日本超音波医学会

地方会抄録号

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社団法人日本超音波医学会第36回関西地方会学術集会抄録教育講演

ディベートセッション | ランチョンセミナー | 特別講演 |
スポンサーセッション | サテライトセッション | 講習会 |

一般演題
肝臓(造影(1)) | 肝臓(造影(2)) | 肝臓(新手法) |
循環器(先天性) | 循環器(弁膜症) | 循環器(新手法) | 循環器(心筋症など) | 循環器(その他) |
膵臓 | 肝(その他) | 胃・十二指腸 | 小腸 | 胆管 |
大腸 | 腸(その他) | 甲状腺など | 産婦人科など | 腎・泌尿器 |
体表など | 動静脈 |

ディベートセッション: 心機能(ストレイン)

座長:コーディネーター 上松 正朗(関西労災病院 循環器内科)

座長: 石井 克尚(関西電力病院 循環器内科)

36-D1 心エコー図法による心筋評価法の発展 

林英宰

河内総合病院 心臓センター

36-D2 ストレイン/ストレインレートとは何か

松本賢亮

神戸大学医学部 循環器内科

36-D3 Heart failure with preserved EFにおける心拡大の意義:収縮期僧帽弁輪運動速度による検討

大平 芳行1, 西田 美和1, 北村 愛1, 林 英宰2, 川野 成夫2, 市川 稔2, 三嶋 正芳2

1河内総合病院 臨床検査部, 2河内総合病院 心臓センター

 目的: HF-PEFで心拡大の意義を明らかにし、EFとS’の乖離を評価。方法:急性うっ血心不全255例。入院時EFが45%以上をHF-PEF群(n=45)。左室径、左室壁厚、EF、S’を慢性期に測定。左室拡張末期径が50mm以下を非拡大群(n=25)、51mm以上を拡大群(n=20)。結果:両群間で、左室壁厚とEFに差はなかったが、S’は拡大群で低値。(非拡大群と拡大群のS’: 7.0±1.1 vs. 5.3±1.3 cm/s, p<0.05;EF: 59±8 vs. 54±10 %, ns;左室壁厚: 9.4±1.7 vs. 9.2±1.6 mm, ns)。非拡大群よりも拡大群でEFとS’の乖離する例が多。結論:EFが良好で拡張不全が主と考えられた病態も、拡大心では心臓の長軸方向で見た収縮能は低下。心拡大という代償期にあるHF-PEFでもS’は収縮能の低下を捉えた。

36-D4 虚血心筋における収縮期心筋ストレインのハンドグリップ負荷に対する反応性−経皮的冠動脈形成術(PCI)前後の検討−

漁 恵子, 川合 宏哉, 山脇 康平, 福田 優子, 岡田 真理子, 則定 加津子, 辰巳 和宏, 松本 賢亮, 大西 哲存, 平田 健一

神戸大学病院 循環器内科

 ハンドグリップ負荷(HG)は簡便な負荷方法であるが虚血心筋の検出に対しては負荷が不十分とされている。一方、ストレイン心エコー図法は心筋機能の包括的評価が可能な手法である。今回、我々は虚血性心疾患患者において2Dスペックルトラッキング法を用いHGエコー図法の有用性を検討した。PCIを施行された虚血性心疾患患者6人に、PCI前及び1ヶ月後にHGエコー図法を施行し、全108セグメントの収縮期長軸方向のストレイン(Ssys)を計測した。PCI前では、HGにより虚血領域のSsysは有意に上昇した(15.4%vs17.6%)が、非虚血領域では明らかな変化を認めなかった(20.1%vs19.8%)。PCI 1ヶ月後では虚血、非虚血部位ともに有意な変化は認めなかった(19.0%vs19.8%, 20.9%vs21.2%)。HGエコーでのストレイン評価は虚血心筋の検出に有用である可能性が示唆された。

36-D5 重症大動脈弁狭窄症への大動脈弁置換術は、左室同期不全を改善する

山脇 康平1, 川合 宏哉1, 漁 恵子1, 福田 優子1, 辰巳 和宏1, 則定 加津子1, 大西 哲存1, 松本 賢亮1, 大北 裕2, 平田 健一1

1神戸大学大学院 医学研究科 循環器内科学, 2同 心臓血管外科

 <目的> 大動脈弁狭窄症と左室同期不全の関係は明らかではない。今回我々は大動脈弁狭窄症患者が左室同期不全を有するか、また大動脈弁置換術後に左室同期不全が改善するかを検討した。<対象と方法> 弁置換術を施行した重症大動脈弁狭窄症患者13例(AS群)及び健常人13例(N群)に対し、経胸壁心エコー図検査を術前と術後2週間に行った。左室同期不全の評価として、左室2腔及び4腔断層像での基部4セグメント間で組織ドプラ指標の最大時間差(T-4-vel)と、左室短軸像乳頭筋レベル6セグメント間で2Dストレイン指標の最大時間差(T-6-strain)を調べた。 <結果と考察> QRS時間・左室駆出率は、両群及び術前後で有意差は認めなかった。AS群のT-4-vel及びT-6-strainはN群に比し有意に大であり、大動脈弁置換術により有意な短縮を認めた。<結論> 重症大動脈弁狭窄症患者は左室同期不全を認め、大動脈弁置換術後に有意に改善する。

36-D6 2Dスペックルトラッキング方によるdiastolic stunningの評価

石井 克尚

関西電力病院 循環器内科

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ディベートセッション: 心臓(3D)

座長:コーディネーター 岩倉 克臣 (桜橋渡辺病院 循環器内科)

座長: 平野 豊  (近畿大学医学部 中央臨床検査部)

36-D7 呼吸困難で入院挿管後、経食道エコーで大動脈弁逆流と尤贅を認めた感染性心内膜炎にARDSを合併した1症例

山本 あかね1, 太田 剛弘2, 岩田 真一2, 谷川 崇1, 金子 みどり1, 林 雄介2, 西山 裕善2, 大塚 憲一郎2, 紙森 公雄2, 志郎2

1府中病院 生理機能検査室, 2府中病院 循環器科

 【背景】感染性心内膜炎(IE)は基礎疾患、感染の誘因が存在するとされる重篤な疾患で、心不全や全身性塞栓症もあり注意が必要である。不明熱として扱われ診断や適切な治療が遅れ重篤になる場合が多い。発症早期からIEを疑い積極的に心エコーで新たな逆流、疣贅などを検索する。画像不明瞭な場合は、迅速に経食道エコー法を行い弁膜破壊の有無、疣贅の形状を描出、診断する。【症例】71歳男性。夜間の呼吸困難で救急受診し、胸部レ線上両側のび慢性病変がありARDSを疑い挿管治療開始。拡張性心雑音あり心エコー検査で急性大動脈弁逆流、経食道エコーで弁逸脱と尤贅を認め発熱の既往、CRP上昇からIEと診断した。血培から緑膿菌が認められIE治療開始した。3ヶ月前に経尿道的前立腺手術受けていた。呼吸状態は改善傾向だったが発熱続き、末梢塞栓症状、心不全傾向認め早期外科適応と考え大動脈弁置換術施行、良好な経過の症例を経験した。

36-D8 経胸壁リアルタイム3D心エコー法(3DTTE)により僧帽弁逸脱部位が特定できた一例

井波 準治2, 下山 寿1, 中川 大輔1, 福田 修久1, 南坂 朋子1, 真野 圭司1, 坂森 和美2, 安居 由香2, 藤原 佳子2

1市立伊丹病院 循環器内科, 2市立伊丹病院 医療技術部

 72歳,男性。収縮期雑音にて紹介。経胸壁心エコー(TTE)で僧帽弁逸脱を認め逸脱部位同定のため3DTTEを施行した。僧帽弁形成術にあたり逸脱部位術前診断が重要である。従来のTTEや経食道心エコー(TEE)では逸脱部位の同定が困難であった。3DTEEの登場により正確な評価が可能になったが、プローベの太さ等の問題にて、しばしば術前に施行困難例を経験する。近年3DTTEの分解能が向上し経胸壁的に僧帽弁を評価することが可能になった。今回我々は3DTTEにて評価し得た僧帽弁逸脱の一症例を経験したのでここに報告する。

36-D9 抗生剤投与にて炎症所見の改善をみたが疣贅の増大を認めた人工弁感染の一例

岡部 太一1, 武田 義弘1, 發知 淳子1, 岡本 祐典1, 徳岡 孝仁1, 星賀 正明1, 石原 正1, 花房 俊昭1, 勝間田 敬弘2

1大阪医科大学 第一内科, 2大阪医科大学 心臓血管外科

 64歳女性。36歳時に直視下僧帽弁交連切開術、50歳時に僧帽弁置換施行され当院心臓血管外科外来にて通院加療中。平成21年4月9日より原因不明の39℃以上の発熱出現、抗生剤投与を受けるも微熱及び全身倦怠感持続。4月18日、突然の視力低下出現、その際著明な炎症反応(白血球数29750、CRP24.3)及び頭部MRIにて後大脳・中大脳動脈領域に脳塞栓症を認めた。血液培養検査よりメチシリン感受性ブドウ球菌検出、同日経食道心エコー検査においては明らかな疣贅は確認出来なかったが、人工弁に関連した感染性心内膜炎の診断の元に抗生剤投与開始、炎症所見は速やかに改善傾向にあったが、経過にて施行した心エコー検査にて弁輪部に可動性を伴った疣贅を確認。感受性を示した抗生剤を用い速やかに炎症所見の改善を見ていたが疣贅の増大を認めた。本症例では新たな塞栓症の再発もなく、抗生剤治療の継続にて慢性期に再弁置換術施行し、術後経過良好である。

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ディベートセッション: 乳腺

座長:コーディネーター 位藤 俊一 (りんくう総合医療センター 外科)

座長: 奥野 敏隆 (西神戸医療センター 外科)

加奥 節子 (京都ブレストセンター 沢井診療所)

内田 浩也 (西神戸医療センター臨床検査技術部)

36-D10 診断に苦慮したRadial scarの2症例

阪下 操1, 竹内 雅幸1, 石平 雅美1, 角田 敏明1, 田村 周二1, 藤本 敏明1, 勝山 栄治2, 木川 雄一郎3, 臼杵 則明4

1神戸市立医療センター西市民病院 臨床検査技術部, 2同 臨床病理科, 3同 外科, 4同 放射線科

 乳腺に発生するradial scarは比較的稀な良性疾患である。今回われわれは乳癌との鑑別に苦慮したradial scarの2例を経験したので報告する。症例1は38歳女性。健診にて左乳房のdistortionを指摘され当院外科に紹介となった。超音波検査で左ACE領域に0.7cmの低エコー腫瘤を認めた。腫瘤は形状不整、境界不明瞭、ハローを伴い後方エコーは減弱しており硬癌を疑った。穿刺吸引細胞診でも悪性を疑い手術となった。病理組織検査にてradial scarと診断された。症例2は60歳女性。マンモグラフィーで左乳房に中心コアのないspiculationを認めた。超音波検査では左AC領域に2.6cmの低エコー腫瘤を認めた。腫瘤は形状不整、境界不明瞭、ハローを伴い後方エコーは減弱しており硬癌を疑った。針生検でradial scarに一致する所見のため経過観察となった。

36-D11 乳癌のセンチネルリンパ節(SLN))生検例の乳房超音波検査(US)所見と病理所見の対比について

菊田 多恵子1, 太田 奈津子1, 松下 陽子1, 岡山 幸成1, 西村 理2, 松末 智3

1天理よろづ相談所病院 臨床病理部, 2天理よろづ相談所病院 乳腺外科, 3天理よろづ相談所病院 腹部一般外科

 2007年2月から2009年6月の間に乳癌のUS後にSLN生検を施行した161例について、US所見と病理所見をRetrospectiveに比較検討した。 SLN生検で病理組織学的に転移陰性と診断されたものは130例、転移陽性は31例であった。転移陰性の130例中83例はUSでリンパ節(LN)が描出されず、47例は扁平やリンパ門を有し転移を否定した。転移陽性31例のUSでは5例はサイズは小さいが縦横比が大きく転移を否定しえない所見であった。残る9例はLNの描出ができず、17例はリンパ門を有するLNを描出し転移を否定した。 門を有するLN(転移陰性44例、陽性17例)について門の大きさを比較した。LNに占める門の面積が50%以下のLNは転移陰性例の3/44例(7%)に対し陽性例では11/17例(65%)であった。リンパ門の大きさの評価はリンパ節転移の診断に寄与する可能性が示唆された。

36-D12 当院における乳房超音波検査での良悪性鑑別に関する検討

竹田 佳代子1, 大田 豊承1, 上田 修三1, 新蔵 信彦2, 平井 靖1, 木下 智晴1, 川本 真代1

1三菱京都病院 放射線科, 2三菱京都病院 乳腺外科

 【目的】当院における乳房超音波検査では、悪性疾患に対する感度は高いが 特異度が低いことが判明した。今後特異度を向上させるために、偽陽性であった症例を分析・検討した。【対象および方法】2008年1月から12月までのあいだ当院において生検・腫瘤摘出術などにより組織型が確定した乳腺病変138症例について、マンモグラフィ・超音波検査・病理の結果をまとめた。その中で超音波検査にて偽陽性であった81症例についてその組織型・超音波像の特徴などを検討した。【結果】乳房超音波検査で偽陽性であった病変の多くは、線維腺腫・乳腺症(特に硬化性腺症)・放射瘢痕であった。乳腺病変の正診率を向上させるためには これら良性病変の鑑別が重要であり、今後さらに経験数を増やし 鑑別点を検討したい。

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ディベートセッション: 肝臓 (造影)

座長:コーディネーター 飯島 尋子 (兵庫医科大学 超音波センター)

座長: 平井 都始子 (奈良県立医科大学 中央内視鏡・超音波部)

36-D13 ソナゾイド造影超音波にて悪性腫瘍と鑑別困難であった肝炎症性偽腫瘍の1例

中野 勝行1, 福島 豊1, 安東 直人2, 滝本 和雄2, 櫻井 俊治2, 菅本 常夫3, 申 智宏3, 湧谷 純4

1東神戸病院 放射線科, 2東神戸病院 内科, 3東神戸病院 外科, 4神戸協同病院 病理科

 症例50歳男性。既往歴アルコール性肝炎。平成20年7月、数日前より心窩部痛と吐血があり当院内科受診。上部内視鏡にてAGMLと診断。保存的治療により軽快するが、腹部超音波にて肝に腫瘤性病変が指摘され精査となる。AST31U/l、ALT31U/l、γ-GTP100U/l、T-Bil1.8mg/dl、、WBC5380μl、血小板17.1万/μl、CRP0.05mg/dl、Child-Pugh A、AFP5.2 ng/ml、PIVKA-U54mAU/ml、CEA0.8ng/ml。ソナゾイド造影超音波にて早期は周囲肝と等濃染、約12分後低エコーを呈し悪性腫瘍が疑われた。MRI(SPIO)では淡い高信号領域を認め、造影CT、DSA、CTAP、CTHAでは明らかな腫瘤影は指摘されなかった。本症例は良悪性の鑑別が困難であったが、患者の希望もあって肝左葉摘出術を施行し、病理組織にて炎症性偽腫瘍と診断した。

36-D14 ソナゾイド造影超音波検査が診断に有用であった肝内胆管浸潤、門脈腫瘍栓を伴う低分化型肝細胞癌の一症例

斉藤 雅也1, 瀬尾 靖1, 生方 聡史1, 川野 佑輝1, 田村 勇1, 立岩 心平1, 三木 章1, 矢野 嘉彦1, 伊藤 智雄2, 東 健1

1神戸大学医学部附属病院 消化器内科, 2神戸大学医学部附属病院 病理診断科

 【症例】82歳男性、非B非C、HBV既往感染、機会飲酒、脂肪肝なし。全身倦怠感認め精査目的で腹部CT施行し、肝右葉に巨大腫瘤を認めたため当科受診。【診断】血液検査にてAFP 3, PIVKA-U 37, CEA 5.1, CA19-9 7182であり、Dynamic CTにて早期相で腫瘍辺縁が濃染、後期相で淡染し、肝内胆管拡張を認めたことから転移性肝腫瘍又は胆管細胞癌が疑われた。EOB MRIで肝細胞相low、T1/T2 low/high、造影パターンはCTと同様であった。ソナゾイド造影超音波検査にて、早期相で腫瘍辺縁から腫瘍内へ向かう太い血流を多数認め、後期相でwash outを示す多血性腫瘍であり肝細胞癌が疑われた。針生検施行し病理学的に低分化型肝細胞癌と診断された。肝内胆管浸潤、右門脈本幹腫瘍栓を認めたことから生物学的悪性度は極めて高いと考えた。【考察】胆管浸潤を伴うHCCは比較的稀である。他画像検査より造影超音波検査がリアルタイムに腫瘍内血流を評価でき診断に有用であった。

36-D15 ソナゾイド造影エコーにて肝細胞癌と類似した血流動態を示し、鑑別診断に苦慮した肝結節の3例

和田 将弥1, 杉之下 与志樹1, 岩崎 信広2, 杤尾 人司2, 簔輪 和士2, 小畑 美佐子2, 今井 幸弘3, 猪熊 哲朗1

1神戸市立医療センター中央市民病院 消化器センター内科, 2神戸市立医療センター中央市民病院 臨床検査技術部, 3神戸市立医療センター中央市民病院 臨床病理科

 <症例1> 59歳女性。USにて肝S4/8に15mm大の低エコー結節を認めた。CTHAで濃染し、CTAPでは血流欠損となった。ソナゾイド造影エコーではvascular imageの動脈相で腫瘍染影を認め、kupper imageでは欠損となった。生検にて血管筋脂肪腫と診断された。 <症例2> 78歳男性。USにて肝S4に14mm大の低エコー結節を認めた。EOB- MRIでは早期造影効果を認めた。造影エコーにて動脈相で腫瘍染影を認め、kupper imageでは欠損となった。生検にてGISTの肝転移と診断された。 <症例3> 79歳男性。USにて肝S5に13mm大の低エコー結節を認めた。dynamic CTでは早期造影効果を認めなかったが、造影エコーでは動脈相で腫瘍染影を認め、kupper imageでは欠損となった。生検にて悪性リンパ種と診断された。 肝細胞癌は造影エコーにて豊富な動脈性腫瘍血管と強い腫瘍実質濃染を認めることが典型的であるが、これに類似した血流動態を示す他の肝結節もあることに留意する必要がある。

36-D16 Bモードからはじまる肝腫瘍診断

川崎 靖子1,2、嶋三恵子1、中井隆志2、木岡清英2

1大阪市立総合医療センター 生理機能検査部, 2肝臓内科

 ソナゾイド造影超音波は、肝腫瘍の質的診断、肝細胞癌治療において重要である。私自身もその恩恵に与っている一人である。しかし、その煩雑性、長い検査時間、患者負担から日常診療における肝腫瘍のルーチン検査は、やはりBモードが主流と考えられる。『肝細胞癌サーベイランスのアルゴリズム』では造影超音波はまだoption検査の範疇で、肝細胞相を反映するプリモビスト造影MRIとの使い分けの問題もある。また、造影超音波は血行動態とクッパー機能から間接的に肝腫瘍をみているが、Bモードはエコーの強さを輝度の差として描出、つまり形態からみている。このため、脂肪化、周囲浸潤像等の描出によりBモードが十分、病理学的肉眼像、組織像、悪性度を反映し、治療方針決定に役立つ場合がある。経過観察中Bモードで発癌を確認できた症例、小さいが悪性度が高かった症例等を呈示し、Bモードの有用性、重要性について再確認したい。

36-D17 肝腫瘍におけるFundamental B modeと造影超音波の比較(Fundamental B modeの有用性を中心に)

田中弘教、飯島尋子  

兵庫医科大学 超音波センター

 肝腫瘍に対する超音波検査はソナゾイドの登場後、その簡便性・再現性などより飛躍的に有用性が向上した。しかし依然としてFundamental B modeの重要性は揺るぎない。造影剤を使用しなくともカラードプラ・パワードプラを用いると腫瘍内の血流の評価もある程度可能となる。実際に30mm以上のサイズの結節を評価する際には、詳細な肉眼形態評価により、分化度を推測することが可能であり、15mm未満の小病変では多くが乏血性の腫瘍のため、現状では最終診断には肝腫瘍生検が必須となる。客観性という面においても、治療前にMRIあるいはCTが必要である現状において、造影USを組み合わせる必要性については依然として議論のあるところである。さらに造影超音波検査には時間やコストの問題のみならず、検査台や機器をどのように運用するかと言った問題も実際の臨床では切実である。Bモード画像の技術も着実に進んでおり、これらの現状を踏まえ、Fundamental B modeの有用性を中心に報告する。

36-D18 早期肝細胞癌におけるSonazoid造影US、SPIO造影MRI、EOB造影MRIの比較検討

今井 康陽1, 小来田 幸世1, 関 康2, 宇戸 朋之2, 澤井 良之1, 井倉 技1, 福田 和人1, 黒川 正典1, 高村 学2

1市立池田病院 消化器科, 2市立池田病院 放射線科

 【目的】早期肝細胞癌においてSonazoid造影超音波Kupffer phase、SPIO造影MRIでみたKupffer細胞機能とGd-EOB-DTPA(EOB) 造影MRI肝細胞相を比較検討した。【方法】組織学的に診断した早期肝細胞癌27結節を対象とした。Sonazoid造影USKupffer phaseはSonazoid投与後30分以降で評価した。EOB造影MRIは27結節に、Sonazoid造影USは18結節、SPIO造影MRIは16結節に施行した。【結果】EOB-MRI肝細胞相では、27結節中25結節(92.6%)で低信号を示した。Sonazoid造影USでは15結節中3結節(20%)でdefectを示し、SPIO造影MRIでは、16結節中4結節(25%)で高信号を示した。【結論】早期肝細胞癌においてKupffer細胞機能の低下よりEOBの取り込みの低下がより早期におこると考えられた。

36-D19 造影USによる肝細胞癌の悪性度診断とRFA後効果判定に対する有用性の検討

豊原 眞久1, 平井 都始子2, 福井 博1

1奈良県立医科大学 消化器内科, 2奈良県立医科大学 中央内視鏡・超音波部

 (目的)造影US検討で最も有用性が高いと思われた@多血性肝癌の組織肉眼型を含めた悪性度診断ARFA後の効果判定について報告する。(対象)@3cm以内の多血性肝癌で6ヶ月以上経過を観察しえた40結節(5手術例)ARFAを施行し造影USにて効果判定した32結節。(方法)使用装置LOGIC7(GE,CPImode,MI0.2),Sonazoid0.01ml/kg使用。(成績)@多血性肝癌は早期相と後期相の染影パターンより7分類された。それに組織肉眼型、腫瘍マーカー、早期再発などの臨床的事項を対比検討した結果、各分類での悪性度に一定の傾向を示した。ARFA後の効果判定では66.5%で術後腫瘍影が残存し、それらは5mm以下のmargin判定が可能となり、腫瘍影残存の条件についても一定の知見を得た。(結論)造影超音波による多血性肝癌の分類は悪性度診断に有用であり、RFA後効果判定の精度向上に寄与した.

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ランチョンセミナー 

座長: 山本 一博 (大阪大学 臨床医工学融合研究教育センター)

36-L1 超音波診断装置における最新のテクノロジー

太田 良治

(株)日立メディコ 超音波マーケティング本部  

 新しい発想と最新のデジタル技術を駆使し、日立グループの総力を結集して、超音波の送受信を行う探触子(プローブ)から装置のハードウエア・ソフトウエアの全てを一新して高画質化を実現した。最新の画像処理回路「Ultrasound Broadband Engine」による高速画像処理でさらに進化した組織の硬さを画像化する Real-time Tissue Elastography 、CT画像やMRI画像に加えUS Volume画像と超音波診断装置の断層画像をリアルタイムに並列表示するReal-time Virtual Sonography や体動補正を追加した超音波造影機能など、高画質で充実したアプリケーションを搭載し、多くの臨床現場でご活用いただける最新の超音波システムを紹介したい。

36-L2 新製品紹介

永松道代

アロカ株式会社 メディカルシステム営業部 京都営業所

 2009年夏、新たに薬事承認を取得した汎用超音波診断装置を紹介させていただきます。21世紀に入ってまもなく大きな筐体のフルデジタル装置が発売となり10年。最新の小型汎用装置がどのような臨床現場に役立てるのかお話いたします。

36-L3 超音波画像でよりよく診るための新技術

島野俊彰

東芝メディカルシステムズ株式会社 超音波事業部

 超音波画像は受信回路のデジタル化によって大幅に向上してきました。最近の超音波診断装置では、進化した高密度ICやシステムLSIなどハードウエアを採用することによって、さらに複雑な処理をリアルタイムにしかも精細に処理することができるようになりました。これを背景にDifferential THIや空間コンパウンド、周波数コンパウンド処理などが搭載され、空間分解能だけでなくコントラスト分解能の向上とともにアーチファクトの低減が図られました。そして今回ご紹介する新技術はPrecision Imagingという画像処理技術です。Precision Imagingは、受信した超音波のRaw Dataから構造的な特徴を認識しそれに応じてインテリジェントに処理を行うことにより、1)血管や間隙などを抜けの良い画像でクリアに描出、2)被膜などの構造物をシャープでつながり良く描出、3)組織の実質エコーをより細かく緻密に処理し微妙な違いを判りやすく描出できるので、臨床において診断しやすい画像を提供します。今回はこの新しい画像描出法のほか解析アプリケーション機能についてもご紹介いたします。

36-L4 『Strain Imaging』〜超音波診断装置で硬さを知る〜

遠藤 雄一

持田シーメンスメディカルシステム株式会社 Marketing部

 超音波診断装置で組織の硬さを知る方法として現在2種類の方法が実用化されています。ひとつは、超音波プローブなどを用いて、人為的な圧力を組織に対して加えることにより生じる組織の歪を計測し、その歪の度合いから組織の硬さを超音波診断装置画面上にカラー及び白黒表示する方法で、すでに数年前から実用化されている技術です。もうひとつの方法は、人為的に圧力を加えるのではなく、Acoustic Radiation Force Impulse(以下 ARFI)とよばる、組織を押す力のある超音波パルスを発振する方法です。この方法を用い組織を動かすことにより生じる現象を超音診断装置で捉え、画像化及び定量化が可能です。

36-L5 GEの超音波診断装置における最新技術

山本 幸弘

GEヘルスケア・ジャパン株式会社 カーディアック超音波販売本部

 心エコーの世界に4Dエコーが登場して以来、今日まで様々な改良がなされてまいりました。近年、弊社より更なる技術革新がなされシングルビートでの4Dエコーが可能となりエコー検査にさらなる可能性が広がりました。本編ではデジタルビームフォマーから「ボリュームビームフォーマー」へ進化した最新の超音波技術をご紹介させていただきます。

36-L6 ハイエンドコンパクト装置における新技術

池嶋 弘晃

株式会社フィリプスエレクトロニクスジャパン ヘルスケア事業部

 弊社のハイエンド装置で用いられているピュアウェーブ(単結晶)トランスジューサ技術や、ワンボタンで画像を最適化するiScan技術、Native Dataに基づく組織トラッキング解析機能等(Qlab)を搭載したポータブル小型高性能超音波装置を紹介する。

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特別講演

座長: 中谷 敏 (大阪大学医学部 保健学)

36-S1 超音波検査における医師と技師:専門性とは

別府 慎太郎

大阪船員保険病院

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スポンサーセッション

36-S2 ストレスとエコー

石蔵 文信

大阪大学医学部 保健学

 医療崩壊がすすみ、医療現場ではモンスターペイシャントまで登場して、我々医療従事者のストレスは増すばかりである。その中でも、超音波医学は非侵襲的で、比較的患者さんに受け入れられてきた検査であったが、それでも最近では接遇問題も浮上してきている。ストレスが増してきた医療環境で、検査を受ける側も、検査をする側も色々と影響を受けているに違いない。このセッションではストレスがエコーに与える影響や医療従事者のストレスについて考えてみたい。

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サテライトセッション

36-S3

ポータブルエコーが変える医療現場

座長: 大橋 一友 (大阪大学医学部 保健学)

ICU・救急現場でのポータブルエコーの可能性 

伊達 基郎

桜橋渡辺病院 循環器内科

 心エコーはCT, MRI等と比べて移動可能であることや、リアルタイムで評価できる画像診断装置であるというアドバンテージが元来備わっています。しかし通常のエコー機器は移動可能といえども狭い病室には大きすぎ、一刻を争う救急の現場ではかならずしも十分な役割を果たせていませんでした。ポータブルエコーはこの機動性を極限までに高めた機器であり、救急医療の現場では非常に有効なツールといえます。ポータブルエコーの使用例として、本会では救急あるいはICU/CCUにおけるショックのトリアージだけでなく、表在血管用プローブを用いた動脈や中心静脈、末梢静脈へのエコーガイド血管穿刺についてもご紹介します。

産婦人科領域でのポータブルエコーの可能性 

千葉 喜英

Women's Clinic千葉産婦人科

 産婦人科での超音波装置が必要とされる場面は多く存在する。制限を感じるのは、装置が比較的大型であることと、使用する従事者に漠然と制限があるからに過ぎない。画像デジタル技術と小型バッテリーの開発は、画像音響装置のこれまでの常識を変えてしまった。iPodの音源でスタジオモニタなみの音響が可能である。良質の画像のポータブル装置があり、看護師・助産師に超音波装置を使う場面を与えれば、産婦人科へ貢献はさらに発展が可能である。妊娠16週では、医療の介入が要求されるほとんどの胎児病は見つかる。発育診断は、子宮内環境の悪化の予測を行い、分娩の進行の科学的記述も出来る。さらに、胎児の姿を、家族と共有することにより、患者教育にも良い影響を与える。

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講習会: 他領域に挑戦しよう

講習会1

座長: 中井 祐一郎 (大阪市立大学医学部 産婦人科)

泌尿器科領域の基礎知識と疾患発見のコツ

沖原 宏治

京都府立医科大学 泌尿器外科学

 腹部超音波検査で泌尿器領域の検索が必要な代表的な臓器は膀胱と前立腺である。受診者の検査を行う際に、超音波画像から確実に診断可能な事項と、他の検査結果を総合的に判定して、診断をしなければならない事項の理解が必要となる。本講習会では、実際に検査をしながら、受診者が質問してくる内容を想定したうえで、各下部尿路疾患の基本的な診断項目を紹介し、近年泌尿器科領域で注目されている、新しい超音波診断法も紹介したいと思う。

講習会2

座長: 鍋島 紀滋(近畿大学医学部 奈良病院 消化器科) 

壁運動異常診断の基礎知識と診断のコツ

高木 力

高木循環器科診療所

 壁運動異常の診断は虚血性心疾患の診断や予後判定を行う際の基本である。心エコー図検査での左室壁運動評価は目視による主観的評価を行っている。そのため、検者間、施設間で評価がばらつく可能性がある。しかし、半定量的評価のトレーニングにより検者間、施設間の評価のばらつきを小さくなることが報告されている。

 半定量的壁運動評価を行う際には、心内膜面の移動のみを評価するのではなく、壁厚増大の程度を評価することが重要である。できれば壁運動の時相も評価する。壁運動評価を行う際には、左室を16ないし17分画に分割し、それぞれの分画ごとに壁運動を評価する。しかし、対側の壁運動との比較も重要である。本講習では壁運動異常診断の基礎とコツについて、実際のケースを提示しながら説明する予定である。

講習会3

座長: 諏訪 道博 (北摂総合病院 循環器科)

麻酔科領域の基礎知識

中本 達夫

大阪市立住吉市民病院 麻酔科・大阪市立北市民病院 ペインクリニック科

 以前は、麻酔科領域における超音波診断装置の使用は非常に限られており、心臓麻酔における経食道心エコーが唯一といってよかった。麻酔科医にとって、当時巨大なカート型超音波診断装置を手術室から手術室へと移動させるなど到底考えられなかった。その後、中心静脈路の確保に伴う重篤な合併症を予防する手段としての超音波ガイド下法の有用性が示され、携帯型超音波診断装置の登場に伴い、それまで成功率や合併症の問題から麻酔科医には敬遠されがちであった神経ブロックが、安全で安心な手技として見直されてきた。近年では、周術期の抗凝固療法を実施する患者の増加に伴い、超音波ガイド下神経ブロックは、麻酔科領域における一大ブームとなっている。また、ペインクリニック領域でも同様に、放射線透視下で行われていた神経ブロックが超音波ガイド下に移行しつつある。これらの、麻酔・ペインクリニック領域の超音波の使用について神経ブロックを中心に解説したい。

講習会4

座長: 田内 潤 (大阪労災病院 循環器内科)

肝腫瘍診断の基礎知識と発見のコツ

南 康範

近畿大学医学部 堺病院 消化器内科

 超音波診断において病変を見落とさないポイントとして、@すべての臓器を原則として2方向以上からスキャンする、A一連の流れでスキャンする、B全体を念頭においた観察を心がけ、病変部に集中して犯しがちな安易な見逃しを予防する、などが挙げられます。また、描出された画像を理解するには立体的な解剖学の理解が必要ですが、最初は特定の断面像のパターンとして覚えると上達が早いでしょう。説得力のある画像の描出には丁寧な記録を心がけ、計測臓器の基準値(正常値)も覚えていると便利です。特に肝臓は呼吸性移動するため、撮像に当たって呼吸を導く必要があります。そして、肝左葉の観察には心窩部横走査と縦走査、右葉では右肋弓下走査と肋間走査の2方向からの観察が基本です。肝内は門脈枝が栄養する領域により区画され、その領域の境界に肝静脈が走行しています。腫瘤の局在を把握するには、肝静脈や門脈の走行を理解することが必要です。

講習会5

座長: 大江 宏 (学研都市病院 泌尿器科)

産婦人科領域の基礎知識と疾患発見のコツ

神崎 徹

神崎レディースクリニック

 婦人科以外の領域の皆さんは、上腹部を見たついでにそのまま下腹部を観察し、そして見てしまった限りは異常を見逃すわけにもいかず、一抹の不安を抱えながら患者さんに接しておられるのではないでしょうか。そのような不安は婦人科医にもありましたが、経膣の超音波断層装置の登場により、正常の子宮、卵巣を確認することができるようになり不安はほぼ解消しました。経膣超音波で得られた知見を基に、経腹超音波をする際の注意点について解説したいと思います。

講習会6

座長: 田中 幸子 (大阪府立成人病センター 検診部)

乳腺疾患診断の基礎知識と発見のコツ

藤本 泰久

尼崎厚生会 立花病院 乳腺内分泌外科

 分解能がより高い高周波探触子を使用することが出来る乳腺疾患の超音波診断において、何が求められるかといえば、乳房内にある腫瘤像の良性悪性の診断のみならず、その組織型を推定することであります。一般の浸潤性乳管癌は3つの組織亜型があり、その進展様式や予後が異なり、超音波組織特性を見ることによりその組織亜型を推定することは、臨床状非常に重要となります。乳腺疾患診断においては、腫瘤像の後方エコーの変化をみることは、腫瘤内の超音波減衰の程度をみることであり、また腫瘤内部で見られるスペックルやハローの出現は後方散乱によるものであり、腫瘤がどのような組織でできているかを超音波画像がどのように作られているかをその理論を示めしたうえで説明します。

講習会7

座長: 赤土 正洋(しゃくど循環器・内科)

整形外科領域の基礎知識と疾患発見のコツ

瀬本 喜啓

財団法人近江愛隣園 今津病院 整形外科

 整形外科の診断の中心的な役割を占めるX線撮影は、骨折そのものを疑うときはもちろんであるが、骨折を否定するために撮られることも少なくない。しかし、骨折の否定は可能であっても、軟部組織の疾患や外傷を直接X線画像から判断できることはまれである。このようなとき、超音波診断法は、肩関節や乳幼児の股関節を始めとして、腱の脱臼や断裂、靭帯損傷、手根管症候群などの絞扼症候群、腱鞘炎、骨端症、リウマチなどの炎症性疾患、化膿性関節炎、軟部腫瘍などの診断に大きな役割を持つようになった。技術の目覚ましい進歩により、現在では白衣のポケットに入るような診断装置も市販されている。今後は、外来診療のみならず、サッカーやマラソン会場、またスキー場などでの外傷の診断、野球肘などの少年スポーツの検診など現在の医療体系から離れた場所や状況での超音波診断の使用が増えるものと思われる。

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一般演題

肝臓: 造影1

座長: 今井 康陽 (市立池田病院 消化器科)

山中 潤一 (兵庫医科大学 外科学 肝胆膵外科)

36-1 Sonazoid造影超音波検査およびEOB-MRIが診断に有用であった限局性結節性過形成(FNH)の一例

土本 雄亮1, 今井 康陽1, 小来田 幸世1, 澤井 良之1, 井倉 技1, 福田 和人1, 黒川 正典1, 関 康2, 宇戸 朋之2, 高村 学2

1市立池田病院 消化器科, 2同 放射線科

 FNHは確定診断が困難なことが多い。今回我々は造影CTによって肝細胞癌が疑われたが、Sonazoid造影超音波検査とEOB-MRIにてFNHと診断した一例を経験したので報告する。症例は68歳、女性で非定型抗酸菌症にて他院入院中にスクリーニング目的にて造影CTを施行され、肝S8に早期濃染する腫瘤を認め、当院を紹介受診。血液検査では、ウイルス・腫瘍マーカーに異常なく、超音波検査上、肝S8に辺縁不整なlow echoic noduleを認めた。Sonazoid造影超音波検査を施行し、Vascular phaseにて結節の中心部から辺縁へ車軸状の濃染及び血管構築を認め、Kupffer phaseにて結節全体は等エコーを示した。EOB-MRIではT1、T2強調画像では指摘しえず、動脈相で濃染され、平衡相、肝細胞相で肝実質と等信号を示した。以上よりFNHと診断した。Sonazoid造影超音波検査は血流およびKupffer細胞機能を評価できFNH診断の第一選択になり、EOB-MRIを併せると診断は確実になると考えられた。

36-2 ソナゾイド造影超音波を施行した血管筋脂肪腫の一切除例

竹田 治彦1, 松尾 裕央1, 斎藤 澄夫1, 西川 浩樹1, 喜多 竜一1, 岡部 純弘1, 木村 達1, 大崎 往夫1, 谷口 敏勝2

1大阪赤十字病院 消化器科, 2同 超音波検査部

 症例は51歳女性。健診の腹部USで肝SOLを指摘され,精査加療目的に当科紹介となった。HBs抗原,HCV抗体共に陰性,AFP, PIVKAIIは正常範囲内.S3,2.2cmの結節はdynamic CT早期相で濃染し,後期相で淡い低吸収,EOB造影MRI肝細胞相で低信号を呈し,肝細胞癌と考えて矛盾しなかった.BモードUSでは、高エコー領域を内包する境界明瞭な淡い低エコー結節で,ドプラで内部に拍動性血流シグナルを認めた.東芝Aplio50を用いたソナゾイド造影USでは,血管相早期より結節全体が強く染影し,造影2分後まで染影が遷延し,Kupffer相では染影欠損を呈した.排血路が肝静脈と判明した腹部血管造影所見と合わせ多血性良性腫瘍の可能性が示唆されたが,本人の強い希望で腹腔鏡下肝外側区域切除術が施行された。病理学的検索では脂肪成分の乏しい血管筋脂肪腫であった。本症例の造影US像を供覧し,若干の文献的考察を加えて報告する。

36-3 CREST症候群による肝腫瘤性病変の一例

吉田 あゆみ1, 巽 信之2, 市村 寧子1, 大石 玲子1, 笹木 優賢1, 山田 陽子1, 杉田 宗治1, 井上 太2, 金子 晃2, 久保 光彦2

1NTT西日本大阪病院 臨床検査科, 2同 消化器内科

 症例は70歳、女性。CREST症候群の外来follow中、H20年9月にスクリーニングで行われた腹部エコーにて、肝右葉に2cm以下の集簇する多発SOLを認めた。GFS, CFSによる消化管の検索を行うも悪性腫瘍は認めず。造影超音波、造影CT、造影MRI等にて精査するも、原因不明の乏血性腫瘤であり、診断がつかず、腹部エコーにて経過観察するも増大傾向は認めなかった。原因精査のためH21年6月に肝生検を施行。組織所見は壊死組織が主体であり。血管内腔の狭小化を伴うことから、CREST症候群の血管炎に伴う虚血性変化と推察された。CREST症候群における肝病変は、原発性胆汁性肝硬変がよく知られているが、血管炎の壊死性変化による腫瘤性病変の報告は稀であり、貴重な症例と考えられたため報告する。

36-4 Sonazoidを用いた慢性肝疾患の肝実質と脾実質の輝度比(LS比)の検討

山平 正浩1, 田中 弘教1,2, 吉田 昌弘1, 東浦 晶子1, 柴田 陽子1, 橋本 眞里子1, 辻村 亨3, 廣田 誠一4, 西口 修平1,2, 飯島 尋子1,2

1兵庫医科大学病院 超音波センター, 2同 肝胆膵内科, 3同 病理学, 4同 病院病理部

 【目的】Sonazoidを用いた慢性肝疾患の肝実質相(Kupffer相)での肝実質と脾実質の輝度比(L/S比)が病期の進展と相関するかを検討した。【方法】健常成人45例、C型慢性肝疾患で血小板数10万個/μl以上(A群)38例、血小板数10万個/μl未満(B群)34例を対象とした。東芝AplioXGを用いて、Sonazoid0.0075ml/Kgを投与し、20分後の肝実質、脾実質の輝度解析し、L/S比を検討した。(当院倫理委員会承認済み)【結果】L/S比の平均は、健常成人群で0.68、A群で−0.85、B群で−5.76となった。B群がA群、健常成人群と比べて有意に低値であり、A群が健常成人群と比べて低値の傾向があった。【結語】慢性肝疾患の病期が進行すると肝実質の染影が低下し、脾実質の染影は上昇傾向にある。よってL/S比を検討する事で慢性肝疾患の進行度を推測できる可能性がある。

36-5 Sonazoid Kupfferイメージを用いたlow MIとhigh MIによる肝細胞癌診断の試み

東浦 晶子1, 田中 弘教1,2, 山平 正浩1, 吉田 昌弘1, 柴田 陽子1, 橋本 眞里子1, 藤元 治朗3, 廣田 誠一4, 西口 修平2, 飯島 尋子1,2

1兵庫医科大学病院 超音波センター, 2同 内科 肝胆膵科, 3同 肝胆膵外科, 4同 病院病理部

 〔目的〕肝細胞癌(HCC)においてSonazoidのKupfferイメージでlow MIとhigh MIによる染影程度の検討を行い,有用性を検討した.〔対象〕HCC 35例41結節,平均年齢67歳.[方法〕東芝Aplirio XGを使用し,low MI(音圧2-4%)10-15fpsとhighMI(音圧100%)2fpsにより以下の事項について検討した.腫瘍のB modeを検討した.Sonazoid 0.0075ml/kgを投与し,15-40分後のKupffer相にて腫瘍の染影を周囲肝の染影と比較し,low MIは,高輝度,等輝度,低輝度及び染影なし,ADFでも同様に分類しそれぞれを比較検討した.〔結果〕B modeで高エコー18結節,等エコー6結節,低エコー11結節,mosaic 6結節であった. Kupffer相Low MIでiso症例12例中high MIでは部分染影低下になる症例が8例あった.うちBモードで高エコーの症例が7例,モザイク1例であった. [まとめ]高エコーのHCCはlow MIで等輝度でもhigh MIでの検討が必要である.

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肝臓: 造影2

座長: 田中 弘教 (兵庫医科大学 超音波センター)

三栖 弘三(大阪府立成人病センター 臨床検査科)

36-6 胆管過誤腫に合併した大腸癌肝転移に対してソナゾイドによる術中超音波検査が有用であった1例

北東 大督1, 高 済峯1, 中村 信治1, 中出 裕士1, 丸上 永晃2, 山下 奈美子2, 吉田 美鈴2, 平井 都始子2, 中島 祥介1

1奈良県立医科大学 消化器・総合外科学, 2同 中央超音波検査室

 症例は66歳女性。胆管過誤腫のため肝内に無数の嚢胞が存在した。上行結腸癌の転移検索のEOB造影MRIにて肝S3に2cm大、S4に1cm大の大腸癌転移を指摘された。肝内に多発する胆管過誤腫のため造影CTとBモード超音波検査では肝転移巣の同定は困難であったが、ソナゾイド造影超音波検査ではKuppfer imageで肝転移巣が明瞭に描出された。このため、肝切除の術中超音波検査時にソナゾイド造影を行なった。東芝メディカルシステムズ社製のXarioXGの術中超音波プローブを用いた。肝表面よりのBモード検査では転移巣は不明瞭であったが、ソナゾイド造影のKuppfer imageにてS3、S4の肝転移巣はlow echoic legionとして明瞭に描出され正確なマーキングに非常に有用であった。胆管過誤腫に合併した肝転移という特殊病態下の肝切除においてソナゾイド造影術中超音波は非常に有用であった。

36-7 ソナゾイドを用いた造影超音波検査が診断に有用であった限局性結節性過形成の1例

森 良幸, 玉井 秀幸, 新垣 直樹, 森畠 康策, 井口 幹崇, 柳岡 公彦, 岡 政志, 一瀬 雅夫 

和歌山県立医科大学 第二内科

 症例は70歳、男性。2002年よりC型肝硬変にて近医に通院していた。2008年7月超音波検査、MRI 検査で肝S8に6cm大の腫瘍を認め、肝腫瘍精査目的で当科を受診した。造影CTでは、動脈相および門脈相で周囲と同等に造影され、平衡相ではわずかに欠損を認めた。また、GdEOBを用いた造影MRI検査では、各相で周囲肝とほぼ同等に造影され、肝細胞相でも周囲肝との造影効果は明かでなく、拡散強調画像でも高信号化を認めなかった。以上の検査では確定診断が困難であったため、ソナゾイドを用いた造影超音波検査を施行し、Micro Flow Imagingで明瞭な車軸状血管構築を認め、FNHと確定診断した。造影CTやMRI検査だけでは、FNHの診断が困難な場合がある。ソナゾイドを用いた造影超音波検査ではMFIでFNHに特徴とされる車軸状血管構築を確認することができ、FNHの診断に有用であると考えられる。

36-8 非B非C肝腫瘍に対するソナゾイド造影超音波検査での経過観察

浅井 奎子1, 大森 崇宏1, 馬場 昭好1, 福西 新弥2,4, 細川 了平3

1医療法人社団 石鎚会 田辺中央病院 臨床検査科, 2同 肝臓外来, 3同 内科, 4大阪医科大学附属病院 消化器内科

 (はじめに)非B非C型肝腫瘍においてソナゾイド造影にて経過観察を行い、診断に有用であった症例を経験したので報告する。(症例)81歳男性 既往歴)HT(+) DM(-) 機会飲酒   HCV(-) HBs-Ag(-)(現病歴)肝胆道系酵素上昇(腹部造影CT)全肝に動脈相にて多発性の結節状濃染あるも門脈層、静脈層で等濃度を呈しHCC非典型像であったため腹部造影エコー施行となった。(腹部エコー)CLDパターン FL(-) 5-10mm大の結節が散在(造影エコー)動脈相defect(-)後期相defect(+)(1ヶ月後造影エコー)動脈相濃染(+)後期相defect(+)クッパー層defect(+)以上より肝細胞癌と診断した。(考察)造影エコーは肝細胞癌の診断に有用であり、経過観察を行うことでより確実な診断が可能であった。 (結語)近年増加傾向にある非B非C型肝細胞癌の診断にソナゾイド造影超音波検査が有用であった。

36-9 ソナゾイド造影USを追加焼灼に応用したHCCの治療経験(第2報)

菅野 雅彦1, 松野 たか子1, 井戸 聖華1, 中島 英信2, 大須賀 達也2, 小川 浩史2, 品川 秋秀2, 桑田 智3, 東 光昭3, 中山 喬資3

1すがの内科クリニック 内科・消化器科, 2高槻病院 消化器内科, 3同 放射線科

 【目的】RFA治療直後の効果判定にソナゾイド造影を繰り返し、不十分な場合は追加焼灼を行った成績を報告。【対象と方法】高槻病院にて08年1月〜09年6月に造影US(日立EUB7500)併用RFAを行った46例。直前造影後RFAと造影を交互に繰り返し完全焼灼を試みている。【結果】46例62結節をRFA治療(計50セッション;開腹下:1, 転移性肝癌:1)。終了時のviable lesionは追加焼灼(26結節)、局所再発は2例のみ。若年者のNBNC肝炎に発症のHCCも1例経験。【症例】45歳男性、胆嚢polyp指摘にて09年4月受診。US上S7:6mmの血管腫を疑われるもCT上病変なし。本人も納得できずEOB-MRI施行しHCCと診断。5月造影USにて早期に軽度濃染するも染まり残る所見で高分化肝癌を疑い生検、直後にRFA。直後の造影で残存病変なく、組織はWell HCC。【結語】RFA施行時に繰り返しソナゾイド造影をすることにより、時間はやや長く要するが、治療効果の向上と局所再発率の低下が期待できる。

36-10 Sonazoid造影超音波検査の臨床検査値に及ぼす影響

橋本 眞里子1, 田中 弘教1,2, 東浦 晶子1, 柴田 陽子1, 西村 純子1, 松永 桃子1, 山平 正浩1, 吉田 昌弘1, 西口 修平2, 飯島 尋子1,2

1兵庫医科大学 超音波センター, 2同 肝胆膵内科

 【目的】2007年1月から2009年6月までにSonazoid造影超音波検査(CEUS)を施行し投与前と投与後3日以内に検査値が検討できた152例に対し,投与前後の自覚症状および臨床検査値を比較し,超音波造影剤が検査値に及ぼす影響について検討した.【方法】CEUS前後で血液生化学検査(AST,ALT,LDH,γ-GTP,BUN,CRN,CRP,血糖値)および血液学的検査(白血球,赤血球,血小板,好酸球)の比較検討を行った.検査値の異常変動値設定基準は日本化学療法学会の副作用判定基準を指標とした.自覚症状については,検査終了時と検査後の受診時問診により行った.【結果・考察】CEUSにおける検査値では血糖値1/47(2%),白血球数2/92(2%)で基準値から異常値へ変動した.自覚症状では注入部違和感1/100(1%),投与後の下痢1/100(1%)を認めた.異常変動を示した症例については造影検査前後3ヶ月の時系列より造影剤の影響よりむしろ原疾患による変動と考えた.【結語】Sonazoid CEUSは安全な検査方法である.

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肝臓: 新手法 

座長: 川崎 靖子 (大阪市立総合医療センター 肝臓内科)

是枝 ちづ (関西医科大学 消化器肝臓内科)

36-11 非アルコール性脂肪肝炎(NASH)に対するピタバスタチンの改善作用 -ラットモデルにおける検討-

吉本 直喜1, 山平 正浩1, 吉田 昌弘1, 東浦 晶子1, 柴田 陽子1, 橋本 眞理子1, 西口 修平2, 赤尾 憲二3, 田中 弘教1,2, 飯島 尋子1,2

1兵庫医科大学 超音波センター, 2同 内科・肝胆膵内科, 3東芝メディカルシステムズ株式会社

 【目的】非アルコール性脂肪肝炎(MCDモデル)に、ピタバスタチンを投与しSonazoidの投与肝実質染影輝度によりその有用性を評価した。【方法】MCDモデルに、ピタバスタチン水溶液を8週間投与し投与前後とコントロールラットの肝実質染影輝度を比較し有用性を検討した。【結果】非投与群の肝実質輝度は-16.4±4.4dBであった。ピタバスタチン投与後4週で、0.5mg投与群-12±4dB, 2.0mg投与群-9.8±2.8dBであり、非投与群に比べ、有意に高輝度であった(P<0.05)。【考察】MCD NASH モデルでは、肉眼所見およびBモードで脂肪肝が改善、さらに肝実質染影が改善した。SonazoidがKupffer細胞に貪食されることからPitavastatin投与により貪食機能が改善した結果と考えられた。【結語】Pitavastatinは、NASH治療に有用である可能性がある。

36-12 肝線維化診断におけるAcoustic Radiation Force Impulse (ARFI)の有用性

吉田 昌弘1, 田中 弘教1,2, 山平 正浩1, 東浦 晶子1, 柴田 陽子1, 橋本 眞里子1, 平山 秀男3, 廣田 誠一4, 西口 修平2, 飯島 尋子1,2

1兵庫医科大学 超音波センター, 2同 内科・肝胆膵科, 3持田シーメンスメディカルシステム株式会社 マーケティング部, 4兵庫医科大学 病院病理部

 【目的】2008年よりBモード画像を参照しながら、任意の部位について組織の硬度が測定できる Acoustic Radiation Force Impulse(ARFI)が使用可能となった。今回、ARFIによる慢性性肝疾患の線維化診断の検討を行ったので報告する。【対象・方法】2008年10月から2009年4月までの間に当院でARFIを施行した、組織所見と対比し得た慢性肝炎および肝硬変228例(F0 13例、F1 63例、F2 55例、F3 45例、F4 52例)と正常ボランティア10例を対象とした。使用機種は持田シーメンス社のACUSON S2000を使用した。(当院倫理委員会承認済み)【結果】線維化グレードのVs値(m/s)はF0 1.17±0.19、F1 1.26±0.23、F2 1.42±0.38、F3 1.62±0.52、F4 2.31±0.65であった。Vs値(m/s)はF3とF4の間には有意差が認められた(P <0.001)。【結語】ARFIは肝線維化の評価に有用な非侵襲的な検査法である。

36-13 肝腫瘍性病変におけるAcoustic Radiation Force Impulse (ARFI)の検討

吉田 昌弘1, 田中 弘教1,2, 山平 正浩1, 東浦 晶子1, 柴田 陽子1, 橋本 眞里子1, 斎藤 雅博3, 藤元 治朗4, 西口 修平2, 飯島 尋子1,2

1兵庫医科大学 超音波センター, 2同 内科・肝胆膵科, 3持田シーメンスメディカルシステム株式会社 マーケティング部, 4兵庫医科大学 肝胆膵外科

 【目的】2008年よりBモード画像を参照しながら、任意の部位について組織の硬度が測定できる Acoustic Radiation Force Impulse(ARFI)が使用可能となった。今回、肝腫瘍性病変を対象とし、ARFIによる肝腫瘍の硬度を検討した。【対象・方法】AFRIを施行した肝腫瘍性病変 16例(肝細胞癌 8例、肝血管腫 5例、転移性肝腫瘍 3例)を対象とした。使用機種は持田シーメンス社のACUSON S2000を使用した。(当院倫理委員会承認済み)【結果】肝腫瘍性病変のそれぞれの腫瘍部と非腫瘍部のVs値(m/s)は肝細胞癌1.21±0.31、1.66±0.47、肝血管腫1.08±0.16、1.2±0.07、転移性肝腫瘍3.99±0.67、1.09±0.09であり、Vs値は肝細胞癌と肝血管腫は周囲肝より低く(やわらかく)、転移性肝腫瘍では高い(硬い)傾向を認めた。【結語】ARFI測定値は肝腫瘍性病変の硬度の評価に使用できる可能性が示唆される。

36-14 慢性肝疾患の線維化診断における肝生検組織所見とARFIの乖離例の検討

吉田 昌弘1, 田中 弘教1,2, 橋本 眞里子1, 柴田 陽子1, 西村 純子1, 松永 桃子1, 吉本 直喜1, 廣田 誠一3, 西口 修平2, 飯島 尋子1,2

1兵庫医科大学 超音波センター, 2同 内科・肝胆膵科, 3同 病院病理部

 【目的】当科では、慢性肝疾患のARFI測定値(Vs)はF0〜F2 1.0〜1.5、F3 1.2〜1.7、F4 1.7〜2.5(m/s)と推定している。その値と組織所見との乖離例について検討した。【対象方法】2008年10月から2009年4月にARFIを施行し、組織所見と対比できた慢性肝疾患症例207例中乖離例10例(4.8%)を対象とした。(当院倫理委員会承認済み)【結果】F1からF3にも関わらず、Vs値が2.0以上と高値を示した7例は、肝機能検査および各種画像検査上は肝硬変としても矛盾しないと考えられる症例が4例(1.9%)認めた。その他の3症例は、ALT100以上の高値例が2例、原因不明1例であった。一方F3からF4にも関わらず、Vs値が1.4未満と低値を示した3例はAHI1例、高度脂肪肝1例、原因不明1例であった。【考察】ARFI計測に影響を与える因子には肝組織の炎症や高度脂肪沈着などが考えられたが、針生検による組織診断のバイアスなども考えられた。

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循環器: 先天性

座長: 谷 知子 (神戸市立医療センター中央市民病院 循環器内科)

浅岡 伸光 (宝塚市立病院 中央検査室)

36-15 心室中隔膜様部瘤に高度大動脈弁逆流を合併した一症例

物部 真子1, 柏瀬 一路2, 高田 美紀1, 守安 謙志1, 北出 和史1, 前田 匡1, 森 宏樹1, 有田 勝1, 白樫 勝亮1, 辻本 正彦1

1大阪警察病院 臨床検査科, 2同 循環器科

 〔症例〕 42歳女性 〔既往歴〕 幼少期より心雑音指摘。20歳時心カテーテル検査にてVSDと診断される。(詳細不明)〔現病歴〕 労作時動悸、息切れ自覚し近医受診。聴診上心雑音聴取し当院心臓センター紹介となる。〔身体所見〕 胸骨第二肋間左縁を最強点とするLevinX/Yの拡張期雑音を聴取。心エコー検査では、左室は拡大(LVd60/44mm)し壁運動は全周性に低下(EF=50%)心室中隔基部(膜様部)に13×12mmの瘤を認めた。大動脈弁輪は著明に拡大しRCC先端部を中心に高度ARが出現、膜様部瘤に吹き付けていた。VSDは認めなかった。後日、心室中隔膜様部瘤切除閉鎖+Bentall術施行。術中所見では、切除した大動脈弁は肥厚し一部穿孔していた。〔まとめ〕 心室中隔膜様部瘤に高度大動脈弁逆流を合併した症例を経験した。非常に大きな心雑音を聴取し、心室中隔膜様部に吹き付ける高度ARが原因と考えられた。

36-16 右室二腔症様の血行動態を呈した高齢者VSDの1例

米田 智也1, 土井 孝浩1, 佐藤 洋1, 堀 友美1, 池田 義2, 坂田 隆造2

1京都大学医学部附属病院 検査部, 2同 心臓血管外科

 <症例>76歳女性。出生時よりVSDを指摘されるも自覚症状なく近医で経過観察されていた。本年1月より心不全にて入退院を繰り返し、4月に精査加療目的で本院へ転院。UCGで心室中隔膜様部にVSD,右室内にモザイク血流を認めたため心カテを施行したところ右室内にて45mmHgの圧較差が検出,VSD,LCXに90%狭窄を認めた。再度UCGを施行すると右室は流入路側と流出路側に二分される様に観察され二腔間に68mmHgの圧較差が検出された。右室二腔症,VSD,冠動脈狭窄症に対して手術施行となった。右室流出路は内膜が全周性に肥厚し内腔の狭小化を認めたが異常筋束は明らかではなかった。<まとめ>高齢者の右室二腔症は稀な疾患であるが、VSD合併例が多く、年齢とともに進行性であり、小児期に無症状なものが中年期に至り発症することがある。本症例もVSD合併の右室二腔症と考えたが、手術所見からVSDの二次的要因にて右室二腔症様の血行動態を来したものと考えられた。

36-17 冠動脈・冠静脈洞瘻に感染性心内膜炎および細菌性脳動脈瘤を合併した一例

藤井 紀代1, 阿部 幸雄2, 三田 優美1, 奥 加奈子1, 榊原 弘光1, 中村 春己1, 中村 理恵子1, 元林 昭1, 成子 隆彦2, 伊藤 彰2

1大阪市立総合医療センター 生理検査部, 2同 循環器内科

 57歳女性で,発熱と頭痛を主訴に他院を受診した.脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血と診断され,当院へ転入院した.経胸壁心エコー図検査では右冠動脈が拡大していた.また,大動脈弁に付着する疣贅が認められ感染性心内膜炎と診断し,脳動脈瘤についても細菌性であることを疑った.造影CTおよび経食道心エコー図検査によって,右冠動脈が著明に拡大・蛇行し,末梢で冠静脈洞に開口,その開口部にも疣贅があることが診断できた.まず抗生剤治療を行い,後日,残存脳動脈瘤に対する手術を施行した.脳動脈瘤の組織は細菌性に矛盾しない所見だった.心臓カテーテル検査で計測したQp/Qsが1.7だったが,症状や心筋虚血所見がなく,明らかな心負荷所見もなく大動脈弁破壊所見も軽度であったことから外来で経過観察することにした.冠動脈・冠静脈洞瘻に大動脈弁疣贅を伴う感染性心内膜炎と細菌性脳動脈瘤を伴った点から,稀な症例と考え報告する.

36-18 心エコー図にて診断しえた先天性右冠動脈左室瘻の一例

細野 亜希子1, 池田 裕美子1, 関家 季実子1, 松之舎 教子1, 上田 政一1, 林 祐作2, 堀江 誠2, 小山 靖史2, 岩倉 克臣3

1桜橋渡辺病院 検査科, 2同 放射線科, 3同 心臓血管センター循環器内科

 症例は65歳の女性。従来胸痛などの明らかな症状は認めていなかったが、検診にて右第2弓の突出を伴う心拡大を指摘され当院へ紹介となる。理学所見では拡張期雑音Levine V/Wを聴取するが、心電図では1°房室ブロックを呈する以外異常所見を認めなかった。心エコーにて左室の拡大、下壁の壁運動低下と共に、右冠動脈起始部の著明な拡張および右室前面に最大径55mmの瘤状構造物が描出された。またドプラエコーでは、僧帽弁直下の左室下壁領域に拡張期に流入する血流の存在を認めた。左室傍胸骨短軸像を各レベルで追跡していくことにより、右冠動脈が蛇行しながら右室前面にて巨大瘤を形成し、左室に開口していることが判明し、先天性右冠動脈左室瘻と診断した。CTAにても同様の構造を認め、診断は確定した。先天性冠動脈瘻は右心系に開口することが多く、左室へ開口する例は稀である。本症例では心エコーから稀有な症例を診断することが可能であった。

36-19 Unroofed coronary sinusの1例

山野 愛美1, 三宅 仁2, 縄田 隆三2, 太田 光彦2, 前西 文秋1, 堀川 里紀1, 榊原 由希1, 登尾 薫1, 殿畑 友恵1, 砂川 香織1

1西神戸医療センター 臨床検査技術部, 2同 循環器科

 症例は44歳、女性。3年前に肺サルコイドーシスと診断され、当院で経過観察されていた。心病変除外のため循環器科紹介となり、経胸壁心エコー図検査を行った。明らかな心サルコイドーシスの所見は認められなかったが、冠静脈洞の拡大があり、冠静脈洞開口部付近と左房との間に欠損孔を認めた。また、カラードプラにて収縮期、拡張期ともに冠静脈洞を介した左右シャントが観察された。コントラストエコーにより左上大静脈遺残は否定され、unroofed coronary sinusと考えた。右心系の拡大はなく、Qp/Qs=1.1と手術適応ではないため、今後も経過観察となった。冠静脈洞の拡大をきたす症候群の中で、unroofed coronary sinusは比較的稀な症例であるが、欠損孔や短絡血流などを詳細に観察することにより、経胸壁心エコー図検査での鑑別診断が可能であると考える。

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循環器: 弁膜症

座長: 穂積 健之 (大阪市立大学医学部 循環器内科)

山口 仁史 (大阪労災病院 循環器内科)

36-20 安静時呼吸困難を契機に発見された大動脈一尖弁に対しBentall手術を施行した一症例

太田 光彦1, 三宅 仁1, 松木 核1, 川戸 充徳1, 縄田 隆三1, 永澤 浩志1, 山野 愛美2, 登尾 薫2, 堀川 里紀2, 前西 文秋2

1西神戸医療センター 循環器科, 2同 臨床検査技術部

 【はじめに】大動脈一尖弁はきわめて稀な先天性心奇形の一つであり, 本邦での報告例も少ない.今回我々は, 心エコー図検査で診断し得た大動脈一尖弁の一例を経験したので報告する.【症例報告】30歳, 男性. 幼小時より心雑音を指摘されていた. 2008年10月頃から労作時呼吸困難が出現し, 2009年3月から症状が増悪し, 安静時にも呼吸苦を自覚するようになったため同年4月に当院を受診した. 心エコー図検査にて, 左室のびまん性の壁運動低下と, 重症の大動脈弁狭窄・逆流症を認めた. 大動脈弁は弁尖の一部が高度な石灰化を呈し, また一部が瘤状に変化し弁穿孔の合併も疑われた.一尖弁と判断され, 弁膜症の手術目的に他院へ紹介となった.5月にBentall手術が施行され, 手術所見から大動脈一尖弁と確定診断した.【考察】大動脈一尖弁はきわめて稀で, 二尖弁と混同されることが多いが, 心エコー図検査を駆使し, 弁を詳細に観察することで診断し得ると思われる.

36-21 大動脈四尖弁の2症例

正木 豪, 西野 雅巳, 谷池 正行, 牧野 信彦, 加藤 弘康, 習田 龍, 山口 仁史, 江神 康之, 田内 潤, 山田 義夫

大阪労災病院 循環器内科

 症例:症例1は58歳男性。胸痛を主訴に来院し、経食道心エコーにて四尖弁と診断。accesory cuspの大きさは他の三尖と同様で、重度の大動脈閉鎖不全症が認められた。症例2は42歳男性。胸痛を主訴に来院し、冠動脈評価のために施行した心臓CTにて四尖弁と診断。その後経食道心エコーで観察し、accesory cuspの大きさは他の三尖と比較して小さく、中等度の大動脈閉鎖不全を認めた。大動脈四尖弁は文献上、剖検では0.008%、経胸壁心エコーでは0.013%と極めてまれな疾患とされるが、大動脈四尖弁を有する症例では、三尖弁と比較して隣接弁輪との接合面積が狭く、加齢性変化で大動脈弁輪が拡大した場合に、重度の大動脈弁閉鎖不全を生じやすいとされる。本2症例は共に中等度以上の大動脈閉鎖不全症を認めており、今後も慎重な経過観察が必要と考えられる。

36-22 中等度機能性僧帽弁逆流の心不全への関与評価に運動負荷心エコーが有用であった例

小林 裕美子1, 坂田 泰史2, 真野 敏昭2, 竹田 泰治2, 横川 純1, 松宮 護郎3, 澤 芳樹3, 中谷 敏4, 山本 一博1,2, 小室 一成2

1大阪大学医学部附属病院 超音波センター, 2大阪大学大学院 医学系研究科循環器内科学, 3同 心臓血管外科学, 4同 保健学専攻 機能診断科学講座

 機能性僧帽弁逆流(以下fMR)は、動的に変化するため、安静時検査のみでは不十分である。運動負荷心エコーを行い、fMRの病態への関与を評価しえた虚血性心筋症2例を示す。症例1:59歳男性。3枝に冠動脈治療歴のある陳旧性後下壁心筋梗塞。労作時の呼吸困難感を有す。安静時検査にて中等度のMRを認めた。運動負荷心エコーにてMRの増加に伴い、肺高血圧の増悪を認めた。症例2:61歳男性。陳旧性前壁中隔心筋梗塞。労作時呼吸困難感を有す。安静時検査では中等度のMRを認めた。運動負荷心エコーにて肺高血圧の増悪を認めたが、MRには変化を認めなかった。転帰:以上の2症例に冠動脈バイパス術、僧帽弁形成術、乳頭筋縫縮術を施行した。症例1は自覚症状の改善を認め、術後運動負荷心エコーではMRと肺高血圧の出現を認めなかった。症例2は自覚症状の改善を得られず、術後運動負荷エコーではMRを認めないも肺高血圧の出現と息切れを認めた。

36-23 心尖部肥大型心筋症に合併した感染性心内膜炎の1症例

藤 由美子1, 井上 太1, 杉田 宗治1, 大石 玲子1, 豊田 章江1, 吉田 あゆみ1, 金子 晃2, 巽 信之2, 西川 永洋3, 久保 光彦2

1NTT西日本大阪病院 臨床検査科, 2同 消化器内科, 3同 循環器科

 症例は78歳・男性、近医クリニックで高血圧、肥大型心筋症、前立腺肥大で経過観察中であった。平成20年5月末頃から全身倦怠感が続くため、6月4日に他院を紹介受診し、帰宅するも倦怠感持続。翌5日昼頃から尿失禁及びふらつきを自覚し、翌日からは応答緩慢となり家人が救急要請しようとするも本人拒否される。その後症状悪化し、9日深夜に当院救急搬送となった。UCG検査にて乳頭筋に付着する疣贅を認めた。また、血液培養では黄色ブドウ球菌が検出されたため感染性心内膜炎と診断した。閉塞性肥大型心筋症に合併する感染性心内膜炎の報告例では、病変部位が僧帽弁や大動脈弁とされている。心尖部肥大型心筋症に合併した感染性心内膜炎の報告例は稀であり、貴重な症例と考えられたため報告する。

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循環器: 新手法

座長: 泉 知里 (天理よろづ相談所病院 循環器内科)

竹本 和司 (和歌山県立医科大学 循環器内科 )

36-24 インタ−ネットを用いた遠隔配信による左室壁運動評価

水野 靖子1, 平野 豊2, 辻 裕美子2, 橋本 三紀恵2, 後藤 千鶴2, 中村 京子2, 河野 ふみえ2, 宮口 克之3, 那須 雅孝4, 松崎 正史5

1友紘会総合病院 生理検査室, 2近畿大学医学部附属病院 中央臨床検査部, 3奈良友紘会病院 臨床検査部, 4三愛病院 循環器内科, 5ソニックジャパン株式会社 CEO

 インタ−ネットを用いて遠距離施設に断層心エコー動画像を配信し、超音波検査技師間での左室壁運動評価が、どの程度一致するか検討したので報告する。

36-25 血管検査ワークフロー構築を目指して<Scan Assistantの有用性>

佐藤 洋, 米田 智也, 岩田 邦子, 堀 友美, 土井 孝浩

京都大学医学部附属病院 検査部

 【目的・方法】超音波診断装置GE社製Logiq E9に搭載されたScan assistant機能を用いて、血管超音波検査をプログラミングしてその有用性を検討した。【結果】Scan assistantは、検査手順にそって描出する部位の血管名や負荷方法を予め表示させたり、各画像で必要となる計測項目を自動選択できる。そのために画質条件設定以外のキー操作が減少した。またボタン一つで次にあらかじめプログラミングした記録条件に進んでいくことができる。これらによる長所は、検査手順の統一化、計測項目の測定漏れの防止、キー操作減少にともなう検査時間の短縮や画像描出に集中できるなどの点が挙げられた。【結語】Scan assistant機能は、的確に検査手順をプログラミングすることで血管超音波検査において有用なアプリケーションである。

36-26 簡易IMT(頚動脈内膜中膜複合体)多点自動計測ソフトの開発とその評価

松井 清明1, 中村 隆志2, 小矢 美晴3, 畑 久勝1, 西村 康司1, 大本 和由1, 駒井 和1, 郡山 由美1, 辻 和子1, 古谷 善澄1

1済生会滋賀県病院 臨床検査科, 2同 循環器科, 3神戸市立工業高等専門学校 電子工学科

 超音波装置での総頚動脈IMTの計測は動脈硬化の診断だけでなく, 生活習慣の改善のための効果や多施設での薬物療法の効果判定でIMTの経時変化が重要視されている,用手法では,0.1mm単位の計測や同一箇所での評価を行う時,検者の熟練度や超音波装置の性能に左右されるため,再現性や精度に問題があった.今回,オフライン市販ソフトより使いやすいIMTの多点自動計測ソフトを開発したので報告する.

36-27 肺血栓塞栓症と深部静脈血栓症の関係

簑輪 和士1, 浜田 一美1, 黒田 真百美1, 小畑 美佐子1, 和田 将弥2, 杉之下 与志樹2, 猪熊 哲朗2

1地方独立行政法人 神戸市民病院機構 神戸市立医療センター中央市民病院 臨床検査技術部, 2同 消化器内科

 下肢に発生する深部静脈血栓(DVT)の腸骨型・大腿型・下腿型の中で肺塞栓血栓症と最も関係が深いのは下腿型DVTと言われています。下肢の静脈血栓そのものが肺に重篤な塞栓化をきたすことは多くありませんが、下腿に発生した血栓が中枢側に進展した二次血栓は、広範性の肺塞栓血栓症の塞栓源となりうるリスクを有しています。肺血栓塞栓症を発症した症例を対象に塞栓源検索を目的に下肢静脈エコーを実施し、下肢静脈血栓の部位・範囲・性状についてレトロスペクティブに検討しました。肺血栓塞栓症と深部静脈血栓症の関係について検討したので報告します。

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循環器: 心筋症など

座長: 川合 宏哉 (神戸大学医学部 循環器内科)

坂田 泰史 (大阪大学医学部 循環器内科)

36-28 うっ血性心不全をきたした閉塞性肥大型心筋症の一例

三田 優美1, 阿部 幸雄2, 奥 加奈子1, 榊原 弘光1, 中村 春己1, 中村 理恵子1, 藤井 紀代1, 元林 昭1, 成子 隆彦2, 伊藤 彰2

1大阪市立総合医療センター 生理機能検査部, 2同 循環器内科

 症例は86歳女性で,息切れを主訴に来院した.胸部レントゲン写真で肺うっ血所見が認められたため,うっ血性心不全と診断され入院した.心エコー図検査でMaron 3型の肥大型心筋症と診断した.また,僧帽弁機構の収縮期前方運動および左室流出路狭窄が認められ,左室流出路における最大圧較差は174 mmHgと推定された.そのため,補液とβ遮断薬の内服投与を開始したところ症状が改善した.しかし,その後も左室流出路における血流速の経時的変動が大きかったため,ジソピラミドの内服投与を追加した.左室流出路における最大血流速が1.6 m/sまで改善し,前負荷軽減試験においても左室流出路狭窄が誘発されないことを確認したうえで退院とした.閉塞性肥大型心筋症に伴ううっ血性心不全ではうっ血性心不全の標準的治療と全く異なる治療が必要とされることが実証された意義深い症例と考え,報告する.

36-29 僧帽弁形成術後に発症したたこつぼ型心筋症の一例

元田 博子1, 土井 孝浩1, 佐藤 洋1, 米田 智也1, 岩田 邦子1, 堀 友美1, 辻 崇2, 坂田 隆造2

1京都大学医学部附属病院 検査部, 2同 心臓血管外科

 症例は69歳男性.重症僧帽弁閉鎖不全症に対する手術目的にて当院心臓血管外科入院.入院時心電図にST-T変化は認めず,術前の心エコー図でも左室壁運動異常は認めなかった.手術は僧帽弁後尖逸脱(P2,P3:腱索断裂)に対して僧帽弁形成術,僧帽弁輪縫縮術が行われた.術直後よりCPK(数値)上昇あり.術後2日目に心電図にてU,V,aVF,V4-6でST上昇,心エコー図ではbaseはnormal〜hyper,mid〜apexでsevere hypokinesisを呈した.心電図異常と心エコー図異常所見の部位が一致しないことから急性心筋梗塞よりむしろたこつぼ型心筋症が疑われた。直ちに心臓カテーテル検査を施行、冠動脈に有意狭窄所見は認めず,左室造影では典型的なたこつぼ型心筋症の所見であった。開心術直後に発症したたこつぼ型心筋症において、心エコー図によって診断しえた症例を経験したため報告する.

36-30 左室中部に壁運動異常を有するたこつぼ型心筋症の一例

門谷 有加里1, 宮崎 知奈美2, 武田 久輝2, 石井 英2, 広瀬 真2, 坂上 祐司2, 西田 幸生2, 瓦林 孝彦2

1医療法人橘会 東住吉森本病院 生理検査室, 2同 循環器科

 症例は66歳女性。既往歴に特記すべきことなし。数日前から乾性咳嗽があり突然の呼吸苦が出現したため救急搬送された。血液検査所見上白血球数の増多、トロポニンIの軽度上昇、著明な代謝性アシドーシスを認め、入院時の胸部レントゲン及びCTにて肺炎像を認めた。心電図上は洞性頻脈でST-T変化を認めなかった。経胸壁心エコーではEF39%、心尖部と心基部の収縮は比較的保たれ、心室中部に全周性の壁運動異常を認めた。入院後肺炎の改善に伴い左室壁運動異常は改善傾向となり、二週間後の心エコーでは左室壁運動異常はほぼ消失した。経過中、洞性頻脈が持続するため施行した甲状腺機能検査でFreeT4; 4.1ng/dl 、TSH; <0.05μIU/mlであり甲状腺機能亢進症と診断した。今回左室中部にのみ壁運動異常を有し心電図変化を伴わないたこつぼ型心筋症の非典型例を経験した。若干の文献的考察を加えここに報告する。

36-31 Sigmoid septumと心房中隔瘤の関連を検証する

百冨 麻美, 仲宗根 出, 梅川 成子, 今長 京子, 立花 秀子, 豊田 耕三, 原 江見子, 増田 喜一

国立病院機構 大阪南医療センター 臨床検査科

 【目的】高齢の女性にSigmoid septum(SS)をよく見かける。また心房中隔瘤(ASA)の合併率が高い報告がある。今回SSとASA両者間の関係を検討した。【対象・方法】対象は39〜92歳(平均71.8歳)、連続75名(男36、女39)。SSの定義は中隔壁と大動脈のなす角度(屈曲角)が110度以内とした。ASAは基部の幅15mm以上、右房ないし左房への中隔突出度10mm以上または振幅11mm以上とした。【結果】SS(+)群20例中16例(男女比5:11)にASAが検出された(80%)。SS(−)群では55例中28例にASAが認められ(50.9%)、屈曲角は平均124.6度とSS様の形態を示した。また2例でPFOが検出された。【結論】SSとASA間に密接な関係を認め、特に女性で高率であった。ASAは奇異性脳塞栓のリスクファクターでもあることからSS例では積極的なASAの同定が望まれる。

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循環器: その他 

座長: 阿部 幸雄 (大阪市立総合医療センター 循環器内科)

北出 和史 (大阪警察病院 臨床検査科)

36-32 褐色細胞腫を合併した劇症型心筋炎に対し集学的治療が奏功した1例

松木 核, 太田 光彦, 川戸 充徳, 三宅  仁, 縄田  隆三, 永澤  浩志, 加藤 洋

西神戸医療センター 循環器科

 [症例] 40歳男性 [主訴] 発熱、腹痛 [現病歴] 来院1日前より咽頭痛、発熱、腹痛を認め。翌日当院受診、胸部写真上重症肺炎を疑い入院となった。脈拍170bpm,収縮期血圧60台のショックとなり。TroponinTが強陽性の為、経胸壁心エコーを行ったところ左室の著明な壁運動低下を認め劇症型心筋炎が疑われた。急性肺水腫と診断し、人工呼吸器を装着、大動脈内バルーンパンピング(IABP)を導入された。スワンガンツカテーテル上ForresterW群であり、カテコラミン使用後も循環動態は不安定であった為、同日経皮的人工心肺装置(PCPS)を導入した。以後、心機能は徐々に改善傾向を示し、第5病日にPCPSを離脱、第6病日IABPを抜去となった。肝機能異常認めた為、腹部造影CTを施行したところ右副腎腫瘍、腫瘍内出血を認め、血中カテコラミン上昇を示し、褐色細胞腫のクリーゼが劇症型心筋炎の誘因となった可能性が考えられた。

36-33 モヤモヤエコーと血栓との鑑別が困難であった一例

小西 正三, 柏瀬 一路, 廣谷 信一, 小笠原 延行, 平田 明生, 西尾 まゆ, 根本 貴祥, 松尾 浩史, 増村 雄喜, 上田 恭敬

大阪警察病院 循環器科

 症例33歳は男性。拡張型心筋症(NYHAV度)にて外来加療中であった。2009年4月中旬より感冒様症状を認め、倦怠感が増悪したため入院となった。感染症を契機とした慢性心不全の増悪であり、両心不全・腎不全を呈していた。抗菌薬による加療を開始したが治療抵抗性であり、敗血症に陥った。カテコラミン、IABPの導入を行ったが血行動態は不安定であり、第15病日にPCPSを挿入。感染症のコントロールはつかず状態は悪化。第18病日に施行した心エコーでは大動脈弁のopening は乏しく、左室内に約5cm大の内部構造不均一でhigh echoic な腫瘤を認め、血液の滞留に伴う巨大血栓と考えられた。PCPSからの離脱は困難であり、第20病日に永眠。翌日に施行された病理解剖では、生前に疑われた左室内血栓は認めなかった。モヤモヤエコーと血栓との鑑別が困難であった一例を経験したので報告する。

36-34 徐脈を契機に発見された右房内腫瘍の1例

大谷 幸代1, 西山 ひとみ1, 安福 万紀子1, 河村 規子1, 吉田 育子1, 千森 義浩2, 伊賀 朋子3, 西浦 哲雄3

1兵庫県立西宮病院 検査・放射線部, 2同 循環器科, 3同 血液内科

 【症例】79歳女性【主訴】ふらつき【既往歴】2005年5月に非ホジキンリンパ腫(diffuse large B cell lymphoma:DLBCL)と診断され、化学療法にて寛解。2007年11月より無投薬【現病歴】2009年3月ふらつきを自覚し、近医を受診。心電図にて徐脈を指摘され、当院に紹介となった。【ECG】HR36、洞性徐脈および房室接合部補充調律【US】経胸壁心エコー検査で心嚢液貯留と右房壁に広範囲に付着する3.3×2.2cmの可動性の乏しい腫瘤を認めた。【血液検査】sIL-2R上昇【CT・MRI】上大静脈周囲から右房内へ浸潤する腫瘍を指摘【治療経過】以上よりDLBCLの再発と考え、化学療法施行。1クール終了後のUSでは右房内の腫瘤は著明に縮小。MRIでは上大静脈周囲にわずかに腫瘍が残存するのみだった。【まとめ】徐脈を契機に心エコー検査で見つかった右房内腫瘍の一例を経験したので報告する。

36-35 心尖部の著明な壁運動低下を認め、心室頻拍を来した心サルコイドーシスの一例

桝野 富造, 平田 久美子, 遠藤 春香, 尾崎 雄一, 北端 宏規, 今西 敏雄, 赤阪 隆史

和歌山県立医科大学 循環器内科

 症例は48歳女性。以前より脈の不整を自覚することがあった。自宅にて階段昇降時に突然の動悸が出現し、意識消失を伴ったため近医を受診した。精査加療目的にて当院を紹介受診し、同日入院となった。不整脈精査目的に電気生理学的検査を施行し、イソプロテレノール負荷にて意識消失を伴う心室頻拍・心房頻拍の同時発生を認めた。また、心エコーにて血栓を伴う心尖部の著明な壁運動低下を認め、BMIPP心筋シンチにても同部位の集積欠損を認めた。心筋生検にて多核巨細胞を多数含む肉芽腫性変化を認めたため、心サルコイドーシスと診断した。今回我々は心尖部に局在する病変を持ち、致死的不整脈を有する心サルコイドーシスの一例を経験したため報告する。

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膵臓

座長: 堀井 勝彦 (大阪府立呼吸器・アレルギー医療センタ- 消化器・乳腺外科)

保田 宏明(京都府立医科大学 消化器内科)

36-36 健診で発見された膵Solid-pseudopapillary tumorの1例

巽 志伸1, 福居 健一1, 赤羽 たけみ1, 山口 美貴1, 白井 康代1, 片岡 智栄子1, 大石 元1, 豊原 眞久2, 美登路 昭2, 福井 博2

1奈良県健康づくりセンター, 2奈良県立医科大学 第三内科

 【はじめに】健診で発見された膵Solid-pseudopapillary tumor(SPT)を経験したので報告する.【症例】症例は30歳女性, 人間ドックの腹部超音波検査(US)で膵尾部に径4cm大の境界明瞭, 内部不均一な低エコー腫瘤を認めた. 腫瘤は超音波内視鏡検査, 腹部CT, 腹部MR検査でも境界明瞭で内部が不均一であり, 造影US,造影CT,造影MRで内部が不均一に濃染され, SPTと診断し, 脾合併膵体尾部切除術が施行された.切除標本は被膜を有する球形の腫瘍で,内部は充実部分と出血、壊死性の嚢胞部分が混在していた.病理組織学的には, 小型の好酸性細胞が充実性に増殖し,偽乳頭状配列を呈し,免疫組織学的にもSPTと診断された.【考察】SPTは若年女性に好発し,腫瘤病変は内部に充実部分と嚢胞部分が混在する像を呈したことから,我々の症例はSPTの典型例と考えられる.

36-37 膵頭部後面に発生した平滑筋腫瘍の1例

安江 智美1, 堀井 勝彦2, 高萩 千賀子1, 安井 福子1, 中村 由加1, 野辺 八重子1, 大山 重勝1, 大畑 和則2, 永野 輝明3, 河原 邦光3

1大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター 臨床検査科, 2同 消化器・乳腺外科, 3同 病理診断科

 症例は50歳台、男性。主訴は右上腹部痛、背部痛。前医では門脈浸潤を伴った膵頭部癌が疑われ当院に紹介された。黄疸や腫瘍マーカーの上昇はなかった。腹部超音波検査で膵頭部後方に境界明瞭、辺縁凹凸のある10cm大の低エコー腫瘤像を認めた。門脈は腹側に、下大静脈は左背側に圧排されていたが、腫瘍との間に境界エコーが観察された。総胆管も圧排され上部胆管は拡張していた。主膵管拡張はなかった。PET-CTで腫瘍内に異常集積を認めた。術前の針生検では確定診断には至らず。平成21年5月膵頭十二指腸切除術を施行し、腫瘍を完全切除しえた。腫瘍は境界明瞭で門脈と下大静脈との間は剥離しえた。組織学的には比較的均一な紡錘形細胞が束状ないしは交錯状に増生し、免疫染色検査ではSMA(+)、c-kit(-)、CD34(-)、S100(-)で核分裂像が10/50視野みられ、悪性度不明な平滑筋腫瘍と診断された。

36-38 造影超音波で評価し得た退形成性膵管癌の一例

岩井 孝史1, 田中 弘教1,2, 楊 和典1, 會澤 信弘1, 吉川 昌平1, 齋藤 正紀1, 下村 壯治1, 西口 修平1, 飯島 尋子1,2

1兵庫医科大学病院 肝胆膵内科, 2同 超音波センター

 症例は79歳男性。2009年1月のエコーで膵頭部に79mmの内部エコー不均一な低エコー病変を認めた。造影超音波では腫瘍はhypervascularであり、約23秒後で腫瘤全体が染影、MFIでは内部の微細な腫瘍血管が抽出できた。CTでは辺縁を中心に内部にも不均一な造影効果を認めた。MRIはT1強調像ではlow intensity、T2強調像ではややhigh intensity、拡散強調画像ではhigh intensityであった。PET-CTにて同部に強い集積を認めたことよりも膵癌が疑われたが、悪性リンパ腫等も否定できず、腫瘍生検を施行した。組織は紡錘状の腫瘍細胞が認められ、特殊染色でVimentinが陽性、CD34、c-kit、SMAなどは陰性であったことより、退形成性膵管癌(紡錘細胞型)と診断した。退形成性膵管癌は急速な増大傾向を示す予後不良との報告が多い。本邦では我々の検索しうる範囲では44例の報告例しかなく、造影USを評価し得た貴重な症例と考え若干の考察を加え報告する。(倫理委員会承諾済)

36-39 術中造影エコーが有用であった膵内分泌腫瘍の一切除例

楊 和典, 田中 弘教, 岩田 恵典, 下村 壮治, 山本 晃久, 斎藤 正紀, 会澤 信弘, 吉川 昌平, 西口 修平, 飯島 尋子

兵庫医科大学病院 肝胆膵内科

 症例は66歳、女性。健診で膵体部に約10mmの腫瘤を指摘、精査目的で紹介。血液データ、腫瘍マーカー上異常値なし。腹部エコーで境界比較的明瞭な低エコー、カラードブラでは内部に血流は認めなかった。造影CTでも乏血性の低吸収域として指摘された。ソナゾイドによる造影超音波所見は乏血性であった。ERCP、PET-CT、膵管擦過細胞診で明らかな異常認められなかったため診断的治療を兼ね外科的切除となった。術中造影超音波ではMFIにより腫瘍内に微細な血管像を描出し得た。術中迅速生検では悪性所見認めなかったため膵中央部分節切除となる。組織所見では膵内分泌腫瘍であった。従来、膵内分泌腫瘍では辺縁明瞭でhypervascularであることが多いとされている。今回我々が経験した症例はhypovascularであったため膵癌との鑑別が非常に困難な症例であったが、術中造影エコーで詳細な血流を評価しえた一切除例を経験したので報告する。(院内倫理委員会承諾済)

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肝:その他

座長: 伊藤 秀一(済生会有田病院 内科)

喜舎場 智之 (阪南中央病院 臨床検査科)

36-40 造影超音波検査の肝実質相を用いたNASH鑑別法の検討

山平 正浩1, 田中 弘教1,2, 吉田 昌弘1, 東浦 晶子1, 柴田 陽子1, 橋本 眞里子1, 廣田 誠一3, 辻村 亨4, 西口 修平2, 飯島 尋子1,2

1兵庫医科大学病院 超音波センター, 2同 肝胆膵内科, 3同 病院病理学, 4同 病理学分子病理部門

 【目的】我々は、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)患者より非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)患者を抽出する試みとして、造影超音波検査の有用性を報告してきた。今回、新たな知見も含めて報告する。【方法】NAFLD27例、NASH45例を対象とした。東芝AplioXGを用いて、Levovist1.25gを投与し、投与5分後と20分後のADF画像を記録、輝度解析した。また、超音波汎用機でも同様の解析ができるか東芝Nemioを用い検討した。(当院倫理委員会承認済み)【結果】肝の輝度値は、5分、20分後ともNASH群では、NAFLD群と比べ低く(p>0.01)、NASHではKupffer細胞機能が低下している可能性が示唆された。汎用機による検討では十分な染影効果が得られず評価できなかった。【結語】造影超音波検査はNAFLD患者の中からNASHを推測し得る有用な検査法と考える。

36-41 急性骨髄性白血病を背景に特異な肝血流を呈した劇症肝不全の一例:ドプラ所見とBiopsyによる肝組織像

杤尾 人司1, 木本 直哉2, 和田 将弥2, 杉之下 哲朗2, 佐々木 一朗1, 岩崎 信広1, 濱田 一美1, 曽我 登志子1, 今井 幸弘3, 猪熊 哲朗2

1神戸市立医療センター中央市民病院 臨床検査技術部, 2同 消化器内科, 3同 臨床病理科

 急性骨髄性白血病(AML)を背景に異型細胞の肝浸潤による劇症肝不全にて僅か10病日で不幸な転帰を辿られた症例を経験した。患者は、40才代男性。高熱を主訴に来院、肝機能障害認められ緊急入院となる。入院3病日に骨髄穿刺にてAMLと診断された。第4病日より脳症発症し、血漿交換、血液濾過透析を開始。第9病日まで実施されたが第10病日に死亡された。ドプラ法では、入院当初、肝動脈血流の軽度増加の他に異常は認められなかった。しかし、第4病日より門脈血流の高速化、肝動脈血流のResistant Indexの高値化が認められ、これは第6日、8病日にも認められた。第6病日に実施した肝生検組織では肝実質の広範な壊死と門脈域のみへの腫瘍細胞の浸潤が認められた。ドプラ法で捉えられた特異な血流動態は、門脈域のみへの腫瘍細胞浸潤により肝実質が広範に壊死したという本症例の特異な病態と関連しているものと思われた。

36-42 診断に苦慮した肝類上皮性肉芽腫の一例

岩尾 寛子1, 田上 展子1, 尾羽根 範員1, 川端 聡1, 榎木 雄美子1, 津村 京子1, 迫田 寛人2, 菅原 浩之2, 山田 晃3, 西村 重彦4

1住友病院 超音波検査部, 2同 血液内科, 3同 消化器内科, 4同 外科

 症例は81歳男性.既往歴は骨髄異形成症候群,sweet病,MRSA肺炎等.今回39度の発熱のため緊急入院.腹部エコーにて,S5に境界明瞭な35mm大の低エコー腫瘤を認めた.辺縁低エコー帯を認めず,内部エコーは比較的均一,後方エコーの増強はわずかで,血流シグナルは辺縁にのみ認めた.造影CTではリング状の造影効果を示す腫瘤であった.以上より,画像検査では胆管細胞癌や膿瘍,転移性肝癌が疑われ,確定診断のため肝腫瘍生検を施行.病理組織診断にて類上皮性肉芽腫と診断された.類上皮性肉芽腫は慢性炎症性細胞が類上皮性細胞,ラングハンス巨細胞と局所的に集積したもので,その原因は薬物,感染症および免疫学的疾患など多岐にわたっている.画像検査では鑑別が困難なため,肝生検による組織診断にて診断されることが多い.本症例においても,画像検査での良悪の鑑別は困難であった.

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胃・十二指腸

座長: 本田 伸行(寺元記念病院 画像診断センター)

本合 泰(市立枚方市民病院 消化器内科) 

36-43 好酸球性胃腸炎の1例

福島 豊1, 中野 勝行1, 滝本 和雄2, 櫻井 俊治2, 安東 直人2, 藤末 衛2

1東神戸病院 放射線科, 2同 内科

 【症例】73才女性。【主訴】嘔吐・下痢・食欲低下。【既往歴】気管支喘息・胆石症【現病歴】2週間前より嘔吐と下痢が出現し、水分摂取も困難となったため当院受診。急性胆嚢炎疑いにてUS、CTを施行する。USにて胆嚢炎の所見は乏しかったが、全結腸に粘膜下層主体の壁肥厚を認めたため腸炎疑いにて入院となる。【検査成績】血液検査ではWBC15080μl、CRP6.86r/dlと炎症反応が高く、脱水も認めた。その他Eosino52%、IgE1583IU/mlと高値を示していた。便細菌学的検査は検出されず。【経過】入院当初は細菌性腸炎を疑ったが好酸球の増加が継続していたため、再度USを施行。結腸と胃に粘膜下層を主体とする壁肥厚像を認め、好酸球性胃腸炎を疑った。下部内視鏡検査では全結腸にびらん、発赤、浮腫が散在するが、生検では好酸球の浸潤は認めず。ステロイドの投与により消化管症状は軽快した。

36-44 急激に増大し幽門狭窄をきたした胃粘膜下腫瘍の一例

三羽 えり子1, 岩崎 信広1, 杤尾 人司1, 簑輪 和士1, 小畑 美佐子1, 和田 将弥2, 杉乃下 与志樹2, 猪熊 哲朗2

1地方独立行政法人 神戸市民病院機構 神戸市立医療センター中央市民病院 臨床検査技術部, 2同 消化器センター内科

 【症例】50歳代女性【主訴】嘔気【既往歴】昭和54年急性肝炎(治癒)、平成18年胃潰瘍と幽門部付近のSMT様隆起を指摘されるも放置。【家族歴】母・姉、胃癌【現病歴】本年5月25日より、嘔気・心窩部不快感・悪心あり徐々に食欲低下。その後摂食不可となり、6月1日当院外来受診。精査加療目的にて入院となった。【US】幽門部に長径7cm大の嚢胞性腫瘤を認め、胃は著明に拡張。病変は筋層との連続性はなく胃粘膜下層に存在するものと考えられた。【CT】胃前庭部から幽門部にかけて6.5×3cm大の嚢胞性病変を認めた。病変は胃粘膜下に位置し明らかな充実性成分は認めなかった。GISTの変性や異所性膵による仮性嚢胞形成が鑑別にあげられた。【EUS】FNAにて嚢胞内容液を採取。AMY 3、リパーゼ 0と膵由来は否定的であった。細胞診ではほとんどが変性物であり嚢胞性腫瘤の確定診断には至っていないが、CA19-9,CEAとも異常高値を呈し、外来にて厳重に経過観察中である。

36-45 体外式超音波で診断した巨大GISTの1症例

横田 重樹1, 川ア 靖子1,2, 西澤 輝彦1, 中通 由美1, 大内田 祐一1, 嶋 三恵子1, 中井 隆志2, 木岡 清英2, 竹村 雅至3, 井上 健4

1大阪市立総合医療センター 生理機能検査部, 2同 肝臓内科, 3同 消化器外科, 4同 病理部

 症例は、60歳代 男性。平成21年3月から心窩部痛が出現した。4月中旬には、38度台の発熱、軽度の貧血を認め精査目的にて当院受診となった。腹部エコーで胃体上部と肝左葉に接して径15cm大の腫瘤を認め、内部にcystic partを伴っていた。超音波上胃壁から壁外性に発育しており、性状から壊死を伴ったGISTを第一に考えた。また、S状結腸にpseud-kidney signがみられた。上部内視鏡では胃体上部に弾性硬のSMTが認められ、超音波内視鏡では胃の第4層と連続性を認めた。以上よりGIST(Gastrointestinal stromal tumor)とS状結腸癌と診断し、手術が施行された。胃の腫瘍は、内部に液状壊死を伴っていた。病理組織所見では免疫学的にもGISTと診断された。以上、GISTとS状結腸癌を併発し、体外式超音波で診断した症例を経験したので報告する。

36-46 術後11年目に肝転移再発を認めた胃原発GISTの1例

土井 喜宣1, 上ノ山 直人1, 笹井 保孝1, 阪本 めぐみ1, 松田 高明1, 有吉 隆久1, 中場 寛之2, 北山 聡明3

1大手前病院 消化器内科, 2同 外科, 3同 放射線科

 症例は60歳男性。検診の腹部USで肝S7に辺縁低エコー、内部に高エコーと低エコーの混在した径5.6cm×3.6cmの腫瘤を認めたため精査目的に当科紹介。単純CTでは内部は非常に低濃度で辺縁に8mm程度の厚さの壁様に見られる部分を認めた。造影CTでは辺縁部にごく淡い染影を認めた。MRIでは辺縁部はT1WIでやや低信号、T2WIで淡い高信号を呈し、Gd-EOB-DTPA造影ではほとんど増強されず、肝細胞相では低信号であった。ソナゾイド造影USでは、辺縁部が動脈相でhyperintense、門脈相でhypointense、Kupffer相ではdefectとなった。PET-CTではFDG集積は周囲肝に比べやや低かった。11年前に胃平滑筋肉腫に対して胃切除術の既往があることからGISTの肝転移再発が疑われた。単発であったため肝部分切除術施行し、病理組織、免疫染色にてGISTと診断した。術後経過良好で現在経過観察中である。

36-47 十二指腸GISTの1例

児玉 尚伸1, 木下 博之2, 竹中 正人2, 大前 嘉良2, 中戸 洋行2, 石水 弘子2, 山本 忠生1

1社会保険紀南病院 内科, 2同 中央臨床検査部

 【症例】59歳男性。主訴は健診の異常。健診にて肺線維症を疑われ、H20年11月外来を受診し、CT検査、腹部超音波検査にて約9cm大の腹腔内腫瘍を指摘され、精査加療目的に入院となった。初診時、腹部に圧痛や筋性防御はなかった。上部消化管内視鏡検査では胃、十二指腸に目立った隆起は認めなった。腹部超音波検査を飲水法にて施行し、腫瘍は十二指腸球部の筋層と連続性を有していた。壁外発育した巨大な十二指腸粘膜下腫瘍と診断し、腫瘤摘出術および胃前庭部、十二指腸球部切除術を施行した。病理組織学的に十二指腸GISTと診断され、c-kit陽性、CD34陽性、α-SMA陽性であった。【まとめ】術前に腹腔内腫瘍の発生臓器を診断することが困難な場合があるが、自験例では飲水法による超音波検査が発生臓器の診断に有用であった。

36-48 体外式超音波検査が診断の契機となったLemmel症候群の一例

田村 周二1, 竹内 雅幸1, 阪下 操1, 石平 雅美1, 角田 敏明1, 藤本 敏明1, 勝山 栄治2, 住友 靖彦3, 山下 幸政3, 三上 栄3

1神戸市立医療センター西市民病院 臨床検査技術部, 2同 臨床病理科, 3同 消化器内科

 原因不明の腹痛や肝機能異常をきたす疾患の一つにLemmel症候群がある。今回我々は閉塞性黄疸の原因として十二指腸傍乳頭憩室を疑った症例を経験した。症例は67歳、女性。5日前より腹痛および全身倦怠感出現。肝胆道酵素、炎症反応の上昇を認めたため超音波検査となった。肝内胆管・総胆管の拡張があり閉塞拠点の検索をするも下部胆管まで明らかな石や腫瘍性病変は認めなかった。しかしながら乳頭部近傍を背側から圧排する腸管ガスエコー像を描出し同症候群を疑った。ERCP施行、十二指腸下行脚に3cm大の憩室があり食物残渣が充満、下部総胆管圧排所見を認めたため残渣除去し保存的治療を施行。他の検査においても悪性所見なく症状改善したため経過観察となった。結語:超音波検査にて十二指腸乳頭部付近を検索するのは困難であるがガスエコーの排除や蠕動運動の観察を丹念に行い常に傍乳頭憩室を念頭におくことでLenmel症候群の診断が可能と思われた。

36-49 進行胃癌における造影超音波による腫瘍血流評価

大川 尚臣, 野上 浩實, 金川 泰一朗, 小畑 卓司

医療法人 野上病院 外科

 【目的】我々は進行胃癌における腫瘍血流を造影超音波検査にて観察し、臨床病理学的検討を行ったので報告する。【対象と方法】2005年4月〜2009年6月までの進行胃癌18例で手術症例は10例(切除例は7例)である。使用造影剤はレボビスト8例、ソナゾイド10例で、機種はGE Logic7・E9、4MHzの探触子にて観察した。【結果】腫瘍組織での造影パターンは、1.造影効果がほとんど見られない、2.腫瘍表層側より次第に深部へ向かい造影される、3.腫瘍表層より全層が造影される、の3パターンに分類された。それらをスコア化し、臨床病理学的に検討したところ、パターン分類と分化度および臨床病期の間に相関が認められた。また化学療法前後で同検査を施行した結果、有効例で明らかに化学療法後に血流の低下がみられ、効果判定にも有用であると考えられた。【考察】造影超音波検査における血流情報は組織診断や化学療法の効果判定に応用できると考えられたので考察を加え報告する。

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小腸

座長: 岡 博子 (大阪市立十三市民病院 内科)

岩崎 信広 (神戸市立医療センター 中央市民病院 臨床検査技術部)

36-50 小腸蠕動異常を計測する

豊留 幸子, 利川 香織, 杉山 育代, 冨田 周介

冨田クリニック 消化器科

 【目的】急性腸炎、正常食後及び空腹時の蠕動速度を計測した。【対象】急性腸炎353例、正常食後102例、空腹時104例。【装置】周波数3.5、6.0、8.0MHz【方法】腸管流速の求め方:内容物が直線状に流れたその距離を定規を用いて画面上で計測し、それを時間即ちコマ数/フレーム数で割った。腸管収縮率の求め方:横断像において蠕動により動く距離を、その間の時間で割った。【結果】急性腸炎:腸管流速(@蠕動亢進5.8cm/sA正常2.9cm/sB低下0.2cm/s)腸管収縮率(@2.4cm/sA1.3cm/sB0.3cm/s)。正常食後:流速(@5.9A3.0B0.5)収縮率(@3.0A1.8B0.3)。正常空腹時:流速(@6.7A3.8B0.4)収縮率(@2.8A1.7B0.4)。以上より腸管蠕動異常という曖昧な事項を数値化し、客観視した。

36-51 体外式超音波(US)が診断に有用であった消化管出血をきたしたメッケル憩室の2症例

青松 友槻1, 余田 篤1, 井上 敬介1, 平松 昌子2, 尾方 章人2, 江頭 由太郎3, 玉井 浩1

1大阪医科大学 小児科, 2同 一般・消化器外科, 3同 病理学教室

 【症例1】7歳3か月男児。主訴は下血。入院時、Hb10.0g/dl。メッケルシンチ陽性。1か月後に手術。【症例2】1歳2か月男児。主訴は鮮血便。入院時、Hb7.5g/dl。メッケルシンチ陰性。CT、小腸造影で病変は描出不可。間歇的な下血によりHbは5.8g/dlに低下、濃厚赤血球を計4単位輸血。第19病日に手術。【US所見】両症例とも、低エコー輝度の限局した小腸壁の肥厚として描出された。病変部は5層構造を有し、正常小腸と連続していた。第2層が著名に肥厚し、管腔側は凹凸不整であった。血流シグナルは乏しかった。症例2はソナゾイド造影も行った。血流はやはり乏しく、不整な血管も認めなかった。圧迫しても変形せず、硬さがあった。以上より、炎症性疾患や腫瘍性疾患は否定的で、メッケル憩室と考えた。【考察・結語】@US所見を詳細に解析することにより質的診断が可能であった。A病変部第2層の著名な肥厚は、異所性胃粘膜を反映している可能性がある。

36-52 小腸脂肪腫症の一例

岩崎 信広1, 河南 智晴2, 杉之下 与志樹2, 岡田 明彦2, 簔輪 和士1, 小畑 美佐子1, 猪熊 哲朗2, 杤尾 人司1, 和田 将弥2

1地方独立行政法人 神戸市民病院機構 神戸市立医療センター中央市民病院 臨床検査技術部, 2同 消化器センター内科

 【はじめに】腸重積を契機に発見された小腸脂肪腫症の一例を経験した。本症例は稀な疾患であり、超音波像の報告は少なく、今回、plainUSに加えソナゾイドを用いた造影超音波検査を施行し、興味ある画像所見を呈したので報告する。【症例】50歳代男性。主訴は黒色便、腹痛。現病歴は腹痛が増強してきたため他院を受診。画像診断上異常なく経過観察となっていが、その後イレウスを指摘され当院紹介受診となった。【US所見】USでは空腸に浮腫性壁肥厚が認められ、同部腸管内には多数の高エコー腫瘤が認められた。腫瘤は比較的内部均一で、蠕動に伴って可動する様子が捉えられ、さらにその形態もスライム様に容易に変形することから、弾性軟な腫瘤と考えられた。ドプラでは腫瘤内には明らかな血流シグナルは捉えられなかった。ソナゾイドを用いた造影エコーでは辺縁は早期から造影されたが、内部は明らかな流入血管などは描出されず、全体的に淡く造影された。

36-53 小腸迷入膵による小腸重積症の一例

岩崎 信広1, 河南 智晴2, 杉之下 与志樹2, 岡田 明彦2, 簔輪 和士1, 小畑 美佐子1, 猪熊 哲朗2, 杤尾 人司1, 和田 将弥2

1地方独立行政法人 神戸市民病院機構 神戸市立医療センター中央市民病院 臨床検査技術部, 2同 消化器センター内科

 【はじめに】腸迷入膵は胃・十二指腸など膵に近接する臓器ほど多く、小腸迷入膵において小児では回腸に多く、腸重積を合併する頻度が高い。今回、腸重積により発見された小腸迷入膵の一例を経験したので報告する。【症例】10歳以下の男児。主訴は腹痛、嘔吐。【入院後経過】来院時のUSでは肝弯曲部近傍にmultiple concentric ring signを認め、重積像を呈していた。先進部には17mm大の一部strong echoを有する多房性嚢胞性腫瘤が認められた。ドプラでは充実部にわずかに血流シグナルが観察された。同日非観血的整復術が施行された。しかし、翌日のUSでは肝弯曲部の重積は解除されていたが、左側腹部に重積および腫瘤が認められた。造影CTでも回腸に腫瘤が認められため、小腸部分切除術が施行された。回盲部より120cm口側に15mmの腫瘍が認められ、病理組織学的検査では小腸迷入膵と最終診断された。

36-54 小腸病変の超音波像について

岩崎 信広1, 河南 智晴2, 杉之下 与志樹2, 岡田 明彦2, 簔輪 和士1, 小畑 美佐子1, 猪熊 哲朗2, 杤尾 人司1, 和田 将弥2

1地方独立行政法人 神戸市民病院機構 神戸市立医療センター中央市民病院 臨床検査技術部, 2同 消化器センター内科

 消化管病変において直接可視できる上・下部内視鏡検査は必須の検査法である。しかし、腹痛や下血が強い場合など苦痛を強いることになるため、躊躇したり検査不十分に終了してしまう場合もある。また、小腸病変であった場合、それらを発見することは不可能である。一方、小腸病変を直接可視する方法として小腸内視鏡検査やカプセル内視鏡などが挙げられるが、検査手技の熟練や機器の制限からルーチン検査とするには限界がある。また、小腸病変の場合、無症状で経過し重積や腸閉塞で発見される場合も多く、早期発見するためにはUSによる小腸病変の検索もすべきと考えられる。さらに、小腸病変を指摘できた場合、次のステップである小腸内視鏡検査などを行う上においても、その位置が把握できれば内視鏡を口側・肛門側いずれから挿入すべきかなど検査のスムースな進行には有用な情報となる。今回、小腸病変の超音波像について検討したので報告する。

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胆管

座長: 岡部 純弘(大阪赤十字病院 消化器科)

田村 周二 (神戸市立医療センター 西市民病院 生理検査室)

36-55 膵・胆管合流異常の有無の診断に胆管腔内超音波が有用であった2例

高岡 亮, 島谷 昌明, 池浦 司, 楠田 武生, 小薮 雅紀, 関 寿人, 岡崎 和一

関西医科大学 消化器肝臓内科

 症例1は76歳、男性。胆嚢癌による閉塞性黄疸の精査目的でERCPを施行した。ERCPで括約筋のおよばない部位で膵管胆管が合流していた。同時に行ったIDUSでは膵管は乳頭部で合流しているように描出された。造影所見から膵・胆管合流異常と診断した。EST後胆道ドレナージ術を施行した。後日行ったERCP再検時に胆管口と膵管口が別開口であることが確認でき、膵・胆管合流異常は存在しないと判断した。IDUSの所見がERCPより正確であった。症例2は68歳の女性。胆嚢癌による閉塞性黄疸の精査目的でERCPを施行した。ERCPの胆管造影で胆管と同時に淡く膵管も造影されたが、胆管と膵管が同時に、重なって描出されていると考えた。IDUSにて乳頭部より肝門側で主膵管が総胆管に合流していることが確認された。造影では判断できなかった膵・胆管合流異常がIDUSで診断できた。IDUSの併用により膵・胆管合流異常の診断能が向上すると考えられる。

36-56 総胆管壁肥厚を呈したIgG4関連硬化性胆管炎(自己免疫性胆管炎)の1例

堀 友美1, 上田 佳秀2, 依田 広2, 佐藤 洋1, 米田 智也1, 土井 孝浩1, 千葉 勉2

1京都大学医学部附属病院 検査部, 2同 消化器内科

 【はじめに】IgG4関連硬化性胆管炎は比較的新しい疾患概念であり、胆管画像所見ならびに治療による画像変化については未だ十分に明らかでない。今回、超音波検査(US)にて著明な総胆管壁肥厚を認めたIgG関連硬化性胆管炎症例を経験し、治療開始後の画像変化を観察したので報告する。【症例】23才、男性。尿潜血陽性を指摘され近医受診。肝胆道系の異常を認めたため当院紹介受診となった。精査にてIgG4関連硬化性胆管炎と診断し、ステロイド治療を開始した。【US所見】肝内胆管は多発性の狭窄と拡張を認めた。総胆管は内腔の狭小化は認めなかったが、全周性の壁肥厚を認めた。壁の層構造は維持されており、壁厚は2.6mmであった。ステロイド治療開始後、総胆管壁肥厚は、2.6mm(治療前)→1.7(2ヶ月後)→1.2(3ヶ月後)→0.7(5ヶ月後)と著明な改善を認めた。【結語】IgG4関連硬化性胆管炎のステロイド治療効果を判定するためにUSによる総胆管壁厚評価が有用である。

36-57 体外式超音波検査が診断の契機になったMirizzi症候群の一例

角田 敏明1, 田村 周二1, 竹内 雅幸1, 阪下 操1, 石平 雅美1, 藤本 敏明1, 勝山 栄治2, 住友 靖彦3, 山下 幸政3, 三上 栄3

1神戸市立医療センター西市民病院 臨床検査技術部, 2同 臨床病理科, 3同 消化器内科

 今回我々は、胆嚢内結石に併発したMirizzi症候群の一例を経験したので報告する。症例は70歳代女性。平成19年12月より褐色尿、黄疸で消化器内科受診、総胆管結石の疑いにより腹部超音波検査を施行、肝内胆管からの総胆管にかけての拡張と胆嚢頚部に22mm大の結石を認め、同部位で総胆管が先細りしており胆嚢内の結石が総胆管を圧排していると考えられ、Mirizzi症候群が疑われた。ERCPにて総胆管内に結石は認められず、胆嚢と同レベルの総胆管中部で胆管が狭小化がみられ、胆嚢および胆嚢管による総胆管圧排によるMirizzi症候群と診断され、胆嚢摘出術が施行された。今回の症例では、リアルタイム性と空間分解能に優れた超音波検査が周囲の構造との連続性を明瞭に描出できるため、総胆管内に結石の存在しないこと、総胆管が外部からの圧排により閉塞していることが確認できMirizzi症候群の診断において有用であると考えられた。

36-58 先天性胆管拡張症の一例

曽我 登志子1, 簑輪 和士1, 登阪 貴子1, 三羽 えり子1, 岩崎 信広1, 浜田 一美1, 小畑 美佐子1, 和田 将弥2, 杉之下 与志樹2, 猪熊 哲朗2

1神戸市立医療センター中央市民病院 臨床検査技術部, 2同 消化器内科

 <症例>75歳女性<主訴>右季肋部痛<既往歴>11歳リュウマチ熱、20歳 特発性血小板減少性紫斑病  <現病歴>平成19年9月右季肋部痛にて救急外来受診、肝胆道系酵素が上昇し胆石胆嚢炎、総胆管結石等の疑いで腹部超音波が施行された。<検査> 胆嚢は軽度腫大、総胆管は限局した紡錘型の拡張像と結石を認め精査目的入院となった。CT、MR、EUS、ERCP、IDUS等が施行され総胆管結石と先天性胆道拡張症戸谷Tb型が疑われたため手術が行われた。<考察>本症は特有の症状、検査所見がないため診断がむずかしい。腹部腫瘤、黄疸、腹痛のいずれかを主訴に来院した場合は、本症を念頭において検索を進める必要があると言われている。確定診断は画像上拡張胆管の描出である。本症例のUSでは総胆管に限局した釣鐘状の拡張像を認め本症のスクリーニングとして腹部USが有用であった。<結語>戸谷Tb型の先天性胆管拡張症の1例を経験した。

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大腸

座長: 野上 浩實 (野上病院 外科)

綿貫 裕(姫路赤十字病院 検査部)

36-59 超音波検査にてS状結腸原発癌と診断できた骨盤内巨大腫瘤の1例

佐野 友美1, 伊藤 高広2, 亀井 真理子1, 吉田 美鈴1, 山下 美奈子1, 丸上 永晃1, 大石 元1, 平井 都始子1, 小山 文一3, 藤井 久男1

1奈良県立医科大学 中央内視鏡・超音波部, 2同 放射線科, 3同 消化器・一般外科、小児外科

 【目的】進行大腸癌の診断は容易であるが、稀に壁外性に進展し他臓器由来の悪性腫瘍と鑑別を要する例が報告されている。我々は閉塞症状を認めず骨盤内腫瘤として発見されたS状結腸癌の1例を経験したので報告する。【症例】65歳女性、子宮摘出後。主訴は反復性下痢。高度貧血とCEA高値を認め、精査を行った。大腸内視鏡検査では肛門縁から25cmで壁外からの圧排を疑う狭窄のため深部挿入できなかった。CT・MRIで径10cmの骨盤内腫瘤を認めS状結腸が同部を貫通し、膀胱・膣への浸潤も疑われたが、原発巣の確定には至らなかった。腹部超音波検査で腫瘤とS状結腸の連続性が明らかとなり、同部原発の腫瘍が壁外へ進展したものと診断した。膀胱壁への浸潤も明瞭に描出された。手術による最終診断はSigmoid colon cancer,fStageVa (Si,N0,H0,P0,M0)であった。【結論】閉塞症状を来さない骨盤内巨大腫瘤の原発巣と他臓器浸潤の診断に腹部超音波検査が有用であった。

36-60 腹部USが診断に有用であった大腸原発悪性リンパ腫の一例

坂本 仁志1, 岸本 愛子1, 稲畑 利彦1, 松端 賢一1, 三木 之美1, 弘中 由佳1, 松野 浩司1, 廣辻 和子1, 八十嶋 仁1, 本田 伸行2

1医真会八尾総合病院 臨床検査科, 2寺元記念病院 画像診断センター

 症例は60歳代男性。軟便を主訴に来院。便潜血にて陽性を示し、下部消化管内視鏡にてS状結腸から直腸に全周性の狭窄を認め、大腸癌が疑われた。腹部CTでも大腸癌を疑う所見であった。腹部USではS状結腸から直腸に全周性の著明な壁肥厚を認め、壁の層構造は消失し、比較的均一な強い低エコーを呈し、内腔の狭小化を認めた。肥厚部位の口側腸管の拡張はなく、肥厚の程度に反して明らかな通過障害はなかった。以上より、腹部USでは悪性リンパ腫を最も疑う所見であった。後日、下部消化管内視鏡にて生検を行い、病理組織診断の結果、免疫組織学的にCEA陰性、大部分はCD20cy(B cell)陽性を示しており、びまん性中細胞型B細胞悪性リンパ腫と診断された。全身精査にて他臓器に病変を認めなかった為、最終的に大腸原発悪性リンパ腫と診断された。今回我々は、大腸原発悪性リンパ腫の診断に腹部USが有用であった一例を経験したので報告する。

36-61 特発性大網捻転症の一例

津田 恭子1, 中川 元2, 児玉 和彦2, 田中 充2, 山上 佳代子2, 山口 拓也3

1耳原総合病院 内科, 2同 小児科, 3同 外科

 【症例】6歳女児。【主訴】右側腹部痛。【既往歴】特記すべきことなし。【現病歴】2009年3月2日38度の発熱、嘔気あり。3月3日右側腹部痛を自覚。3月4日近医受診し、当院紹介受診。【来院時現症】意識清明、体温 36.9度、脈拍 128回/分、SpO2 98%。眼瞼結膜貧血なし。呼吸音・心音異常なし。腹部軟、右側腹部に限局性の圧痛あり、筋性防御なし、腸蠕動音は亢進。【US】3月4日:肝臓下面で上行結腸内側に、56×19×26mmの高エコーの炎症性腫瘤を認め、同部の観察時圧痛著名であった。3月5日、6日にも、肝下面に52×27×34mmの高エコーの炎症性腫瘤認め、ドプラでは腫瘤内に血流は認めなかった。肝臓、腎臓、消化管など周囲の臓器とは連続性を認めず、虫垂は正常であった。【経過】特発性体網捻転症を疑い、母子センター小児外科へ紹介。輸液、抗生剤の保存的加療にて、症状改善し3月19日退院。

36-62 多発する大腸癌に対し、超音波診断を施行した一切除例

中村 雅美1, 位藤 俊一2, 水野 均2, 藤井 亮知2, 今濱 麻美1, 沼田 寿子1, 栄川 智子1, 岡 和子1, 今北 正美3, 伊豆蔵 正明2

1りんくう総合医療センター 市立泉佐野病院 検査科 生理機能検査室, 2同 外科, 3同 病理

 【症例】49歳、男【現病歴】頻回の下痢と血便を主訴に近医受診後、当院紹介。前医での大腸内視鏡検査では、直腸に腫瘍を認めたが、腫瘍による内腔狭窄のため内視鏡が通過困難であった。【画像所見】腹部超音波検査(US):S状結腸に5cm大の低エコー腫瘍および横行結腸に4×6cm大の内部不均質な低エコー腫瘍を認めた。壁層構造は消失、内腔面は不整で周囲脂肪組織は肥厚していた。Doppler US上横行結腸腫瘍の血流シグナルはごく少量のみであった。CT:直腸に全周性の不整な壁肥厚と周囲リンパ節腫大を認め、横行結腸には局所的な全周性浮腫状肥厚を認めた。ガストログラフィンによる大腸造影検査ではS状結腸および横行結腸に全周性の陰影欠損を認めた。内視鏡が通過困難な場合でも超音波検査により大腸腫瘍を容易に認識可能であり、有用であると考えられた。大腸腫瘍に関する超音波検査の意義に関し若干の文献的考察を加え報告する。

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腸: その他

座長: 薮内 以和夫 (神戸海星病院 内科)

川端 聡 (住友病院 超音波検査部)

36-63 超音波検査にて急性虫垂炎と鑑別した腸間膜リンパ節炎の3例

久保田 康彦, 飯干 泰彦, 位藤 俊一, 水野 均, 山村 憲幸, 新里 藍, 岸本 朋也, 藤井 亮知, 藤井 仁, 伊豆蔵 正明

りんくう総合医療センター市立泉佐野病院 外科

 腸間膜リンパ節炎は、胃腸炎や急性虫垂炎が原因でなく、腹痛、発熱、嘔吐を呈する臨床診断である。血液検査では、急性虫垂炎と腸間膜リンパ節炎の鑑別は困難で、確定診断には画像検査が必要である。今回、超音波検査にて急性虫垂炎と鑑別した腸間膜リンパ節炎の3例を経験した。症例は、全例11歳で、男児2例女児1例。全例右下腹部痛と発熱を主訴に来院し、血液検査上も炎症所見を認めた。超音波検査では、全例炎症虫垂を認めず、回盲部を中心に腫大した腸間膜リンパ節が認められた。入院補液の上、抗生剤CZOPを投与し、全例3日以内に症状が軽快し、退院した。腸間膜リンパ節腫大は、非特異的な所見であるが、腸間膜リンパ節炎のリンパ節は、数が多く、サイズも大きいことが多いと報告されている。腸間膜リンパ節炎は、保存的治療により軽快するため、不必要な開腹術を避けるためにも治療方針の決定に際し、超音波検査の果たす役割は大きいと思われる。

36-64 術前超音波診断が有用であった小児虫垂炎の3例

沼田 寿子1, 位藤 俊一2, 飯干 泰彦2, 水野 均2, 山村 憲幸2, 藤井 仁2, 藤井 亮知2, 中村 雅美1, 岡 和子1, 伊豆蔵 正明2

1りんくう総合医療センター 市立泉佐野病院 検査科 生理機能検査室, 2同 外科

 発熱を主訴に来院した3例に対し超音波検査を施行し、診断において有用であったので画像を供覧し報告する。症例は女児1例(7歳)、男児2例(3、5歳)。超音波検査では虫垂は4から7mmであり、2例に糞石を認めた。fluid collectionをダグラス窩(2例)および右後腹膜(1例)に認めた。小腸や上行結腸の拡張を全例に認めた。CTでは虫垂検出が可能であったのは1例のみであったが、fluid collectionを骨盤腔内2例、右後腹膜1例に疑った。3例中2例は虫垂切除術(1例では待機的手術)を施行し、1例は超音波ガイド下のドレナージ術のみを施行した。虫垂炎の診断は超音波検査が有効とされるが、今回経験した症例においてもCT検査に比し、虫垂の炎症程度をより反映したと考えられた。

36-65 外傷を契機として発見された腸間膜デスモイドの一例

木下 博之1, 児玉 尚伸2, 竹中 正人1, 大前 嘉良1, 中戸 洋行1, 石水 弘子1, 佐竹 理恵1, 山本 忠生2

1社会保険紀南病院 中央臨床検査部, 2同 内科

 【症例】75歳男性。33年前に胆石手術。C型肝硬変、肝細胞癌疑いにて当院内科通院中であったが、2008年10月31日交通事故にて当院救急搬送。腹腔内精査のため腹部超音波検査施行し、左下腹部に10cm大の皮下血腫が見られ、明らかな臓器損傷、腹水貯留は指摘できなかったが偶然に左下腹部腹腔内にも5cm大の低エコー腫瘤を認めた。外傷については安静・止血剤投与にて保存的に治療された。11月26日CTにて左下腹部腹腔内病変の増大を認め、12月16日再度超音波検査施行し、左下腹部に8cm大の境界明瞭な低エコー腫瘤を認め、由来臓器は同定できなかった。腹腔内腫瘤が増大傾向を認めたため、12月18日手術施行され病理組織診にて腸間膜デスモイドと診断された。【まとめ】デスモイド腫瘍は、四肢や腹壁に発生することが多い線維腫症の一種であるが、今回、外傷を契機として偶然に発見された腸間膜デスモイドの一例を経験したので報告する。

36-66 急性虫垂炎穿孔による巨大腹腔内膿瘍の一例

山本 真大1, 竹本 明子1, 庭野 友美子1, 高島 阿由梨1, 吉野 千香1, 松浦 勇二1, 関本 雅彦1, 北村 次男2

1大阪中央病院 中央検査部, 2同 消化器内科

 【症例】41歳、男性【主訴】右下腹部痛【現病歴】10日前より右下腹部痛を認め、増強するので受診。【検査結果】WBC21730/μl、CRP32.48mg/dl【腹部超音波】回盲部に5cm大の膿瘍と思われる像を認める。膿瘍領域に虫垂を疑う像が認められ、虫垂には著明な腫大や壁肥厚はなく、内部には一部音響陰影を伴う糞石様の像も認められる。【造影CT】右下腹部から骨盤内に大きな腫瘤があり、辺縁が濃染し、内部は染まらず、盲腸から上行結腸の壁肥厚あり。以上の結果から急性虫垂炎の穿孔による腹腔内膿瘍と診断、同日緊急入院、手術となった。【術中所見】右下腹部に腹壁、大網や腸管に癒着する約5cm大の腫瘤があり、回腸、上行結腸と壊死した虫垂が一塊となり、大量の膿汁の中にあったので、回盲部切除を実施。【病理結果】壊疽性虫垂炎、虫垂は好中球浸潤を伴い、大半が壊死状であった。また回盲部を含めた腸管に腫瘍性病変は認めなかった。

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甲状腺など

座長: 小林 薫 (隈病院 外科)

小椋 恵美子 (阪南中央病院 臨床検査科)

36-67 筋超音波検査の有用性:筋萎縮性側索硬化症の一症例

上場 將生1, 出村 豊1, 珠數 顯1, 山川 健太郎2, 山本 兼司2

1国立病院機構宇多野病院 臨床検査科, 2同 神経内科

 【症例】80歳、女性【現病歴】78歳時、舌の動きが悪くなる。79歳時、当院受診。針筋電図等の結果、筋萎縮性側索硬化症(ALS)と診断された。現在、構音障害のため意志の疎通が困難で食事時にむせるようになった。【筋超音波検査】顎下からの描出にて、頤舌筋は筋線維構造の消失がみられ、舌の表面は超音波減衰により描出できなかった。四肢は明らかな異常(輝度上昇や筋線維消失)を認めなかったが、前脛骨筋のMモード法にて線維束性攣縮と思われる動きを認めた。【まとめ】ALSは運動ニューロンの変性疾患であるが、特異的な検査法はなく、筋電図・血液検査・筋生検等で総合的に診断する。筋超音波検査はリアルタイムかつ低侵襲に筋変性の観察が可能でMモード法を用いれば線維束性攣縮を捕らえることも可能であり、ALS診断の一助として有用であると思われる。

36-68 頸部超音波検査にて腫瘍の形態変化を観察しえた自然寛解原発性副甲状腺機能亢進症の1例

樫根 晋, 沖田 考平, 岡内 幸義, 小澤 純二, 大月 道夫, 岩橋 博見, 今川 彰久, 木原 進士, 船橋 徹, 下村 伊一郎

大阪大学 大学院医学系研究科内分泌・代謝内科学

 症例は57歳女性。頸部の違和感を自覚し近医受診。甲状腺嚢胞の疑いにて当院紹介。血液検査にて血清Ca:12.2mg/dl、intact PTH:430pg/mlと上昇、頸部超音波検査にて右の甲状腺下極に接して最大径31mmの境界明瞭な内部に隔壁を有する嚢胞性腫瘍を認めた。経過中に突然の前頸部の腫脹、圧痛と共に、顔面、手指のしびれを認め、3日後当科入院となった。血液検査にて血清Ca:8.4mg/dl, intact PTH:109pg/ml初診時と比べ低下を認め、頸部超音波検査にて腫瘍は40mmに増大していた。入院後一過性に血清Caのさらなる低下を認めたが、その後は正常域にて経過した。4ヶ月後の超音波検査では腫瘍は著明に縮小していた。原発性副甲状腺機能亢進症の自然寛解症例における腺腫の形態変化を経時的に観察できた報告は稀であり、文献的考察を加えて報告する。

36-69 ハニカム型乳頭癌の3例

小林 薫1, 福島 光弘1, 太田 寿3, 森田 新二3, 網野 信行2, 宮内 昭1

1隈病院 外科, 2同 内科, 3同 臨床検査科

 (序文)甲状腺乳頭癌は超音波検査で典型的画像を示すことが多く、診断は容易である。今回、小嚢胞が集中して多発する、ハニカム状の形態をとる稀なタイプの乳頭癌報告する。(症例1)46歳女性 甲状腺右葉に集中して小嚢胞多発。27x16x21mm。細胞診でclass 5。病理:高分化型の甲状腺乳頭癌、小嚢胞多発。頸部リンパ節4個に転移あり。(症例2)31歳女性 甲状腺左葉に集中して小嚢胞多発。57x23x46mm。中心部と左側頸部にリンパ節腫大あり。細胞診でclass 5。高分化型の甲状腺乳頭癌、小嚢胞が多発。頸部リンパ節6個に転移あり。(症例3)31歳男性 バセドウ病。びまん性甲状腺腫あり。左葉に小嚢胞の集簇あり。17x14x16mm。甲状腺亜全摘施行。この小嚢胞に乳頭癌を認めた。(結語)乳頭癌には稀に蜂の巣状の多発小嚢胞を形成するハニカム型乳頭癌が存在する。

36-70 カラードップラ検査をもちいた上甲状腺動脈血流速度測定による甲状腺中毒症の鑑別

平岩 哲也, 辻本 直之, 谷本 啓爾, 寺前 純吾, 花房 俊昭

大阪医科大学 第一内科

 【目的】甲状腺中毒症の鑑別診断において、カラードップラ検査をもちいた上甲状腺動脈血流速度(SAV)測定の有用性を後ろ向きに検討する。【対象・方法】2006年4月から2009年3月に甲状腺中毒状態で頚部超音波を施行したバセドウ病(GD)44名と無痛性甲状腺炎(PT)22名を対象とした。年齢PT37、GD 44(いずれも中央値)、性別 (M/F) PT 4/18、GD 10/34。【結果】以下の値はいずれも中央値で示した。TSH (μU/ml) PT 0.005、GD 全て測定感度以下、FT4 (ng/dl) PT 2.82、GD 4.59、FT3 (pg/ml) PT 8.69、GD15.57、TRAb (U/ml) PT 1.0、GD 8.2。超音波検査:甲状腺体積(ml) PT17.2、GD 27.4、SAV (cm/sec) PT 23.1、GD 55.3。SAVはGDで有意に高値であった(P<0.0001)。ROC解析を行うと曲線下面積AUCは0.96と良好な値を示した。【まとめ】カラードップラ法によるSAV測定がGDとPTの鑑別に有用であることが示された。

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産婦人科など

座長: 依岡 寛和(関西医科大学 枚方病院  産婦人科)

金川 武司 (大阪大学医学部 産婦人科)

36-71 骨盤内神経鞘腫の一例

藪中 幸一1, 李 尚憲2, 井上 正也3, 山本 達雄2, 藤本 洋和2, 宮崎 実3, 増田 光則1, 大地 宏昭2

1医療法人大植会 葛城病院 放射線科, 2同 消化器内科, 3同 外科

 症例は63歳男性.糖尿病の加療中に腹部超音波スクリーニング検査を実施したところ,骨盤内に5cm大の境界明瞭な充実性腫瘍を認めた.DCTでは,同部位に腫瘍を認め,全体に淡く造影され点状の石灰化が散見された.MRIでは,T1強調画像で低信号,T2強調画像で不均一な高信号が認められた.T2強調の高信号は,変性や壊死によるものと考えられた.以上より後腹膜神経鞘腫と診断し摘出術を施行した.病理組織学的では,achwannomaの紡錘状細胞増生腫瘍と診断され,HE染色では悪性所見認めず.術後経過は良好で術後12日目に退院となった.今回,骨盤内神経鞘腫の一例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.

36-72 胎児中大脳動脈収縮期最高血流速度(MCA-PSV)測定が治療方針決定に有用であった胎児溶血性貧血の2例

佐道 俊幸, 重富 洋志, 大野木 輝, 吉澤 順子, 成瀬 勝彦, 吉田 昭三

奈良県立医科大学 産婦人科

 (症例1)32歳、2回経妊0回経産(16、35週で死産)。抗E抗体×512のため妊娠12週より血漿交換施行した(〜33週)。妊娠26週MCA-PSV上昇のため臍帯穿刺(Hb7.5g/dl)、臍帯輸血施行した。以降、MCA-PCVを指標として臍帯輸血を行った。輸血後はMCA-PSV低下した。妊娠34週MCA-PSV上昇も胎外治療を選択、帝王切開施行、児Hbは9.6g/dlであった。(症例2)30歳、5回経妊2回経産(RhD陰性、最終流産時のみ抗Dグロブリン投与なし)。妊娠31週抗D抗体×128のため紹介。妊娠32週臍帯穿刺施行(Hb 15.3g/dl)。妊娠34週MCA-PSV 上昇したので、35週臍帯穿刺行ったところ、Hb6.9g/dlのため帝王切開施行、児Hbは7.5g/dlであった。(結論)MCA-PSV測定は胎児貧血の推定と胎児輸血の治療効果の指標として有用であることが示唆された。

36-73 経腟プローブでのエラストグラフィーを用いた妊娠各時期における子宮頚管硬度の評価

重富 洋志, 成瀬 勝彦, 重光 愛子, 伊東 史学, 大野木 輝, 吉澤 順子, 吉田 昭三, 佐道 俊幸, 小林  浩

奈良県立医科大学 産婦人科学教室

 【目的】相対的組織硬度を描出するエラストグラフィーによって、妊婦の子宮頚管における部位別の硬度を比較し解析した。【対象と方法】妊婦46名について、日立メディコ社製EUB-7500および経腟プローブEUP-V53Wを用いて相対的硬度を記録。外子宮口、内子宮口、頚管腺周囲、組織中央、頚管外側の5領域に分け、5段階のスコアリングを行い、16週以前、〜24週、〜32週、33週以降に分けてMann-Whitney U testで検定した。【結果と】頚管腺周囲はどの週数でも軟であった(p<0.01)。16週以前では外子宮口が内子宮口に比し柔らかく(p<0.05)、33週以降でも同様の傾向にあった(p=0.058)。逆に16〜32週で内子宮口の方が柔らかかった8例のうち、後に切迫早産を発症したものが2例あった。【結論】エラストグラフィーで認める内・外子宮口の硬度差は切迫早産の予測につながる可能性がある。

36-74 助産師外来における助産師による超音波「検査」の有用性について

中村 博昭, 田原 三枝

大阪市立住吉市民病院 産婦人科

 目的:医師不足に伴い、当院では3年前より妊娠24週以降のローリスク妊婦で希望者に対し助産師外来を実施している。助産師も胎児の心拍や胎位確認等を目的として、超音波「検査」を行っている。ただ、異常発見が主目的ではなく、他部門の検査とは意味合いが異なるため、現状について検討した。対象と方法:助産師外来を担当する助産師11名にアンケートを行い、超音波検査の有無、施行内容や技術向上に対する意識調査を行った。結果と考察:全員が超音波を用い、項目は心拍、胎位、顔(100%)、性別(82%)、大きさ(36%)、異常の有無(18%)であった。目的は「異常や状態悪化の発見」よりも「母児の愛着形成」であり、研鑽については「行っている」が89%で、「超音波検査士」制度についても82%が「知っている」、44%が「取得したい」と、関心が高かった。結論:今後助産師外来に対するニーズの高まりにつれ、超音波検査の研鑽の重要性が示唆された。

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腎・泌尿器

座長: 伊藤 吉三 (京都第二赤十字病院 泌尿器科)

秋山 隆弘(堺温心会病院  泌尿器科)

36-75 超音波ガイド下生検にて診断しえた肺癌両側腎転移の一例

篠田 康夫1, 山田 恭弘1, 矢野 公大1, 伊藤 吉三1, 大江 宏2, 三上 正嗣3, 井上 政昭3, 平川 賢3

1京都第二赤十字病院 泌尿器科, 2学研都市病院 泌尿器科, 3京都第二赤十字病院 超音波検査室

 【症例】62歳男性【現病歴】1年7ヶ月前に肺非小細胞癌(T4N1M0)と診断され化学療法、放射線療法を施行しPRの効果を認め外来通院していた。昨年9月にCTで両側腎臓に造影効果の乏しい内部不均一な径約3cmの腫瘍を認めた。超音波断層法でも内部不均一でhypovascularな所見であった。肺癌の腎転移が疑われ超音波ガイド下に針生検を施行した。免疫染色上、癌細胞は34βE12とp63が陽性、CK7とCK20、TTF-1がいずれも陰性で、同時に染色した肺の生検組織と同じ染色パターンであり転移として矛盾しない結果であった。【考察】転移性腎腫瘍は剖検例ではしばしば認められるが生存中に診断されることは比較的稀である。今回われわれは超音波ガイド下生検により診断しえた。【結語】腎腫瘍は画像検査のみでは原発性と転移性の鑑別が困難なこともあり、最終的には経皮的腎腫瘍生検が有用であった。

36-76 膀胱憩室穿孔による腹膜炎の一例

綿貫 裕, 住ノ江 功夫, 林 愛子, 上山 昌代, 玉置 万智子

姫路赤十字病院 生体検査課

 (症例)20歳後半女性。(既往歴)バイクで事故、右人工股関節。(現病歴)3日前の早朝突然の下腹部痛出現。1昨日より腹部全体が痛み、急病センター受診、昨日近医受診し超音波検査にて多量の腹水を指摘され、当院紹介となる。嘔吐認めず、排便認めるが、排尿困難。(検査所見)UN 45.6mg/dl, CRTN 4.94mg/dl, CRP 6.80mg/dlであった。(画像所見)腹水多量に認め、膀胱頭側に30mm大の憩室を認めた。詳細に観察すると憩室に10mm大の欠損部認め憩室穿孔を疑った。UCGにて穿孔を確認した。

36-77 バルーン法エラストグラフィによる前立腺癌診断

落合 厚1, 沖原 宏治2, 浮村 理2, 鴨井 和実2, 本郷 文弥2, 河内 明宏2, 三木 恒治2

1愛生会山科病院 泌尿器科, 2京都府立医科大学 泌尿器科

 目的:バルーン法を用いた経直腸的real-time tissue elastography (TRTE)はこれまでのフリーハンド圧迫法に比べ、圧迫断面のずれの抑制、圧迫範囲の広角化などが可能となった。本法での生検前癌病巣検出能、画像描出における問題点につき検討した。方法:前立腺針生検を予定された106例を対象とした。年齢とPSAの中央値(IQR)は67歳(60-73歳)、7.6 ng/ml (6.1 - 11.9 ng/ml) 。生検前に経直腸的超音波断層法B-mode、バルーン法TRTEを行った。結果: 生検で41例(39%)が前立腺癌と診断された。TRTEの癌病巣検出能は感度51%、特異度72% であった。結論:バルーン法TRTEでは画像の描出は容易となったが、バルーンによる多重エコー、辺縁領域での信号減弱などの問題も出現した。TRTEのみ陽性の場合には偽陽性の割合が高かった。

36-78 腎細胞癌に対するソナゾイド造影超音波法

齊藤 弥穂1, 平井 都始子1, 丸上 永晃1, 吉田 美鈴1, 山下 奈美子1, 武輪 恵1, 伊藤 高広1, 大石 元1, 平尾 佳彦2

1奈良県立医科大学付属病院 中央内視鏡超音波部, 2同 泌尿器科

 目的:腎細胞癌の質的診断に対するソナゾイド造影超音波法の有用性を検討した。対象と方法:ソナゾイド造影超音波検査を施行した腎細胞癌7症例 (Clear cell ca. 4例、Cystic RCC 1例、Papillary RCC 2例)。装置はGE LOGIQ7、4Cコンベックスプローブを使用、coded phase inversion モードで観察。ソナゾイドは0.01ml/Kg体重を静注。MI値は0.2程度に設定。結果と考察: Clear cell ca.は全例に流入する豊富な腫瘍血流と早期からの濃い濃染像が明瞭に捉えられた。壊死部は濃染内欠損部として鮮明に描出された。嚢胞型腎細胞癌では、隔壁部分や充実部分が早期より濃く濃染し、悪性を示唆することができた。本法は、腫瘍血流の流入状況、濃染態度を容易に繰り返し観察できる点で、有用と考えられた。腎病変診断に対する本手法の適応拡大を期待する。

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体表など

座長: 加藤 保之 (大阪医療刑務所 医療部)

椿森 省二(ハイメディッククリニックWEST 臨床検査課)

36-79 横隔膜交通症(PPC)の診断に超音波検査を用いた持続腹膜透析(CAPD)の2症例

津田 恭子, 林 研, 大矢 麻耶

耳原総合病院 内科

 PPCはCAPD患者の約1.6%に認められるが、USを用いたCAPD患者のPPCの報告例はない。我々は、USによりPPCを確認した2症例を経験したので報告する。【症例1】75歳男性。1997年CAPD開始。2008年8月より左胸水貯留を認め、12月下旬入院。糖濃度、乳酸高値の胸水を認めPPCが疑われた。RI検査ではPPCは証明できず、USで呼気時に間欠的に腹腔から胸腔への液体流入を認めPPCと診断した。胸腔鏡下手術にて横隔膜の菲薄部を補強し、以後左胸水の増加を認めずCAPDを継続している。【症例2】71歳男性。2001年CAPDを開始したが、2008年7月血液透析(HD)へ変更。2009年1月より腹水が出現し硬化性被嚢性腹膜炎(SEP)が疑われ3月上旬入院。入院14日目より左胸水が急速に増加し、胸水、腹水とも同様の性状であり、USで症例1と同様の所見を認めPPCと診断した。SEPの改善に伴い腹水、胸水とも減少傾向であり、保存的に経過をみている。【結語】USはPPCの確認に有用である。

36-80 軟部組織に浸潤を認めた悪性リンパ腫の1症例

北川 尋基1, 山本 将司1, 山崎 正之1, 山中 裕子1, 田村 美貴1, 高見 諭加子1, 越知 博之1, 岡 洋子1, 杉山 裕之2

1大阪府済生会野江病院 検査科, 2同 内科

 症例は63歳女性.2009年5月上旬に右頬部の腫脹に気づき,その4日後に胸痛,意識消失にて当院救急外来に搬送された.この時施行された造影CTにて心筋壁・胃壁の不規則な肥厚と縦隔,傍大動脈,肝門部,食道・右副腎周囲に腫瘍を認め,腸腰筋腫大を認めた.心エコーにて心筋壁に腫瘍を数か所と心膜液の貯留を認めた.また,視触診にて右頬部,右鼠径部に腫脹を認め,腹部・体表エコーにて,右頬部,右鼠径部とCTで指摘された部位に不均一な腫瘍を認めた.その後病状の進行とともに胸水の貯留を認め,腫瘍の門脈および胆嚢浸潤が疑われた.悪性リンパ腫や悪性腫瘍の転移が疑われ,胸水細胞診,鼠径部腫瘍生検が施行された.細胞・組織診にてB細胞性リンパ腫(びまん性大細胞型)と診断された.今回我々は,比較的まれと言われている軟部組織浸潤を認めた悪性リンパ腫の1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.

36-81 体表の異物をエコーで確認できた2例

長谷川 桂子1, 高島 勉2, 藤岡 一也1, 武田 節子1, 加藤 保之3

1大阪市立大学医学部附属病院 中央臨床検査部, 2同 腫瘍外科, 3大阪医療刑務所 医療部

 <症例1>40歳、男性。右示指に異物が迷入し来院される。目視にて異物が貫通したと思われる穴を2つ認めたが、異物を確認出来なかった。X線撮影にて描出されなかった異物は超音波検査にて確認できた。異物は木片であった。<症例2>40歳、男性。頸部に異物が混入し来院される。体表面より確認できず、X線、超音波検査にて描出された。異物は23G注射針であった。症例1,2ともに体表面より確認できないため超音波下にて鉗子で異物を把持し抜去した。X線では静止画像のみの描出となり、木片などの異物は描出されず、X線透視は解像度が低く小さな異物の確認は困難である。超音波検査はリアルタイムに任意の方向に描出できるため、異物を鉗子で把持し抜去するところも確認できる。超音波検査は体表異物の確認や除去に有用と思われた。

36-82 治療終了後の悪性リンパ腫無治療完全寛解の表在リンパ節の大きさの検討

松野 徳視1, 吉岡 二三2, 宮崎 さや子1, 三栖 弘三1, 廣山 規子1, 高倉 玲奈2, 高野 保名2, 井岡 達也2, 田中 幸子2

1地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター 臨床検査G, 2同 検診部

 はじめに:我々は悪性リンパ腫(ML)の臨床病期決定時から完全寛解した症例の表在リンパ節(SLN)の大きさを報告した。最近治療終了後経過観察例が増加している。目的:ML完全寛解治療終了後のSLNの大きさを求める。対象及び方法:対象は、2007年に完全寛解で治療終了していたML67例46リンパ節である。@長径A横径B厚み径C厚み径/長径比D境界の明瞭度EエコーレベルFリンパ門域の広さG血流検出の有無を検討した。結果:SLNの長径は16.2±6.5oであった。横径及び厚み径について、上頸部リンパ節群では、それぞれ11.7±4.7o、6.2±2.3oとそれ以外のリンパ節群では、10.7±5.2o、5.1±1.5oであった。結論:無治療完全寛解例の記録されたリンパ節は以前の報告例よりやや大きかった。大きいSLNは境界不明瞭やリンパ門域が広いSLNが多かった。詳細を検討したい。

36-83 Sonazoid造影USが腫瘍血管描出に有用であった肺扁平上皮癌の一例

浜崎 直樹1, 今井 照彦1, 柴 五輪男1, 北村 友宏1, 空 昭洋2, 林田 幸治2, 吉田 和弘2, 鴻池 義純3, 山本 佳文4, 木村 弘4

1済生会奈良病院 内科, 2同 臨床検査部, 3平成記念病院 内科, 4奈良県立医科大学 内科学第二講座

 症例は77歳の女性。肺膿瘍で加療するも改善しないので近医より紹介された。胸部CTでは、肺膿瘍が疑われたが、当科でも抗生物質の投与が無効のため気管支鏡検査で肺扁平上皮癌と診断した。肝転移検索の時に胸部病変にSonazoid造影USを施行した。病変内部にパワードプラ法やB-Flow colorでは血流信号がほとんど描出できなかったが、Sonazoid造影USでは屈曲、蛇行する腫瘍血流信号が描出され、腫瘍血管構造が明瞭に示された。

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動静脈

座長: 濱口 浩敏(神戸大学医学部  神経内科)

佐藤 洋 (京都大学医学部 検査部)

36-89 超音波検査を機にPaget-Schroetter症候群を診断しえた一例

馬場 昭好1, 大森 崇宏1, 浅井 奎子1, 武智 紀一2

1医療法人社団石鎚会田辺中央病院 臨床検査科, 2同 循環器内科

 【はじめに】Paget-Schroetter症候群とは、胸郭出口症候群を原因とする鎖骨下静脈血栓形成の病態を指す。今回超音波検査にて鎖骨下静脈血栓を認め、それを機にPaget-Schroetter症候群と診断しえた症例を経験したので報告する。 【症例】66歳、男性、既往歴は特になし。10日前より原因不明の右腕腫脹、しびれを認め整形外科を受診。整形外科的に問題はなく当院循環器科に紹介となった。Lab dataは白血球数 5900/μl、CRP 0.17mg/dl、D-dimer1.4μg/mlであった。超音波検査を施行し右鎖骨下静脈に一部器質化した血栓像を認め、その後精査にてPaget-Schroetter症候群と診断された。現在は症状も治まり経過観察中である。 【結語】原因不明の右腕腫脹からPaget-Schroetter症候群と診断される過程で、検査の第一選択として超音波検査は有効であった。

36-90 下肢静脈血栓症から肺塞栓症に至った一例

中野 佑美, 岩田 邦子, 堀 友美, 元田 博子, 米田 智也, 佐藤 洋, 土井 孝浩

京都大学医学部附属病院 検査部

 53歳男性、肺腺癌(stageIV;骨、脳、頸椎転移)と診断された患者の経過観察中にD-dimerの上昇(31.9μg/ml)を伴う下腿浮腫を認めた。下肢静脈超音波検査にて両側ひらめ静脈、腓骨静脈、左後脛骨静脈に血栓を検出、深部静脈血栓症と診断。血栓はエコー輝度が高く器質化しており可動性を認めず、また原疾患の予後も考慮して、IVCフィルターの留置を行わず、ワーファリン投与にて経過観察となった。3週間後、食事時に急な呼吸困難を来し、造影CTにて肺塞栓症と診断された。今回我々は、深部静脈血栓症を合併し、積極的にIVCフィルター留置を行うか、または経過観察するかの判断に苦慮した肺腺癌末期の症例を経験した。深部静脈血栓は心エコー図にて既知であったため、肺塞栓を発症した際には診断と治療が迅速に行われた。安静を強いられる患者の肺塞栓症の予防には超音波検査によるこまめなフォローが必要と考えられた。

36-91 頸動脈エコーで確認した特発性両側椎骨動脈解離の一例

福住 典子1, 濱口 浩敏2, 今西 孝充1, 高坂 仁美1, 沖 都麦1, 林 伸英1, 木下 承晧1, 河野 誠司1, 熊谷 俊一1

1神戸大学医学部附属病院 検査部, 2同 神経内科

 目的:頸動脈解離は脳梗塞の原因として注意すべき病態である.今回我々は頸動脈エコーで診断できた,特発性両側椎骨動脈解離による脳梗塞症例について報告する.症例:34歳男性.突然のめまい,嘔吐で入院.入院時に頭部MRI上脳梗塞巣を認めなかったが,翌日のMRIで左小脳梗塞を認めた.MRAで左椎骨動脈遠位部に動脈解離像を認め,同部位からの脳梗塞と診断した.第8病日のMRIで右小脳半球に新たな梗塞巣を認めたが,MRAでは右椎骨動脈に異常を認めなかった.精査のため頸動脈エコーを施行.右椎骨動脈C5横突起前後に限局性の内腔狭小化を認め,同部位の動脈解離による脳梗塞再発と診断した.抗血栓治療を継続し,約1ヶ月後にはC5/6間で内部輝度が上昇,C4/5間で狭窄は認めなくなった.半年後には正常化した.結論:頭蓋外動脈解離の場合,頸動脈エコーで診断,経時的変化を追うことができるため,疑って精査をすることが重要である.

36-92 左鎖骨下動脈高度狭窄に対するステント留置術の評価を頸動脈エコーで行った一例

高坂 仁美1, 濱口 浩敏2, 今西 孝充1, 沖 都麦1, 福住 典子1, 林 伸英1, 木下 承晧1, 河野 誠司1, 熊谷 俊一1, 藤田 敦史3

1神戸大学医学部附属病院 検査部, 2同 神経内科, 3同 脳神経外科

 目的:大動脈弓部分枝の狭窄病変に対して血管内治療を行う際,狭窄部位の評価は血管造影によるところが大きい.従来頸動脈エコー検査で評価することは困難であったが,最近の超音波装置の性能向上により正確な評価が可能となってきた.今回左鎖骨下動脈(SCA)狭窄病変に対して,周術期をエコーで評価できた一例を経験したので報告する.症例:79歳男性.左上肢しびれ,血圧の左右差,動作時のふらつきにて入院.頸動脈エコーで左椎骨動脈(VA)波形の逆流パターンを認めた.左SCA起始部に加速血流を認め,左上腕動脈血流は狭窄後パターンを呈した.血管造影では左SCA起始部に86%狭窄を認め,左VAは右VAから逆流していた.ステント留置術施行後,いずれの症状も改善した.エコー上,左VA血流は順行性に変化し,ステント内腔の開存,上腕血流の改善を確認した.結語:左SCA狭窄例においても,エコー検査は術前術後の評価に有用である.

36-93 腕頭動脈狭窄に対するステント留置術の評価を頸動脈エコーで行った一例

沖 都麦1, 濱口 浩敏2, 今西 孝充1, 高坂 仁美1, 福住 典子1, 林 伸英1, 木下 承晧1, 河野 誠司1, 熊谷 俊一1, 藤田 敦史3

1神戸大学医学部附属病院 検査部, 2同 神経内科, 3同 脳神経外科

 目的:エコーによる腕頭動脈の評価は,検査者の技量や超音波装置の性能等の問題により困難とされてきた.今回,頸動脈エコーによりステント留置前後で腕頭動脈起始部の血流状態及び末梢側での波形パターンの改善を確認できた一例を報告する.症例:54歳男性.上肢血圧の左右差を契機にMRAを施行し,腕頭動脈狭窄と診断.頸動脈エコーで腕頭動脈狭窄部の血流速度は約3.8m/secと加速しており,右総頸動脈,上腕動脈の血流波形は狭窄後パターンを呈していた.ステント留置術後,エコー上ステント内血流は良好に描出でき,右総頸動脈,上腕動脈の血流波形はいずれも正常パターンに改善した.結論:頸動脈エコーは通常,断層像とドプラ波形を組み合わせることで狭窄の治療前後の評価を行う.本例のようにエコーを駆使することにより,腕頭動脈起始部まで観察することが可能であり,同部位でのステント留置前後の評価にも頸動脈エコーが有用であると思われる.

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