
消化器1・消化管|消化器3・膵|表在・血管ほか|循環器1・先天性|
循環器2・瘤,血栓ほか|消化器2・肝|循環器3・左心|循環器4・右心
座長: 湯浅典博 (名古屋第一赤十字病院検査部)
1. 体外式超音波スクリーニング検査における進行胃癌の検出率
1大垣市民病院 医療技術部診療検査科、2同 消化器内科
今回我々は、進行胃癌に対し体外式超音波スクリーニング検査での検出率について検討を行ったので報告する。対象は2006年1月から2011年2月までに当院で胃癌と診断され手術を施行し同時期に超音波検査が行われた1205例のうち、進行胃癌であった317例である。男女比は男性217例、女性100例、平均年齢69.5歳である。全例無処置にて体外式超音波検査を施行し、実質臓器および消化管に対しスクリーニング検査を行い、胃壁に限局性もしくは全周性の6mm以上の壁肥厚、または充実性の腫瘤像を呈したものを超音波有所見とした。局在は胃全体を胃穹窿部(噴門部含む)、胃体部、胃角部、前庭部、幽門部(球部を含む)の5領域に分けた。2領域以上に存在する場合は病変部が存在する中心部の領域とした。超音波上、壁肥厚として検出できたのは317例のうち177例で55.8%であった。肉眼分類別、領域別の検出率の検討も含め報告する。
2. 当院の腹部超音波検査における進行大腸癌の検出について
1大垣市民病院 診療検査科、2同 消化器科
【目的】当院の腹部超音波検査の進行大腸癌の検出率を検討した。【対象】2006年2月から2011年2月の間に進行大腸癌として開腹手術が施行され、術前検査で最初に腹部超音波検査がなされた454症例である。【方法】大腸癌の存在位置を上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸の5部位に分けその検出率を求めた。また癌の肉眼型や大きさ、深達度が検出率に影響するかどうかを検討した。【結果】大腸癌の全体の検出率は45.4%であり、存在位置別では下行結腸(71.4%)、上行結腸(61.7%)、横行結腸(54.8%)、S状結腸(38.4%)、直腸(29.7%)であった。肉眼型は2型、3型の検出が高く、1型は低い傾向であった。また癌の大きさが大きいほど、深達度が進行するほど検出率が高くなった。
3. 診断に苦慮した虚血性回腸潰瘍の1症例
1浅ノ川総合病院 中央検査部、2同 内科
症例は79歳、女性。2010年2月20日頃より左下腹部痛出現、27日に当院救急外来受診し鎮痙剤で軽快。3月10日に左下腹部痛再出現したため、当院内科受診。採血では軽度の貧血を認めるも炎症反応は無かった。超音波検査では下部終末回腸に壁肥厚と狭窄を認め、周囲に腹膜肥厚とリンパ節腫大を認めた。回腸部における亜腸閉塞の診断で入院。翌日のCTでも同様の所見であった。4月8日の超音波検査では回腸壁肥厚部の狭窄に変化は無く、慢性的な狭窄で腫瘍性病変や腸結核の可能性も考えられ、15日にPET-CTを施行。小腸癌、悪性リンパ腫が強く疑われた。30日小腸ファイバーを施行。回腸で浮腫、発赤あり、狭窄強く通過不能であったが、腫瘍病変は認めなかった。外科に転科後、5月14日に小腸部分切除術を施行。手術病理所見で潰瘍形成を伴う虚血性小腸炎の慢性狭窄期と診断された。診断に苦慮した虚血性回腸潰瘍を経験したため若干の文献的考察を含めて報告する。
4. 超音波検査にて指摘された孤立性上腸間膜動脈解離の1例
1国家公務員共済組合連合会 東海病院 臨床検査科、2同 血管外科
大動脈解離を伴わない上腸間膜動脈の動脈解離は比較的まれな疾患とされてきたが、今日の画像診断の進歩により、近年報告例は増加傾向である。今回、我々は腹部超音波検査にて指摘し、かつ、診断に有用であった孤立性上腸間膜動脈解離の1例を経験したので報告する。症例は41歳、男性。持続する上腹部痛・背部痛にて当院紹介受診。原因精査のため、腹部超音波検査を施行した。上腸間膜動脈に拡張および壁在血栓を指摘し、孤立性上腸間膜動脈解離が第一に疑われた。後日施行した頚動脈・心臓超音波検査および心電図検査にて異常を認めないため、動脈硬化や塞栓症は否定的であり、造影CTの結果とあわせ、孤立性上腸間膜動脈解離(偽腔閉塞型)と診断した。腹痛の原因精査として、腹部超音波検査を施行する際には、孤立性上腸間膜動脈解離も念頭において検査を行うべきである。
5. 超音波検査が有用であった魚骨による腸管穿通の1例
1岐阜市民病院 中央放射線部、2同 消化器内科
今回我々は、超音波検査が有用であった魚骨による腸管穿通をきたした1例を経験したので報告する。症例は70歳代男性、平成21年10月中旬、左側腹部痛が持続するため当科受診。超音波検査にて下行結腸に限局性の浮腫性壁肥厚と腸管を貫く線上の高エコーを認めた。周囲脂肪織の肥厚は認められたが、明らかな膿瘍形成の所見は認められなかった。2日前に鰤の切り身を摂取しており異物は魚骨と推定された。CT検査でも同様の所見が得られ、異物による腸管の穿通が疑われたため、緊急手術が施行された。摘出標本内に魚骨を認め、病理所見では癒着した結腸間膜内に異物に伴う出血、膿瘍形成を認めた。体外式超音波検査は非侵襲的で簡便に行え、空間分解能が高いため異物についての詳細な情報を得ることが可能である。又患者から情報を聴取しながら検査を進める事が可能であり、急性腹症の検査に有用と思われた。
6. 当院の超音波検査における感染性大腸炎について
1大垣市民病院 医療技術部診療検査科形態診断室、2同 消化器科
【目的】今回われわれは、超音波検査における感染性大腸炎の特徴を検討したので報告する。【対象】2006年2月から2009年8月の間に原因菌が確定された393症例中、B-mode USで評価可能であった105症例で、内訳はキャンピロバクター52症例、ブドウ球菌45症例、病原性大腸菌腸炎O-157(以下O-157)8症例である。【方法】大腸炎のB-modeUSでの病変の存在位置を7部位に分けその分布を検討した。また病変部の壁の様子やエコーレベルの違いを検討した。【結果】キャンピロバクターは回腸末端に35%、盲腸に48%、上行結腸に61%、横行結腸に48%、下行結腸に30%、S状、直腸に22%。ブドウ球菌は回腸末端に認めず。盲腸に26%、上行結腸に47%、横行結腸に53%、下行結腸に74%、S状結腸58%、直腸に21%であった。O-157は回腸末端に14%、盲腸に29%、上行結腸に100%、横行結腸に86%、下行結腸に43%、S状、直腸に14%であった。
座長: 橋本千樹 (藤田保健衛生大学肝胆膵内科)
7. 体位変換によるBモード観察と造影エコー法が診断に有用であったIPMCの一例
1JA岐阜厚生連 久美愛厚生病院 放射線科、2JA岐阜厚生連 東濃厚生病院 検査科、3JA岐阜厚生連 久美愛厚生病院 外科
症例:70歳 女性 現病歴:2年前より膵IPMNを指摘され、超音波検査(以下US)などによって経過観察中であった。今回USにて異常を指摘され、精査となった。US:仰臥位走査では嚢胞内に結節を認めない。左側臥位走査にて嚢胞内に充実性エコーを認める。造影CT、IDUSなどの各種画像所見では、嚢胞内結節の存在を示唆する決定的な所見が得られず、倫理員会の承認と患者本人の同意を得て、造影USを施行した。造影US:充実性エコーに明らかな造影効果を認めた。造影USの所見より、IPMCを強く疑い、SSPPDを施行した。病理組織検査:拡張した嚢胞壁(膵管壁)にIPMNsを認める。膵管外へ浸潤性増殖し、低分化癌に移行する所見がみられる。以上より、IPMC(浸潤型)と診断した。結語:膵嚢胞性病変の結節同定には、同定可能な体位変換と造影USが診断に有用であるとおもわれた。
8. 診断に超音波内視鏡が有用であった膵癌の1例
1名古屋大学医学部附属病院 卒後臨床研修・キャリア形成支援センター、2名古屋大学大学院医学系研究科 消化器内科学、3名古屋大学医学部附属病院 光学医療診療部
【症例】60歳代、男性【現病歴】2011年2月閉塞性黄疸にて近医受診。内視鏡的逆行性胆管ドレナージ術施行後、精査目的に当院紹介受診。【入院後経過】体外式超音波検査では膵頭部に20mm大の低エコー腫瘤を認めたが、腹部造影ダイナミックCTでは膵頭部に10mm大の嚢胞を認める以外に明らかな腫瘤性病変は指摘できなかった。MRIでも膵頭部に10mm大の嚢胞を認める以外に病変は指摘できなかった。ERCPでは下部胆管に狭窄を認めたが、膵管像に異常所見は認めなかった。超音波内視鏡検査では膵頭部に22mm x11mmの境界明瞭かつ不整な低エコー腫瘤を認め、膵頭部癌と診断した。2011年3月亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行。最終病理診断は膵頭部癌(pT3、pN1、sM0、fStageIII)であった。【結語】診断に超音波検査が有用であった膵癌の1例を経験した。
9. Mixed exocrine-endocrine tumorの1例
1名古屋大学 大学院医学系研究科消化器内科学、2名古屋大学医学部附属病院 光学医療診療部
【症例】40歳代女性【現病歴】検診にて膵腫瘍を指摘され近医受診。精査目的に2010年2月当院紹介。【経過】体外式腹部超音波検査にて膵体部に15mm大の低エコー腫瘍を認めた。超音波内視鏡検査(EUS)では膵体部に境界明瞭、やや不整な15mm大の類円形充実性腫瘍を認め、内部は高エコー領域を伴う不均一な低エコーを呈した。Sonazoidを用いた造影EUSでは不均一な造影効果が持続し、EUS-elastgraphyでは全体に高硬度を呈した。ERCPでは膵管像に明らかな異常を認めなかった。以上より、悪性度の高い膵内分泌腫瘍と診断。2010年5月、膵体部腫瘍核出術を施行。最終病理診断はMixed exocrine-endocrine tumorであった。【結語】術前に膵内分泌腫瘍と診断したmixed exocrine-endocrine tumorの1例を経験した。
10. 膵内分泌腫瘍と鑑別が困難であったCastleman's diseaseの1例
名古屋第一赤十字病院 消化器内科
30歳代男性。2009年検診の腹部超音波検査で膵腫瘍を疑われていたが放置し、2011年に再度検診で指摘され紹介となった。血液検査では軽度の肝逸脱酵素高値以外には腫瘍マーカーも含め異常なかった。腹部超音波検査では膵体部に境界明瞭、整な低エコー腫瘤を認めた。腹部造影CTでは膵体部の頭側に長径38mm大の内部がほぼ均一で表面平滑な造影効果の強い腫瘤を認め、MRIではT1WIで等信号、T2WIで淡い高信号を示した。超音波内視鏡検査では膵体部に境界明瞭、整で内部やや不均一な低エコー腫瘤を認め、一部点状高エコー領域を認めた。ソナゾイドによる造影では、早期より造影効果を認め比較的長く持続した。膵内分泌腫瘍を疑い摘出術を施行した。病理組織学的にリンパ濾胞の過形成、濾胞内への硝子様硬化を伴う血管侵入と増生を認め、hyaline-vascular typeのCastleman's diseaseと診断した。
座長: 竹島賢治 (大垣市民病院診療検査科)
11. 下肢動脈血管内治療症例におけるパルスドプラエコー法の検討
1JA岐阜厚生連 久美愛厚生病院 放射線科、2同 外科
はじめに:当院における下肢動脈エコー検査は、詳細な情報を得るために、長い検査時間を要しており、簡便な検査といえない現状である。目的:下肢動脈エコー検査のパルスドプラ波形(PW)を分析し、検査の効率化が可能かどうかを検討する。対象:術前にPWの評価を行い、血管内治療が施行された12症例20病変。使用超音波診断装置:GE社製 LOGIQ7PWの評価方法:EIAとPOPAのPWにて、波形はD1〜D4に分類し、駆出時間(以下AT)を計測した。D1以外あるいはAT120ms以上を異常とした。結果と考察:20病変中16病変は、D2以上の異常波形を示した。また、D1所見を示した4病変中3病変は、120ms以上のAT延長がみられた。PW評価で正常を示した治療病変は、石灰化を伴う軽度狭窄1病変のみであった。よって、PWで正常所見を示した場合は、中枢側のBモード観察の省略すなわち検査の効率化が可能ではないかと考える。
12. PTA治療症例におけるシャントエコーの検討
1JA岐阜厚生連 久美愛厚生病院 放射線科、2同 外科
「目的」機能評価を用いたシャントエコーが、PTA後の経過観察に有用であるかどうかを検討した。「対象」PTA前後にシャントエコーを施行し、臨床的にPTAが成功した20症例。「検討項目」シャントPTA前後で上腕動脈の血流量、RI値、また狭窄部のBモード上の最大狭窄率について比較し相関関係を検討した。「使用超音波診断装置」GE社製 LOGIQ7 「結果」PTA後では、ほぼ全例で上腕動脈の血流量、RI値、最大狭窄率の改善がみられた。改善の程度は血流量で200〜300ml/min増加、RI値は0.05〜0.1の低下、最大狭窄率は20%の改善がみられた症例が多かった。「結語」PTA前後にシャントエコーを行うことで、シャントの形態的評価に加え、機能的評価も行えるためPTA後の経過観察に有用である可能性が示唆された。
13. 当院で発見された基質産生癌の一例
1久美愛厚生病院 放射線科、2同 外科、3東濃厚生病院 検査科
【はじめに】基質産生癌とは乳癌取扱い規約16版において新規に登録された特殊型である。当院において本症例を経験したため、詳細を報告する。【症例】41歳女性。右乳房にしこりを自覚し、外来受診。【MMG】辺縁不明瞭、高濃度な円形の腫瘤像。カテゴリー4。【超音波】境界一部不明瞭、辺縁滑らかな低エコー腫瘤。後方エコー増強、中心部極低エコー、圧排性発育を示し、周辺部のみ血流あり。カテゴリー3b。【CT】腫瘤辺縁部に造影効果をもたらし、中心部は欠損したリング状所見。【組織所見】腫瘤境界付近には管状、または索状構造を示す浸潤性乳管癌様の部分を認め、中心に向かうにつれて粘液腫様軟骨基質に置換されており、二層構造を成していた。【まとめ】本症例では病理所見と超音波所見がほぼ一致していた。超音波検査で圧排性発育を示し、中心部に極低エコーが認められる充実性腫瘤が疑われる際には、本疾患の可能性を念頭に置くべきである。
14. 産科での新生児超音波スクリーニング
矢嶋小児科小児循環器クリニック
市内の1つの産婦人科で2005年から希望者に対して生後1ヶ月前後に超音波検査を行っている。主たる目的は尿路奇形と心疾患のスクリーニングである。おおよそ毎月25〜30名、年間300名前後に検査を行っており、5年間で約1500名に超音波検査を行った。腎臓超音波検査では主に中心部エコー(CEC)の乖離を観察しており、5mm以上の乖離がある場合は下部尿管拡張の有無を確認した。明らかに検査、治療を要する尿路奇形が2名あり病院へ紹介した。SFU 分類でgrade 2 は5名、grade 1は75名で居住地域によって受診先を振り分けた。心臓のスクリーニングでは心室中隔欠損症が多く見つかったが小さな欠損で自然閉鎖が期待できるものが多かった。心雑音を聴取し検査した症例もあるが心室中隔欠損症や肺動脈弁狭窄などがほとんどであった。偶然、検査当日に出生して大血管転位と診断し気管内挿管の上、搬送した例があった。
座長: 畑 忠善 (藤田保健衛生大学保健学研究科)
15. 新生児スクリーニング心エコーで診断された心室中隔欠損51例
名古屋第一赤十字病院 小児医療センター循環器科
当科では、当院で出生した健常新生児・NICU入院児の全例に心疾患スクリーニング目的に心エコーを実施している。健常児は母親が退院するまでのおよそ1週間までに、入院児は退院までに小児循環器科医が行っている。今回、2009年1月から2011年1月までの2年間にスクリーニングを行った2968例のうち、心室中隔欠損単独例を59例認めた。事前に心雑音を確認できていたのは19例(32%)だった。欠損部は筋性部43例(73%)、傍膜様部13例(22%)で、心雑音のない36例のうち33例が筋性部欠損であった。2011年5月までにフォローしたのは51例で、うち筋性部中隔欠損は38例であった。筋性部中隔欠損例の自然閉鎖率は68.4%(26/38例)であった。新生児期のエコー診断によるVSD患者群の特徴とその経過について、過去の文献との比較も交えて検討する。
16. 発症前に診断しえた血管輪の乳児例
名古屋第一赤十字病院 小児医療センター循環器科
症例は、生後11カ月の女児。在胎38週6日、体重1905g、当院にて出生、一過性多呼吸として酸素投与されるも日齢1で終了。その後経過良好だったが、日齢17退院前の心疾患スクリーニングエコーで、左肺動脈右肺動脈起始を診断された。呼吸状態安定していたため退院、日齢37の胸部CT検査で、血管輪形成と気管圧排も確認されたが、体重増加は良好だった。その1週間後より、喘鳴始まり、日齢53眼科処置中啼泣顔色不良となり入院、更に呼吸困難増悪したため、中京病院に転院、左肺動脈移植と大動脈つり上げ術施行された。術後18日抜管、25日で退院した。現在啼泣時のみ喘鳴あるも、陥没呼吸は消失した。稀な疾患ながら、心エコーで発症前に診断して、迅速な対応が可能であった血管輪の乳児例を経験した。新生児乳児の心疾患スクリーニングエコーの有用性を改めて認識させられたので報告した。
17. 他の先天性心疾患を伴わない重複僧帽弁口の成人2症例
1名古屋大学医学部附属病院 医療技術部 臨床検査部門、2同 検査部、3名古屋大学大学院 医学系研究科 循環器内科学
重複僧帽弁口(Double-orifice mitral valve:DOMV)は、2つの弁開口部を持つことを特徴とする稀な先天性心奇形であり、先天性心疾患を併発することが多い。今回、先天性心疾患を伴わないDOMVの成人症例を2例経験したので報告する。Case1:僧帽弁狭窄(mitral stenosis:MS)と心房細動と診断されていた61才の女性。心臓超音波検査にて先天性心疾患は認めず、両房拡大とMS、中等度僧帽弁逆流、パラシュートバルブDOMVが認められた。Case2:MSと発作性心房細動と診断されていた39才の男性。心臓超音波検査にて先天性心疾患は認めず、左房拡大とMS、中等度僧帽弁逆流、パラシュートバルブDOMVが認められた。本症例において2D・3D超音波検査はDOMVの特徴的所見の描出・診断に有用であった。
18. 房室中隔欠損の2症例
岐阜大学医学部附属病院 循環器内科
症例1:45歳、女性。小学生頃より心房中隔欠損症と診断されていたが自覚症状が無いため精査を受けていなかった。生体腎移植を希望して当院腎移植外科外来を受診し、術前の心臓精査で不完全型心内膜床欠損症(房室中隔欠損)と診断された。症例2:24歳、女性。小学生頃より心房中隔欠損症と診断されていたが自覚症状がないため放置していた。溶連菌感染後糸球体腎炎の疑いで当科へ紹介受診し、心臓精査で不完全型心内膜床欠損症(房室中隔欠損)と診断された。考察 心内膜床欠損症(房室中隔欠損)のうち完全型は幼少期に診断されるが、不完全型は、今回の2症例のように心房中隔欠損症と診断されていることが多いと考えられる。診断には2Dおよび3D心臓超音波検査が非常に有用と考えられた。
19. 健康診断の心電図異常を契機に発見された無症候性修正大血管転位症の一例
1青藍会 青木内科 診療放射線科、2同 循環器内科、3藤田保健衛生大学 循環器内科
【はじめに】健診の心電図異常の二次検査で偶然発見された合併奇形のない修正大管転位症例を経験したので報告する【症例】44歳 女性【既往歴、家族歴】なし【検査所見】心電図異常はPQ延長のみで二次検査時には正常化していた。断層心エコー上、胸骨左縁左室長軸像で前方の大血管と房室弁の間に繊維性連続はなくcristaがみられた。左側心室の動きはhypokinesis、心尖部付近に肉柱形成が目立った。四腔像で左側房室弁が右側房室弁よりも心尖部寄りに付着していた。左側房室弁逆流は軽度〜中等度で心房の拡大なし。心室中隔に欠損はなく肺動脈弁狭窄も認めなかった。MRIでは左側心室の壁は若干薄く心尖部付近で肉柱が目立ち大動脈は肺動脈より前方から起始することから診断を確定した【結語】現時点では弁逆流も軽度で伝導障害、心不全症状もないことから現在は無治療で経過観察中であり患者には今後弁置換、ペースメーカー治療の必要性があることを説明している
座長: 水野智文 (愛知医科大学循環器内科)
20. 肺動脈冠動脈瘻を伴った巨大冠動脈瘤の一例
1大垣市民病院 診療検査科形態診断室、2同 循環器科
症例は70歳女性。2010年8月中旬から間欠的に胸部圧迫感があり、近医から心不全の疑いとして紹介された。当院の心臓超音波検査では、左室の壁運動は65%と良好で軽度の心のう水を認めた。肺動脈の左上方に30mm大の血管様のものを認め、そこから肺動脈や上方に向かう血流が見られ、冠動脈瘤の疑いのため精査となった。MDCTでは、左冠動脈前下行枝から分岐する31×26mmの冠動脈瘤があり、これと交通する蛸頭様の瘤より肺動脈にシャント血流を認めた。両心カテーテル検査でも同様の所見で、シャント率は5.9%と高くはないが瘤が大きく有症状のため手術となった。診断の契機に経胸壁心臓超音波検査が役立った、稀な成人冠動脈瘤の一例を経験したので報告する。
21. Campylobacter fetusによる感染性心内膜炎を経時的に経食道エコーで観察し得た一例
1名古屋第二赤十字病院 循環器センター 循環器内科、2長谷川内科 循環器内科、3国家公務員共済組合連合会 横須賀共済病院 循環器内科、4名古屋第二赤十字病院 生体検査第二課
症例は40代男性。2010年4月から倦怠感が出現し炎症反応の上昇が続いた。10月より下腿浮腫が出現し12月には心拡大も進行した。2011年1月の経胸壁エコーで大動脈弁逆流を認め精査目的で当院紹介となった。37度台の発熱が持続し経過より感染性心内膜炎(IE)を疑い抗生剤(IPM/CS+GM)での治療を開始した。初診時の血液培養からCampylobacter fetusが検出され、感受性のあるABPC+GMへ変更した。入院後の経食道エコー(TEE)では、大動脈弁交連部に疣贅を疑う所見を認め、C. fetusによるIEと診断した。保存的治療が奏功し炎症反応が改善した時点でTEEを再検したところ(第21病日)、大動脈弁右冠尖に3.9*3.6mmの無茎性疣贅を認め以前より輝度が上昇していた。血液培養が陰性化しておりエコー上輝度が上昇した疣贅であったため、塞栓源とはならないと判断し退院となった。本邦では比較的報告が稀なC. fetusによるIEをTEEで経時的に観察できた一例を経験したため報告する。
22. 心エコー図検査にて左房内血栓の経時的変化を観察できた一例
1市立敦賀病院 医療技術部 検査室、2同 循環器科
【症例】82歳 女性 平成17年2月から僧帽弁狭窄症、心房細動にてワルファリン内服中。【経過】平成22年5月、心機能評価を目的とした心エコー図検査にて、以前まで存在しなかった左房内腫瘤病変が複数確認された(最大径2.5×2.5p)。形態などから左房内血栓と診断し、ワルファリン1.5mg/dayから2.0mg/dayへ増量した。その後、サイズは縮小傾向にあったが、平成22年12月、PT-INR 2.93と比較的高値になった為、ワルファリンを1.5mg/dayへ減量した。しかし平成23年1月PT-INR 1.29となり、再度血栓の増大を認めた。現時点では、塞栓症などの合併症はなく経過観察中である。【まとめ】今回、ワルファリン効果と血栓サイズの相関を、心エコー図検査にて経時的に観察し得た為報告する。
23. 神経内科医による脳梗塞早期の経食道エコーでの発症機序確定率の向上
1名古屋第二赤十字病院 神経内科、2同 循環器内科
【目的】経食道エコー(TEE)は脳塞栓症の塞栓源検索に有用である。今回我々は神経内科医がTEEの施行時期決定と実施に深く関わることによる脳梗塞急性期の発症機序検出例の変化を自験例で検討した。【方法】2007年8月以前にTEEを施行された急性期脳梗塞患者と2007年9月以降神経内科医が早期にTEEを立案、施行した急性期脳梗塞患者での診断確定症例数の変化を検討した。【結果】神経内科医がTEEの適応と施行時期の立案、実施に関わる事で発症後TEE施行までの日数は約1週間短縮し、施行時期の変化と施行症例の拡大により塞栓源として心内血栓及び大動脈の粥状硬化所見の検出率並びに卵円孔開存(PFO)の検出率が2〜4倍に改善した。最終的な発症機序不明例が減少し、より精度の高い脳塞栓症再発予防を行うことが可能となった。【結論】神経内科医師による急性期のTEEは、脳塞栓症の急性期の原因検索と治療決定に有用である。
座長: 林 秀樹 (岐阜市民病院消化器内科)
24. 肝細胞癌に対するTAI・TACE時における造影超音波Sonazoid検査の有用性
1大同病院 消化器内科、2同 臨床検査科
【目的】Sonazoid造影超音波検査(CEUS)を経カテーテル的肝動脈動注療法(TAI)や肝動脈化学塞栓術(TACE)時に併用して、腫瘍血管の同定やリピオドール・塞栓物質の腫瘍への確実な投与を試みた。【対象・方法】対象は原発性肝癌術後再発4例。2.4Fr細径カテーテルを用いて腫瘍が疑われる肝動脈分枝まで挿入後、Sonazoidを投与して造影US下に腫瘍の存在を確認した。TAI・TACEはリピオドールおよび塞栓物質で行ったが、投与直後に再度Sonazoidを用いて腫瘍血流・腫瘍濃染の有無を評価し、腫瘍血流・腫瘍濃染を認めた場合は認めなくなるまで追加投与した。【結果】4例中3例で動脈優位相で腫瘍を描出することで腫瘍血管が同定、TACEが亜区域レベルで可能であった。TAI・TACEを行った3例では経過観察の造影CT、造影USにて腫瘍壊死が確認でき、治療効果良好であった。【結語】CEUSをTAI・TACE時に併用することで安全かつ確実な治療が行えるものと思われた。
25. ソナゾイド造影超音波検査が治療法決定に有用であった小型肝内胆管癌の1例
1岐阜市民病院 消化器内科、2同 中央放射線部腹部エコー室
症例は70歳代、男性。HCV陽性肝硬変。超音波検査にて、肝S6に16.5mm大の均一な低エコー結節を認めた。肝細胞癌を考え、ソナゾイド造影超音波検査(Sonazoid CEUS)を行った。血管相では、腫瘍の辺縁が濃染し、中心部に不染域を認めた。Wash outは早く、通常の肝細胞癌とは異なる造影パターンで、むしろ転移性肝癌のパターンと類似していた。Dynamic MRIでも、同様に腫瘤の辺縁が造影されていた。高〜中分化の肝細胞癌であればRFAも治療法の選択枝の1つとなるが、本症例ではSonazoid CEUSの所見から肝内胆管癌が疑われたため、治療としては肝切除を選択した。切除標本では辺縁凹凸のある均一な白色調の充実性腫瘤で、病理組織像では、大小様々な腺管構造と線維性結合織に富む間質を認め、免疫組織染色にて胆管細胞への分化を示しており、肝内胆管癌と診断された。Sonazoid CEUSが治療法決定に有用な症例であった。
26. 肝結節性病変におけるリニア型高周波プローブを用いた造影エコー法の検討
1JA岐阜厚生連 久美愛厚生病院 放射線科、2同 消化器内科、3同 外科
背景:当院では、リニア型高周波プローブ(以下 9L)による観察で、9L造影の評価が可能と判断した場合、積極的に9L造影を行う。目的:9L造影エコーが、肝結節性病変に対して有用であるかどうかを検討した。対象:9L造影エコー血管相の評価可能であった肝結節性病変18結節。使用超音波診断装置:GE社製LOGIQ E9(振幅変調法)結果:18結節中10結節が10mm以下で、7結節が、6〜9cmに存在した。コンベックスプローブ(以下C)と9Lを両方法行った12結節中7結節は、9Lを加えたことで診断能の向上が得られた。Cでは結節の同定困難により、9L造影のみ評価可能であった6結節全てが10mm以下であり、深さは5cm以内で比較的浅い結節が多くみられた。結語:9L造影を積極的に行うことによって診断可能となる結節が増加し、肝結節性病変の診断に対して有用であると思われた。
27. 肝炎症性偽腫瘍の一例
1藤田保健衛生大学病院 臨床検査部、2藤田保健衛生大学 医学部肝胆膵内科、3同 医療科学部臨床検査学科
症例は60歳代女性、既往歴:34年前胆石にて胆嚢摘出、その後総胆管結石、肝内胆管結石にて砕石を施行。現病歴:近医通院中に肝内に腫瘤出現し当院紹介となった。CT所見:腫瘤は造影早期からやや弱い不均一な濃染を認め平衡相では周囲肝実質と同等の濃染を呈した。また一部腫瘤ではリング状濃染を認めた。超音波所見:腫瘤は境界不明瞭、内部に石灰化を伴い、造影超音波では早期に染影を認めず門脈相で周囲肝実質と同等に染影を認めその後defectとなった。血液データ: ALP、γ-GTPは高値を示した。腫瘍マーカーは異常を認めず。病理所見:リンパ球を主体とする炎症細胞浸潤やリンパ濾胞の形成を認め炎症性肉芽腫の形成を伴っていた。まとめ: 今回の症例では造影超音波において、腫瘤部の染影が門脈相で強く確認できたこと、その後腫瘤のdefect像が確認されたことより炎症性偽腫瘍を疑うことができ、特に悪性腫瘍との鑑別において重要な所見と思われた。
28. HCCとの鑑別に苦慮した限局性結節性過形成(FNH)の1例
名古屋第一赤十字病院 検査部
症例は65歳女性。自己免疫性肝炎の診断で当院で治療中であったが、2010年CTにて肝S3に直径2cmの腫瘤を認めた。血液検査所見ではAST/ALT:36/31、ALP:724、γ-GTP:47、T-Bil:1.0、HBs-Ag(−)、HBc-Ab(−)、AFP:2.8、PIVKA-U:16と肝障害を認めたが腫瘍マーカーは正常範囲であった。造影CTでは門脈相で腫瘤の中心にわずかな血流をみとめた。Sonazoid造影USでは動脈相で腫瘤中心から辺縁へ向う車軸状血流を認めFNHが疑われたが、クッパー相では低エコー腫瘤として描出された。EOB造影MRIでは動脈相で軽度濃染し、平衡相では不明瞭化、肝細胞相で辺縁高輝度の低輝度腫瘤を示した。以上よりHCCと診断し開腹肝S3部分切除が行われた。病理組織学的には原発性胆汁性肝硬変を背景に発生したFNHと診断された。
29. 非典型的な造影パターンを呈した、造影超音波検査が診断に有用であった肝過形成結節の一例
金沢大学附属病院 消化器内科
症例は60代男性。アルコール性肝硬変にて通院中に、肝内に多血性腫瘍を認め、精査目的に当院紹介となった。肝S6、 S4、 S3領域に15-20mm大の腫瘍を認め、CTでは内部に強い早期濃染を示し、平衡相でも濃染の持続を認めた。Gd-EOB造影MRIでも造影効果は同様で、また肝細胞相ではリング状の高信号を呈した。USGでは腫瘍は低エコーを呈し、CEUSの血管相では周囲肝より造影のタイミングが少し遅れて腫瘍中心より周囲に造影効果が広がり、後血管相ではわずかにdefectを呈した。IVR-CTにて腫瘍は門脈血流支配であることが示され、腫瘍生検にて過形成結節と診断した。本症例の腫瘍内部の造影効果は車輻状を呈するも、その血流が門脈性による点が通常のFNHと異なり診断に苦慮したが、CEUSは非侵襲的に腫瘤内部の血流動態を明らかにした。その血流情報はCT-HA/APに匹敵し、診断に有用であったため、文献的考察を加え報告する。
座長: 青山琢磨 (岐阜大学循環器内科)
30. 心房中隔欠損術後、遠隔期に認めた特異的形態を呈する僧帽弁閉鎖不全症の1症例
岐阜大学医学部附属病院 循環器内科
【症例】70歳、男性。【主訴】呼吸困難。【既往歴】心房中隔欠損にてパッチ閉鎖術【現病歴】労作時の呼吸困難続くため、当院、循環器内科紹介となった。心電図にて心房細動を認め、胸部レントゲン上、心胸郭比69%、肺動脈拡大、胸水を認めた。心エコーにて、重症僧帽弁閉鎖不全症、巨大左房、左室拡を認めた。僧帽弁閉鎖不全症は、前尖の逸脱を呈しており、逆流ジェットは左房後壁に向かい、一方、通常の後尖構造は認められなかった。保存的加療にて経過観察していたが、心不全を繰り返すため、僧帽弁置換術施行となった。術中所見は、僧帽弁 前尖、後尖ともに肥厚し、前尖腱索は延長していたが、後尖腱索は強く、短縮して左室後壁に強く固着していた。 【考察】本症における僧帽弁閉鎖不全症は、左室壁に固着して、欠損した形態を呈しており、特殊な形態を呈する僧帽弁閉鎖不全症は稀であり、ここに報告した。
31. 僧帽弁逆流による心不全の急速な悪化で拡張中期以降の流入血流が消失し準緊急手術を要した62歳男性の1例
1名古屋記念病院 循環器内科、2藤田保健衛生大学 循環器内科
2004年8月に僧帽弁閉鎖不全症による初回心不全で紹介された62歳男性。僧帽弁後尖の逸脱を認めたため僧帽弁形成術を勧めるも拒否、症状安定にて外来内服加療としていた。その後も心不全増悪なく安定した経過をたどっていたが、2011年春頃より急激に心不全が増悪したため入院精査加療の運びとなった。入院時の心エコ−図では腱索断裂所見に加えて、洞調律であるにも関わらず左室流入血流が拡張中期以降消失し、左室拡張末期圧の著しい上昇が示唆された。肺高血圧の合併も認め、内科治療に反応乏しいため、準緊急で僧帽弁形成術を施行し、良好な改善が得られた。
32. 心エコーデータベースを用いた大動脈弁狭窄進行の評価
1藤田保健衛生大学 医療科学部 医療経営情報学科、2藤田保健衛生大学病院 循環器内科
大動脈狭窄症患者に対し、病気の経過を追跡することで、どのタイミングで治療介入をすれば最も有効な成果があげられるか目的に調査した。調査対象は、2000年から2010年までに藤田保健衛生大学病院超音波室で心エコーを実施した患者であり、そのうち1年以上の間隔で複数回受診患者のみを抽出し、その経年変化を集計し、データ分析を行った。
33. 運動負荷エコーによる大動脈弁狭窄評価の意義
藤田保健衛生大学 循環器内科
背景:従来、大動脈弁狭窄に対する運動負荷試験は禁忌とされて来たが、最近の欧米では無症状で重症度評価に問題のある症例では施行が推奨されているが、本邦ではほとんど行われていない。目的:運動負荷エコーによる大動脈弁狭窄評価の意義を検討すること。方法:大動脈弁狭窄に対して負荷エコーを行った10例(平均67.3歳、男性6例)。結果:負荷時間は平均6.6分、心拍数:87→132/分、最大血流速度:3.3→3.9m/s、平均圧較差:31→42mmHg、左室駆出率:57→59%まで増大。負荷に伴う合併症は認めず。大腸癌を合併した1例では、負荷により圧較差増大を認めたため、大腸癌手術前にPTAVを施行し、その後の運動負荷エコーで圧較差増大の減少を確認し、安全に手術を行うことができた。結語:運動負荷エコーによる評価は適切に行えば安全であり、病態の不明瞭な症例に対して治療方針の決定に有用であると考えられた。
34. タコツボ型心筋障害の経時的左室壁運動改善をカラーキネシス法にて評価しえた2症例
1朝日大学村上記念病院 臨床検査科、 2同 循環器内科
「はじめに」 当院では、タコツボ型心筋障害と診断された2症例の発病日から退院日に到るまでの左室収縮期壁運動を、カラーキネシス(CK)法、ICK解析にて評価した。「症例1」71歳、女性、主訴 胸部痛「現病歴」ウォーキング中に胸部痛 (鈍痛) が出現。冠動脈には有意狭窄認めず。「症例2」83歳、男性、主訴 呼吸困難「現病歴」夕食後から呼吸困難を訴え、救急搬送にて受診。冠動脈には有意狭窄認めず。「超音波検査所見」 症例1、2の発病日の左室壁運動は、心尖部の無収縮と心基部の過収縮。退院日は心基部、心尖部の良好な収縮運動を認める。「結果」2症例のタコツボ型心筋障害を経験した。CK法は、左室の収縮期局所壁運動を容易に把握することができ、ICK 解析により壁運動の定量評価が可能となった。「結語」2症例の経時的な左室局所壁運動量は、心尖部領域での増加に伴い、心基部領域が減少した後、左室全領域の壁運動量が均等化された。
座長: 武田 裕 (名古屋市立大学循環器内科)
35. 慢性心不全患者の急性増悪時における肺高血圧と心不全の予後との関連性について
1藤田保健衛生大学 循環器内科学、2同 医療科学部、3藤田保健衛生大学病院 救命検査部
【はじめに】慢性心不全患者はその原因や程度にかかわらず、再入院や心臓死の可能性が高い。今回我々は経胸壁心臓超音波検査を用い、経時的にTRPGを測定し、推定肺動脈圧値と慢性心不全患者の予後について検討したので報告する。【対象】2009年1月〜2月に慢性心不全患者で、当院CCUに入院した連続例30例を対象とした。【方法】使用装置はGE healthcare社製Vivid7のS4s探触子を用いた。計測項目は、TRPG、IVC、LVDd、LVDs、PW、IVS、Ao、LA、E/A、E/E`、EF、MRの程度、心房細動の有無とし、それらの項目を治療前、治療後(一般病棟へ転棟後、もしくは退院後の外来)で比較し、心疾患原因の再入院の有無、心臓死、またそこにいたるまでの日数について評価した。TRPG>35mmHgをPH群、<35をN群とした。【結果】PH群はN群と比較し、再入院までの日数において有意差を認めた。【結論】入院時の一時的なPHは心不全の予後を示唆しうる。
36. TAPSEを用いた右心機能評価の検討
豊橋市民病院 中央臨床検査室
《背景》三尖弁輪部収縮期移動距離(TAPSE)は右心機能を反映すると報告されているが、本邦での報告は少ない。今回我々は、TAPSEが右心機能評価に有用であるかを検討した。《対象・方法》心尖部四腔像にて、M-modeとTDIにてTAPSEを計測し、左心機能評価に用いられる各種パラメータと比較検討した連続142例 (男性93例)を対象とした。《結果》LV asynergy(−)群と(+)群、LV asynergy(−)群とEF50%以下群ではM-mode、TDI共に有意差を認めた(p<0.001)。PPH・PTE群とそれ以外の群ではTDI、右室拡大を認める群と認めない群、E/e’<15とE/e’>15ではM-modeでそれぞれ有意差を認めた(p<0.05)。《考察》右心不全は左心不全に併発し起こるとされる。今回の検討において、右室拡大を伴う器質的変化はTAPSEを低下させる要因の1つであり、右室収縮障害を反映してTAPSEは低下すると考えられた。《結語》TAPSEは、右心機能評価に簡便で有用な測定法である可能性が示唆された。
37. 右心機能の指標における再現性の検討
1藤田保健衛生大学病院 超音波センター、2藤田保健衛生大学 医学部循環器内科
【背景】近年、右心機能評価についての関心が高まっている。【目的】収縮期三尖弁輪部移動距離;TAPSE、右室自由壁弁輪部移動速度;TDIs'、右室内腔面積変化率;FACについて計測の再現性について検討すること。【対象】心エコー図検査を行った連続98例。【方法】TAPSE、TDIs'、FACについて検者Aが2回、検者Bが1回計測を行い、検者内誤差および検者間誤差を検討した。【結果】検者内誤差はTAPSE;6.2%、TDIs';4.5%、FAC;9.0%であった。検者間誤差はTAPSE;12.0%、TDIs';4.2%、FAC;12.6%であった。【考察】検者内誤差は何れの項目も誤差は10%以内であり、良好な再現性が得られた。検者間誤差においてTDIs'以外は誤差が10%を上回り再現性に疑問が残る結果であった。【結語】TAPSEやFACは得られる画像が計測誤差の要因であることが示唆された。それに対し、TDIs'は検者内および検者間ともに誤差は5%未満であり信頼性の高い検査法であることが示唆された。
38. 健常人の運動負荷エコーによる肺動脈圧変化の評価
1愛知医科大学 呼吸器・アレルギー内科、2藤田保健衛生大学 循環器内科、3同 病院超音波室
【目的】健常人に対する運動負荷での肺動脈圧変化について検討する。【方法】対象は、既往に心疾患を伴わない健常人8例(平均年齢39歳)に対し臥位エルゴメーターによる運動負荷試験を25Wから3分毎に25Wずつ増加させて最大100から125Wまで行い、 終了後5分まで各段階において連続波ドップラー法により三尖弁逆流の最大速度と圧較差を測定して評価した。【結果】運動負荷開始前は1.8m/s、20mmHg(10-28)。負荷中は25W;2.2m/s、20mmHg(10-28) 50W;2.5m/s、25mmHg(19-32)75W;2.6m/s、27mmHg(22-33)100W;2.9m/s、34mmHg(20-44)125W;3m/s、38mmHg(32-43)で、全例とも計測可能な波形が記録できた。【結論】健常人に対する運動負荷では、欧米での報告同様三尖弁逆流最大速度3m/sまでは生理的範囲内と考えられた。