公益社団法人日本超音波医学会|The Japan Society of Ultrasonics in Medicine

特集

大災害時の対応を振り返る:日本超音波医学会としての取り組み

日本超音波医学会 和文誌「超音波医学」Jpn J Med Ultrasonics Vol.43 No.1(2016)掲載予定

*和文誌「超音波医学」は、通常学会員にのみ公開されていますが、本特集はその内容を鑑み、学会員のみならず一般の方々にも公開しております。

各論文を下記からダウンロードして、閲覧ください。

【特集】
大災害時の対応を振り返る:日本超音波医学会としての取り組み

2011 年3 月11 日に発生した東日本大震災は,本邦を襲った未曾有の大災害である.日本超音波医学会は,被災直後から学会として何ができるかを考え,どう行動すべきかを検討した.本学会は,特に被害が大きかった東北3 県(岩手,宮城,福島)からの学会員からの要望に応じ,震災後早期から被災地へのポータブル型超音波装置の貸与・搬送事業を行った.被災地では,貸与されたポータブル型超音波装置を避難所等における診療や下肢静脈エコースクリーニングに活用した.また,下肢静脈エコースクリーニングを行う際には,全国から血管エコーの専門家が応援に駆けつけた.

これらの事業を行った震災時には,交通網の破綻により,超音波装置の搬送には様々な障害が伴い,当時の本学会事務局は様々な機関との交渉を行うなどの必要性が生じた.さらに,全国からの応援の受け入れにも手続き上の困難があったのも事実である.

一方,震災から3 年半が経過した2014 年8月に発生した広島土砂災害では,東日本大震災での教訓を生かし,避難所における下肢静脈血栓症のスクリーニングを行うべく派遣された医療チームが,迅速に本学会よりポータブル型超音波機器の貸与を受け,活動を行った.

東日本大震災から4年以上が経過した今,本特集「大災害時の対応を振り返る:日本超音波医学会としての取り組み」を組むこととした.震災当時に本学会が何を考えどのように対応したか,学会と連携した被災地ではどのような活動が行われたのか,そこではどのような問題点があったかを可能な限り客観的に振り返り,記録することを目的としたものである.また,震災後の本学会としての取り組みについても記載することで,超音波法に携わる学会員や関連各位が非常時における対応を検討する場合の一助になればと考えた.

本特集では,震災およびその後の災害時に活動を行った6 名の方々に執筆をお願いした.各記事には,執筆者がそれぞれの立場で何を考え,如何に行動したかが詳細に記録されている.広域にわたる被災地では,それぞれの置かれる立場や状況も異なり,その活動内容も異なっている.私自身も被災地でその活動の一翼を担った1人であり,学会本部や各被災地と密接に連絡を取り合ってはいたが,他地域の活動状況を詳細に報告・情報交換する機会もあまりなかったため,他地域での状況を初めて知ったことも多い.

本特集をお読み頂き,大災害などの非日常時において,超音波医学に携わる我々ができることは何か,そして将来に向けての問題点は何か,今後の参考になれば幸いである.最後に,災害時における多大なるご支援を頂いたすべての方々に心から感謝申し上げ,本特集によせる言葉とする.

編集委員 高野 真澄
(2015年12月)

東日本大震災時における日本超音波医学会事務局の対応
山本 一博(鳥取大学医学部病態情報内科)
被災地からのSOS,そして福島における取り組み
高野 真澄(福島県立医科大学集中治療部)
宮城県の対応
西條 芳文(東北大学大学院医工学研究科医用イメージング研究分野)
東日本大震災に対応した日本超音波医学会による超音波診断装置の緊急配備について: 岩手県の対応を振り返る
小山耕太郎(岩手医科大学医学部小児科学講座)
下肢静脈エコースクリーニングに参加した技師の立場から
佐藤  洋(関西電力病院臨床検査部)
2014 年広島土砂災害における医療活動を振り返る
広島大学,福島県立医科大学,新潟大学,福井大学との共同医療チームによる静脈血栓塞栓症・肺塞栓症(エコノミークラス症候群)検診予防活動
高瀬 信弥1,佐戸川 弘之1,高野 真澄2,吉田 絵理子3,横山 斉1
1福島県立医科大学心臓血管外科学講座,2同集中治療部,3同看護部)