日本超音波医学会

地方会抄録号

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社団法人日本超音波医学会第35回関西地方会学術集会抄録教育講演

教育講演 | シンポジウム 『心機能評価:最近の装置の技術革新を臨床にどう活かすか?』 |
パネルディスカッション 『造影エコーの現状と未来 ‐造影イメージから病態解明へ‐』 | ランチョンセミナー |

一般演題
消化器1(新技術・基礎) | 消化器2(小児・その他) | 産婦人科 | 泌尿器・腎 | 消化器3(膵臓(1)) | 消化器4(膵臓(2)) |
消化器5(造影・胆嚢膵臓) | 体表(甲状腺・乳腺・体表) | 消化器6(造影 その他) | 消化器7(肝・胆管(1)) |
消化器8(肝・胆管(2)) | 循環器1(心臓(1)) | 循環器2(心臓(2)) | 血管 | 消化器9(造影・腫瘍(1)) | 消化器10(造影・腫瘍(2)) |
消化器11(造影・腫瘍(3)) | 消化器12(腫瘍(4)) | 循環器3(心臓(3)) | 循環器4(心臓(4)) |
循環器5(心臓(5)) | 循環器6(心臓(6)) | 循環器7(心臓(7)) | 循環器8(心臓(8)) | 消化器13(上部消化管(1)) |
消化器14(上部消化管(2)) | 消化器15(下部消化管) | 消化器16(造影・消化管) |

第12回関西地方会講習会 『超音波所見から学ぶ病態』

教育講演

座長: 西口修平 (兵庫医科大学内科肝胆膵科)

泉 並木 (武蔵野赤十字病院副院長消化器科部長)

『C型肝炎から早期肝癌の診断と治療の進歩』

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シンポジウム 『心機能評価:最近の装置の技術革新を臨床にどう活かすか?』

座長: 藤本眞一 (奈良県立医科大学)

中谷 敏 (大阪大学大学院医学系研究科)

35-S-1 病態把握への新技術の応用 虚血心への応用

岩倉克臣

桜橋渡辺病院心臓血管センター

 負荷エコー法はRIに匹敵する精度で心筋バイアビリティや虚血を診断し得る優れた検査法である.しかし壁運動の変化により診断するため,正確な解釈には術者の経験を要する.心エコー技術の進歩は壁運動の評価の半自動化し,定量化することを可能にした.このような技術を負荷エコーに応用することで,より簡便かつ客観的な診断が可能になる.その一つがリアルタイム3Dエコーによる局所駆出率の計測であり,もう一つが半自動的に左室各領域の最大ストレイン値を算出しうるautomated functional imaging(AFI)である.これらの方法では局所の壁運動をbull's eye表示することにより,結果を理解しやすい形で提示する.これらの新技術を薬剤負荷と組み合わせることにより,RI同様の結果をRIよりも迅速かつ簡便に得ることが可能となる.これにより本邦でも負荷エコー法が広く普及することを期待したい.

35-S-2 病態把握への新技術の応用 心不全への応用

神﨑秀明

国立循環器病センター心臓血管内科

 心不全の重症度を表現するのに,一般的には,左室のポンプ機能を意味する左室内径短縮率や駆出率,左室機能低下にともなう左室内径や左室容積が用いられるが,病態を把握するのには,ポンプ機能のみでは十分とはいえない.なぜなら,心不全患者の日常生活の質に大きな関わりを持つ運動耐容能や長期予後については,左室の収縮性以上に,左室の拡張特性が大きな影響を与えることが知られるようになったからである.さらに左室の拡張能は,左房にも反映されることから左房機能の評価にも注目が集まっている.そして,心不全治療の一つとして心臓再同期療法(両心室ペーシング)が一般的になり,最近では同期不全が第3の要素として心不全の病態把握のために重要となってきた.
 本演題では,技術の発達により,心エコー法で評価が可能となった収縮性の新たな指標や,普及しつつある拡張性・同期不全の指標について,新技術がどのように応用されているか概説する.

35-S-3 病態把握への新技術の応用 高血圧心,心筋症への応用

中尾伸二, 合田亜希子, 吉田千佳子, 大塚美里, 川端正明

兵庫医科大学循環器内科

 高血圧患者においては左室拡張能の低下を早期よりきたすことが知られている.収縮末期から拡張早期30%の時相における拡張の低下の程度を組織ドプラ法,2Dスペックルトラッキング法,CK法などの新しい技術により計測することにより左室拡張能の定量化が可能となった.
 肥大型心筋症おいては肥大のみならず線維化が見られ,予後との関連が示唆されている.
 2Dスペックルトラッキング法はさまざまなストレイン値(radial, longitudinal, circumferential, )を計測できるだけでなく,心筋のねじれ,回転の評価も可能である.線維化の部分はストレイン値やねじれ,回転が低下しておりこのあたらしい技術により心筋の組織性状の評価が可能となった.

35-S-4 日常検査における新技術の活かし方 組織ドプラ・ストレイン法

山本哲志

神戸大学臨床検査部

 超音波ドプラ法は速度の測定に用いられる.従来のドプラ法は対象を血液に設定し,血流速度の測定に用いられ,心拍出量の推定や左室拡張能の評価に応用されてきた.このドプラ法の対象を心筋に設定し,心筋が収縮や拡張する速度を測定する方法が組織ドプラ法である.僧帽弁輪部の拡張早期心筋運動速度は,最近頻繁に用いられる組織ドプラ指標であり,僧帽弁通過血流速度と組み合わせることで,より詳細な左室拡張能の情報を提供してくれる.しかし,この組織ドプラ法を用いて局所心筋の機能評価をする際には周囲組織や心臓全体の動きによる影響が問題となる.この問題点を解決する方法がストレイン法である.ストレイン法は,近接する2点間の心筋速度情報より,局所心筋の収縮能や拡張能を評価する新しい方法で,より微細な壁運動の障害を見出すことができる.我々の施設での使用例を紹介し,これらの方法の有用性や問題点を概説しようと思う.

35-S-5 日常検査における新技術の活かし方 3Dエコー法

川井順一

神戸市立医療センター中央市民病院臨床検査技術部

 リアルタイム3次元心エコー法は,心臓の立体的構造をリアルタイムに描出することが可能である.リアルタイム3次元心エコー法では,心臓局所の3次元画像をリアルタイムに描出したり,多断面の2次元画像を同時に描出することができる.また,数心拍を連続スキャンすることで心臓全体の3次元画像を構築し,それに割面を設定することで観察したい3次元画像を描出することができる(フルボリューム・モード).リアルタイム3次元心エコー法の臨床適用は,左室容量計測などの心機能評価や,弁(僧帽弁,大動脈弁)や先天性心疾患などの病変部位の形態評価である.さらに専用のソフトウェアを併用することで,僧帽弁輪動態を評価することも可能である.
 本セッションでは,当院におけるリアルタイム3次元心エコー法の使用状況について報告し,また日常検査で使用していく上で克服しなければならない問題点などについて解説する.

35-S-6 日常検査における新技術の活かし方 断層トラッキング法

杉岡憲一, 穂積健之, 小川景太郎, 葭山 稔

大阪市立大学大学院医学研究科循環器病態内科学

 断層組織トラッキング法は,任意の関心領域を自動的に追随する方法として開発された.本法を左室心筋に適用することにより,左室の局所収縮能や壁厚変化率を自動計測することが可能である.さらには,本法を用いて左室心筋収縮ストレインを自動解析することにより,左室局所壁運動評価への応用も期待できる.本講演では,最近の我々の臨床的検討結果をふまえて,日常検査での断層トラッキング法による左室局所壁運動評価への活かし方について考えてみたい.

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パネルディスカッション 『造影エコーの現状と未来 ‐造影イメージから病態解明へ‐』

座長: 松田康雄 (八尾徳洲会総合病院肝胆道外科)

平井都始子 (奈良県立医科大学中央内視鏡・超音波部)

35-PD-1 肝細胞癌におけるSonazoid®造影超音波検査Kupffer phaseの至適時間に関する検討

今井康陽1, 小来田幸世1, 岩崎哲也1, 澤井良之1, 福田和人1, 黒川正典1, 関  康2, 宇戸朋之2, 高村 学2

1市立池田病院消化器科, 2市立池田病院放射線科

 【目的】慢性肝疾患におけるSonazoid®投与後の門脈内Time Intensity Curve(TIC)を求め,肝細胞癌のKupffer phase評価の至適時間を検討した.【方法・成績】慢性肝疾患20例のSonazoid®0.0075ml/Kg静注後60分間の門脈内TICの検討では,10,20,30,60分後の門脈内Sonazoid®停滞率は51.8±12.7%,31.6±12.4%,23.4±11.5%,7.6±5.7%であった.SPIO造影MRIで取り込み低下を認めた肝細胞癌51結節中44結節で10分後にKupffer phaseで欠損像を示したが7結節では10分後で明らかな欠損像を示さず30分後に欠損像を示した.【結論】Kupffer細胞機能,門脈血流のある程度保たれている肝細胞癌でのKupffer phaseを評価する時間としては投与10分後では十分でない可能性が示唆された.

35-PD-2 Sonazoid®造影超音波検査による肝細胞癌および前癌病変の検討

齋藤正紀, 飯島尋子, 西口修平

兵庫医科大学内科肝胆膵科

 【目的】Sonazoid®を用いて肝細胞癌(HCC)とdysplastic nodule(DN)のVascular phaseとKupffer phaseを評価し,その鑑別と分化度診断の有用性を検討した.【対象・方法】組織学的に診断したHCC219症例(292結節),DN66症例(115結節)を対象とした.Sonazoid®造影超音波検査のVascular phaseはdynamic CTと,Kupffer phaseは腫瘍と腫瘍周囲の染影程度を比較した.【結果】HCCのVascular phaseでは動脈優位相でhypervascular が57/59結節(97%),門脈優位相で hypovascularが38/50結節(76%),DNでは動脈優位相でhypovascularが14/19結節(74%),門脈優位相でisovascularが16/18結節(89%)であった.HCCのKupfferphaseでは高分化型はisointenseが,中・低分化型はhypointenseが多く,DNでは isointenseが多かった.【考察】HCCの分化度診断や前癌病変との鑑別は,Vascularphase,Kupffer phaseでの総合評価が必要である.

35-PD-3 各種肝腫瘤のソナゾイド®造影超音波による質的診断評価

前川 清1, 横川美加1, 前野知子1, 市島真由美1, 畑中絹世2, 矢田典久2, 井上達夫2, 南 康範2, 鄭 浩柄2, 工藤正俊2

1近畿大学医学部附属病院中央臨床検査部腹部超音波室, 2近畿大学医学部消化器内科

 【はじめに】ソナゾイド®による肝腫瘤の造影超音波検査をPhase-inversionを用いた低音圧送信(MI=0.2〜0.3)にて2次高調波信号を画像化する方法に行っています.今回,我々は平成19年1月〜平成20年1月の間に造影超音波検査を実施した症例を用いて造影剤の流入・流出を測定し,各腫瘍の染影態度を分類したので報告する.【方法】超音波装置はLOGIQ7(GE横河)を用いた.撮像条件はPhase-inversion HarmonicによるCPI-modeを用いて,Depth 15cm,MI 0.2,Focus point 1点に設定した.尚,造影剤の注入量は0.010ml/kgに調整した.【結果】肝細胞癌は早期の濃染がみられ,時間経過ともにDefectを示した.転移性の肝癌症例では早期から中心部まで強く濃染が見られるものと周辺にのみ強い濃染が見られる症例に別れ,Defectは肝細胞癌症例に比して早い時相で見られた.FNHでは早期の強い染影とPost phaseでの染影の持続が見られた.

35-PD-4 肝細胞癌スクリーニング検査におけるソナゾイド®造影超音波検査の位置づけ

新垣直樹, 玉井秀幸, 森 良幸, 一瀬雅夫

和歌山県立医科大学消化器内科

 【目的】造影エコーはガイドライン上,肝細胞癌(HCC)診断のオプション検査として位置付けされているが,どのような症例に用いるべきか検討した.【対象と方法】造影CTにてHCC疑診または確診115例に対しソナゾイド®造影エコーを施行.使用機器はTOSHIBA社製Aplio XV.【結果】造影CTで古典的HCCと確診された81例中5例は造影エコーで確診できなかった.1例は深部病変で造影効果がなく,4例は後期相の欠損がなかった.造影CT疑診34例中濃染するも欠損しない症例は25例で,その内13例が造影エコーにより確診できたが,濃染がなく欠損する疑診例9例で確診された例はなかった.造影CTでは確診されるがBモードで見えない症例は5例あり,そのうち4例が造影エコーで確診できた.【結語】造影CT確診例ではBモードで描出不良例に対し,疑診例では濃染するが平衡相で欠損しない例に対して造影エコーを行うべきである.

35-PD-5 超音波造影剤Sonazoid®を用いた造影ハーモニックEUS

坂本洋城, 北野雅之, 工藤正俊

近畿大学医学部附属病院消化器内科

 【目的】EUSは最も空間分解能に優れている画像診断法であるが,造影による実質撮像が困難であった.我々は,造影ハーモニックモードを搭載したEUS装置を開発し,その臨床的有用性を検討した.【方法】2007年3月より2008年6月までに膵疾患が疑われた255例を対象に,造影ハーモニックモード(ExPHD)対応のEUS装置を用いて造影ハーモニックEUS検査(CEH-EUS)を行った.Sonazoid®15μl/kgを静脈内投与後,リアルタイムで観察し造影パターンと病理診断を対比し,CEH-EUSによる診断能を評価した.【成績】MDCTではTS1膵癌2例,IPMN2例,内分泌腫瘍1例が描出されなかったが,CEH-EUSでは膵腫瘍全例に血流評価が可能であった.全ての膵癌において腫瘍内血流が認められたが,90%がhypovascularであった.膵癌診断における感度,特異度および正診率は,それぞれ90%,85%および89%であった.【結論】CEH-EUS検査は,病変の内部構造を明瞭に描出することが可能であり,膵の小病変の存在および鑑別診断に重要な役割を担うと考えられる.

35-PD-6 ソナゾイド®造影頸動脈超音波検査の有用性についての検討

斎藤こずえ1, 上野 聡1, 平井都始子2, 大石 元2

1奈良県立医科大学神経内科, 2奈良県立医科大学中央内視鏡・超音波部

 【目的】頸動脈超音波検査におけるソナゾイド®造影超音波の有用性について検討した.【対象】内頸動脈狭窄または閉塞10例,大動脈炎症候群2例,頸動脈解離1例の計13例.【方法】GE LOGIQ7,9Lプローブを使用.0.01ml/Kgのソナゾイド®を投与し,coded phase inversion,MI値0.2程度で観察した.【結果】本法により,通常のカラードプラ法やBモード法では描出困難な索状物やflapが明瞭に描出され,プラークの形状が的確に把握可能となった.プラーク内や閉塞した血管内腔,大動脈炎症候群の壁肥厚部へ流入する血流も流入方向(内膜側からの流入か外膜側からの流入か)も含め観察可能であった.【考察とまとめ】ソナゾイド®造影超音波により,血管内腔の評価だけでなくプラークや血管壁内の血流も鮮明に観察でき,本法は今後,血管炎の活動性評価やプラーク内新生血管の評価などに対して有用性を発揮しうることが示唆された.

35-PD-7 表在領域における造影エコーの現状

位藤俊一, 水野 均, 飯干泰彦, 山村憲幸, 杉村啓二郎, 藤井亮知, 楠本英則, 中川 朋, 岸本朋也, 伊豆蔵正明

りんくう総合医療センター市立泉佐野病院外科

 体表領域の腫瘍やリンパ節に対する超音波診断は,Bモード画像による評価が基本であるが,カラードプラなどバスキュラリティの評価が質的診断に有用である.通常のカラードプラにて血流評価が困難な腫瘍においても,レボビスト®やソナゾイド®による造影超音波により血流評価が可能となり得る.表在領域のソナゾイド®による造影超音波検査に関しては,当院のIRBでの承認を得た後に開始した.今回,乳癌を中心に表在領域診断における造影超音波によるバスキュラリティ評価を試みた.現在,乳腺甲状腺領域において,日本乳腺甲状腺超音波診断会議を中心とした多施設共同試験が進行中である.現時点での表在領域における造影超音波検査の臨床的意義,問題点を報告する.
 使用装置:GELOGIQ 7,東芝APLIO XG, 50.造影mode: レボビスト®造影ではCHA or ADF.ソナゾイド®造影では,CPI or PS low.MI値:レボビスト®造影では0.9‐1.6.ソナゾイド®造影では0.2前後にて検討した.

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ランチョンセミナー

座長: 山川 誠 (京都大学大学院工学研究科)

35-LS-1 さまざまなプローブの使用用途(有用性)について

鈴木秀樹

アロカ株式会社

 現在,エコーは内科,外科,泌尿器科,小児科,産婦人科,整形外科,救急などさまざまな領域で使用されています.アロカでは約100種類ほど各診療科でのご使用用途に合わせて探触子を開発しており,『こんなプローブあるの?』と聞かれることもあります.
 今回はその一部をご紹介させていただきたいと思っております.

35-LS-2 Volume Navigationの有用性について

小笠原正文

GE横河メディカルシステム株式会社

 新製品に搭載されたCTやMRIのボリュームデータを用いて,超音波画像と同一断面のMPR画像を並列表示する機能の有用性について紹介する.
 診断から治療効果判定まで応用することが可能であり,トレーニングツール機能としての側面も紹介する.

35-LS-3 造影超音波の最前線

吉新寛樹

東芝メディカルシステムズ株式会社超音波開発部

 現在臨床で用いられる超音波造影剤SonazoidTMは,MI値0.2程度の中低音圧送信で映像化されるため,バブルを壊さずに持続的に観察可能であり,また意図的にバブルを壊して再び流入するバブルを観察するFlash-Replenish法も利用可能である.上記手法と組み合わせたMicro Flow Imaging(MFI)により,より微細な血管の映像化が可能となり有用な診断情報を提供している.さらに,造影超音波は低侵襲治療時や術中においても活用されるようになり,治療支援のためのモニタや術式検討時の有用な情報としても期待されている.最近では4D超音波装置にも造影モードが対応され,立体的な血流動態の観察や3次元的な治療効果の評価に応用されている.今後は定量的な解析により,治療効果判定やびまん性肝疾患の診断にも寄与することが期待される.今回これらの技術について報告を行う.

35-LS-4 日立超音波診断装置 最新技術紹介

篠村隆一

株式会社日立メディコUSシステム本部

 超音波診技術の進歩には著しいものがあり,腹部や循環器科のみならず整形外科などの新しい領域にも適用されるようになった.更には,病変部位の確定診断や,術前・術中のナビゲーションなど多岐にわたる様々な可能性に関して研究開発が行われ,その一部は既に臨床の場での評価を頂きつつある.当社においても世界に先駆けて,(1)固さを画像化するReal-time Tissue Elastography(以下,RTE),(2)CTやMR画像との融合を実現するReal-time Virtual Sonography(以下,RVS),などの新技術の製品化を行った.そして,それら技術は単一の診断領域に留まらず,色々な各診断領域へと広がりを見せつつある.今回は,RTEとRVSを中心に最新の進行状況やトピックスに関してご報告をさせて頂きたい.
 注 「Real-time Tissue Elastography,Real-time Virtual Sonographyは,日本における日立メディコの登録商標です」

35-LS-5 超音波診断装置の最新技術 〜Bモード画質改善から3Dへの展開〜

小崎正博

株式会社フィリップスエレクトロニクスジャパン超音波営業部営業技術

 弊社は近年超音波診断装置の技術革新においてBモード断層画像の改善に取り組んで参りました.今回,最新の音速補正技術により腹部領域から表在領域まで,より困難であった深部の分解能向上から微小構造の分解能向上による画質改善の試みと,最近では3Dもより微小構造をいかに分解能良く表示できるかと言うことで努力して参りましたのでその技術をご紹介致します.
 超音波の画像がどこまで真の解剖学的画像に迫れるか,今後の目指していく方向性を示唆しながら努力していく次第です.

35-LS-6 Virtual Palpation(仮想触診)

斎藤雅博

持田シーメンスメディカルシステム株式会社Marketing部

 超音波の最新テクノロジーを用いて組織の硬さを客観的に調べる技術が実用化されてきた.Virtual Palpation(仮想触診)とも言える新しいアプリケーションを2種類,簡単に紹介する.
 eSie Touch(イージータッチ)Elasticity Imaging
 プローブによる圧迫をほとんど意識しなくてもよい程の高感度を実現し,画像再現性の向上を図った.また映像化の信頼性を示すインジケーター(クオリティファクター)の同時表示によって,さらに安定性と再現性が向上した.
 Virtual Touch Tissue Imaging / Quantification
 収束超音波パルスの音響放射圧によって組織に微小変位を起こさせ,硬さを映像化する.検者の技能に依存せず,比較的深部までも映像化できるのが特長.この,Acoustic Radiation Force Impulse(ARFI)という新しい技術を応用して,組織の硬さの定量測定にも成功した.

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一般演題

消化器1(新技術・基礎)

座長: 椎名 毅 (京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻)

田中弘教 (兵庫医科大学病院内科肝胆膵科・超音波センター)

35-1 Tele-USシステムを用いた腹部血流測定のリアルタイム遠隔教育

阪上順一1, 2, 清水 豊4, 小薮一弥4, 辻井貫也4, 福森博之5, 保田宏明1, 若林直樹3, 光藤章二1, 片岡慶正1, 吉川敏一1,

1京都府立医科大学消化器内科学, 2京都府立医科大学附属病院中央診断部・超音波室, 3京都九条病院消化器内視鏡センター, 4(株)島津製作所, 5島津エスディー(株)

 【目的】当科主導の京都府消化器センター構想のひとつとして,遠隔超音波画像診断があげられる.島津製作所医用機器事業部技術部との共同研究で超音波遠隔診断システム:Tele-USを構築し,遠隔での超音波検査をリアルタイムで走査・診断することを目的としている.Tele-USでは,デジタル直接変換によるMPEG2リアルタイム圧縮と配信を行い,PCからリモートキー操作が可能である.今回このTele-USを用いた腹部血流測定のリアルタイム遠隔教育の初期稼動を行なった.【対象と方法】腹部血流測定の経験のない若年医師による走査を超音波専門医がTele-USを介して遠隔から走査補助を行なった.【結果と考察】超音波専門医と若手医師はヘッドセットにより交信し,肝動脈血流などを容易に測定できた.【結論】ソノグラファーへの教育や若手医師に対するスキルアップとして,Tele-USシステムは非常に有用なツールとなりえる.

35-2 新しい他画像参照モードの使用経験

山下奈美子1, 平井都始子1, 丸上永晃1, 吉田美鈴1, 弓場文麿1, 齋藤弥穂1, 伊藤高広2, 武輪 恵2, 大石 元1, 橋本 浩3

1奈良県立医科大学中央内視鏡・超音波部, 2奈良県立医科大学放射線科, 3GE横河メディカルシステム株式会社超音波研究室

 あらかじめ収得したCTやMRIのボリュームデータを用いて,超音波走査画像に同期して同一断面のMPR像を仮想的に並列表示するシステムは,肝腫瘍の治療への応用だけでなく表在臓器への応用も進んできている.今回,GE社製超音波装置に搭載された他画像参照モードを使用し,正常ボランティアの腹部や表在臓器への応用の可能性を検討し,あわせて有用性が示唆された代表症例を提示する.現在は,主に他画像を参照してUS像を確認する目的で用いられているが,一方では,CTとPETのフュージョン画像のように形態情報と機能情報を併せ持った画像の応用も進んできている.将来,USも含めた多種類の画像や過去画像の参照が,自在にできるようになれば,各種画像からの情報を組み合わせた詳細な検討や正確な治療効果判定などが可能になると思われる.

35-3 振幅変調法を用いた造影モードの使用経験

平井都始子1, 丸上永晃1, 山下奈美子1, 吉田美鈴1, 弓場文麿1, 齋藤弥穂1, 伊藤高広2, 豊原眞久3, 大石 元1, 橋本 浩4

1奈良県立医科大学中央内視鏡・超音波部, 2奈良県立医科大学放射線科, 3奈良県立医科大学消化器内科, 4GE横河メディカルシステム株式会社超音波研究室

 目的:GE社製超音波装置に搭載された振幅変調法による造影超音波を施行する機会を得たので,その特徴について報告する.対象と方法:肝腫瘍4症例に対し振幅変調法による造影超音波を施行し,良好な造影効果が得られる深度と,組織からの信号の影響について評価した.結果:腹部用コンベックスプローブで約15cm,表在用高周波リニアプローブでは約8cmまで良好な造影効果が得られた.振幅変調法では位相変調法であるCPIモードに比べて組織からの信号が抑えられ,コントラストの良好な造影効果が得られ,特に高輝度病変の造影効果の認識が容易となった.考察とまとめ:振幅変調法は位相変調法に比べてより深部まで良好な造影効果が得られ,組織からの影響を受けにくい傾向が確認され,このことより,高輝度病変や深部病変に対する造影超音波に有用と考えられた.また高周波プローブによる造影超音波が普及することが示唆された.

35-4 振幅変調法によるソナゾイド®造影超音波撮像法の使用経験

前川 清1, 畑中絹世2, 矢田典久2, 南 康範2, 鄭 浩柄2, 工藤正俊2

1近畿大学医学部附属病院中央臨床検査部腹部超音波室, 2近畿大学医学部消化器内科

 中〜低音圧系超音波造影剤ソナゾイド®による造影超音波検査が開始されて約2年間が経過しつつあります.現在,超音波造影検査はPhase-inversionを用いた低音圧送信にて2次高調波信号を画像化する方法が主に用いられている.しかし,高輝度を呈する結節や深部に関心領域がある場合は,前者では造影剤の流入が不明瞭,また,後者では減衰が強く画像化が難しい事例にしばしば遭遇します.我々はLOGIQ-E9に新しく搭載された振幅変調法を用いた超音波造影剤撮像法は基本波で送受信を行うためPhase-inversionに比べて高い信号が得られる.また,中心周波数を変化させることも可能で特にSensitivityやPenetrationの改善が期待でき,プローブの帯域の中心で送受信も可能であり,高周波プローブの造影も期待できる.今回,検討の機会を得たので報告する.

35-5 Sonazoid®造影超音波検査Kupffer phaseによる肝細胞癌の検出‐SPIO造影MRIとの比較検討

今井康陽1, 小来田幸世1, 関  康2, 宇戸朋之2, 福田和人1, 澤井良之1, 岩崎哲也1, 黒川正典1, 高村 学2

1市立池田病院消化器科, 2市立池田病院放射線科

 【目的】Sonazoid®を用いた造影USのKupffer phaseとSPIO造影MRIによる肝細胞癌の検出を比較検討した.【方法】Sonazoid®造影US,SPIO-MRI両者を施行した乏血性12結節を含むHCC56結節を対象とした.【成績】HCC56結節中,造影US Kupffer phaseで40結節(71%)にて欠損像を示し,SPIO造影MRIでは36結節(64%)に取り込みを認めず,造影US Kupffer phaseの方がより検出感度が高い傾向にあった.また,少数例においてEOB-MRIとも比較したが,EOB-MRI肝細胞相は造影US Kupffer phaseより高い検出を示す傾向にあった.【結論】肝細胞癌の検出においてSonazoid®を用いた造影USはSPIO造影MRIと同等あるいはそれ以上の検出率を示し,肝細胞癌の診断に有用であると考えられた.

35-6 肝腫瘍のSonazoid®造影におけるメカニカル4D超音波の使用経験

吉本直喜1, 肥塚明日香1, 山平正浩1, 吉田昌弘1, 東浦晶子1, 柴田陽子1, 橋本眞里子1, 赤尾憲二3, 西口修平2, 飯島尋子2

1兵庫医科大学病院超音波センター, 2兵庫医科大学病院内科・肝胆膵科, 3東芝メディカルシステムズ兵庫サービスセンター

 メカニカル4D超音波は,Volume rateが少なく,4D画像作成の操作性が複雑であるという問題点が挙げられるが,ソナゾイド®造影により局所療法の治療支援や効果判定での有用性が期待されている.私達は今回,目的に応じたレンダリング方法や表示方法を検討し,その有用性について報告する.使用機種は東芝メディカル社製AplioXG,プローブはPVT-382MV,モードはPS-LOW 3.5MHzまたは4.0MHzを使用した.今回は肝硬変による側腹血行路,肝細胞癌の症例において,Sonazoid®造影下で4D撮像を行い,MIP法,VR法,その他4Dにより得られる多断面表示法および容量計測法の各症例に対する適性について検討を行った.今回の少数例の使用経験から,腫瘍内の血流分布は多断面表示が視認しやすく,栄養血管は4DのVRかMIPが視認しやすく,直行する三断面から得られる腫瘍の容積データは,肝腫瘍の血管構築,特に治療支援および治療評価に寄与すると考えられた.

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消化器2(小児・その他)

座長: 内山正三 (OMMメディカルセンター検診部)

井谷智尚 (西神戸医療センター消化器科)

35-8 小児膀胱腫瘍の1症例

綿貫 裕1, 林 愛子1, 貝阿弥裕香子1, 松下容子1, 松井 隆1, 上山昌代1, 辻井一行1, 玉置万智子1, 藤澤正義2, 小川隆義3

1姫路赤十字病院検査部生体検査課, 2姫路赤十字病院病理, 3姫路赤十字病院泌尿器科

 症例は8歳女児,肉眼的血尿精査にて超音波検査施行した.膀胱に15mm大の有茎性腫瘍を認め,中心部に拍動性血流シグナルを認めた.内視鏡的に切除され,病理所見は炎症性病変でありFibroepithelial polypと診断された.

35-9 胆汁性嘔吐をきたした小児の腹腔内腫瘤の二例

小形恵子1, 簑輪和士1, 小畑美佐子1, 宮越千智2, 宇佐美郁哉2, 田村 亮3

1神戸市立医療センター中央市民病院臨床検査技術部, 2神戸市立医療センター中央市民病院小児科, 3神戸市立医療センター中央市民病院外科

 症例1;0歳女児 発熱,胆汁性嘔吐を主訴に来院.腹部USにて肝の足側,右腎の正中寄りに径5cmの内部不均一な腫瘤を描出した.呼吸による移動性はなく後腹膜腫瘍と診断した.腫瘤は十二指腸水平部を圧排しており,胃は著明に拡張していた.CTにても同様の所見であった.症例2;8歳女児 胆汁性嘔吐を主訴に来院.発熱,腹痛なし.腹部USでは下腹部に径10cm弱の境界明瞭な腫瘤を認め,内部には可動性を有するdebrisが充満していた.腫瘤は膀胱,直腸の頭側にあり卵巣由来のものが疑われた.また,胃・十二指腸に拡張を認め,空腸には拡張がないことからこの間の通過障害が疑われた.CT・MRでは,腹部に腫瘤を認め中腸軸捻転が疑われた.開腹手術施行し,腸回転異常はなく径15cm程の腸間膜のう胞があり,これにより小腸間膜が捻転していた.

35-10 慢性リンパ性白血病に併発し経過を観察し得た多発性腹腔内リンパ節腫張の1例

藤原宗典1, 浜崎直樹2, 内間 司1, 鴻池義純3, 森澤陽子1, 八段良実1, 川中瑠衣1

1平成記念病院超音波検査室, 2済生会奈良病院, 3平成記念病院内科

 慢性リンパ性白血病に併発した腹腔内リンパ節腫張のUS像は,あまり報告されていない.今回我々は慢性リンパ性白血病に併発した多発性腹腔内リンパ節腫脹を初診時より経過を観察し得た1症例を報告する.症例は82歳,女性,平成15年12月に慢性リンパ性白血病と診断し治療開始,平成17年4月に発熱を訴え再来院.腹部超音波検査では初診時より肝門部を中心とする腹腔内にリンパ節の著明な腫張を観察した.

35-11 MTX使用中のRA患者に発生した肝・脾腫瘤の一例

笹木優賢1, 巽 信之1, 井上 太1, 杉田宗治1, 田畑玲子1, 山田陽子1, 佐藤麻里子1, 芳浦千佳1, 金子 晃2, 久保光彦2,

1NTT西日本大阪病院臨床検査科, 2NTT西日本大阪病院消化器内科

 近年,メトトレキサート(MTX)使用中の関節リウマチ(RA)患者に副作用の一種として,リンパ増殖性疾患(MTX-LPD)が発生する症例が報告されている.今回,我々はMTX使用中のRA患者に発生した肝・脾腫瘍の一例を経験したので報告する.患者は70歳,男性.H15年にRAを発症し,同時期よりMTXにて加療中であった.H20年4月に血液・生化学検査で貧血 及び 肝障害を認め,腹部USを施行.肝には低エコー腫瘍の多発を認めた.更に,脾には多発する等エコー腫瘍の存在を強く疑った.US所見より転移性腫瘍やリンパ腫等を疑い,精査目的の為,入院となった.血液・生化学検査の異常の為,MTXを中止したところ,肝機能の改善と共に,肝・脾の腫瘍の縮小・消失を認め,MTX-LPDと臨床診断した.MTX使用中のRA患者に腹部USを施行する際には,MTX-LPDも念頭におくべきである.

35-12 遊走脾の2例

中島祐子1, 平井都始子2, 廣橋里奈1, 西峯 潔1, 津島寿一3, 細井亮二4, 前田哲生5, 村上 修5, 吉川公彦6, 大石 元2

1済生会吹田病院放射線科, 2奈良県立医科大学中央内視鏡・超音波部, 3八尾徳洲会総合病院放射線科, 4八尾徳洲会総合病院超音波室, 5八尾徳洲会総合病院外科, 6奈良県立医科大学放射線科

 遊走脾は急性腹症の原因となる稀な疾患であるが,画像は特徴的で,疾患概念を理解していれば診断は比較的容易である.症例1;7歳男性.腹痛精査の目的で施行した造影CTで骨盤右側に腫瘤影を認めた.通常の位置に脾臓が見られないことと,腫瘤の形態が脾臓と類似していたことにより遊走脾と診断.経過観察で症状は改善した.USでは骨盤内膀胱頭側に脾臓を認め,カラードプラ法で脾実質に良好な血流を認めた.脾動静脈は脾門部から上腹部へ走行し,それぞれ腹腔動脈と門脈へ連続していた.膵体尾部には固定不全を認めた.症例2;17歳女性.左下腹部痛で救急外来を受診.US,CTで左下腹部に腫瘤を認めた.通常の位置に脾臓が見られず,腫瘤の形態から遊走脾と診断した.カラードプラ法で脾門部から脾実質への血流がみられず,造影CTでは脾動脈の途絶,捻転がみられた.遊走脾の茎捻転による脾梗塞と診断し脾摘出術を施行した.

35-13 脾腫瘤性病変の2症例

三羽えり子1, 岩崎信広1, 杤尾人司1, 簑輪和士1, 小畑美佐子1, 今井幸弘2, 森美奈子3, 藤田幹夫4, 杉之下与志樹4, 猪熊哲朗4

1神戸市立医療センター中央市民病院臨床検査技術部, 2神戸市立医療センター中央市民病院臨床病理科, 3神戸市立医療センター中央市民病院免疫血液内科, 4神戸市立医療センター中央市民病院消化器センター内科

 【症例1】70歳代 男性.H18.11月,他院CTにて膵尾部・脾に腫瘤性病変を指摘され,精査加療目的にて当院紹介となった.腹部USでは,脾上極に径7cm大,膵尾部に径4.5cm大の腫瘤が認められた.Gaシンチでは同部に一致して集積像認められ,悪性リンパ腫が疑われた.脾腫瘍摘出術・膵体尾部および左横隔膜合併切除術が施行され,病理診断ではDiffuse large B-cell lymphomaであった.【症例2】60歳代 女性.H19.9月,左上腹部痛にて他院受診.CTにて脾腫瘍を指摘され,精査加療目的にて当院紹介となった.腹部USでは転移性腫瘍が疑われたが,原発も否定できず同年12月PET施行したところ胸部食道に集積像を認めた.内視鏡で1型+ II c病変(中分化型扁平上皮癌)認め,食道癌および脾転移性腫瘍と診断.放射線治療を開始した.9クール後の現在,主病変・脾腫瘤とも縮小傾向にある.

35-14 骨盤内腸骨筋内ガングリオンの1例

阪上順一1, 2, 片岡慶正1, 保田宏明1, 鈴木教久1, 長谷川弘人1, 信田みすみ1, 谷口浩也1, 馬場武彦1, 土佐正俊1, 吉川敏一1

1京都府立医科大学消化器内科, 2京都府立医科大学附属病院中央診断部・超音波室

 【症例】60歳半ば,女性.【主訴】右下腹部痛.【家族歴,既往歴】特記すべきことなし.外傷歴なし.【現病歴】約2年前から時折右下腹部に鈍痛を自覚していたが放置していた.半年前から右下腹部痛が強くなり当院を受診した.【身体所見】右下腹部に可動性のない雀卵大の腫瘤を触知.腫瘤は弾性硬で軽度の圧痛を認めた.【血液学的検査】特記事項(-).【入院後の経過】腹部超音波検査にて,右骨盤内腸骨筋に接して嚢胞性病変を認めた.嚢胞壁に肥厚や結節はなく,CD/PDにて血流豊富な部位は見られなかった.正診に至らず自発痛・圧痛が持続することから外科的切除を実施した.嚢胞はゼラチン状物質で満たされており,仙腸関節滑膜と連続していた.切除標本のHE染色では嚢胞壁は滑膜細胞に裏打ちされた厚い線維性間質で構成されており,仙腸関節から発生した骨盤内腸骨筋内ガングリオンと診断した.腹部領域に発生したガングリオンは稀であり報告する.

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産婦人科

座長: 千葉喜英 (Womens Clinic千葉産婦人科)

中井祐一郎 (大阪市立大学院医学研究科生殖発生発育病態学(産婦人科学))

35-15 胎児スクリーニングにおける形態異常検出率についての検討

芳野奈美1, 大川朋子1, 田坂知子1, 磯部美苗1, 竹村秀雄2

1小阪産病院医療技術部超音波室, 2小阪産病院医局

 当院は東大阪市にある61床の産科・婦人科の専門病院であり1年間に約2000件のローリスク分娩を取り扱っている.NICUや新生児外科を持たない産科施設では胎児異常の発見が重要と考え超音波室における胎児スクリーニングの充実には努力して来た.現在超音波室には日本超音波医学会認定の超音波検査士が4名おり,当院受診の妊産婦すべてを対象にした4回のスクリーニング検査と,医師の指示による産科・婦人科の精密検査を行っている.2001年からチェックリストの使用と胎児心臓のスクリーニングを開始し,それまで低率であった先天性心疾患の検出にも力を入れてきた.2001年1月〜2006年12月の6年間に当院で胎児超音波スクリーニングを行った12348例を対象に胎児形態異常検出率についての検討を行った結果,胎児形態異常の総数は333例(有病率2.70%)出生前に検出できたのは184例,検出率は55.3%であった.

35-16 子宮収縮時における子宮動脈血流波形の検討

田原三枝1, 松本万紀子1, 西本幸代1, 中井祐一郎2, 石河 修1, 西尾順子3

1大阪市立大学大学院医学研究科女性病態医学, 2大阪市立大学大学院医学研究科生殖発生発育病態学, 3泉大津市立病院産婦人科

 【目的】子宮収縮時の子宮動脈血流変化を明らかにする.【対象と方法】対象は37週以降の妊婦88例で,内訳はオキシトシンチャレンジテスト(OCT)中22例,分娩誘発中26例,自然陣痛中40例である.パルスドプラ法により子宮動脈血流波形を得,resistance index(RI)を用いて評価を行った.【結果と考察】間欠時では分娩誘発例と自然陣痛例のRIは有意差を認めず,子宮収縮中は分娩誘発例のRIが自然陣痛例より高かった.拡張末期血流の途絶・逆転はOCT例では分娩誘発例より多く発生したが,自然陣痛例と分娩誘発例とでは有意差がなかった.【結論】分娩誘発例で拡張末期血流の途絶・逆転が減少するのは,子宮下部伸展と子宮体部収縮という分娩進行時の子宮筋層の変化によって,子宮血流が維持されるためと考えられるが,分娩進行中の子宮収縮の強度変化は,オキシトシン誘発による子宮収縮と自然陣痛とでは異なっている.

35-17 母体搬送によるレーザー吻合血管焼灼術(FLP)実施例の検討

西尾順子1, 田原三枝2, 松本万紀子2, 西本幸代2, 中井祐一郎2, 高橋雄一郎3, 西原里香3, 川鰭市郎3

1泉大津市立病院産婦人科, 2大阪市立大学大学院医学研究科生殖発達医学大講座, 3国立病院機構長良医療センター産婦人科

 重篤な双胎間輸血症候群は稀であるが,胎児成熟度によってはFLPが必要な場合がある.本法可能な施設は偏在しているものの一定の充足をみており,搬送と前後の母児管理が問題となる.今回我々は2例の搬送によるFLP例を経験したので,問題点について考察したい.症例は妊娠15週に羊水不均衡を認め,妊娠16週に長良センターに紹介受診し,即日入院の上17週にFLPを実施,妊娠21週に帰阪した.妊娠34週,突然の基準心拍数乖離と血流波形の変化を認め,帝王切開を実施した.症例19週に羊水不均衡を認め,長良センターに救急搬送した.直ちにFLPが実施されたが,子宮収縮制御が困難かつ一児死亡に至り,妊娠25週ヘリコプターにて帰阪搬送されるも,受入れ施設のNICU満床のため陣痛発来後,他施設への搬送後分娩に到った.MD双胎の管理は経験豊かな産科医が行うべきでありかつ後送施設には充分なNICUが不可欠であると考えられた.

35-18 胎児動脈管早期収縮症(PCDA)の一例

登尾 薫1, 深谷 隆2, 殿畑友恵1, 佐藤信浩1, 内田浩也1, 山野愛美1, 堀川里紀1, 前西文秋1

1西神戸医療センター臨床検査技術部, 2西神戸医療センター小児科

 胎児動脈管早期収縮症(premature constriction of ductus arteriosus:PCDA)は,胎児の動脈管が母体内で収縮し,完全閉塞もしくは狭窄を起こすことにより生じる比較的まれな疾患である.母体の抗炎症薬服薬や胎児複雑心奇形が原因にあげられるが,今回私たちは特発性PCDAの一例を経験したので超音波所見を中心に報告する.症例は在胎35週5日の男児.母体妊娠経過中に服薬歴なし.産科の定期診察時に右室拡大を指摘され,精査目的で胎児心エコー検査を施行した.右室の拡大,三尖弁逆流,動脈管通過血流の加速を認め,PCDAに伴う右心不全と診断し,緊急帝王切開を行った.出生後,患児は酸素や利尿剤投与で浮腫や呼吸状態の改善が得られた.PCDAは出生後様々な臨床像を呈するため,胎児心エコーでPCDAの早期診断・管理を行うことで,児の予後改善につながると考えられる.

35-19 胎児動脈管早期閉鎖の出生前超音波診断

藤澤秀年

京都府立医科大学大学院医学研究科産婦人科学

 目的)胎児動脈管早期閉鎖の出生前診断の確定に至った動脈管の連続性血流の所見を提示する.対象)症例は近医に妊婦健診通院中35週で胎児の右心系の拡大を認めエプスタイン奇形を疑い当科へ紹介された.結果)胎児心の精査で重度の三尖弁逆流を認め右心房,右心室の拡大を認められた.右心室の壁は肥厚し心のう液の貯留が認められ,右心室のの壁の可動性の低下と右室圧の著名な上昇があった.肺動脈は拡張も狭窄はみられず肺動脈弁も正常であり,動脈管の連続性の血流を確認胎児動脈管早期閉鎖と診断,帝王切開となり3104gの男児を娩出した.結論)我々は日常的に肺動脈,動脈管の血流速度波形を観察し拡張期には血流が途絶していることを確認している.今回我々は他の所見から動脈管早期閉鎖と診断,動脈管の狭窄からくる連続性血流から診断確定した.

35-20 胎盤母体面に母体血によって貫流される巨大無エコー領域を認めた一例

西本幸代1, 田原三枝1, 松本万紀子1, 中井祐一郎2, 石河 修1, 西尾順子3

1大阪市立大学大学院医学研究科女性病態医学, 2大阪市立大学大学院医学研究科生殖発生発育病態学, 3泉大津市立病院産婦人科

 妊娠19週により胎盤後壁の50%程度を占める無エコー領域を認め,空隙内は血液の動きを示唆する所謂fine echoによって充満されていた.カラードプラ法でもその一部は描出可能であった.無エコー領域の最大径は7cmを超えていたが,子宮収縮に伴い3cm以下まで縮小した.B-flow法では,少なくとも6か所の母体側噴出口と2か所の流入路が確認された.その一部はカラードプラ法でも描出可能であり,パルスドプラ法で母体心拍と同期する波形が確認された.更に超音波造影剤投与により,動脈相において無エコー領域を母体血が充満するのが観察された.MRIの所見からは,常位胎盤早期剥離が疑われた.児の体重は400gを超えた時点で完全な発育停止となり,妊娠32週子宮内胎児死亡が確認された.娩出時には,胎盤の部分剥離時に鮮紅色の多量の出血をみたが,胎盤の娩出とともに止血した.

35-21 娩出の可否に苦慮した一絨毛膜一羊膜性双胎の一例

松本万紀子1, 西本幸代1, 田原三枝1, 中井祐一郎2, 石河 修1, 西尾順子3

1大阪市立大学大学院医学研究科女性病態医学, 2大阪市立大学大学院医学研究科生殖発生発育病態学, 3泉大津市立病院産婦人科

 MM-twinは双胎の1%であり,結合体,臍帯の相互捻転などの特異な病態のほか,双胎間輸血症候群の存在の可能性がある.しかしながら,その診断はMD-twinにおける診断基準の流用が不可能であり,更なる検討が必要であると考える.今回我々はMM-twinの管理中に,急激な血流速度波形の変化と2児間におけるその差異の出現およびCTG上の基準心拍数の解離から急性双胎間輸血症候群に類似した病態が発生したと解し,緊急帝王切開術を施行した一例を経験したので報告する.自然発生の逆shuntの存在を考慮すれば,このような例に対して急速遂娩が必要であったかどうかは不明であり,今後MD-twinの双胎間輸血症候群を含めて,逆shuntやreversal of TTTSについて更なる検討が必要であると考える.

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泌尿器・腎

座長: 秋山隆弘 (近畿大学医学部堺病院泌尿器科)

落合 厚 (愛生会山科病院)

35-22 超音波断層法(カラードプラ法)により診断し得た膀胱破裂の1例

谷口英史1, 大石正勝1, 廣田英二1, 伊藤吉三1, 大江 宏2, 三上正嗣3, 井上政昭3, 平川 賢3

1京都第二赤十字病院泌尿器科, 2学研都市病院泌尿器科, 3京都第二赤十字病院超音波検査室

 症例は49歳 女性,酩酊状態で階段から転落転倒し当院救命センターに救急搬送された.膀胱留置カテーテルを挿入しところ肉眼的血尿を認めた.尿路損傷を疑い腹部CTを施行したが腎損傷を認めず,腹水と膀胱内に凝血塊を認めた.腹部超音波断層法(カラードプラ法)で膀胱頂部で膀胱内と腹腔内への交通を認めた.膀胱鏡で膀胱頂部に約3cmの亀裂を認め,膀胱造影で造影剤が火炎状に膀胱外へ流出していた.腹腔内膀胱破裂と診断し,膀胱破裂修復術を施行した.術中所見として膀胱頂部に3cmの裂傷を認め,腹膜にも裂傷を来たし腹腔内への交通を認めた.術後の経過は良好である.

35-23 精索水腫内腫瘤にて発見された進行性S状結腸癌の一例

落合 厚1, 荒金英樹2, 閑啓太郎2

1愛生会山科病院泌尿器科, 2愛生会山科病院外科

 64歳男性.既往歴として20年前より糖尿病あり.1カ月前頃より左陰嚢部の無痛性腫脹を主訴に当院泌尿器科受診.外鼡径輪より遠位の精索部に透光性のある水腫を認めた.陰嚢部超音波検査では水腫内に隔壁を認め,15×10mmの低エコー腫瘤を認めた.水腫の穿刺吸引は血性で,細胞診クラス II .悪性腫瘍の可能性も考慮し,水腫切除術施行.水腫は精巣上体との連絡性なく,線維性被膜に包まれ,周囲との癒着は認めなかった.水腫内の遠位,近位に充実性腫瘤を認めた.病理結果では高分化腺癌で,消化器系由来が疑われた.その後の大腸ファイバーでS状結腸に全周性狭窄病変を認め,腹部超音波では多発肝転移を認めた.外科にて腹腔鏡補助下結腸切除術施行後,外来通院にて化学療法を継続中である.

35-24 ワセリン自己注入により陰茎部潰瘍を認めた1例

姫田 健1, 藤井秀岳1, 鳥山清二郎1, 稲葉光彦1, 中ノ内恒如1, 本郷文弥1, 藤村大樹2

1京都第一赤十字病院泌尿器科, 2京都第一赤十字病院形成外科

 40歳男性.主訴は陰茎部疼痛.20年前に,陰茎皮下にワセリンを自己注入した.受診4日前より発熱及び包皮の熱感と腫脹が出現.初診時,包皮部より陰茎根部まで全周性に広く硬結を触れ,陰茎左側に潰瘍形成を認めた.触診上,陰茎白膜及び海綿体への浸潤が疑われたが,刺青がありMRIでの評価が困難であったため超音波検査を施行したところ,陰茎海綿体・尿道海綿体は辺縁明瞭であった.形成外科にて全身麻酔下に,潰瘍を形成していた陰茎左側の異物及びその周囲の肉芽組織を摘出した.皮下の硬結を周囲の瘢痕ごと白膜より剥離を進めた.部分的には白膜上で剥離できたが,癒着の強い亀頭周辺は瘢痕内切除となった.皮弁壊死を生じる可能性が高かったため,切除範囲を左半分のみに留めた.術後7日目に施行した超音波検査では,海綿体自体は左右ともに血流良好であった.皮膚壊死を認めたため,現在通院治療中である.

35-25 腎細胞癌術後に膵転移をきたした2例

松野浩司1, 三木之美1, 廣辻和子1, 八十嶋仁2, 本田伸行3

1医真会八尾総合病院臨床検査科, 2医真会八尾総合病院臨床検査科病理, 3寺元記念病院放射線科

 症例1は60歳代男性.当院人間ドックで腹部単純CTをうけ,6cm大の膵尾部腫瘍を指摘され精査目的で入院となった.既往歴は20年前に腎細胞癌にて左腎摘出.入院時の腹部USで膵尾部に約5cm大の境界明瞭で血流豊富な低エコー腫瘤を認めた.腹部造影CT,MRI,血管造影検査が施行され同様の結果であった.膵内ホルモンは正常範囲内で,画像診断,既往により腎癌膵転移が疑われ,膵体尾部脾合併切除術が行われた.病理組織学的に腎細胞癌膵転移と診断された.症例2は70歳代女性.10年前に他院で,腎細胞癌の診断で右腎摘出術を施行.当院での経過観察中,平成20年7月に膵体尾部に3cm大の腫瘤をUS,腹部CTで指摘.腎癌膵転移が疑われたが,本人の同意が得られず,手術は行われなかった.膵腫瘤を認めた場合,膵内分泌腫瘍だけでなく,稀ではあるが転移性膵癌も念頭におく必要があり,腎摘出後の十分な長期経過観察が重要である.

35-26 腎細胞癌膵転移の1例

尾下正秀1, 宮竹英希1, 物部真子2, 高田美紀2, 守安謙志2, 北出和史2, 前田 匡2, 森 宏樹2, 有田 勝2, 辻本正彦2

1大阪警察病院内科, 2大阪警察病院臨床検査科

 症例は44歳男性.当院泌尿器科にて,2000年8月左腎細胞癌で左腎部分切除術を施行した.2007年6月フォローアップのCT検査にて,膵頭部にφ9mm大ののhypervascular tumorを指摘されたため,当科紹介.腹部超音波検査にて,膵頭部に血流豊富な1cm大の低エコー腫瘤を認めた.腹部血管造影では,腹腔および胃十二指腸動脈から濃染される9mm大の腫瘤があり.後上膵十二指腸動脈および前上膵十二指腸動脈の両方から栄養されていた.明らかな血管の不整な狭小化は認めなかった.ERCPでの主膵管造影でも狭窄・不整は認めなかった.幽門輪温存膵頭十二指腸切除を施行し,腎癌膵転移と診断した.腎癌手術後7年目に膵転移をきたした症例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.

35-27 巨大腎動静脈瘻の一例

平原直樹1, 沖原宏治1, 邵 仁哲1, 藤原敦子1, 金沢元洪1, 神農雅秀2, 牛嶋 壮2, 納谷佳男2, 浮村 理1, 三木恒治1

1京都府立医科大学泌尿器科, 2松下記念病院泌尿器科

 60歳,女性.体重減少,腰痛を主訴に内科にて精査,左腎腫瘤指摘され当科紹介となった.既往歴は30年前に十二指腸潰瘍のみで高血圧,腎外傷等の既往は認めなかった.カラードップラー腎超音波検査にて腎門部に拍動性の腫瘤認め,内部エコーは血流豊富であり乱流が認められた.CTにて腎動静脈瘻確認され,3DCTにて瘤を確認し,最大径75mmであった.シャント血管径が大きくIVRにて治療困難と判断し左腎摘除術を施行した.術式は経胸腹式アプローチで左開胸を併用しまず胸部大動脈にテフロンテープをかけ大量出血の際に備えた.出血少量のみで合併症なく腎摘出術終了した.腎動静脈瘻は昨今IVRでの治療が第一選択であるが,今回のような巨大な瘤を有する症例に対しては腎摘除術が有効であると考えられた.

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消化器3(膵臓(1))

座長: 下村壯治 (兵庫医科大学病院内科肝胆膵科)

中村 滋 (長吉総合病院臨床検査科)

35-28 自己免疫性膵炎との鑑別を要した膵原発悪性リンパ腫の1例

壺阪真子1, 岸田 修1, 櫻井元子1, 木下和郎1, 藤本 敬1, 山田 晃1, 西村重彦2, 川端 聡3, 尾羽根範員3, 田上展子3

1財団法人住友病院消化器内科, 2財団法人住友病院外科, 3財団法人住友病院超音波検査

 【症例】35歳男性【現病歴】2008年7月中旬頃から心窩部痛を自覚し近医受診,内服薬で経過観察を行ったが症状改善なく,黄疸が出現してきたため8月初旬当院外科を紹介受診.腹部US上膵全体のエコーレベルの低下と膵管拡張を伴わない膵腫大,総胆管の圧排狭窄,膵周囲の液体貯留と脂肪織の肥厚を認めたため,急性膵炎による閉塞性黄疸疑いにて入院となった.【入院後経過】膵酵素の上昇を認めず腹部所見も軽度であったため,画像所見(造影CT・MRCP)より,自己免疫性膵炎と悪性リンパ腫が疑われたが,IgG4やs-IL2Rの上昇を認めなかった.その後病状の進行に伴い腹水の増加と腫瘤の十二指腸浸潤を認め,細胞・組織診の結果,悪性リンパ腫(Burkittリンパ腫)と診断された.現在血液内科にて化学療法施行中である.今回,膵原発悪性リンパ腫という比較的稀な症例を経験したので,考察を加えて報告する.

35-29 FDG-PET-での集積を契機に精査された自己免疫性膵炎の1例

野辺八重子1, 堀井勝彦2, 猪井治水2, 高萩千賀子1, 中村由加1, 大山重勝1

1大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター臨床検査科, 2大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター消化器・乳腺外科

 症例は70歳代,男性.胸膜肥厚の精査で施行されたPET-CTで膵頭部の異常集積を指摘された.膵鈎部から頭部の腫大を認め,FDG集積を伴い膵癌が疑われた.自覚症状はないが,1年前より糖尿病と診断されインスリン療法を受けている.腹部超音波検査では膵体部は萎縮し,膵頭部に高エコースポットを伴う低エコー腫瘤像を認めた.Dynamic CTでは腫大した膵頭部および萎縮した体尾部に点状石灰化を認め,膵全体が均一に造影をうけていた.MRIでは膵頭部の主膵管は狭小化していたが,膵実質の造影効果はCTと同様であった.腫瘍マーカーは陰性で,IgG 2220mg/dl,IgG4 815mg/dlと高値を示した.以上より,自己免疫性膵炎と診断し,現在経過観察している.

35-30 急性膵炎におけるCT Grade分類とUS所見の対比について

川端 聡1, 田上展子1, 尾羽根範員1, 湊雄美子1, 津村京子1, 岩尾寛子1, 山本浩詞2, 山田 晃3, 西村重彦4

1住友病院超音波検査部, 2住友病院放射線科, 3住友病院消化器内科, 4住友病院外科

 現在,急性膵炎重症度判定の画像所見にはCT Grade分類が用いられ,USによる判定基準は確立されていない.そこでCT Grade分類の判定基準をUS診断にも適用することを試みた.発症後48時間以降ではCTとUSで比較的高率にGradeが一致したが,発症後48時間以内の急性期ではGrade IV症例でUSの過少評価が目立った.これはGradeIVの判定基準の一つである結腸間膜の脂肪壊死をUSではこれまで評価していなかったことが原因と考えられた.一方USは液体貯留に比較的鋭敏で,さらにGradeIV,Vの指標である後腎膀腔や腎下極以遠の後腹膜腔の脂肪壊死についてはほぼ確実に検出できていた.急性膵炎は経時的に病状が変化し,その重症度によって治療方針も異なるため的確な病態把握が重要である.USは繰り返し検査が容易で急性膵炎の経過観察に有用であり,重症化の早期検出に寄与できると考えられた.

35-31 体外式USにおける膵胆管合流部描出の基礎的検討

内田浩也1, 登尾 薫1, 佐藤信浩1, 山野愛美1, 前西文秋1, 井谷智尚2, 奥野敏隆3

1西神戸医療センター臨床検査技術部, 2同消化器科, 3同外科

 【背景】膵胆管合流部は体外式超音波では描出困難な領域とされているが,合流部の描出がなされれば膵胆管合流異常の早期発見につながり,その臨床的意義は大きい.近年,装置の性能が向上しており,合流部の描出も可能ではないかと考え基礎的検討を行った.【対象及び方法】対象は膵頭部が体表より6cm以内に描出され総胆管拡張を認めない成人.膵内胆管,鈎部膵管,Vater乳頭部,膵胆管合流部が描出されるか否か検討を行った.【結果】膵胆管合流部は描出可能であったが,描出不能例の多くは膵管の認識が困難な例であった.【考察】現在,体外式USにおいて,膵胆管合流異常を疑われるものは総胆管拡張像を有する場合が多くを占める.しかし,今回の検討において,総胆管非拡張例でも合流部の描出がある程度可能なことが証明され,今後,体外式USにおいて胆嚢癌合併率の高い胆管非拡張型膵胆管合流異常の拾い上げが期待できる結果であると考えられた.

消化器4(膵臓(2))

座長: 西村重彦 (住友病院)

永井 均 (浅香山病院生理検査室)

35-32 主膵管内進展を伴いIPMCを疑った膵内分泌腫瘍の1例

上田絵理, 仲尾美穂, 福田順子, 鈴木玲子, 石田哲士, 高倉玲奈, 高野保名, 井岡達也, 中泉明彦, 田中幸子

地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター検診部

 高アミラーゼ血症と主膵管拡張の精査目的として紹介された60歳代男性.USでは,頭部の主膵管内に突出する6mm大の隆起を認め,尾側主膵管は尾部まで最大5.6mm径に拡張,体尾部の主膵管内に小石灰化を認めた.膵実質内には腫瘤像を指摘し得ず,膵周囲のリンパ節腫大も認めなかった.EUSでは頭部に18mm大の低〜等エコーの不整形な腫瘤像を認め,主膵管内に連続していた.画像所見よりIPMCを疑った.造影前CTでは腫瘤像は不明瞭であったが,造影早期に濃染する2cmの不整形腫瘤を認めた.EUSFNAにて細胞診で内分泌腫瘍と診断された.膵頭十二指腸切除術を施行.切除標本の病理組織診にて腫瘍細胞は主膵管内に至り,膵管内で増殖する内分泌腫瘍と診断された.今回,主膵管内への浸潤を伴うIPMCを疑った膵内分泌腫瘍の1例を経験したので報告する.

35-33 膵serous cystadenomaの2例

高岡 亮1, 島谷昌明1, 池浦 司1, 小薮雅紀1, 楠田武生1, 福井由理1, 富山 尚1, 関 寿人1, 岡崎和一1, 坂井田紀子2

1関西医科大学消化器肝臓内科, 2関西医科大学病理科

 異なるEUS像を呈した膵serous cystadenomaの2例を報告する.症例1は62歳女性.人間ドックの腹部USにて膵腫瘍を指摘された.CTにて膵体部に2cm大の造影効果を有する充実性腫瘍を認めた.EUSにて腫瘍は境界明瞭,内部等〜低エコーで大部分が充実性でわずかに嚢胞成分を認めた.EUS所見からserous cystadenomaを考え手術を施行し,組織学的に確診した.症例2は72歳女性.腹部レントゲンにて膵石を疑われた.CTにて膵体部に石灰化とその尾側に約3cm大の嚢胞性腫瘍を認めた.EUSにて膵体尾部に,多房性嚢胞(小嚢胞集族と大きな嚢胞)を認めた.小嚢胞集族部に石灰化と低エコー腫瘤を認めた.ERCPでは主膵管との交通は明らかではなかった.膵液細胞診は疑陽性であった.IPMNを第一に考え手術を施行した.組織学的にserous cystadenoma(macrocystic type)であった.serous cystadenomaは典型像のほかに多彩なEUS像を呈することがある.

35-34 著明な膵管拡張を伴った膵島細胞腫瘍の1例

阪下 操1, 岡田 翠1, 石平雅美1, 竹内雅幸1, 田村周二1, 藤本敏明1, 勝山栄治2, 山下幸正3, 木川雄一郎4, 仲本嘉彦4

1神戸市立医療センター西市民病院臨床検査技術部, 2同臨床病理科, 3同消化器内科, 4同外科

 症例は70歳代女性.糖尿病加療のため当院受診.腹部超音波検査にて膵頭部に著明な膵管拡張を伴った低エコー腫瘤を認め,摘出術が施行された.手術所見は通常膵管拡張を伴うことの少ない膵島細胞腫瘍であった.

35-35 長期にわたり経過を追うことのできた膵腫瘍の一例

土井喜宣1, 北山聡明2, 阪本めぐみ1, 上ノ山直人1, 松田高明1, 有吉隆久1, 西林宏之1, 中場寛行3

1国家公務員共済組合連合会大手前病院消化器科, 2国家公務員共済組合連合会大手前病院放射線科, 3国家公務員共済組合連合会大手前病院外科

 症例は66歳男性.B型肝硬変で当科通院加療中,H20年6月HCCスクリーニング目的に施行した腹部MRIで肝内にSOLは認めなかったが膵頭部から体部にかけて径3cmのT1WIで低信号,T2WIで高信号を呈する腫瘤を認めた.ダイナミックCTでは動脈相で膵実質に比べenhanceは弱く,後期相では膵実質と同程度であった.BモードUSでは低エコー腫瘤として描出され,造影USではvascular phaseで染影を認めなかった.またPET-CTではFDG集積亢進を認めた.retrospectiveにMRIを見直すと同腫瘤は2001年より存在し,極めてslow growingな腫瘤であることがわかった.2008年8月膵体部切除,膵尾部空腸吻合術を施行,組織診断は高分化型内分泌腫瘍であった.今回長期にわたり経過を追うことのできた非機能性膵島細胞腫瘍の一例を経験したので報告する.

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消化器5(造影・胆嚢膵臓)

座長: 井岡達也 (大阪府立成人病センター検診部消化器検診科)

山平正浩 (兵庫医科大学病院超音波センター)

35-36 Sonazoid®造影超音波検査が診断に有用であった膵内副脾の一例

牧野祐紀1, 関  康2, 小来田幸世1, 澤井良之1, 福田和人1, 今井康陽1, 黒川正典1, 宇戸朋之2, 高村 学2

1市立池田病院消化器科, 2市立池田病院放射線科

 症例は59歳男性.1993年糖尿病と診断され,2003年インスリン導入されたがその後放置し,今回高血糖のため当科入院となった.腹部超音波検査にて境界明瞭で辺縁整な13×6mmの低エコー腫瘤を認めた.造影CTでは 膵尾部に均一に濃染する腫瘤を認めたが,SPIO造影MRIではSPIOの取り込みを認めたため,膵島腫瘍ではなく副脾が疑われた.次にSonazoid®による造影超音波検査を施行したところ,膵尾部腫瘤は早期濃染を呈し,脾臓と同じtime intensity curveを示した.また,post vascular phaseでも膵尾部腫瘤は脾臓と明らかなエコーレベルの差は認められずTruAgent ditectionにても明瞭な信号を認め,網内系細胞の存在が示唆され,膵内副脾と診断した.以上,Sonazoid®を用いた造影超音波検査が診断に有用であった膵内副脾の一例を経験したので報告する.

35-37 術前に膵粘液性嚢胞腫瘍(MCN)が疑われたsimple cystの1例

信田みすみ, 阪上順一, 鈴木教久, 長谷川弘人, 谷口浩也, 土佐正俊, 馬場武彦, 保田宏明, 片岡慶正, 吉川敏一

京都府立医科大学消化器内科

 症例67歳女性.現病歴:平成7年から結節性甲状腺腫,甲状腺機能低下にて近医通院中,平成19年8月,CT検査にて膵体部に径15mmの嚢胞性病変を指摘された.同年11月CT検査にて膵体部の嚢胞壁の肥厚,壁在結節の出現を認めたため精査加療目的で当科へ紹介受診.超音波検査では膵体尾部移行部に径16.5mmの内部隔壁を伴う円形の嚢胞を認め,嚢胞内嚢胞の形態でMCNが疑われた.ソナゾイド®造影エコーでは周辺膵実質より血流豊富にみえた.EUSとMRIでは膵体部に嚢胞内嚢胞を認めた.以上より,MCNが疑われ平成20年1月に膵体尾部切除が施行された.病理組織所見では膵体部にsimple cyst,膵尾部に1mmのendocrine tumorが認められた.今回我々は,ソナゾイド®で嚢胞内隔壁が造影され,術前にMCNが疑われたsimple cystの1例を経験したので,若干の考察を交え報告する.

35-38 ソナゾイド®造影USが診断の決め手となった胆嚢軸捻転の一例

一宮 学1, 中川貴司1, 土崎 真1, 三原康弘1, 真野和子1, 小林一三1, 谷口敏勝1, 木村 達2, 岡部純弘2, 大崎往夫2

1大阪赤十字病院超音波検査室, 2大阪赤十字病院消化器科

 症例は94才,男性.気管支喘息にて加療中.2007年12月3日早朝,突然心窩部〜右季肋部痛を自覚し,当院救急外来に搬送され観察入院となる.入院時に施行された単純CT(気管支喘息のため造影CTの承諾を得られず)およびBモードUSにて,著明に肥厚した胆嚢壁を認め,胆嚢炎が疑われた.入院時にはCRP0.3mg/dl,WBC8780/μlと低値であったが,翌日,腹痛は更に増強し,CRP6.8,WBC12200と上昇を認めたため,再度USが施行された.Bモードにて胆嚢壁の肥厚に加え少量の腹水の出現を認めた.胆嚢壁の血流評価のため,ソナゾイド®造影USを施行したところ,肥厚した胆嚢壁には全時相でバブルの流入を全く認めず.高度な虚血性変化の存在が示唆され,本疾患を強く疑った.当日,外科にて緊急開腹術が施行され,軸捻転による胆嚢壁の全層性壊死が確認された.

35-39 ソナゾイド®造影エコー法が診断に有用であった膵管癌の1例

新垣直樹, 玉井秀幸, 森 良幸, 前田浩輝, 上田和樹, 曲里浩人, 柳岡公彦, 有井研司, 岡 政志, 一瀬雅夫

和歌山県立医科大学消化器内科

 症例は57歳,男性.閉塞性黄疸にて入院.腫瘍マーカーはCEA,CA19-9は正常範囲内であったが,DUPAN-2は286U/mlと高値を呈した.膵頭部に造影CT動脈相にて2cm大の低吸収域を呈し,平衡相で濃染される境界不明瞭な病変が認められた.主膵管の拡張はみられなかった.超音波内視鏡検査では膵頭部が低エコーを呈したが境界明瞭な腫瘍性病変を指摘できなかった.MRIではT1強調で低,T2強調で高信号を示し,拡散強調画像で淡い高信号,ADCで低信号を呈した.PET-CT検査では明かなFDGの取り込みはなかった.腫瘤形成性膵炎との鑑別が困難であったが,ソナゾイド®造影エコーにて腫瘍の栄養血管および腫瘍の新生血管が描出され,腫瘍全体が均一に濃染された.しかしすぐに造影剤がwash outされ,膵実質より乏血性になった.造影エコーの所見より膵癌と確定診断し,手術を行った.組織学的に浸潤型膵管癌であった.

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体表(甲状腺・乳腺・体表)

座長: 位藤俊一 (りんくう総合医療センター市立泉佐野病院外科)

小林 薫 (隈病院)

35-40 超音波検査にて経過を観察し得た糖尿病性乳腺症の一例

中嶋一恵1, 橋本眞里子1, 柴田陽子1, 東浦晶子1, 藤本泰久2, 村瀬慶子3, 三好康雄3, 飯島尋子1, 4

1兵庫医科大学病院超音波センター, 2医療法人尼崎厚生会立花病院乳腺・甲状腺科, 3兵庫医科大学外科学講座, 4兵庫医科大学肝胆膵内科

 《症例》42歳,女性《既往歴》21歳から2型糖尿病にて加療中《家族歴》特記事項なし平成10年1月に婦人科を受診し,右乳房のしこりを指摘され,乳腺外科に紹介された.超音波検査では,右C領域に横径21×縦径11mmの低エコー腫瘤像を認めた.内部エコーは極めて低エコーを示し,境界部はやや不明瞭,後方エコーはわずかに減弱していた.3ヵ月後および9ヵ月後の超音波検査では変化はみられなかった.細胞診検査ではclass I ,病理組織学的診断ではchronic mastitisであった.平成17年の超音波検査ではA-C領域を中心に約60×60mmの範囲で地図状の低エコー域を認め,左側にもA-C領域を中心に約60×60mmの範囲で後方エコーの減弱を伴う低エコー域を認めた.その間の超音波像の変化を観察できたので,病理組織の結果とあわせて報告する.

35-41 乳腺嚢胞内腫瘤の超音波(US)分類の検討

西澤輝彦1, 池田克実2, 黒川克博1, 坂江優佳1, 石川祐子1, 中通由美1, 横田重樹1, 大内田祐一1, 嶋三恵子1, 小川佳成2

1大阪市立総合医療センター生理機能検査部, 2大阪市立総合医療センター外科

 【目的】嚢胞内腫瘤に対して,実体顕微鏡所見と病理所見の分類として充実型,腫瘤型,内張り型が報告されているが,今回,USで観察された症例についても,実体顕微鏡と同様に良悪性の鑑別が可能かどうか検討した.【対象と方法】1993年から2008年の期間で乳腺嚢胞内腫瘤と診断され,手術を施行された15例に対し,術前US所見を同様に分類し,病理所見と比較検討した.【結果と考察】性別は女性14例,男性1例.良性11例(乳管内乳頭腫9例,乳腺症1例,その他1例.)悪性4例であった.充実型は6例で全例良性であった.内張り型は1例で悪性であった.腫瘤型は8例で良性5例,悪性3例であった.【結論】今回の検討では,実体顕微鏡の分類とほぼ同様であり,USでの観察形態から嚢胞内腫瘤に対して良悪性の鑑別は可能と考えられる.

35-42 乳癌集検用超音波診断装置の開発-広視野Cモード画像表示の検討-

佐藤正和1, 橘内 洋1, 入江喬介1, 小沢智志2, 田川憲男3, 斉藤北茉4, 吉沢昌純4, 本田伸行5, 横井 浩6

1マイクロソニック(株)開発部, 2東京都立大学工学部, 3首都大学東京システムデザイン学部, 4東京都立産業技術高等専門学校ものづくり工学科, 5寺元記念病院, 6横井整形外科

 乳癌の超音波検診では,画像データの取りこぼしがなく,再現性に富み,術者の手技に依らないで安定した画像が得られることが望まれている.また,乳管像(拡張像)を良く観察できることが重要なことから,我々は乳頭を中心に回転走査を行う"超音波プローブ回転走査器"の開発を行い,これまでその経緯と臨床経験について報告を行ってきた.前回は,探触子の傾きを検出して画像を合成する(つなぎ合わせる)ことによって,乳房全体の広視野Bモード像を得ることができた.また,この広視野Bモード像を基に,Cモード像を作成することによって乳房全体のCモードを得ることができた.今回は,画像合成精度の向上と再生(読影)時の広視野Bモード像及びCモード像の連続レビューについて検討した.これらの広視野Bモード像及びCモード像から,乳房全体から見た腫瘍の位置の把握が容易となった.今後,更に画像合成精度向上の検討を行っていく予定である.

35-43 (1)Pendred症候群の1例‐腺腫様甲状腺腫を呈するホルモン合成障害‐

小林 薫, 福島光浩, 深田修司, 網野信行, 宮内 昭

隈病院

 甲状腺の側からみると腺腫様甲状腺腫であるが稀な疾患が隠れていることがある.症例は22歳女性.(主訴)甲状腺腫大(現病歴)13歳時甲状腺腫を指摘された.18歳時,腺腫様甲状腺腫といわれた.21歳時,Pendred症候群といわれた.(家族歴)母:甲状腺腫あり."橋本病"といわれている.(既往歴)18歳より難聴,補聴器使用中.(現症)巨大な甲状腺腫,横径14cm.軟らかい.(血液検査)FT4: 0.72 ng/dl(0.7‐1.6),FT3: 3.69 pg/ml(1.7‐3.7),TSH: 3.195(0.3‐5.0μU/ml),Tg: 4151 ng/ml(<35,TGHA(-),MCHA(-),TgAb 0.3 U/ml(<0.3)(パークロレイト試験)放出率: 45%(正常域:<10‐20%)
 (超音波検査)巨大甲状腺腫:甲状腺内に小さい結節多発,超音波診断: 腺腫様甲状腺腫,体積467cm3(手術)甲状腺全摘:605g(病理)腺腫様甲状腺腫.

35-44 腎細胞癌の甲状腺転移の一例

曽我登志子1, 荒木直子1, 黒田真百美1, 三羽えり子1, 簑輪和士1, 岩崎信広1, 小畑美佐子1, 篠原尚吾2, 石原 隆3, 猪熊哲朗4

1神戸市立医療センター中央市民病院臨床検査技術部, 2神戸市立医療センター中央市民病院耳鼻咽喉科, 3神戸市立医療センター中央市民病院糖尿.内分泌内科, 4神戸市立医療センター中央市民病院消化器センター内科

 【症例】60歳代女性【既往歴】25年前腎細胞癌で腎摘出,10年前肺扁平上皮癌に対し放射線照射と化学療法.【現病歴】2008年2月咳が出現し当院耳鼻科を受診.左頚部に腫瘍を認め甲状腺腫瘍の疑いで超音波検査が施行された.【検査所見】USでは甲状腺左葉は著明に腫大し腫瘍で占有されていた.腫瘍内の内部エコーは不均一でcystic areaも認めた.また左側内頚静脈に充実性腫瘍が充満,内部にRIの高い拍動性血流を認め腫瘍塞栓と診断した.Ga-67シンチグラムで集積なく悪性リンパ腫や未分化癌は否定,吸引細胞診では分化癌が疑われたが組織型は特定できず.MRIで血管浸潤を認め巨大腫瘍であるため手術が施行された.術後の病理診断は腎細胞癌の転移,内頚静脈腫瘍塞栓であった.【考察】甲状腺の転移性腫瘍は稀であるが,甲状腺や静脈内腫瘍塞栓の血流解析が診断に有用であった.【結語】内頚静脈に腫瘍塞栓を伴った腎細胞癌の甲状腺転移の一例を経験した.

35-45 粉瘤と炎症性粉瘤の超音波検査像の相違点のまとめ

中捨克輝, 川久保洋

帝京大学ちば総合医療センター皮膚科

 表在性腫瘍性病変でもっとも頻度の高いもののひとつである粉瘤は表皮に接した球形の皮下腫瘍の臨床像を呈することが多い.超音波検査上,類円形の嚢腫性病変で内部にさざ波状のエコー像を呈し,側方エコーの減弱,後方エコーの増強を伴うとされている.感染などの理由で炎症を起こした炎症性粉瘤は,病理学的に嚢腫壁の破綻と周囲および内部の炎症細胞浸潤,膿瘍形成,血管新生などが見られる.今回われわれは粉瘤と,臨床的に炎症所見を認め,炎症性粉瘤と考えられた症例に超音波検査を施行,その所見の相違点を検証したので報告する.

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消化器6(造影 その他)

座長: 是枝ちづ (関西医科大学消化器肝臓内科)

木岡清英 (大阪市立総合医療センター肝臓内科)

35-46 Sonazoid®造影USで腫瘍血管が描出された転移性肺癌の一例

浜崎直樹1, 今井照彦1, 柴五輪男1, 北村友宏1, 空 昭洋2, 林田幸治2, 吉田和弘2, 瀬口陽子2, 黒田哲平2, 鴻池義純3

1済生会奈良病院内科, 2済生会奈良病院臨床検査部, 3平成記念病院内科

 症例は69歳の女性.平成16年11月の人間ドックで両側肺野に多数の結節影を認め外科的部分切除により子宮体癌よりの転移性肺癌と診断.平成17年3月より様々な化学療法を施行するも平成20年に入って結節影は増大傾向であった.平成20年5月CTで特に右S3の結節影の増大を認め血痰も出現し入院.化学療法前にSonazoid®造影USを施行し右S3の胸膜下の転移巣を観察した.腫瘍内の屈曲する腫瘍血管が詳細に描出された.今までに胸膜下病変に対するSonazoid®造影USの報告はなく,その所見を報告する.

35-47 レボビスト®造影エコー/肝シンチグラフィによるNASHのBMI変化と経過観察

武田聖子1, 是枝ちづ1, 谷野朋子1, 村田美樹1, 梅原秀人1, 池田耕造1, 関 壽人1, 岡崎和一1, 河 相吉2

1関西医科大学消化器肝臓内科, 2関西医科大学同放射線科

 【目的】NASHは潜在性に線維化が進行する.NASHはKupffer 細胞障害陽性である.我々はレボビスト®造影エコーと,肝シンチグラフィはコロイドシンチでKupffer 細胞機能,アシアロシンチで肝細胞機能を併用し評価している.今回BMI変化による経過観察を行った.【対象・方法】肝シンチグラフィは摂取率(%L15),造影エコーは時間輝度曲線の最高輝度(Cmax),半減期(T1/2)をBMIの改善群と不変群で検討した.【結果・結語】改善群でコロイドシンチ%L15,造影エコーのCmax,T1/2共に改善し,不変群でアシアロシンチ%L15は悪化した.NASHのBMI改善はKupffer 機能の改善を示唆した.

35-48 レボビスト®造影エコーによるNASHのKupffer機能の評価

是枝ちづ1, 武田聖子1, 谷野朋子1, 村田美樹1, 梅原秀人1, 池田耕造1, 関 壽人1, 岡崎和一1, 河 相吉2

1関西医科大学消化器肝臓内科, 2同放射線科

 【目的】NASHはKupffer 細胞障害陽性で我々はレボビスト®造影エコーKupffer 相の血流部分の輝度データを階調表示する方法から求めたTime intensity Curve(TIC)と,肝シンチグラフィはコロイドシンチでKupffer 細胞機能,アシアロシンチで肝細胞機能を評価しNASH,Fatty liver(FL)の鑑別,経過観察に用いている.【対象・方法】今回新たに解析ソフトからTICとTICカーブの仮想曲線の輝度差解析を評価した.最高輝度(Cmax),最高輝度に達する時間(Tmax),最高輝度が半減する半減期(T1/2),最小輝度(Cmin)とした.【結果】1)FLに比べNASHでCmax,Cmin低値 T1/2,Tmaxは延長した.2)コロイドシンチはアシアロシンチより低下した.【結語】NASHではFLに比べ気泡の取り込みと保持の低下が示されシンチのKupffer機能低下と対応した.

35-49 Sonazoid®を用いた慢性肝疾患の検討 肝実質相の時間経過による輝度変化の検討

柴田陽子1, 山平正浩1, 吉田昌弘1, 東浦晶子1, 橋本眞里子1, 赤尾憲二3, 田中弘教1, 2, 齋藤正紀2, 西口修平2, 飯島尋子1, 2

1兵庫医科大学病院超音波センター, 2兵庫医科大学肝胆膵内科, 3東芝メディカルシステムズ

 【目的】Sonazoid®による肝実質相(Kupffer phase)の輝度を検討し,健常成人,慢性肝炎,肝硬変患者のKupffer phaseに染影の違いに差があるかを検討した.【方法】対象は,正常群11例(平均年齢53歳),慢性肝炎群18例(平均年齢69歳),肝硬変群16例(平均年齢68歳).Sonazoid®は0.0075ml/kgをbolusにて投与し,10分後,40分後の画像を取り込み,輝度解析を行った.【結果】10分後の輝度平均値は,正常群-20.1dB,慢性肝炎群-21.2dB,肝硬変群-24.3dBと3群に有意差は認めなかった.40分後では,正常群(-20.1dB)と慢性肝炎群(-24.2dB),正常群と肝硬変群(-24.3dB)との間に有意差がみられた.【考察】肝実質相の時間経過による輝度解析は,Kupffer細胞の機能評価に使用できる可能性が示唆された.

35-50 Sonazoid®を用いた慢性肝疾患の肝実質と脾実質の輝度比(L/S比)の検討

山平正浩1, 吉田昌弘1, 柴田陽子1, 東浦晶子1, 橋本眞里子1, 吉本直喜1, 赤尾憲二3, 田中弘教2, 齋藤正紀2, 飯島尋子1, 2, 西口修平2

1兵庫医科大学病院超音波センター, 2同肝胆膵内科, 3東芝メディカルシステムズ株式会社

 (目的)慢性肝疾患においてSonazoid®造影における肝実質染影の程度と脾臓の染影の程度を健常人と比較検討した.
 (方法)対象は,健常成人,慢性肝炎,肝硬変患者各々10名で東芝AplioXGを用いてSonazoid®0.0075ml/Kgをbolus投与した.投与後20分以降での肝実質(L),脾実質(S)の輝度を解析しL/S比を検討した.
 (結果)L/S比の平均は,健常成人群で1.04,慢性肝炎群で0.91,肝硬変群で1.37となった.肝硬変群が慢性肝炎群,健常成人群に比べて有意に高値(p=0.018)であった.慢性肝炎群と健常成人群の間には,有意な差が見られなかった.
 (考察)肝臓の線維化が進行すると肝実質染影の程度が低下し,脾臓の染影が上昇する.以上よりL/S比を検討することにより,肝機能評価に応用できる可能性が示唆された.

35-51 Sonazoid®による慢性肝疾患の脾腫の程度と肝実質染影の検討

吉田昌弘1, 山平正浩1, 柴田陽子1, 東浦晶子1, 橋本眞里子1, 赤尾憲二3, 會澤信弘2, 田中弘教1, 2, 西口修平1, 飯島尋子1, 2

1兵庫医科大学超音波センター, 2兵庫医科大学内科・肝胆膵科, 3東芝メディカルシステムズ株式会社

 【目的】肝硬変と慢性肝炎を対象としSonazoid®造影における肝実質相での脾臓(S)と肝実質(L)の染影の程度を検討しL/S比を算出し,脾腫の程度が肝実質染影に関係するかにつき検討した.【対象・方法】慢性肝疾患13例(慢性肝炎,肝硬変)を対象とした.Sonazoid®0.0075ml/kgをbolus投与後,20分以降での肝実質,脾実質の染影の評価を行った.超音波装置は東芝AplioXGを使用した.
 【結果】L/S比の平均値は脾腫を認める群は1.29,脾腫を認めない群は0.94であった.脾腫を認める群ではL/S比は有意に高かった.
 【まとめ】脾腫を認める症例では肝実質相における肝臓の染影は低下する.

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消化器7(肝・胆管(1))

座長: 大崎往夫 (大阪赤十字病院消化器科)

田村周二 (神戸市立医療センター西市民病院臨床検査技術部)

35-52 肝炎症性偽腫瘍を合併したMirizzi 症候群の一例

杉本貴昭1, 宇山直樹1, 山中潤一1, 飯室勇二1, 黒田暢一1, 平野公通1, 岡田敏弘1, 飯島尋子2, 藤元治朗1

1兵庫医科大学第一外科, 2兵庫医科大学超音波センター

 症例は61歳男性,黄疸,発熱を認め他院受診.胆石によるMirizzi症候群と診断された.腹部CTにて肝S5に辺縁不整な30mmの腫瘤状陰影を認めた.超音波検査では,ASを伴う高エコーを示し,内部に低エコー領域を認めた.ソナゾイド®を用いた造影超音波検査ではVascular Imageにて低エコー領域に造影効果はなかったが,高エコー領域は造影効果をうけた.Micro Flow Imagingでは腫瘍血管構築は認めなかった.胆石に対する手術時に十分なインフォームドコンセントのもとに肝S5部分切除を施行した.内部に凝血塊を含む線維化を伴った腫瘍を認め,病理組織では炎症性偽腫瘍の診断であった.肝炎症性偽腫瘍は非特異的限局性炎症性病変であることから,画像所見では多彩な変化を示し,他の腫瘍性病変との診断が困難である.今回,肝炎症性偽腫瘍を伴ったMirizzi症候群の一例を経験したので報告する.

35-53 肝機能異常が診断の契機となったサルコイドーシスの1例

尾下正秀1, 宮竹英希1, 長谷部愛2, 高田美紀2, 守安謙志2, 北出和史2, 前田 匡2, 森 宏樹2, 有田 勝2, 辻本正彦2

1大阪警察病院内科, 2大阪警察病院臨床検査科

 症例は46歳女性.健診にて,肝機能異常を指摘され,当院紹介受診.特に自覚症状は認めず.肝機能検査では,AST 50U/L,ALT 24 U/L,ALP 768 U/L,γ-GTP 237 U/Lと胆道系酵素優位の肝機能障害を認めた.腹部超音波検査では,肝の実質エコーがやや粗雑で不均一であり,境界不明瞭な低エコー域を認めた.また,脾臓にも境界不明瞭な低エコー域を認めた.腹部CT検査では,肝両葉に10〜15mm程度の境界不明瞭な低吸収腫瘤が多発し,個々の結節は癒合傾向にあり,後期相ではわずかに造影されていた.脾にも低吸収結節を認めた.確定診断のため,肝生検を施行.組織診にて,肝実質内に融合傾向を示す類上皮細胞性肉芽腫を認め,巨細胞にはasteroid bodyを認めた.明瞭な乾酪壊死像は見られず.サルコイドーシスと診断した.肝機能異常が診断の契機となってサルコイドーシスの症例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.

35-54 肝表面に位置する肝癌の経皮的ラジオ波療法にマイクロコンベックスプローブPVT-745BTVが有用であった一例

光本保英1, 福田 亘1, 本庶 元1, 森 敬弘1, 大見 甫1, 清水誠治1, 内田卓也2, 藤田幸二2, 小宮山恭弘2, 池田桂子2

1JR大阪鉄道病院消化器内科, 2JR大阪鉄道病院生理検査部門

 74歳の男性.非アルコール性脂肪性肝炎で外来通院中にGd-EOB-DTPA造影MRIを施行.肝細胞相でS5に12mmの低信号を呈する結節性病変をみとめ脂肪化も有していたことから肝癌と診断した.エコー検査にて,汎用されているマイクロコンベックスプローブPVT-382BT(東芝メディカルAplio)では描出することができなかったがマイクロコンベックスプローブPVT-745BTVに変更し詳細に観察すると高エコーを呈する病変として描出可能であった.経皮的ラジオ波凝固療法(RFA)時,ニードルの穿刺もスムーズで明瞭に描出でき安全に治療が可能であった.PVT-745BTVはコンパクトな形状で,肝表面に位置する肝癌を明瞭に描出することが可能であるばかりでなく,穿刺ルートのblindzoneが少ない.PVT-745BTVは肝表面に位置する肝癌の経皮的超音波ガイド下RFAを安全かつ確実に施行可能であると考えられた.

35-55 ソナゾイド®造影USを応用したHCCの治療経験

菅野雅彦1, 中島英信2, 大須賀達也2, 高橋利匡2, 桑田 智3

1すがの内科クリニック内科, 2高槻病院消化器内科, 3高槻病院放射線科

 【目的】ソナゾイド®をH19年9月よりRFA直後の効果判定に用いてきたが,4月以降治療時に繰り返し造影し追加焼灼を行う方法に変更したので報告する.【対象と方法】高槻病院にてH20年4‐8月に日立EUB7500による造影US併用RFAを行った13例.直前に造影しRFAと造影を交互に繰り返し行い,TAE併用で大きな腫瘍も完全焼灼を試みている.【結果】13例18結節をRFA治療(計15セッション;開腹下:1).終了時のviable lesionは追加焼灼(6症例),局所再発は1例のみ.【再発例】81歳女性,S5-6:3cm大HCCにH17年9月以降3回TAEもリピオ集積不良で残存し4月に造影下RFA,5月EOB-MRI,造影USにて治療部位の頭側に1.4cm大の局所再発を認め7月2日RFA,治療時の造影USでS8に新病変を認め9日に再度RFA,術後1ヶ月の造影USにては残存病変なし.【結語】RFA時にソナゾイド®を頻回使用にて,再発率低下が望める.

35-56 肝腫瘍に対するReal-time Tissue Elastography描出パターンの初期的検討

駒美佳子1, 福田勝彦2, 森 雅美1, 本多かおり1, 中尾由佳1, 井西千晶1, 鳥居裕太1

1PL病院中央検査部, 2PL病院内科

 (はじめに)我々は慢性肝疾患の硬度評価におけるReal-time Tissue Elastography(以下RTE)の有用性について報告してきたが,今回肝腫瘍に対してRTEを適用し,その描出パターンについて検討した.(対象および方法)対象は肝腫瘍37例(内訳 HCC:16例,転移性肝癌:7例,肝血管腫:13例,肝膿瘍:1例).超音波診断装置は日立メディコ社製EUB-8500,L-52型リニアプローブ(送信周波数3‐7MHz)を使用した.腫瘍と肝実質の割合を1:1以上にROIを設定し,得られたRTE画像から肝腫瘍の硬度を相対的に評価した.(結果)HCC及び転移性肝癌においては,腫瘍は周囲肝実質と比べて相対的に硬く表示される傾向にあった.一方,肝血管腫においては肝実質との差異が認められなかった.(結論)初期的検討ではあるが肝腫瘍のRTE描出域は,悪性腫瘍は肝実質と比べて相対的に硬く表示され,肝血管腫では差異が認められない傾向にあった.

35-57 非侵襲的な肝線維化診断法の検討

池田敦之1, 岡部純弘1, 西川浩樹1, 谷口敏勝2, 小林一三2, 土崎 真2, 三原康弘2, 喜多竜一1, 木村 達1, 大●往夫1

1大阪赤十字病院消化器科, 2大阪赤十字病院腹部超音波検査室

 【目的】現在,肝線維化を診断するゴールドスタンダードは肝生検であるが問題点も多い.今回,我々は肝生検による線維化ステージとその他の非侵襲な肝線維化診断法の相関について検討した.【方法】当院で経皮的肝生検とFibroscanを施行した慢性肝疾患患者76人を対象に,肝生検での線維化ステージ,Fibroscanでの肝の弾性度,USによる肝の形態などから算出したUSスコア,さらにHCV陽性例に関してはAPRI(AST to platelet ratio index)について検討した.【結果】FibroscanのFstage別での弾性度の平均は,各群間に有意な分散を認め,F1とF2,F3とF4の間に有意な差を認めた.USスコア,APRIでも有意な分散を認めた.相関係数はFibroscanで0.749とこの中では最も高かった.【結論】線維化診断,肝硬変診断において,Fibroscan,US score,APRIともにF stageと有意な相関を示したが,中でも,Fibroscanが最も強い相関を示した.

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消化器8(肝・胆管(2))

座長: 武田 正 (武田内科クリニック)

田上展子 (住友病院超音波検査部)

35-58 胆管狭窄をきたした巨大肝嚢胞の一例

谷口涼子1, 寺西 康1, 清水 愛1, 細井亮二1, 大谷敦子1, 寺道恭子1, 神田典尚1, 井上雅章1, 木原 始2, 松田康雄2

1八尾徳洲会総合病院中央検査室, 2八尾徳洲会総合病院肝胆道外科

 症例は48歳,女性.上腹部不快感と上腹部の膨瘤を自覚し近医より精査目的にて紹介となる.腹部US上肝左葉に8.4cm大の嚢胞性病変を認めた.また,外側区域の肝内胆管の拡張を認め,嚢胞の背側で狭窄していると思われた.造影USでは嚢胞の隔壁が造影され,胆管狭窄部には明らかな腫瘤性病変を描出しえなかった.腫瘍マーカーは正常範囲内であった.造影CTやMRでも同様に嚢胞と末梢側の肝内胆管拡張を認めた.肝嚢胞腺癌の胆管浸潤や胆管癌の存在も疑われたためERCPを施行.左肝内胆管の明らかな管径不整は見られず外部からの圧排を疑った.エコーガイド下にて肝嚢胞穿刺吸引・エタノール凝固術を施行.2か月後のUSでは嚢胞は3.9cmと著明に縮小,肝内胆管の拡張も改善し肝静脈や門脈左枝末梢側の血流も問題なかった.嚢胞内液の細胞診では異型細胞を認めなかった.今回,単純性肝嚢胞により肝内胆管圧排をきたした症例を経験したので報告する.

35-59 線毛性前腸性肝嚢胞の一例

光本保英1, 福田 亘1, 本庶 元1, 森 敬弘1, 大見 甫1, 清水誠治1, 内田卓也2, 藤田幸二2, 小宮山恭弘2, 池田桂子2

1JR大阪鉄道病院消化器内科, 2JR大阪鉄道病院生理検査部門

 82歳の男性.貧血の主訴にて平成20年1月当科初診.上部内視鏡検査上,3型の進行胃癌をみとめた.転移性病変の検索をしたところ,肝S4被膜直下に単発の20mm大の腫瘤性病変をみとめた.腹部エコーではhump sign陽性の低エコー結節で被膜構造は存在しなかった.内部構造は球状の充実性部分と周囲に液体を示唆するような低エコー領域が存在した.この肝腫瘤は転移性肝腫瘍の典型的なエコー像ではなく,肝S4被膜直下といった特徴的な部位に単発でみとめられたことから,線毛性前腸性肝嚢胞と術前診断した.胃癌に対して幽門側胃切除術施行.確定診断目的にて肝S4部分切除術を行った.肝腫瘤性病変の内部には無色透明の粘稠な液体が貯留しており,その中に黄白色調のゼリー状の物質が浮遊していた.組織学的に嚢胞壁は多列線毛上皮に被覆され平滑筋層もともなっており,線毛性前腸性肝嚢胞と確定診断した.非常に稀な症例を経験したので報告する.

35-60 産褥期に肝梗塞を合併した1症例

小谷晃平1, 川●靖子1, 中井隆志1, 木岡清英1, 中通由美2, 横田重樹2, 大内田祐一2, 嶋三恵子3, 三田育子3, 中本 収3

1大阪市立総合医療センター肝臓内科, 2大阪市立総合医療センター生理機能検査部, 3大阪市立総合医療センター産科

 症例は30代女性.妊娠高血圧腎症,常位胎盤早期剥離のため妊娠29週で帝王切開を施行した.翌日AST 2815 IU/l,ALT 1959 IU/l,LDH 4595 IU/l,T.Bil 2.5mg/dl,Plt 8.4万/mm3,PT活性74.5%,心窩部痛を認め,HELLP症候群を疑われた.しかし,腹部超音波検査Bモード法で肝右葉のみ広範囲に低エコー不均一像を示した.カラードプラ法では門脈血栓は明らかではなかったが血流信号を認めず,門脈血栓症による肝梗塞を疑った.さらに他画像でも同様の所見を得た.蛋白分解酵素阻害剤,肝庇護剤等で加療し,一時T.Bil 5.0mg/dl,Plt 4万/mm3,PT活性49.5%まで悪化したが,門脈血流再開し肝梗塞の拡大なく改善した.以上,産褥期に比較的稀な肝梗塞を合併した症例を経験し,超音波検査が診断に役立ったので報告する.

35-61 EUSが診断に有用であったCholedochoceleの一例

保田宏明1, 2, 鈴木教久2, 長谷川弘人2, 谷口浩也2, 信田みすみ2, 馬場武彦2, 土佐正俊2, 阪上順一2, 片岡慶正2, 吉川敏一2

1京都府立与謝の海病院内科, 2京都府立医科大学大学院医学研究科消化器内科学

 症例:78歳男性.既往歴:急性胆のう炎および胆石症に対し開腹胆摘術(H3),喉頭がんに対し放射線治療(H18),急性胆管炎(H18).現病歴:平成19年4月,下部胆管狭窄および十二指腸粘膜下腫瘍の疑いで当院紹介.外来での胃カメラ検査で,十二指腸粘膜下腫瘍は鉗子による圧迫で容易に変形することよりのう胞性病変を疑い,MRCPで下部胆管の拡張を認めたためCholedochoceleを疑い,精査加療目的で7月3日入院となった.EUSでは,十二指腸乳頭部口側の粘膜下腫瘤様の隆起性病変は無エコーを呈するのう胞性病変(19mm)で,総胆管との連続性を認めることより,Choledochoceleと診断した.胆管炎の既往があるとより,胆汁流出障害を疑い,ERCP下にのう胞部を切開し開放した.今回われわれは,EUSが診断に有用であったCholedochoceleの一例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.

35-62 胆道出血を伴った肝動脈瘤の一例

竹内雅幸1, 岡田 翠1, 石平雅美1, 阪下 操1, 田村周二1, 藤本敏明1, 王 康治2, 住友靖彦2, 三上 栄2, 山下幸政2

1神戸市立医療センター西市民病院臨床検査技術部, 2同消化器内科

 症例は48歳男性.膵炎の疑いで紹介,入院時CTにて膵炎と胆嚢に胆泥様の内容物及び肝血管腫を認めた.翌日の超音波検査も同様の所見であった.腹痛の再燃があり,胆泥の影響も考慮して,ERCPを施行した.乳頭部より胆道出血を認めた為,腹部dynamic CT施行.肝S6にA6と連続して早期相で造影される部分を認め,動脈瘤が疑われた.以上より肝動脈瘤の穿破による胆道出血と診断した.3日後の腹部エコーで動脈瘤内部に渦を巻く血流シグナルも認められ,CTと比較すると著明に増大していた為,同日金属コイルによる肝動脈塞栓術を施行.術後のエコーで動脈瘤は縮小し血流も見られなかった.

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循環器1(心臓(1))

座長: 浅沼俊彦 (大阪大学大学院医学研究科)

椿森省二 (ハイメディッククリニックWEST臨床検査室)

35-63 左室中部閉塞を来たした非肥大型心筋症の1症例

田代理枝1, 北野貴子1, 佐藤幾生1, 松山貴司1, 瀧本光代2, 金宮義哲3

1甲友会西宮協立脳神経外科病院臨床検査科, 2甲友会西宮協立脳神経外科病院循環器内科, 3甲友会西宮協立脳神経外科病院外科

 <はじめに>左室中部閉塞といえば第一にHCMによるものを考えるが,今回我々は著明な左室壁肥厚がないにも関わらず左室中部が閉塞し,加速血流を確認できた症例を経験したので報告する.<症例>55歳女性,くも膜下出血にてクリッピング術後入院加療中に上室性頻拍発作が出現し,心臓超音波検査を施行.左室拡張末期径36mm,心室中隔厚・左室後壁厚共に8.8mm,壁運動は過収縮を呈しEF79%,収縮期には左室内腔に3.2m/sの加速血流,拡張早期には奇異性血流を認めた.同日よりβブロッカー投与が開始され,3週間後の超音波検査では左室径・IVC径に変化はなかったものの,前回過収縮であった左室壁運動は正常化(EF68.5%)しており,左室中部閉塞所見は完全に消失していた.<考察>今回の症例において左室中部閉塞の原因は単独の因子とは考えにくく,相対的壁肥厚・過収縮・その他複数の因子が相互作用したものと考えた.

35-64 学校検診で発見された若年性心室中部閉塞性肥大型心筋症の1例

岡山悟志1, 藤本眞一2, 尾上健児1, 水野麗子2, 堀井 学1, 上村史朗1, 中村 忍2, 斎藤能彦1

1奈良県立医科大学第1内科, 2奈良県立医科大学総合心療科

 【症例】13歳,女性.【主訴】心電図異常.【経過】中学1年の学校検診で初めて心電図検査が実施され,II,III,aVF,およびV3-6にST低下が指摘され当院に紹介された.家族歴に突然死や心筋症はない.心エコー所見では心尖部を含めて左室収縮能に明らかな異常を認めなかった(LVEF 65%)が,左室中部に圧較差 38.9mmHgをともなう高度の壁肥厚(心室中隔壁厚;19mm,左室後壁厚;19mm),中等度の左室拡張能障害(左室流入波形;E/A 1.53,DCT 205ms,僧帽弁輪部運動;E/e' 9.78,肺静脈血流波形;S>D),および肺高血圧(肺動脈圧46mmHg)を認めた.左室心筋生検所見では心筋細胞の錯綜配列と空胞変性を認めた.以上より心室中部閉塞性肥大型心筋症と診断した.心室中部閉塞性肥大型心筋症が若年で発見されることは稀であり若干の文献的考察を加えて報告する.

35-65 一過性左室流出路狭窄が原因で意識消失発作が生じた高齢者の1例

岡田知明, 佐藤正岳, 青柳健一, 小原章敏, 青木隆明, 河本 巌

市立堺病院循環器内科

 症例は84歳女性.2008年2月中旬,突然頭痛を自覚し,直後に数分間の意識消失をきたした.周囲の呼びかけで意識改善し,当院受診となった.来院時,心尖部にSEMを聴取し,心電図 II ,III,aVF,V4-6においてST低下を認めた.心エコー図検査は左室壁運動良好で左室駆出率65%,S状中隔を示し,SAMを伴って,左室流出路圧較差100mmHgが認められた.虚血性心疾患の可能性を考慮して3病日に心臓カテーテル検査を施行したが,冠動脈に有意狭窄はなく,流出路を含めて左室内圧較差は認められなかった.4病日に再度施行した心エコー図検査にてS状中隔は同様であったが,来院時に認められた左室流出路圧較差は7.3mmHgと減少,SAMも消失していた.その後は一度も意識消失はきたしていない.一過性左室流出路高度狭窄が意識消失の原因と考えられ,流出路狭窄の劇的な改善を心エコー図検査にて観察できた1例を経験した.

35-66 興味ある変化を示した心サルコイドーシスの1例

山野愛美1, 三宅 仁2, 縄田隆三2, 太田光彦2, 前西文秋1, 堀川里紀1, 登尾 薫1, 殿畑友恵1

1西神戸医療センター臨床検査技術部, 2同循環器科

 症例は63歳女性.平成13年に他院にて両側肺門リンパ節腫脹,眼病変よりサルコイドーシスと診断,平成18年より当院呼吸器科外来で定期的にフォローされていた.心病変の有無に対しても年1回経胸壁心エコー図にて経過観察していたが,平成20年1月,左室下壁の基部に軽度の壁肥厚と心筋エコーレベルの変化,壁運動の低下が認められた.他,明らかな心室中隔基部の壁厚菲薄化は認めず,全体的な左室収縮能は保たれていた.半年後には左室下壁の変化に加え,右室の心室中隔から心尖部付近まで心筋性状の変化と壁運動低下を認めた.本症例は徐々に心筋性状の変化が広がっており,今後は心室瘤への変化や壁運動の低下等について,注意深く経過観察する必要があると考えられる.

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循環器2(心臓(2))

座長: 合田亜希子 (兵庫医科大学循環器内科・超音波センター)

高田厚照 (関西医科大学附属枚方病院臨床検査部)

35-67 著明な僧帽弁の変性に欠ける重症MRにより慢性心不全増悪を反復したAPS/SLEの一例

前田弘美1, 寺元 弘1, 安達 瞳1, 鳥居明子1, 兼井由美子1, 渡邊裕子1, 上村真理子1, 吉田純一2, 小松 誠2, 児玉和久2

1医療法人中央会尼崎中央病院検査部, 2医療法人中央会尼崎中央病院循環器内科

 症例は34歳女性,SLE・APSにて近医通院中.心機能低下も指摘されていた.平成19年11月ごろより労作時呼吸困難・下肢浮腫が生じ,胸部レントゲン上CTR拡大・胸水を認め,循環器内科入院.心エコー上,下壁のhypokinesis・MR3度・僧帽弁の全体的な肥厚と前尖のわずかなずれを認めたのみであった.血管拡張剤と利尿剤でいったん退院したが,再度本年8月に同症状が出現,再度入院となった.入院時BNP1570mg/dl,エコー所見は,MR3度・LAD46mm・EF40%程度であったが,強心剤・血管拡張剤と利尿剤で1週間の経過で,MR2度・LAD32mmと著明な改善を認めた.本例のようにAPSに合併する弁の異常は特徴的な所見に欠ける一方,弁逆流及びそれに伴う心不全は比較的重症であり,文献的考察を含めて報告する.

35-68 心臓CTと心エコー図から僧房弁逸脱をみる

唐口高倫1, 川島明代志2, 井村美紀2, 冨田哲也2, 轟 武司3, 山本栄次郎3

1京都博愛会冨田病院臨床検査科, 2京都博愛会冨田病院循環器内科, 3京都博愛会冨田病院放射線科

 弁膜症の重症度評価,特に手術適応決定にリアルタイムで弁の動態観察・生理学的評価を経時的に繰り返し行なうことができる心エコー図検査が主役の位置を担っているのが現状と思われる.僧房弁逸脱は,前尖・後尖のどちらにも生ずる.その本質は,僧房弁が左心房へ偏位あるいは突出することである.よって,空間的認識性に優れた画像診断が役立つと考える.リアルタイムで弁の動態観察が可能な心エコー図.優れた空間分解能を持ち広い視野が短時間で得られ,三次元の画像解析により任意の断面設定が容易で再現性に優れている心臓CT.今回心臓CTと心エコー図から同一症例の僧房弁逸脱の状況を観察しえたので報告する.

35-69 心臓再同期療法の左室リードを心外膜に留置した一例

植松庄子1, 阿部幸雄1, 中村理恵子2, 藤井紀代2, 元林 昭2, 中川英一郎1, 成子隆彦1, 土師一夫1, 柴田俊彦3, 伊藤 彰1

1大阪市立総合医療センター循環器内科, 2大阪市立総合医療センター生理機能検査部, 3大阪市立総合医療センター心臓血管外科

 86歳男性の慢性心不全患者で,NYHA機能分類3度,左脚ブロックでQRS幅が144ms,左室駆出率は19%であり,心臓再同期療法(CRT)を予定した.GE社製のポータブルエコー機であるVivid iでスペックル・トラッキング法を用い,前乳頭筋付着部付近の側壁が収縮の最遅延部位であると評価できた.そこで,左室リードを左室後静脈へ留置するように計画した.しかし,冠静脈の冠静脈洞への合流がいずれも鋭角であり,結局どの枝にも左室リードの留置ができず,外科的に心外膜に留置することにした.同エコー機で術中経食道心エコー図検査を施行することで,確実に最遅延部位の側壁に左室リードを留置することができた.両心室ペーシングを開始したところ左室非協調運動は消失し,NYHA機能分類は2度に改善した.CRTの左室リードを心外膜に留置した本症例において,術前後のみならず術中の評価においても上記のポータブルエコー機が有用であったので報告する.

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血管

座長: 長束一行 (国立循環器病センター内科脳血管部門)

上田美奈子 (大阪大学医学部附属病院医療技術部外科系科)

35-70 CEA後遠隔期に生じた可動性プラークに対するCAS施行時にエコーガイドが有用であった一症例

米田智也1, 石井 暁2, 佐藤 洋1, 岩田邦子1, 岡野嘉明3

1京都大学医学部付属病院検査部, 2京都大学医学部付属病院脳神経外科, 3京都大学大学院医学研究科臨床病態検査学

 <症例>67歳男性.2002年,右内頸動脈狭窄症に対しCEAを施行した後,虚血性イベント及び病変部再狭窄なく経過していた.2008年7月,経過観察の頸動脈超音波検査にてCEA施行部近位端に長さ約3mmの棒状可動性プラークが検出され,当院脳神経外科へ精査及び治療目的にて入院した.脳血管造影検査では可動性プラークは描出されなかったが,血管内超音波検査で同様の所見が確認できた.脳血管撮影のみでは病変は確認できないため,エコーガイド下にて遠位塞栓予防フィルターを使用したCASを施行した.可動性プラーク上にステントを正確に誘導できたが,ステントストラットの間からプラークの一部が内腔へ突出する像を認めた.再度ステント内に同じステントを留置し,可動性プラークの血管壁への圧着をエコーで確認できた.<まとめ>可動性プラークに対しエコーガイド下にて安全かつ正確にステントを留置することができた一症例を経験した.

35-71 頸部椎骨動脈超音波血流検査と脳MRA検査との対比

工藤陽子1, 兵頭真弓1, 辻本欽英1, 前田翔子1, 椿森省二1, 今北 哲2, 有澤 淳2

1ハイメディッククリニックWEST臨床検査課, 2ハイメディッククリニックWEST画像診断センター

 【目的】頸部椎骨動脈(VA)超音波検査により,頭蓋内VAの病変や形態的変化をどの程度捉えることが可能か,脳MRAとの対比により検討した.【対象】検診受診者508例(57±12歳)【方法】超音波検査にてVAの平均血流速度(18cm/s)と血管径,およびそれらの左右比(1.4)を基準とした分類を行い,脳MRA所見と対比した.【結果】1.超音波検査:異常なし438例,異常あり70例((1)VA起始部閉塞2例,(2)PICA前後硬化性病変21例,(3)低形成44例,(4)その他3例)であった.2.MRA検査:異常なし438例,異常あり70例((1)2例,(2)7例,(3)51例,(4)10例)であった.3.MRAとの対比では感度71.4%,特異度95.4%であった.【結語】無症候者においても,頸部超音波検査により頭蓋内VAの血行動態を予測することは概ね可能と考えられた.また,起始部病変の検出には超音波検査の役割が重要であった.

35-72 自動計測ソフトを用いた頸動脈内膜中膜複合体厚(IMT)計測の有用性

福住典子1, 今西孝充1, 濱口浩敏2, 福岡恵子1, 高坂仁美1, 沖 都麦1, 林 伸英1, 木下承晧1, 河野誠司1, 熊谷俊一1

1神戸大学医学部附属病院検査部, 2神戸大学医学部附属病院神経内科

 【はじめに】頸動脈超音波検査による内膜中膜複合体厚(IMT)を客観的に評価する方法として,自動計測ソフトが開発されている.【目的】手動計測値と自動計測ソフトを用いて計測したIMT値との比較を行い,その有用性について検討した.【対象・方法】当院において頸動脈超音波検査を施行した248例445血管を対象とした.総頸動脈far wallでのmax IMT,mean IMTについて,手動計測,自動計測ソフトでの自動計測,自動計測補正の3法の比較を行った.【結果】3法間の比較では,手動計測値と自動計測補正値との相関が最も強く,max IMT:相関係数r=0.885,mean IMT:r=0.913であった.アーチファクトが多い場合や総頸動脈が水平に描出されない場合,IMTが不明瞭となり,手動計測値と自動計測値との間に誤差を生じた.【結語】IMTを明瞭に描出できれば,自動計測は有用であると考えられた.

35-73 椎骨動脈炎を併発した側頭動脈炎の一例

濱口浩敏1, 今西孝充2, 高坂仁美2, 福住典子2, 沖 都麦2, 苅田典生1

1神戸大学医学部附属病院神経内科, 2神戸大学医学部附属病院検査部

 目的:側頭動脈炎は巨細胞を伴う肉芽腫性炎症を特徴とし,進行すると不可逆的な障害をきたすため迅速な診断と治療が重要である.今回我々は,椎骨動脈炎を併発した側頭動脈炎症例を経験したので報告する.症例:71歳女性.側頭部の拍動性頭痛,発熱にて入院.側頭動脈拡張,赤血球沈降速度80mm/Hと高値であり,側頭動脈炎を疑った.側頭動脈エコーでは,両側側頭動脈にhypoechoic halo像を認めた.右浅側頭動脈生検にて肉芽腫性病変を認め,側頭動脈炎と確定した.また,同時に頸動脈エコーを施行した際,左椎骨動脈起始部にも血管拡張及びhypoechoic halo像を確認でき,椎骨動脈炎の合併例と判断した.結語:側頭動脈炎を疑う場合,他の動脈にも血管炎の像を認めることがある.本例のように頸動脈エコーを施行する際に椎骨動脈のhalo像を認めた場合,全身血管炎の一つとして側頭動脈炎も鑑別することが必要である.

35-74 当院における深部静脈血栓症について

山本真大1, 松浦勇二1, 関本雅彦1, 西尾宗高2, 西田義治2, 柳 光司2, 北村次男3

1大阪中央病院中央検査部, 2大阪中央病院循環器科, 3大阪中央病院消化器科

 《はじめに》近年,深部静脈血栓症の診断法として従来の静脈造影に代わり,簡便かつ非侵襲的な下肢静脈超音波検査法が用いられるようになった.当院でも2000年以降,下肢静脈超音波検査を用い深部静脈血栓症の診断を行っている. その検討結果と深部静脈血栓症が原因と考えられる症例2例を報告する.《対象》当院で2006年7月〜2008年7月の間に実施した初回検査367件 《方法》腸骨静脈・大腿静脈,膝窩静脈,下腿静脈を対象に血栓の有無を調べた.《結果》367件中陽性は99名.検出部位はヒラメ静脈66件,膝窩静脈13件,大腿静脈12件,腸骨静脈4件,腓骨静脈3件,後脛骨静脈1件であった.《症例》深部静脈血栓症が原因と考えられる塞栓症例2例を報告する.《治療》深部静脈血栓症について当院の治療方法と予後を報告する.《結語》深部静脈血栓症の診断法として下肢静脈超音波検査法は有用である.当院での高発部位はヒラメ静脈である.

35-75 妊娠初期にDVTを発症したプロテインS低下症の一例

今西孝充1, 濱口浩敏2, 高坂仁美1, 福住典子1, 山本哲志1, 福岡恵子1, 林 伸英1, 木下承晧1, 河野誠司1, 熊谷俊一1

1神戸大学医学部附属病院検査部, 2神戸大学医学部附属病院神経内科

 症例は29歳女性,0妊0産.既往歴:HBV(母親がキャリア).家族歴:DVT(父).妊娠9週6日より左鼠径部の疼痛が出現.その後下肢全体にしびれを認めるようになり他院受診.下肢静脈エコーにて左総腸骨静脈から膝窩静脈まで閉塞型の血栓を認めた為,当院救急外来へ搬送された.入院時,左下肢腫脹と把握痛を認め,D-dimer>160μg/mlと著明な上昇認めた.肺塞栓予防のため,IVCフィルターを留置し,ヘパリン持続点滴による抗凝固療法を開始した.血栓形成の危険因子の有無について検査を進めたところプロテインS 40%と低下を認めた.IVCフィルター留置後に,フィルター内に血栓を繰り返し認めたため,IVCフィルターは抜去し抗凝固療法のみに切りかえた.その後症状は軽快し,下肢静脈エコーにて新たな血栓の発生は認めてない.現在ヘパリンカルシウム皮下注を用いた周産期管理を行っている.

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消化器9(造影・腫瘍(1))

座長: 西田 修 (京都民医連中央病院内科)

前川 清 (近畿大学医学部附属病院中央臨床検査部腹部超音波室)

35-76 経過観察にSonazoid®造影超音波検査有用であった肝腫瘤性病変の1例

橋本眞里子1, 東浦晶子1, 田中弘教1, 2, 山平正浩1, 吉田昌弘1, 柴田陽子1, 會澤信弘2, 齋藤正紀2, 西口修平2, 飯島尋子1, 2

1兵庫医科大学病院超音波センター, 2兵庫医科大学病院内科肝胆膵科

 症例は61歳,男性.平成15年より糖尿病,平成17年よりアルコール性肝硬変で当院加療中,平成20年1月に腹部超音波検査にて肝S2に約1cm大の低エコー腫瘤を指摘された.同年1月の造影CTでは指摘されず,Sonazoid®造影超音波検査にて前癌病変が疑われ,経過観察中であった.同年6月の造影超音波検査では動脈優位相で腫瘤の中心部分のみhyper vascularに染影されHCCと診断し,造影MRI(EOBプリモビスト)においても高分化型HCCが疑われたため,入院精査となった.血管造影下CT検査の結果,HCCと診断された.Sonazoid®造影超音波検査はHCCの経過観察および診断に有用であった.

35-77 Post vascular imageにて欠損像を認めなかった肝細胞癌の一例

河田奈都子1, 田中幸子2, 高倉玲奈2, 川口 司1, 玉井知英1, 今中和穗1, 三栖弘三3, 松野徳視3, 宮崎さや子3, 仲尾美穂3, 福田順子3

1大阪府立成人病センター消化器内科, 2同検診部, 3同超音波検査室

 [症例]70歳代男性.膵IPMNの経過観察中,腹部エコーにて肝S7/8に16mmの高エコー域を認めた.肝機能検査では異常なかったがHCV抗体陽性であった.アレルギーのため造影CT,MRI検査は施行できず,単純MRIでは同部にSOLを認めなかった.ソナゾイド®造影エコーではvascular image動脈相で淡い濃染,門脈相でwash outを認めpost vascular imageでは欠損を認めなかった.肝細胞癌を強く疑い肝生検を施行し,脂肪化を伴ったN/C比の高い腺管構造を認め肝細胞癌と診断された.経皮的ラジオ波焼灼術を施行し効果判定を造影エコーにて行った.[考察]アレルギー患者では造影エコーが腫瘍の血流動態を反映する唯一の検査となる場合がある.肝細胞癌の造影エコー像は分化度によって多彩である.肝細胞癌が取りうる造影エコー像および鑑別が必要となる他の腫瘍像を提示しつつ報告する.

35-78 低分化型肝細胞癌の2切除例

木原 一, 松田康雄

八尾徳洲会総合病院肝胆道外科

 低分化型肝細胞癌は頻度が低く,超音波所見も非典型的である.今回我々は低分化型肝細胞癌の2切除例を経験したので,ソナゾイド®造影超音波所見と病理組織学的所見を検討する.症例1:70歳男性,既往に肝疾患なし.肝左葉外側区域に境界不明瞭な低エコー結節.造影超音波所見は動脈相で高シグナル,門脈相と後期相で中心部に軽度のシグナル低下.病理組織診断は周辺に繊維性瘢痕を伴う低分化型肝細胞癌.症例2:65歳女性.既往に肝硬変C型.肝S2/3にモザイク様の結節.造影超音波所見は動脈相で中心が高シグナル,辺縁が低シグナル.門脈相と後期相で等シグナル.病理組織診断は充実性の低分化型肝細胞癌が主で,辺縁に高分化型や索状型組織も認めた.低分化型肝細胞癌の造影超音波所見は,中分化型と比較してシグナル変化が軽度となりやすい.悪性度を過小評価して手術時期を逃さないように注意が必要である.

35-79 Sonazoid®造影超音波Micro Flow Imagingの肝細胞癌の悪性度評価の試み

東浦晶子1, 齋藤正紀2, 田中弘教1, 吉本直喜1, 吉田昌弘1, 山平正浩1, 柴田陽子1, 橋本眞里子1, 西口修平2, 飯島尋子1, 2

1兵庫医科大学病院超音波センター, 2兵庫医科大学内科肝胆膵科

 [目的]肝細胞癌(HCC)の悪性度診断に対するSonazoid®造影超音波Micro Flow Imaging(MFI)の有用性をdynamicCTと比較検討した.[対象・方法]組織,及び総合画像診断にて診断したHCC28症例31結節を対象とした.Sonazoid®0.0075mlを投与しMFIで染影された腫瘍血管を細かい網目状のpatterA,辺縁から内部に流入しAより太いpatternB,太く広狭不整なpatternCに分類した.[結果]造影CT早期相でhypervascularかつ180secでlow densityの17症例はpatterA 2症例(12%),patternB 11症例(65%),patternC 4症例(23%)であった.早期相でhypovasculaの3症例はそれぞれA2症例(67%),B1症例(23%)であった.組織が検討できたHCC15症例では高分化型 6結節のうちpatter A4結節(67%),pattern B2結節(33%),中・低分化型9結節ではそれぞれA3結節(33%),B4結節(45%)C2結節(22%)であった.[まとめ]HCCの悪性度診断にMFIによる腫瘍血管の評価が有用であった.

35-80 限局性結節性過形成(FNH)との鑑別に造影超音波検査が有用であった肝細胞癌(HCC)の切除例

黒川克博1, 金沢景繁2, 中通由美1, 横田重樹1, 大内田祐一1, 嶋三恵子1, 中井隆志3, 川崎靖子3, 木岡清英3, 岡 博子4

1大阪市立総合医療センター生理機能検査部, 2大阪市立総合医療センター肝臓外科, 3大阪市立総合医療センター肝臓内科, 4大阪市立十三市民病院内科

 症例は60歳代男性.平成14年検診にてHCV抗体陽性を指摘され,当院受診.以降,外来にてフォローされていた.平成19年7月PIVKA- II の上昇を認め,腹部造影CT施行.肝S6に2cm大の淡い動脈濃染腫瘍を認めたため,9月14日に精査目的にて当院消化器内科入院.腹部血管造影上で,肝S6の腫瘍は比較的太い血管が中心に入り,辺縁に向かい濃染が拡大したいわゆる車軸様構造を呈し,肝細胞癌(HCC)としては非典型的で限局性結節性過形成(FNH)が疑われた.しかし,腹部造影超音波検査を実施したところ,動脈相では同様に車軸様の染影が出現しFNH様を呈したが,後期相で腫瘍は完全な欠損像となりHCCと診断された.このため,当院消化器外科にてS6肝亜区域切除術を施行.病理組織所見上,中分化型HCCと診断された.多血性肝腫瘍の鑑別に腹部造影超音波が有用であった.

35-81 プロラクチノーマ治療中に発見された多発高分化型肝細胞癌の1例

斉藤雅也, 瀬尾 靖, 川野佑輝, 三木 章, 立岩心平, 矢野嘉彦, 東  健

神戸大学消化器内科

 症例67歳,女性.プロラクチノーマ,糖尿病のため当院内分泌内科にて加療中,腹部超音波検査にて肝両葉に直径1‐1.5cm大の境界明瞭な高エコー腫瘤を6カ所認め当科紹介された.内部ほぼ均一であるが,一部低エコーをふくむモザイク構造を示した.血液検査ではHBs抗原,HCV抗体いずれも陰性,WBC8000/μl,RBC460万/μl,Hb14.3g/dl,血小板数19.7万/μl,AST77IU/l,ALT94IU/l,γ-GTP209IU/l,AFP15ng/ml,高感度PIVKA II 19mAU/ml.ダイナミックMRI(Gd-DTPA EOB)にて,早期濃染をみとめず,T1低信号,out of phaseで信号低下し,細胞相にて低信号を示した.20G Majima針にて3カ所経皮的肝生検をおこなった.一部に細胞密度の上昇と,steatosisを伴った高分化型肝細胞癌と診断された.

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消化器10(造影・腫瘍(2))

座長: 南 康範 (近畿大学医学部消化器内科)

東浦晶子 (兵庫医科大学病院超音波センター)

35-82 切除15年後に肝転移再発したと考えられた胃原発GISTの一例

土井喜宣1, 松田高明1, 阪本めぐみ1, 上ノ山直人1, 有吉隆久1, 西林宏之1, 北山聡明2

1国家公務員共済組合連合会大手前病院消化器科, 2国家公務員共済組合連合会大手前病院放射線科

 症例は77歳男性.近医で施行された腹部USで肝内多発腫瘤を指摘され平成19年11月当科紹介受診.血液検査,CT,MRI,PET-CT,造影US施行したが診断には至らなかった.平成4年胃癌および胃肉腫に対して胃全摘術の既往があることが判明したためGISTを疑い肝生検を施行したところC-KIT陽性,CD34陽性でありGISTの再発と診断.11月19日よりイマチニブ投与を開始した.平成20年1月のPET-CTでは,腫瘤の個数,大きさに著変はなかったが,SUV値が低下していることから腫瘍内部が液状化していると考えSDと判定しイマチニブ投与を継続した.8月にイマチニブの副作用と考えられる胸水貯留を認めたが利尿剤で軽快.8月のCTでも腫瘤の個数や大きさに変化を認めず,造影USではイマチニブ投与前は動脈相で染影を認めていたがこの時点では認めず効果は持続していると考えられた.現在も内服加療中である.

35-83 ソナゾイド®を用いた造影超音波が診断に有用であった,多発肝転移を伴う小腸癌の1例

山中伸一1, 一宮 学2, 三原康弘2, 西川浩樹1, 津村剛彦1, 圓尾隆典1, 喜多竜一1, 岡部純弘1, 木村 達1, 大崎往夫1

1大阪赤十字病院消化器科, 2大阪赤十字病院検査部超音波室

 68歳男性.63歳時に甲状腺腫の既往.2008年2月下腹部痛を主訴に近医受診.腹部US,CTを施行されるも原因不明であったが,FDG-PETにて頸部,腋窩,甲状腺,肝,腸管に高集積あり.同年6月当科入院.血液検査では肝胆道系酵素は基準値内でCEA:688ng/ml,CA19-9:10620U/mlであった.腹部血管造影では肝内に多発腫瘍を認め,CTHAにて腫瘍辺縁のみがリング状に濃染され,転移性肝癌を疑った.肝腫瘍生検では腺癌であった.小腸透視では上部空腸にapple core signを認め,消化管USでは左上腹部に長径28mm大の腫瘤あり,粘膜の層構造は不明瞭であった.CEUSでは,粘膜面より管腔内に突出する腫瘤部が粘膜面と共に血管相にて染影像を示し,後期相にてdefect像を呈した.肝内には無数のdefect像がみられた.小腸癌からの肝転移を疑い,小腸内視鏡を施行.上部空腸に全周性の腫瘍を認め,生検にて腺癌であり,小腸癌及びその肝転移と診断.文献的考察と共に報告する.

35-84 4Dプローブ誘導下にRFAを施行した転移性肝癌の1例

木村 達1, 喜多竜一1, 西川浩樹1, 池田敦之1, 中辻正人1, 松尾裕央1, 齋藤澄夫1, 岡部純弘1, 大崎往夫1, 谷口敏勝2

1大阪赤十字病院消化器科, 2大阪赤十字病院超音波検査室

 今回我々は,GE横河メディカルシステム社製LOGIQ7と4Dプローブ(4D-3CL)を用いてRFAを施行する機会を得たので,その有用性,課題について報告する.症例は55才,女性,S8,2cmの大腸癌肝転移例.B-modeでは,標的結節は類円形,中心部が辺縁部よりややエコーレベルの高い低エコー結節として認められた.ソナゾイド®造影エコー法のKupffer phaseでRFAを施行した.電極針を結節に刺入した直後に,4D modeに切り換えて観察することにより,穿刺針の先端が結節の3次元的な中心に存在することがrealtimeに確認できた.更に,ablation直後に生じたガス像の3D表示とRFA前の標的結節のそれとを比較することにより,RFA直後に簡易的な治療効果判定が可能と思われた.4Dプローブは,現時点ではプローブが大きく扱いにくいこと,4D modeの画質が低い点に課題があるが,今後の改良に期待したい.

35-85 肝腫瘍におけるDefect Re-perfusion Imagingの有用性について

畑中絹世, 南 康範, 工藤正俊

近畿大学医学部消化器内科

 ソナゾイド®の再投与によってKupffer imageに血流イメージを重ねて表示する手法(Defect Re-perfusion Imaging)を考案した.今回我々はB-modeで描出不明瞭な肝悪性腫瘍についてDefect Re-perfusion Imagingの臨床的有用性を検討した.対象は2007年1月〜2008年5月に当院にてソナゾイド®造影超音波検査行った847結節中,B-modeで描出不明瞭であった77結節とした.多血性肝腫瘍を指摘できない場合,Kupffer phaseでdefect像の有無を検索し,ソナゾイド®の追加投与によって動脈性血流が流入するか否かを観察した.使用装置はGE社製LOGIQ7,撮像法はCPI mode,MI値は0.20に設定した.全結節においてKupffer phaseでdefect像を検出し,再投与にて結節内血流を検出し得た.このことより,B-modeで描出不明瞭であった肝悪性腫瘍においてDefect Re-perfusion Imagingが有用で,また,造影にてdefect像を呈した結節に対しRFA治療を施行することが可能であった.

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消化器11(造影・腫瘍(3))

座長: 岡田敏弘 (兵庫医科大学病院肝胆外科)

三栖弘三 (大阪府立成人病センター超音波検査室)

35-86 造影超音波検査の肝実質相で指摘し得た肝血管腫の1例

吉田昌弘1, 山平正浩1, 吉本直喜1, 東浦晶子1, 柴田陽子1, 橋本眞里子1, 斎藤正紀2, 田中弘教1, 2, 西口修平2, 飯島尋子1, 2

1兵庫医科大学超音波センター, 2兵庫医科大学病院内科肝胆膵科

 70歳代,男性.平成11年にC型慢性肝炎を指摘され,その後当院の平成20年3月の腹部超音波検査にて肝S8に径7mmのhypoechoic SOLを認め,Sonazoid®による造影超音波検査となった.造影超音波検査前のBモード検査ではS8のSOLは不明瞭であった.そのため,肝実質相(Kupffer phase)から造影超音波検査を施行した.15分後,肝全体をsweep scanしたところS8にdefectなく,S6にdefectを認めた為,この病変部に対し,Sonazoid®を再度投与した.S6に造影早期に腫瘍辺縁よりcotton wool 状に濃染しその後中心部が残り,ぼぼ26秒で腫瘍全体が染影された.その後約8分までisointenceとなり約15分後ではdefectを呈し造影超音波検査では肝血管腫と診断された.今回の症例はBモードで検出困難なSOLをSonazoid®造影超音波検査の肝実質相(Kupffer phase)で指摘し得た1例を経験したので報告する.

35-87 肝血管筋脂肪腫の一例

前野知子1, 横川美加1, 市島真由美1, 前川 清1, 畑中絹世2, 井上達夫2, 矢田典久2, 鄭 浩柄2, 南 康範2, 工藤正俊2

1近畿大学医学部附属病院中央臨床検査部腹部超音波室, 2近畿大学医学部消化器内科

 症例は52歳,男性.健診で肝腫瘤を指摘され,当院受診となった.来院時の腹部超音波検査で肝S6に53mm大の楕円形で内部が不均一な高エコー腫瘤を認めた.カラードプラでは腫瘤内部に豊富な血流シグナルを認め,ソナゾイド®による造影超音波検査では,造影早期より腫瘍血管が染影され,その後全体が濃染,7〜8分後には染影領域とやや低下した領域が混在した.Post vascular phaseでは不整なdefectを呈した.Defect re-injection testにより腫瘍血管と肝静脈への造影剤の流れが確認できた.以上の結果および同時に行ったCT,MRIの結果より血管筋脂肪腫が疑われた.腹腔鏡下による肝部分切除術が施行され,病理組織診断にて血管筋脂肪腫と診断された.肝血管筋脂肪腫は画像所見が多彩であり,他の肝腫瘍との鑑別が困難な事例が散見されるが,本症例のような高輝度結節では,造影超音波検査(Phase-inversion)における診断能が劣ることが示唆された.

35-88 ソナゾイド®造影下超音波検査で特異的な染影所見が得られたクレブシエラ肝膿瘍の一例

坂本 梓, 喜多竜一, 斎藤澄夫, 松尾裕央, 中辻正人, 池田敦之, 西川浩樹, 岡部純弘, 木村 達, 大崎往夫

大阪赤十字病院消化器科

 症例は80代女性,既往歴に糖尿病あり.主訴は熱発,右季肋部痛.血液検査上,炎症反応の増加を認めた.腹部dynamic CTでは肝内に,辺縁のみが造影され,隔壁を伴う多房性病変を認めた.臨床経過からは肝膿瘍を疑ったが,精査のためソナゾイド®造影下超音波検査を施行した.血流イメージでは周囲隔壁が網目状に強く染影され,クッパーイメージでは,隔壁領域は周辺肝と同様のエコーレベルを呈した.確定診断のため,病変を試験穿刺し吸引したところ,茶緑色の膿が採取された.病変辺縁の生検組織は炎症細胞の浸潤を認めた.膿の細菌培養検査からはクレブシエラが検出され,クレブシエラ肝膿瘍と診断した.肝膿瘍は単房性の形態をとることが多いが,クレブシエラ肝膿瘍は本症例のように,多房性の形態をとるとの報告がある.本症例は多房性肝膿瘍のソナゾイド®造影下超音波検査を施行できた貴重な症例であった.

35-89 造影エコーが広がり診断に有用であったイヌ回虫移行症の一例

武輪 恵1, 平井都始子2, 丸上永晃2, 斎藤弥穂2, 伊藤高広1, 吉川正英3, 辻本達寛2, 山下美奈子2, 吉田美鈴2, 大石 元4

1奈良県立医科大学放射線科, 2奈良県立医科大学中央内視鏡・超音波部, 3奈良県立医科大学寄生虫学教室, 4奈良県健康づくりセンター

 生レバー常食習慣のある50歳代男性.健診で好酸球増多とIgE高値を指摘された.単純CTで,肝に多数の低濃度結節を認めた.造影後動脈相では辺縁が淡く濃染し,門脈相から平衡相にかけて結節全体が肝実質と同程度に濃染し,平衡相では結節として同定できなかった.超音波検査で,肝の結節性病変は低エコー域として描出された.ソナゾイド®造影後,早期相で周囲肝とほぼ同等に濃染し,30秒以降は淡い造影欠損となり,クッパーイメージで,造影前の低エコー病変に一致して辺縁不整な5‐10mmの造影欠損が造影前に比べて数多く認められた.胸部CTでは,肺野に多数のすりガラス濃度を伴う小結節を認めた.肺・肝病変を一元的に考えて寄生虫疾患による肉芽腫病変が疑われ,血清診断によりイヌ回虫移行症と診断された.ソナゾイド®造影超音波は,クッパーイメージで造影剤の取り込まれない肉芽腫病変の境界が明瞭となり,病変の広がり診断に有用であった.

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消化器12(腫瘍(4))

座長: 齋藤正紀 (兵庫医科大学病院内科肝胆膵科)

多田俊史 (東神戸病院内科)

35-90 術中造影エコーにて特徴的な画像を描出できた限局性結節性過形成(FNH)の1例

松枝重樹1, 長谷寛二1, 川崎俊彦1, 徳永行彦2, 佐々木宏和2, 齋藤 徹2, 河南亜希子3, 澁谷佳宏3, 岡田和彦3, 梅田美佐子3

1大阪北逓信病院消化器内科, 2大阪北逓信病院外科, 3大阪北逓信病院臨床検査室

 <症例>58歳男性<現病歴>健診の腹部エコーにて肝腫瘤を認め,当科を受診し精査を行ったが,肝癌を否定できず肝切除目的で入院した.<血液検査>高脂血症のみ.<術前画像>造影CT:肝S5に早期相でのみ造影される1cm大の腫瘤影.単純・後期相では描出不能.エコー:B-modeでは,等エコー,ソナゾイド®造影では動脈早期相で11〜14mm大に濃染,動脈後期相まで濃染持続,クッパー相で16mm大のわずかな低エコーとなる.MRI:T2で軽度の高信号.T1では低信号,造影T1は早期相より造影効果を認め,遅延相まで造影効果が持続.腹腔動脈造影:右葉下部に1cm強の腫瘍濃染像.CTAP:1.5cm大の明瞭な欠損像を呈した.CTHA:同部に1.5cm大の造影効果を認めた.<臨床経過>腹腔鏡下に術中エコー検査を実施し,B-modeではhaloを伴う,等エコーの腫瘤影を認め,ソナゾイド®造影ではスポークウィールパターンを認めた.病理にてFNHと診断された.

35-91 ソナゾイド®造影超音波で観察したFNHの1症例

中野勝行1, 福島 豊1, 多田俊史2, 滝本和雄2

1東神戸病院放射線科, 2東神戸病院内科

 【はじめに】限局性結節性過形成(FNH)は良性であるが,多血性腫瘤であり,典型的なFNHは特徴的な画像・血流パターンを有しており,診断は容易となる.【症例】35歳男性.他院Bモード超音波にて15mmの腫瘤が指摘されるも単純CTでは病変は指摘されず,精査目的で当院内科受診.既往歴は統合失調症.飲酒歴なし.HCV抗体およびHBs抗原陰性.腫瘍マーカーも正常であった.超音波ではS4に14×10mmの内部不整な高エコーを有する低エコー腫瘤を認め,ソナゾイド®投与後,腫瘤中心から末梢へ放射状に広がる血流が観察され全体に強く濃染が認められた.後血管相では中心瘢痕部と考えられた部位は低エコーであったが,全体には周囲肝と同等の濃染を呈した.【まとめ】本症例は小さい腫瘤であったが,造影超音波で診断にいたり有用な検査と考えられた.

35-92 各種検査にて限局性結節性過形成と診断した一例

中島 潤1, 池田敦之1, 西川浩樹1, 喜多竜一1, 岡部純弘1, 木村 達1, 大崎往夫1, 若狭朋子2, 谷口敏勝3

1大阪赤十字病院消化器科, 2大阪赤十字病院病理部, 3大阪赤十字病院超音波室

 症例は41歳男性.検診でγGTP高値を指摘され受診した際,腹部USでS4に境界明瞭で内部不均一な腫瘤を認めた.患者はnonBnonC,抗核抗体陰性,機会飲酒程度で薬剤服用歴もなかった.造影CTでは動脈相で全体に強く濃染したが中心部に造影欠損部を認めた.門脈相では等吸収となるが,中心部は造影効果なく星芒状であった.血管造影では強い濃染を示しCTAPでは全体に造影欠損像を,CTHAでは中心部を除き強く濃染した.造影超音波では車軸様血管パターンを示し,平衡相では中心部を除き均一に取り込みを認めた.しかしMRIでは軽度だが取り込みが低下しクッパー細胞の減少が疑われた.生検組織では著明な線維性結合組織の存在と細胆管増生,実質の不規則再生を認めた.以上から限局性過形成と診断した.しかし本症例が男性であること,サイズが大きいこと,血管障害・形成異常がないことから今後も定期的にフォローが必要と考える.

35-93 ソナゾイド®造影超音波検査が有用であった肝細胞腺腫の一例

佐藤信浩1, 内田浩也1, 登尾 薫1, 山野愛美1, 前西文秋1, 井谷智尚2, 三村 純2, 小森英司2, 奥野敏隆3

1西神戸医療センター臨床検査技術部, 2同消化器科, 3同外科

 症例は70歳代男性.半年前より貧血を認め,他院に通院中であった.肝酵素の上昇を認めたため,腹部CTを施行したところ,肝S2に95mmの腫瘤を認め,当院に紹介受診となった.腹部エコーにて,肝左葉に9×8cmの血流シグナルを伴う,内部エコー不均一な腫瘤像を認め,精査加療目的に入院となった.前立腺癌,左変形性膝関節症および頚椎脊柱管狭窄症の既往歴があるが,肝炎ウイルスは陰性で,糖尿病の既往歴はなく,AFPとPIVKA II の腫瘍マーカーは,いずれも基準値内であった.CT,MRIおよび血管造影では肝細胞癌や肝血管腫類似の所見なども見られたが,ソナゾイド®造影超音波検査では血管相で濃染されクッパー相で明らかな欠損を認めず,肝細胞腺腫を第一に疑い手術が施行された.病理所見は出血を伴う肝細胞腺腫であった.

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循環器3(心臓(3))

座長: 川合宏哉 (神戸大学大学院循環呼吸器病態学分野)

八木登志員 (神戸市立医療センター中央市民病院臨床検査技術部)

35-94 右室腫瘍の一例

西村純子1, 合田亜希子1, 田中益水1, 三角千香1, 牧原佐知子1, 飯島尋子1, 中坊亜由美2, 吉田千佳子2, 大塚美里2, 増山 理2

1兵庫医科大学病院超音波センター, 2同循環器内科

 症例は71歳,女性.2008年3月に労作時胸部不快感を自覚し,近医を受診した.心エコー図検査にて右室腫瘍を疑われ,精査加療目的に当院紹介となった.心エコー図検査では,心室中隔から右室に突出する3×5cmのmass様エコーを認め,一部腫瘍表面に可動性のある塊状エコーを認めた.右室流出路は腫瘍により一部圧排されていた.心臓MRI検査にて右室脂肪腫が疑われた.術前の冠動脈造影にて冠動脈瘤とそれに伴う左前下行枝の有意狭窄を認め,腫瘍摘出術および冠動脈バイパス術を施行した.腫瘍は三尖弁と一塊になっており三尖弁置換術を要し,腫瘍の一部は中隔と一体化しており可及的切除を行った.術後の病理組織像では,良性の脂肪腫であった.右室心臓腫瘍を経験したので報告する.

35-95 右心系を占拠した巨大腫瘤の1例

田中恵美子1, 竹内淑恵1, 川西泰徳2, 伊藤隆英2, 北浦 泰2, 勝間田敬弘3

1大阪医科大学附属病院中央検査部生理機能検査室, 2大阪医科大学附属病院循環器内科, 3大阪医科大学附属病院心臓血管外科

 66歳時に甲状腺腫瘍(atypical follicular adenoma of the thyroid)にて右甲状腺摘出術を施行された80才女性.以前より労作時呼吸困難を認め,心拡大を指摘されていた.平成18年頃,心エコーにて右房内に6〜8cmの腫瘤を指摘されたが,手術を拒否したため近医にて治療を受けていた.しかし,今年初めより症状増悪したため,当院に入院となる.心エコーにて右心系を占拠する巨大腫瘤を認め,摘出術を施行された1例を報告する.

35-96 左室内血管腫の一症例

上場將生1, 住田善之2, 植田初江3, 橋本修治2, 田中教雄2, 神崎秀明4

1国立病院機構宇多野病院臨床検査科, 2国立循環器病センター生理機能検査部, 3国立循環器病センター病理部, 4国立循環器病センター心臓血管内科

 【症例】16歳男性.生来健康.【現病歴】野球の練習中に突然意識障害を発症したため当日近医受診.頭部CTを行ったが異常所見は認めなかった.6日後,心疾患除外目的で心エコー検査施行.左室内に塊状エコーを認め,精査目的で国立循環器病センターに入院となる.【経過】入院直後の心エコー検査にて,左室後下壁心内膜面に12×12mm大の有茎性の高輝度球状腫瘤およびその腫瘤への栄養血管と思われる血流シグナルを検出した.同日施行した冠動脈造影から,左回旋枝の末梢枝より腫瘤への栄養血管が確認された.翌日,腫瘤摘出術施行.摘出された腫瘤は組織学的に悪性像を認めず,血管腫と診断された.【まとめ】原発性心臓腫瘍の中でも血管腫は稀である.心エコー検査のみで心臓内腫瘤を鑑別同定することは困難であるが,今回の経験から血流シグナルを伴う高輝度腫瘤を認めた場合,血管腫も考慮すべき疾患の一つとして認識しておく必要がある.

35-97 左房内腫瘤を呈した2例

東口将佳1, 土井泰治1, 高松祐介2, 有馬 健2, 古川 貢1, 海邉正治1, 岡田健一郎1, 荒金和美1, 鈴木都男1, 林  亨1

1大阪府済生会千里病院内科, 2大阪府済生会千里病院生理機能検査室

 症例1.55才男性.食欲不振,体重減少を主訴に当院受診.胸部レ線上右上中肺野異常影認め,精査加療目的に入院.発作性上室性頻拍あり経胸壁心エコー図検査施行,左房内に42×46mm大の非可動性腫瘤を認めた.胸部造影CTでは直接左房に浸潤する肺腫瘍認めた.経気管支鏡肺生検にて非小細胞肺癌(腺癌疑い)と診断された.
 症例2.77才男性.他院にて経皮肺生検にて未分化非小細胞肺癌と診断,化学療法目的に当院入院.心電図異常あり経胸壁心エコー図検査施行,左房内に腫瘤像認めた.胸部造影CTでは左舌区の腫瘍より左房に浸潤する像を認めた.
 心臓腫瘍は稀であるが,転移性腫瘍は原発性腫瘍よりも30〜40倍多く,悪性黒色腫,白血病,リンパ腫,肺癌や乳癌ではその頻度が高いとされる.肺癌では剖検例の25%に心臓への転移を認めるとの報告があるが,左房内腫瘤を呈した例の報告は少なく留意する必要がある.

35-98 僧帽弁に認めた乳頭状線維弾性腫の一例

林 愛子1, 貝阿弥裕香子1, 松下容子1, 松井 隆1, 辻井一行1, 上山昌代1, 玉置万智子1, 綿貫 裕1, 藤尾栄起2, 由谷親夫3

1姫路赤十字病院検査部, 2姫路赤十字病院循環器科, 3岡山理科大学理学部臨床生命学科

 60歳代男性,2007年11月より慢性心房細動にて当院循環器科通院中.2008年1月4日一過性脳虚血発作様症状にて当院救急外来受診された.MRIにて急性脳梗塞を示唆する所見は認めず,MRAでも明らかな狭窄は認めなかった.後日血栓,心機能評価目的にて経胸壁心臓超音波検査施行.経胸壁心臓超音波検査では明らかな血栓様エコーは認めなかったが,僧帽弁前交連部付近より発生する可動性あるmass様エコーを認めた.経食道心臓超音波検査でも同様の所見を認めた.入院加療となったが,抗凝固療法では退縮等は認めず,血液培養は陰性であった.これにより腫瘍を強く疑い,腫瘍摘出,僧帽弁形成,maze目的で他院心臓血管外科にて手術施行.病理組織診断にて乳頭状線維弾性腫と診断した.

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循環器4(心臓(4))

座長: 平野 豊 (近畿大学医学部附属病院中央臨床検査部)

岸本悦子 (神戸赤十字病院検査部)

35-99 僧帽弁後尖の穿孔を伴った感染性心内膜炎の1例

池田智之生田新一郎, 西岡慎夫, 辻本俊和, 木村彰男, 平野 豊, 宮崎俊一

近畿大学医学部附属病院循環器内科

 40歳代 男性.2008年5月3日,低栄養と脱水に伴う急性腎不全で近医入院となった.入院時から発熱がみられており,血液培養で黄色ブドウ球菌が検出され5月12日より抗生剤の投与が開始されたが解熱しなかった.5月30日からは安静時呼吸困難が出現.経胸壁心エコーで僧帽弁逆流の増悪がみられ,僧帽弁逆流による急性左心不全で同日,当院搬送となった.当院で施行した経胸壁心エコーでは僧帽弁後尖の基部から心房中隔へ向かう3〜4°/IVの逆流jetを認めた.異常構造物エコーはなかった.経食道心エコーでは僧帽弁後尖の左房側に長径17mmの内部不均一な異常構造物エコーと僧帽弁後尖の弁腹から逆流jetを認めた.感染性心内膜炎による僧帽弁穿孔と診断し,6月7日僧帽弁置換術施行した.術中所見として僧帽弁後尖の弁輪に付着する尤贅と僧帽弁後尖弁腹の穿孔認めた.

35-100 ひも状の異常構造物が左室流出路に認められた大動脈解離の一例

奥加奈子1, 阿部幸雄2, 中村春己1, 中村理恵子1, 藤井紀代1, 元林 昭1, 成子隆彦2, 伊藤 彰2, 土師一夫2, 柴田利彦3

1大阪市立総合医療センター生理機能検査部, 2大阪市立総合医療センター循環器内科, 3大阪市立総合医療センター心臓血管外科

 症例は50歳男性で,呼吸困難を主訴に来院した.低酸素血症があり,胸骨左縁第3肋間に収縮期駆出性雑音と拡張期逆流性雑音,肺野に湿性ラ音を聴取した.胸部レントゲン写真では肺うっ血所見があった.以上から,急性うっ血性心不全と診断した.心エコー図検査では高度の大動脈弁逆流があり,心不全の原因と考えられた.また,可動性が豊かな紐状の異常構造物が,拡張期に大動脈弁から左室流出路に大きくループを描くように観察された.う歯が多数存在することと炎症所見があったことから,初めは感染性心内膜炎に伴う疣贅を疑った.緊急手術となったが,術前診断とは異なり上行大動脈の全周性の解離があったため,上行大動脈置換術を行った.術前の心エコー図で認められた異常構造物は,拡張期に上行大動脈から大動脈弁を超えて左室に逸脱した断裂内膜であったと考えられた.

35-101 三尖弁に感染性心内膜炎を起こした一例

入江まゆ子1, 水井麻喜1, 福長明子1, 小松万姫1, 長尾秀紀1, 近平佳美1, 高橋裕子2, 宝田 明2, 大北 裕3

1兵庫県立淡路病院検査放射線部生理検査室, 2兵庫県立淡路病院内科, 3神戸大学病院呼吸循環器外科

 症例:59歳男性.主訴:発熱.現病歴:H19年12月より発熱.H20年1月9日にトイレで倒れ当院救急外来を受診.既往歴:糖尿病.歯科でう歯の治療中.入院時身体所見:体温 39.3℃,第3〜4肋間胸骨左縁にLevine 4/6の収縮期雑音.心エコー検査にて三尖弁に高度逆流とΦ20×17mmのmass echoを認めた.感染性心内膜炎(IE)を念頭におき抗菌薬治療を開始.血培よりStaphylococcus anginosusが検出された.12病日にはmass echoは縮小し,膜様部欠損型のVSDに気付いた.その後炎症反応の低下を確認し三尖弁およびVSDに対する手術が行われた.まとめ:三尖弁にvegetationを認めるIEを経験した.通常乱流が起きないような部位にvegetationを認めた場合,原因として患部に乱流ジェットが当たるような疾患(VSDなど)が隠れていないか検索すべきである.

35-102 大動脈弁輪部膿瘍と左室-右房交通症を認めた感染性心内膜炎の一例

田中益水1, 合田亜希子1, 西村純子1, 三角千香1, 牧原佐知子1, 飯島尋子1, 中坊亜由美2, 吉田千佳子2, 大塚美里2, 増山 理2

1兵庫医科大学病院超音波センター, 2同循環器内科

 症例は41歳,女性.2000年より大動脈弁閉鎖不全を指摘されるも放置していた.2008年7月下旬,疲労から広範囲の口内炎を認め,その後口内炎は軽快したが8月13日から40℃の発熱が出現.近医にて抗生剤による加療を行うも,高熱が持続した.不明熱精査のため,9月1日当院受診.同日のTTEでは疣贅は検出されなかったが,3日後のTEEにて三尖弁付近に疣贅を認め,感染性心内膜炎の診断がなされた.血液培養よりStreptococcus Sangiusを検出し,抗生剤投与を開始したが,9日のTTEにて大動脈弁輪部膿瘍及び右房への穿孔を認め,TEEでは僧帽弁前尖弁輪部に膿瘍の波及が疑われた.感染コントロール不良による弁破壊の進行を認めたため,16日,両弁置換術を施行.今回のような感染コントロールが難しい症例では,IEの進行度を評価するために心エコー図検査を頻回に施行し,病態把握に努めなければならない.

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循環器5(心臓(5))

座長: 林 英宰 (河内総合病院心臓センター内科)

上田政一 (桜橋渡辺病院検査科)

35-103 高齢者に発症した心室中隔穿孔を急性心筋梗塞亜急性期に外科的修復術で加療しえた一例

北村 愛1, 大平芳行1, 西田美和1, 岩井寿世1, 林 英宰2, 川野成夫2, 市川 稔2, 岩田昭夫2, 林 隆治2, 三嶋正芳2

1河内総合病院臨床検査部, 2河内総合病院心臓センター内科

 症例は80歳,女性.平成19年7月23日急性心筋梗塞(前壁)を発症し,救急搬送となった.入院時心エコーで前壁・中隔の壁運動は低下し,梗塞領域以外の壁運動はHyper kineticであった.冠動脈造影上,左前下行枝中間部に完全閉塞を認め,発症2.5時間後に再疎通に成功した.第12病日に心室中隔穿孔を来たし,Qp/Qsは1.9であった.8月20日開胸下にKomeda-David法で穿孔部位を閉鎖し,以後は良好に経過した.心室中隔穿孔は再潅流不成功例に多いとされるが,本例のように早期再潅流例にも時に出現する.多くは心筋梗塞数日目に出現し,発症10日目以後はまれである.急性心筋梗塞亜急性期に高齢者に発症した心室中隔穿孔を外科的修復術で救命しえた一例を経験した.

35-104 左室内巨大血栓を認めた若年者心筋梗塞の1例

加藤健一1, 篠原美由姫1, 藤原憲子1, 中尾智子1, 吉村隆喜2

1育和会記念病院中央臨床検査部, 2育和会記念病院循環器内科

 今回我々は,ネフローゼ症候群による血栓形成にて心筋梗塞を発症し,その後左室内血栓を形成したと思われる症例を経験したので報告する.患者は33歳.男性.2007年はじめに胸部苦悶感出現するも放置.同年12月17日ふらつきと構音障害を主訴に来院.MRI検査にて脳梗塞と診断され入院となった.入院時心電図検査にて前胸部誘導にQSpatternを認めた為心エコーを施行し,心尖部無収縮と同部に付着する3×2cm大の可動性エコーを認めた.腫瘍性病変の可能性も考えられたが,冠動脈造影検査や,低蛋白血症と蛋白尿を認めたことからネフローゼ症候群が誘引となり心筋梗塞を発症し,その後左室内血栓を形成したと考えられた. 遊離する可能性があったため,手術目的にて転院となったが,縮小傾向が見られたため抗凝固療法が継続され,その後血栓エコーの消失を確認した.

35-105 TEEにより心室瘤を有する虚血心筋症において左室形態を把握できた一症例

吉岡和哉1, 小村佳代1, 上田政一1, 松江 一2, 正井崇史2, 樋口義治3, 岩倉克臣3, 伊藤 浩3

1桜橋渡辺病院検査科, 2桜橋渡辺病院心臓血管外科, 3桜橋渡辺病院循環器内科

 症例は48歳男性.1年前に前壁心筋梗塞を発症するも放置していた.労作時呼吸困難及び下腿浮腫を認め,次第に増悪するため当院受診した.経胸壁エコー(TTE)にて前壁〜心尖部の広範囲な壁運動低下と壁厚低下を認めEF14%と低心機能で僧帽弁閉鎖不全(MR2/4)の合併も認めた.内科的治療のみでは十分な症状改善を得られず左室形成術及び弁膜形成術の適応と考えられた.しかし心尖部は著明な拡大のためTTEで描出困難であった.そこで術前に経食道エコー(TEE)を実施したところ左室内の壁在血栓を認めた.また左室心尖部の形態を明瞭に知る事ができ,SAVE手術の実施に有用であった.手術は安全に実施でき術後は心不全の増悪なく順調に経過した.心室瘤を有する虚血性心筋症において左室形態を把握するのにTEEが有用であった.

35-106 ドブタミン負荷心エコー図検査が治療法選択に有用であった虚血性心筋症の1例

山脇康平1, 川合宏哉1, 福田優子1, 則定加津子1, 辰巳和宏1, 本庄友行1, 大西哲存1, 大北 裕2, 平田健一1

1神戸大学医学部附属病院循環器内科, 2神戸大学医学部附属病院心臓血管外科

 71歳,女性.2002年慢性腎不全で透析導入となり,2003年,3枝病変を合併した左前下行枝の急性心筋梗塞で当院心臓血管外科に入院,冠動脈バイパス術が施行された.以降近医で維持透析管理されるも,透析中の血圧低下のためACE阻害薬やβ遮断薬は導入困難であった.2008年2月脳梗塞を生じ近医でリハビリ中であったが,透析中に胸痛を自覚したため心エコーを施行したところ左心機能低下・重症僧帽弁逆流を認め,人工弁置換術目的に当院外科入院となった.ドブタミン負荷心エコーで壁運動の改善・僧帽弁逆流の減少を認めたため,左室収縮予備能があると判断.内科転科の上ARB・β遮断薬を少量より開始・漸増したところ徐々に僧帽弁逆流は減少し,心機能改善を認め第65病日軽快退院した.ドブタミン負荷心エコー図検査が治療法選択に有用であった虚血性心筋症の1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.

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循環器6(心臓(6))

座長: 赤阪隆史 (和歌山県立医科大学循環器内科)

田中益水 (兵庫医科大学超音波センター)

35-107 左房粘液腫による下肢動脈塞栓症の一例

浦上晴美1, 中村盛高1, 竹原康介2, 田中宏治2, 北野勝也2, 中島 伯2, 大門雅広3, 勝間田敬弘3

1市立枚方市民病院中央検査科生理機能検査室, 2市立枚方市民病院循環器内科, 3大阪医科大学心臓血管外科

 【症例】32歳,男性.【主訴】下肢の激痛・脱力・感覚鈍麻【既往歴】特記事項なし【現病歴】2008年6月肉体労働中に突然下肢に激痛が生じ,脱力と感覚鈍麻で立位困難となり当院内科を受診.左大腿動脈以下触知不能のため急性動脈塞栓症が疑われ,緊急で下肢動脈エコーの依頼があった.エコーでは,左膝窩動脈が完全閉塞し,末梢側は一相性の低血流が検出されるのみであった.心房細動も認めず,若年で動脈硬化の危険因子も乏しく,エコー上は血栓性閉塞というには奇異な印象があった.直ちにソノグラファーより,担当医に心エコーの依頼を要請した.心エコーでは,左房内に可動性に富む多房性腫瘍が確認され,心臓外科で緊急手術となり粘液腫が摘出された.【結語】左房粘液腫によると思われる急性下肢動脈閉塞の一例を経験した.塞栓源の検索に心エコー検査は必須であり,医師からの依頼がない場合にも積極的に必要性を提言することが重要である.

35-108 左室内粘液腫が疑われたが入院中に消失した一例

波元智香1, 喜多領一1, 坂上裕司2, 齋藤聡男2, 石井 英2, 広瀬 真2, 西田幸生2, 瓦林孝彦2

1東住吉森本病院生理検査室, 2東住吉森本病院循環器内科

 【症例】77歳 女性【主訴】両下肢浮腫,腹部膨満,呼吸困難【既往歴】糖尿病,高血圧【現病歴・経過】2008年6月初め頃より,両下肢の浮腫,腹部膨満あり.6月末頃より,呼吸困難,歩行困難となったため循環器内科紹介受診.心エコーにて,び慢性壁運動低下,特に心尖部はakinesisであった.左室心尖部に最大径約2cmの高輝度構造物,他に左室内の壁運動が比較的保たれた部位にも小径の同様構造物が認められた.血液検査所見では,腫瘍マーカー陰性,IL-6高値.加療目的で入院となった.当初は粘液腫を疑ったが血栓も否定できないため抗凝固療法を開始した.2週間後の心エコー再検時には左室内異常構造物は消失していた.【まとめ】心エコーにて異常構造物を確認でき,IL-6が高値であったため,粘液種を疑うも左室内構造物が抗凝固療法により消失した為血栓と考えられた.

35-109 左房内血栓を合併した肺血栓塞栓症の一例

太田光彦1, 三宅 仁1, 加藤 洋1, 永澤浩志1, 縄田隆三1, 前西文秋2, 堀川里紀2, 殿畑友恵2, 山野愛美2, 登尾 薫2

1西神戸医療センター循環器科, 2西神戸医療センター臨床検査技術部

 症例は45歳,女性.平成20年3月,右変形性股関節症のため,人工股関節全置換術を施行され,その3日後に胸痛と失神発作が出現した.心電図上II III aVFでST上昇を認め,ニトログリセリンの投与により心電図は正常化したが,低酸素血症が遷延するため当院循環器科に紹介受診された.経胸壁心エコー図検査にて右心系の拡大を認め,左房内に心房中隔に付着する長径3cm大の可動性を有する棍棒状エコーを認めた.胸部CTでは両側肺動脈内に血栓を認めたことから,本症は,卵円孔開存を通過した右心系由来の左房内血栓を合併した急性肺血栓塞栓症と診断した.治療として,heparin sodium 持続投与の上,monteplase 160万単位を静注した.翌日の心エコー図検査で左房内血栓は消失していた.後日,経食道心エコー図検査にて卵円孔開存が確認された.奇異性塞栓症の原因血栓が観察されることは稀であり,ここに報告する.

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循環器7(心臓(7))

座長: 田内 潤 (大阪労災病院内科)

浅岡伸光 (宝塚市立病院中央検査室)

35-110 胸部上行大動脈瘤に高度の大動脈弁逆流を合併した37歳男性

榊原弘光1, 阿部幸雄2, 中村春己1, 中村理恵子1, 藤井紀代1, 元林 昭1, 成子隆彦2, 伊藤 彰2, 土師一夫2, 柴田利彦3

1大阪市立総合医療センター生理機能検査部, 2大阪市立総合医療センター循環器内科, 3大阪市立総合医療センター心臓血管外科

 症例は37歳男性で,胸背部痛を主訴に来院した.ループス髄膜炎の既往がありステロイドの内服加療を継続中であった.心エコー図検査を施行したところ,上行大動脈の拡大が著明で直径は75mmだった.高度の大動脈弁逆流を合併し,逆流量は71mlだった.左室の拡大が著明で左室拡張末期径は86mm,左室壁運動は瀰漫性に低下して左室駆出率は33%だった.胸部造影CT検査を行ったところ,紡錘型の上行大動脈瘤(直径79mm)が認められたが大動脈解離はなかった.手術適応と考え,入院のうえ後日にBentall手術を施行した.比較的若年の男性であるにもかかわらず著明な上行大動脈瘤を有した理由について考察した.SLEに稀に大動脈瘤を合併するとの報告がある.また,HLA-B52が陽性だったため大動脈炎症候群に類似した素因を持つ可能性も考えられた.

35-111 低左心機能を伴う大動脈弁狭窄症の一例

大西哲存, 川合宏哉, 山脇康平, 漁 恵子, 福田優子, 岡田真理子, 則定加津子, 辰巳和宏, 吉田明弘, 平田健一

神戸大学大学院循環器内科学

 80歳男性.全身倦怠感を主訴として他院を受診し,低左心機能を伴う大動脈弁狭窄症と診断され,入院となった.内科的治療にても自覚症状は改善せず,外科的治療を目的として当院に転院した.NYHA心機能分類はIII度,心電図にて完全左脚ブロックを認め,心エコー図にて大動脈弁狭窄,左室拡大,左室収縮能低下,心室同期不全を認めた.大動脈弁置換術を施行し,術中に心外膜マッピングを行い,左室内における刺激伝導最遅延部位を検出し,同部位に心外膜左室リードを留置した.術後24日に心臓再同期療法を施行,急性効果として血圧上昇を認めた.その後,NYHA心機能分類は II 度となり,心エコー図にて同期不全は改善,左室収縮能の改善は明らかではなかったが,心不全に対する薬物療法の強化が可能となった.左心機能低下を伴う高齢者の大動脈弁狭窄症に対し,大動脈弁置換術と心臓再同期療法を行い,良好な結果を得た一例を経験したため報告する.

35-112 未破裂バルサルバ洞動脈瘤の1例

津村京子1, 田上展子1, 尾羽根範員1, 川端 聡1, 宮澤由美1, 吉野知治1, 湊雄美子1, 岩尾寛子1, 平岡久豊2, 安宅啓二3

1住友病院超音波検査部, 2同循環器内科, 3同心臓血管外科

 《主訴》胸部の違和感.《既往歴》脳出血(平成16年).《現病歴》平成16年より脳出血後の管理と高血圧・高脂血症の治療にて当院神経内科通院中.平成19年10月,胸部違和感を訴え,循環器内科受診.《経過》心電図,胸部レントゲンにて異常所見なし.経胸壁心エコー図検査にて右冠動脈洞の一部分が3cm大の瘤を形成し右室流出路へ突出しているのを認めた.大動脈弁輪の拡大はなく,大動脈弁逆流はごく軽度であり,右心系へのシャント血流も認めなかった.この結果から右冠動脈洞より生じた未破裂バルサルバ洞動脈瘤と考えた.平成20年4月,大動脈基部内から瘤入口部閉鎖術を施行.バルサルバ洞瘤は血栓化し徐々に縮小した.《まとめ》心エコー図検査が発見の契機となった未破裂バルサルバ洞動脈瘤の1例を経験した.未破裂で発見されるのは稀であり,若干の文献的考察を加えて報告する.

35-113 川崎病発症を契機に発見された孤立性大動脈四尖弁の1女児例

岡本直之1, 3, 奥村謙一2, 川村尚久3, 森田利江1, 玉井 浩2

1済美会昭和病院小児科, 2大阪医科大学医学部小児科, 3大阪労災病院小児科

 (症例)生来健康な3歳女児.(現病歴)2007年12月3日,発熱,左頸部痛にて近医を受診.抗菌剤を投与されるも解熱せず,6日,当院に紹介入院となる.初診時,川崎病主要症状の全てを認めた.(現症)心雑音は聴取せず.(心臓超音波検査)孤立性大動脈四尖弁を認めた.大動脈弁は均等に分割された四尖弁で,ごく軽度の大動脈弁逆流を認めた.冠動脈の拡張は認めなかった.(入院後経過)アスピリン内服,ガンマグロブリン超大量療法(2g/kg)1回にて解熱し,冠動脈病変の合併なく19日に退院となった.(考察)我々は川崎病発症を契機に発見された孤立性大動脈四尖弁の一例を経験した.孤立性大動脈四尖弁は稀な疾患であり,小児例での報告はほぼ皆無である.本症例の確定診断は,心不全症状の出現する50〜60歳代が多く,小児期に診断されることは少ない.そのため,その自然予後は不明であり,慎重な経過観察が必要であると考えられた.

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循環器8(心臓(8))

座長: 谷 知子 (神戸市立医療センター中央市民病院循環器内科)

田中教雄 (国立循環器病センター生理機能検査部)

35-114 B-Flow法による左室内渦流の描出

渡辺文督

渡辺医院循環器内科

 【目的】B-Flow法が左室内渦流を描出する簡便な方法となりうるかどうかについて検討した.【対象と方法】対象は,心エコー検査を行ったAf例を除く連続20例.汎用超音波診断装置(GE LOGIQ S6)に心臓用セクター探触子(M3S)を用い,B-Flow法により心尖部アプローチで左室内血流を記録し,拡張早期,拡張中期,拡張末期,等容収縮期および等容弛緩期の各時相において左室内渦流が描出されるかどうかを検討した.【結果】左室内渦流は,拡張中期では20例(100%)で描出可能であった.また,拡張早期では15例(75%),拡張末期では17例(85%),等容収縮期では18例(90%),等容弛緩期では10例(50%)で描出可能であった.【結論】B-Flow法は,時相によっては限界があったが,拡張中期においては全例で左室内渦流を描出可能であり,簡便に左室内渦流を観察する方法として利用可能であると考えられた.

35-115 収縮期僧帽弁輪運動速度(S')から見た拡張不全患者の収縮能

大平芳行1, 西田美和1, 岩井寿世1, 北村 愛1, 林 英宰2, 川野成夫2, 市川 稔2, 岩田昭夫2, 林 隆治2, 三嶋正芳2

1河内総合病院臨床検査部, 2河内総合病院心臓センター内科

 目的:拡張不全患者で収縮能が保たれているかを収縮期僧帽弁輪運動速度(S')から検討.方法:対象は急性うっ血心不全で入院した89例.入院時EFが45%以上で,その後外来で6ヶ月以上安定しているものを拡張不全(DHF)群(n=18)とした.PW法による拡張早期左室流入血流のピーク流速(E),TDE法による僧帽弁輪拡張早期ピーク速度(E')とその比(E/E'),収縮期僧帽弁輪運動速度(S')を慢性期に測定した.同時に他のエコー指標と血清BNP値を測定.結果: DHF群でE/E'(=14.5±2.9),BNPレベル(=209±120 pg/ml)は高値を示し,S'(=6.1±1.3)は低値を示した.結論:EFが良好で拡張不全が主と考えられた病態も心臓の長軸方向で見た収縮能は低下している.拡張能低下による急性心不全発症にも収縮能低下の関与が示唆された.

35-116 術中経食道心エコー検査におけるプローブ温度管理に関する検討と考案

高橋秀一

天理よろづ相談所病院臨床病理部

 低体温下での心臓血管外科手術中の経食道心エコーモニタリング時に,画面が突然フリーズしたことを経験した.これは,よく知られている経食道心エコー検査の熱的安全性に関する設計のうち,当院使用のVividシリーズのプローブでは,先端のセンサーが規定温度範囲(17.5〜42.7度)を超えるとシステムフリーズモードが作働したことが原因と判明した.この事例を契機に,プローブの温度キャリブレーションテストを行い高温および低温時のフリーズモードに入る直前状況を観察したところ,高温時にはアラート表示が出現するが,低温時にはその表示がなく突然フリーズすることがわかった.術中モニター中におけるフリーズ対策として,プローブカバー内にプローブを装填する際に4F Pig Tailカテーテルを同時に入れ込み,低温時にはカテーテルから温水を注入することにより抜去せずプローブ先端を復温させる方法を考案したので報告する.

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消化器13(上部消化管(1))

座長: 本合 泰 (大阪医科大学消化器内科)

綿貫 裕 (姫路赤十字病院検査部)

35-117 魚骨による消化管穿孔の3症例

太田奈津子1, 松下陽子1, 岡山幸成1, 西村 理2, 松末 智2

1天理よろづ相談所病院臨床病理部, 2天理よろづ相談所病院腹部一般外科

 魚骨による消化管穿孔には急性炎症型と膿瘍等を形成する慢性炎症型があり,最近,両者を経験したので報告する.症例1は69歳男性,症例2は73歳男性でともに突然の腹痛にて当院を受診した.2例ともUS,CTで限局性の腹膜炎像があり,腸管内から穿通する線状の異物を認め,これが原因と考えられた.症例3は79歳女性で10日程続く臍部周囲の腹痛と夜間の発熱で紹介受診となった.US,CTで肥厚した胃壁から連続して足側に膿瘍形成があり,膿瘍内に線状の異物を認め,これによる胃穿孔が膿瘍の原因と考えられた.描出された線状の異物は形態から魚骨と判断された.3例とも術中に魚骨が発見された.限局性腹膜炎像や腹腔内膿瘍形成を認めた場合は魚骨等による消化管穿孔も考えられ,腸管壁や膿瘍内に線状の異物等を確認する事が重要と思われた.

35-118 早期胃癌内視鏡的粘膜剥離術後に胃壁内血腫をきたした1例

小畑美佐子1, 荒木直子1, 三羽えり子1, 黒田真百美1, 岩崎信広1, 栃尾人司1, 簑輪和士1, 藤田幹夫2, 杉之下芳志樹2, 猪熊哲朗2

1神戸市立医療センター臨床検査技術部, 2神戸市立医療センター消化器センター内科

 【症例】80歳代 女性【主訴】腹痛【既往歴】十二指腸潰瘍・肺腫瘍・右大腿骨骨折【現病歴】C型肝炎・食道静脈瘤で外来観察中.'07年6月の上部消化管内視鏡で胃体中部小彎後壁に10mm大の II c病変を指摘され,8/15当院内科入院しESD施行.術後腹痛を訴えたが,症状・血液検査上改善傾向が認められ8/22退院.その後も腹痛持続し9/7当院救急受診.再入院.【入院時身体所見】腹部に心窩部を最強点とする圧痛.【検査成績】CBC13.900/mm3 CRP10.1mg/dl【US所見】膵体尾部腹側,胃体部背側に境界不明瞭で内部粗雑なmassを描出.内部に血流は認められなかった.【CT所見】胃体中部後壁内に血腫を認めた.【臨床経過】モダシン,ダラシンで治療を開始.腹痛軽快し自然吸収を考え退院.第35病日のUSでは縮小傾向.3ヶ月後のCTで血腫は消失.【考察】今回の症例は縦走筋と輪状筋の間に出血し血腫を形成したと考えられた.

35-119 AFP産生胃癌とGISTが併存していた1症例

横田重樹1, 中井隆志2, 坂江優佳1, 石川祐子1, 中通由美1, 大内田祐一1, 嶋三恵子1, 川崎靖子2, 木岡清英2, 竹村雅至3

1大阪市立総合医療センター生理機能検査部, 2大阪市立総合医療センター消化器内科, 3大阪市立総合医療センター消化器外科

 症例は,75歳男性.高血圧・心筋梗塞後,肝障害・腎障害にて近医通院中.血液検査でAFP16000ng/mlと以上高値を示し,他院にて精査目的で腹部造影CT,MRIを施行.左上腹部に11×11cm大の腫瘤を指摘され,紹介受診となる.腹部超音波にて左上腹部に最大径14cm大のcystic lesionを含む充実性腫瘤を認め,胃との境界が不明瞭であった.その後上部内視鏡にて幽門前庭部大弯に不整隆起性病変を認め,生検にて低分化型腺癌,AFP産生胃癌と診断され,手術施行となる.肉眼所見に胃体部大弯に20×30mm大の病変と胃後壁に接していたとされる15×11×35cmの腫瘤を認めた.病理所見では,AFP産生胃癌とGISTが併存していた.

35-120 茎捻転を契機に発見されたGISTの一例

田村周二1, 岡田 翠1, 石平雅美1, 阪下 操1, 竹内雅幸1, 藤本敏明1, 勝山栄治2, 山下幸正3, 諏澤 憲4, 木川雄一郎4

1神戸市立医療センター西市民病院臨床検査技術部, 2同臨床病理科, 3同消化器内科, 4同外科

 症例は60歳代,男性.朝突然の腹痛にて救急外来受診,上腹部に強い圧痛および反跳痛を認めた.緊急超音波検査にて痛みの直下に径7cm大の充実性腫瘤があり胃前庭部との連続性を一部認めた.周囲には少量の腹水も伴っており胃に由来するSMTの穿孔が疑われた.

35-121 Immuno proliferative small intestinal disease(IPSID)の一例

岩崎信広1, 岡田明彦2, 杉之下与志樹2, 河南智晴2, 猪熊哲朗2, 栃尾人司1, 簔輪和士1, 小畑美佐子1

1神戸市立医療センター中央市民病院臨床検査技術部, 2神戸市立医療センター中央市民病院消化器センター内科

 【症例】80歳代女性.【主訴】食欲低下,全身倦怠感.【既往歴】10歳代肋膜炎,30歳代に虫垂切除術.【現病歴】平成4年頃,近医よりアミラーゼ高値にて当院紹介.膵疾患など器質的疾患は認められなかった.平成17年に再び高マクロアミラーゼおよび高リパーゼ血症と診断された.平成20年に入り食欲低下・体重減少など全身状態の悪化を認め,吸収不良症候群が疑われる状態に至り入院となった.【画像所見】USでは腹腔内に多数のリンパ節腫大が認められ,消化管は胃から大腸まで広範囲に肥厚し,粘膜下層の肥厚を主体としていた.また,ドプラでは豊富な血流シグナルが捉えられた.上部消化管内視鏡検査では胃前庭部に粘膜面の易出血性びらんおよび隆起性変化が認められ,十二指腸粘膜は著明に萎縮していた.カプセル内視鏡では小腸の絨毛の腫大・萎縮・欠損,白色絨毛等の所見が混在しながら断続的に認められた.

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消化器14(上部消化管(2))

座長: 中村武史 (天理よろづ相談所病院消化器内科)

岩崎信広 (神戸市立医療センター中央市民病院臨床検査技術部)

35-122 上部消化管穿孔におけるUSでのfree airの検出能について -特にCTとの比較-

藤岡正幸1, 福井寛也2, 梶山雄司2, 上道 武2, 三上慎一2, 高 智成3, 向井 勤1, 三五通子1, 中谷元太郎2, 臼井典彦2

1大東中央病院臨床検査室, 2大東中央病院外科, 3大東中央病院内科

 <目的>当院で,過去約6年間に上部消化管穿孔と診断された症例について,USにおけるfree airの検出能を検討したので報告する.<対象および方法>2002年3月から2008年4月までの6年2か月の間に本施設で上部消化管穿孔を経験したのは31例であった.このうちUSおよび,CT・胸部レントゲン検査のいずれもが施行された15例(穿孔性十二指腸潰瘍12例,穿孔性胃潰瘍3例)を対象とし,free airの有無・検出部位について比較検討した.<結果と考察>USでは肝下面14例,横隔膜下8例にfree air像を認めたのに対し,CTでは肝下面9例,横隔膜下11例にfree air像がみられた.胸部レントゲン検査では,5例のみ横隔膜下のfree airが検出された.横隔膜下のfree airはCTで高率に検出されたが,肝下面の比較的少量なfree airの検出はUSが優れていた.

35-123 診断に苦慮した転移性小腸腫瘍の一例

木下博之1, 竹中正人1, 大前嘉良1, 中戸洋行1, 石水弘子1, 佐竹理恵1, 山本忠生2

1社会保険紀南病院中央臨床検査部, 2社会保険紀南病院内科

 症例は,49歳男性.慢性腎不全にて透析中.貧血の増強と血便の精査のため当院紹介受診.上下部内視鏡検査では明らかな病変は指摘されず.CTにて左下腹部に50ミリ大の腫瘤状陰影,左副腎に15ミリ大の結節を認めた.腹部超音波検査でも下行結腸内側の小腸に52ミリ大の低エコー腫瘤を認め,腫瘤は小腸後壁から内腔に突出するように存在.境界明瞭,辺縁平滑,内部エコー均一で腫瘤内部に拍動性血流が豊富に描出された.超音波では悪性リンパ腫やGISTが考えられたが,Gaシンチにて小腸腫瘍に一致して強い集積が見られたため悪性リンパ腫を疑い手術施行,病理診断にて腎細胞癌の転移と診断された.左副腎には腹腔内の癒着が強く到達できなかった.

35-124 栄養チューブが誘因となった小腸型腸重積症の1例

井上敬介, 青松友槻, 余田 篤, 玉井 浩

大阪医科大学応用医学講座小児科

 【症例】19歳,男【主訴】機嫌不良,腹部膨満【経過】誤嚥性肺炎で入院中の脳性麻痺患者.高度の胃食道逆流症に対し,Nissen噴門形成術と腸瘻造設術を施行,栄養チューブを空腸に留置した.術後17日目,機嫌不良,腹部膨満が出現した.腹部レントゲンにて,胃の著明な拡張を認め,腸閉塞が示唆された.上部消化管造影を施行したが,原因の特定には至らなかった.腹部超音波検査を施行したところ,小腸に腸重積所見を認め,重積した腸管の中心部に栄養チューブが描出された.以上より,栄養チューブが誘因の小腸型腸重積症と診断し,緊急手術にて腸重積の整復,腸瘻抜去を施行した.【考察】栄養チューブを腸管に留置した患者で,突発的な消化器症状を認めた場合は腸重積症も考慮する必要があり,その鑑別に超音波検査は有用である.本症例では興味深い超音波画像が得られたため報告する.

35-125 腸重積を契機に発見された小腸粘液性嚢胞腺腫の一例

中西美紀1, 中村 滋1, 中山裕史2, 綛野 進3, 梁瀬義章4

1長吉総合病院臨床検査科, 2長吉総合病院内科, 3長吉総合病院副院長, 4長吉総合病院院長

 症例は30歳代,男性.発熱,腹痛,下痢,嘔吐にて受診し急性腸炎の診断にて入院となった.入院後イレウス発症し,保存的療法にて軽快せずイレウス管挿入されるが,減圧効果不十分であった.超音波検査では膀胱の近傍に小腸重積を疑う所見がみられ,その先進部に3cm強の腫瘤が描出された.超音波検査では小腸腫瘍(GIST)による腸重積を疑ったが,病理組織診断では粘液性嚢胞腺腫と診断された.今回,我々は比較的まれな疾患である小腸腫瘍の腸重積を経験し,超音波検査で特徴的な画像が得られたので報告する.
 腸重積先進部に描出された小腸腫瘍

35-126 体外式超音波が診断に有用であった小腸若年性ポリープの2症例

青松友槻, 余田 篤, 玉井 浩

大阪医科大学応用医学講座小児科

 【症例1】1歳および2歳3か月時に貧血を指摘され,2歳6か月時に当科へ紹介.腹部体外式超音波(以下US)で左上腹部の空腸領域に13mm大の腫瘤性病変を認めた.腫瘤は辺縁整で内部にsmall cystを多数認め,血流シグナルは豊富であった.手術にてポリープを摘出し,病理検査で若年性ポリープ(以下JP)と診断.【症例2】3歳11か月時に貧血を指摘され,4歳2か月時に当科へ紹介.USで左上腹部の空腸領域に小腸小腸型腸重積を認め,先進部に症例1と類似した20mm大の有茎性腫瘤性病変を認めた.手術にて腸重積の整復およびポリープの摘出を行い,病理検査でJPと診断.【考察】両症例で鮮血便を認めなかったことが診断を困難にした一因であった.腫瘤内部のsmall cystはJPに特徴的な拡張腺管を反映しており,診断的価値のある所見と考えられた.【結語】貧血精査でUSを行う場合,小腸ポリープも念頭に置く必要がある.

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消化器15(下部消化管)

座長: 岩田恵典 (兵庫医科大学病院内科肝胆膵科)

川端 聡 (住友病院超音波検査部)

35-127 USで確認された腰ヘルニアの一症例

橋向成典1, 本田伸行1, 加藤美香1, 佐藤まり恵2, 廣辻和子3, 三木之美3

1寺元記念病院放射線科, 2西天満クリニック, 3医真会八尾総合病院臨床検査科

 患者は70歳代,男性.アルコール性肝硬変のフォローアップのため腹部超音波検査を依頼された.以前より右背部に柔らかい腫瘤があり,脂肪腫と診断されていたが,違和感を訴えるため探触子を当てて確認したところ,以下の所見を得た.1)腫瘤は均一な脂肪塊ではなく,嚢胞様の構造物を含有していた.2)嚢胞様構造物の壁には層構造がみられ,消化管の一部と思われた.3)嚢胞様構造物は圧迫走査などによって消失してしまった.4)腫瘤部の腹壁に約2cm大の腹膜欠損が確認できた.以上より,腰ヘルニアと診断し,後日施行した腹部CT検査においても,右腰方形筋と腹斜筋の間(腰三角)のヘルニア門と皮下に脱出する大腸を確認した.本例は視触診所見で腹壁の脂肪腫と診断されていたが,念のために探触子を当てただけで,脂肪腫は否定できた.さらに,高周波探触子を用いることで,腰ヘルニアの詳細を明らかにできた一例である.

35-128 超音波検査にて狭窄部位を観察し得た内ヘルニアの1症例

福島 豊1, 中野勝行1, 多田俊史2, 菅本常夫3

1東神戸病院放射線科, 2東神戸病院内科, 3東神戸病院外科

 【はじめに】内ヘルニアとは体腔内の腹膜陥凹部や欠損部に腸管が入り込むことによる腹部間膜病変の一つであり,間膜を認識しがたい画像検査では診断が困難であるとされる.今回,超音波検査(以下US)にて観察した狭窄部が,内ヘルニアの陥入部であった症例を報告する.【症例】84歳男性.上腹部痛にて当院受診.腹部X線・腹部CTおよび臨床症状から腸閉塞と診断され入院となり,イレウス管を挿入する.イレウス管造影にて腫瘤様の閉塞部を認めたため,USにて確認したが腫瘤性の病変は認めず腸管狭窄像を認めた.再度イレウス管造影を行うと小腸ループを形成しており,内ヘルニアによる腸閉塞と考えられ手術となる.手術所見では,腹壁に形成された間膜様のトンネル内に小腸の陥入があり,一部癒着も認めた.【まとめ】USにて早期に腸閉塞の原因部位を同定し詳細に観察することは,診断・治療に有用であると考える.

35-129 特発性S状結腸穿孔の1例

杉山育代, 豊留幸子, 利川香織, 冨田周介

冨田クリニック

 【症例】60歳男性.朝,排便中に激しい下腹部痛出現.10分後当院へ来院.顔貌苦悶状で腹部所見は全体に硬いが,限局性圧痛および反跳痛は明らかではなかった.直ちに超音波検査を施行.左右結腸窩に少量の腹水を認め,S状結腸の一部に約5cmにわたり不規則な壁肥厚がみられ,その周囲に高エコー層が広がり体網集積をうかがわせた.壁肥厚病変については憩室炎や癌を示唆する所見は認めなかった.腹部単純写真では左の腸腰筋に沿って線状の透享像が見られた.以上より下部腸管穿孔による腹膜炎として開腹手術が行なわれた.手術ではS状結腸特発性穿孔であり縫合術のみが行なわれた.【まとめ】下部消化管穿孔では迅速な診断が必要である.USでは直接に同疾患の病変を描出は出来ないが,少量のfluid spaceの存在,大網の集積は穿孔性腹膜炎を示唆する重要な所見であった.

35-130 アナフィラキシー腸炎の一例

岩崎信広1, 杉之下与志樹2, 岡田明彦2, 河南智晴2, 猪熊哲朗2, 栃尾人司1, 簔輪和士1, 小畑美佐子1

1神戸市立医療センター中央市民病院臨床検査技術部, 2神戸市立医療センター中央市民病院消化器センター内科

 【症例】30歳代男性.【主訴】意識障害.【既往歴】気管支喘息,アトピー性皮膚炎,【アレルギー】カニ・エビ・蕎麦など【現病歴】林檎酢・サキイカを摂取した約2時間後にトイレ内で意識消失し,当院に搬送された.【来院時現症】意識清明,Spo2 98%,BP 74/38mmHg,眼瞼結膜両側充血あり,胸部両側wheeze著明,腹部異常なし,皮膚rash著明.【CT】上行結腸から横行結腸にかけて浮腫性壁肥厚が認められた.【US】盲腸部からS状結腸にかけて全周性の壁肥厚が認められ,特に横行結腸の肥厚が著明であった.層構造は明瞭で粘膜‐粘膜下層の肥厚を主体としていた.ドプラでは壁内血流の低下が捉えられた.【経過】来院後,少量の肉眼的潜血混入の血便が続いていたが,投薬・輸液にて改善.その後,腹部症状も消失し,同日退院となった.

35-131 虫垂粘液嚢胞腺腫の3症例

綿貫 裕1, 林 愛子1, 貝阿弥裕香子1, 松下容子1, 松井 隆1, 上山昌代1, 辻井一行1, 玉置万智子1, 藤澤真義2, 佐藤四三3

1姫路赤十字病院検査部生体検査課, 2姫路赤十字病院病理, 3姫路赤十字病院外科

 虫垂粘液嚢胞腺腫の3症例をスクリーニング検査で発見した.1)50歳代 男,虫垂径30mm大,長さ95mm.2)70歳代 女,虫垂径は60mm大,長さ70mm.3)70歳代 男,虫垂径は40mm大,長さ70mm.いずれも内腔に層状の粘液の貯留を認めた.造影超音波検査上虫垂内腔には乳頭部は認めなかった.

35-132 虫垂憩室炎の1症例

松井 隆1, 林 愛子1, 貝阿弥裕香子1, 松下容子1, 上山昌代1, 辻井一行1, 玉置万智子1, 綿貫 裕1, 藤澤真義2, 佐藤四三3

1姫路赤十字病院検査部, 2姫路赤十字病院病理, 3姫路赤十字病院外科

 症例は50歳大男性,右下腹部痛精査にて超音波検査施行した.虫垂は7mmと軽度腫大,虫垂間膜側に7mmの憩室を認め,周囲間膜の肥厚しており,炎症の首座は憩室炎であった.病理所見も同様,虫垂憩室炎であった.

35-133 非典型的臨床症状の急性虫垂炎2例

豊留幸子, 杉山育代, 利川香織, 冨田周介

冨田クリニック

 今回,我々は非典型的臨床症状の急性虫垂炎2例を経験したので報告する.《症例1》38歳,男性.主訴は心窩部痛.5日前より胃痛があり,来院時McBurneyに圧痛は認めなかった.USにて粘膜下層の肥厚を主体とする層構造の保たれた径8mmの腫大した虫垂が描出され,急性虫垂炎と診断.翌日手術が施行され蜂窩織炎性虫垂炎であった.《症例2》78歳,男性.主訴は腹部膨満感.来院時腹部所見は全く認めず発熱も伴わなかった.USにて糞石を伴う径1cmの腫大した虫垂が描出された.虫垂根部の層構造は不明瞭で盲端部の層構造は比較的保たれていた.以上より急性虫垂炎と診断.翌日手術が施行され化膿性虫垂炎であった.《まとめ》これら2症例は右下腹部痛,同部の圧痛,発熱など積極的に虫垂炎を示唆する所見は無かった.しかしUSは確実に虫垂の炎症像をとらえていた.腹部症状のスクリーニングにおける虫垂の描出の重要性を再認識した.

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消化器16(造影・消化管)

座長: 高倉玲奈 (大阪府立成人病センター検診部)

廣辻和子 (医真会八尾総合病院臨床検査科)

35-134 ソナゾイド®にて活動性評価を行った大腸クローン病の1例

大川尚臣, 野上浩實, 小畑卓司, 金川泰一朗

医療法人野上病院外科

 目的:クローン病の活動性評価は内視鏡検査だけでなく,超音波検査(以下US)による浮腫や,腸管血流の程度の評価も重要である.今回我々はソナゾイド®による造影USにて腸管血流でのクローン病の活動性を評価した.対象と結果:症例は23歳,男性.下痢,腹痛を主訴に下部消化管内視鏡を行い,盲腸からS状結腸にかけて全周性に糜爛,多発する縦走潰瘍,炎症性ポリープを認めた.胃,小腸には異常を認めず大腸クローン病と診断し治療を行った.腹部USでは大腸全体に著明な壁肥厚を認め,Cobble stone像を思わせる陥凹面を反映した高エコー像を認めた.血流は腸管壁第3層を中心に明瞭に描出され,ソナゾイド®による造影USでは早期動脈相にて壁全層に豊富な血流を認めた.治療1ヶ月後の造影USでは,壁肥厚は顕著に軽減し血流も減少傾向にあった.結語:造影USでの腸管血流の測定はクローン病活動性の評価に有用であると考えられたので考察を加え報告する.

35-135 ソナゾイド®造影エコー法で観察した回腸リンパ腫の一例

松田史博1, 木村 達1, 喜多竜一1, 西川浩樹1, 池田敦之1, 中辻正人1, 斎藤澄夫1, 岡部純弘1, 大崎往夫1, 谷口敏勝2

1大阪赤十字病院消化器科, 2大阪赤十字病院超音波検査室

 症例は82才男性.2008年6月,右下腹部痛の精査目的に当院を紹介された.上部・下部消化管内視鏡検査では異常を指摘されなかったが,腹部エコー検査にて,右下腹部に腫瘤像を指摘された.腫瘤は,長径4cm大,壁の厚い管腔構造を呈していた.壁はほぼ均一低エコーで,最大11mm厚と全周性に著しく肥厚していた.この病変の近傍に23mm大の類円形低エコー腫瘤を認め,リンパ節腫大と考えた.ソナゾイド®造影エコー法で,vascular phaseで,漿膜側から内腔に向かって微細な血管が網目状に伸び,速やかに肥厚した壁全体がほぼ均一に染影されていく様子を観察することができた.外科的切除が施行され,病理学的検索の結果は回腸原発のB cell lymphomaであった.

35-136 消化管腫瘍性病変における造影超音波検査の有用性について

岩崎信広1, 杉之下与志樹2, 岡田明彦2, 河南智晴2, 猪熊哲朗2, 須賀義文2, 藤田幹夫2, 栃尾人司1, 簔輪和士1, 小畑美佐子1

1神戸市立医療センター中央市民病院臨床検査技術部, 2神戸市立医療センター中央市民病院消化器センター内科

 消化管に腫瘍性病変が認められた場合,その血行動態を評価するための造影超音波検査は保険適用外であり,造影後期相を利用した肝転移の検索に際して,原発巣である消化管病変の観察を平行して行っているのが現状である.また,これまで消化管病変においてはBモードに加え,カラードプラ法を用いて,腫瘍内に認められた血管の構築像あるいはその血流波形解析などから,鑑別診断や質的診断,経過観察を行ってきたが,より高感度で客観性の高いソナゾイド®造影超音波検査はさらに有用であると考えられる.今回,十二指腸および小腸腫瘍性病変に対して,ソナゾイド®造影超音波検査を施行し,診断に有用な情報が得られたので報告する.

35-137 ソナゾイド®造影エコーが血管貫通所見を示した小腸リンパ腫の1例

塩見圭佑1, 是枝ちづ1, 谷野朋子1, 武田聖子1, 門田洋一1, 関 寿人1, 岡崎和一1, 尾崎 岳2, 四方伸明3, 池田耕士4

1関西医科大学消化器肝臓内科, 2同外科, 3同病理部, 4同放射線科

 症例は60才女性.下血にて来院,精査のため緊急入院した.腹部超音波では回腸に7cmの,内腔にガス像を伴う半月様低エコー腫瘍を認めた.B-modeでは腫瘍は均一で,層構造は不明であり,粘膜下層の病巣が示唆された.肝転移精査のため造影エコーを施行時,同病変を検査した.動脈相から門脈相にかけて腫瘍内に腸間膜から貫通する血管が明らかであった.手術標本では腸間膜動脈が漿膜下層に広がった病巣に巻き込まれたMALTリンパ腫であった.超音波検査で小腸に片側性壁肥厚を認めた場合は本例も考慮すべきと考えられた.

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第12回関西地方会講習会 『超音波所見から学ぶ病態』

座長: 羽生大記 (大阪市立大学生活科学部)

I . 腹部(肝):肝の超音波所見から学ぶ病態

川崎靖子

大阪市立総合医療センター肝臓内科

 私たち超音波検査施行者はBモードで形態学的特徴を捉え,ドプラ法で血流イメージを追加することにより,病態を正確に反映した超音波像を得られるように日々努めています.さらにソナゾイド®造影超音波法が登場し,疾患の病態をリアルタイムの血行動態,機能面からも評価可能となってきました.機器・造影剤の開発によりさらに病態に迫れる時代となり,超音波検査は簡便な拾い上げから今後益々質的診断を担っていくと考えられます.今回のテーマである『病態まで掘り下げて超音波所見を解釈する』ことは私たちにとって習得しなければならない基礎であり,診断能力や応用力アップに直接つながる重要な課題でもあります.本講習会では特徴的な超音波所見がどういった病態を表しているかを瀰慢性疾患,肝腫瘤性病変に分けて基礎的事項を中心に解説し,最近の知見についても触れたいと思います.本講習会が受講者の皆さんの知識の整理になれば幸いです.

座長: 岡 博子 (大阪市立十三市立病院内科)

II . 腹部(消化管):消化管超音波所見から学ぶ病態

岡部純弘

大阪赤十字病院消化器科

 消化管疾患は広範な部位における多彩な病変の発現により様々な病態を呈するため,その臨床診断に難渋することも多い.実際の症例に直面した場合には,現状の病態を把握するために病歴,身体所見,血液生化学検査などの臨床情報が収集されるが,最終的な診断の根拠については各種の画像診断法に委ねる必要がある.このため,それぞれの特性を理解した上で,これらを駆使することが重要である.腹部超音波検査(US)については,消化管の"断層像"を"real-time"に捉えられることが最大の特性であり,消化管壁の肥厚や菲薄化,壁の層構造の不明瞭化,内腔の狭窄や拡張,蠕動の亢進や低下,壁内血流の増加や低下,腹水やリンパ節腫大の有無などの画像所見を詳細に評価することにより,病態に基づいた正確な臨床診断が可能となる.さらに,簡便で非侵襲的という特性を利用した経時的な反復検査により,病態の変化を迅速に判定することが可能である.

座長: 伊藤秀一 (済生会有田病院内科)

III. 腹部(胆・膵):胆膵の超音波所見から学ぶ病態

阪上順一

京都府立医科大学消化器内科,京都府立医科大学附属病院中央診断部・超音波室

 正常胆嚢の大きさは長径で80mm以下,短径で40mm以下,絶食時容積は約60mlであり,正常膵臓は長さ約15cm,重量60〜70gとされる.1kgを超える肝臓などと比較すると胆膵はかなり小さい腹部臓器である.しかし,現在日本人の胆石保有者は1, 000万人を越えており,膵良性疾患の有病率も決して低くはない.とくに悪性疾患に限っては,膵と胆道の悪性新生物は日本人の悪性新生物による死亡原因の5位と6位を占めており,合計すると肝の悪性新生物による死亡者数を上回る.このように,小さくても重大な病態を引き起こす可能性のある胆膵疾患に対して,US診断の求められる責任は大きい.今回は,胆膵疾患の病態を理解する上で,知っておくべき超音波所見について実例を中心として概説したい.Bモードによるスクリーニングのみならず,血流診断や拡大適応としての造影診断についても紹介したい.

座長: 増山 理 (兵庫医科大学循環器内科)

IV. 循環器:心エコーから学ぶ心不全の病態

坂田泰史

大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学

 心エコーは,心不全の病態を考察する上に不可欠な技術であることは,改めて述べるまでもない.しかし,心不全とは,「心臓に器質的および/あるいは機能的異常が生じて急速に心ポンプ機能の代償機転が破綻し,心室充満圧の上昇や主要臓器への灌流不全をきたし,それに基づく症状や徴候が(急性に)出現した状態」と定義される.つまり,心不全は一種の「症候群」であり,心エコーで診ることのできる範囲は,上記定義の下線部までであることに注意する必要がある.
 心不全診療は,(1)心不全かどうかの診断,(2)病態・重症度の把握とそれに応じた治療,(3)基礎疾患の診断とその治療,(4)発症の誘因・増悪因子の把握とその除去,に大別される.それぞれにおける心エコーの役割を確認しながら,心エコーから学ぶことのできる(そして心エコーからは学ぶことのできない)心不全の病態について述べていきたい.

座長: 本田伸行 (寺元記念病院放射線科)

V. 小児:小児の超音波所見から学ぶ病態

余田 篤

大阪医科大学応用医学講座小児科

 小児の急性腹症では成人より病状の進行が早く,早期の診断と治療が必要なことが多い.また,超音波機器の進歩とともにエコーの役割は,診断だけでなく,それぞれの疾患の中で,検査時の患児の病態を評価して治療方針を決定することである.
 エコーが診断に有用な疾患としては腸重積症,急性虫垂炎,乳児肥厚性幽門狭窄症,腸回転異常症,胆道閉鎖症,胆道拡張症などがある.さらに内科治療が選択された場合の経過観察にエコーが有用な疾患として,急性虫垂炎,乳児肥厚性幽門狭窄症,腸閉塞などがある.また,小児科領域では消化管内視鏡などの侵襲的な検査は施行しにくい.このような状況下で,確定診断はできないがエコーによって消化管内視鏡などの検査を強く示唆される疾患として,急性胃粘膜病変,胃十二指腸潰瘍,潰瘍性大腸炎,クローン病などがある.上記の疾患の超音波所見について自験例を中心に提示する.

座長: 山上 宏 (神戸市立医療センター中央市民病院神経内科)

VI. 血管:血管エコーから学ぶ血管病変の病態

佐藤 洋

京都大学医学部附属病院検査部

 増加する動脈硬化性疾患(頸動脈,下肢動脈,腎動脈や大動脈など)の評価や院内発症の肺血栓塞栓症の原因となる下肢深部静脈血栓の検索など,血管疾患の画像診断のfirst stepとして,さらには精密検査としてUSの果たす役割は大きい.超音波診断に至るプロセスとして重症度や合併症などの評価も重要である.病態が把握できていなと検査に必要な観察部位や計測ポイントを決定することができない.効率良い検査のためには問診,視診,触診,聴診などの身体所見を重視したい.さらに血流評価には当然のように心機能の理解も必要である.

座長: 加藤保之 (大阪医療刑務所医療部)

VII. 乳腺:乳腺エコーから学ぶ乳がんの病態

奥野敏隆

西神戸医療センター外科

多彩な病態を呈する乳腺疾患に対する乳腺エコーにおいては,単に乳癌か否かの判定でなく,その画像から病理組織像を読み解く作業が求められる.体表近くに存在するため,解像度の優れた高周波数プローブを用いて詳細な観察が可能である.Bモード法では病変の超音波組織特性を反映した画像から,カラードプラ法では血流形態や血流波形からその組織像を推定する.たとえばなぜ嚢胞が後方エコーの増強を伴う無エコー腫瘤にみえるのか,硬癌が境界部高エコー像を伴い後方エコーが減弱するのはどうしてか,組織像と超音波の原理を用いて解説したい.カラードプラ法で得られる血流情報はBモード診断を補完し,診断をより確実なものとする.140例のカラードプラ法の成績を示す.組織像のみならずホルモン受容体やHER2蛋白質発現状況といった乳癌の予後因子の推定も一部の症例では可能となりつつある.症例を提示して解説する予定である.

*本学会が作成した地方会演題登録システムを導入するにあたり,地方会演題発表者が入力した原稿がそのまま学会誌及び本学会HPへ掲載されることとなりましたので,ご了承いただきたくお願いいたします.地方会担当理事(主)山下 裕一