部に向かう血流を認め、Capture modeでは豊富で細かい樹枝状の腫瘍血管を認めた。後血管相(Kupffer相)では、肝床との境界が不明瞭で肝への直接浸潤と考えられた。手術後の病理組織所見で胆嚢腺扁平上皮癌と診断された。造影超音波検査の腫瘍血管のパターンは、胆嚢腺扁平上皮癌の診断に有用な所見となりうる。

37-130 自己免疫性膵炎関連疾患の3症例 胆管病変ー超音波所見を中心にー

井田 美貴男1、原 直樹2

1北大阪病院 内科、2加納総合病院 内科

(はじめに)自己免疫性膵炎に合併する胆管病変の3症例について胆管画像所見について供覧する。なお膵画像検査では全例がびまん性膵腫大を示していた。(US所見)今回USでは総胆管の拡張像を2例に認めた。1例では総胆管は著明に拡張し、膵頭部へと連続し途絶していた。他の1例では数珠状の拡張像を認め、胆嚢壁は肥厚し三層構造を示していた。しかしいずれの症例も総胆管の壁肥厚像は認めなかった。さらに1例では総胆管は狭小化し肝内胆管は枯れ枝状で描出困難であった。また肝内胆管は、総胆管の拡張像を示した2例では拡張と狭窄を示し、いわゆるparallel channel signを示していた。(まとめ)自己免疫性膵炎に合併する胆管病変は、約80%に胆管狭窄像を認めるが胆管画像所見については未だ報告例も少なく、また硬化性胆管炎像との鑑別が困難であり報告した。

37-131 診断に苦慮した門脈内腫瘤の一例

竹内 雅幸1、田村 周二1、阪下 操1、角田 敏明1、石平 雅美1、藤本 敏明1、勝山 栄治2、山下 幸政3、湯浅 一郎4、臼杵 則昭5

1神戸市立医療センター西市民病院 臨床検査技術部、2同 臨床病理科、3同 消化器内科、4同 外科、5同 放射線科

【症例】73歳男性。腹痛にて当院を受診、炎症反応の亢進があり、腹部超音波検査施行。胆嚢の腫大とデブリスを認め、急性胆嚢炎と診断した。また門脈左枝に境界明瞭で内部は比較的均一な充実性の腫瘤が描出され、門脈血流は途絶していた。腫瘤は門脈内に留まっている様に描出され、胆管拡張も見られないことより腫瘍塞栓や血栓による門脈閉塞を疑った。胆嚢摘出術施行後、原発巣や門脈内腫瘤の検索を行ったが、確定診断が得られなかった。腫瘤摘出後の病理組織診断はInflammatory pseudotumorであった。 

37-132 超音波検査が有用であったサルモネラ脾膿瘍の一例

楠木 まり1、増田 由佳子1、福岡 恵子1、今西 孝充1、濱口 浩敏2、矢野 嘉彦3、瀬尾 靖3、川嶋 隆久4、木下 承晧1、河野 誠司1

1神戸大学医学部附属病院 検査部、2同 神経内科、3同 消化器内科、4同 救急部

【はじめに】脾膿瘍は比較的稀な疾患であり、その診断には画像診断が不可欠である。今回我々は超音波検査(以下US)が診断に有用であったサルモネラ感染による脾膿瘍の一例を経験したので報告する。【症例】60歳男性。発熱、意識レベル低下により当院入院。原因精査のためCT検査が施行され、胸水とそれに伴う無気肺、脾腫大及び脾臓内に境界明瞭で内部低吸収な腫瘤像を認めたが診断には至らなかった。USでは腫大した脾臓内に45mm×48mm大の境界一部不明瞭、辺縁不整な腫瘤像を認め、周囲は低エコー、内部は不均一な等〜高エコー輝度を呈していた。また脾臓周囲脂肪織のエコー輝度上昇も認め、脾膿瘍を疑い、CTガイド下穿刺を行ったところ、サルモネラ菌が検出され脾膿瘍との診断に至った。【結語】脾膿瘍は臨床像やCT画像のみでは特徴的な異常所見を捉えにくいため、複数のデバイス、特に簡便で非侵襲的なUSを用いることが有用である。

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【消化器9(消化管)】

座長1:本合  泰(市立枚方市民病院)
座長2:岩崎 信広(神戸市立医療センター中央市民病院 臨床検査技術部)

37-133 超音波検査が診断に有用であった小腸GISTの1例

藤岡 正幸1、福井 寛也2、高 智成3、村岡 幸弘1

1医療法人友愛会松本病院 臨床検査室、2同 外科、3同 内科

症例は、55歳、男性。脳挫傷にて入院中に腹部不快感を訴えたためUSを施行。右上腹部に直径8cm大の充実性腫瘤を認めた。数日後に行ったUSでは、腫瘤は骨盤内に移動しており、また、よく観察すると小腸と連続性があり、小腸壁より腫瘤内に入り込む豊富な血流シグナルが認められ、小腸GISTを強く疑った。CTでも内部は不均一であるが強い造影効果を認めた。腹部血管造影では上腸間膜動脈の空腸枝より栄養される非常に血流豊富な腫瘍が認められ小腸GISTと診断した。手術所見はトライツ靭帯より約50cm肛側の部位に空腸壁より発生した直径11.5cm×6.0cm×6.0cm大の表面平滑な腫瘍であった。病理組織学所見ではc-kit陽性、CD34陽性で空腸に壁外性発育を示すGISTと確定診断した。

37-134 腸重積を伴った回腸lipomatosisの1例

中西 美紀1、中村 滋1、綛野 進2、梁瀬 義章3

1長吉総合病院 臨床検査科、2同 外科、3同 整形外科

症例は右下腹部痛を訴えCTにて腸重積を疑われ入院となった50歳代、男性。右下腹部に腫瘤触知し圧痛、反跳痛認めるが腹部は比較的軟であり、血液検査では軽度の炎症反応を認めるのみであった。超音波検査では右側腹部にmultiple concentric ring signがみられ腸重積に合致する所見であった。重積先進部には高エコーmassと連続する低エコーmassが複数描出された。これらの腫瘤はエコー輝度の境界が明瞭で一つの腫瘍とするには矛盾を感じ2種類の腫瘤の存在を疑った。病理診断にてこれらの腫瘍は全て多発する脂肪腫であり悪性像は認めなかった。超音波検査で腫瘍の質的診断は困難であったが、その組織学的変化が画像で表現され非常に興味深い症例であった。

37-135 小腸原発顆粒球肉腫の1症例

綿貫 裕1、林 愛子1、住ノ江 功夫1、松下 容子1、松井 隆1、上山 昌代1、辻井 一行1、玉置 万智子1、藤澤 真義2、平松 靖史3

1姫路赤十字病院 検査技術部、2同 病理診断科、3同 血液内科

症例:40歳代女性、主訴:腹痛、既往歴:甲状腺癌現病歴:腹痛が続くので近医受診CT、USにて異常認めず。当院救急外来受診となる。血液検査では軽度の炎症反応を認めた。腹部超音波検査にて小腸(回腸)に長さ12cmにわたり肥厚、層構造消失、エコーレベルは極低エコーを示し、腸管膜側の肥厚も認めた。口側と思われる小腸30mmと軽度拡張していた。造影超音波検査では、腫瘍は血流豊富で比較的スムースな樹枝状の血管を認めた。周囲LN腫大認めず。腹部単純CT所見では腫瘤は比較的均一な等〜高吸収域として描出された。以上より悪性リンパ腫を疑い、小腸内視鏡を施行した。バイオプシーの結果、顆粒球肉腫と診断した。化学療法施行され腫瘍は消失した。現在も化学療法中である。結語:超音波検査が存在診断、経過観察に有用であった小腸原発顆粒球肉腫の1症例を報告する。

37-136 虫垂粘液嚢胞腺腫の一例

吉田 あゆみ1、井上 太1、杉田 宗治1、大石 玲子1、山田 陽子1、笹木 優賢1、巽 信之2、金子 晃2、久保 光彦2

1NTT西日本大阪病院 生理機能検査室 、2同 消化器内科

症例は55歳 女性。感冒症状を主訴に当院内科を受診。触診にて左鎖骨下リンパ節の腫脹を認めたため、悪性疾患除外の目的で胃カメラ・腹部超音波検査を施行された。超音波検査では、右側腹部から下腹部にかけて約12cm大のソーセージ状の腫瘤を認めた。同腫瘤は境界明瞭で内部層構造を呈し、プローブの圧迫にて変形し、粘液腫瘍を疑った。虫垂由来の腫瘍も疑われたが、腫瘍径が大きく、発生部位の特定は困難であった。外科にて腫瘤摘出術を施行。術中所見で腫瘤は、虫垂に存在しており、先端は反転し、後腹膜に癒着していた。病理組織診断にて、虫垂粘液嚢胞腺腫と診断された。今回、我々は腫瘍径が大きく、発生部位の特定に苦慮した虫垂粘液嚢胞腺腫を経験したので、報告する。

37-137 虫垂悪性リンパ腫の1症例

綿貫 裕1、林 愛子1、住ノ江 功夫1、松下 容子1、松井 隆1、上山 昌代1、辻井 一行1、玉置 万智子1、藤澤 真義2、佐藤 四三3

1姫路赤十字病院 検査技術部、2同 病理診断科、3同 外科

症例:80歳代女性、主訴:右下腹部痛既往歴:特記すべきことなし現病歴:右下腹部痛のため近医受診、CTにて虫垂腫瘍を疑われ当院外科受診となる。血液検査では軽度の炎症反応を認めた。腹部超音波検査にて、虫垂開口部より虫垂壁は肥厚し径25mm長さ90mmと腫大、層構造消失、エコーレベルは極低エコーを示した。造影超音波検査では、腫瘍は比較的均一に染影された。周囲LN腫大認めた。腹部造影CT所見では造影超音波同様に腫瘤は比較的均一に染影された。以上より悪性リンパ腫を疑い、大腸内視鏡を施行した。バイオプシーの結果、悪性リンパ腫(NHL diffuse large B cell lymphoma)と診断した。回盲部切除施行。病理所見では腫瘍は虫垂開口部まで存在するが盲腸粘膜への広がりは認めなかった。近傍のLNも浸潤を認めた。現在は化学療法中である。結語:超音波検査が存在診断、質的診断に有用であった虫垂悪性リンパ腫の1症例を報告する。

37-138 若年性大腸癌の一例

木下 博之1、児玉 尚伸2、竹中 正人1、中戸 洋行1、大前 嘉良1、佐竹 理恵1、石水 弘子1、津村 知絵1、山本 忠生2

1社会保険紀南病院 中央臨床検査部、2同 内科

【症例】26歳、男性。2009年8月25日 下腹部痛、下痢を主訴に当院救急受診。急性腸炎が疑われ投薬にて経過観察。11月10日 腹痛が悪化し、新たに発熱と血便を認めたため再受診。腹部超音波検査にて、S状結腸に10mmの限局した壁の厚みを認め、約1/3周で層構造不明瞭であったため大腸癌を疑った。CTではS状結腸に浮腫様肥厚を認めたが年齢から憩室炎が疑われた。憩室出血との診断で治療開始し、状態が落ち着いた11月19日 大腸内視鏡施行したところS状結腸に2型進行癌を認めたため、12月1日 S状結腸切除術施行。病理組織の結果、進達度SSのS状結腸腺癌と診断された。【まとめ】超音波検査にて大腸癌を疑ったが、年齢から憩室炎、憩室出血として治療し、結果的には大腸癌であった若年性大腸癌の一例を経験した。大腸壁肥厚所見の鑑別疾患として、若年者であっても大腸癌を考慮する必要があると考えられた。

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【消化器10(消化管)】

座長1:岩田 恵典(兵庫医科大学 内科学・肝胆膵科)
座長2:川端  聡(住友病院 超音波検査部)

37-139 原因不明の腸炎にCMVが合併した全結腸型腸炎の一症例

簑輪 和士1、岩崎 信広1、栃尾 人司1、田村 明代1、小畑 美佐子1、藤田 幹夫2、杉之下 与志樹2、猪熊 哲朗2

1神戸市立医療センター中央市民病院 腹部超音波検査室、2同 消化器内科

症例は32歳、女性。4月末より下痢が頻回となり近医を受診。血便は10回/日以上、粘血性下痢も出現したため、絶食、補液、LVFX内服にて治療を行うが改善なし。当院に緊急入院となった。腹部USでは横行〜S状結腸の広い範囲で鉛管状、ハウストラの消失、SM層の浮腫性肥厚を認めた。USでは潰瘍性大腸炎と診断。CFでは、粘膜は剥離し全周性の炎症所見を認めるが直腸粘膜は保たれており非特異的な腸炎で潰瘍性大腸炎との診断は困難、原因疾患は特定できなかった。経過観察のUSでは著変なし。CFでは、粘膜の増生はあるが炎症所見に変化なし。組織学的にCMVが検出されたため、デノシン200mg×2回を開始。症状の著明な改善があり、5〜8回/日の下痢から軟便になったため外来経過観察となった。本症例は原因の特定ができなかったが、デノシン投与で症状の軽快が見られCMVが腸炎の増悪因子になっていた可能性が考えられた。

37-140 ループス腸炎における多発潰瘍型と虚血性腸炎型のUS像の比較

岩崎 信広1、杉之下 与志樹2、和田 将弥2、井上 聡子2、岡田 明彦2、田村 明代1、簔輪 和士1、栃尾 人司1、小畑 美佐子1、猪熊 哲朗2

1神戸市立医療センター中央市民病院 臨床検査技術部、2同 消化器センター内科

全身性エリテマトーデス(以下SLE)における下部消化管病変は血管炎に基づくループス腸炎と蛋白漏出性腸症に大別される。ループス腸炎は小腸を主体とする急性発症の虚血性腸炎型と大腸が主に罹患する多発潰瘍型に分類される。今回、多発潰瘍型と虚血性腸炎型のUS像の特徴について比較検討したので報告する。

37-141 消化管アミロイドーシスの1例

福島 豊1、中野 勝行1、瀧本 和雄2

1東神戸病院 放射線科、2同 内科

症例は82才の女性。1か月前から下痢が続くため当院に紹介受診。S状内視鏡検査にて左側結腸にびらんと浮腫、直腸に潰瘍形成を認め虚血性腸炎を疑う所見であった。血液検査所見では、貧血と低アルブミン、CRPの上昇を認めた。腹部超音波検査では、下部小腸と全結腸に粘膜下層主体の肥厚像を認め、回盲部リンパ節腫大および少量の腹水を認めた。便培養検査(−)、結核菌(−)、Clostridium difficile(−)、虫卵検査(−)であったため、感染による二次的な虚血性変化と診断し、抗菌剤および輸液にて一時的に症状は改善した。しかし再度症状が出現し増悪したため、大腸内視鏡検査による再生検を行いコンゴーレット染色によりアミロイドの沈着を認め、反応性AAアミロイドーシスと診断された。慢性炎症性疾患の検索でMMP-3が高値であったため、RAに対するステロイド治療を開始するも敗血症、腎不全を合併し永眠される。

37-142 大腸穿孔部の同定に超音波検査が有用であった2症例

津田 恭子1、吉村 昌記2、平林 邦明2

1耳原総合病院 内科、2同 外科

【症例1】50代男性。入院前日の夜間より腹痛を認め、第1病日に急性虫垂炎に対して腹腔鏡下手術虫垂切除術を施行。第4病日より食事開始したが腹痛があり、再度絶食、抗生剤使用にて経過をみるも右下腹部痛持続。第8病日に、USで虫垂結紮部の腹側に回盲部膿瘍と交通する3mmの瘻孔を確認。同日、経皮ドレナージを行い、以後症状改善した。【症例2】50代男性。第1病日に下部消化管内視鏡下でポリープ切除後より心窩部痛出現。第2病日より右側腹部痛を認めた。同日のUSにて、上行結腸に1.9mmの瘻孔を確認。以後、輸液、抗生剤点滴にて保存的加療を行い症状改善した。【結語】上記2症例において、大腸穿孔部の同定、穿孔部の状態把握、経過フォローにUSは非常に有用であった。

37-143 腹部超音波検査にて指摘し得た腸管魚骨穿通の1例

関 康1、白川 岳2、平尾 隆文2、高瀬 直人3、比嘉 裕次1、高村 学1、福崎 孝幸2、柴田 邦隆2、中原 征則3、今井 康陽3

1市立池田病院 放射線科、 2同 外科、 3同 消化器内科

症例は87歳男性。既往歴は大腸polyp開腹右半結腸切除術と術後イレウス。現病歴:突然の右下腹部痛にて近医にて加療するも軽快せず、痛みは右下腹部から正中に移動し4日後当院を紹介受診。受診時血液生化学dataではRBC 512×104/μl、WBC5270/μl、CRP 3.9mg/dlであった。超音波検査で、臍上部正中やや左側の腸管に長さ32mmに渡り厚さ11mmの限局した壁肥厚を認めた。その中心部から右側壁を貫通して脂肪織内に連続する3×28mmの線状のhigh echoを認め魚骨による穿通を疑った。翌日の造影CTにて横行結腸の吻合部に壁を穿通する帯状の高吸収陰影を認め魚骨穿通と診断され、開腹手術となった。横行結腸吻合部に魚骨が穿通し外側に膿瘍形成を認め、吻合部分を中心に10cmの腸部分切除し回腸横行結腸再吻合を行った。以上、超音波検査が診断に有用であった腸管魚骨穿通の1例を報告する。

37-144 超音波検査が診断に有用であった乳児嵌頓ヘルニアの一例

中村 雅美1、飯干 泰彦2、位藤 俊一2、松本 文博3、水野 均2、山村 憲幸2、藤井 仁2、人羅 俊貴2、岡 和子1、伊豆蔵 正明2

1りんくう総合医療センター市立泉佐野病院 生理機能検査室、2同 外科、3同 小児科

鼡径ヘルニアは1才以下の乳児に多く、嵌頓ヘルニアと陰嚢水腫の鑑別が問題となる。症例は生後3ヶ月、男児。在胎27週0日、出生時体重678g。 日齢55日より両側陰嚢水腫を認めていたが、突然の腹満が出現、精査となる。腹満著明で右鼠径部の膨隆を認める。哺乳力良好でバイタルには異常を認めなかった。超音波検査:右側陰嚢内に腸管壁の肥厚した小腸を認めた。蠕動は乏しい。腸管はヘルニア門に存在し、口側腸管の拡張を認めた。腸管壁にはパワードプラ法で血流を認めた。CT:右鼠径管内に腸管脱出を認めた。口側腸管に拡張した腸管を認めた。鼠径部より口側腸管の拡張が増悪したため右鼡径ヘルニア嵌頓の診断にて手術施行。手術所見:ヘルニア内の腸管には虚血を認めず、ヘルニア嚢を高位結紮した。術後経過良好で術後1日で経口摂取可能となる。 超音波検査にて腸管の狭窄像を明瞭に描出できたことにより嵌頓ヘルニアを診断しえた一例を報告する。

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【講習会】 : 『エコー画像のクオリティを高める』

T.循環器(心臓)

座長1:藤本 眞一(奈良県立医科大学 総合医療)

 『質の高い心エコー画像を残す』

田中 教雄

国立循環器病研究センター 臨床検査部

 超音波検査の診断精度は得られる画像の質に非常に左右される。診断さえできればよい、という気持ちで画像の条件設定も顧みず、見るに堪えない画像で検査をしているのを見かけることがある。これでは正確な計測、診断、情報の伝達はできない。検査の記録媒体がインスタント写真のころは1枚の写真に伝えたい情報をいかに綺麗に、かつ的確に表現できるかを考えて、画像の条件設定や断面を工夫したものである。今は静止画も動画もデジタル化され、記録の主体は動画になりつつある。動画も同様で、とりあえず記録しておいて、あとで見れば何とか診断できる、という考えはよくない。病態を考え、どのような断面を記録すればよいのかを考えて記録を残すことが大切である。 臨床的に価値のある、すなわちあとで誰が見ても、見やすく綺麗で伝えたい情報が分かりやすく入っている画像を記録することは、検査担当者に課せられた必須の条件であることを認識してほしい。

U.循環器(血管)

座長1:長束 一行(国立循環器病研究センター 脳血管部門)

 『血管領域でのきれいな画像のとりかた、残しかた』

濱口 浩敏

神戸大学医学部附属病院 神経内科

 血管領域の超音波検査は、その簡便性からルーチン検査として施行される施設が増加している。例えば動脈硬化の評価や深部静脈血栓症の評価などは、first choiceの検査法として用いられる。また、狭窄や閉塞病変、可動性病変や解離病変などについても、超音波検査でこそ評価できる場合があるため、診断・病態把握のために超音波検査が果たす役割は大きい。基本的に血管病変は短軸・長軸で評価するが、石灰化病変や深部血管などは評価が困難であり、また、観察部位とは別の部位に病変が存在する場合もある。そのような場合は前後の血管状態や波形の性状などから病変部を推測することが重要になってくる。一方、血管はどれも管腔構造であり、画像の残し方によっては、どの部位、どの病変を描出したいのかが分かりにくい場合もある。今回の講習では、きれいな画像を描出するだけでなく、それに加えて、説得力のある「きれいな血管画像を残す」ための一工夫について解説する。

V.腹部(肝胆膵)

座長1:飯島 尋子(兵庫医科大学 超音波センター、内科・肝胆膵科)

 『超音波でよりよい膵描出をめざして』

福田 順子

大阪府立成人病センター 検査科

 超音波検査は、被験者の苦痛を伴わない腹部スクリーニング検査として広く用いられている。日常の腹部超音波検査では、最初から膵臓の検査を行うということはなく、肝臓や胆のうの検査をしてから膵臓という手順で検査が進む。膵は心窩部横断走査で、脾静脈を描出すれば容易に腹側に長軸像が描出されるが、長軸像を1〜2枚撮影して終わることが多い。しかし,徹底的に膵を観察しようとすれば観察すべきポイントは多い。今回は膵を十分に観察するための膵精密超音波検査法を大阪府立成人病センターの膵描出マニュアルに沿って紹介する。  また、膵腫瘍においては良悪の鑑別が問題になってくる。例えば近年注目されているIPMNでは嚢胞内結節の有無が重要と言われているが、非侵襲的な体外式超音波検査でも描出は十分可能である。病変画像だけではなく主膵管との関係や膵周囲血管との関係等、超音波検査でどこまでの情報が提供できるかを造影超音波画像や超音波3D画像と合わせて供覧する。

W.消化器(消化管)

座長1:本田 伸行(寺元記念病院 放射線科)

 『消化管の超音波診断 -クオリティの高い情報収集をめざして-』

岡部 純弘

大阪赤十字病院 消化器科

 消化器疾患の臨床においては、詳細な病歴の聴取および身体所見の評価を端緒として、血液生化学検査や画像診断法を用いて病態の把握を行うことにより鑑別診断を進めていく。それら各々の過程で質的に優れた多くの情報を体系的に収集、整理することが正確な臨床診断に重要であるが、なかでも各種の画像診断法が占める役割は大きい。消化管疾患においても同様で、広範な対象部位、多彩な病変、様々な病態を評価するためには、それぞれの特性を理解した上で各種の画像診断法を駆使する必要がある。腹部超音波検査(US)については、消化管の“断層像”を“real-time”に捉えられることが最大の特性であり、それを最大限に利用することでクオリティの高い情報収集が可能となる。すなわち、消化管壁の層構造や厚さ、管腔径や蠕動の異常、壁内血流の増減などに加えて他臓器病変の有無などの有用な臨床情報を短時間に収集、整理することが重要である。

X.腎・泌尿器

座長1:平井 都始子(奈良県立医科大学 中央内視鏡・超音波部)

 『泌尿器疾患におけるUS診断のクオリティを高める』

尾上 篤志1、秋山 隆弘2

1恒進會病院腎臓病センター エコー室、2堺温心会病院 泌尿器科

 泌尿器科領域の疾患は血尿など救急疾患や前立腺肥大による排尿障害の診断だけでなく腹部US検査時にスクリーニングとして腎臓・膀胱・前立腺が検査されるようになり偶然発見される泌尿器疾患も多くなってきている。 このように、泌尿器疾患の多くは、泌尿器科医以外の検者により診断されることが多く、時には重大な疾患が隠れていることを見逃してしまうこともありうる。本講演では、US画像から診断の「深さ」を求め、依頼医の期待をも超えるような”深読み”をするにはどうしたら良いかについて、幾つかの実例を提示ししながら解説していきたい。

Y.産婦人科

座長1:赤松 信雄(姫路赤十字病院 産婦人科)

 『妊娠15週、胎児精査』

千葉 喜英

千葉産婦人科

 人々が求める胎児診断の目的とは以下に分類できる;1)致死的な胎児病の診断、2)帝王切開人工早産が児に生存の機会を与えるIUGR等胎児病の診断、3)出生後速やかな専門治療が必要な胎児病の診断、4)胎内治療が可能な胎児病の診断。この順番は、過去30年の周産期医療の発展段階と一致する。我が国のさまざまな状況を考慮すると、胎児の臓器別の精査は妊娠15週で行うことが望ましい。画像クオリティーを充分に生かせる装置と診断技術をもってすれば、上記目的は妊娠15週で達成が可能である。自験例、正常妊娠15週100例のそれぞれの臓器の検出率は、両脳室100%、小脳100%、両眼窩100%、両水晶体98%、上唇92%、下唇87%、心4CV100%、両房室間血流100%、大動脈起始部98%、肺動脈起始部100%、両大血管の走行97%、大動脈アーチ追跡75%、胃99%、膀胱99%、膀胱の両側の臍帯動脈99%であった。

Z.乳腺

座長1:藤本 泰久(尼崎厚生会 立花病院)

 『相手に伝わる画像で表現しよう!』

加奥 節子

京都ブレストセンター沢井記念乳腺クリニック

 乳癌検診後の精査など、紹介状に数枚の超音波像が添付され来院される場合があるが、どの像をみても要点となる病変が不明であることや、画像が何を意味するかを理解出来ないこともある。適切な画像でないと相手方に意思は伝わりにくい。他領域と異なり、乳房(体表)超音波検査においては、病変を観察する際、フォーカスを適正な位置に合わせて観察することが重要である。例えば拡張乳管がみられた時、内部に充実性エコーがないかどうか、末梢まで拡張乳管がみられた時、更にその末梢に病変がないかどうかをフォーカスの位置を変えながら観察する。それによって、たった一枚の画像でも多くの情報を伝えることが出来る。今回は乳房超音波検査の走査法、とくに「相手に伝わる超音波像」について解説する。

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