日本超音波医学会

地方会抄録号

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社団法人日本超音波医学会第47回中国地方会学術集会抄録

肝造影エコー肝細胞癌胆嚢病態胆嚢病態
肝線維化超音波内視鏡腫瘍・他肝胆膵造影エコー
胎児心不全 他先天性心疾患虚血性心疾患弁膜疾患 他
脈管・他心臓その他表在・他

肝造影エコー

01 肝膿瘍におけるソナゾイド超音波の有用性の検討

友國 淳子1, 詫間 義隆2, 高畠 弘行2, 守本 洋一2, 下村 宏之2, 山本 博2, 佐原 朗子1, 寺尾 陽子1, 石坂 克己1

1(財)倉敷中央病院 臨床検査科, 2(財)倉敷中央病院 消化器内科

【目的】肝膿瘍は発生原因や時期により臨床像や画像所見は様々であり、通常のBモードでは、境界が不明瞭で液状化領域の判別が困難な場合も多い。膿瘍に対してソナゾイド造影超音波(以下CEUS)の有用性を検討した。【対象・方法】2006年1月〜2011年5月に当施設で加療し、肝膿瘍と診断した138例中40例にCEUSを施行した。使用機種はTOSHIBA社製APLIO XG。【結果】全例血管相で膿瘍辺縁が濃染し、kupffer相で内腔の液状化を確認できた。40例中10例(25%)が多発、35例(88%)が隔壁を有し,27例(68%)が境界明瞭であった。40例中33例で膿瘍穿刺を施行。うち5例はCEUS下に穿刺を施行した。難治であった7例で複数回穿刺を行ったが、全例穿刺後は良好な経過をとった。【まとめ】肝膿瘍においてCEUSは、病巣範囲の同定、穿刺部位の決定、治療評価に有用であると考えられた。

02 造影超音波でHCC破裂による腹腔内出血および血腫をリアルタイムで観察しえた1例

佐藤 秀一1, 三宅 達也1, 福間 麻子2, 新田 江里2, 木下 芳一1

1島根大学医学部附属病院 消化器肝臓内科, 2島根大学医学部附属病院 臨床検査部

症例は60代、男性。20年前にB型慢性肝炎のインターフェロン治療歴(無効)あり、以後医療機関に通院していなかった。2011年5月下旬から腹部の膨満感、心窩部痛が出現。6月29日15時ごろより腹痛のさらなる増強と血圧の低下を確認し、当院救急外来を受診。受診時意識は清明であるが腹部は軽度膨隆、血圧低下も持続していた。腹部超音波では肝内に多数の結節性陰影と腹水と考えられる所見を認めた。また、肝右葉の下端には不均一な腫瘤影が認められた。ソナゾイドを用いた造影超音波では肝下端の腫瘤と肝実質の境界は明瞭となり、腫瘤は全く造影されたなったことから血腫を疑った。さらにその尾側のecho free space内には造影初期には認めなかった造影剤の流出を造影剤注入5分後に確認できた。造影CTの結果も併せ、HCC破裂に伴う出血性ショックと考え、同日緊急Angioを施行し、止血した。造影超音波は腹腔内血腫や出血のリアルタイムの観察に有用と考えられた。

03 ソナゾイド造影超音波が診断に有用であった脾過誤腫の一例

杉原 誉明, 谷村 隆志, 村脇 義之, 三浦 将彦, 田中 新亮, 河野 通盛, 吉村 禎二

松江市立病院 消化器内科

症例は30歳代女性。人間ドッグ時に腹部超音波検査で脾門部に5.0p大の腫瘤を認めた。境界は明瞭、辺縁平滑で、内部は不均一であった。自覚症状は無く、血液検査異常も認めなかった。造影CT検査では腫瘤実質の高吸収域内に低吸収域がモザイク状に多発していた。脾過誤腫が鑑別に上がり、細網内皮系細胞に摂取されるスズコロイド-99mTcシンチにて脾腫瘤への集積を認めた。Sonazoidによる造影超音波も実施したところ、注入から10分後においても腫瘤内にバブルの取り込みを認めたことから網内系細胞が存在すると考え脾過誤腫と診断した。患者本人と相談し、現在手術せずに厳重に経過観察している。脾臓の過誤腫は稀な疾患であり、特異な臨床症状はなく、検診などを契機に偶然に発見される事が多い。組織型が多様であり、シンチ以外の画像診断は困難とされる。これまで造影超音波で診断した報告はないが、シンチに代わる方法として有用と考えられた

04 術前にHCCとの鑑別が困難であったDysplastic nodule with peliosis hepatis一例

中原 隆志1, 高木 慎太郎1, 平松 憲1, 脇 浩司1, 相方 浩1, 高橋 祥一1, 有廣 光司3, 大段 秀樹2, 茶山 一彰1

1広島大学病院 消化器・代謝内科, 2広島大学病院 消化器外科, 3広島大学病院 病理診断科

症例は36歳女性。紹介前年3月に盲腸癌に対し回盲部切除施行。同年9月までカペシタビンを内服していた。X年8月、肝S5にSOLを認め当科紹介。造影CTでは単純/動脈相/平衡相ではそれぞれ低吸収/濃染/等吸収として描出。腹部超音波所見は、単純では比較的均一な低エコー、造影では血管相早期より周囲から均一に造影されたが、後血管相(Kupffer phase)では等〜やや高エコーを呈し、あきらかなdefectはなく肝癌としては非典型的であったが生検で高分化型肝細胞癌が疑われ、肝部分切除を施行。病理診断では腫瘍組織は周囲肝細胞に対して境界不明瞭に増生し、肝細胞は中等大、核は多形性は乏しく、一部では内部に血液を含み、腔は不規則に吻合し、peliosis hepatisとみなされLow grade dysplastic nodule with peliosis hepatisであった。術前診断が困難であり稀な症例と考えられたため報告する。

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肝細胞癌

05 特異な再発形式を呈しSonazoid造影超音波が診断に有用であった肝細胞癌の1例

萩原 宏明, 中村 進一郎, 能祖 一裕, 竹内 康人, 松下 浩志, 桑木 健志, 大西 秀樹, 白羽 英則, 山本 和秀

岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科 消化器・肝臓内科学

症例は61歳女性。2004年肝細胞癌・B型肝炎で肝切除。2008年肝S6・肝S3に再発認め、RFA施行。2011年5月MRIにて肝S3RFA瘢痕の増大および肝S6切離断端にSOL認め再発が疑われた。ヨードアレルギーあり造影CT不可にてUS施行。Bモードでは肝S3の前回治療瘢痕部はφ27mmの境界明瞭で被膜に覆われた低エコー結節となっており、肝S6にもφ12mmの低エコー結節を認めた。RFA後局所再発としては非典型的であったためSonazoid造影超音波を施行。両病変ともearly phaseにて染影され、post-vascular phaseにてdefectを呈した。さらにSonazoidの再投与にてdefect部位が再度染影され再発病変と診断した。本病変は肝門部主要脈管に近接しておりPEITでの治療を選択。効果判定のSonazoid造影超音波では全てのphaseでdefectを呈し完全壊死と判定した。RFA後局所再発として診断に苦慮する場合でもSonazoid造影超音波は診断・治療に有効であった。

06 肝細胞癌に対する造影超音波におけるITM(inflow time mapping)の使用経験

高木 慎太郎, 宮木 大輔, 村上 英介, 川上 由育, 相方 浩, 高橋 祥一, 茶山 一彰

広島大学病院 消化器・代謝内科

【背景】ITM (inflow time mapping)は、造影超音波において造影剤の流入時間差ごとに動画像の輝度変化量を色づけ表示する機能で、同一画面上で血流の流れを表示することが可能になる。今回我々は、肝癌に対しITMによる画像評価を試みたので報告する。使用機器は日立アロカメディカル社製Hi Vision Ascendus。【症例1】65歳男性。TACE不応肝肝外側区域5cm大のHCC。TACE後のため造影USでは一部にのみ血流をみとめた。ITMでは造影2秒ごとに色調を変化させて表示し周囲より内部へ不均一に造影される様子がより明瞭に観察された。【症例2】78歳女性。肝細胞癌腸腰筋から腸骨にかけての転移巣。造影後周囲から徐々に染まるが、ITMでは徐々に内部が不規則に染まってくる様子が明瞭に観察された。【考案】肝がんに対する造影超音波検査においてITMにより腫瘍内の血流が視覚化され、より明瞭な血流評価が可能になると思われた。

07 肝内に腫瘤影を認めず、門脈内にのみ腫瘍が進展した肝細胞癌の1例

桑木 健志1, 中村 進一郎1, 松下 浩志1, 竹内 康人1, 萩原 宏明1, 大西 秀樹2, 白羽 英則1, 能祖 一裕2, 山本 和秀1

1岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科 消化器・肝臓内科学, 2岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科 分子肝臓病学

【症例】70歳代女性。2009年3月に肝細胞癌(HCC)を発症、経カテーテル肝動脈化学塞栓術(TACE)および経皮的ラジオ波焼灼療法(RFA)を行い2011年2月時点で画像上根治が得られていた。5月にAFPの急上昇を機に紹介受診。肝Gd-EOB-DTPA造影MRIではRFA scar部分には再発を認めず、それとは離れた門脈枝(P3)の拡張を認めた。B-mode USでP3内腔は低エコーを呈する充実成分で満たされていた。Sonazoidを用いた造影超音波を行ったところ、同部は早期相で濃染し、後期相でthread and streak signを認め、HCCの門脈腫瘍栓の所見であった。腹部血管造影では同腫瘍栓はA3よりfeedingされておりTACEを実施、良好なlipiodolの沈着を認めた。他部位には明らかな再発を認めなかった。【結語】肝内に腫瘤影を認めず、門脈内にのみ腫瘍が進展した肝細胞癌の1例を経験した。造影超音波検査を行うことで門脈腫瘍栓と門脈血栓の鑑別ができ、HCCの再発診断に有用であった。

08 B-modeで描出困難であった自己免疫性肝炎に合併した肝細胞癌の1例

大西 秀樹1, 中村 進一郎2, 能祖 一裕1, 松下 浩志2, 竹内 康人2, 萩原 宏明2, 桑木 健志2, 白羽 英則2, 山本 和秀2

1岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 分子肝臓病学, 2岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 消化器・肝臓内科学

症例は74歳、女性。肝機能障害の精査で紹介され、超音波ガイド下肝生検目的で当科入院となった。肝生検前日の腹部超音波検査では肝内は非常に粗く、肝硬変の形態であった。肝S8に10mm大の高エコー結節、低エコー結節を1カ所ずつ認めたため、肝生検当日に腹部ダイナミックCTを実施した。CTではこれら結節に染影像を認めなかったが、S5表面の肝生検予定ルート上に30mm大の古典的肝細胞癌が描出された。肝生検直前に再度S5をB-modeで観察したが、境界不明瞭で非常に淡い低エコー領域を認めるのみであった。そこで造影超音波検査を実施したところ、同部はearly arterial phaseで染影像を呈し、Kupffer phaseで明瞭な染影欠損像として描出された。30mmと比較的大きな肝細胞癌であるにも関わらず腹部超音波でのスクリーニング検査で描出が困難であり、示唆に富む症例と考え報告する。

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胆嚢病態

09 急性胆嚢炎の超音波像に関する検討

宮地 啓子1, 畠 二郎2, 飯田 あい2, 筒井 英明3, 神崎 智子3, 石井 学3, 今村 祐志2, 眞部 紀明2, 春間 賢3

1川崎医科大学附属病院 卒後臨床研修センター, 2川崎医科大学 検査診断学(内視鏡・超音波), 3川崎医科大学 消化管内科学

背景:急性胆嚢炎はcommonな疾患だが、機器の改良にもかかわらずその超音波像に関する最近の報告は少ない。目的:本症の超音波像を検討する。方法:2010年1月〜2011年6月の間病理組織学的に急性胆嚢炎と診断された40例を対象とし、術前の超音波所見を検討した。結果:壊疽性胆嚢炎(13例)と非壊疽性胆嚢炎(27例)において、各超音波所見の出現率は胆嚢腫大 100%:85%(壊疽性:非壊疽性の順)、壁肥厚 100%:85%、結石 54%:81%、debris 100%:96%、sonolucent layer 100%:74%、sonographic Murphy sign 77%:78%であった。造影超音波上、壊疽性で89%(8/9)、非壊疽性では0%(0/3)に壁内の染影欠損がうかがわれた。結語:従来より報告されている超音波像は比較的高率に描出された。また壊疽性の診断には造影が有用である。

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10 急性虫垂炎の超音波像に関する検討

西川 麻美1, 畠 二郎2, 今村 祐志2, 眞部 紀明2, 飯田 あい2, 神崎 智子3, 石井 学3, 筒井 英明3, 鎌田 智有3, 春間 賢3

1川崎医科大学付属病院  臨床研修センター, 2川崎医科大学 検査診断学(内視鏡・超音波), 3川崎医科大学 消化管内科学

背景:急性虫垂炎の超音波診断は普及しているが、機器の改良にもかかわらずその超音波像に関する最近の報告は少ない。目的:本章における超音波像を検討する。方法:2010年1月から2011年6月の間に病理組織学的に診断された急性虫垂炎50例を対象とし、超音波上の各所見の出現率を重症度(カタル性3例、蜂窩識炎性37例、壊疽性10例)別に比較した。結果:虫垂短軸直径はそれぞれ6.7mm,9.1mm,9.9mm(カタル性、蜂窩識炎性、壊疽性の順、以下同様)、層構造温存 100%,84%,40%、膿瘍合併0%,11%,30%、リンパ節腫大33%,14%,1%、盲腸浮腫0%,14%,0%、脂肪識肥厚67%,62%,100%であった。結論:急性虫垂炎の超音波による重症度判定においては、単に直径の測定のみではなく層構造や膿瘍、周囲脂肪識の肥厚などを含めた詳細な観察が有用と思われた。(395字)   

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胆嚢病態

11 体外式超音波検査によるmp、ss胆嚢癌壁深達度の検討

服部 博明1, 平井 英誉1, 勝中 信行1, 小谷 由香1, 遠藤 由香利2, 佐藤 研吾1, 福田 千佐子1, 奈賀 卓司3, 池口 正英3, 広岡 保明1,3

1鳥取大学 医学部保健学科病態検査学, 2鳥取大学医学部附属病院 病理部, 3鳥取大学医学部附属病院 消化器外科

【目的】胆嚢癌の壁深達度診断において体外式超音波検査(以下、TUS)で外側高エコー層に変化がない場合、mp癌とss癌の鑑別は困難である。一方、乳頭腺癌で病巣深部低エコーがみられた場合はss癌である可能性が指摘されている。今回、mp癌、ss癌のTUSによる深達度を検討した。【対象と方法】過去3年間に当院消化器外科で胆嚢を摘出した胆嚢癌患者6例(mp癌3例、ss癌3例)を対象とし、術前のTUS所見を基に壁深達度を検討した。【結果】mp癌の3例(乳頭腺癌2例、管状腺癌1例)では病巣深部低エコーはみられなかった。ss癌の2例(乳頭腺癌)では外側高エコー層に浸潤性の変化がなく病巣深部低エコーがみられたが、1例(乳頭腺癌>管状腺癌)では外側高エコー層に不整があり、病巣深部低エコーはみられなかった。【結語】病巣深部低エコー所見は乳頭状の胆嚢癌の壁深達度を判定するうえで有用な所見と思われた。

12 ソナゾイドを用いた造影超音波検査が診断に有用であった胆嚢癌の1例

小谷 由香1, 勝中 信行1, 服部 博明1, 平井 英誉1, 遠藤 由香利2, 佐藤 研吾1, 福田 千佐子1, 奈賀 卓司3, 池口 正英3, 広岡 保明1,3

1鳥取大学 医学部保健学科病態検査学, 2鳥取大学医学部附属病院 病理部, 3鳥取大学医学部附属病院 消化器外科

[症例]80歳代,女性.[主訴]腹痛.[現病歴]近医で高血圧,慢性心不全にて通院中に胆嚢結石,胆嚢炎と診断され,手術目的で当院消化器外科紹介入院となった.[検査所見]体外式超音波検査で底部〜体部に結石と炎症性産物,体部〜頸部に3cm大及び2.5cm大の炎症性産物あるいは隆起性病変様所見を認めた.その一方が分葉状を呈していたため,ソナゾイドによる造影超音波検査を施行した.陰影はびまん状,一部樹枝状に濃染されたことより,胆嚢癌が疑われた.後日施行されたDynamic-CTで体部に淡く濃染される2cm大の腫瘤がみられ,PET-CTで結節状のFDG集積がみられた.以上より,胆嚢癌(疑),胆石,胆嚢炎の術前診断で胆嚢摘出術が施行された.術後の病理組織学的検索で胆嚢癌と診断された.[結語]ソナゾイド造影超音波検査が診断に有用であった胆嚢癌の1例を経験したので,超音波検査所見を中心に報告する.

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肝線維化

13 Virtual Touch Tissue Quantificationと肝脾動脈血管抵抗によるC型慢性肝炎線維化評価

詫間 義隆1, 友國 淳子2, 守本 洋一1, 高畠 弘行1, 利國  信行1, 下村 宏之1, 石坂  克己2, 山本 博1

1倉敷中央病院 消化器内科, 2倉敷中央病院 臨床検査科

【目的】C型慢性肝炎に対してVirtual Touch Tissue Quantification(VTTQ)による肝硬度と肝動脈・脾動脈血管抵抗で肝線維化判別能を比較検討したので報告する.【対象】C型慢性肝炎60例(線維化ステージF1:24例,F2:11例,F3:14例,F4:11例)【方法】肝動脈・脾動脈血管抵抗(測定項目: HARI, HAPI, SARI, SAPI)とVTTQはVs値(m/s)で測定し肝線維化との関連性を検討した。【結果】F因子毎にそれぞれのパラメーターに有意な相関を認めた( HARI: r=0.419,HAPI:r=0.470,SARI: r=0.579,SAPI: r=0.632,VTTQ: r=0.750,Spearmanの順位相関)。それぞれの肝線維化判別能のROCはF2-4: HARI=0.755, HAPI=0.782, SARI=0.791,SAPI=0.833, VTTQ=0.902, F3-4: HARI=0.682, HAPI=0.697,SARI=0.803,SAPI=0.820,VTTQ=0.894,F4:HARI=0.700,HAPI=0.746,SARI=0.832,SAPI=0.842,VTTQ=0.870 であった.【結語】VTTQは動脈血管抵抗測定に比べ肝線維化判別能が正確な優れた計測法であった.

14 自己免疫性肝炎によるVirtual Touch Tissue Quantification(VTTQ)の有用性の検討

友國 淳子1, 詫間 義隆2, 高畠 弘行2, 守本 洋一2, 下村 宏之2, 山本 博2, 佐原 朗子1, 寺尾 陽子1, 石坂 克己1

1(財)倉敷中央病院 臨床検査科, 2(財)倉敷中央病院 消化器内科

【目的】自己免疫性肝炎はその診断基準が厳しくステロイド投与の決定に苦慮する。我々はVirtual Touch Tissue Quantification (VTTQ)を用いて病態との推移を把握し、その有用性を検討した。【対象・方法】2010年8月〜2011年6月に当院で自己免疫性肝炎(以下AIH)と診断され、かつ肝生検を行った9例。使用機種シーメンス社製S2000にてVTTQを経時的に測定し、血液検査データ・病態との推移を検討した。【結果】初回測定時Vs値が2.5m/s以上の7例中6例は病態が遷延し、ステロイド投与を開始した。初回Vs値が2.5m/s以下の2例は、ステロイド投与せずに、ウルソ、強力ネオミノファーゲンシーにて軽快した。【まとめ】自己免疫性肝炎においてVTTQは病態の評価に有用で、AIHの治療方針の一助になると期待される。

15 肝線維化の非侵襲的評価VTTQとfibroscanの比較

宮木 大輔, 村上 英介, 高木 慎太郎, 相方 浩, 川上 由育, 高橋 祥一, 茶山 一彰

広島大学病院 消化器・代謝内科

【対象】2011年3月から2010年6月までにVirtual touch tissue quantification(VTTQ)、transient elastography(fibroscan)、肝生検を同時に施行した45例。男/女22/23例、HBV/HCV/NASH/正常/AIH/PBC/その他、2/10/14/4/1/3/11例であった。【結果】全症例でのVTTQ(m/s)/fibroscan(KPa) の平均値は、1.41±0.60/9.41±7.28であった(Spearmanの順位相関係数:0.663、 P<0.0001)。fibroscan測定値をせん断波に換算すると平均値は、1.67±0.58であり、VTTQに比べ高値であった(P<0.0001)。また、慢性肝炎14例(F1/2/3:3/8/3例)での、F因子毎のVTTQ/fibroscanの平均は、F1、1.46±0.35/7.5±4.99、F2、1.50±0.51/10.2±5.58、F3、2.03±0.73/20.8±13.14と線維化の進行につれて高値になる傾向があった。【結論】VTTQ 、fibroscanの測定値は有意に相関していた。また両検査法はともに肝線維化の予測に有用であった。

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超音波内視鏡

16 EUSが診断に有用であった腹腔動脈解離の1例

内田 大輔, 堤 康一郎, 加藤 博也, 岡田 裕之, 山本 和秀

岡山大学病院 消化器内科

症例は50歳男性。心窩部痛と背部痛を主訴に前医受診、腹部造影CT検査にて膵鉤部から腹腔動脈起始部にかけて遅延性に造影される軟部陰影を指摘され当院紹介となった。浸潤性膵管癌の可能性を考え、超音波内視鏡(EUS)を施行したが、膵に明らかな腫瘍性病変は指摘できず、瘤化した腹腔動脈と偽腔形成を認め、腹腔動脈解離と診断した。末梢血流は充分維持されており、自覚症状も軽快したことから、外来経過観察の方針となった。1ヶ月後の造影CT検査では軟部陰影は縮小傾向であり、症状再発もなく経過している。大動脈解離を伴わない弧発性腹腔動脈解離は非常に稀で、本症例では、高血圧などの基礎疾患も認めなかった。さらにCTにおいて血栓化した偽腔が膵から連続した軟部陰影として描出され、血管浸潤を伴う膵癌との鑑別を要した。本症例はEUSによって安全かつ簡便に診断可能であった貴重な症例であると思われる。

17 超音波内視鏡ガイド下ドレナージが有用であった感染性bilomaの2例

堤 康一郎, 加藤 博也, 岡田 裕之, 山本 和秀

岡山大学病院 消化器内科

症例1は79歳男性。C型肝炎、HCCで拡大肝右葉切除術後、HCC再発でTAE、RFAによる治療歴あり。黄疸およびCTで肝内胆管拡張とbilomaを指摘。胆管狭窄に対しステント留置したが、発熱持続しbiloma感染が疑われた。超音波内視鏡(EUS)ガイド下に経胃的に穿刺するとEiterがひけ、7Fr内瘻チューブ(PS)1本と外瘻チューブ(NBD)を留置した。PSと経皮的ドレナージ追加によりbiloma縮小と炎症改善が得られ、経皮チューブ抜去後約6ヶ月増大を認めなかった。症例2は44歳男性。C型+アルコール性肝硬変にて生体肝移植後2ヶ月目、胆管外瘻チューブ抜去後に腹痛、感染を伴うbiloma形成。EUSガイド下に穿刺後6Fr PS1本とNBDを留置した。後日PS追加も行いbiloma消失。半年後にPS抜去し、約1年再発を認めなかった。Bilomaに対するEUSガイド下経消化管的ドレナージおよび内瘻化がbiloma縮小と永久外瘻回避に有用であった2症例と考え報告する。

18 画像診断が困難であったSolid-pseudopapillary neoplasm (SPN)の1例

松本 和也, 武田 洋平, 原田 賢一, 八島 一夫

鳥取大学医学部附属病院 消化器内科

症例は73歳、男性。心窩部不快感にて近医受診。腹部CTにて脾門部に腫瘤を認めたため当科紹介。腹部USにて境界明瞭、辺縁平滑、被膜を有さず、内部に嚢胞成分を有する腫瘤を認めた。造影CTでは膵、腎、脾臓を圧排する7cm大の類円形腫瘤を認め、平衡相に淡い造影効果を認めた。超音波内視鏡検査では明らかな膵由来病変と思われる所見を同定できなかった。MRIでは、T1-/ T2-WI imageでlow- / low-およびhigh-intensityを呈した。MRCPでは膵尾部に膵管の圧排像を認めたが、腫瘤との交通は認めなかった。PET-CTでは病変部にFDGの高集積を認めた。画像診断は膵外腫瘤と第一に考え、GISTを疑い、膵腫瘤としても性別より膵内分泌腫瘍、腺房細胞癌と診断したが、超音波内視鏡下穿刺吸引生検でSPNと診断し、膵体尾部切除術を施行した。画像診断が困難であったSPN症例 を経験したため報告した。

19 術前診断しえたSolid pseudopapillary neoplasmの一例

齋藤  玄哲, 藤井  雅邦, 竹井  大介, 畑  貴子, 山本  久美子, 伊藤  守, 石山  修平, 藤原  明子, 吉岡  正雄, 塩出  純二

岡山済生会総合病院 内科

症例は50歳女性。人間ドックの腹部USにて膵に腫瘤影を指摘され、当院紹介となった。USでは、膵体部に前方に突出した嚢胞を伴う約44mm大の境界比較的明瞭な低エコー腫瘤を認め、内部に石灰化を伴っていた。腹部造影CT検査では、USと同様のサイズで漸増性に造影される腫瘤であった。MRIでは、腫瘤はT1 low、T2 highで、嚢胞内には出血が疑われた。EUSもUSと同様の所見で、ソナゾイド造影でも腫瘤は漸増性に造影された。EUSFNAを施行し、偽乳頭状を示して増生する腫瘍細胞を認め、Solid pseudopapillary neoplasm (SPN)と診断し、膵体部分節切除術を施行した。術後病理組織もSPTであり、周囲組織や脈管への浸潤は認めなかった。術後3か月経過し、現在外来フォロー中である。EUSFNAが術前診断に有効であったSPNの一例を経験したため、若干の文献的考察を加えて報告する。

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腫瘍・他

20 EBV、CMV肝炎の超音波像の検討

小見山 清未1, 狩山 和也2, 池上 勇1, 梶谷 正則1, 湯本 賀子1, 湧田 暁子2, 岸田 雅之2, 西村 守2, 能祖 一裕2,3, 東 俊宏2

1岡山市立市民病院 臨床検査科, 2岡山市立市民病院 内科, 3岡山大学大学院 医歯薬総合研究科分子肝臓病学

【緒言】今回我々はEpstein-Barrウイルス(EBV)肝炎とサイトメガロウイルス(CMV)肝炎の超音波像も含めた両者の特徴について検討した。【方法】2005年より2011年までの成人EBV肝炎11例(男性6例), CMV肝炎14例(男性10例)。各々に各種因子を検討。脾腫、リンパ節腫脹に関しては超音波(US)、触診等で検討した。【結果】EBVがCMVと比較しやや年齢が低く(中央値27.7歳,範囲15-41歳 vs 31.9歳, 19-45歳)、AST経過中ピーク値が高値の傾向(238IU/L, 16-594 IU/Lvs 166 IU/L, 63-281 IU/L)であった。ALT、 T.Bilピーク値、男女差、入院期間、脾腫は両者に有意差を認めなかった。リンパ節腫脹はEBVでUS上6例、触診上3例の計9例(81.8%)、CMVでUS上3例、触診上1例の計4例(28.6%)であり、EBVの方が有意に多かった。【まとめ】EBVの方が若年に発症し、ASTがやや高値となる傾向であった。さらにリンパ節腫脹は明らかにEBVに多く両者の鑑別に有用だと考えられた。

21 空腸原発GISTの肝転移に対してエコーガイド下局所治療が有用であった1例

徳永 志保, 孝田 雅彦, 三好 謙一, 木科 学, 藤瀬 幸, 加藤 順, 的野 智光, 岡本 欣也, 法正 恵子, 村脇 義和

鳥取大学医学部 機能病態内科学

40歳男性。2008年10月検診で10cm大の腹腔内腫瘍と4カ所(肝門部:40mm、S7:25mm、S8:10mm、S6:10mm)の肝腫瘍を指摘された。肝腫瘍に対する造影エコーでは、血管相でiso enhancement、クッパー相でdefectとなった。11月腹腔内腫瘍摘出および空腸切除術を施行し、切除標本から空腸原発GISTと診断した。12月グリペック内服開始し2009年1月S6、S7、S8の肝転移に対してラジオ波焼灼術(RFA)を施行した。2月のPET-CTで、肝門部腫瘍で治療前にみられていたFDGの集積は消失したものの、6月には50mmと増大し、造影エコーで血流を認めたためPEITを追加した。2011年6月肝門部腫瘍が25mmに縮小したためRFAを追加した。空腸原発GISTの肝転移に対しグリペック投与中の症例で、造影エコーが肝病変の血流評価に有用であった1例を報告する。

22 腹部超音波(US)下経皮肝生検にて診断しえたc-kit陽性間葉腫瘍の1例

松下 浩志, 中村 進一郎, 萩原 宏明, 桑木 健志, 大西 秀樹, 白羽 英則, 那須 淳一郎, 能祖 一裕, 山本 和秀

岡山大学 消化器内科

【症例】81歳女性【主訴】左側腹部痛【現病歴】腹部単純CTにて肝S6を主体に8cm大の腫瘤を指摘されたため当科紹介受診。造影CTでは腫瘤は造影効果に乏しく、内部には腫瘍血管と思われる線状濃染像を認め、PETではSUV max10.4と異常集積を認めた。USでは腫瘤は被膜を有し辺縁は低エコーで、内部は高エコー主体、一部低エコー域を有する腫瘤であった。ドップラーUSでは著明な流入血管を認め、造影USでは早期相high、後期相hypo、Kupffer相ではdefectとして描出された。肝生検にて紡錘形細胞が主体の細胞増生を認め、免疫染色ではCD34陽性、c-kit陽性、α-SMA陰性、S-100陰性であった。小腸含め消化管を検索するも原発となる病変を認めず、肝原発のc-kit陽性間葉腫様と診断した。【結語】肝原発と考えられたc-kit陽性間葉腫瘍の1例を経験したので報告する。

23 血球貪食性リンパ組織球症の一例

麓 由起子1, 畠 二郎2, 竹之内 陽子1, 中武 恵子1, 谷口 真由美1, 岩井 美喜1, 妹尾 顕祐1, 小島 健次1, 今村 祐志2, 春間 賢3

1川崎医科大学附属病院 中央検査部, 2川崎医科大学 検査診断学, 3川崎医科大学 消化管内科学

症例は20歳代男性. 発熱, 感冒症状を主訴に近医を受診. 血液生化学検査所見で肝機能障害, 汎血球減少症を認め肝脾腫が指摘された. その後軽快するも再び発熱, 肝脾腫を認め骨髄検査で血球貪食性リンパ組織球症が疑われたため別の近医へ紹介となった.ステロイド, 免疫抑制剤治療を開始するも改善が認められず精査加療目的にて当院へ紹介受診, 即日入院となった. 血液生化学検査所見は前医同様. 更に末梢血中に多数の異型リンパ球を認めEBウイルス感染が確認された. 体外式超音波検査では著明な肝脾腫と脾周囲に少量の腹水, 胆嚢に壁肥厚と内腔の虚脱が見られ急性肝障害の像を呈していた. CT検査でも著明な肝脾腫を認めた.骨髄検査が施行. 病理組織学的にマクロファージの著しい増加と血球貪食像が見られた. 一方,EBER陽性であるNK細胞由来の増殖を認めaggressive NK-cell leukemiaと診断された.

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肝胆膵造影エコー

24 肝内胆管嚢胞腺癌の一例

高田 珠子1, 山内 亮1, 寺面 和史1, 福田 敏勝2, 米原 修治3

1三菱三原病院 内科, 2尾道総合病院 外科, 3尾道総合病院 病理研究検査科

症例は62歳男性。咳漱精査で施行した胸部単純CTで肝左葉に結節を伴う嚢胞が指摘された。腹部超音波検査(以下US)では、S2に二房性嚢胞性病変(31×39mm、22×25mmからなる)を認め、大きい嚢胞は壁在結節を伴い、カラードプラ上血流シグナルを認めた。Sonazoid造影US施行、嚢胞壁と隔壁の染影によってcyst in cystの構造は明瞭化し、壁在結節は均一に染影した。腹部造影CTでも同様の所見を認め、肝内胆管嚢胞腺癌が疑われ、肝左葉切除術を施行、病理組織学的検査にてhepatobiliary mucinous cystadenocarcinoma in situと診断された。胆管との交通はなく、また卵巣様間質は認めなかった。本症例検診記録では8年前には嚢胞を認めず、約2年前より二房性嚢胞が出現し約5mm / 年の増大を認めるも結節はなく、単純性肝嚢胞として経過観察中であった。

25 造影超音波検査が治療方針決定に有用であった胆嚢捻転症の1例

三宅 達也1, 佐藤 秀一1, 岡 明彦1, 福間 麻子2, 新田 江里2, 木下 芳一1

1島根大学 医学部内科学第二, 2島根大学医学部附属病院 検査部

症例は80歳代、男性。2011年1月に発熱、嘔吐、右季肋部痛にて受診。炎症反応上昇と胆嚢腫大、胆嚢壁肥厚の所見から急性胆嚢炎と診断。亀背とやせにて胆嚢頚部の観察は困難であった。自他覚症状は軽度であり、腹水もなく、肺炎も併発しており保存的加療を選択した。3日間絶飲食、抗生剤投与を行うも炎症反応が増悪し、胆嚢腫大と壁肥厚の改善が認められず、内部にデブリエコーも出現したためPTGBAを施行したところ血性胆汁を認めた。ソナゾイドで造影すると胆嚢壁は全く造影されず壊疽性胆嚢炎が疑われ外科紹介、翌日緊急手術となった。開腹すると胆嚢には2回転の捻転が認められ壊死しており、胆嚢摘出術を施行した。病理組織所見では胆嚢は出血壊死の状態であり、胆嚢頚部と胆嚢管部に強い浮腫が認められた。高齢で自他覚症状に乏しく体形から画像診断も困難であったが、造影超音波検査が治療方針決定に有用であったと考えられた。

26 Focal sparingを伴う末梢型肝内胆管癌の1例:病理組織像との対比

河村 良太1, 小林 功幸1, 植松 周二1, 岩堂 昭太1, 岡本 良一1, 高田 晋一2, 水野 元夫1, 荒木 康之1

1広島市立広島市民病院 内科, 2広島市立広島市民病院 病理部

症例は70歳代女性。糖尿病で近医通院中、USで肝腫瘤を指摘。Bモードでは、脂肪肝を背景に、S2にhaloを伴った20mmの低エコー結節を認め、周囲に30mm大のwedge shapeを呈する淡い低エコー領域、いわゆるFocal sparingを伴い、B2の拡張も認めた。造影CTでは動脈相で結節辺縁が強く濃染し、結節周囲にも淡い濃染像を伴っていた。Sonazoid®による造影USではearly vascular phaseでは結節全体および結節辺縁部が染影されたが、Kupffer phaseでは結節部のみが染影欠損を呈した。腫瘍生検で肝内胆管癌(ICC)と診断されたため、肝左葉切除術を施行した。病理組織像では単純性脂肪肝が背景にあり、腫瘍中央部は充実性胞巣を主体とする低分化型腺癌で、腫瘍辺縁部は中央部に比し、間質に小動脈の増生を認め、太い門脈内に腫瘍栓および胆管に浸潤像を認めた。本症例のUS所見は病理組織像をよく反映しており、focal sparingはICCの門脈侵襲の所見と考えられた。

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27 胃癌の壁深達度診断–第3層の断裂様式による検討–

勝中 信行1, 服部 博明1, 平井 英誉1, 小谷 由香1, 石杉 卓也2, 佐藤 研吾1, 福田 千佐子1, 斉藤 博昭3, 池口 正英3, 広岡 保明1,3

1鳥取大学 医学部保健学科病態検査学, 2鳥取大学医学部付属病院 検査部, 3鳥取大学医学部付属病院 消化器外科

[はじめに]胃癌の体外式超音波検査(以下、TUS)における第3層の断裂様式が壁深達度診断に有用かどうかを検討した[対象と方法]過去2年間に、術前のTUSで第3層が断裂しているように見えた胃癌患者の内、病理診断で深達度sm(2)(n=11)、mp(n=5)であった16例を対象とし、TUS像および標本エコー像での第3層の断裂様式と組織学的壁深達度との関連性を検討した[結果]MP浸潤胃癌5例中、TUS像では全例、標本エコー像では4例が第3層の断裂面が内腔側に向くように観察された。SM(2)浸潤胃癌11例中1例で、断裂面が内腔側を向くように観察された[考察]MP浸潤胃癌では、癌細胞増殖により第3層が内腔側に押し上げられ、断裂面が内腔側に向くように観察されたと思われた。SM(2)浸潤胃癌では癌細胞の圧排でSM層を断裂しているように見えたため、断裂面が内腔側を向く事が少なかったのではないかと考えられた

28 造影超音波検査にて胃癌の抗癌化学療法効果判定が可能であった2例

平井 英誉1, 服部 博明1, 勝中 信行1, 小谷 由香1, 遠藤 由香利2, 佐藤 研吾1, 福田 千佐子1, 斉藤 博昭3, 池口 正英3, 広岡 保明1,3

1鳥取大学 医学部保健学科病態検査学, 2鳥取大学医学部附属病院 病理部, 3鳥取大学医学部付属病院 消化器外科

【はじめに】Time-intensity curve(以下TIC)を用い,体外式造影超音波検査にて胃癌の抗癌化学療法の効果判定を行った2例について報告する.【対象】症例1:60歳代,男性  症例2:70歳代,女性【方法】患者は半座位の状態でソナゾイド造影剤静注後5分以上腫瘍の観察を行い,腫瘍全体の信号強度を測定した.治療開始前後のTICを描出し,両者を比較検討した.また治療開始前後のCTによる腫瘍変化とも比較した.【結果】症例1:治療開始前後でエコー上の腫瘍壁厚は縮小し,TICの信号強度が減弱した.CTでは腫瘍壁厚の改善が認められた.症例2:治療開始前後でエコー上の腫瘍壁厚が増大し,TICの信号強度が増強した.CTでは腫瘍壁厚が増大した.【結語】体外式造影超音波検査による抗癌化学療法の効果判定を行った胃癌の2例 について報告した.

29 筋層優位型好酸球性胃腸炎と考えられた一例

神野 大輔, 讃岐 英子, 影本 賢一, 南 智之, 児玉 美千世, 谷本 達郎, 小林 博文, 隅井 浩治, 角田 幸信

済生会広島病院 内科

症例は30歳代男性。以前より腹部不快感を自覚していた。2010年7月検診の胃透視で胃の進展不良を指摘された。上部消化管内視鏡検査をうけ体部ひだの軽度の腫大と送気による胃壁の軽度の進展不良を指摘された。検査の6日後に強い腹痛を訴え、同日当院入院となった。腹部超音波検査では胃前庭部が全周性に肥厚し、特に固有筋層の肥厚が著明であった。同部の進展はやや不良で胃内腔に液体の貯留を認めた。十二指腸水平脚にも軽度の壁肥厚を認めた。胃周囲には5mm程度のリンパ節が散見され、モリソン窩に微量の腹水を認めた。同日行った血液検査にて末梢血好酸球の増多(1590/μl,16.9%)を認めた。内視鏡の再検査は本人が拒否したため組織学的な所見は得られなかったが、固有筋層を主体とした好酸球性胃腸炎と診断した。ステロイド投与(プレドニン10mg/日)を行い速やかな症状の改善を認め、第13病日に退院した。

30 胃軸捻転症の1例

筒井 英明1, 畠  二郎2, 眞部  紀明2, 今村  祐志2, 鎌田  智有1, 楠  裕明3, 山下 直人3, 石井 学1, 春間  賢1

1川崎医科大学 消化管内科学, 2川崎医科大学 検査診断学(内視鏡・超音波), 3川崎医科大学 総合臨床医学

胃軸捻転症は比較的稀な疾患であり,その診断はCT検査に基づく事が多い. 体外式超音波検査が診断契機となった胃軸捻転症の1例を経験したので文献的考察を含め報告する.症例は80歳代,女性.主訴は腹部不快感および腹痛.200X年2月某日昼頃より腹部不快感および腹痛が出現したため近医を受診した.腹部単純X線検査で,胃内のガスの貯留が著明で腸閉塞が疑われ,当院へ救急搬送となった.当院で施行した体外式超音波検査では,小腸,大腸に病的な拡張は見られなかったが,胃は著明に拡張し,右側に胃体部,左側に前庭部が描出され,胃軸捻転症を疑った.またソナゾイド®を用いた造影超音波では胃壁の染影は良好で虚血を疑う所見は認められなかった.その後,内視鏡下に胃管を挿入し,減圧により経過観察した.入院8日目には症状は軽快し,経過観察時の体外式超音波で捻転の解除を確認した.

31 胃転移を合併した腎血管周皮腫の一例

麓  由起子1, 畠 二郎2, 竹之内 陽子1, 中武 恵子1, 谷口 真由美1, 岩井 美喜1, 妹尾 顕祐1, 小島 健次1, 眞部 紀明2, 春間 賢3

1川崎医科大学附属病院 中央検査部, 2川崎医科大学 検査診断学, 3川崎医科大学 消化管内科学

症例は50歳代男性. 失見当識を主訴に当院を受診. MRI検査にて脳腫瘍が指摘され精査目的で入院となった. 全身精査目的にて超音波検査が施行. 右腎上極に境界明瞭, 輪郭平滑, 内部均一な約18mm大の低エコー腫瘤を認めた. 側方陰影(+). halo(-). ドプラ上, 内部に流入する血流シグナルを認め腎細胞癌が疑われた. CTでも腎細胞癌が疑われ右腎摘出術が施行.病理組織学的には比較的境界明瞭な腫瘤で類円形の核を示す細胞が大小の血管を含み増殖しており右腎血管周皮腫と診断された. 脳腫瘍からも同様の所見を認めその脳転移と診断された. 3年後, 黒色便を認め外来を受診. 超音波検査で胃噴門直下小弯に約30mm, その対側に約10mmの腫瘤を認め前者は根部に豊富な血流シグナルが見られた. また, 膵および左腎にも性状の類似した多発性腫瘍が描出され病歴からも転移性腫瘍が疑われた. 胃局所的切除術が施行され病理組織学的に既往の血管周皮腫の転移と診断された.

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32 体外式超音波で観察し得た日本海裂頭条虫症の1例  

神崎 智子1, 畠 二郎2, 眞部 紀明2, 今村 祐志2, 飯田 あい2, 石井 学1, 楠 裕明3, 春間 賢1

1川崎医科大学附属病院 食道・胃腸内科, 2川崎医科大学付属病院 内視鏡・超音波センター, 3川崎医科大学付属病院 総合診療科

症例は40歳代男性。排便時に白色調の紐状のものが脱出したため他院を受診し、寄生虫が疑われ駆虫目的にて当院を受診した。腹部超音波では回腸内腔に節状構造を伴った高エコーを認め、虫体が疑われた。経時的観察で虫体の動きは認めなかった。カプセル内視鏡では中部〜下部小腸に体節を有する白色紐状の虫体を認め、頭節が小腸粘膜に刺入していた。腸管寄生虫症と診断し、駆虫目的にて十二指腸ゾンデからガストログラフィン®を注入した。透視下でガストログラフィン®とともに紐状の虫体が肛門側へ移動する像が観察され、その後に肛門より全長1.3mの頭節を含む虫体が排出された。虫体は日本海裂頭条虫であった。日本海裂頭条虫症は刺身や寿司などの生食を好む本邦においてもっとも多い条虫感染と報告されている。今回、腹部超音波にて虫体を観察し得た1例を経験したので報告する。

33 体外式超音波が診断に有用であった腸チフスの一例

塚本 真知1, 山下 直人1, 本多 啓介1, 楠 裕明1, 井上 和彦1, 畠 二郎2, 春間 賢3

1川崎医科大学 総合臨床医学, 2川崎医科大学 内視鏡・超音波センター, 3川崎医科大学 消化管内科

【症例】30歳代、男性。200X年1月から1ヶ月間インドネシアに滞在。帰国後16日目に38.5℃の発熱が出現し、3日間持続するため当科受診。体温40℃。発熱以外の症状なし。WBC 6700/ml、CRP 0.84mg/dl。発症4日目の超音波検査で層構造が温存された回盲弁の肥厚、回盲部リンパ節の腫大、軽度の肝脾腫を認め、エルシニア腸炎、腸チフスなどの感染性腸炎が疑われた。レボフロキサシン400mg/日にて加療開始。発症8日目の超音波検査では、回盲部の壁肥厚の増悪と伴に肝脾腫の増悪を認め、腸チフスが強く疑われた。発症9日目に血液培養検査でSalmonella typhi が検出され腸チフスと確定診断され入院加療となる。その後加療により徐々に超音波所見も改善し、発症25日目に退院となった。【考察】超音波による腸チフスの診断には、回盲部の所見と伴に肝脾腫を見逃さないことが重要と考えられた。

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胎児

34 reversal of TTTS症例における元供血児のTei indexを中心とした循環動態の変化

片山 典子, 多田 克彦, 渋川 昇平, 塚原 紗耶, 立石 洋子, 熊澤 一真, 高田 雅代, 中西 美恵

独立行政法人国立病院機構 岡山医療センター 産婦人科

【緒言】妊娠26週で発症した双胎間輸血症候群(TTTS)を羊水除去術で治療中にreversal of TTTSを発症した症例の元供血児の循環動態について検討した。【症例】Quintero分類StageTのTTTS症例を、preload index(PLI)、Tei index(TI)等で心機能を評価しながら妊娠の継続を図った。妊娠30週より羊水量の逆転、妊娠32週後半より供血児の心拡大、著明なPLIの悪化(0.48→0.98)と右室TIの悪化(0.484→0.732)を認めreversal of TTTSと診断し、妊娠33週0日に帝王切開術を行った。本例の元供血児の左右心室TIは治療初期はTTTSの供血児の動きを示し、分娩に向けてTTTS前段階例の受血児の動きに近づいて行った。【考察】本症例の元供血児はTIの観点からは妊娠経過中から受血児の循環動態をとっていたと言える。

35 胎児AV blockに対しデキサメタゾン投与した症例における発育経過

佐世 正勝, 三輪 一知郎

山口県立総合医療センター 総合周産期母子医療センター

デキサメタゾン(DEX)は,胎児や新生児の発育抑制や脳萎縮等との関連が指摘されている.今回,胎児AV blockに対しDEXを投与し,その後の経過を観察することが出来た症例を経験した.症例:37歳,G4P0.妊娠17週0日の健診時に心房144bpm,心室72bpmのAV blockを認めた.妊娠17週3日にAV blockが再度出現したため,DEX4mg/日を開始した.抗SSA抗体は12.7U/mL(正常<10)であった.妊娠19週0日以降,徐脈の出現はなかった.妊娠21週からDEX減量し,妊娠24週からプレドニゾロンに変更し分娩まで続けた.推定体重は妊娠32週までは-1.5SD以下で推移したが,妊娠32週以降は-1.5SD以内で発育した.妊娠39週6日に2604g,A/S 1分8点,5分9点,UA-pH 7.271で出生した.DEXの胎児発育に対する影響は,DEX終了後も8週間程度残存する可能性がある.

37 当科で管理した胎児腹腔内臍帯静脈瘤の画像所見の特徴についての検討

熊澤 一真, 片山 典子, 渋川 昇平, 塚原 紗耶, 立石 洋子, 高田 雅代, 中西 美恵, 多田 克彦

国立病院機構岡山医療センター 産婦人科

胎児腹腔内臍帯静脈瘤は、臍帯静脈の限局的な瘤状の拡張を呈する稀な疾患で、突然の胎児死亡との関連が報告されている。今回、当科で管理した臍帯静脈瘤の超音波あるいはMRIの画像所見の特徴について検討したので報告する。【対象と方法】2006年1月〜2011年6月までに当科で管理した臍帯静脈瘤18症例を対象とした。臍帯静脈瘤の定義は最大拡張径が1cm以上、あるいは当科で作成した正常臍静脈径の95パーセンタイル以上とした。【結果】瘤内に血栓を疑う所見を認めた症例が3例、静脈瘤の直前に狭窄を認め瘤内にジェット流を認めた症例が3例あり、残り12例は臍静脈の拡張のみを認めた。18例中、子宮内胎児死亡が2例あり、血栓を疑う所見を認めた1例と、狭窄を認め瘤内にジェット流を認めた1例であった。拡張のみを認めた12例は全例で生児を得た。【結語】臍帯静脈瘤の超音波所見が妊娠管理を行う上で重要な指標となる可能性が示唆された。

38 小型携帯型超音波診断装置の産婦人科領域における有効な使用方法の検討

竹内 裕一郎, 宮本 綾子, 高橋 正国

三原赤十字病院 産婦人科

小型の携帯型超音波診断装置はその携帯性、簡便性から多方面での使用が期待されており、私達の施設でも産婦人科領域での使用を拡大している。回診時の使用では、胎児の状態、胎位、羊水量、胎盤や絨毛の位置、子宮内血腫の有無など産科領域で、また胸水、腹水、腫瘍、水腎症、残尿の有無や量や状態や変化などを婦人科領域で、これらの観察が患者負担少なく容易に行えた。分娩時には羊水減少の有無、児頭回旋異常を確認し、帝王切開時には胎盤位置異常症例で胎盤辺縁の位置を確認して切開部位を決定し、子宮筋腫核出時には筋腫や子宮内膜の位置確認などにも有用であった。また東日本大震災の救護活動の際にも利用したが、救急の現場でもやはり役立つことがあった。この装置は広い空間を必要とせず、持ち運びが容易で、今まで使用が困難であった場所でも、また超緊急時にも使用可能であり、今後、産婦人科領域での使用はさらに広がっていくと考えられる。

39 Lipoleimyomaの超音波検査所見について(第2報)

村尾 文規

庄原同仁病院 婦人科

研究目的:lipoleiomyoma の超音波検査所見の特徴を明らかにすること。研究方法と対象:経験した4例のlipoleiomyomaについて、超音波検査CTおよびMRIの各所見を比較、検討した。結果:4症例の平均年齢は65才であった。臨床上、子宮下垂感を訴えた1例を除いて、他の3例は無症状であった。血液検査では、高脂血症が共通してみられた。超音波検査上、低エコー腫瘍として描出される子宮筋腫の一部に比較的境界明瞭な高輝度エコー域として描出される症例と高エコー腫瘍として描出される症例が見られた。acoustic shadowを生じないか、あっても低いと考えられた 考察:本邦の報告例はきわめて少ない。鑑別上、脂肪組織と石灰化の鑑別が重要であり、MRIでは、脂肪抑制画像を使用することで診断の精度をあげることができるが、本法は、スクリーニングあるいは経過観察上、CTより有用であることがわかった。

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心不全 他

40 Noonan症候群に僧帽弁逸脱症による重症僧帽弁閉鎖不全、および心機能低下を合併した一例

大野 佑子2, 麻植 浩樹1, 杜 徳尚2, 森本 芳正2, 坂本 瞳1, 池田 まどか1, 武本 梨佳1, 渡辺 修久1, 田辺 康治1, 伊藤 浩2

1岡山大学病院 超音波センター, 2岡山大学 循環器内科

Noonan症候群は低身長、発達遅滞、様々な身体的異常を引き起こす遺伝的欠損である。50−80%に心疾患の合併がみられ、なかでも肺動脈狭窄や肥大型心筋症などの合併が多いとされる。今回我々はNoonan症候群に伴う僧帽弁逸脱症による重症僧帽弁閉鎖不全、および心機能低下を認めた症例を経験したので報告する。症例は21歳女性、出生時より顔貌・胸郭の異常を指摘、17歳時に臨床的にNoonan症候群と診断された。形成外科による外鼻形成術の術前心電図検査で異常を認め、当院紹介となった。心臓超音波検査にて左室の軽度拡大と収縮能の低下、僧帽弁尖全体の粘液腫様変性による僧帽弁逸脱症、および重症憎帽弁閉鎖不全を認めた。僧帽弁に対する手術適応が考慮されたが、症状が乏しいことと、弁形成術の可否について検討の上、まずは内科的治療を開始し、形成外科手術を先行させた。現在、外来にて経過観察中。今後、僧帽弁形成術を検討中である。

41 U型呼吸不全による肺高血圧で心エコー図検査が有用であった2例

藤田 圭二1, 宗政 充2, 中山 弘美1, 高須賀 康宣1, 松原 広己2

1NHO岡山医療センター 臨床検査科, 2NHO岡山医療センター 循環器科

【症例1】30歳代、男性。以前から扁桃腺腫大を指摘。最近、傾眠傾向と全身倦怠感を自覚して来院。BNP 588pg/ml、PaCO2 63mmHg、PaO2 61mmHg、胸部X線はCTR 72%、心エコー図検査では右心拡大とPH(推定肺動脈圧58mmHg)であった。【症例2】20歳代、男性。筋力低下と労作時息切れを自覚して来院。BNP 274pg/ml、PaCO2 108mmHg、PaO2 34mmHg、肺活量1.12L、胸部X線はCTR 53%、心エコー図検査では右心拡大とPH(推定肺動脈圧64mmHg)であった。【結語】閉塞性睡眠時無呼吸症候群および全身の筋力低下した患者に心エコー図検査を行い、PHの存在からU型呼吸不全を疑い、早期に診断し非侵襲的陽圧換気療法が著効した2例を経験したので報告する。

42 右室内血栓を伴った不整脈源性右室心筋症の一例

新田 江里1, 吉冨 裕之1, 菅森 峰2, 山口 一人1, 福間 麻子1, 柴田 宏1, 安達 和子2, 伊藤 早希2, 長井 篤1, 田邊 一明2

1島根大学医学部附属病院 検査部, 2島根大学医学部附属病院 循環器内科

【症例】70代男性【現病歴】20年前より時折、動悸、呼吸苦あり。2007年、2回の意識消失を来たした。他院で、大動脈弁狭窄症(AS)と診断され、2008年当院循環器内科入院。【経過】心電図ではε波を認め、心室遅延電位は陽性、ホルター心電図では左脚ブロック型の心室頻拍を認めた。経胸壁心エコー図では、中等度のASのほか、右室の著明な拡大・壁運動低下、自由壁・心尖部の瘤状化、右室心尖部血栓を認めた。不整脈源性右室心筋症(ARVC)と中等度のASと診断した。肺血流シンチでは欠損像を認めなかった。抗凝固療法を開始し、大動脈弁置換術とICD植え込みを検討中、徐脈性不整脈と腎機能の悪化を契機に心不全が悪化し、2008年3月永眠された。【結語】ARVCの右室内血栓の合併の報告は少ないため、若干の文献的考察を含め報告する。

43 サリドマイド内服後、左室収縮能が改善したPOEMS症候群の一例

本田 秀子1, 西岡 健司1, 宇都宮 裕人1, 藤村 憲崇1, 出井 尚美1, 槙田 祐子1, 三上 真佑1,2, 日高 貴之1, 宇賀 小百合2, 木原 康樹1

1広島大学 大学院医歯薬学総合研究科循環器内科, 2市立宇和島病院 循環器内科

【症例】55歳、男性。【経過】2010年11月多発性骨髄腫と診断された。2011年2月労作時呼吸困難と下腿浮腫が生じた。体重69 Kg、肺うっ血を認めた。心臓超音波検査(UCG)にて、左室拡張末期径(LVDd)/収縮末期径(LVDs) 51/38 mm、全周性左室壁運動低下を認め、左室駆出率 (LVEF) 49%、心嚢水貯留を認めた。経過中、POEMS症候群と診断されたため、サリドマイド内服開始、その後UCG再検となった。LVDd/LVDS 54/36 mm、LVEF 67%であった。下腿浮腫は改善、体重 64 Kg、肺うっ血は改善した。【考察】POEMS症候群、慢性心不全に対するサリドマイドの有用性が報告されている。本症例では、サリドマイド内服後で、内服前に比して血圧の変動なくLVDsが減少していることから、左室収縮能が改善した可能性が考えられた。

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先天性心疾患

44 左上大静脈遺残を伴うunroofed coronary sinusの一例

武本 梨佳1, 杜 徳尚2, 麻植 浩樹1, 武 寛2, 坂本 瞳1, 大野 佑子2, 池田 まどか1, 渡辺 修久1, 田辺 康治1, 伊藤 浩2

1岡山大学病院 超音波診断センター, 2岡山大学 循環器内科

症例は52歳、女性。49歳時より両下肢の浮腫と呼吸困難を認め、徐々に増悪するため近医入院となり、下位欠損型心房中隔欠損症、左上大静脈遺残、重症僧帽弁閉鎖不全症、重症三尖弁閉鎖不全症に伴う心不全と診断された。同院にて手術を勧められるもご本人の希望にて経過観察されていた。52歳時の心不全増悪による再入院の際に当院での手術を希望され当院に紹介、入院となった。経胸壁心エコーでは心房中隔欠損症の明らかな欠損孔の描出は困難であり、経食道心エコーにて通常、冠静脈洞が開口している付近より左右シャントを確認できた。CT、カテーテル検査でも通常の冠静脈洞開口部付近に欠損孔が確認され、さらに左上大静脈と冠静脈の左房への環流が確認された。以上の所見より、unroofed coronary sinusと診断された。unroofed coronary sinusという稀な疾患を経験したので若干の文献的考察を踏まえて報告する。

45 卵円孔内に補足された血栓を観察し得た、奇異性塞栓症による多発性脳梗塞が疑われた一例

麻植 浩樹1, 杜 徳尚2, 大澤 和宏2, 大野 佑子2, 坂本 瞳1, 武本 梨佳1, 渡辺 修久1, 田辺 康治1, 伊藤 浩2

1岡山大学病院  超音波診断センター, 2岡山大学 循環器内科

症例は48歳、女性。再発性脳底動脈瘤で脳外科にてfollow中であった。意識障害を主訴に救急搬送され、来院時の頭部CTにて両側小脳及び右大脳半球に散在性の多発性脳梗塞を認めた。血液検査ではD-dimer, FDPの著明な上昇を認め、心原性塞栓も疑い、経胸壁心エコー図検査を施行したところ、心房中隔に付着する両心房内の可動性腫瘤様病変を認めた。感染徴候は認められず、血液培養は陰性、粘液腫などの可能性も考えられたが、経食道心エコー図検査では心房中隔に卵円孔開存及び右−左シャントの存在を認め、右房側から卵円孔に嵌頓して左房内にまでのびる連続した腫瘤様病変が認められた。これらより卵円孔開存に伴う切迫奇異性塞栓症を疑い、抗凝固療法を開始した。卵円孔開存は奇異性塞栓症の原因の一つになると言われている。本症例では心エコー図検査にて卵円孔内に補足された両心房内の血栓を検出することが可能であった。

46 ASD術後48年が経過し 労作時呼吸困難を訴え受診した1症例

広江 貴美子1, 太田 哲郎2, 角 瑞穂1, 中村 琢2, 岡田 清治2, 石原 研治1, 吉冨 裕之3,4, 村上 林兒1

1松江市立病院 中央検査科, 2松江市立病院 循環器内科, 3島根大学医学部付属病院 検査部, 4島根大学医学部 第四内科

【症例】72歳、男性【主訴】労作時呼吸困難【現病歴】S32年(24歳)にASDを指摘され、外科的治療を実施された。H23年5月頃より労作時呼吸困難が出現し、精査目的のため当院循環器内科診。【現症】血圧117/79mmHg、SpO2 95%、収縮期雑音(3〜4LSBにLevine 3/6)を聴取。四肢に浮腫を認めず、胸部ラ音を聴取せず。心電図は洞調律で完全右脚ブロック、胸部X線でCTR58%と心拡大し肺動脈の拡張と肺血管陰影の増強を認めた。【心エコー図検査】LVDd40mmでEF49%。LAD49mmと拡大し、右室の拡大を認めたが、収縮期の心室中隔の平坦化は認められず右室容量負荷が考えられた。また、CSの拡大あり、PLSVCの存在が示唆された。高度の三尖弁逆流を認め、卵円窩の部分に欠損(9X10mm)を認めカラードプラで左右短絡を認め、IVCに近い下位静脈洞にも短絡が認められ複数の欠損口が考えられた。ドプラ法で求めたQp/Qsは2.4。経食道心エコー図で部分肺静脈還流異常は認めず。

47 経皮的カテーテル閉鎖術が有用であったPlatypnea-orthodeoxia syndromeの一症例

渡辺 修久1, 麻植 浩樹1, 杜 徳尚2, 谷口 学3, 大澤 和宏2, 田辺 康治1, 伊藤 浩2

1岡山大学病院 超音波診断センター, 2岡山大学 循環器内科, 3岡山大学病院 循環器疾患治療部

Platypnea-orthodeoxia syndrome(POS)は,仰臥位から立位に体位が変化した際,呼吸困難と低酸素血症を生じることが特徴とされる稀な症候群である.症例は26歳,女性.胸部絞扼感と労作時の呼吸困難を主訴に来院された.安静時心電図は洞性除脈,運動負荷心電図では虚血性変化を認めなかったが,負荷後のSpO2は88%(安静時99%)と低下を認めた.経胸壁心エコー図検査で卵円孔開存を認め,経食道心エコー図検査にて,コントラストエコー法によりバルサルバ負荷にて卵円孔を通過する右左シャントを認めた.座位エルゴメータ運動負荷心エコー図検査(コントラストエコー法併用)によりSpO2の低下に伴う右左シャントを認め,卵円孔開存によるPOSと診断した.本症例は,後に経皮的カテーテル卵円孔閉鎖術を行い,術後経過は良好である.POSは稀な疾患で,そのカテーテル治療有効例を経験したので報告する.

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虚血性心疾患

48 多枝冠動脈攣縮が誘発され血流依存性血管拡張反応·内膜中膜複合体厚測定を行った低左心機能の一例

日高 貴之1, 丸橋 達也1, 宇都宮 裕人1, 石橋 堅1, 土肥 由裕1, 西岡 健司1, 栗栖 智1, 野間 玄督2, 東 幸仁2, 木原 康樹1

1広島大学 大学院医歯薬学総合研究科循環器内科, 2広島大学 大学院医歯薬学総合研究科心臓血管生理学

【症例】76歳、女性。【現病歴】大腸癌に対する内視鏡的粘膜切除術施行目的に入院中。既往に冠動脈危険因子無し。心臓超音波検査の結果、左房·左室拡大、全周性左室壁運動·左室駆出率低下を認めた。冠動脈造影では、器質的狭窄を認めず、アセチルコリン負荷試験にて左右冠動脈に攣縮が誘発された。心筋生検の結果、軽度の間質の線維化、心筋細胞の中等度肥大、空胞変性を認めた。IMTは0.8 mm、FMDは3.6%であった。【経過】検査終了後、ベニジピンの内服を開始した。5日後、心電図·心臓超音波検査所見の改善を認めた。【考察】本症例では、多枝冠動脈攣縮が誘発され、ベニジピンにより心電図、心エコー所見が改善した。経過から、左室機能低下に血管内皮機能障害による冠動脈攣縮が関与している可能性が示唆された。FMD、頸動脈エコーが病態の推察の一助となった。

49 左鎖骨下動脈拡張術前後でLITA-LADグラフト血流波形変化を認めた冠動脈鎖骨下動脈盗血症候群の1例

田中屋 真智子1, 藤田 慎平1, 櫻木 悟1, 片山 祐介1, 日下 昇2, 内田 享3, 上 真弓3

1国立病院機構岩国医療センター 循環器科, 2国立病院機構岩国医療センター 脳神経外科, 3国立病院機構岩国医療センター 臨床検査科

症例は78歳女性。67歳時に冠動脈バイパス術(LITA-LAD、RAG-LCX)が施行されている。労作時胸部違和感の訴えあり精査したところ冠動脈(LMT)の高度狭窄と左鎖骨下動脈起始部狭窄を認めた。LITA-LADグラフト血流低下による症状と考えLMTへ冠動脈形成術を行った。胸部症状消失し経過良好にみえたがPCI46日後に急性心不全発症した。冠動脈造影検査にてLITAグラフトの逆行性血流が確認されcoronary subclavian steal syndrome(CSSS)を疑いエコー施行したところ、LITAグラフトに収縮期逆行性血流と拡張期順行性血流を認めた。左鎖骨下動脈狭窄に対して血管拡張術施行、以降順調に経過している。術後、同部位のエコー波形は収縮期拡張期とも順行性血流となっていた。比較的稀なCSSSに伴うLITAグラフトのエコー波形を比較しえた症例を経験したので報告する。

50 Lotus Loop Appearanceを血管内超音波にて観察しえた2症例

岩崎 淳, 吉川 昌樹, 永井 正浩, 井田 潤

津山中央病院 循環器科

症例1は71歳、男性。胸痛精査で当院紹介受診となる。CAGにてRCAの有意狭窄および2股の透亮像を認めた。治療時の血管内超音波にてLotus Loop Appearanceを認めた。症例2は35歳、男性。2007年9月に心筋梗塞でCAGを施行。LCX#11の100%閉塞に対してPOBA。2007年11月のCAGにてLCX13、14 分岐部、#14、15の解離を認めた。2008年3月に僧帽弁形成、冠動脈バイパス術を施行。2008年4月にLCX11、12にステント留置、LCX11、12、13にPOBA。2010年3月にLCX12、13にPOBA。同年9月のCAGにてLCX11 50%、LCX11 50%、LCX13 完全閉塞を認め、LCX11に2股の透亮像を認めた。血管内超音波でLotus Loop Appearanceを呈していた。比較的稀な上記2症例を経験したので文献的考察を加告する。

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弁膜疾患 他

51 4Dエコーで観察し得た大動脈弁二尖弁に合併した感染性心内膜炎

牛山 多恵子1, 小山 真理子1, 大西 智子1, 金羽 美恵1, 木原 康樹2

1洛和会音羽病院 臨床検査部, 2広島大学大学院医歯薬学総合研究科病態情報医科学講座 循環器内科学

症例は31歳の男性。 3週間続く発熱と盗汗及び労作性呼吸困難を訴えて来院した。両下肢浮腫を認め、Levine 2/6の拡張期雑音を2LSB〜心尖部に聴取した。心エコー検査では、大動脈弁は二尖弁で、高度ARとともに大動脈弁無冠尖には拡張期に左室側へ逸脱する索状エコーが検出された。僧帽弁前尖の軽度逸脱、軽度MRも合併していた。左室拡張末期径は70mm、駆出率は50%であった。大動脈弁二尖弁に合併した感染尖心内膜炎とそれによるARと診断した。入院後の経胸壁4Dエコーでは、大動脈弁にはリング状の穿孔像が明瞭に描出され、AR逆流を受ける僧帽弁前尖弁腹には不整像が検出された。血液培養により起炎菌はα連鎖球菌と同定された。内科的加療にも関わらず心負荷徴候が増強したため第4病日に両弁置換術を施行した。術中所見では、大動脈弁の半周を占める無冠尖に10mm径の穿孔が確認され、僧帽弁前尖にも疣贅が付着していた。術後の経過は良好であった。

52 3次元経食道心エコーが僧帽弁置換術後の人工弁周囲逆流の評価に有用であった一例

奥田 真一1, 村田 和也2, 和田 靖明3, 内田 耕資1, 村上 和華子1, 池田 安宏1, 三浦 俊郎1, 松崎 益徳1

1山口大学医学部附属病院 第二内科, 2山口大学医学部附属病院 検査部, 3山口大学医学部附属病院 先進救命救急センター

症例は70歳、男性。43歳時にリウマチ性僧帽弁狭窄兼閉鎖不全症にて僧帽弁置換術を施行した。54歳時に人工弁感染による弁周囲解離により僧帽弁再置換術、62歳時に僧帽弁再々置換術(機械弁)および三尖弁置換術が施行された。2010年秋より溶血性貧血、心不全症状が出現し、治療後も貧血を繰り返すため人工弁機能障害を疑い、2次元経食道心エコー検査(2DTEE)を実施した。2DTEEでは僧帽弁輪部内側から中等度の逆流がみられ、人工弁機能不全と診断した。後日、詳細な弁機能精査のために実施した3次元経食道心エコー(3DTEE)では、surgeon’s viewにて置換僧帽弁の弁座と弁輪部に解離を認め、カラードプラでは弁輪内側からの逆流に加え弁周囲からの逆流が確認され、人工弁機能障害による溶血性貧血と診断した。3DTEEは人工弁の多断面からの評価が可能であり、僧帽弁置換術後の人工弁周囲逆流の評価に有用であった。

53 術後早期人工弁MRSA感染性心内膜炎により人工弁が弁輪より離脱し急性僧帽弁周囲逆流を来した1例

土井 裕枝2, 正岡 佳子1, 佐々木 洋子2, 沖野 清美2, 砂押 春香2, 舟木 麻美2, 片山 大奨2, 滝藤 広香2, 沖本 智和1

1土谷総合病院  循環器内科, 2土谷総合病院  心機能検査室

【症例】67歳、男性。2010年3月23日僧帽弁閉鎖不全症と三尖弁閉鎖不全にて僧帽弁置換術 (SJM29o)及び三尖弁置換術 (CEP29o)施行。 術後第12病日より高熱出現したが経胸壁心エコー図1(TTE)で明らかな異常を指摘出来なかった。TTE施行4日後弁輪膿瘍の自壊により人工弁半周が弁輪より剥離し、急性高度僧帽弁周囲逆流を来し緊急手術にて救命された。術前の血液培養からMRSAが検出された。再手術後定期的に経食道心エコー図でのフォローアップを行い、術後6日目より僧帽弁周囲逆流の再発を認め、次第に増悪し炎症所見改善後第15日目に再々手術を行った。手術創感染、縦隔膿瘍等を合併し長期の抗生剤を行ったが初回手術から4ヶ月後退院となった。【結語】MRSAによる術後早期人工弁感染性心内膜炎(PVE)の1例を経験した。MRSAによるPVEの進行の急激さと経食道心エコーの重要性を再認識させられた症例であり報告する。

54 大動脈四尖弁による閉鎖不全症に対し弁形成術を施行した1例

坂本 瞳1, 杜 徳尚2, 麻植 浩樹1, 内藤 洋一郎3, 武本 梨佳1, 大野 佑子2, 池田  まどか1, 渡辺 修久1, 田辺 康治1, 伊藤 浩2

1岡山大学病院 超音波診断センター, 2岡山大学 循環器内科, 3福山市民病院 循環器内科

症例は28歳、女性。幼少期より弁膜症を指摘され、近医にて経過観察されていた。2010年より階段昇降時などに息切れを感じるようになり、同院での経胸壁心エコーにて重症大動脈弁閉鎖不全症を認めたため、当院に紹介・入院となった。当院の経食道心エコーにおいて、従来の大動脈弁左冠尖と無冠尖の間にやや小さなaccessory cuspを有する四尖弁を認めた。また、冠動脈造影では、冠動脈の有意な狭窄や起始異常は認めなかった。若年女性であり、今後の妊娠・出産のことを考慮し術式は大動脈弁形成術を選択した。まず、左冠尖、accessory cusp、無冠尖の交連部を合わせて縫合し三尖弁の形態にしたが、大動脈弁逆流が残存するため左冠尖と無冠尖の弁尖部を縫合し二尖弁の形態とすることで、有意な大動脈弁逆流を認めず終了とした。大動脈四尖弁は弁機能異常を認める稀な先天性心疾患であり、若干の文献的考察を加えて報告する。

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脈管・他

55 上腕動脈の高圧圧迫により血管内血栓を認めた症例

井上 忠1, 寺川 宏樹1, 藤井 雄一1, 河村 道徳2, 竹本 博明1, 野村 秀一1

1広島鉄道病院 循環器内科, 2広島鉄道病院 臨床検査室

上腕動脈穿刺によるカテーテル検査・治療後に同部位に仮性動脈瘤を認めることがある。治療法の一つとして上腕動脈の中枢側を高圧にて圧迫することにより仮性動脈瘤を血栓化させる方法がある。今回われわれはその方法を用いたところ血管内血栓を認めた症例を経験したので報告する。症例は85歳男性。右冠動脈の狭窄に対して通常の2剤の抗血小板剤内服下に左上腕動脈アプローチ(6Fr)より経皮的冠動脈インターベンションを施行した。翌日に同部位の仮性動脈瘤を認め、中枢側高圧圧迫法を試みた。血圧より20mmHg高く上腕を5分間圧迫したところすぐに仮性動脈瘤への血流は消失したが、穿刺部と思われる部位に血栓の形成を認めた。患者さんに病状を説明した後抗凝固療法を施行したところ2日後には合併症なく血栓は消失した。かかる治療法は有用であるが、症例により血栓易形成性は異なるため圧迫時間は慎重に決定する必要があると思われた。

56 体外式超音波が診断に有用であったLeriche症候群の1例

山下 都

川崎医科大学附属川崎病院 中央検査部

Leriche症候群は,腎動脈分岐部以下の腹部大動脈から動脈閉塞がはじまり,総腸骨動脈分岐部周辺までに限局した慢性の大動脈閉塞である.体外式超音波が診断に有用であったLeriche症候群の1例を報告する.症例は80歳代男性.慢性腎不全の悪性疾患合併検索の目的で行った腹部超音波検査で,上腸間膜動脈(以下SMA)分岐直下の腹部大動脈から総腸骨動脈に渡り血栓による閉塞を認めた.下肢CTAでは,腹部大動脈はSMA分岐直下から閉塞し,両側総腸骨動脈にも血流はみられず,胸壁から腹壁の側副血行路を介して左右外腸骨動脈下部より末梢の下肢動脈が描出された.Leriche症候群と診断され,間歇性跛行の増悪を認めたため,左腋窩−両側大腿動脈バイパス術を施行,間歇性跛行は改善した.

57 腎動脈狭窄のスクリーニング検査における腎動脈エコーの役割と注意点

古林 紫, 山本 桂三, 古林 雄平, 林 秀行, 外山 裕子, 広畑 敦, 大江 透

心臓病センター榊原病院 循環器科

<背景>腎動脈エコー検査は低侵襲で腎動脈狭窄 (RAS) のスクリーニングに施行されるが、被検者の体格や血管の解剖等に影響を受けると示唆されている。腎動脈エコー検査と造影CT検査とを比較し、腎動脈エコー検査の利点と注意点について検討した。<方法>75症例に対して冠動脈CTと同時に腎動脈CTを施行し腎動脈エコー検査も行った。CTで50%以上と、腎エコードプラ法で収縮期最高血流速度˃180m/sをそれぞれRASと定義した。<結果>76症例168腎動脈のうちCTで14腎動脈でRASを認めたが、腎動脈エコーでそのうち8腎動脈でRASを指摘出来ず、それらの症例は有意に狭窄率が低かった。また腎動脈エコーで11腎動脈でRASを認め、CTでそのうち5腎動脈でRASを指摘出来ず、それらの腎動脈はいずれも著明な屈曲を認めた。<結語>腎動脈エコーはRASの血行動態の評価に有用であるが、血管の走行も検討し過剰評価に注意する必要がある。

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心臓その他

58 真性多血症に認められたICDリードに付着した血栓の一例

福田 秀一郎1, 左古田 悦子1, 中川 小百合1, 河田 順子1, 前原 雅美1, 有高 進悟1, 住友 泉1, 谷口 裕一1, 大原 美奈子2, 山本 桂三2

1心臓病センター榊原病院 臨床検査室, 2心臓病センター榊原病院 循環器内科

〔症例〕64歳男性。1995年に心筋梗塞発症。1999年より真性多血症あり他院で瀉血を施行。2005年にVF発症しCPA施行後、ICD植込み術を施行する。2009年1月にICDリード断線により、再度ICDリード植込み術を施行する。2010年10月に経過観察目的にて経胸壁心エコーを施行し、右房内に41×14mm大のMASS様エコーを認めた。精査目的にて経食道超音波施行し、右房内のmass様エコーはICDリードに絡まるように付着しており、CT検査等も合わせて、ICDリードに付着する心内血栓と診断された。その後、外科的血栓除去も考慮されたが、血栓除去が難しいことや多血症による再発の可能性が非常に高く、薬物療法を施行し現在経過観察中である。〔考察〕ペースメーカーやICD及びCRTD症例では、心エコー検査にてリード挿入部及び固定部など可視範囲観察を十分に行い、特に多血症患者には注意を要することを経験した。

59 広範囲肺静脈隔離術前後における経胸壁エコーの左心耳壁運動速度と経食道エコーの左心耳内血流速度

難波 浄美1, 吉田 尚康2, 岡本 光師3, 山田 博康4

1県立安芸津病院 臨床検査科, 2県立広島病院 臨床研究検査科, 3県立広島病院 循環器内科, 4県立安芸津病院 内科

(背景と目的)左心耳機能評価は、一般的に経食道心エコー法(TEE)で行われている。しかしTEEはやや侵襲的である。そこで経胸壁(TTE)組織ドプラ(TD)法での左心耳壁運動速度(LAAWV)で広範囲肺静脈隔離術(PVI)前後の左心耳機能を非侵襲的に評価できるか検討した。(対象と方法)TEEおよびTTEを施行した患者142例(洞調律62例,心房細動80例)(Control)と、PVI前およびPVI 3〜6ヶ月後にTEEおよびTTEを施行した心房細動患者17例(AF)を対象とし、TEE法でPVI前後の左心耳収縮時血流速度(LAAV)、TEEおよびTTE法でTDによるLAAWVを測定した。(結果)Controlにおいて、LAAWVとLAAVは有意な相関関係を認めた(r=0.82, P<0.001)。AF患者において、LAAWVは有意にPVI後に増大した(前12±5cm/s,後19±4cm/sec)。PVI後のLAAVとLAAWVの変化量は有意な相関関係を認めた(r=0.72,P=0.001)。(結語)LAAWVで、AF患者におけるPVI前後の左心耳機能を非侵襲的に評価できると考えられた。

60 収縮期tumor plopを生じた左房粘液腫の1例

正岡 佳子1, 佐々木 洋子2, 土井 裕枝2, 沖野 清美2, 砂押 春香2, 舟木 麻美2, 片山 大奨2, 滝藤 広香2, 沖本 智和1

1土谷総合病院 循環器内科, 2土谷総合病院 心機能検査室

症例は8歳女児。運動後頭痛を訴え一過性に右手の脱力を伴った。近医を受診し異常ないと言われたが睡眠中に患児の心音が大きい事に母親が気付き他院を受診し、心エコー検査にて左房腫瘍を指摘され当院紹介となった。M-モード心エコー図と心音の同時記録により拡張期に腫瘍は僧帽弁口に嵌入しランブルを生じ、収縮期に左房へ戻り後壁に衝突し巨大な過剰心音を生じている事が確認された。拡張期の左房左室圧較差は臥位5mmHg、座位8mmHgと体位により変化した。腫瘍摘出術をおこない、心房中隔に付着する5.5x3.0x2.8cmの良性粘液腫と診断された。術後過剰心音は消失した。tumor plopは拡張早期に腫瘍が僧帽弁前尖に衝突する事により生じる過剰心音とされている。本症例では腫瘍が収縮期に左房へ戻り後壁に衝突し収縮期過剰心音を生じ、これに母親が気付いた事が診断の契機になった。収縮期tumorplopを来した粘液種の報告は稀であり報告する。

61 植え込み型デバイス感染によりデバイス抜去した後も疣贅様エコーを広範囲に認めた一例

田辺 康治1, 杜 徳尚2, 麻植 浩樹1, 森本 芳正2, 坂本 瞳1, 大野 佑子2, 池田 まどか1, 武本 梨佳1, 渡辺 修久1, 伊藤 浩2

1岡山大学病院 超音波診断センター, 2岡山大学 循環器内科

症例は68歳、男性。66歳時に両心室ペーシング機能付植え込み型除細動器(CRTD)の植え込み術を施行。2011年6月15日より発熱持続し、17日に上下肢の痙攣を生じたため近医受診した。炎症反応高値であるものの、明らかな感染源を認めず抗生剤を開始されたが、21日には敗血症性ショックとなり当院転院となった。感染源は同定できなかったがリード感染が強く疑われ、22日に全身麻酔下でCRTDシステムの抜去を試みた。術中の経食道心エコーにて上大静脈から右房に疣贅様エコーを認め、抜去した右房リードの先端には黄白色の付着物があり培養にてMSSAが検出された。術後の経食道心エコーでも依然として、可動性に富む疣贅様エコーを冠静脈洞開口部と上大静脈から右房内、三尖弁中隔尖に連続して認め、造影CTにても左鎖骨下静脈から右房まで連続する構造物を認めた。植え込み型デバイス感染を心エコーで観察し得たので報告する。

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表在・他

62 超音波検査における皮下異物の評価

瀬戸 学1, 表 文恵1, 千原 直也1, 大原 直樹2

1庄原赤十字病院 医療技術部 生理検査技術課, 2広島大学病院 皮膚科

【はじめに】超音波検査にて皮下異物の存在の有無を確認し、評価を行ったので報告する。【対象】2008年8月から2011年3月までに当院皮膚科を受診し、皮下異物の有無を確認するため、超音波検査を施行した18例を対象とした。【方法】対象部位を走査し、異物の存在や深さ、周囲の組織について観察を行った。【結果】18例中、8例に異物を認め、そのうち7例が摘出となった。摘出した異物は、ナイロン2例、ガラス片1例、魚の骨1例他であった。超音波検査では、大きさ最小1mm、最大9mmで存在を確認できた。異物は、すべてhyperechoicまたは、strong echoに描出され、5例に異物の周囲にhypoechoic areaを認めた。【考察】異物の存在や深さ、周囲の血管の有無、周囲の変化を評価できることは、異物を摘出する上で参考になった。【結語】皮下異物の有無を超音波検査で確認することができ有用であった。

63 大腿部に発生した血管平滑筋腫の1例

谷口 真由美1, 畠 二郎2, 竹之内 陽子1, 中武 恵子1, 岩井 美喜1, 麓 由起子1, 妹尾 顕祐1, 小島 健次1, 今村 祐志2, 春間 賢3

1川崎医科大学附属病院 中央検査部, 2川崎医科大学 検査診断学, 3川崎医科大学 消化管内科学

症例は40歳代の在日ブラジル人女性。10年前より左大腿部の皮下に5o大の結節を触知。最近になって特に寒い日に痛みを感じるようになったため、当院皮膚科外来を受診。皮下結節近傍に患者が詳細を把握していない5mm程度の手術痕があり、異物残留疑いにて超音波施行。左大腿前面の皮下に6×5mm大の低エコー腫瘤を認め、存在部位は皮下脂肪織内で腫瘤の上端は真皮に接していた。境界明瞭、輪郭ほぼ整、内部は低エコーが主体で、一部に高エコーが混在。側方陰影を伴い、後方エコーの増強は認めなかった。カラードプラ上血流シグナルは豊富で、動脈波形が確認された。以上より超音波上、血管平滑筋腫が疑われた。摘出術が施行され、病理組織学的には皮下組織に平滑筋細胞が増殖する境界明瞭な結節が存在。結節内には細隙状の血管が多数分布し、平滑筋細胞が血管周囲に同心円状あるいは束状の配列を呈する血管平滑筋腫の診断であった。

64 肋骨に低エコー腫瘤を形成した多発性骨髄腫の1例

谷口 真由美1, 畠 二郎2, 竹之内 陽子1, 中武 恵子1, 岩井 美喜1, 麓 由起子1, 妹尾 顕祐1, 小島 健次1, 眞部 紀明2, 春間 賢3

1川崎医科大学附属病院 中央検査部, 2川崎医科大学 検査診断学, 3川崎医科大学 消化管内科学

症例は50歳代男性。2年前より病的骨折を反復。20XX年3月、右鎖骨窩リンパ節の腫大を自覚。近医でのレントゲン、CTで多発性骨髄腫が疑われ当院紹介受診。血液検査上、小球性低色素性貧血を呈し、TP 8.5g/dL、Glb 3.9g/dL、IgA 1315.2mg/dL、β2‐MG 2.3μg/mL、尿中BJP は183mg/dL。腹腔内精査目的の超音波で右側胸壁内に肋骨からの発生が疑われる70×25mmの低エコー腫瘤を認めた。腫瘤は境界明瞭、輪郭ほぼ整、内部エコーは高低エコーが不均一に混在。カラードプラ上、豊富な血流シグナルを認め、PIは2.0と高値。肝S8と接して描出されたが、呼吸によるすべりが観察され、浸潤は認めなかった。超音波上、多発性骨髄腫に伴う骨病変が疑われ、CTでも肋骨、椎体などに多発性の骨髄腫病変が指摘された。VAD療法1コース終了時のCTでは肋骨病変の著明な縮小を認めた。

65 体外式超音波検査で同定し得た下咽頭梨状窩瘻の1例

中武 恵子1, 畠 二郎2, 竹之内 陽子1, 谷口 真由美1, 岩井 美喜1, 麓 由起子1, 妹尾 顕祐1, 小島 健次1, 今村 祐志2, 春間 賢3

1川崎医科大学付属病院 中央検査部, 2川崎医科大学 検査診断学, 3川崎医科大学 消化管内科

症例は30歳代男性。14年前に左頸部腫脹と発熱を主訴に、下咽頭梨状窩瘻と診断されていた。再び同様の症状が出現し、CT検査で急性化膿性甲状腺炎を指摘され、再燃が示唆された。治療により炎症は治まったが、根治手術を希望したため当院へ紹介入院となった。体外式超音波検査において甲状腺左葉上極の頭側に約1.5cmの範囲で壁の薄い管腔構造を認め、内腔に点状高エコーが描出された。プローブ圧迫により可動性を認め、下咽頭梨状窩瘻が疑われた。また、管腔構造は甲状腺左葉上極と連続しており、上極に7mm程度の低エコー域がみられ、炎症後の瘢痕が考えられた。手術所見は甲状腺左葉上極に流入する索状物を認め、頭側に剥離したところ下咽頭収縮筋を貫いていた。病理組織学的検索において瘻の内面は多列円柱上皮で被覆されており、梨状窩瘻と診断された。手術後の食道造影検査で梨状窩瘻を認めていた位置に造影剤の流入はみられなかった。

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